複雑・ファジー小説

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何で私が、魔王討伐に参加しなければならないのだ!
日時: 2020/09/14 01:49
名前: 牟川 (ID: 5yzH1Xyu)

知っている人は知っている牟川です!
小説カキコに戻ってきました。





・主人公サイドに立ったあらすじ

 とある司祭のせいで、勇者ユミのパーティーメンバーに任命されてしまったカルロ。こんなくだらない旅に付き合っていられるものかと思うものの、渋々、勇者ユミの旅に同行するのであった。
 そして、魔王軍による数々の嫌がらせを受けながらも、私用を優先するため旅を中断させたりする。

 だが、次第にカルロも勇者ユミに対して愛着を持つようになるのであった。


 
・魔王軍のスパイサイドに立ったあらすじ

 少し前に、魔王討伐に赴いた勇者が魔王軍のスパイに嵌められて捕まったというニュースは記憶に新しい。
 そこで魔王討伐を掲げる【教会】は新たに、ユミと言う少女を勇者に任命したのであった。
 
 魔王軍のスパイたちも、前の勇者を嵌めたように、今回も勇者ユミを嵌めようと画策するが、主人公カルロによって幾度も防がれてしまう。

 幾度もなく妨害に遭う魔王軍のスパイたち。次第にこれら数々の妨害が、カルロの仕業であると確信するものの、そもそもカルロという人物が一体何者なのかという疑問も持つようになるのであった。


尚、それぞれ別タイトルで『小説家になろう』や、『エブリスタ』でも投稿しています。



最後に……

この小説は、次第に謎が深まりつつ、ちょっとずつ解明されていくように書いています。
主人公カルロ(偽名)の生い立ちなども、最初はよくわからないことでしょうが、ちょっとずつ判っていくように書いていきます。

最初は、なんかテキトウにぶらぶらしている奴が勇者パーティの一員になったものだと思って読んでみてください!

第9話あたりから、ちょっとずつおかしな物語になっていきます! 

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Re: 何で私が、魔王討伐に参加しなければならないのだ! ( No.41 )
日時: 2020/10/19 19:35
名前: 牟川 (ID: Z.r45Ran)

第4章 旅の再会と吸血鬼騒動

Re: 何で私が、魔王討伐に参加しなければならないのだ! ( No.42 )
日時: 2020/10/19 19:37
名前: 牟川 (ID: Z.r45Ran)

第39話 旅の再開とユミたちの再会


私は西ムーシ商会本店を出た後、ユミたちが滞在している宿屋へと急いで向かった。

 そして宿屋に入ると、ちょうどユミたちが食堂で夕飯を食べようとしているところが、目に入ったのである。

「あっ! カルロだ。お疲れ様!」

 ユミが、私に気づいてそう言った。
 声のトーンからして少し嬉しそうに感じたが……まあ、気のせいであろう。むしろ私が嬉しい気持ちになっているのかもしれない。

「おお、カルロ殿か。久しぶりと言うには、まだ短い期間かな? 」

「カルロさん! もう用事は済ませたのですが? 」

 続けて、ダヴィドやマリーアも声をかけてきた。ユミはともかく、旅を中断してからは2人とは一度も顔を合わせていなかったな。

「ああ、用は済ませたが……私事で迷惑をかけてしまって申し訳ない。お詫びにと言ってはなんだが、これを買ってきたから食べてくれ」

 私はそう言って、袋を1つずつ渡した。3人は早速、袋を開けて中身を確認しているようである。

「おや? このお菓子は高級品ですよね。わざわざ貰ってしまってよろしいんでしょうか」

 どうやら、マリーアはこれがそこそこ値の付くお菓子であることに気づいたようだ。私としても、このように気づいてくれた方が、それこそ高級品であるが故に申し訳なさが伝わってくれていると感じることができるからありがたい。

 まあ、こうやって心の中で思うあたり性格が悪いのだと自覚はしているが、仕方ないね。 
 人の感情なんてものは、本人の意思によらず勝手に沸きだすのだから。

「えっ! これ、高級なお菓子なの!? 」

 どうやらユミは、マリーアの発言でこれが高級品であることに気づいたようである。
 王家や貴族或いは商家(豪商)の子供でない限り、ユミほどの年齢で高級品であるかどうかなどを、わざわざ意識することはないのかもしれない。

