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【オリキュア】メモリアルプリキュア!
日時: 2017/08/01 23:00
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

初めましてかこんにちは!愛です!
本日からはメモリアルプリキュアというオリキュア小説を書きたいと思っています。
基本テンションとノリに任せて書くのでグダグダすると思いますが、楽しんでいただけると幸いです。
それでは、よろしくお願いします。

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Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.32 )
日時: 2017/08/23 17:20
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第5話「リコルンの帰国!?レッツゴー!メモリー王国!」6

「ぐへぁ!」

 私は顔面に衝撃を受け、後ろに仰け反る。
 しかし、なんとかパーストに受け止められ、私はすぐに姿勢を正す。
 そして、目の前にいるリコルンを手で掴んだ。

「リコルン……なんでここに?」
「それはこっちのセリフリコ! メモリー王国にいないから、もう帰ったのかと思ったら、長老様がこの世界から二人の気配がするって言うから来てみれば……何してるリコ!」
「何って……あのワスレール倒そうとしてたんだけど」

 パーストの言葉に、リコルンはあんぐりと口を大きく開けた。
 その表情に、私とパーストは顔を見合わせ、首を傾げた。
 すると、すぐにリコルンが私とパーストの頭を同時に叩いた。

「いったぁ……!?」
「そんなことできるわけないリコ! 二人の力はまだまだ未熟で、二人だけで戦うことなんて……!」

 そこまで言った時、リコルンはハッとする。
 リコルンの言葉に私達も察し、やがて、顔が自然ににやけるのが分かった。

「ホラ、やっぱり私達、リコルンがいないとダメなんだよ」
「や、でも……!」
「リコルンいないと何すれば良いのか分からなくて、こうして暴走しちゃうからね〜」

 パーストの言葉に、リコルンは「ぐぬぬ……」と歯ぎしりをする。
 すると、ワスレールがすぐにこちらに攻撃しようと近づいて来る。

「とにかく、先に逃げるリコ!」
「う、うん!」

 リコルンの言葉に、パーストはすぐにラブメモリーウォッチを構える。
 それから出来た穴に、私達はすぐに飛び込んだ。
 やがて、外に飛び出した私達は、すぐにその世界から抜け出して、メモリー王国に出る。

「全く……ヒヤヒヤしたリコ。大体、何が私達今一番輝いてる、だリコ」
「いやぁ……まぁ、ノリ?」
「中学二年生って、そういうのに手を出しちゃう年頃だからね〜」
「そんな年頃いらないリコ!」

 怒るリコルンを宥めつつ、私達は変身を解く。

「でもさ……これじゃあ、リコルンを心配させないつもりが、逆に心配させちゃうかな」
「心配……させない……?」

 リコルンの言葉に、私達は同時に頷く。

「うん。リコルンが思う存分、安心して、ロブメモワール倒しに専念できるようにって」
「でもまぁ、ボロボロにされた挙句、リコルンのおかげで冷静になれたわけだけどね〜」

 瑞樹ちゃんの言葉に、リコルンは何とも言えない表情で目を伏せる。
 私はそれに笑い、頭を撫でる。

「一緒にいようよ。やっぱり私達は、リコルンも含めて、メモリアルプリキュアだと思うんだ」
「で……でも……」
「ふむ。それが良いかもしれんのう」

 突然背後から聴こえた声に、私達は飛び上がる。
 振り向くとそこには、宙に浮く長老様の姿があった。

「ちょ……長老様……」
「……リコルンよ」
「は、はいッ!」

 突然名前を呼ばれ、リコルンはビクッとして、宙に浮いたまま気を付けの姿勢をする。
 そこで私はとあることに気付き、「あのぉ……」と声を出す。

「すいませんけど……あの青い石、みたいなのの面倒は見てなくて良いんですか?」
「む? あぁ……。大丈夫じゃ。今のわしは、あくまで精神体。肉体と、石を守るという意志は残してきた」

