複雑・ファジー小説

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・・・夕映えのリベラリスト・・・(自由主義者の物語)
日時: 2011/06/30 17:09
名前: ザクラ・ノイザ (ID: jusjvnjl)

 こんにちわ。はじめてのかたもそうでないかたも、ぜひ!読んでいってください!!

・このスレッドのルール
(お願い)このスレッドにレスをしたら、適当な頃に削除してください。最終的には小説本文だけを残していきたいので…。


 この小説に出てきた用語を覚えるのが難しい、との意見をいただいたので!
 下のスレに用語集みたいなものを作りました!!
 >>116


【スレ主さんへ:】←アドバイス(?)ありがとうございます!


ではスタート!!!

 
 夜、満月だったかな。星がすごくきれいだった。
 僕は、そんな宝石が輝くような 夜 に家を飛び出した。
 
 
 なぜって?それはねぇ・・・

 

  ・・・・・・僕が、犯罪を犯してしまったからなんだよ・・・・・・



 これから、どうやって生きていけばいいんだろう?
 お金も着替えも食料も・・・
  全部、家においてきちゃったよ・・・。
 

 引き返せないよ?もう、・・・戻れないんだ・・・。

 

 少年は濡れた瞳をごしごしと拭うと笑った。

 「あははははー!まぁ、いっか。僕はこれで自由なんだもん!」


 少年は、暗い夜の街を歩く。
 楽しそうに、ゆかいそうに、面白そうに、悲しい歌を歌いながら。
   母の歌った子守唄。優しく切ない思い出の歌。

 

Re: ・・・夕映えのリベラリスト・・・(自由主義者の物語) ( No.108 )
日時: 2011/06/07 20:07
名前: ザクラ ◆nOYt2SrT96 (ID: jusjvnjl)

 今も周囲の草を赤く染めつつ、動かない男の体を鎖維は欲しいオモチャが手に入った子供のような表情で見ていた。
 男の喉を切った瞬間の表情とは対照的な笑みだ。
 
 オレは目の前に立つ少年をただ見ていることしかできなかった。
 恵まれて育ったオレは、人の死体や血を見ることさえ抵抗があるのだ。
 しかし、鎖維は違う。
 呪いやらコインやらピエロやら・・・・・・
 鎖維はたくさんの不可思議なものに囲まれ、親もなく一人で生きてきたのかもしれない。
 だから、こんな物を見て笑うことができるのだ。いや、それ以前に男をこんな姿にしたのは鎖維自身だ。
 
 (・・・・・・オレもいつ殺されるか分からないな・・・・・・。)
 オレは人が目の前で喉元を斬られ、血を大量に流している、という事実がショックすぎたのか、無意識に違うことを考えていた。

 鎖維はオレの凝視に気がついたのか、男からオレに視線を移動させた。
 「・・・・・・どうしたの、お兄さん。顔面蒼白になってる。」
 鎖維は柔らかい笑みで声で、言う。
 しかし、そんな彼を見ても今のオレは安心することができない。いや、できるはずがないだろう?
 
 (・・・・・・あぁ、オレは本当に恵まれすぎているんだな。)
 痛感する。
 オレは人が人を斬り付けているシーンをみていたにも関わらず、混乱していない自分に気づいた。
 どうしてなのだろうか?

 鎖維はオレからの返事がないことを悟ると、男の頭の方へ歩み寄った。
 「今からコイツの布とるよ。あぁ、どんな顔なんだろう!」
 
 そして、男の顔にまきつけられた布を掴む。
 オレは少しだけ、興味があり一歩そちらへ近づいた。
 (男はオレと男が知り合いどうし、みたいな事を言ってた。それに男の声は何処かで聞いた事あるし!)
 気にならないわけはないだろう?

 鎖維は布を引っ張る手に力をこめた。
 ——次の瞬間——

 鎖維は5メートル先まで吹っ飛んだ。
 「!?」
 オレは一瞬、起こった出来事が理解できなかった。
 5メートル先まで吹っ飛んだ鎖維がムクリと起き上がる。
 悔しそうな、面白そうな笑みを浮かべている。
 「・・・・・・油断してたよ。」
 
 鎖維は誰かに言った。
 誰だ?
 さっきまで鎖維がいた場所をみる。しかし、新しいキャラクターは登場してはいない。
 オレが首をかしげていると、・・・・・・

 首を切られて血を流していた男の体が上半身が起き上がった。
 「っはぁ!?」
 つい叫んでしまう。
 そんなオレと鎖維をこうごに見て、男は無敵な笑みを浮かべた。
 

Re: ・・・夕映えのリベラリスト・・・(自由主義者の物語) ( No.109 )
日時: 2011/06/09 23:44
名前: ザクラ ◆nOYt2SrT96 (ID: jusjvnjl)

