二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- イナズマイレブン×REBORN! 神の復活 完結
- 日時: 2012/02/20 23:28
- 名前: しろお (ID: 1SYkI3To)
- 参照: http://www.nicozon.net/watch/sm7616140
↑ メインテーマ
アフロディのキャラソン(イメージです)
アフロディ空白の歴史を考察しました。
大まかな話の流れを説明すると、神のアクアというクスリを使って廃人と化したアフロディっつー少年がREBORN! のキャラクターたちと出会い、
いろいろな出来事に触れて成長し、そして復活する話です。
テニスの王子様とかもで(る予定)ます。
メインはイナズマイレブンGOとのコラボです!
おもしろさは保証できません。
あらすじ
ダークエンペラーズ(イナズマイレブン最大の汚点・黒歴史)の結成を阻止するために、神を自称する少年は時空を越えて、日の目を見ることのない世界の影の部分で暗躍する。
……多分。
はいはい、目次ですよー
第一幕 神の復活
act.1 ささやき
>>1 >>2 >>3 >>4
act.2 家庭教師
>>5 >>6 >>9
act.3 中華料理店 楽々軒
>>11 >>15 >>17 >>19
act.4 おまけ
>>22 >>23 >>25 >>26
act.5 かてきょーチャラ男内藤ロンシャン!
>>30 >>31 >>33 >>34 >>35
act.6 ボンゴレの右腕
>>37 >>38 >>39
休憩所
>>40
第二幕 十年後の世界で
act.7 イナズマイレブンGO
>>50 >>51 >>53 >>55
act.8 茶色のチョココロネ
>>55 >>59 >>60
act.9 サッカー
>>63 >>69 >>70
act.10 調査
>>73 >>74
act.11 その頃
>>75
act.12 十年の歳月
>>76
act.13 不吉な予感
>>80 >>83 >>84
act.14 犯人
>>89 >>90 >>91 >>92
act.15 泡
>>93
休憩所
>>94
第三幕 使った物・後書き
act.16 夢
>>103 >>104
act.17 仲間
>>106 >>107
後書きV2・V3
>>110
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- Re: イナズマイレブン×REBORN! 神の復活 ( No.1 )
- 日時: 2011/12/02 13:57
- 名前: しろお (ID: eR9v1L6x)
act.1 ささやき
アフロディと呼ばれる少年がいた。
少年は髪が女のように長く、そして美しかった。少年が道を通ると、その麗しい姿に誰もが振り返った。
しかしその日の少年の目は死んでいた。
かつてあったであろう瞳の輝きは失せ、目のまわりは落ちくぼんでやつれ切った表情だった。
彼が道を通っても、人はそんな彼の姿を見ようとは思わなかった。
その疲れて変わり果てた姿のアフロディは、しきりに、僕は神だ、僕は神だと呟いている。
「僕は神だ……。僕は神だ! 神のアクアを使っても勝てないなんておかしいじゃないか!」
道の上で、彼は狂ったように叫ぶ。彼はいまある商店街の通りにいる。
「そうだ、国に帰ろう……!」
人々はなるべくアフロディから目を逸らそうとしていたが、明らかに苦しむアフロディをまじまじと観察している三人組があった。
一人は赤い髪を立たせ、チューリップのような髪型をしている少年だ。もう一人も赤髪だがまっすぐに伸ばしており、顔もチューリップヘアの少年とは似ていない。残りの白い髪の毛の少年も同様に、その他の二人とは似ていない。兄弟というわけではないのだろう。
「おいガゼル。あいつ、サッカー強そうじゃねえか?」
そう言ったのはチューリップヘアの少年。
「そうだな。我がエイリア学園に、一人でも有望な人材を引きこんでおきたい。……なるほど、な。そういうことだったのかグラン」