 よく分からないけど、知る必要も無さそうなので無視をする。
 すると、長老様はもう一度「リコルンよ」と言って、リコルンの頭に手を置いた。

「まだ未熟な身でありながら、よくぞ今まで頑張って来た。しかし、先を急ぎではある。確かにプリキュアの伝承を伝えて心構えをさせておくのも手ではあるが、その手段では、まず杏奈達の世界が滅ぶのは確定しているようなものじゃぞ?」
「そんなことは……!」
「分かっておる。だが、お主は責任感が強いからのぉ。自分で解決しようと先を急ぎすぎて、目的と手段をはき違えてしまったのじゃろう」
「……」

 図星なのか、口を閉ざして俯くリコルン。
 その様子に長老様は笑い、リコルンの頭を優しく撫でた。

「だから、今は杏奈達と一緒に戦い、一生懸命ロブメモワールに立ち向かいなさい。二人の為にも……お主の為にも」
「……はいッ!」

 リコルンの返事に長老様は優しく笑い、リコルンの頭から手を離した。
 ずっとそのやり取りを眺めていた私と瑞樹ちゃんは顔を見合わせた。

「つまり……またリコルンと一緒にいれる……ってこと?」
「そう……だね……」

 そう返事をすると同時に、私達は徐々に興奮のようなものが湧き上がってくるのを感じた。
 すぐに私達はリコルンに駆け寄り、抱きしめた。

「わッ! 何するリコ!?」
「またリコルンと一緒にいられるんだよね!?」
「あははッ! 嬉しいぞこのやろー!」

 瑞樹ちゃんがそう笑いながらリコルンの頭をワシャワシャとすると、リコルンは「やめるリコ〜」と言う。
 しかし、その表情はどこか、嬉しそうだった。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.33 )
日時: 2017/08/25 20:35
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第6話「人気モデルは一年生!?美少女星華現る!」1

「プリキュアが……メモリー王国に?」

 ラオベンの言葉に、シッパーレは「えぇ」と頷いた。

「先日、メモリー王国内に奴等の気配があったそうよ」
「なるほど……ということは、奴等も知ったのか。俺達の戦いがどういうものであるか。……そして、負ければどういう結末が訪れるのか」

 デロべの言葉に、二人も顔を引き締める。
 その様子に、デロべは口元に冷たい笑みを浮かべた。

「ようやく面白くなってきたじゃねぇか……せいぜい、前のプリキュアくらいには、楽しませてくれると良いな」

−−−

「いやぁ、この間の土日は散々な目に遭ったねぇ」

 学校に行く道を歩きながら、瑞樹ちゃんはため息をつく。
 彼女の様子に、私は苦笑した。

「あはは……でもさ、おかげで覚悟も固まったし、良かったと思うよ」
「そうだけどさぁ……あーあ。なんか、この週末は全然休めた感じしないや」

 瑞樹ちゃんはそう言ってもう一度ため息をつき、前を見る。
 私もそれに釣られるように前を見て……とある人を見て、固まった。

「ぁ……」
「ん? どしたの?」

 瑞樹ちゃんにそう声を掛けられるが、私はそれどころではない。
 目の前にいる人影に、徐々に、テンションが上がっていくのが分かった。

「あれ……人気モデルの、後宮 星華(あとみや せいか)ちゃんだ!」
「あー……」

 私の横で、瑞樹ちゃんは間抜けな感じの声を漏らす。
 そんな声無視しつつ、私は鞄を肩に掛け直し、星華ちゃんの元に駆け寄った。
 芸能人なんて初めて見た……! しかも、最近超人気の星華ちゃんなんて……!
 興奮をひた隠しながら駆けていた時、私はとあることに気付き、足を止めた。

「星華ちゃんが着てるの……時見中学校の制服……?」
「あぁ、うん。あの子、同じ学校だからね」

 追いついてきた瑞樹ちゃんの言葉に、私はしばらくそれを理解するのに時間を要した。
 やがて、その意味を理解した瞬間、私は「えぇぇぇぇぇぇぇッ!?」と声をあげた。
 すると、前の方を歩いていた星華ちゃんがこちらに振り向き、歩いて来る。

