複雑・ファジー小説
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- 大三島の風から—妖と海賊の物語— 【参照300感謝】
- 日時: 2011/10/29 20:14
- 名前: 火矢 八重 (ID: gG3G93SR)
えー、こんばんわ。
二次元小説は良く書くけれど、オリジナル作は初めてです。ですので注意事項があります。
・このお話は、ファンタジーです。歴史上人物がゾロゾロ出てきますが、妖怪も出てきますのであしからず。
・また、初心者が書いております。アドバイスは受け付けます(有難くもらいます)が、あまり高望みしない方がいいです(でも、アドバイスは喜んでもらいます)。
・大体シリアスですが、普段はギャグに走りますのでお気を付けてお読みください。
・荒らしや中傷といったものはおやめ下さい。
それでも良いと言って下さる神様は、「有難うございます!(感泣)」また、この話は誰も読んで下さらなくても書き続けます。趣味ですので。
それでは、スタート。
序章 >>1-4
第一章 運命の歯車は止まらない >>8>>11-12>>14-15>>18>>21-22>>25
第一章の後書き >>26
第二章 桜の記憶 >>32-33>>36>>42>>45-46>>51-52>>57-59>>62>>67>>69
第二章の後書き >>70
小話〜救える者と救えない者の境〜 >>71
第三章 牛の刻の雨 >>76>>81>>88>>91>>94>>97>>101>>104>>107-110
- Re: 大三島の風から—妖と海賊の物語— ( No.1 )
- 日時: 2011/09/05 20:36
- 名前: 火矢 八重 (ID: AHkUrUpg)
籠の中に居る鳥が居ました
鳥は言いました 「この籠の向こうには何があるんだろう」
籠の鳥は外の世界が見たくて檻を突き破ろうとしました
けれど檻は鉄で出来ていて 小さな籠の鳥には破れません
それでも鳥は突き破ろうと努力しました
けれど鳥は思うのです 自分の力が無力だということに
どんなに突き破ろうと努力しても 翼が汚れ痛んでしまう
純白の鳥はやがて 灰色の翼になってしまいました
序章 不幸の連鎖によって
小さいころから他人とは違う『世界』に住んでいた。
その理由は、俺が普通じゃないから。
天文一年(一五三二年)の初夏。府中(今の愛媛県今治市)で、一人の少年の元服が行われた。
少年の名は村上通康(元服後に名乗る)。後に村上水軍の大将となり、死後来島(久留島)通康として有名になる少年。
日本の古代から中世にかけて、伊予の国(今の愛媛県)に河野氏という豪族がいた。
当初は国衙の役人として活動していたが、治承・寿永の乱(源平合戦)で源氏の味方をしたことから、鎌倉幕府の御家人となり、その後、室町期に道後に湯築城という城を建て、そこに本拠を移した。
そしてこの当時、河野家の兵力は瀬戸内海で最大規模の水軍となった。他の者は河野水軍と呼んだ。村上水軍も、その河野家の配下に当たる。
通康はこの後すぐに河野家当主通直に気に入られ、以後二人は父子の関係となる。
そんな通康の、苦難多くも奇想で不思議な出来事を、ここで語ろうと思う。
永正一六年(一五一九年)の初夏。通康は生まれた。
だがそれは、彼にとって最初の不幸だった。
小さな小屋から、赤ん坊のむせび声が聞こえた。
小屋の外にいた男は、思わず立ち上がる。
それと同時に、慌ただしい物音と、歓声の声が聞こえた。
「おやかた様—!」
乳母が慌てて外へ出る。
「生まれたか!?」
外で待っていた男は、興奮気味で乳母に聞いた。
「男か!?女か!?」
「男の子です!それも、可愛らしい!」
乳母がそう言うと、男は風の如く小屋へ入った。
「お、おやかた様!?」
乳母は慌てて男の後を追った。が、石に躓いて、顔を思いっきり地面に打ち、気絶した。
それには気付かず男は産まれたばかりの赤ん坊を抱く。
「おお、でかしたぞ、お岩!」
男は、妻に向かっていった。
男の妻————お岩は、汗だくになりながらも、思いっきり笑っている。
「は・・い、死ぬ思いで産みました・・・・」
「元気な赤ん坊ですぞい。大事に育ててなあ」
お岩の隣に居た産婆が言った。
この男の名は康吉。そしてこの赤ん坊は後に通康———そう、あの少年————と名乗る。
これが、通康が産まれた瞬間だった。
この時までは皆幸せだった。
この時までは。
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