「…………」

 ダヴィドはお菓子の袋の中身を見つめて黙っている。
 単に高級なお菓子だから見とれている、というわけではないことは私は判っているぞ。

「何日もここで待たせてしまったのだ。むしろ、このくらいでは足らないくらいだろうな。まあ、好きに食うなり捨てるなりしてくれ」

「カルロ、何を言っているの? 捨てるなんてもったいないよ。高級なお菓子をくれてありがとね」

「ありがとうございます」

「…………あ、ありがとう」

 と、3人からお礼を言う。ダヴィドだけは驚きのあまり、言葉に詰まっていた。当然その理由を私は良く知っている。

 さてと、ユミにはもう一つ渡すべきものがある。それは【魔王領】について記された本だ。
 本の題名は『魔王領概略』という。

「あと、これはユミにあげようと思って買ったのだが、【魔王領】について色々と書かれている本だ。【教会】付属の図書館とかには置かれていないだろうから、中々面白いと思うぞ」

 まあ、そもそも読書嫌いなら面白いとは感じないかもしれないが。

「勇者として、【魔王領】がどういう場所なのか知っておくべきだと思う。ありがとね。後で時間を見つけて読んでおくね」

「おう。勇者としての自覚がしっかりとあるみたいだね」

 本当は勇者としての自覚あると、こちらとしては困るのだがな。


 ※


――― 魔王領概略 ―――

第1章 【魔王領】の定義

 まず【魔王領】という言葉について、シンプルに整理する必要がある。
 即ち、≪広義の【魔王領】≫と≪狭義の【魔王領】≫の2つの意味があるということだ。以下、これら2つの意味についてシンプルに解説する。



1 狭義の【魔王領】

 最初に、あえて≪狭義の【魔王領】≫について説明する。
 『狭義の【魔王領】』とは、シンプルに言えば魔王の王権が実際に及ぶ地域である。講学上の用語としては【王権領】と呼ぶこともある。

 この≪狭義の【魔王領】≫の定義を支持している国家は、【魔王領】、そして後述する【リバス魔公領】【プラタジィ魔公領】【ゾルデニ魔侯領】の計4ヵ国である。


2 広義の【魔王領】

 次に、≪広義の【魔王領】≫について説明する。
 ≪広義の【魔王領】≫とは、当然【王権領】も含めるわけだが、ある一定の他の地域も包括して指す言葉である。ここで言う他の地域とは、【リバス魔公領】【プラタジィ魔公領】【ゾルデニ魔侯領】の3つの地域である。

 これら3つの地域は事実上の独立国家と言っても過言ではない。この3つの地域の君主は、それぞれ魔王に忠誠を誓っているものの、これは極めて形骸化された儀式的なものに過ぎず魔王の王権は全く及ばないのである。
 そのため、それぞれの君主を優越する権威が国内にも国外にも少なくとも実態上は存在しないということになる。

 しかしながら【教会】や≪教会騎士団国家≫は、こちらの定義を支持している。
 つまり、仮に【魔王領】ではなく、例えば【リバス魔公領】へ行くとしても、大司教の発行する越境許可証が不要となるわけではない。





 …………。
 ……、「」……。

3 ……

 ……。……、…………。

Re: 何で私が、魔王討伐に参加しなければならないのだ! ( No.43 )
日時: 2020/10/20 20:38
名前: 牟川 (ID: w4lZuq26)

第40話 未熟な正義は……即ち危険なエネルギー


翌朝。
 私たちは早速、西ムーシの町を出発することにした。
 久しぶりに4人での旅が再開だ。

 今ちょうど【アリバナ王国】と【プランツ王国】の国境に架かる橋を渡っているところである。

 とは言っても、これから【プランツ王国】へ向かう者や、逆に【プランツ王国】側からやって来た者とがごった返しており、中々前へは進めない。

「昨日、寝る前にカルロがくれた本を少しだけ読んだのだけど、難しい言葉がたくさんあってわかりにくかったんだ」

 と、不意にユミがそう言った。
 どうやらユミは、昨日私が本を渡して早々に読んだらしい。ただ、確かにあの本は難解な言葉が使われているのは事実であり、私はそれを失念したままユミに渡してしまった。