ガゼルと呼ばれた少年は、チューリップヘアの少年にではなく、グランと呼ばれる少年の方を見て言った。
「そういうことって、何が?」
「しらばっくれるな。急にお前がカラオケに行こうなどというから何かおかしいとは思っていたが……。お前の目的はわかった。レーゼのやつらが雷門中と戦ってるうちは私たちは暇だから、選手のスカウトでもしようって魂胆だな?」
「別に。ただカラオケに行って久しぶりに二人と歌いたかったんだよ。でも確かに、あのロングヘアーの子、気になるね」
「ガゼル。あいつのサッカーやろうぜ度はいくつだ?」
「そう焦るなバーン。今スカウタ—をだす」
ガゼルはバーンと呼ばれるチューリップヘアの少年の髪に手をつっこみ、ごそごそと手を動かしている。手ごたえがあったのか、何かを取り出す。
ガゼルはそれを片目に装着し、電源を入れてアフロディに照準をつける。
ガ:「十万……百万……いやまだ増えるのか……!?」
グ:「どうしたんですか、ドドリアさん」
ガ:「ドドリアじゃねーよ。……はっ。くっ、思わずツッコミを入れてしまったじゃないか。はっ。まだ止まってなかったのか!? 千万……だと!? まだ増えるのか……! なんだ、何が起きているんだ一体ってうわっ」
ぼんっと突如スカウタ—は火を吹いて爆発した。
ガ:「スカウタ—で測りきれないだと……!? あいつ、何者だ!? 一体どれほどのサッカーやろうぜ度を秘めているというんだ!?」
グ:「落ち着きなさいドドリアさん」
ガ:「だからドドリアじゃねーよ」
バ:「グラン、もしかしてあいつあれじゃないか? 円堂守とかいう奴と戦って負けた世宇子中のキャプテンの……ほらあれだよ。神のアクアとかいうドーピングを使って勝とうとしたチーム」
グ:「ああ、アフロディ君? そっかー。ドーピングの副作用であんなヤク中みたいになっちゃってるんだ。それにしても、円堂君と戦った人って皆、なんでか知らないけどサッカーやろうぜ度がすごく高くなってるよねー」
ガ:「……で、どうするんだザ—ボン」
バ:「だってよフリーザ様」
グ:「だってさドドリアさん」
ガ:「はあ……。君たちといるととても疲れるよ……ん?」
ガゼルの視界に偶然、三人の後ろにいる黒いスーツに黒いサングラスを纏った、怪しげな風貌の男五人が入った。五人とも体格が良く、肌の色の白さや顔の骨格から言ってもおそらく外人だろうと思われた。
誰かを探しているのか、五人はきょろきょろとあたりを見回している。
「グラン……。あの五人組、怪しくないか?」
癖なのか、ガゼルは前髪を執拗に触り、横になびかせる。グランはちらっとスーツの男達を見たあと、小さい声で喋る。
「誰かを探してるみたいだね。まあここは東京だし、ああいう人がいてもおかしくはないかな。外国の人ってことは、マフィアなんじゃない? ダンボール戦機絡みの事件だったりして」
「あ、おい、なんかさっきの長髪のやつが、誰かとぶつかったぞ」
バーンが声をあげる。
アフロディは地面に尻もちをついている。その隣に、「いててて……」とアフロディと同じように尻もちをついている少年がいる。制服を着ており、背や顔つきから言って中学生くらいだろう。何かから逃げるように慌てて走っていたこの少年は、道の真ん中でアフロディと衝突してしまったようだった。
「ツナヨシ、サワダ……!!」
グラン達の後ろにいたスーツ姿の男達が、少年に向かって一斉に走り出した。どうやら探し物は彼だったようだ。
足の速いスーツの男の一人が、グラン達の横を通過した。それに続いて他の男達もグラン達の横を走って通って行く。
「あっ、し、しまった! に、逃げなきゃ!」
スーツ姿の標的と思われるツナヨシらしき少年はすぐにその場から離れようとするが、立ち上がる時ふいにアフロディと目が合う。
「うわぁぁ。関係ない人を巻き込んじゃったよぉー! ど、ど、どうしよう!」
慌てながら少し悩んだ後、何かしらアフロディに迷惑がかかると判断したのか、ツナヨシはアフロディの腕を掴んで引っ張った。
