二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 【オリキュア】メモリアルプリキュア!
- 日時: 2017/08/01 23:00
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
初めましてかこんにちは!愛です!
本日からはメモリアルプリキュアというオリキュア小説を書きたいと思っています。
基本テンションとノリに任せて書くのでグダグダすると思いますが、楽しんでいただけると幸いです。
それでは、よろしくお願いします。
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- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.52 )
- 日時: 2017/10/02 20:35
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第9話「闇に染まった時見町!プリキュア新たなる力!」3
「今を輝く、一つの光! キュアアデッソ!」
「過去を束ねる、一つの夢! キュアパースト!」
「「取り戻せ! 愛のメモリー!」」
「「メモリアルプリキュア!」」
そう叫ぶと同時に、亀裂が全て破裂し、中から大量のワスレールが出てくる。
「リコルン! しっかり掴まってて!」
「了解リコ!」
リコルンがそう言って私の腕にしがみつくのと同時に、私とパーストは手を繋ぎ、後ろに跳んだ。
次々とワスレールが着地していくのを眺めながら、私はパーストに視線を向けた。
「パースト! どうする!?」
「どうするって……一匹ずつ浄化するのは時間掛かるし……」
そう言って顔をしかめるパースト。
一匹ずつ浄化なんてしていたら、プリキュアが何人いても足りない。
せめてこの状況の元凶を見つけなければ。
「一体、何が原因なの……!?」
そう言いつつ、私は顔を上げた。
すると、ちょうど視界に入った時計塔の頂上に、ワスレールが出てくる時に現れる、巨大な時計の針があるのが見えた。
「まさか、あれが……」
「アデッソッ!」
パーストに名前を呼ばれ、私は我に返る。
見ると、目の前にワスレールが迫って来ていた。
すぐにパーストに腕を引かれ、その場を離れる。
しかし、どこに行っても、町中にワスレールが溢れていて、逃げ道なんて無いように思える。
「くっそぉ、次から次へと……!」
「ねぇ、パースト!」
「何!?」
「もしかしたらの話なんだけど……!」
そこまで行った時、横の通りからワスレールが二体現れた。
咄嗟に、私は一体に回し蹴りを、パーストがもう一体にエルボーを放ち、目の前から排除する。
走りながら、私は続ける。
「これ、この時見町が記憶世界と同化しているのかも!」
「は!?」
「私にもよく分からないけど、多分……少なくともこの時見町が、記憶世界と同じシステムになってるんだよ」
そう言った時、目の前に三体のワスレールが現れる。
走りとジャンプでなんとか躱しながら、パーストは口を開く。
「じゃあどうすんの!? 全部のワスレールを倒すなんて無理だよ!」
「私だってそんなこと分かってる! だから、あれ……」
そう言いながら私が指さした方向に、パーストは視線を向ける。
時計塔の頂上にある、巨大な時計の針。
「あれ、記憶世界にあるやつじゃ……」
「うん。だから、あれをなんとかすることができれば、きっと……」
私の言葉に、パーストは周りに蠢くワスレールと時計塔の頂上にある針を交互に見る。
しばらくそれを繰り返してから、コクッと頷いた。
「分かった……でも、どうする?」
「とにかく、時計塔の頂上まで行ってみよう。そうしたら、何か分かるハズ」
私の言葉に、パーストは「そうだね」と言って頷いた。
そして二人で繋いでいる手を握り合う力を強くした。
「アデッソ……」
その時、私の腕に掴まっているリコルンが不安そうに声を発した。
私はそれに微笑んで、リコルンの頭を撫でた。
「大丈夫だよ、リコルン」
「……時見町までメモリー王国みたいにしたらダメリコ」
その言葉に、私は頷いた。
そして、パーストに視線を向けた。
「それじゃあ行くよ……パースト!」
「うん!」
その掛け声と共に、私達は一歩踏み出した。
- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.53 )
