二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 【オリキュア】メモリアルプリキュア!
- 日時: 2017/08/01 23:00
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
初めましてかこんにちは!愛です!
本日からはメモリアルプリキュアというオリキュア小説を書きたいと思っています。
基本テンションとノリに任せて書くのでグダグダすると思いますが、楽しんでいただけると幸いです。
それでは、よろしくお願いします。
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- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.47 )
- 日時: 2017/09/27 22:51
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第8話「月光に響くヤキモチピアノ?奏でろ友情のワルツ!」4
放課後になり、私はすぐに瑞樹ちゃんの元に向かった。
鞄の準備をして席を立とうとしている瑞樹ちゃんの腕を掴み、私は彼女を止める。
「わッ……あ、杏……?」
「瑞樹ちゃん。……一緒にやりたいことあるんだけど」
私の言葉に、瑞樹ちゃんは訝しむように首を傾げた。
彼女の反応に私は笑いつつ、彼女の手を引いた。
「わっ……ちょ、ちょっと……!」
「良いから良いから!」
そう言いながら私は彼女を連れて、廊下を歩いて行く。
やがて辿り着いたのは……学校の音楽室。
「ここは……」
「……私ね、ピアノ教えてほしいの」
私の言葉に、瑞樹ちゃんは目を見開く。
しかし、いざ音楽室の扉を開けてみようとすると、中から吹奏楽部の奏でる音楽が聴こえて来た。
私は慌てて手を引っ込め、瑞樹ちゃんに視線を向けた。
「み、瑞樹ちゃん……」
「……私の家にもピアノはあるけど?」
苦笑混じりに言う瑞樹ちゃんに、私は「お邪魔してもよろしいでしょうか……」と聞いてみた。
無意識に堅苦しい言葉になってしまったためか、瑞樹ちゃんはプハッと息を吐くように笑った。
「あははッ! 良いよ良いよ。前も来たし、私の家、人呼んだらいけないとか無いからさ」
瑞樹ちゃんの言葉に、私は安堵する。
それから生徒玄関で靴を履き替え、私達は瑞樹ちゃんの家に向かって歩き出した。
「ところで、なんで杏は突然ピアノを弾こうなんて考えたの?」
「えぇっと……」
彼女の言葉に、私は口ごもる。
そんな私に瑞樹ちゃんは笑う。
「あははッ……何、もしかして理由無いの?」
「え、いや……」
「ん〜?」
ヘラヘラと笑いながら顔を覗き込んでくる瑞樹ちゃん。
私から近づいただけで、上機嫌になり過ぎじゃないだろうか……。
……気持ちは分かる。
「えっと……だって瑞樹ちゃんが……」
正直に言おうとした時、窓の下に見えた影に私は口を噤む。
慌てて窓に駆け寄り見ると、そこでは、一人の男子生徒に手を翳す虫のような見た目の男がいるのが見えた。
よりによって、音楽室は三階だと言うのに……!
「あれ……ロブメモワールの!?」
瑞樹ちゃんの言葉に、私は頷く。
ここから素直に階段を降りても間に合わないし……どうすれば……!
