複雑・ファジー小説
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- Heros☆ コスモス
- 日時: 2013/11/25 20:04
- 名前: 雅 ◆zeLg4BMHgs (ID: JJibcEj3)
彼女は、自分たちのリーダーだった。
静かで、強くて、大好きなリーダーだった。
自分たちの、正義の味方としての、一年間。
☆キャスト☆
☆旭 愛 あさひ あい
☆宮地 裕侍 みやち ゆうじ
☆木嶋 竜介 きじま りゅうすけ
☆金子 すみれ かねこ すみれ
☆火影 巧 ほかげ たく
☆井水 幸汰 いみず こうた
☆天童 晋弥 てんどう しんや
☆土井 直輝 どい なおき
☆海津 亮人 かいづ あきと
☆冥賀 眞那 みょうが まな
☆石雨 美音 いしさめ みね
☆宍戸 颯天 ししど はやて
☆山田 健人 やまだ けんと
★サタン
★プルートー
- Re: Heros☆ コスモス ( No.23 )
- 日時: 2013/12/02 05:53
- 名前: 雅 ◆zeLg4BMHgs (ID: JJibcEj3)
「旭!」
慌てて旭に駆け寄る宮地。俺もそれに続く。
吹っ飛ばされた旭だったが、この服装ならそのレベルの衝撃は問題ないようだ。
「痛い............。」
旭はむくりと起き上がると、呼吸を整えながら立ち上がった。
瞬く間に私服に戻る。
消ゴムを押せば戻れるらしい。
「旭は、いつからヒーローやってるの?」
慣れた手つき、俊敏な動き。
ただ者ではないことぐらい、俺でもわかる。
「......別に、初めてだよ。」
「えっ......。」
驚いた。宮地も同感なようだ。
まあ、あれだけ俺らを指導しておいて、はじめてだなんて。
「私は何も知らない。敵のことも、自分のことも。」
あっけにとられているとき急に宮地が後ろを振り返った。
「!!」
「宮地?」
宮地は後ろを見つめている。旭もだ。
気づかなかったのは、俺だけかよ。
俺は、小石を蹴飛ばした。
- Re: Heros☆ コスモス ( No.24 )
- 日時: 2013/12/02 19:49
- 名前: 雅 ◆zeLg4BMHgs (ID: JJibcEj3)
活動開始から、一週間。
あれから、金子、火影、井水も加えた六人で活動している。
別に大したことはないが......。
最近、変わったことと言えば、旭と宮地の距離が縮まったくらいか。
戦闘中もよく二人で活動してるし、授業中も席が隣だからなんか一緒にいるし。
そのうち冷やかされるだろうなってぐらい近づいてる。
まあ、関係ないけど......。
戦闘は、順調だ。
火影は体が小さい分、素早さで相手を惑わしている。
井水は、今だ誰よりもこの空気に慣れていないが、ピンチヒッターの役を的確にこなしている。
金子は、女子だけど誰よりも気が強いから、案外攻撃にまわっている。
宮地は、頭の回転を活かして相手の隙をついている。
旭は、リーダー格でみんなにしっかりと指示を出している。
俺は、攻撃の最前線に立つことになっている。
ただ、どうしても腑に堕ちないところがあって、落ち着かない。
戦闘中の、視線のせいかもしれない。
- Re: Heros☆ コスモス ( No.25 )
- 日時: 2013/12/03 18:56
- 名前: 雅 ◆zeLg4BMHgs (ID: JJibcEj3)
修学旅行
それが小学六年生の自分らにとってどれだけ未知のの響きを持っているか、想像できないかもしれない。
修学旅行自体はもっと先で、今日グループで計画をたてるのだ。
自由行動の班は、一班。
男子は、自分と、木島、天童、海津。女子は、金子、冥賀。それに旭だ。
「班の活動計画」と書かれたプリントに、ひとつずつ記入していく。
まず、役割分担。
「班長は、あっきー(海津亮人だからあきとであっきー)ね。」
「副班長は誰?」
「うーん、女子がいいよね〜。」
「金子さんでよくない?」
「アタシ、やだあ〜。」
「じゃあ旭は?」
「私は、いいけど。」
「よし、じゃあ時計は?」
「僕がやるよ。」
「副班長が愛。時計が晋哉。」
- Re: Heros☆ コスモス ( No.26 )
