複雑・ファジー小説
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- ・・・夕映えのリベラリスト・・・(自由主義者の物語)
- 日時: 2011/06/30 17:09
- 名前: ザクラ・ノイザ (ID: jusjvnjl)
こんにちわ。はじめてのかたもそうでないかたも、ぜひ!読んでいってください!!
・このスレッドのルール
(お願い)このスレッドにレスをしたら、適当な頃に削除してください。最終的には小説本文だけを残していきたいので…。
この小説に出てきた用語を覚えるのが難しい、との意見をいただいたので!
下のスレに用語集みたいなものを作りました!!
>>116
【スレ主さんへ:】←アドバイス(?)ありがとうございます!
ではスタート!!!
夜、満月だったかな。星がすごくきれいだった。
僕は、そんな宝石が輝くような 夜 に家を飛び出した。
なぜって?それはねぇ・・・
・・・・・・僕が、犯罪を犯してしまったからなんだよ・・・・・・
これから、どうやって生きていけばいいんだろう?
お金も着替えも食料も・・・
全部、家においてきちゃったよ・・・。
引き返せないよ?もう、・・・戻れないんだ・・・。
少年は濡れた瞳をごしごしと拭うと笑った。
「あははははー!まぁ、いっか。僕はこれで自由なんだもん!」
少年は、暗い夜の街を歩く。
楽しそうに、ゆかいそうに、面白そうに、悲しい歌を歌いながら。
母の歌った子守唄。優しく切ない思い出の歌。
- Re: ・・・夕映えのリベラリスト・・・(自由主義者の物語) ( No.102 )
- 日時: 2011/05/28 20:50
- 名前: ザクラ ◆nOYt2SrT96 (ID: jusjvnjl)
ドッシャァァン!!
赤木礼が撃たれる寸前の写真の持ち主を探すため、2年B組の生徒達を追いかけていた菜ノ刃は、耳を劈くようなそれを耳にして、足を止めた。
放課後、学校内にほとんど生徒の姿はなく、足音だけでどこに人がいるのか分かるくらいの静けさにつつまれた学内。そこで、菜ノ刃は近くの窓を乱暴に開けた。
ドッジャァァンッ!
さっきほどではないが、耳を劈く音をたてて砕け散る窓ガラスの音が当たりにこだまする。
それを気にすることなく菜ノ刃は辺りを見渡した。
窓からは、校庭と校門。それと校門の前にある道路が見渡せた。
菜ノ刃が後を追っていた連中の姿はもう消えている。
おそらく、爆音を気にすることなく走って逃げてしまったのだろう。
爆音が気にならないほど菜ノ刃が怖かったのだろうか。
菜ノ刃は内心舌打ちしつつ、道路の一部に人の輪が出来ていることに気づく。
そこからは、こちらまで聞こえるほどの悲鳴が聞こえた。
「・・・・・・なんだ、アレ・・・・・・?」
どうやら、さっきの爆音の発音地はあそこらしい。菜ノ刃はそこから目がはなせなかった。
その時、自然と人の輪から逃げるように遠ざかる人影に気づいた。
「・・・・・・ここの学校の制服だスよなぁ、アイツが着てるの、は。・・・・・・っ!?」
菜ノ刃は人影を目を凝らして誰なのか確かめるために見る。
そして次の瞬間、顔を真っ青にした菜ノ刃はダッシュで学校を後にした。
- Re: ・・・夕映えのリベラリスト・・・(自由主義者の物語) ( No.103 )
- 日時: 2011/05/29 21:58
- 名前: ザクラ ◆nOYt2SrT96 (ID: jusjvnjl)
「ちっ。無駄に注目あびちゃったぜ。……全く、今の世の中は飛び出しをしておいて謝罪の言葉もないのか・・・・・・よ・・・・・・・・・・・・。」
太郎は頭や肩から血をダラダラとたらしつつ、痛むからだに鞭をうち立ち上がった。
その瞬間、周りの女子生徒達がキャッと小さく悲鳴をあげる。
ギシギシときしむようにゆっくり歩く太郎の行動を止めようとする者は一人もいない。
皆、ただ太郎を凝視するばかりだ。
「・・・・・・っどうすっかなぁ〜。バイクぺちゃんこだし、こりゃ歩いていくしかない、か。」
ホスト服のワイシャツを血で真っ赤にそめ、ブツブツと呟きながら歩く太郎の姿はまるでロウ人形の様だ。