「ご、ごめん! 事情は後で話すから、ちょっとついてきてくれる!? ほんっとにごめん!」
アフロディはぼーっと座りこんだままだったが、しばらくしてツナヨシに引かれるまま走って行った。
「おいおい! あの長髪くんともやしみたいな奴でどっか行っちまったぞ!」
「……どうする? グラン」
「カラオケは中止だね。僕はあの二人を追う。ちょっとの間、あの五人組を足止めしてくれると助かるよ」
「はっ! マフィア相手にサッカーボールで邪魔しようってか! おもしれえ! 邪魔するどころか、紅蓮の炎で焼き尽くしてやるぜ!」
「ふっ。任せておけ。凍てつく闇の冷たさを教えてや」
「じゃっ父さんには適当になんか言っておいて!」
ガゼルが言い終わらないうちに、グランは走り去って行った。
「さっさと任務を終わらせてカラオケに行くぞ、晴矢。BUMPの新曲を披露してやる」
「んなこたぁ言われなくてもわかってんだよ! 俺だって今日こそB'zメドレーで九十点取ってやるぜ! 風介こそマフィア相手にビビんなよぉ?」
- Re: イナズマイレブン×REBORN! 神の復活 ( No.2 )
- 日時: 2012/01/15 14:39
- 名前: しろお (ID: xnzmqlIT)
「ここまで来れば……」
ツナヨシは息を荒げて、肩を上下させる。人のいない路地裏に、二人は入り込んだ。
綺麗な指輪がツナヨシの指にはまっている。アフロディが落ちくぼんだ目でその輝きを眺めていると、ツナヨシはアフロディの視線に気づいた。
「ああ、これ? 綺麗な指輪だよね……。あ! そうだ! ごめん! こんなことに巻き込んじゃって……本当にごめん!」
ツナヨシはぺこぺこと頭を何度も下げる。この気弱そうな少年が、なぜマフィアに追われているのか。
「ってうわあ! 手から血が出てる!? もしかして、俺とぶつかった時、—————」
ツナヨシはあの時の出来事を頭で再生する。
アフロディが尻もちをついたとき、アフロディの手は地面に落ちていたガラスの破片を押さえていた。その時についた傷だろう。親指の付け根の部分がぱっくり切れており、アフロディの右手から血がぽたぽたとしたたっている。
「うわあー! 最悪だー! ご、ごめん。あ! そうだ! 俺の家まで来れば、ケガの手当てできるかも! それにここより安全だし……そうしよう! すぐそこだから、おいでよ! お詫びもちゃんとしたいし、ね!?」
「……僕は……。……新世界の………………神になる……」
「え!? どうしたの!? ぐ、具合が悪いのかな……もしかして菌が入っちゃったから……!?」
アフロディの様子がおかしいのはツナヨシのせいではないが、ツナヨシは責任を感じてパニックに陥る。
「十代目ぇ!!」
煙草を加えた少年が叫びながらツナヨシとアフロディに走って向かってくる。銀髪の髪を真ん中で分けており、かなりにらみを利かせた目つきをしている。
「あ、獄寺くん! 助かったぁ……」
「何かお困りですか!?」
「うん、ちょっと、ケガの手当てをしたくて……」
「ああ、任せておいてください! こんなケガ根性焼きで……」
獄寺は加えていた煙草を手にとり、アフロディの白い手に煙草を押し付けようとした。ツナヨシが「ちょっとちょっと!(やっぱこの人こえぇー!」と言いながらそれを止める。
「そんなことしたら痛いって!」
「え? そうっすけど、俺、よくケガしたらこれで血を止めてましたよ」
「こ、怖ー。ところで、なんで獄寺くんがここに?」
「あーいや。それはですね。決して! 決して俺が十代目を日頃から陰で見守っているって訳じゃないんすよ!」
「え? ああ、うん……。え?」
「ほら、この女の血が、道に目印みたいに落ちちゃってるじゃないですか。なんか、十代目の命が危ないって、あなたの右腕であるこの俺の勘が当たったんすよ! こういうのって敵から逃げる時は致命的になるっすから、これからは気をつけた方がいいっすよ。でも心配しなくて大丈夫っす! 途中、フェイクとしてトマトジュースを使って違う道に敵をおびきだせるようにしといたっすから!」
「違う道? どこにおびきだそうとしてるの?」
