複雑・ファジー小説
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- Heros☆ コスモス
- 日時: 2013/11/25 20:04
- 名前: 雅 ◆zeLg4BMHgs (ID: JJibcEj3)
彼女は、自分たちのリーダーだった。
静かで、強くて、大好きなリーダーだった。
自分たちの、正義の味方としての、一年間。
☆キャスト☆
☆旭 愛 あさひ あい
☆宮地 裕侍 みやち ゆうじ
☆木嶋 竜介 きじま りゅうすけ
☆金子 すみれ かねこ すみれ
☆火影 巧 ほかげ たく
☆井水 幸汰 いみず こうた
☆天童 晋弥 てんどう しんや
☆土井 直輝 どい なおき
☆海津 亮人 かいづ あきと
☆冥賀 眞那 みょうが まな
☆石雨 美音 いしさめ みね
☆宍戸 颯天 ししど はやて
☆山田 健人 やまだ けんと
★サタン
★プルートー
- Re: Heros☆ コスモス ( No.63 )
- 日時: 2014/01/02 21:46
- 名前: 雅 ◆zeLg4BMHgs (ID: JJibcEj3)
図書室に、三人の少年。
さっきから晋哉はずっとボールペンを握りしめている。
「白い、ボールペン………ってことは、仲間?」
ただ、ボールペンを握りしめている。
「何か言えよ。」
「………見える。」
「はあ?」
ボウッと音がして、俺の視界が黄緑色におおわれた。
そこには緑色の文字が並んでいる。
「………このボールペンを持つと、見える。それが。」
文字を読もうと目を凝らすと写真までついてることに気がついた。
『木嶋竜介 13歳 木星』
「木星?」
「さあ、僕にもわからない……。」
「それって、ペンを持ってる人のデータは全て出せる?」
急に宮地が閃いたように言った。
「え、出せると思うけど………?」
宮地が名前を言うのに合わせるかのように黄緑色の画面が宙に現れる。
「僕、木嶋、旭、すみれ、航太、巧。それと、晋哉。」
「ええっ、僕のも要る?」
といいつつも、全て問題なく出た。
『井水航太 12歳 水星』『火影巧 12歳 火星』『金子すみれ 13歳 金星』
「なるほど、全員決まっているのか。」
ふと、目についた。
『旭愛 13歳 太陽』『宮地裕侍 12歳 地球』
「そうか、リーダーは、旭………。」
宮地の呟きも聞こえたが、俺は晋哉のデータしか見ていなかった。
『天童晋哉 13歳 天王星』
「晋哉も、仲間なんだ………。」
- Re: Heros☆ コスモス ( No.64 )
- 日時: 2014/01/03 17:32
- 名前: 雅 ◆zeLg4BMHgs (ID: JJibcEj3)
「おおー。」
「わあー………。」
「すげー。」
6月の図書館は、案外湿度が高い。
そんな中で、ボールペンを持っている人の会議が行われていた。
「“ボールペン持ってる人”って、長くない?」
と言うわけで第一回の議題は、チームの名前について。
「ヒーローズ、までは決まってるけどね。」
「じゃあそれでいいじゃん。」
間。
第一回ヒーローズ会議、終幕。
「早っ。」
確かに早いので、次の議題に移る。
「何で図書館に集まってんの?」
「………たまたま。」
「別のさ、誰かの家とか無いの?」
「今のところ、無い。」
一気に静かになる。
すみれは明らかに不機嫌。
でもまあ、あんまり人が来そうなところ使えないしね。
旭がボソッと言った。
「作ればいい。」
「何か言った?」
「晋哉の能力で、作ってしまえばいい。」
短い沈黙。
「できるの?」
「どこに作るんだよ。」
「さすがに晋哉がかわいそう。」
今のところ出番の少ない三人から反論が出る。
出番はあるのに、何も言えない宮地と俺。
………かっこわるい。
「わかんないけど、やってみれば………。」
「そんなこと、晋哉君にできるわけ無いでしょ!」
晋哉がポツリと言った。
「やるだけやってみるよ。」
- Re: Heros☆ コスモス ( No.65 )
- 日時: 2014/01/13 12:55
- 名前: 雅 ◆zeLg4BMHgs (ID: JJibcEj3)
「やっぱり、ムリかも。」
晋哉はボールペンを握りしめていった。
と言っても算数が解けないとか、そういう問題ではなく、わかるかもしれないが例の「ヒーローズのアジト」を造っているわけである。
が、一行に進まない。
「何か、部屋。部屋、部屋部屋部屋………。」
“部屋”をひたすら唱えるが、効果ナシ。
「あー、もう宿題やろっかなー。
でも宿題も多いんだよねー。」
晋哉は頭を抱える。
どちらも魔法みたいにさっさと終わらせてしまいたい。
「ああ、逃げたーい!」
晋哉は精一杯伸びをした。
フッと、景色が変わった。
「えっ………。」
- Re: Heros☆ コスモス ( No.66 )
- 日時: 2014/01/13 15:58
- 名前: 雅 ◆zeLg4BMHgs (ID: JJibcEj3)
延々と続く白い世界に、晋哉は立っていた。
天井も壁も空も道も、何もない。
イチゴミルクの苺みたいだ、と晋哉は思った。
いや、そんなクリーミーな気分ではないが。
ここはどこだ?
異次元か? 天国か? 自分の部屋なのか?
晋哉には見当がつかなかった。
とにかく晋哉は、重い足取りで歩き出した。
どこに突破口があるかわからない。
が、白い世界は延々と続いた。
もう出口も帰り方もなさそうだ。
彼のなかで、何かが吹っ切れた。
「もう、いいや。何もないときは考えるに限る。」
彼は昔から現実を勝手に空想で彩るのが好きだった。
自然と、ヒーローズのアジトのようなものを考えていた。
「まず、会議ができるような椅子と机は、大きくて、うーん、丸い方がいいかな。その周りを椅子で囲もう。
そのそはに、こんなに大きい画面がついたコクピットみたいなのがほしいな。そこで情報管理をするんだ。」
彼は周りの景色が変わっていることに気がつかなかった。
「椅子はみんなのボールペンの色。コクピットの椅子は白がいいな。僕のボールペンの色。
そうそう、机のとなりにベットもあるんだ。二つ、白いのがね。
で、その部屋はどこにいても瞬間移動みたいに行けるんだ。
その台詞は、うーんと、太陽系は英語で………“ソーラーシステム”がいいな。」
晋哉が気づいたときには、彼の周りにいつもの景色が広がっていた。
「部屋に、帰ってきた………?」
- Re: Heros☆ コスモス ( No.67 )
- 日時: 2014/01/13 16:54
- 名前: 雅 ◆zeLg4BMHgs (ID: JJibcEj3)
「あれ、帰ってきた感じかも。」
晋哉がキョトンとしていると、彼の妹・ほのかが来た。
「お兄ちゃん、今日メグがねえ………。」
相変わらず、愚痴りに来たようだ。
「メグが告ってきたんだよ。」
「………メグって、女?」
「違うし!原田めぐるっているでしょ。」
「ああ、原田巡ね。あれってジュンって読むんじゃないの?」
「いいの、メグで。本人がメグって言うんだから。」
「あ、そう。おめでたいね。」
一応、祝っておく。
よく言い出すことなんだけどね、ほのかは僕に似てないから。
「お兄ちゃんの彼女も早くみたいなー。」
「はいはい、遠い未来でね。」
「じゃあ、期待してるねー。」
マイペースだな。意外と。
一人になった部屋でボソリと呟く。
「“ソーラーシステム”、なんてね。」
景色が、一回転した。
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