「はわわッ……?」
「えっと……何度か私の名前が聞こえた気がしましたけど、何か用ですか?」

 綺麗な黄色の髪をサイドテールにして、オレンジ色のシュシュでとめている。
 小さく、整った顔に、大きめな目。
 うわぁ……本物だぁ……本物の後宮星華ちゃんだぁ……。

「あ、えっと、初めまして! 私、二年の今行杏奈って言います! あの、私、星華ちゃんのファンで……!」
「なんだ、そんなことか……まぁ、サインくらいなら……」

 そこまで言った時、彼女の目は、私の手首に向く。
 ラブメモリーウォッチを見た瞬間、彼女の目つきは微かに鋭くなり、私の顔をジッと見つめてきた。

「えっと……?」
「……貴方達、まさか……」

 彼女がそこまで言った時、学校のチャイムが鳴った。
 これ、確か朝のHR五分前の……。

「ヤバッ! 早く行かないと遅刻だよ! 杏、行くよ!」
「わ、ちょ、瑞樹ちゃん……!」

 強く私の手を引く瑞樹ちゃんに驚きつつ、私は星華ちゃんに視線を向けた。
 彼女は無表情で、ただジッと私を見ていた。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.34 )
日時: 2017/08/26 15:42
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第6話「人気モデルは一年生!?美少女星華現る!」2

「それにしても、杏があの子のファンなんて思わなかった」

 朝のHRが終わり、業間休憩になった時、瑞樹ちゃんがそう声を掛けてきた。
 彼女の言葉に、私は次の時間の準備をしながら「そう?」と聞く。
 すると、瑞樹ちゃんは頷いた。

「うん。杏ってそういう系興味無さそう」
「ん〜。前まではそうだったんだけどね。でも、ママがよく雑誌買ってて、ある日星華ちゃんを見たら、可愛いなぁって」
「それでファンに?」

 瑞樹ちゃんの言葉に、なんだか恥ずかしくなって、私は頷いた。

「……星華ちゃんは、私より一歳年下とは思えないくらい、キラキラしてて……正に、今を輝くトップモデルで! ……私も、星華ちゃんみたいに、輝ける人になりたいなぁって思って」
「なるほどねぇ……それで、今を輝く一つの光、か」
「そういうこと、なのかな……」

 私の言葉に、瑞樹ちゃんは「さぁ?」と言う。
 適当だなぁ……。
 私は息をつき、天井を仰いだ。

「それにしても、まさか星華ちゃんと同じ学校に通えるなんて……夢みたいだよ」
「それは良かったね。と言っても、学年の違うし、接点なんて無いだろうけど……」

 瑞樹ちゃんの言葉に頷いた時だった。

「あの……今行先輩いますか?」

 扉の方からそう聴こえ、私は視線を向けた。
 そして、目を見開く。

「せっ……星華ちゃん!?」

 噂をすれば影とでもいうのか。
 そこには、私達の話題の人物である、星華ちゃんが立っていた。


「えっと……それで、私に何の用かな」

 廊下に連れ出された私は、恐る恐る星華ちゃんに聞く。
 すると、星華ちゃんは私の隣にいる瑞樹ちゃんを見て、微かに目を鋭くした。

「それより先に、あの、貴方は呼んでないんですけど」
「杏は私の親友だもん。杏への要件なら、私にだって関係ある。逆もまた然り」
「瑞樹ちゃん……」

 親友って言葉に、私は胸が熱くなるのを感じた。

「この件に貴方は関係ありません。どこか行ってください」

 しかし、それに対する星華ちゃんの言葉は冷たかった。
 彼女の言葉に、瑞樹ちゃんは「なッ……」と言葉を詰まらせた。
 もちろん、私も突然の言葉に驚いてしまう。

「ちょ、ちょっと、星華さ……!」
「貴方の方こそ、友達を危険に付き合わせるつもりですか?」
「危険……? ちょっと、何の話……!?」

 私の言葉に、星華ちゃんはしばらく黙った後で、僅かに目を伏せた。

「……アイツ、教えてないのか……」

 ポツリと、小さく、そう呟いた。
 彼女の言葉に、私と瑞樹ちゃんは顔を見合わせる。

「……今回は出直します」

 やがて、そう言うと、彼女は踵を返して歩き出す。
 それに、瑞樹ちゃんは「ちょ、ちょっと!」と声を掛けるが、星華ちゃんはそれに返事をせずに歩いて行ってしまう。
 やがて、彼女の背中は、階段を下りて消えて行った。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.35 )
日時: 2017/08/26 18:48
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第6話「人気モデルは一年生!?美少女星華現る!」3

