社会問題小説・評論板

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暗闇学園
日時: 2015/11/28 14:03
名前: 雪 (ID: uCkrl5rm)

初めまして!
雪 と申します。

粗忽者ですがよろしくお願いします。
つまらないとは思いますが、少しでも見ていただけると幸いです。



〜 ご入室頂いた方々 〜


TUBAKI 様 著書:また明日

雪兎 様

バラバラ 様
ごめんなさい トリップの付け方がわかりませんでした!

Re: 暗闇学園 ( No.80 )
日時: 2015/11/05 19:42
名前: 雪 (ID: V2rxE08r)

アイツには、生きてる価値がない。

可愛くない。勉強も運動神経も悪くて、私にまとわりついてきて。
もうほとほと愛想がつきた、って思っていた頃だ、美乃里・・・いや美乃里様から「いじめ」という名の素晴らしき復讐の提案を聞いたのは。

私はすっごく嬉しかった。美乃里様はちょっと憧れだったし、何より。

私に共感してくれる人がいたのが一番の幸福だった。
私は助けを求めていたんだ。
本当に面白い。
私に迷惑をかけたあいつが。
私が敬遠される原因となったあいつが。
本当に、本当に、面白い。
私は椅子を振り上げる。
「きゃああああ!」すでに身動きがとれなくなっていた琴美の顔面に命中して、鼻血が出た。
それでも満足しない皆は、琴美の顔や足を蹴ったり殴ったり、琴美が痣だら
けの血だらけになるまでやめなかった。
「・・・美、乃里、様・・・」訴えるような目付きで美乃里様を見る琴美。皆の目線は一斉に美乃里様に向くことになる。
「もう飽きたわ。皆を楽しませる事さえ出来ないなんて、嫌われるわけだわ。」美乃里様はすぐさま琴美の細く、血と青痣だらけの足を思いきり蹴りあげる。
でももう飽きた。暴力だって、最初の新鮮さは失われていた。本当になにもできないやつ。私は、そう思った。

そう言えば、唯一無二の親友の有実は?
「そうだわ」美乃里様が琴美を振り返る。
「有実さんは琴美と仲が良かったわよね?有実さんと地位を取り替えてもいいと思ってるのよ」美乃里様は、楽しそうに喋り続ける。「だって・・・琴美は皆の敵よ?貴方も敵でしょう。どうする、琴美?」
「私・・・は・・・私は、有実と、地位を、交代します」
ーまた楽しみが増えそうだわ、有実?

Re: 暗闇学園 ( No.81 )
日時: 2015/11/07 17:48
名前: 雪 (ID: V2rxE08r)

「やめて!」有実は一歩、後ろに下がった。すると今更遅い、というように美乃里が躍り出る。あたしは、あたしは...

『琴美なんか、好きじゃない』大人しいあたしは、琴美に話しかけられたとき断れなかった。
ちょっと浮いてる感じはしていた。周りと違うから。もちろん、あの琴美の事だけど。あたしは嫌われ者じゃない。

つらい。痛い。見慣れた顔をした皆が見たこともない顔をして殴りかかってきたり、蹴ったりした。何で。何でなのだ。
あの時琴美を無視していれば、こうなることもなかったのに。
あの時に戻りたい。とてもとても強く思った。後悔する。
一方的にしゃべり続けて、あたしの気持ちなんか無視して。こんな人間、いなくなればいいー。
その証拠に、さっきは凄く楽しかった。皆に紛れ、叩いたり蹴ったりした。琴美は私に少しも気づいていない。

『こ...とみ...琴美なんか、好きじゃ...ない!
琴美、あたしはあんたの事なんか、これっぽっちも好きだなんて、思ってないから!』つっかえながら訴える。
ーーそうだ。これは琴美のせいだ。

琴美のせいで。
琴美のせいで。
琴美のせいで。

私の願いが、ようやくみんなに伝わったようだ。

「ふーん...」
「唯一の親友、有実さんにまで見捨てられちゃったわね。...有実」
「もうこんなヤツ...耐え切れなかったんです。毎日毎日、本当に...私の邪魔をして...
真矢にまで迷惑かけて、もう許せません。ねえ、皆」皆は頷く。