- 日時: 2017/10/03 17:46
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第9話「闇に染まった時見町!プリキュア新たなる力!」4
ワスレールを躱し、時計塔の根元まで行くと、私達は後ろを振り向いた。
どうやらワスレール軍団は撒いたようで、かなり遠くに見えていた。
「あとは頂上に上るだけ……でも……」
パーストの言葉に、私も時計塔を見上げる。
かなりの高さがある。
少なくとも、外側の壁からは無理。
そうなると消去法で、内側の階段を上がるしかない。
「パースト」
「分かってる」
私の言葉にパーストはそう答える。
それから二人で時計塔の中に入り、階段を上っていく。
プリキュアの力で身体能力は強化されているため、二段飛ばしでも全速力と同じくらいの速度で上がることが出来る。
「そういえば、アデッソは時計塔に来るのは、初めてだっけ?」
「あ、いや……星華ちゃんと来たことある」
「……そう」
星華ちゃんの名前を出したからか、曖昧な表情で目を伏せる。
何か弁解しようと考えていると、すぐにパーストは笑みを浮かべ、顔を上げた。
「楽しかった?」
「……うん」
私が頷くと、パーストは笑って「それは良かった」と言った。
そこで、私はとあることに気付き、立ち止まった。
「あれ? どしたの?」
「いや……そういえば、私とパーストで来るのは初めてだなって」
「えっ……あっ」
パーストは私の言葉に、目を丸くして私を見た。
こんなことをしている場合ではないことは分かっている。
でも、つい言いたくなったんだ。
「この時計塔、時見町の名物なんでしょう?」
「う、うん……」
「初めては、勢いで星華ちゃんと来ちゃったけど……パーストとの初めては、もっとちゃんと来たかったなって」
私の言葉に、パーストはクスッと笑い、私の手を取る。
速足で階段を上りながら、彼女は口を開いた。
「じゃあ、さっさとこんなこと終わらせて、またいつか一緒に来ようよ!」
「え、でも……」
「今はパーストとアデッソとして、でしょ!? また今度……瑞樹と杏奈として、一緒に!」
瑞樹ちゃんの言葉に、私は頭の中でその言葉を反芻させる。
しばらくして、その言葉の意味を理解し、私は咄嗟に頷いた。
「うんっ! その時は、こんな風に慌ただしくない状態で!」
そこまで言った時、階段が途切れる。
しかし、私達はもう、迷わなかった。
すぐに頭上にある歯車などに手を掛けては、上に行く。
「そうだね! その時は、こんな白黒に染まった世界じゃなくて、普通に綺麗な時見町を見ようよ!」
「うんっ! 星華ちゃんの時は、のんびり景色見れなかったから……初めてここからゆっくり時見町を見る相手は、瑞樹ちゃんが良い!」
「私も! 杏奈の初めての相手を、たくさん私で埋めたい!」
そこまで行った時、天井が見える。
屋根の頂点に見える、小さな天窓。
確か、設計ミスで出来た窓だと聞く。
今はそれが……ありがたい!
「「せーのっ!」」
私達は同時に叫び、天窓を開けて飛び出した。
- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.54 )
- 日時: 2017/10/05 22:24
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第9話「闇に染まった時見町!プリキュア新たなる力!」5
屋根の上に出ると、目前に時見町の景色が見えた。
しかし、建物や動植物など、全てが白黒に染まっていて、お世辞にも良い景色とは言えなかった。
そして、町中を蠢き、破壊活動を行うワスレール達。
奴等が何かを壊す度に、空間にヒビが入って、黒い光が宙に浮かぶ。
「あれは……」
「……メモリアリコ」
リコルンの言葉に、私達は息を呑む。
宙を舞う黒い光の粉が、メモリアなのか……。
そういえば、記憶世界の戦いでも、たまに似たようなものを見る。
普段の戦いでも、少量のメモリアは奪われている、ということか。
「……ふむ。あのワスレール達をかいくぐり、尚且つこの現象の正体に気付き、ここまで来るとは……」
その時、背後からそんな声が聴こえ、私達は振り向いた。
見ると、そこには観察するようにこちらを見る男の姿があった。
燕尾服に、黄色と黒の髪……紫音さんに負けないくらい、整った顔。
年齢も……紫音さんと同じくらいかな?
