複雑・ファジー小説

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・・・夕映えのリベラリスト・・・(自由主義者の物語)
日時: 2011/06/30 17:09
名前: ザクラ・ノイザ (ID: jusjvnjl)

 こんにちわ。はじめてのかたもそうでないかたも、ぜひ!読んでいってください!!

・このスレッドのルール
(お願い)このスレッドにレスをしたら、適当な頃に削除してください。最終的には小説本文だけを残していきたいので…。


 この小説に出てきた用語を覚えるのが難しい、との意見をいただいたので!
 下のスレに用語集みたいなものを作りました!!
 >>116


【スレ主さんへ:】←アドバイス(?)ありがとうございます!


ではスタート!!!

 
 夜、満月だったかな。星がすごくきれいだった。
 僕は、そんな宝石が輝くような 夜 に家を飛び出した。
 
 
 なぜって?それはねぇ・・・

 

  ・・・・・・僕が、犯罪を犯してしまったからなんだよ・・・・・・



 これから、どうやって生きていけばいいんだろう?
 お金も着替えも食料も・・・
  全部、家においてきちゃったよ・・・。
 

 引き返せないよ?もう、・・・戻れないんだ・・・。

 

 少年は濡れた瞳をごしごしと拭うと笑った。

 「あははははー!まぁ、いっか。僕はこれで自由なんだもん!」


 少年は、暗い夜の街を歩く。
 楽しそうに、ゆかいそうに、面白そうに、悲しい歌を歌いながら。
   母の歌った子守唄。優しく切ない思い出の歌。

 

Re: ・・・夕映えのリベラリスト・・・(自由主義者の物語) ( No.52 )
日時: 2011/04/24 17:52
名前: ザクラ・ノイザ (ID: jusjvnjl)
参照: http:

 カーカーカー。
 夕日が辺りをオレンジ色に染め上げる頃。
 オレと鎖維は「パーてぃー」から、我が家(アパート)へ無言で歩いていた。
 途中にある公園にはまだ2,3人の子供達が声をあげて遊んでいる。
 
 オレは子供達を眺めつつ、先ほどから気になっていた疑問を鎖維に問いかけた。
 「・・・なぁ、鎖維聞いていいか?」

 オレの言葉に鎖維はニコリと笑みを浮かべた。
 「なに?答えられることと、答えられないことがあるけど・・言ってみてよ。」

 「うん。あのさ、太郎さんが{昨夜来たピエロが探していたある人物は誰だ?}みたな質問してたじゃん?何で分からないっていったんだ?
 だって、ある人物ってオレか鎖維のことだろ?」
 
 オレの質問に鎖維は顔から笑みを消した。
 そして、前方を、遠くを見るような目をした。
 
 (?)
 オレが首をかしげると鎖維は重々しく口を開いた。
 「お兄さんにはまだ、話してなかった・・ね。」

 冷たい風が二人をつつむ。
 オレの不安な気持ちを引き出すかのように、草木はざわめく。

 「ハローの職業は表上、執事喫茶の店員なんだけど、本当の職業は・・———」

 ザザァ——
 風が勢いをましてオレに襲い掛かってくる。

 オレは鎖維の言葉を聞くと、一言もしゃべれなくなった。
 頭が真っ白になったのだ。いまの時代、本当にいるとは信じにくいような職業。
 しかし、そのことを鎖維が言うとどうしても嘘とは思えない。

 オレは鎖維の言葉を繰り返し頭の中で再生し続けた。

 ——本当の職業は、殺し屋だよ。——
 混乱する俺の心情を知ってか知らずか、鎖維はそのまま続けた。 

 「ハローはね、まぁ、依頼を引き受けるのもそうだけど自分が理解できない不思議なものや人を見つけると、それを殺すんだ。殺して解剖したり、して謎がとけるまで調べ上げるんだよ。」

 え?まさかのダーク趣味?
 オレは目を見開いた。
 だって、あんなにイケメンでかっこいい太郎さんが、そんなこと・・・・・しかも解剖って。
 そこまで考えたとき、オレの中に一つの疑問が生まれた。

 「で、でもそれとオレ達がピエロの探していた人物だってことと、どう関係があるんだよ!?」
 オレはやっと喉から声を絞り出した。
 そのせいか思った以上にとげのある声になってしまう。