そう思っていた時、瑞樹ちゃんが鞄を下ろし、腕にラブメモリーウォッチをセットし始める。
「み、瑞樹ちゃん……?」
「杏。鞄下ろして」
「え、うん……」
彼女の言葉に従って、私も鞄を下ろす。
その間に瑞樹ちゃんは窓を開け、そのちょうど下にある消火栓の上に乗る。
「瑞樹ちゃん……?」
私の問いかけに瑞樹ちゃんは答えない。
しかし、手招きするように手首をクイクイッとするので、仕方なく私は同じように消火栓の上に乗った。
すると、彼女は突然ブレザーの上着を脱ぎ、私と彼女の体が密着するように縛った。
「なッ……!?」
「動かないでね!」
瑞樹ちゃんはそう言うと私の体を抱きしめ消火栓を蹴り、窓の外に身を乗り出す。
空中に身を放り出され、私は叫ぶ。
「きゃああああああああああッ!」
「ッ……! でぇい!」
瑞樹ちゃんはそう言って、自分の背中が下に来るように身を捩る。
そしてさらに私のことを強く抱きしめ、重力に従って落下していく。
数瞬後、強い衝撃と共に、私と瑞樹ちゃんは車の上に落下した。
「っつぅ……思いのほか痛いな……」
「ちょ、瑞樹ちゃん大丈夫!?」
そう心配すると、瑞樹ちゃんは「大丈夫大丈夫」と言って笑い、立ち上がる。
それから地面に着地した時、ちょうど男子生徒が倒れるのが見えた。
「なッ……プリキュア、一体どこからッ!」
「さぁ、どこからでしょう!」
瑞樹ちゃんがそう言って殴りかかろうとするが、やはり変身前だからあっさりいなされる。
虫みたいな見た目の男は軽く舌打ちをすると、すぐに男子生徒の胸に広がる異世界に飛び込む。
すぐに閉じるが、私達もすぐにラブメモリーウォッチを掲げ異世界への入り口を開き、中に飛び込む。
やがて辿り着いたのは、校舎の中だった。
「学校……?」
「……あっ! あれ見て!」
瑞樹ちゃんの言葉に、私は顔を上げる。
見ると、そこには可愛らしい女生徒と、先程倒れた男子生徒が廊下の隅で向き合って立っているのが見えた。
「あ、あの……俺、ずっと前から貴方のことが好きです! 付き合って下さい!」
そう言って頭を下げ、手を差し出す。
彼の言葉に女生徒は頷き、その手を握る。
すると、そこで世界が白黒で染まり、全ての動きが止まる。
それと同時に、世界が裂けて、ワスレールが現れる。
「瑞樹ちゃん! 行くよ!」
「うん!」
私の言葉に瑞樹ちゃんは頷き、二人同時にラブメモリーウォッチを構えた。
そして、声を合わせ、叫んだ。
「「プリキュア! メモリアルコンバージョンッ!」」
- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.48 )
- 日時: 2017/09/29 21:11
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第8話「月光に響くヤキモチピアノ?奏でろ友情のワルツ!」5
「今を輝く、一つの光! キュアアデッソ!」
「過去を束ねる、一つの夢! キュアパースト!」
「「取り戻せ! 愛のメモリー!」」
「「メモリアルプリキュア!」」
名乗りを終えると、ワスレールが攻撃をしかけてくる。
私達はすぐに後ろに跳び、その攻撃を躱す。
すると床が抉れ、足元に下の階が見える。
「しまッ……三階だったのか!」
パーストはそう言うと同時に、床を蹴ってさらに後ろに跳ぶ。
私も続こうとするが、その時、目の前にワスレールが迫って来る。
「ッ……!」
驚いていると、ワスレールに体を蹴り飛ばされた。
後ろに吹き飛び、高速で世界が後ろに通り過ぎて行く。
「アデッソ!」
微かに、背中に柔らかいものが当たる感触がした。
それが何なのかを察するより前に、私達は壁に体をぶち当て、その中に転がり込んだ。
「いっつぅ……パースト!」
私はすぐに体を起こし、私を庇ってしまったパーストの体を起こす。
ボロボロになったパーストは、呻き声をあげながら、私を見つめた。