「貴方は……!?」
「フフッ。何かを知るのは、勝者の特権ですよ?」
男の言葉に、私達は唇を噛みしめた。
その時、彼の背後に、時計塔の上に見えた巨大な針の一部が見えた。
もしあの時計がワスレールを出しているのなら……重なっている針をどうにかずらせば……!
「パースト……!」
「おっと。させると思いますか?」
男はそう言って間に立つ。
その時、私の腕からリコルンが離れ、男に向かって飛んでいく。
やがて、男の顔に貼り付いた。
「リコルン!」
「この、小動物め!」
「アデッソ! パースト! 今の内に!」
リコルンの言葉に、私達はすぐに屋根を駆けあがっていく。
同時に飛びつき、それぞれ、時計の長針と短針にしがみついた。
「ど、どうする!? 動かしてもビクともしないよ!?」
「諦めたらダメだよ! なんとかするんだ……!」
私の言葉に、パーストは驚いたように目を見開いた。
それを見ながら、私は長針の方を抱きしめる力を強くした。
「絶対に、諦めない……! 瑞樹ちゃんと一緒にまた、この時計塔に来るために!」
そう言った時、体から僅かに力が抜けるような感触がした。
同時に、長針が微かに光った。
「ッ……! そうだね! いつか、杏をこの時計塔に案内するために!」
パーストがそう言った時、短針が僅かに強く光った。
私達は顔を見合わせ頷き合い、それぞれが抱えている針に力を込めた。
すると、どんどん光が強くなって、目の前が真っ白になる。
「これは……!」
「今一番ッ……輝けぇぇぇぇぇぇぇッ!」
そう叫んだ瞬間、一際強い光が瞬いた。
直後、その光が弾け、時計塔を中心にするように時見町は色を取り戻していく。
すると、目の前に先ほどの時計の長針を小さくしたようなものが舞っていたので、私は咄嗟にそれを握り締めた。
同じようにパーストも何かを握り締めるのを確認しながら、私達は時計塔の屋根に体を打ち付けた。
「ぷはッ……なに!?」
ちょうど顔に貼り付いていたリコルンを剥ぎ取った男は、時計の針が消えたのを見て、目を見開いた。
私はすぐに立ち上がり、「リコルン!」とリコルンを呼んだ。
すると、リコルンは「アデッソ〜!」と叫んで、私の胸に飛び込んでくるので、しっかり抱きとめる。
「私達の勝ちだね! さぁ、名前を名乗ってもらおうか!」
同じように立ち上がったパーストは、そう言って人差し指を男に向かって突き付けた。
すると、男は悔しそうに顔をしかめ、自身の前髪をクシャッと握り締めた。
「……我が名はセフト。時を統べりし王、ボウキャーク様の下僕」
「ボウキャーク……?」
私がそう聞いてみても、セフトはそれ以上何も言わずに、消えて行った。
すると、体から力が抜けるような感覚がして、私達は屋根の上にへたり込んだ。
「……あ、見て。アデッソ」
パーストは、笑顔でそう言って前方を指さした。
彼女の指さす方向を見ると、そこには、大きく広がる時見町があった。
「うわぁ……!」
「屋根の上なんて、私達にしか見れない特等席だね」
悪戯っぽく笑いながら言うパーストに、私は「そうだね」と返す。
すると、だんだん勝利の喜びやら何やらが湧き上がってきて、気付いたら、私達は同時に吹き出した。