「例えば、どのような言葉が難しいのだ? 」

 私はとりあえず、ユミにそう訊ねた。

「ええっとね、≪広義の【魔王領】≫とか≪狭義の【魔王領】≫とかそういう言葉がたくさん出てきて、意味不明なの」

 なるほど。
 本の初っ端から書かれている【魔王領】の定義から混乱しているようだ。私は、本に書いてある説明を、もう少しわかりやすくユミに10分ほどかけて解説をした。

「なんとなくわかったかも……。1つの言葉でも、色々な意味で使われることもあるんだね。後は、国によって解釈が違うことも」

「まあ、そういうことだ」

 因みに、例えば≪教会騎士団国家≫の何れかの国に住む一般人が何らかの会話で【魔王領】と言ったとしよう。
 しかし彼らの殆どは、それが広義の意味なのかそれとも狭義の意味なのかについて特に意識することはないはずだ。彼らが魔族が住んでいる地域をただ漠然と指して言っているのだとすれば、≪広義の【魔王領】≫に近い意味で言っていることになる。

「でもさ……。この本に出てきた魔公たちも魔王みたいな存在ということだよね? カルロの話しだと、魔公たちはその領地の中では魔王のように振舞っているわけじゃん。なら倒さないといけないね」

 ユミは、勇者と言う仕事に随分と熱心なことだ。
 しかしながら、少なくともユミがアリバナシティ大聖堂で大司教から与えられた任務には、魔公や魔侯の討伐は含まれていない。

 まあ、新しく任命される勇者がいるとすれば、今後は魔公たちも討伐の対象になる可能性は否定できないが……。

「いやいや、魔公たちは討伐の対象にはなっていないだろ」

 あくまでも、ユミが大司教から与えられた任務は魔王の討伐である。

「そうですよね。カルロさんの言う通り、ユミさんが討伐すべき対象はあくまで魔王ということになります。わざわざ魔公たちまでをも討伐する必要はないでしょう」

 どうやら、マリーアも同じ見解のようだ。ロムソン村では魔物の討伐について熱心に提案してきた手前、今回意見が一致したのは意外である。

 まあ、私が魔公や魔侯の討伐を止めて欲しい理由は、天使共に対する対応について協力関係にあるからだ。全く、こんなことになるなら、ユミには何も教えるべきでは無かったな。余計なことをしてしまったな。

「自分も、カルロ殿の意見に賛成だ」

 ダヴィドもそう言った。
 昨日、ダヴィドに渡したお菓子の袋の効果が出てきたようである。

「確かに私に任務として与えられたのは魔王の討伐だけ。それでも、魔公たちも討伐しなければならないよね? 彼らは魔王に忠誠を誓っているのだから」

 おっと、ユミさん。真面目ですね。
 しかし、私としては真面目になってもらうと逆に迷惑なのだよ。

「魔公や魔侯が存在するというだけで、何か我々に悪い影響があるのか? 」

 と、私はユミに訊ねた。
 
 今私がユミに訊ねたことは、そもそも魔王に置き換えても同じことが言える。 
 魔王が存在するというだけで果たして人類全体にどういう悪影響があるのだろうか?

 そして仮に魔王という存在が、【教会】の主張するとおり人類全体に悪影響を及ぼすとものだとして、具体的にどういった悪影響を及ぼすのか、それを明確に答えられる者はいるのだろうか?

 もちろん特定個人又は特定組織からすれば、魔王という存在は迷惑に感じるのかもしれないが……。

 ともかく、私は非常に疑問に思うところだ。

Re: 何で私が、魔王討伐に参加しなければならないのだ! ( No.44 )
日時: 2020/10/21 17:40
名前: 牟川 (ID: w4lZuq26)

第41話 吸血鬼が実在する?



「何を言っているの? 魔族は悪い者たちでしょ! しかもその魔族たちの上に君臨する者たちなのだから、倒すべきだよ」

 駄目だ。
 ユミは完全に【教会】や天使共の言い分(デマ)を信じてしまっている。今ここで、仮に私が天使共を倒すべきだと言い放ったら大変なことになるだろう。

 反応が面白そうだから、言ってみたい気もするが、こういう悪趣味なことをして最終的に恥をかくのは大概こちらだし、やめておこう。

「ユ、ユミさん……」

 マリーアがそう声を出した。
 だが、そてに続く言葉はなかったのである。本当は何かを内容あるものを言いたかったのだろうか? 
 