「良かった……杏が、無事で……」
「……瑞樹ちゃんが守ってくれたんだから、無事に決まってるでしょ……?」
私の言葉に、パーストは微かに笑みを浮かべた。
それから震える手を伸ばして、私の頬を、微かに指でなぞった。
彼女のその挙動に、私はただ唇を噛みしめる。
「……なんで、ここまで……」
「……だって、杏のことが……大好きだから……」
パーストの言葉に、私は息を呑む。
それにパーストは笑って、私の手を優しく握った。
「早く、帰って……杏に、ピアノ、教えなくちゃ……」
「……ごめんね、瑞樹ちゃん」
気付いたら、私はそう謝っていた。
私の言葉に、パーストは不思議そうに首を傾げた。
「なんで謝るの?」
「だって……瑞樹ちゃんはこんなに私のこと、大事に思ってくれているのに……私、瑞樹ちゃんのことを不安にさせた……」
「不安に……って……?」
「……瑞樹ちゃん……なんか、ヤキモチ妬いてる感じあるからさ……」
「は!?」
私の言葉に、なぜかパーストは息を吹き返す。
ホッとしている間に、肩を掴まれ、顔を近づけられる。
「わッ……」
「ななな、なんでそのこと知ってんの!?」
動揺した様子の声に、私は「えっと……」と困惑する。
しかし、すぐにパーストの目を見つめ、口を開いた。
「だって、瑞樹ちゃん、今日はやけに私のことを避けていたし……なんか、前に瑞樹ちゃんにヤキモチ妬いてた私に、似てるなぁって……」
「そ、それは……」
戸惑うパーストに私は笑い、彼女の手を握り返した。
「……まだまだ仲良くなったばかりだし、お互いに不安になるのはしょうがないよ。……でも、たとえ何があっても、私は瑞樹ちゃんを裏切ったりしない。私達は、ずっと友達だよ」
そう言って、私は笑って見せた。
すると、パーストは「杏……」と言って笑みを浮かべた。
その時、壁が破裂した。ワスレールだ!
「分かったよ、アデッソ!」
その時、そう言ってパーストは立ち上がり、私とワスレールの間に立つ。
そしてワスレールの腕を掴み、ニッと笑う。
「私、きっとアデッソのこと、信じていなかったんだ……あんなモデル如きに取られるって思うくらい、自分に自信が無かったんだ!」
「パースト!」
私が名前を呼ぶと、パーストはこちらに振り向いて、明るく笑う。
「でも、アデッソが私のことを信じてくれているなら……私もアデッソのこと、信じる!」
そう言って、パーストはワスレールの体を振り回し、遠くに投げ飛ばす。
そして私達は顔を見合わせ頷き合い、手を繋いだ。
ワスレールの体の上まで行き、腕を構える。
「「プリキュア! シャインドリーマー!」」
そう言った瞬間、五線譜で出来た輪がワスレールの体を囲い、それをなぞる光の波動によって浄化されていく。
浄化されていくワスレールを眺めていると、肩を叩かれた。
見ると、パーストがこちらに掌を見せるように手を掲げていたので、私はそれに自分の両手を当てた。
簡単に言えば、ハイタッチをした。
- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.49 )
- 日時: 2017/09/30 20:43
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第8話「月光に響くヤキモチピアノ?奏でろ友情のワルツ!」6
記憶世界から抜け出すと、そこは保健室だった。
恐らく、誰かが地面に倒れるこの男子生徒を保健室に運んだのだのだろう。
ベッドを囲うカーテンをちょっとだけ開いて顔を出し、誰もいないことを確認して瑞樹ちゃんと共に外に抜け出した。
「なんか緊張したねぇ」
暢気な口調で言う瑞樹ちゃんに、私も「そうだね」と言って笑った。
それから二人で階段を上って三階に行き、廊下に置いたままの鞄を手にする。
さて帰ろうか、ということになった時、私はとあることに気付き、立ち止まった。
