複雑・ファジー小説
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- Heros☆ コスモス
- 日時: 2013/11/25 20:04
- 名前: 雅 ◆zeLg4BMHgs (ID: JJibcEj3)
彼女は、自分たちのリーダーだった。
静かで、強くて、大好きなリーダーだった。
自分たちの、正義の味方としての、一年間。
☆キャスト☆
☆旭 愛 あさひ あい
☆宮地 裕侍 みやち ゆうじ
☆木嶋 竜介 きじま りゅうすけ
☆金子 すみれ かねこ すみれ
☆火影 巧 ほかげ たく
☆井水 幸汰 いみず こうた
☆天童 晋弥 てんどう しんや
☆土井 直輝 どい なおき
☆海津 亮人 かいづ あきと
☆冥賀 眞那 みょうが まな
☆石雨 美音 いしさめ みね
☆宍戸 颯天 ししど はやて
☆山田 健人 やまだ けんと
★サタン
★プルートー
- Re: Heros☆ コスモス ( No.43 )
- 日時: 2013/12/19 21:05
- 名前: 雅 ◆zeLg4BMHgs (ID: JJibcEj3)
「た、助かった。」
裕侍が気が抜けたように言う。
俺も信じられないが、とにかく裕侍は助かったようだ。
部屋の中央、シルクハットの少年が消えたところにしゃがみこむ。
「土………?」
確かに、そこにはいくつかの土の固まりが落ちている。
「少年の代わりに、土………?」
「違うよ。」
裕侍に遮られる。
「少年の代わりじゃない。
少年が土なんだ。」
「え?」
「あれは少年じゃない、土人形だ。」
一気にまくし立てるように裕侍は言った。
彼の眼はじっと、一点で見据えられている。
モゴモゴと動く毛布。
ガバリと布団をめくる。
そこで起きていたのは
「あ………。」
「晋哉………。」
- Re: Heros☆ コスモス ( No.44 )
- 日時: 2013/12/19 22:26
- 名前: 雅 ◆zeLg4BMHgs (ID: JJibcEj3)
ボーッとする頭を抱え、景色を眺める。
そこには茶色と深緑を基調としたコンビニが見える。
そんなものを見ているわけではないが。
昨日はよく眠れなかった。
結局あの後もあまり寝ていない。
バスの中で、一人で考える。
「あ………。」
丸い眼、半端に開けられた口。
あの顔は今もハッキリ思い出せる。
隣の席の木嶋は寝ている。
木嶋が起きていなかったら今自分はここにいないと思うと、
怖い。
「…………ん………。」
木嶋が起きた頃、ちょうどバスが清水寺に着いた。
大きな世界の中で、自分の命は狙われている。
しかも、同じくらいの年の少年にも。
そして、他の人に危害が加わるかもしれない、木嶋とか。
旭とか。
- Re: Heros☆ コスモス ( No.45 )
- 日時: 2013/12/22 19:44
- 名前: 雅 ◆zeLg4BMHgs (ID: JJibcEj3)
「マジか。それは、メンドイ。」
本当に井水に聞く気と言うものは存在するのだろうか。
「よくわかんねーけど、今晋哉を倒せばいいんじゃね?」
「よくねーよ。」
火影には理解力の欠片もないのか。
これがメンバーでいいのかと、つくづく心配になる。
このあと班別行動になるようだ。
「か、海津くん、八ッ橋買いに行こう?」
「ああ、良いけど。」
「宮地、旭を班長に取られてるけどいいのかよ。」
「ああ、気にしなくていいよ。直輝は別の班だろ。」
いちいち話しかけなくても、こちらは今考え事をしている。
まあ、珍しく話したことのない男子に、旭が誘うと言うのは気になるけど。
木嶋はボーッと二人を見ている。
昨日のことがショックだったのか、はたまた今の光景がショックなのか。
あれ、なんで今の光景がショックなんだ?