 もしかしたら、ユミを刺激してはならないと思い何も言わなかったのかもしれない。

 さて、私はユミに対して、なぜ魔族が悪い者たちなのか、その理由を具体的に挙げられるのか訊いてみようとした。しかし、ちょうどそのタイミングで橋を渡りきっており、無事に【プランツ王国】に入国したため、話題が変わり、訊く機会を失ったのである。

 まあ良い。
 後で、改めて訊いてみよう。

「確か【プランツ王国】では夜になると吸血鬼が出没するとか聞いたことがあるな」

 と、話題を変えた張本人であるダヴィドが言う。
 
 ……吸血鬼ね。
 私も吸血鬼という概念は、小説などを読んで理解しているが、ただ【プランツ王国】で出没するとは聞いたことが無い。そもそも、実在するのかどうか疑問である。

「あっ! そういえば私も【プランツ王国】では吸血鬼が出没するという話を最近、聞いたよ」

 どうやら、ユミもダヴィド同様にこの話を知っていたようである。私が知らないだけであって、有名な話なのだろうか?

「吸血鬼は出没しては、人を襲うというとんでもない奴だから、勇者としては倒すべき存在だよね! 」

 おいおい。
 また、このパターンか。

「魔王討伐を忘れるなよ? 」

 私はユミにそう言った。

「さっきも言ったけど、【教会】からは確かに魔王の討伐だけを命じられたけど、悪い連中は皆倒さなければならないでしょ? 」

 そして、この返答パターンだ。
 仕方がない。ロムソン村の時のように傭兵団に吸血鬼の討伐をお願いしておこう。もちろん吸血鬼が実在するのか本当に疑問ではあるが……。


「カルロさん。ここはユミさんの言う通り、吸血鬼は倒すべきだと思います」

 お、おい! マリーアあああぁぁぁぁ。
 先ほどユミが魔公や魔侯も討伐しようと言いだした時は、消極的な発言をしたよね?
 
 それに関わらず、吸血鬼の討伐については賛成なのか!

 私は心の中で発狂する。

 しかし心を落ち着かせ、私は3人に訊くことにした。

「私は【プランツ王国】で吸血鬼が出没するなんていう話は聞いたことがないのだが、皆はどこでその話を聞いたのだ? 」
 
 仮に吸血鬼が実在するならまだ良いかもしれない。しかし実在しないのに、吸血鬼を倒すために行動するとなると、ただ時間を無駄に消費するだけである。

「私は、西ムーシの町でこの話を聞いたよ。ちょうどカルロが重要な用事があるとかで、いなかった時だね」

 ユミがそう言った。

「自分も西ムーシの町で聞いたぞ。まあ、西ムーシの町はプランツ王国との国境近くにあるわけだし、プランツ王国絡みの話もよく聞けると思うが」

 と、ダヴィドもどうやら西ムーシの町でこの話を聞いたようだ。

「2人とも、西ムーシの町で聞いたのか……。ところで、ダヴィドはその話はいつ聞いたのだ? 確か、以前にも王宮兵士を率いて西ムーシの町まで来たとか言っていたけど、その時に聞いたのか」

「いや、ユミ殿と同じく、カルロ殿が大事な用があるとかで、いなかった時に偶然この話を聞いたのだ」

「という事は、2人とも聞いた時期も大体同じというわけか……」

 なるほど。
 今聞いた話で、ある可能性が浮上した。
 というのは、プランツ王国で吸血鬼が出没するという噂は最近になって流れたという可能性があるということだ。

 可能性というよりも、間違いなくそうなのだろう。

 それを前提にして考えると、つい最近までプランツ王国で吸血鬼が出没するという話は無かったということになる。

「ところで、マリーアはこの話は知っていたのか? 」

「ええ。実は私もカルロさんがいなかった時に、西ムーシの町でこの話を聞きましたよ? 」

 ということは、3人とも本当に同時期に同じ町でこの話を聞いたわけか……。

Re: 何で私が、魔王討伐に参加しなければならないのだ! ( No.45 )
日時: 2020/10/23 16:17
名前: 牟川 (ID: umHqwPxP)