「おい……ぼ……は女じゃ……な……」
アフロディは何かを言ったが、声が小さくて獄寺とツナヨシの耳には入らず、二人は会話を続けた。
「山本ん家っす」
にかっと獄寺は笑う。満面の笑みだ。
「山本の家!? 何やってんだよ獄寺くん!?」
「あーいや。別に山本の野郎を右腕争奪戦から外そうと考えてる訳じゃないっすよ全然! 全然そんなのこれっぽっちも考えてませんから! ま! あいつのことだからどうにかなりますよー」
「ま、まあそうだね。しょうがない、一旦家に戻るよ。獄寺くん、トマトジュースでフェイクしておいてくれる?」
「任せておいてください! 全部山本のところに繋げておきますから!」
「え、うん……。は、はは。じゃあ、よろしく」
ツナヨシはアフロディを連れて路地裏を出て行った。
「おい。そこにいるんだろ? 出てこいよ」
「よく分かったね。君、何者?」
いつのまに隠れたのか、ゴミ置き場の山積みになったゴミの中からばっとグランが現れた。
「人より聴覚は優れててな。てめえ、どこのバックがついてやがるんだ? 吐いて楽になった方がいいぜ。十代目は、人を殺すことは望んじゃいねえんでな。穏便に済まそうじゃねえか」
「別に……。俺はどこのファミリーだとかそういうんじゃないよ。あの長髪の子の知り合いなんだ。あのツナヨシとかいう男の子があの子のことを急に連れてっちゃってね」
「ふーっ。……なんかおめえよぉ、喋り方が骸みてえだな? なんかまた悪だくみして、憑依してんじゃねえのかぁ?」
「骸? 誰それ」
「ああん? 骸ってのは、変態エロサイコ電波人間鬼畜外道野郎二号機(改)のことだ。そうか、人違いだったか……。ん? ……お前……。肌の色悪くねえか? 具合でも悪いのか?」
「ううん、大丈夫だよ。生まれつきなんだ。俺、基山ヒロト。よかったら、手伝おうか? それに俺、ツナヨシ君の家の場所、知らなくて。案内してほしいんだ」
「だったら、さっき十代目についていきゃぁよかったじゃねえか」
「だって……。僕まで怖い人達に巻き込まれるのは、嫌だから」
「おお、まあ確かにそうだな。じゃ、構わねえぜ! 俺は獄寺隼人。見たところお前も中坊だな。お前も吸うか?」
獄寺は煙草を一本勧める。「いや、いいよ。僕サッカー部だから」と基山は苦笑いを浮かべて断った。
「へえ。サッカーやってんのか。うちの中学は弱いけどよ、なんかあれだな、雷門中とかいうのが優勝したんだろ? 俺、昔イタリアにいたことあんだけどよ。けっこうサッカー熱いんだ、あそこは。俺の知り合いのサッカー好きにフィディオ・アルデナってやつがいるんだけどさ、あいつめちゃくちゃサッカー上手いんだぜ。イタリアの白い流星って呼ばれてんだそいつ。実は、その通り名を考えたの、俺なんだぜ! お前知ってるか? フィディオ・アルデナ」
「いや……。聞いたことないなぁ。僕、あんまりニュースとか見なくて。姉に禁止されてるんだ。悪い影響が出る、ってさ」
「お前も姉がいんのか。あの存在にはお互い苦労するよなー」
「ふふっ。僕達気が合うね」
「へっ、そうだな! じゃ、ちゃっちゃと終わらせんぞっと!」
- Re: イナズマイレブン×REBORN! 神の復活 ( No.3 )
- 日時: 2011/12/02 14:09
- 名前: しろお (ID: eR9v1L6x)
「まぁ、こんなもんでいいだろ」
「トマトジュースも、もう無いしね。ねぇ獄寺くん、これ、山本くんって人の家に繋がってるんだっけ?」
「あ? そうだけど?」
「マフィアと対峙しても平気だなんて、そんな人がいるの? それとも獄寺くんは、その山本くんに何か恨みがあるの?」
基山(もといグラン)がこういうのは、エイリア学園に、使える人材を入れておきたいからである。あわよくば、その山本とやらをひきこまんとしているのだろう。
「ああ……。俺は、あいつとはボンゴレ十代目の右腕を争う仲だからよ、そんなに山本の奴とつるんだことはねぇが……。言いたかねぇけど、あいつはなかなかすげぇ奴だぜ。ああいうのを、天賦の才を持つ奴っつーんだろうな。野球がうめえって聞いたぜ」