- 日時: 2013/12/03 20:55
- 名前: 雅 ◆zeLg4BMHgs (ID: JJibcEj3)
すみれはもう飽きてきたようだ。
「次行こー。
えーっと、各班のめあて?」
「何がいい?」
俺と宮地で案を出す。
「友情なんとかみたいなヤツでいいと思うけど。」
「集団行動を心がけるみたいな?」
旭がまとめる。
「集団行動を通して、友達との結びつきを深める。」
「あ、いいね。じゃあ冥賀は旭の書いておいて。」
班長・亮人が仕切る。
「じゃあ、まず奈良での自由行動。出発は?」
「12:10から昼食と買い物。12:50には『はにわ屋』を出て自由行動。13:30には鏡池に集合します。そのあいだ二月堂にチェックポイントがあります。」
「秘書みたいだ。」
天童の意見は、もっともだ。
俺は、後ろでお団子結びをして黒渕眼鏡をかけた、アンドロイドを想像する。
「自由行動の間は手向山八幡宮、二月堂、三月堂、四月堂、念仏堂、奈良太郎の大鐘の見学ができます。また、奈良公園で鹿を見ることもできますが。」「鹿が見たい!」
すみれが身を乗り出す。
「でも、どこか見学しないと、感想文がなぁ。」
俺が言うと、天童もそうそう、と頷く。
「鹿は後の大仏殿見学の後でも見られるし、見学した方がいいと思う。」
宮地も乗ってくれる。
「じゃあ、どこ見学するのよ。」
「え?」
「別に有名な建物みたいなのないじゃん。
だったらずっと鹿が見たいの。」
「でも......。」
険悪なムードになってきたとき、海津が待ったをかける。
「別に、この班はお前らだけじゃないだろ。
あいつらの意見も聞いたらどうだ。」
確かに、まだ冥賀なんて、ほぼ発言していない。
「え、えーと、わたしは見学した方がいいと思う。そのための修学旅行だし。」
冥賀の正論にすみれが頬をふくらませる。
「どーせ、あたしの意見は聞かないでしょー!」
- Re: Heros☆ コスモス ( No.27 )
- 日時: 2013/12/05 20:52
- 名前: 雅 ◆zeLg4BMHgs (ID: JJibcEj3)
「どーせ、あたしの意見は聞かないでしょー!」
ダメだ、完全にふてくされてる......。
なんでこの班にこんなメンバーがいて、俺が班長やってるんだろう......。
ここは、俺が助け船を出さないと......。
「で、でも、大仏殿見るときとかも奈良公園行けるじゃん。
そっちで行こうよ?」
天童の案でもいいけどなあ......。
「私は、反対ですけど。」
今まで黙っていた副班長・愛が口を開く。
「大仏殿は大仏殿で分けてあるということは、そっちをじっくり見学して方がいいと思いますけど......。」
「愛、その発言は、今ちょっと......。」
愛、といった俺に、誰かの視線が突き刺さった気がした。
「?」
「どうした、亮人?」
「私は、最初の自由時間を短縮した方がいいと思います。
二月堂はチェックポイントなので必ず。三月堂、四月堂は似た造りだと思うので、とばす。
手向山八幡宮は余裕があれば。念仏堂はどんなものかわかりませんが、奈良太郎の大鐘は見たいですか?」
「......。」
「決まりだな。残りは奈良公園と。」
「二日目は?」
要望の通ったすみれはご機嫌だ。
「ねえ、あたしいっぱいお店見たいの!」
木島がボソリと言う。
「俺は十分前に昼ごはん食べる松山堂に着きたい。」
案外オカルト好きな天童も負けていない。
「僕は、音羽の滝でミックスジュースにしたい。」
冥賀も便乗。
「じゃあ、わたしは八つ橋食べてお守り買いたい。」
みんな言いたい放題だが、果たして全て詰め込めるのか......。
が、愛は余裕。「宮地くんは?」「えっ別に......。」みたいなやり取りを聞いて、こういうのを「リア充」って言うんだなと考える。
「じゃあ、家で考えてきます。」
そう言って愛は帰る支度を始めた。
冥賀、すみれ、木嶋、宮地、愛、俺の順で教室を出る。
「あのさ、木嶋......。」
そういう愛を見て、男好きなのかな?と考えるなんて、俺らしくない。
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