「木嶋、生きてるか?」
「宮地、物騒なことを言うな。俺は辛うじて心臓は動いている。一応。」
木嶋は自分の発言がどれほど物騒か、気づいていない。
「木嶋はどう思う?」
「いい関係だと思うよ、悪い意味で。」
「………何の話かわかってる?」
木嶋に主語無しで話したことを反省する。
「昨日のことだけど。」
「ああ、ごめん………晋哉が怪しいんだよな。」
「うん。あの土の人形は誰かが操っているとしか思えない。」
だからあのとき起きていた晋哉が怪しい。
あの後晋哉を問い詰めても、何も聞きだせなかった。
「今日帰ってから、よく聞き出す必要があるかもな。旭には言った?」
「いや、まだ。木嶋から言っておいて。」
「でも」
「自分は晋哉を呼び寄せるから。」
「………わかった。」
旭に直接言いたくない。
自分が死にかけたなんて。木嶋に助けてもらったって。
それに晋哉には言わなければいけないこともある。
晋哉が狙っているのは、自分か。
あるいは、それ以外の人か。
- Re: Heros☆ コスモス ( No.46 )
- 日時: 2013/12/22 20:43
- 名前: 雅 ◆zeLg4BMHgs (ID: JJibcEj3)
「あれ、何か全然人数いなくないか?」
「え?」
俺と愛は今とある八ッ橋の店で試食を楽しんでいる。
だが二人のペースでいるうちに、他のメンバーとはぐれてしまったようだ。
「周りは他の班の子ばかりだから、気づかなかった。」
「俺もだ、急いで探そうか。」
こういうとき女子を引っ張っていくのが武士としてのルールだ。
でも、愛はしっかりしているから、不要かもしれないが。
よし、じゃあとりあえず周りに声をかけてみよう。
「あのさ、金子見てない?」
「ああ、金子なら直輝の班で行動してたぞ。」
「ああ、ありがとう。」
金子は問題大アリだが、問題なし。
「宮地は?」
「木嶋と一緒に、つったってた。」
「どこ?」
「そこ。」
ああ、本当だ。こんな近くにいたのに、全然気づかなかった。
「眞那は?」
「私は、お店にいたよ。」
「うわっ。」
ビビってしまった。武士として、恥じるべきことだ。
愛がギュッと俺の腕をつかむ。
「………どうしよう。」
「何が?」
「………晋くんがいない。」
「………! 晋哉!?」
確かにここに晋哉はいなかった。
- Re: Heros☆ コスモス ( No.47 )
- 日時: 2013/12/22 21:08
- 名前: 雅 ◆zeLg4BMHgs (ID: JJibcEj3)
「晋哉ー!」
「晋哉くーんっ!」
晋哉はどこかへ消えた。
消えると言っても、宮地は大まかに場所を把握しているようだ。
「木嶋、後は頼む。」
「ああ、気をつけろよ。」
宮地は殺される覚悟で行ったのだと思う。
自分も、自分なりに何か協力しなくては。
「あ、旭。あのさ………。」
「何?」
俺は旭の手を強引に引く。
「ちょっと、木嶋くん、待って痛い痛い痛い!」
とにかく人に会わない場所に、と進んでいると坂道に出た。
ここなら、いいかもしれない。
「ど、どうしたの、急に………。」
「殺されかけたんだ。」
「………え?」
「宮地は昨日旅館で殺されかけた!
外見は俺らと同じぐらいの、土の人形に!」
一気に口から言葉が溢れ出す。
旭は目を見開いて、荒くなった呼吸を整えるように深呼吸している。
「そして、それを操っていたのは晋………。」
「違う!」
凛とした声が、静かな坂に響く。
さっきとは一転し、今度は俺が目を見開く立場になった。
「晋くんは、そんなことをしない!晋くんは………。」
ハッとしたように旭は言葉を切った。
「………ごめん。早く晋哉を探そう。」
ただ、俺はうなずく。
旭と晋哉の関係に、疑問を持ちながら。
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16