笑い合っていると、クゥゥゥと情けない音が聴こえた。
「お腹すいたリコ……」
リコルンの言葉が聴こえると同時に、私とパーストのお腹も同じように鳴った。
咄嗟にお腹を押さえると、パーストはフフッと笑った。
「帰ろっか。ちょうど、ご飯の時間になりそうだし」
「ん……そうだね」
私の返事にパーストは立ち上がり、手を差し出してきた。
その手を右手で握り、私は立ち上がった。
左手には、しっかりリコルンを抱いて。
「それじゃあ、行こうか」
「帰りは一気に近道して行こうね」
パーストの言葉に頷いて、私達は同時に時計塔から飛び降りた。
- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.55 )
- 日時: 2017/10/03 23:01
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第9話「闇に染まった時見町!プリキュア新たなる力!」6
外で変身を解き、私達は瑞樹ちゃんの家に戻った。
すると、紅茶の良い匂いが漂って来た。
「おかえり。どうしたの? 気付いたらいないからビックリしたよ」
そう言ってリビングから顔を出す紫音さん。
彼の言葉に、私と瑞樹ちゃんは顔を見合わせた。
「まぁ、ちょっと野暮用」
瑞樹ちゃんがそう言ってみせると、紫音さんは首を傾げた。
とはいえ、それ以上は言及せずに、すぐに私達をリビングに案内してくれた。
中に入ると、そこには、ホカホカと湯気を立てる紅茶と、美味しそうなドーナツが置いてあった。
「このドーナツは?」
「あぁ。元々二人にお土産で買って来ていたものだよ。さ、紅茶が冷めない内にどうぞ」
紫音さんの言葉に、私達はソファに座った。
ドーナツを手に取りながら、瑞樹ちゃんはニマニマと笑った。
「兄貴気が利くじゃん。サンキュー」
「ありがとうございます。ご馳走になります」
私の言葉に、紫音さんは「いえいえ」と笑った。
それから私達は同じドーナツを顔の前に持って来て、「いただきまーす!」と言って、齧り付いた。
−−−
<セフト視点>
プリキュア……想像以上の強さだ。
今回のワスレールを大量の出現させる作戦は、正直成功すると思っていた。
実際、第一目的である、メモリアの大量回収は成功した。
しかし……プリキュアを倒すという第二目的は、果たせなかった。
俺は目を瞑り、プリキュアのメモリアを辿る。
今日の接触で、奴等のメモリアにはマーカー済みだ。
少なくとも、こちらから奴等の動向を探ることは可能。
辿って……辿っていくと……そこは、一軒の民家だった。
その中で、二人は菓子を頬張り、紅茶を嗜んでいた。
俗に言うティータイムというものだろうか。
ぼんやりとそれを観察していた時、気になるものを見つけ、俺はそれに集中した。
それは……一人の青年だった。
見た目的な年齢なら、恐らく俺と同い年くらいだから……高校二年生か?
コイツはなぜ、プリキュアと一緒に……。
「兄貴〜。砂糖無い?」
キュアパーストの言葉に、俺は僅かに息を呑んだ。
兄貴……つまり、この男はキュアパーストの兄か?