ピィーポーピィー…………
遠くで胸を掻き乱すようなサイレン音がした。救急車の音だろうか。
サイレン音はしだいにこちらへ近づいてくるかのように徐々に大きくなる。
「・・・・・・やべぇな・・・・・・」
目に入りそうになった頭からの血を拭い、太郎は早歩きでその場を去った。
(今ここで救急車なんかに乗せられたら、仕事ができなくなっちまうぜ。)
その頃、菜ノ刃———
菜ノ刃は、駆け出した。
何かの事故現場から逃げるように遠ざかる一つの影を見た瞬間に。
上履きから外靴に履き替えることも忘れ、学校の玄関を飛び出す。
下校途中の生徒達が菜ノ刃のただ事ならぬ雰囲気に気づき、彼の行く先を目で追う。
しかし、誰も菜ノ刃を引き止めたり、追いかけたりはしない。
普通の反応といえば普通なのだが。よくよく考えてみれば、周りの反応はじつに不気味なものだ。
強いて言うなら、それがここ鎖ヶ丘高等学校のルールでもあるのだが・・・・・・。
鎖ヶ丘高等学校は普通の学校だ。
普通すぎて、目立たないほど普通の学校だ。
学力も平均的。部活動の実力もそこそこ。
先生達や生徒の評判も普通。
おおざっぱに言えば、全てが平均的な学校。
普通なのだ。鎖ヶ丘高等学校は普通の学校なのだ、学校の方は。
しかし、ここの学校にはいくつかのありえないようなルールが存在する。
そのルールは、他言無用という決まりがあり、無関係者が耳にすることは少ないだろう。
ルールの中に一つ、こういうのが存在する。
第9条 他人の行動に首を突っ込むな(友なら可)。そして、理由をきくな。尾行も禁止。他人の不可思議な行動は数秒後に忘れるように。
似たような意味のことわざがありそうな、でも日常的に考えると不可解な、第9条。
生徒達はみな、ルールに従っている。
従わなければ、おそろしい目に合う、という噂がながれており皆おびえているのだ。
例えば、ルールをやぶった者は学校が用意した殺し屋に殺される、など。
実際に殺された、という噂やニュースが過去数回流れている。
赤木礼の事件もそのうちの一つなのかもしれない。
それでも、ルールを守らないやつ等はかならず存在する。
たとえば、そう。菜ノ刃とか。
菜ノ刃は学校のルール集のことを思い出した。
(そういえば、今俺がしてることは第9条に反してるっスね・・・・・・。)
しかし、菜ノ刃の心に恐怖がにじむことはなかった。
菜ノ刃は校門をダッシュでとおりすぎた。
学校の屋上から自分の背中をみつめる、一人の男に気づくことなく。
- Re: ・・・夕映えのリベラリスト・・・(自由主義者の物語) ( No.104 )
- 日時: 2011/05/30 19:04
- 名前: ザクラ ◆nOYt2SrT96 (ID: jusjvnjl)
数分前
菜ノ刃は沢村待紀という人物を探して、教室を飛び出した。
一平も後に続こうと足を踏み出すのだが、それを堀河はとめた。
走り出そうとした一平の腕を掴んだのだ。
「な、なんや?堀河。」
菜ノ刃の後を追いたいと、その場で駆け足をする一平の腕をつかんだまま、堀河は言った。
「・・・・・・これ以、上・・・・・・このけんに、関わらな、いで・・・クダサイ・・・・・・。」
「はぁ!?」
一平は堀河の思わぬ言葉に眉をひそめた。
なぜ、彼が堀河がこんな事をいうのか意味が理解できないのだ。
堀河は続けた。
「あの二人、にこれ以上・・・関わらない、方、が・・・・・・身のため・・・・・・デス。」
「・・・なんやソレ?どういう意味?」
堀河の言葉に一平はさらに首をかしげるだけだった。
そんな一平の言葉を聴くと、堀河彼の目を真っ直ぐに除き見た。
「?」
「分かりま、センカ?・・・あほ、二人は・・・・・・ただの友情、ごっこをして、いるん、じゃ・・・・・・ナインデス・・・。」
確かに、ただの友情ごっこにしては、熱すぎる。
一平はうなずいた。
だとしたらあの二人はどういう関係なのだろうか。
悩む一平に堀河はハッキリといった。
「菜ノ刃、と赤木さ、ンは・・・・・・殺し、合うほど・・・憎み、合ってい、る・・・・・ンデス・・・。」
「?」
堀河、大丈夫か?