「吹奏楽部……もう練習終わったんだ」
「ん?」
私の言葉に、瑞樹ちゃんも立ち止まる。
だって、ロブメモワールとの戦いまで聴こえていた吹奏楽部の演奏が、今は全く聴こえないから。
「あー……もうそんな時間か」
瑞樹ちゃんはそう言いながら後頭部の辺りを掻く。
それから私の方を見て、ニッと笑った。
「ちょっとピアノ、弾いていこうか」
「……うんっ!」
瑞樹ちゃんの言葉に私は頷き、彼女の手を握った。
それから二人で中に入り、ピアノの前に座る。
「それで、何教えてほしいの? 杏が私の演奏で聴いたことあるのは……ベートーベンの運命とか?」
「あぁいや、そういうのじゃなくて……」
私の言葉に、瑞樹ちゃんはキョトンとした表情をする。
彼女の様子に、私は笑って、瑞樹ちゃんの手を握る力を強くした。
「……瑞樹ちゃんの好きな曲が……良いな」
「私の、好きな……?」
聞き返してくる瑞樹ちゃんに、私は頷いた。
「うん。瑞樹ちゃんが一番好きな曲。それ教えてもらって、いつか……二人で弾いてみたい」
「……そっか」
瑞樹ちゃんはそう言って目を伏せる。
窓から差し込む夕日が彼女の顔を照らしているからか、頬がほんのり赤い。
それから彼女はソッと指を鍵盤に置き、フゥ、と息をつき、私の顔を見て微笑んだ。
「……私さ、昔から、喜怒哀楽によって、弾く曲が変わるんだ」
「弾く曲?」
「なんて言うんだろう……無意識に、その時その曲を弾くのが一番合ってるっていうか……」
「へぇ〜。どんな曲があるの?」
「うーん……例えば、悲しいことがあった時とか、辛い時は月光っていう曲。怒ってたり、気持ちがなんか、ムカムカする時は、運命」
「じゃあ、あの時怒ってたの!?」
「誰かさんがあの生意気モデルの話ばっかりするんだもん」
瑞樹ちゃんの言葉に、私は押し黙る。
まぁ、少し浮かれすぎていたか……。
「……まぁ、あの時の杏、結構可愛かったけど」
ボソッと呟く瑞樹ちゃん。
それに、私はなんだか気恥ずかしくなって、目をそらしてしまった。
「そ、それで……嬉しい時は、何弾くの?」
「えっ……あ、そっか」
瑞樹ちゃんはそう言うと私の手を離させて、鍵盤に指を添える。
そして、私の方を見て、微笑んだ。
「ショパンの、子犬のワルツ」
そう言って、彼女の両手は鍵盤の上で踊り出す。
指が舞い、華麗な音を奏でて行く。
音楽室に響く甘美なメロディに、私はついうっとりした。
「なんか、可愛い曲だね」
「ね。……でも、結構早い曲だし、杏にはまだ難しいんじゃないかな。もっと簡単な曲から……」
「やだ。これ弾く!」
咄嗟にそう遮ると、瑞樹ちゃんはポカンとした顔をした。
それと同時に、演奏が止まる。
私は両手に拳をつくり、続ける。
「だって、これ弾いてる時の瑞樹ちゃん、すごく楽しそうなんだもん。……瑞樹ちゃんが楽しいって思える時間を一緒に共有できるなんて、すごく幸せだよ」
「杏……私も杏と楽しいこと、たくさんしたい」
瑞樹ちゃんは、そう言って私の手を握る。
私もそれに彼女の手を握り返し、笑って見せた。
「難しくても良いよ。時間はたっぷりあるんだもん。一緒に頑張ろ?」
私の言葉に、瑞樹ちゃんはしばらく視線を彷徨わせた後で、コクッと頷いた。
「そうだね。……でも、指導には手抜いたりしないからね?」
「うぅ……精進します」
私の言葉に、瑞樹ちゃんは明るく笑った。
それに釣られて、私も笑った。
- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.50 )
- 日時: 2017/10/01 17:37
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第9話「闇に染まった時見町!プリキュア新たなる力!」1
土曜日の昼間。瑞樹ちゃんの家。
白い日差しが差し込む部屋の中、不協和音を響かせながら、私の指が止まる。