 ——なぜこの男が生きている?
 オレは驚愕の目で男を見ていた。
 死んだと思っていた人間が今、目の前で起き上がったのだ。
 ——どういう事だ?コイツは不死身か?だって人間の弱点であるはずの首を切られ・・・・・・
 
 男の首から流れていたはずの血は止まっていた。
 なんて早い治癒能力を備えた身体なのだろうか。

 「な・・・・・・なん、で・・・」
 男はこの一言でオレの疑問の内容を悟ったらしい。
 得意げに鼻で笑われた。
 「フン。まぁ、オレの体は不死身だからな。お宅の体よりも。」
 
 「不死身!?」
 その一言にオレは反応してしまう。

 おいおい、こいつゾンビかよ。
 初めて見たな。ゾンビ。
 案外人間と見た目は同じ・・・・・・か。
 お、何か嬉しくなってきたかも。
 未知との遭遇をする喜び〜。
 
 オレはそこまで考えて思考をシャットダウンさせた。
 自分が場に会わない思考を持ち合わせていることに気がついたからだ。
 本当にオレはどうしたのだろう?
 鎖維達と会ってからずっと自分のキャラが変わっているような気がするのだ。
 
 「不死身って言っても完全ってわけじゃないよ。」
 鎖維が言った。オレに言ったのだろうか?
 
 とにかくオレは鎖維の言葉に返した。
 「完全じゃないって、どういう事だ?十字架で腹を突き刺せば倒せるとか?」
 オレはよくあるアメリカのホラードラマの内容を思い出した。
 十字架は吸血鬼だったかもしれないが、記憶が定かではない。
 
 鎖維はオレの質問に対して、男にも聞こえるように大きな声で言った。その距離5メートル。
 「違うよ。おっさんはタブン封印の石で自分の体を封印したんだと思う。体が封印されているから、どんなにコイツに傷を負わせても死傷はしない。」

 あれ、何かおじさんからおっさんになってる。と思ったがそこはスルーしよう。
 「封印の石って確か、何でも封印できる石の事だよな?じゃぁ、それを壊せばこいつの体は普通に戻るんだな。」
 「そうそう。これでやっと分かった。石はおっさんが持ってるんだね。」

 確信の笑みを浮かべる鎖維。
 一方男は無反応だ。
 うなずくことも振ることもしない。
 鎖維はニタリと笑ったあと、ナイフを片手に男に突っ込んでいった。

 予想外の行動だったのだろうか。
 男は鎖維の攻撃を防御することはしなかった。いや、できなかったのかもしれない。

 男の顔についている布が宙を舞う。
 鎖維がナイフで無理やりはがしたものだ。

 オレは無意識に男の顔に目がいき———

 その顔をみた瞬間、固まった。

Re: ・・・夕映えのリベラリスト・・・(自由主義者の物語) ( No.110 )
日時: 2011/06/12 21:53
名前: ザクラ ◆nOYt2SrT96 (ID: jusjvnjl)

 「は?」
 これがオレの男の顔を見た瞬間の第一声だった。
 失礼だと思うが、これしか声が出なかったのだ。
 
 オレは驚きと疑問の入り混じった瞳で男の顔をがんみしていた。
 いや、正確には『男』は男と呼ぶには少し若い、『青年』だったのだが。
 オレの頭は真っ白になった。
 風の音や会話すら聞こえないほどにオレの中で時間は止まった。

 
 男のすぐ横に立っていた鎖維は男の顔をしばらくみていると、やがてため息をついた。
 「・・・・・・おっさん、声のわりには若いんだね。」
 呆れたような見下したような、そんな年下の少年にむきになることなく、男、『赤木礼』は真顔で立ち上がった。

 それを横目でみつつ、鎖維はさらに言葉をかさねる。
 「みたところ、お兄さんと年近そうだね。・・・・・・まぁいいや。もう飽きちゃったし。」
 興味をなくしたようにクルリと男に背をむけ、オレのそばに歩み寄る鎖維の背中を赤木礼は鋭いまなざしで睨み見た。
 その顔には少しの苛立ちさえ感じられる。

 「・・・・・・俺の顔を見られたのはこれで2回目だな。まぁ、見られても始末するだけ。」
 言葉と同時に赤木礼は一瞬で足元に落ちていた電動ノコギリを掴むと、鎖維へ踊りかかった。

 その攻撃を待ってましたとばかりに、鎖維はすばやい動きでナイフを使いガードする。
 鎖維は楽しそうに笑みを浮かべた。

 金属同時のぶつかり合う音が再び、草原にこだまする。
 
 —鼓膜を劈くような金属音すら、オレの耳には届いていないのだが・・・・・・— 
 ——どうして彼がここにいる?銃で撃たれたはずだろう?
 一つの疑問だけがオレの中で右往左往する。
 ——血を流して、病院に運ばれて・・・・・・なんでココに?