「じゃあ」

「殺してしまいましょうか」
ーー琴美は倒れた。

Re: 暗闇学園 ( No.82 )
日時: 2015/11/11 18:07
名前: 雪 (ID: EScSgsWR)

あ、あたしや皆は悪くないからね?...全部あんたが悪いの。だって琴美なんか生きてる意味無いじゃん。
明らかにあんたは失敗作だし、生まれてなんか来なきゃ良かったの。

...ま、当然だよね?真矢にも有実にも愛想つかされて、逃げられたんだからさぁ。
皆にも避けられてたあんたに寄ってこられたせいで、真矢たちまで嫌われて。申し訳ないって思わないの?
まぁ敬遠されてんのも気づけない時点で、申し訳無いなんて思えやしないだろうけどね。

ジャンヌ・ダルクって知ってる?魔女だって疑われて、火炙りで殺された人。琴美は知らないだろうけどね?


でもあたしはあの話、納得できない。ジャンヌ・ダルクだって人を殺してんの。やっぱりジャンヌ・ダルクは魔女。

あたしはそう思った。
その線で行くと、可哀想な琴美は悪いヤツ。それこそ火炙りにしたいくらいに。
だからよ。いくら馬鹿なアンタでも、これくらいは分かるよね?ホント、真矢の思いも有実の怒りも気づけないなんて。

その話を持ち掛けると、二人は二つ返事で飛びついた。チャンスだ、って顔をして。
「やめて」なんて泣き落としも無理よ。悲劇のヒロイン演じてでもいんの?

今からやるのが、ジャンヌ・ダルクの儀式。儀式は正しい。

Re: 暗闇学園 ( No.83 )
日時: 2015/11/12 20:50
名前: 雪 (ID: EScSgsWR)

「バカじゃないの?」
...前は無神経にも、皆に吐き捨てていた言葉。だからと言って、私に非はあったのか?

「私は可哀想ないじめられっ子、皆は悪者。美乃里の被害妄想により、罪の無い私が迫害されることとなってしまう」
これがシナリオだ。前の考え方は。
今は、違う。

お願いだから。
ねえ、謝るから。
今まで、みんなにしてきた事。

私は絶対、許しはしない!金輪際許さない。
あいつのせいで、いじめられたから。あいつのせいで、傷ができたから。足に薄く残る、無数の傷。
狂ったように叫び続ける琴美。

ただそれを見物する私。雨の鬱陶しい音が気に障る。その分を醜い少女にぶつける。叩いたり本をぶつけたり。

だってみんなやってるから。
だってみんな琴美を嫌ってるから。
私は楽しいから。

Re: 暗闇学園 ( No.84 )
日時: 2015/11/13 21:12
名前: 雪 (ID: EScSgsWR)

「今日は何をしますか?あー、でも、でももう飽きてきたなー。ほんっと、何にも出来ない奴!
有実にまで裏切られてー。それこそ、今日殺しちゃいます?」
ふざけた調子で真矢は喋り続ける。私は、愛想笑いをしていた。

でも、殺人はしてみたい。とくにあの、琴美には。皆に迷惑を掛けたにも関わらず、ふて腐れていた憎いアイツ。
かと言って殺す訳には行かない。

誰かに殺させてしまおうか。

学校の中は、様子が少しおかしかった。
「お前なんか死んでしまえ」
包丁を振りかざす琴美。私を探しているようだ。私の顔が青ざめていくのが分かる。

泳いでいた琴美の視線が私に向いた。ーー遂に見つかったか。
どこかで悲鳴があがる。
「美乃里...」そう言うと、狂った様に恐れもせず、私の腹を突き刺す。
みんな、...みんな、唖然としていた。嘘だ。琴美が...?

短い琴美の髪が揺れる。

真っ黒な目は邪悪さに満ちていて、何もかもを吸い込んでしまう様な闇の色だった。
私はその場に血を吐いて倒れ、死んだ。




許して、琴美...。




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