「ふーん。ちょっと、会ってみたいなぁ」
「お、行ってみるか? あいつの屍を見に」
「え!? 死んでるの!?」
「さぁなー。ま、俺が見たところ、あのマフィアの連中は大したことねえよ。山本なら、あんな奴ら瞬殺に決まってらぁ」
「獄寺君、マフィアを見たの?」
「ああ。俺ぁいつも十代目の傍にいるんだ。十代目も、俺のことうっとうしいって思ってるだろうし、他の奴らからストーカーだとかいわれることもあるけどよ、それでも俺は大事な人のためにはなんでもするって決めてんだ」
「ストーカーって言われても、か……。クールな考え方だね! 僕も、気になる人ができたらその人を陰から守りたいな!」
「ああ……。じゃ、行ってみるか」
二人がいた場所のすぐ近くに、山本の家はあった。
「うぃーっす! 生きてるかー?」
「おっ! よぉ獄寺。珍しいな、お前が俺ん家来るなんて。それと……初めまして、か? 今ちょっとお客さんきてるから、どっか適当に座ってくれないか? 今親父が出かけてていないから、手が離せないんだ」
背が高く、筋肉のつきがよい。見るからに運動が得意そうな少年だった。優しげな顔をしているが、きりっとした目元にはやはりスポーツ少年の輝きがある。黒く短い髪を、ワックスでつんつんに立たせている。
三人の客が座って寿司を食べている。円形のテーブルの中で、山本は寿司を握っている。
一人は右目に眼帯をしている髪が長い少女で、一人は髪の毛が以上にぼさぼさしてる少年。もう一人は、モヒカン頭の少年だ。髪の毛ぼさぼさの少年は獄寺並みに背が高いが、他の二人はヒロトと同じくらいだろう。
こんな少年少女達が寿司屋にいるとは、いい時代になったな、と基山は思った。
「ちっ。生きてやがったのかよ。座って、茶でも飲んでようぜ」
「は、はは……。自分の家みたいだね、獄寺くん」
獄寺と基山はテーブルに座る。
山本はさっと湯のみに入った茶を二人に差し出し、獄寺は遠慮なくがぶがぶと飲む。
あのモヒカン……。どこかで見たことがあるな。基山はそう思っていた。しかしどこで見たのか、思い出せない。
「おい、不動とか言ったな。本当にその石を使えば、強くなれるんだろうな?」
髪の毛ぼさぼさの少年がモヒカンに言う。
「何回も言わせるなよ源田クン。ゴーグルマントの鬼道が帝国を抜けたのはお前ら二人が弱いからだ。この石を使えば、あのエビフライ頭の鬼道クンにお前らの本当の力を見せてやれる。おい、佐久間、醤油取ってくれよ」
眼帯ロングヘアーの少年佐久間は、不動の言葉を無視してうにを頬張っている。
「おい、佐久間次郎クン。聞こえてんの?」
「鬼道さんの悪口を言うような奴に、俺は従わないんだよ」
「佐久間の言うとおりだ」
「佐久間クン、源田クン……。俺は別にいいんだぜ? お前らの元に鬼道が戻ってこなくてもよ」
不動がそう言うと、佐久間と源田の表情は明らかに動揺した様子を見せる。
「俺は知ってるぜ? お前ら、鬼道が帝国から雷門に転校した後も鬼道に帰ってきてほしくて『鬼道さんを取り戻す会』とかいうのを作ったんだってな。それほど鬼道に入れ込んでるんだろ? お前らが強くなれば、あいつは帰ってくるに違いない。もうお前らを裏切ることもない。」
佐久間と源田は険しい表情で、何か苦しみを堪えているようであった。
「強さを見せて、鬼道クンを取り戻すためにさぁ、佐久間と源田ァ、お前らは俺らに従えばいいんだよ。……ところでさ、山本武クンだよな、あんた!」
いきなり名前を呼ばれて、山本はきょとんとしている。なんで名前を知ってるんだ、という言葉が間違いなく次に出る顔だった。
- Re: イナズマイレブン×REBORN! 神の復活 ( No.4 )
- 日時: 2011/12/02 14:09
- 名前: しろお (ID: eR9v1L6x)
「な、なんで俺の名前知ってんだ? ひょっとして、俺たち、会ったことあるっけ? わりぃ、俺物覚え悪くてさー」
山本はへらへら笑う。
「俺、不動明王っていうんだけどさぁ。あんた、サッカーやってみる気ある?」
「サッカー? ないぜ」
「即答かよ……。やっぱ、野球一筋みたいな感じ?」