第42話 実在するかどうかも判らない吸血鬼を、討伐することになりました




「まあ、そういうわけだし、吸血鬼は絶対に見つけて倒すべきだよね! 」

 と、ユミがまるで使命感にかられたかのような表情で、そう言った。
 どうして彼女は、こう色々と討伐したがるのだろうか……。とても面倒な奴だ。

「ユミ殿。吸血鬼は【プランツ王国】の兵士たちが何とかするはずだ。わざわざ自分たちが関わる必要はないだろう」

 と、ダヴィドが珍しく自分から意見を言った。しかもきちんと関わる必要性がない理由も挙げてくれている。
 しかも、きちんと関わる必要のない理由を挙げていた。
 
 やはり、昨日ダヴィドに渡した「お菓子の袋」が効いているのだろうか。

「私はユミさんの意見に賛成です」

 しかし、マリーアは先のとおり、吸血鬼の討伐には賛成であるのだ。
 これでは2対2であり半々に分かれているため、話が先に進まない。

 ……困ったものだ。

「ところで、カルロさんはロムソン村で魔物の退治に反対したときにその理由として、早いところ【魔王領】に行くべきだとおっしゃいましたよね? 」

 と、マリーアは私に声をかけてきた。
 迂闊に返答をすれば、たちまち言質をとられて不利になるかもしれない。ここは慎重に応じることにしよう。

「そんなこと言ったかな? 」

 恐らく「早く【魔王領】へ行こう」的なことは言ったと思うが、ここは誤魔化しておこうと思う。

「私は、カルロさんがそう言ったと思いますけど……。まあ実際言ったかどうかはこの際問題ではありません」

「問題ではないと? 」

 わざわざマリーアが、こう言ってくるということは、私にとって不利なところを突くに違いない。
 それはもはや予想がついていた。

「私が1つ言いたいのは、カルロさんは旅を一度中断して私たちを西ムーシの町で待たせたのですから、早く【魔王領】へ行くべきとか、魔王討伐を優先すべきなどという理由では反対しないでくださいね? 」

 うおおおおおおおおおおおォォォォ。
 マリーアああァァァァァ!

 また私は心の中で発狂する。 

 判っていたことだが、痛いところを突かれた。畜生。
 ただ、旅の中断をしたのは確かだし、こればかりは言い訳しようがない。

「し、しかしだね……。先ほどダヴィドが言った通り、プランツ王国の兵士たちが対処するだろうし問題ないでしょ」

 私はこうなったらと、別の観点からどうにか言いくるめることにした。
 
「私はプランツ王国の兵士たちは吸血鬼の問題に何の対処もしていないって聞いたよ? 」

 と、今度はユミが口を挟んできたのである。
 こうして、私たちがわざわざ吸血鬼に関わる必要がないというダヴィドの理由付けは、こうもあっさりとつぶれてしまった。

「しかしユミ。吸血鬼は本当に実在すると思うか? 」

「だったら何で噂になっているの? もう何人も人たちが襲われているって聞いたよ」

「噂好きが勝手に言いふらしているだけではないかな」

 実際そうなのだと思う。

「でも火のない所に煙は立たぬとか言うよね? 」

「ユミさんの言うとおりです。仮に実在しなかったとしても、実在しないということが判るまで調査はすべきです」

 これは参ったな……。
 ここ折れるしかないか。しかし実在しないということが判るまでは調査しろとは、一体いつになったら終わるのやら。
 いっそ吸血鬼が実在してくれた方が、早く済むかもしれないな。

「……仕方ない。正直なところ吸血鬼討伐に何の意味があるかわからないが、私は3人の決定に任せる」

 ここは仕方がないので、反対を取り下げることにした。
 そして、3人の多数決に任せた。賛成2、反対1で吸血鬼の討伐をするという流れになったのである。

 そして、今回も私は駅馬車の利用を提案したのだが「ユミに戦闘経験を積ませる」ということを理由により、徒歩で王都プランツシティを目指すことになった。
 


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