そんな私の様子に、瑞樹ちゃんはため息をついた。
「だから難しいって言ったのに……まずは簡単な曲から始めた方が良かったんじゃない?」
「……ううん。頑張る」
「杏奈は頑張り屋さんリコ〜」
リコルンの言葉に、瑞樹ちゃんが「そういう問題じゃなくて……」と否定する。
すると、ピアノがあるこのリビングの扉が開くので、私は慌ててリコルンの口を手で押さえ、膝の上に置く。
中に入って来たのは、瑞樹ちゃんのお兄さんである紫音さんだった。
「紫音さん!」
「二人とも、ピアノの練習は順調かい?」
そう言って、紫音さんは優しく微笑む。
相変わらず顔が整っていて、カッコイイなぁ……。
見惚れていると、隣で瑞樹ちゃんが「コホン」とわざとらしく咳をするので、私は慌てて姿勢を正した。
「全然。杏ってば、同じところで何度もミスするんだもん」
「だってぇ……」
「あはは。子犬のワルツは中々難易度が高いからね。僕もたまに失敗したりするよ」
紫音さんのフォローに、私は少しだけ胸が軽くなった。
彼でも失敗するんじゃ、私が失敗してもしょうがないか。
「ダメだよ甘やかしたら。杏が言いだしたんだもの。折角なら、完璧に弾かせないと」
しかし、瑞樹ちゃんはそれを許してくれそうにない。
そんな彼女の様子に、紫音さんはクスクスと笑った。
「でも、ずっと弾いていたら疲れるだろう? ちょうど僕も飲みたかったことだし、紅茶でも淹れてあげるよ」
「良いんですか!?」
「良いよ良いよ」
紫音さんはそう言って軽く手を振ると、台所に消えて行く。
その様子に見惚れていると、瑞樹ちゃんが楽譜をパラパラとめくった。
「それじゃあ、紅茶が出来るまでの間、もう少し練習しようか」
「えぇっ……休憩は?」
「兄貴が紅茶淹れて来てくれたら」
悪戯っぽく笑いながら言う瑞樹ちゃんに、私は呻き声をあげた。
そんな私に、膝の上に隠しているリコルンが小さな声で「頑張るリコッ」って言って来たんだ。
−−−
暗く淀んだ空気の中で、ボロボロになって戻って来たラオベンが膝をつく。
「あらあら。プリキュアにこっぴどくやられたみたいね」
「と言っても、しょうがないか。今度のプリキュアは二人みたいだからな」
茶化すように言うシッパーレを嗜めるように、デロべが言う。
二人の言葉に、ラオベンが舌打ちをした。
「だからって、このままでは我等の悲願は……この世界の全ての人間からメモリアを奪えば、きっとあのお方が……!」
「おやおや。どうやら苦戦しているようですねぇ」
どこからか聴こえた声に、三人は辺りを見渡す。
その時、ちょうど三人全員からの距離が等しくなる一点に、一人の青年が着地した。
「お前は……!」
「貴方にお前呼ばわりされる覚えは無いのですが?」
青年がそう言うと、ラオベンはクッと息を漏らして口を閉ざした。
黄色の髪に、黒いメッシュが入ったような髪。
白い肌に、燕尾服のようなものを身につけた青年は、三人の顔をそれぞれ見てから、クスッと笑った。
「これはこれは三幹部の皆さま。まぁまぁ、そんな風にかしこまらないで」
「なんで貴方がここに来たの? ……セフト」
シッパーレがそう聞くと、セフトはフフッと不敵な笑みを浮かべた。
「いえ、最近メモリアの集まりが悪いと思いましてね。あの三幹部の皆さまに何かあったのかと思うと、心配で夜も眠れず……」
「御託は良い。それで? 何の用だ?」
デロべが苛立った様子でそう言って見せると、セフトは「連れないですねぇ」と言いながらヘラヘラと笑った。
「……折角私がプリキュアとやらを倒して見せたというのに、またもや現れたようですね。それも、次は二人」
「「「……」」」
「フフッ。この世の中、何が起こるか分かりませんね」
ニコニコと笑いながら、口に手を当てて笑うセフト。
彼の言葉に、三人は何も答えない。
しばらく笑った後、セフトは三人に背を向ける。