 鎖維はフフフ、と笑った。
 何故鎖維が笑ったのか、オレには理解できないのだが・・。

 「自覚無いと思うけど、お兄さんは普通じゃないんだよ?ほら、始めてあった時、お兄さんには僕の声が聞こえたでしょ?あれ、本当は普通の人間には聞こえないんだよ。
 その話をハローが知ったら、間違いなくお兄さんを解剖しに来るよ?」

 オレは鎖維の最初の言葉に首をかしげた。
 (ぇ?オレが普通じゃない?そんなわけないだろぅ。・・でも・・よく考えてみれば、鎖維と初めて会ったとき、周りの人は鎖維の存在にすら見向きもしなかったっけ?)

 オレの混乱をよそに鎖維は思い出したように言う。
 「あ、あと〜昨夜、ピエロを守るために僕のナイフを受け止めたじゃん?あれも人間には受け止めるの難しいかな、ってレベルの速さなんだよ?」
 
 オレは頭が真っ白になった。
 (何を言っているんだ?この坊やは。ってか、さすがに鎖維のいうことでもこれだけは信じないぞ?嘘だろ?オレをからかってるんだろ!?オレは普通だ!)

 オレの頭の中はすでに太郎のことは完全に消えうせていた。


 鎖維は真剣な顔をしていた。こんな顔の鎖維は見たことがないかもしれない。
 「・・・ぅ、嘘だろ?」

 オレの中で不安は急成長を始めていた。
 もうすぐ心臓をつぶして、体の外へ出てしまいそうなほどだ。

 オレの言葉に鎖維は真剣なまなざしのまま、薄くぶきみに微笑んだ。
 「お兄さん。僕は嘘がきらいだよ?それに少しは自覚してるんじゃないの?特に僕のナイフを受け止めた時のことで。」

 オレはその時の記憶をおもいだそうとするが、思い出せない。
 いや、正式には、ナイフを受け止める直前の記憶がないのだ。
 (・・・どうして・・?)

 オレは不安を体中の穴からもらさないように、そっと目を閉じた。
 (・・鎖維は今まで、タブンオレに嘘をついたことはない。でも、オレは普通の人間じゃないってのは信じれない。)

 空気を体いっぱいにとりこむ。
 (鎖維の言うことはうそだ。きっと昨日の夜、逃げる途中にでも頭をうっておかしくなったのだろう。)

 オレの中で、何かが音をたてて壊れた。
 

Re: ・・・夕映えのリベラリスト・・・(自由主義者の物語) ( No.53 )
日時: 2011/04/24 17:57
名前: ザクラ (ID: jusjvnjl)
参照: http:

 オレは信じない!オレが普通じゃないなんていうでたらめをオレは信じない!いくら鎖維が言ったことだとしてもだ!!
 オレは暗闇のなか、叫び続けた。
 しかし、返事は返ってこない。別に返事を求めていたわけではないのだが・・。
 
 オレのかなに一人の人間の姿が思い浮かんだ。
 太郎だ。
 鎖維が殺し屋だ、といった男。
 そんなわけない!と否定はできない。だって・・・否定したところでオレの心臓の痛みはとれないだろうから。
 なら、どうせなら、受け入れてしまおう。
 オレはそう考えたのだ。

 ・・・・でも、オレは普通じゃない。っていう話を信じるかどうかは別だ。
 だってオレは普通だから。確信があるから。否定のしようもないだろう?


 オレの目の前に一筋の光がさした。

 ——朝がやってきた。
 時刻は午前6時30分。
 外はまだ薄暗く、人の歩く気配は無い
 オレはたった今、目覚まし時計に起こされたのだ。
 鎖維はオレのベットの横の布団の中でまだ寝息をたてていた。

 昨日の夕方の帰り道の話を最後にオレと鎖維は一言も話していない。
 理由は簡単で、鎖維と話すとオレの中の不安が増幅するから、オレから鎖維をさけたのだ。
 そして鎖維もそんなオレの心情に気づいたかのように不思議と話しかけてこなかった。