「何アイツ! 年下のくせにどこか行けだの偉そうに……!」

 星華ちゃんがいなくなってから数秒後、瑞樹ちゃんは徐々に溢れだす怒りを体で表し始めた。
 そんな彼女を、私は「まぁまぁ」と宥める。

「多分、星華ちゃんは私個人に聞きたいことがあったのかも。それに、先輩二人相手に一人で話すのって、結構緊張しちゃうし」
「あのトップモデルの後宮星華様がぁ〜? ないない」

 顔の前で手を横に振る瑞樹ちゃんに、私は「そうかなぁ」と返す。

「あれは全部モデル……というか、芸能人としての演技で、本当はすごく怖かったのかもしれないよ?」
「……うーん……」
「だからさ、私、行ってくる。一人で話をしてみることにするよ!」
「え、ちょっと!」

 呼び止める瑞樹ちゃんを無視して、私は駆けだした。
 きっと一年生の教室のどこかにいるハズ。
 そう思いながら階段を一段飛ばしで駆け下りて、私は星華ちゃんを探した。


<星華視点>

 毎日のように向けられる視線に何も感じなくなったのは、いつからだっただろう。
 モデルとして有名になってから、毎日のように向けられる視線。
 物珍しいものを見るような目。……異物を見るような目。
 ……私は、異物だ。
 教室……否、学校という、ごく当たり前の身近な存在の中に紛れ込んだイレギュラー。

 芸能人という存在は身近にいてはいけない、と私は思っている。
 あれは、画面の向こう側や、紙面の中で活躍している凄い存在であるからこそ、特別なのだ。
 それが、こんなごく普通の学校の教室にいてはいけないと思う。
 それは、許されないことだから。

 だから人は、私を遠目に見る。無理矢理敷居を作って、私を凄い存在に仕立て上げようとする。
 そうすることで、芸能人という存在に憧憬を抱こうとするんだ。
 でも、仕方がないことだと思う。だから、私だってそれは諦めている。
 ……けど……。
 もし、許されるなら……『彼女』のような友達が……———。

「星華ちゃん」

 名前を呼ばれ、私は顔を上げた。
 見ると、教室の前で立っている今行先輩の姿があった。

「今行先輩」
「良かった。えっと……とりあえず、ちょっと出てもらって良いかな?」

 その言葉に、私は立ち上がり、今行先輩の元に行く。
 それから、二人で中庭に出る。
 晴れた空の下、中庭に出てすぐにあるベンチに、私と今行先輩は腰掛けた。

「えっと……今行先輩」
「あ、安心してね? 瑞樹ちゃんはちゃんと教室に残ってもらったから……多分、誰も聞いてないハズだから」

 焦った様子で両手を振りながら言われた言葉に、私は「はぁ……」と返す。
 すると、今行先輩は安心した感じの表情で手を下ろし、優しく微笑んだ。

「ごめんね? 怖かった、よね。二人の先輩を相手にしたら……」
「いえ……大丈夫です」
「そうなの!? 星華ちゃんは強いなぁ……私じゃ怖くて震えちゃうや」

 恥ずかしそうに笑いながら言う今行先輩の言葉に、私も釣られて笑う。
 そこで、私はとあることに気付く。
 この人……私を対等な存在として見てくれてる……。
 トップモデルの後宮星華としてじゃない。
 時見中学校の一年生……同じ学校の、後輩として、私を見てくれてる……。