ふむ……身内を調べれば、少しはプリキュアのことを調べられるかもしれない。
「面白そうだな……」
そう呟き、俺は一人ほくそ笑んだ。
- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.56 )
- 日時: 2017/10/04 20:25
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第10話「転校生は危険な香り?セフトと紫音の急接近!」1
<杏奈視点>
「結局さぁ、この針は一体何なんだろうね」
月曜日の朝。学校に行く道を歩きながら、瑞樹ちゃんはそう言った。
彼女の言葉に、私は首を傾げながら「さぁ?」と言った。
ちなみに、瑞樹ちゃんの針というのは……土曜日にセフトと名乗る男が出した針を壊した際に出て来た、小さな長針と短針のことだ。
瑞樹ちゃんの方の短針は空色をしていて、太陽の光を反射してキラキラ光っている。
私の持つ長針は桃色で、花の色にどこか似ている気がした。
「リコルンにも分からないみたいだし……よく分かんないね」
「そだねー……ま、気長に行くしかないか」
そう言って瑞樹ちゃんは空色の短針を胸ポケットにしまい、軽く伸びをした。
しかし、月曜日というものは、なんだか憂鬱だ。
きっとこの憂鬱感というものは、全人類共通のものなのだと思う。
そうぼんやり考えていた時、角から出て来た人影にぶつかってしまった。
「わッ……」
少しよろめくと、瑞樹ちゃんに支えられた。
なんとか姿勢を正し、顔を上げると、そこには綺麗な金髪の男の人が立っていた。
「ごめん。前をよく見ていなくて……怪我はない?」
そう言って顔を覗き込んでくる。
その顔立ちはすごく整っていて、しばらく見惚れてしまいそうになる。
「あ、いえ……大丈夫です」
「本当? 良かった」
そう言って微笑むだけで、かなり絵になる。
実際、私達の横を通り過ぎて行く人達は、皆彼に見惚れている様子だったし。
私もついしばらく見惚れていると、瑞樹ちゃんがわざとらしく咳をするので、慌てて姿勢を正した。
「いえ、私もちゃんと前を見ていなかったので……気にしないでください」
「そう……分かった。それじゃあ、俺はこの辺で」
また縁があったら会おう、と言いながら、彼は歩いて行く。
その後ろ姿を見ていると、瑞樹ちゃんは唐突に「あっ」と声を漏らした。
「……? 瑞樹ちゃんどうしたの?」
「いや、あの制服、兄貴と同じ学校の人だなぁって」
「え、本当?」
私の言葉に、瑞樹ちゃんは頷いた。
そしてポリポリと頬を掻きながら続ける。
「兄貴の知り合いかなぁ?」
「どうだろうね〜」
そう暢気に会話しつつも、私達は学校に向かって歩き出した。
<紫音視点>
「よっ、紫音」
下駄箱の前に立ちスニーカーを脱いでいると、友人である太田 博人がそう挨拶をしてくる。
それに、僕は脱いだばかりのスニーカーを持ち上げながら、「おはよう、博人」と返した。
博人は俺の隣に立ち、同じように靴を脱ぎながら「そういえば」と口を開く。
「今日さ、転校生が来るらしいぜ」
「へぇ〜」
そう生返事をすると、博人が不機嫌そうな顔をした。
「へぇ〜……って、興味ねぇのかよ?」
「別に興味無いかなぁ。だって、ただ単純に、一人クラスメイトが増えるだけでしょ?」
僕の言葉に、博人は「つまんねーの」と返す。
と言っても、僕からしたら転校生如きで一喜一憂するのもどうかと思うけれど。
別に転校生だから友達になるってわけでもないし。
強いて言うなら、感じのいい人だと良いかな。
そう思いながら下駄箱の蓋? を開けると、中に封筒が一つ入っていた。
これは……。
「んあ? またラブレター?」
「またって……そんな頻繁には貰ってないでしょ」
そう言いながら封筒を取り出し、上靴という名目のスリッパを履いて、僕は息をつく。
綺麗な封筒。丁寧に封筒を留めているシールを剥がして便箋を取り出して見ると、そこには丸っこい文字の羅列があった。
一目見た時から好きでした。貴方のピアノの音に惚れました。か……。
名前を見ると、話したことのない女子生徒。
あぁ、これで……何度目になるんだろう。
顔や、名声だけで、上辺だけの告白をする人。
僕は何も言わずに封筒を鞄にしまう。
「誰だった? 可愛い子?」
「いや……話したことも無い子だから、分からないよ」
「ちぇー」
不満げに言う博人に苦笑しながら、僕は心の中で何度目かになるため息をついた。
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