 オレはムクリ、と重い体をおこした。
 (今日は・・・学校、か。ぇ〜と、学校は8時30分登校完了だから・・・まぁちょっと早く起きちゃったかな。)

 そう思いつつオレは二度寝をする気にもなれず、背伸びをする。
 そして、鎖維をおこさないようにそっと立ち上がると征服に着替えた。


 ——時刻は7時30分
 オレは家の玄関を静かに閉めると駆け出した。
 鎖維は起こしていない。いってきます、と書いた紙を机の上においてあるから心配はないだろう。
 
 オレはいつも8時に家をでて学校に向かう。
 今日家を30分も速くでた理由は特にない。強いて言えば、鎖維との気まずい空間から逃げ出したかったのだが・・。

 オレはカバンを握り締め、走りながら大きく深呼吸した。

 小鳥の声がそこらじゅうからした。仲間との会話をたのしんでいるのだろうか。
 オレはそれを音楽代わりに聞きつつ、辺りを見回した。
 太陽の光はすでにいきとどいており、町は明るかった。
 道の途中で犬の散歩をする人たちに何回かあった。
 車が数台、隣の道路を走る。

 いつもの日常が戻ってきた。

 オレはなつかしい思いで胸をいっぱいにした。
 赤木礼が撃たれていこう、オレの周りには現実離れしたことばかりが立て続けにおきていた。
 精神や体がなれない世界についていけずに苦しんだ日々が終わったようにオレは思った。
  一瞬だけ。

 ここ3日間の間、オレはたくさんのことを見た。
 人が人を刺す瞬間や、空を飛ぶ人。
 ピエロという名の者達。
 狂ったように悲鳴を上げる少女。
 オレは今までの3日間のことを思い出し、みぶるいした。

 今思えばとても辛いことの連続だった。
 特に、太郎さんが殺し屋という事を聞いたときは心臓が時限爆弾に変わってしまうかと錯覚をおこしたほどに驚いた。

 (・・・せめて、今だけでも・・・・この平和な日常を楽しもう。)
 オレは心の闇を押し殺し、笑顔を顔に貼り付けた。

 

Re: ・・・夕映えのリベラリスト・・・(自由主義者の物語) ( No.56 )
日時: 2011/04/24 18:33
名前: ザクラ (ID: jusjvnjl)
参照: http:

 学校が見えてきた。
 家からここまでおそらく20分くらいかかったはずだ。
 オレは確認のため、腕時計を見る。
 7時42分だ。

 (・・・・ここに来るのは赤木礼が打たれていらいだな。ん、そういえば、教室の床に広がっていた血はどうなったのだろう?やっぱり今も残ってるのかな?)
 そこまで考えてオレは思考をストップさせた。

 「・・せっかくの平和そうな朝に、こんな事を考えるのはやめよう。」

 そしてオレは学校の玄関へ一歩、足を踏み出した。
 まだ生徒達の声はしなかった。
 とゆうか、こんな早くに来る生徒は叫び走り回らないような真面目な人たちなのだろう。考えられる理由の一つとしてあるのは、勉強をするために学校に来ている、ということだ。

 オレは靴をはきかえると小さくため息をついた。
 「あぁ、・・・・なんか疲れたな。」

 征服で見えないが、包帯をまいている左手にそっとふれ、オレは歩き出した。
 嫌な予感が現実にならないように祈りつつ。

 (・・・・そういえば、左腕の傷、もう痛くないな。)
 オレは鎖維の刃物を受け止めたときにつけた傷のことについて考えた。
 毎日包帯はとりかえていたのだが、驚くほどに痛みを感じないので、オレは傷のことを完全に忘れていた。
 そして傷も直りが早い。

 このことは昨日の夜気づいた。
 その時、一瞬だけ自分が普通じゃない、と言い張る鎖維の言葉を思い出したが、オレは完全にそれを否定した。
 もともと傷はそんなに深くなかったのだ、と。

 
 その時だ。オレの思考を邪魔するかのように2年A組から誰かの大声が響いた。
 「おい!自分だけサボりっていうのはずるいっスよ!!だいいち、一平から言い出したことじゃないっスか!!」