「野球は今はやってねえよ。ちょっとケガしちゃってんだ。高校からは寿司の修行しなくちゃいけねえし、もうスポーツはやんねーぜ? 悪いな。お客さん、見たところ俺とあんまり歳変わんないみたいだけど、お金大丈夫なのか?」
「心配すんなって。そうか。ま、気が向いたらここに電話してくれ。あんた見るからに運動神経良さそうだから、今からサッカーやってもプロになれるぜ?」
「おいおいモヒカン、そいつは野球のために命捨てるような馬鹿だぜ? ただでさえ、寿司職人の夢と野球選手の夢っつー人生の選択を今迫られてんだ。スカウトはやめてくれ」
そう言ったのは獄寺だった。なんだかんだ言っても、ファミリーには優しいようだ。
残念だ、と不動は言って特注のバナナ寿司を口に放り込む。
「へへっ、そういうことだ、不動。それに今、マフィアごっこが大変でさ。なあ、獄寺、なんつったっけ」
「マフィアごっこじゃねえってって何度も言ってるだろうが! リング争奪戦っつーめちゃくちゃ大変な時期なんだよ!」
「ああそうだったな! 悪い悪い」
——————獄寺君、本当は山本君と仲が良いんだね。きっとここにマフィアを呼び出したりするのも、山本君の注意力をあげて本気にさせるためなんだろうな。
と基山は一人心の中で呟く。
「獄寺君、マフィアなの?」
基山は驚いたふりをして獄寺に訪ねる。実際のところ、基山にとってマフィアは別に恐怖の対象ではないようだ。
「ん? 言ってなかったか? 俺はボンゴレファミリー十代目の沢田綱吉の右腕。通称スモーキン・ボム。またはハリケーン・ボムだ」
「へぇー! なんだかかっこいいなぁー。さっきのツナヨシって人が、そのボンゴレファミリーで一番偉いんだね?」
「まぁそうなんだが、微妙に違うんだ。本当はまだ完全に十代目になった訳じゃなくて、十代目の候補の一人なんだ。んでもって、近々本物の十代目を決める争奪戦があるんだよなー」
「怖いなぁ……」
「今は俺達、それに向けての修行中の身なんだが、今日は珍しく休憩をもらえたんだ」
獄寺はそう言ってポケットから煙草を取り出し、火をつけた。
しかしすぐにふっと消えた。獄寺の後ろの壁に包丁が突き刺さる。
「獄寺。ここは禁煙だぜ? つーかあんま煙草は体に良くねーぞ?」
あまりの早業に基山でさえも反応できなかった。山本が包丁を投げ、煙草の火のついた部分だけを見事に切断させたのだ。
「なんだ? やんのかコラ? ここで右腕の座を決めてもいいんだぜおい!?」
「まあまあ、獄寺君、落ち着いて。ね?」
基山も、山本武が欲しくなっていた。とてつもない才能を秘めている、基山はそう感じた。彼はエイリア学園というところでサッカー部に所属しており、不動と同じくスカウトしたくなったのだ。
「なぁ、山本さんよお。ここらへんで、あんたと同じくらい運動ができる奴がいたら教えてほしいんだが」
不動はお腹をさすりながら尋ねる。充分満腹のようだ。
「お? そうだなあ。ボクシング部の笹川先輩とかか?」
「ボクシング……。そいつがサッカーをやる可能性は?」
「ははっ。あの先輩風に言うなら、『そんな可能性は極限にゼロに近い!』、だぜ? 俺より難しいだろうな、間違いなく」
「極限? 天然は苦手なんだよなー。難しいなら、いいや。帰宅部とかによさそうな奴はいねえの?」
「帰宅部でもいるぜ! 雲雀恭弥ってやつと、ツナだな。だけどスカウトなら雲雀はやめておいた方がいいぜ。おすすめはツナだ」
「ツナ? そんなふざけた名前の奴がいるのか。まあ、使えそうならスカウトしてみるか」
「おい! モヒカンに山本ふざけてんのか! 十代目は今リング争奪戦で忙しいんだ! サッカーなんてやってられっかよ!」
「あー。そうだったな。でも、あいつ友達すくねえし、会ってみるくらいならいいんじゃねえか? どうせ今日は久々のフリーなんだしよ!」
「獄寺君、俺も沢田君に会ってみたいな。どうせ沢田君の家には後で行くつもりだったんでしょ? 行こうよ!」
「なぁっ!? はぁ……。……だーっ!! わーったよ、だったらさっさと仕度しろや! ったく、本当に十代目はトラブルを『巻き込む』体質だよなー。右腕の俺も先が思いやられるぜ……」