「そろそろヴォルール様の我慢の限界のようです。なので、少しメモリアの回収と……上手くいけば、プリキュアも倒したいと思っています」
「なっ……どうやって!?」
ラオベンの言葉に、セフトはニヤリと笑うと、口に人差し指を当てて「内緒」と答えた。
そして、彼の体はどこかに消えて行った。
−−−
- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.51 )
- 日時: 2017/10/01 20:23
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第9話「闇に染まった時見町!プリキュア新たなる力!」2
「ふむ……ここが日本ですか……」
時計塔の屋根の頂上に立ったセフトは、そう呟いて辺りを見渡した。
笑い合う人々。楽しそうに買い物をする人や、道路を走る小さな子供たち。
たくさんの笑顔で溢れる様子に、セフトはフッと影のある笑みを浮かべた。
「では、その楽しい思い出、全て消し去ってあげましょう!」
そう言って、セフトは右手を空に掲げた。
その瞬間、彼の頭上に超巨大な時計の針が現れる。
突然空に現れた巨大時計に、町の人間達の視線は注がれる。
その針は刻一刻と時を刻み、やがて……長針と短針が重なる。
その瞬間、世界が全て白黒に染まり、時見町に存在する全ての生命体が動作を停止させた。
「さぁ、貴方達の底力、見せてもらいますよ。プリキュア」
−−−
<杏奈視点>
「……ん?」
突然、鍵盤が音を出さなくなる。
それどころか、何度叩いても、ピクリとも動かなくなったのだ。
「杏? どしたの?」
「いや……鍵盤が、全然動かなくて」
「は? そんなわけ……」
そう言いながら瑞樹ちゃんは鍵盤を両手で叩く。
しかし、カチカチと爪が当たる音だけで、鍵盤自体はピクリと動かない。
「何これ……」
「なんか、様子が変リコ?」
リコルンの言葉に、私は顔を上げた。
よく見ると、部屋が全て白黒に染まり、まるで……ワスレールが現れた時の、記憶世界のようだった。
私はリコルンを抱き上げて、椅子から立ち上がる。
「やっぱり、なんか変だよ。瑞樹ちゃん」
「そうだね……あ、そうだ。兄貴!」
瑞樹ちゃんはそう言って立ち上がり、台所に走っていく。
扉を開けて中を見ると、そこには紫音さんがいた。
ティーポットからカップに紅茶を移す作業の途中のようで、白いティーポットから紅茶が流れ出ている。
しかし、白黒に染まった紅茶は、とてもじゃないけれど紅くは見えない。
そしてその紅茶は、ティーカップの底にぶつかってしぶきを上げながら、停止している。
その紅茶と同じように、紫音さんも停止したままで、こうして私達が入ってきたにも関わらず、一言も話さずにティーカップをジッと見ているのだ。
「あ……兄貴……?」
「……とにかく、外に出てみよう。もしかしたら、ここだけじゃないかもしれない」
私の言葉に瑞樹ちゃんは頷く。
彼女を連れて外に飛び出すと、外も瑞樹ちゃんの家と同じような状態で、白黒に染まっていた。
おまけに、家の前の道を歩いて来るおばさんや、空を飛ぶ鳥達。
全てが停止していて、全くと言っていいほどに音がしないのだ。
聴こえてくるのは……自分の心臓の音だけ。
「杏……これ……」
「うん……まるで、記憶世界にいるみたい」
そう思っていた時、上空に亀裂が入る。
まるで……ワスレールが現れる時のような。
私と瑞樹ちゃんは背中合わせに立ち、それをひたすら見つめた。
「リコォ……」
怯えた声を漏らすリコルンを、私は強く抱きしめる。
次の瞬間、亀裂が一斉に破裂して、ワスレールが落下してきた。
「瑞樹ちゃん!」
「分かってる!」
「「プリキュア! メモリアルコンバージョンッ!」」
考えるのは後。
今はただ……戦うだけ。
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