「……あれ? 星華ちゃん。どうしたの?」

 私が口を噤んでしまったからか、不思議そうに顔を覗き込んでくる今行先輩。
 それに、私はハッと我に返る。

「あ、ごめんなさい。少し考え事しちゃって……」
「良いよ〜。……ところで、私に何の話?」

 今行先輩の言葉に、私は無意識に姿勢を正す。
 彼女なら……仮に『そう』だとしても、良い。
 この人ならきっと……————。

「ごめんなさい。つい、話し込んでしまって……」

 私はそう言ってから呼吸を整え、一度深呼吸をする。
 そして目を開き、今行先輩の手首に巻き付かれたラブメモリーウォッチを見て、口を開いた。

「先輩はこの時計を……どこで手に入れたんですか?」

 それと同時に、授業開始のチャイムが鳴り響いた。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.36 )
日時: 2017/08/26 21:56
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第6話「人気モデルは一年生!?美少女星華現る!」4

<杏奈視点>

「先輩はこの時計を……どこで手に入れたんですか?」

 突然放たれた一言に、私は硬直した。
 ラブメモリーウォッチを、どこで手に入れたのか……か……。
 ここで教えても良いものか……ダメだ。
 プリキュアのことは誰にも内緒だ。
 そうしないと、星華ちゃんに危険が及ぶって、リコルンが言ってた。
 なんとか隠さないと。

「えっとね、星華ちゃん。これは……」
「へぇ〜。これまた良いメモリアの持ち主がいるじゃねぇか」

 背後から聴こえた声に、私は立ち上がって振り返る。
 見ると、そこには、緩く笑みを浮かべながらこちらに歩いて来る赤い獣みたいな男の姿があった。
 私は咄嗟に星華ちゃんを庇うように、前に立つ。

「い、今行先輩……!」
「せ、星華ちゃんは、すぐに逃げて……」

 なんとか星華ちゃんに声を掛けていた時には、すでに目の前に赤い男はおらず、背後から感じる気配が増える。

「しまっ……!」

 咄嗟に振り向くと、すでに、獣みたいな男は星華ちゃんに向かって手を翳しているところだった。
 星華ちゃんの胸元に時計の針が現れ、回転して六時半を指す。
 すると、星華ちゃんは倒れ、胸元が裂ける。
 そこに獣みたいな男は飛び込み、裂け目は消えた。

「星華ちゃん!」

 なんとか我に返った私は、すぐに星華ちゃんに駆け寄り体を揺する。
 しかし、当たり前だが星華ちゃんの瞼は開かず、なすがままの状態である。

「杏!」

 その時、瑞樹ちゃんがこちらに走って来るのが見えた。
 私はすぐに星華ちゃんをベンチに寝かせ、瑞樹ちゃんに顔を向けた。

「授業始まっても来ないから何事かと思って探しに来てみれば……これ、もしかしてロブメモワールが?」

 瑞樹ちゃんの言葉に、私は頷く。
 すると、瑞樹ちゃんは悔しそうに唇を噛みしめて、ラブメモリーウォッチを構えた。
 やがて出来上がった裂け目に二人で飛び込み、記憶世界に入る。

「あれは……」

 前方を見たまま動きを止める瑞樹ちゃんに、私は顔を上げる。
 見ると、それは教室の中で、一人の女の子が本を読んでいるのが見えた。
 髪色と顔つきから、それが星華ちゃんであることに気付く。

「星華ちゃ……!」

 咄嗟に名前を呼ぼうとした時、彼女に近づく少女の姿が見えた。
 少女は星華ちゃんの席の前で止まると、ニコッと笑みを浮かべた。
 そして口を開いた瞬間、世界がモノクロに染まって、全ての人々の動きが止まる。

「来るよ!」

 瑞樹ちゃんの言葉に、私は顔を上げた。
 すると、空間が裂けて、中からワスレールが現れる。

「ッ……瑞樹ちゃん! いくよ!」
「う、うん!」

 私達はすぐにラブメモリーウォッチを構え、同時に叫んだ。

「「プリキュア! メモリアルコンバージョンッ!」」


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