獄寺は悪態をついた後立ち上がり、店の戸をがらっと開けて外に出て行った。基山もそれについていく。
「ごちそうさん。釣りはいらねえぜ。佐久間も源田も、おもしろそうだから行ってみようぜ」
「おう、毎度あり! 俺も行くぜ!」
ユニークなキャラクター達が集まることでそこにストーリーが生まれる。
宇宙人。自称神。十代目。右腕。寿司屋の息子。モヒカン。眼帯。ぼさ髪。
彼らがめぐり合ったとき。それはエイリア学園と戦うイナズマキャラバンが創設された時。
稲妻町の隣町、並盛町で起きる出来事。キャラバン創設時、吹雪はまだ北海道にいる。全く関係の無い時間と場所で、生まれたスト—リーは動き出す。
誰かが復活するために。
act.2に続く
かもしれない。
- Re: イナズマイレブン×REBORN! 神の復活 ( No.5 )
- 日時: 2011/12/08 18:29
- 名前: しろお (ID: zGeTWfyi)
act.2 家庭教師
獄寺達が沢田家に向かうなか、当の沢田家では————。
「まあ! いらっしゃい! ツナくん、どうしたちゃったのよー。最近、京子ちゃんといいハルちゃんといい、モテモテじゃないの!」
「なっ……。母さん、これはそ、その、そういうのじゃないから!」
ツナは顔を真っ赤にして母親に言う。
「ちょっとケガさせちゃったから、手当できないかなって思って……」
「そうなの!? まあ大変! 今救急箱持ってくるから!」
ツナの母はあわただしく台所に向かったが、テーブルの椅子に足をぶつけて、ずってんと転んだ。
「大丈夫!? もう……母さん、ドジなんだから、あわてないでよ……」
「実のママンに向かってドジとは、偉くなったもんだな、ツナ。久々の休みだからって調子に乗ってるんじゃねーか?」
「あ、リボーン!」
リボーン? とアフロディは不審に思いきょろきょろと家の中を見渡すが、人の影はない。
(どこにいるんだろう)
「俺はここだぞロン毛」
声がしたのはアフロディの足元からだった。視線を下に落とすと、黒いスーツとハット帽を着た赤ん坊がにっと笑ってアフロディと目が合った。ハット帽のつばの上にちょこんと、緑色のカメレオンが乗っている。
驚くべきことにその赤ん坊は、体型はどう見ても生まれたてのようなのに、悠然と二本足で立っている。ハットの下からのぞいている髪の毛の量も、成人となんら変わらない。
「ちゃおっす」
しかも喋る。どういう反応をすればいいのか、アフロディは迷うが、とりあえず挨拶を返そうと思って、「ど、どうも」と口ごもりながら頭を下げた。
「俺はこのダメツナの家庭教師やってる、かてきょーヒットマンリボーンだ。うちのツナが迷惑かけたみたいで、悪かったな」
アフロディは言葉に詰まった。何から質問すればいいのかわからなかった。
「なんで……。こんな赤ん坊が、流暢に喋れるんだい?」
そして、とりあえずツナに助け舟を求めた。
「うーん。なんて説明すればいいのかな……。俺の周りの奴らはあんまりそのこと気にしなかったから、いざ説明しろと言われるとちょっとなぁ」
「説明しようとしなくていいぞ。もう自己紹介は終わったんだからな。おいツナ、お前、自分の自己紹介はしたのか?」
「あっ。まだだ」
「さっさとしろ」
「ん……ごほん! 俺は、えっと、沢田綱吉っていうんだけど……歳は十四歳で、好きなことはゲーム。君の名前、聞かせてもらってなかったよね。い、いいかな、訊いても」
「構わないよ……。僕は、亜風炉照美(あふろてるみ)……。僕も、十四歳だよ。みんなはアフロディって呼んでる」
「アフロディ……。ギリシャ神話に出てくる、美の神アフロディーテをもじったのか。確かに、アフロディも美人だからな」
「珍しいな。リボーンが美人って言葉使うなんて」
「ん? ツナ、お前、気づいてないのか?」
「え? 何をだよ」
「……よく勘違いされるんだけど、僕は男だよ」
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