一平は堀河の言っている言葉の意味が理解できず、ついに顎に手をあてて固まった。
- Re: ・・・夕映えのリベラリスト・・・(自由主義者の物語) ( No.105 )
- 日時: 2011/05/31 20:07
- 名前: ザクラ ◆nOYt2SrT96 (ID: jusjvnjl)
緑一色の草原の中で、オレはただ立っていることしかできなかった。
草原には相変わらず電動ノコギリの音だけがウィンウィンと響き渡っているばかりだ。
オレは首にあてられそうになっている電動ノコギリを目だけで見た。
よくみると、このノコギリはオレ意外の人間を切ったことがあるらしく、茶色いサビがついていた。
そしておまけにかび臭いときた。
これは間違いなく人を刻んでいるだろう。
オレは内心うなだれる。
- Re: ・・・夕映えのリベラリスト・・・(自由主義者の物語) ( No.106 )
- 日時: 2011/06/03 18:10
- 名前: ザクラ ◆nOYt2SrT96 (ID: jusjvnjl)
鎖維がリンに視線を向けつつ、楽しそうな笑みを浮かべて言った。
「おじさんの部下?みたいなあの女って何?仲間を助けようともしてない。」
言葉には若干皮肉がかくされている。
男はそんな鎖維の言葉を聞くと同時に鼻で笑う。
「フン。あんなの知るか。仲間でも何でもない。」
それを聞くとリンは少し悲しそうな顔をした。
うつむいた顔には、影さえみえる。
オレはついカッとなり、叫んでしまう。
「そ、そんな言い方ないだろ!?言われた方の気持ち考えろ!」
言った後に後悔の念がどっと押し寄せてくる。
(ミスった!今ここで相手を怒らせればオレの命がないんだった。)
反省したとしても、今さらだ。謝るに謝れない状況。
オレは内心舌打ちをした。
「はん。これだから表側の人間は嫌いだ。相手に同情なんかしてると、いつか自分が痛い目みるぞ。」
男は言葉と同時にオレの首に向けていた電動ノコギリをおろす。
ホッとするオレ。
—しかし—
鎖維はいっこうに男の首に当てたナイフをおろさない。
いや、むしろ相手の隙をついてエイヤ!とばかりにきりかかりそうな雰囲気さえ漂わせている。
男はそんな鎖維を目だけでにらみつけた。
「本当に、情もなにもないのか。このガキは。」
「僕はおじさんがノコギリをおろしたら僕のナイフもおろす、なんて約束してないからね。」
無邪気に首をかしげる鎖維だが、彼の顔は大人顔負けなほどりりしかった。
「じゃ、おじさん。命が惜しければその布とって顔見せてよ。そしたら殺さないであげるよ。」
鎖維は純粋に男の顔が見たいだけなのだ。
オレはゾッとした。
(・・・それだけの理由で、この男を殺そうとしてるのか。)
しかし、男は自らの命が危機的状況にあるにもかかわらず、顔にかかった布をとろうとはしなかった。
「ガキの攻撃ごときでオレは死なない。布はとらない。」
男の感情のこもっていない言葉に鎖維は一瞬面白がるような顔をしたあと——
「じゃぁ、ためしてみようか。」
言葉と同時に男の喉下をきりつける。
ズッシャァァ!!
その瞬間、オレの視界は真っ赤に染まった。
ケチャップよりも赤い。
タバスコよりも赤黒い。
まるで、まるで・・・・・・血のように赤い・・・・・・。
「っ!?」
男の近くにいたオレに返り血が飛ぶ。
キャー—とリンが遠くで叫ぶ声がする。
男の体が倒れると同時に、後ろにいた鎖維の顔が見える。
(・・・・・・あぁ、・・・・・・)
鎖維は、残酷な事をしたという自覚があるのかないのか、悪人のような笑みを浮かべていた。
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