 オレの脳裏に赤木礼が撃たれたときの光景が浮かび上がる。
 オレは今でも覚えているのだ。だって彼のすぐ隣で見ていたのだから。

 ——そういえば、ヤツのお葬式は学校の誰も呼ばれてないって生徒達の中で一時期話題になったっけ?
 つまり、葬式をやる以前に・・・・・・生きてたんだ・・・・・・

 あれ、でも待てよ?
 赤木礼は体を封印の石で封印してるから、銃が当たっても大丈夫・・・・・・

 オレは頭をかかえた。
 (ヤバイ。意味が分からなくなってきたかも。)
 頭の隅で理解しつつオレの頭の中は混乱していた。
 

Re: ・・・夕映えのリベラリスト・・・(自由主義者の物語) ( No.111 )
日時: 2011/06/13 20:02
名前: ザクラ ◆nOYt2SrT96 (ID: jusjvnjl)

 その頃———
 菜ノ刃は、ある一人の人物を追って町を駆けていた。
 その人物が誰なのか、ハッキリとは分からない。
 でも、確かにある一人の知り合いの面影を遠くからだが、みたのだ。
 本当に今自分が追いかけている人物がそれなのかは分からないが、菜ノ刃は全力疾走中だ。

 一方菜ノ刃が追いかけている相手はスピードを緩めることなく走り続けている。
 「・・・・・・いったいどこに行く気なんすかね。」
 息を切らしつつの発言だ。

 二人の距離がいっこうに縮まらないのは、同じくらいのスピードで走っているからだ。
 あまり近づきすぎてもきづかれる。だから、ここはヤツの現在の家を突き止めよう、と考えた結果だ。

 何故彼がここにいるのか、菜ノ刃はずっと疑問に思っていた。
 だからこそ、今自分が追いかけている相手が自分の理想とは違うことを心のどこかで思っている。
 でも、その人物があまりにも『彼』に似ているから。

 菜ノ刃がそいつの後を追って、町の曲がり角を曲がったときだ。

   ドガァッ!
 「きゃっ!」
 何かとぶつかった。
 ふわふわした何かだった。
 声からして女の人だろう。
 
 幸い菜ノ刃もその女性も倒れはしなかった。
 「悪りぃ!」
 菜ノ刃は女性の、いや少女の顔をチラリと見て軽く謝罪をしたあと、追っていた人物の曲がった角へ直行した。

 夕方だというのに、角は薄暗く周りのものは良く見えなかった。
 そして、角を曲がった瞬間、菜ノ刃の目に鋭い光が飛び込んできた。

————草原————

 そこは、町外れにある草原だった。
 外れにありすぎて、町の住民もほとんど知らないくらい外れにある草原。
 菜ノ刃自身も始めてきた。

 「・・・・・・あれ?」
 草原に4人の影が見えた。
 4人のうちの二人は学生でもう2人は、中学生かそれ以下の子供のようだ。

Re: ・・・夕映えのリベラリスト・・・(自由主義者の物語) ( No.112 )
日時: 2011/06/15 19:29
名前: ザクラ ◆nOYt2SrT96 (ID: jusjvnjl)

 キィンキィン・・・・・・
 草原に金属音が響き渡っている。
 菜ノ刃は少年と学生が戦っている姿を見て、あわててそこへ駆けて行った人物をおいかけていった。
 
 誰と誰が戦っているのかは、この距離からは遠すぎて見えない。
 しかし、その場所に近づくにつれ、菜ノ刃の顔は凍りついていった。

 「・・・・・・ま、まさか、そん、な・・・・・・。」
 戦っている方の学生の顔に見覚えがあったからだ。
 しかもかなり年の離れた少年と刃物を使って戦っているではないか。

 菜ノ刃は自分が追っていた人物が赤木礼ではない、という事を確認しつつ、その人物をみるが———

 「あれ?」
 自分が追っていた人物の顔が赤木そっくりだ、という事に気づく。

 どういう事だ?


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