 まだ幼さの残る、青年の声だ。
 その言葉に答える感じで、おっとりした低い声が呆れたように言う。

 「サボリサボリってなぁ。そもそもオレぁ先にゆうたよ?何もしぃひんけどな、って。」

 「確かに言ってたっスよ?でも、言った瞬間に探すの手伝ってきたのはそっちっス!!」

 (・・・・朝からにぎやかだなぁ。先輩達は。)
 #ここの学校では1年生は2,3年生のことを知らない人でも先輩と言わなくてはいけないというおきてがある。#
 オレはそんな事を考えつつ、のんきに2年A組の前を通り過ぎようとした。
 しかし——

 「手伝ってないでぇ?ただ意見をゆうただけや。だいたい赤木礼を撃った犯人の写真を持っている人物に出会えただけで奇跡やろ?」

 この言葉を聴いた瞬間、オレは立ち止まった。
 頭が真っ白になる。
 (・・・まさか、まさか、まさか・・・・)
 嫌な予感が全身を駈け巡る。

 「・・・意見を言うってことイコール手伝ったってことっス!さぁ、ホリーもほら立って!玄関で写真を持っているヤツを待ち伏せするっスよ!!」

 「・・・・了解・・・デ、ス・・」
 か細い声がした瞬間、部屋のなかで椅子から立ち上がったと思われる音がした。

 (・・やっぱり、この人たちって昨日オレとぶつかった人たちか!)
 オレはあわてて2年A組を走りぬけた。
 
 「一平!早くするっス!!こうしてる今も生徒達が玄関から中に入ってるっスよ?アイツは1年か3年だけど、わざわざ教室まで探しに行くのは面倒っス!」

 遠くで怒り交じりの声がする。

 オレは心臓が縮まる重いで全力疾走をした。

 先輩がオレを探している。
 しかも殺気をムンムンさせてるし!
 とゆうか、先輩達は赤木礼と知り合いなのか?
 だったら、なおさら、知り合いが撃たれる瞬間の写真なんかみせたら逆上してオレ・・・ただではすまなさそう!!

 オレはわが身の安全を守るため、教室に入った瞬間に、ゴミ箱の影に身を隠した。

Re: ・・・夕映えのリベラリスト・・・(自由主義者の物語) ( No.59 )
日時: 2011/04/25 21:29
名前: ザクラ (ID: jusjvnjl)
参照: http:

 それから何分のときが流れたのだろう。
 オレの教室にはすでにクラスの半分以上の生徒達が席についていた。
 しかし、オレはゴミ箱の影から今だに出ることができなかった。
 出た瞬間に、先輩達に見つかるというイメージが頭からはなれないのだ。

 (・・・・オレって本当はチキンだったんだな・・。)
 内心、自分自身へ失望するオレ。
 そんなオレの前に一つの影が歩み寄ってきた。

 「おいミズ?そんなところでなにしてるんだ?」
 首を傾けつつの質問。待紀だ。

 オレは懐かしすぎるほどの友の顔をしばらくのあいだガン見したあと、いった。
 「・・ぇと、・・寒いから、ここにいるんだ。隅っこの方が暖かいし。」

 苦笑いを浮かべるオレに待紀はあきれたように笑い返してきた。
 「寒いって、今は夏だぞ?ん、もしかしてカゼか?」

 「いや、それはない。」
 元気であることを証明するためにオレはガッツポーズを両手でやってみせた。
 待紀はそんなオレを見てニカッと笑った。
 「まぁ、元気ならいいんだけどよ!それよりお前、英語の課題やったか?」

 オレは日常的な話題がでたことにホッとした。
 「うん、やった。そっちは?」

 「・・・・・実は・・・・」
 気まずそうな顔をする待紀を見たオレはすぐに相手が何を言いたいのか理解した。

 「いいよ。課題プリントかす。ちょっとまってて。」
 オレはいつの間にか恐怖を忘れ、ゴミ箱の影から立ち上がった。



———午後、昼休み———
 午前中はなんとか切り抜けられた、とオレは安心していた。

Re: ・・・夕映えのリベラリスト・・・(自由主義者の物語) ( No.60 )
日時: 2011/04/26 22:19
名前: ザクラ (ID: jusjvnjl)
参照: http:

 しかし、安心は長くは続かなかった。

 昼休みになった瞬間、教室中が明るくざわめきだす。
 友達との会話に笑うクラスメート。ある本を何人かで見ながらニヤニヤする男子達。

 オレは彼らあるいは彼女等をみつつ、心に穴が開いたような感覚におそわれていた。
 とても大きな穴だった。まるで彼等との間に壁ができたような、心臓にくいをうたれたような・・・。
 
 しかしオレは近寄ってきた待紀にいつもどうりを意識しつつ、笑顔を浮かべて見せた。
 ・・・待紀の言葉を聞くまでは・・・
 
 「なぁ、ミズ。ピエロって知ってるか?」

 「・・は?」
 突然、待紀が言った。
 オレはその言葉に一瞬頭の中が真っ白になる。

 しかしオレは驚きを顔に出さないように意識しつつ、問い返した。
 「・・・ピ、ピエロって・・・ぇと、サーカスの?知ってるよ、あたりまえだろぅ?」
 
 笑顔とは裏腹にオレは初めてピエロとあった日の夜のことを思い出していた。
 月、雲、女の子、血、ナイフ、狂ったような悲鳴、・・・・
 今考えてもゾッとする光景だ。
 

 そんなオレの心情に気づいていないであろう待紀は陽気に笑った。
 「ハハハ、そっちのピエロは誰でも知ってるだろう!当たり前。」

 (・・・・そっちのピエロ?じゃぁ、待紀の言っているピエロはサーカスのじゃない・・。
 ま、まさか・・・ね。あれがみんなに知られてるわけないよな。)

 内心混乱しつつ、オレは待紀に合わせて笑った。
 「じゃぁ、待紀のいうピエロってなに?」
 何気なくをよそおってオレはおそるおそる聞いてみた。

 「守護兵ピエロのことだぜ?この前本で読んだんだ。」
 
 ——ホッ・・・

 オレは知らず知らず安心の吐息をもらした。
 (・・なんだ、ゲームの話か。)

 「守護兵ピエロ?聞いたことないなぁ。それ、強いの?」

 「ん〜それは分からん。でも人間よりは強いだろう!だって守護兵って言われるくらいだぜ?」
 
 「まぁ、そうだよね。必殺技とかってあるの?ピエロだから〜・・ボール投げたりしそう。」

 オレの冗談まじりの言葉に待紀は冗談だろう、と手をヒラヒラさせた。
 「ミズ、お前なぁ〜ゲームの話じゃないぜ?強いて言えば現実だぜ?」

 「・・・・・は?現実?」
 驚くオレに待紀は面白そうな笑みを浮かべた。

 「そ!本には妖精って書いてあった。なんでも、空を飛ぶ人型サイズの妖精で、石を守ってるんだって。」

 「・・・・へぇ〜〜・・。初耳。」
 (・・・これってなんか、オレがあったことがあるピエロと似てるなぁ・・。石ってあれだろ?封印の石。)

 「オレの少し前にたまたま見た本に載ってたんだ。・・・で、さぁ。」
 待紀が声をひそめた。
 それにつられ、オレは耳を彼の口元に近づけた。
 待紀は面白そうに興味深気に、言った。

 「オレ、この前そのピエロに会ったんだぜ?」

 「・・・は?」

 「いや、マジマジ!!夜に会ったんだって!」

 「・・・・」

 沈黙を作る俺と誤解を解こうとする待紀。
 二人の顔には対照的な心情が浮かんでいた。

 待紀は好奇心あふれる若い者顔をキラキラさせていた。
 そしてとうのオレは苦く複雑な思いが顔ににじんでいただろう。
 
 「・・・そ、そんなの嘘にきまってんじゃん!だって、ょ、よう、妖精ってアイルランドだろ?」
 上手く呂律が回らない。
 しかし、オレは待紀の言葉を素直に受け止められなかった。

 「本当だって!確かおとといの夜くらいに、いきなりオレの部屋に飛び込んできたんだぜ?」

 ——一昨日の夜——
 オレはその言葉に凍りついた。
 ちょうどオレがピエロに会った日だったからだ。
 
 「じ、じゃぁ、待紀はそのピエロと・・話した・・ の?」
 オレの問いに待紀はほほえんだ。

 「あぁ、質問されたから答えただけだけどな!」
  


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