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【オリキュア】メモリアルプリキュア!
日時: 2017/08/01 23:00
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

初めましてかこんにちは!愛です!
本日からはメモリアルプリキュアというオリキュア小説を書きたいと思っています。
基本テンションとノリに任せて書くのでグダグダすると思いますが、楽しんでいただけると幸いです。
それでは、よろしくお願いします。

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Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.37 )
日時: 2017/08/27 10:48
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第6話「人気モデルは一年生!?美少女星華現る!」5

「今を輝く、一つの光! キュアアデッソ!」
「過去を束ねる、一つの夢! キュアパースト!」
「「取り戻せ! 愛のメモリー!」」
「「メモリアルプリキュア!」」

 変身を終えた瞬間、ワスレールが攻撃してくる。
 私達はそれをジャンプで躱し、辺りを見渡す。

「こんな狭い場所じゃ、記憶世界がすぐに破壊されちゃう!」
「ッ……あの窓から出よう!」

 パーストがそう言いながら指さした場所には、開け放たれた窓がある。
 私はそれに頷き、窓から飛び出した。
 私達が空中に身を投げ出した数瞬後、窓がある壁が破壊され、中からワスレールが飛び出してきた。

「クッ……アデッソ!」
「パースト!」

 私達は空中で手を繋ぎ、ワスレールを見つめた。
 なんとか地面に着地すると、すぐに後ろに跳び、ワスレールの追撃から免れる。

「行くよ、アデッソ!」
「うん!」

 パーストの言葉に私は頷き、一気にワスレールに向かって駆ける。
 それから繋いでない方の手をそれぞれ構え、ワスレールを殴った。
 揺らぐ巨体を見つめながら、私達は手を離し、横に跳びながら体を回転させる。

「「はぁぁあッ!」」

 叫び、双方から回し蹴りをワスレールに放つ。
 足がめり込み、ワスレールの体が拉げる。
 すぐに離れ、一度体勢を立て直すと、私達はすぐに駆け寄り、手を繋ぐ。
 そして顔を見合わせて頷き合うと、宙を跳ねるようにして、ワスレールの頭上まで行く。

「「プリキュア! シャインドリーマー!」」

 その掛け声と共に、繋いだ手を上空に突き出す。
 すると、五線譜のような輪が現れて、ワスレールの体を締め付ける。
 それから、その五線譜の輪をなぞるように光が出て、ワスレールの体を包み込んでいく。
 浄化されていくワスレールを横目に見つつ、私は修復されていく教室を見上げた。

「星華ちゃんの思い出……守れて良かった」


「……ッ!?」

 記憶世界から出てしばらくすると、星華ちゃんがハッと目を覚まし、体を起こす。
 キョロキョロと辺りを見渡し、それから、キョトンとした顔で私と瑞樹ちゃんを見ている。

「えっと……あの、さっき、デロb……変な赤い獣みたいな人が……」
「えっ、何の話? そんなのいなかったよね? 瑞樹ちゃん」
「う、うん。変な夢でも見たんじゃない?」
「そ、そんなわけ……あれは絶対!」

 立ち上がりながら言う星華ちゃんを宥めつつ、私は口を開く。

「星華ちゃん、モデルの活動で疲れてるんだよ。急に倒れちゃうし……たまにはゆっくり休んだら?」
「いえ、それは大丈夫です……小さい頃からやってることですから」
「でも、星華ちゃんだって一人の人間だし、休憩は大事だよ。……って、私に分かることでもないか」

 私の言葉に、星華ちゃんはしばらく困ったような、曖昧な表情で私と瑞樹ちゃんを交互に見る。
 やがて、「そういうことか……」と小さく呟いた。

「ん? 星華ちゃん……」
「もしかして、ですけど……瑞樹先輩? も、そうなんですか……?」
「そう、って……?」
「だから、その……二人は……———!」
「君達、何しているんだ! すでに授業は始まっているぞ!」

 星華ちゃんが何か言いかけた時、男性教師の一人がそう声を張り上げて来た。
 彼の言葉に、瑞樹ちゃんは「ヤバッ」と声を漏らした。
 そして、私の手を引いた。

「ホラ、早く行くよ!」
「うん! あ、星華ちゃんも!」

 瑞樹ちゃんに手を引っ張られながら、私は星華ちゃんに手を差し出す。
 それに、星華ちゃんはしばらく困ったような表情をしていたが、やがて、フッと笑うと、私の手を握った。
 それから、男性教師から逃げるようにして、私達は教室に逃げ帰った。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.38 )
日時: 2017/08/28 20:15
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第7話「正体がばれる!?杏奈と星華急接近!」1

<星華視点>

 まさか今行先輩だけでなく、あの青い人までとは思わなかった。
 授業を受けながら、私はコツコツとシャーペンで机を叩く。
 正直、あの青い人は苦手。あの人は私を異質なものと見ている感じがある。
 でも今行先輩なら、きっと正直に教えてくれる。
 だって、対等に見てくれるから。……『彼女』みたいに……。

「今行杏奈……少し、接触してみようかな」

 誰にも聴こえないくらいの、掠れた吐息くらいの声量で、私はそう呟いた。
 その時、シャーペンを持つ手に力が入り、シャー芯がパキッと折れた。

<杏奈視点>

「あー……授業終わったぁ……」

 伸びをしながらぼやく瑞樹ちゃんに、私は「お疲れ様」と言いつつ笑う。
 それから荷物をまとめて、鞄を肩に掛けた。

「それじゃあ瑞樹ちゃん。一緒帰ろうか」
「んー……ちょっと待ってね」

 そう言って瑞樹ちゃんが机の横に掛けた鞄を持とうとした時だった。
 クラスメイト達がざわつき始めたのは。

「ん……?」

 不思議に思い、私は振り向いてみる。
 すると、ちょうど教室の扉から、こちらに向かって歩いて来る人影が見えた。
 あれは……。

「せ、星華ちゃん!?」
「今行先輩」

 私の目の前に立った星華ちゃんは、私の目をジッと見る。
 それに不思議に思っていると、彼女は優しく微笑んだ。

「一緒に帰りませんか?」

 ……。
 突然の言葉に、私の思考は一時的に停止する。
 えっと……一緒に帰るっていうのは、文字通り、学校から家まで一緒に帰ること。
 そしてそれは、原則として友人同士で行われる行為。
 で、それを言っているのは……私の憧れの存在であり、超人気モデルである星華ちゃん……?

「ぇえッ!?」

 驚きながらあげた声は、裏返って、かなり素っ頓狂な声だった。
 すると、星華ちゃんは小さな手で私の袖を掴み、不安そうな顔で上目遣いに見上げてくる。

「ダメ……ですか……?」
「ぐぅッ……!?」

 そういう目で見られると、断るにも断れない。
 いや、断る理由なんてそもそもないんだけど!
 そう思っていた時、私の腕と星華ちゃんの腕。両方を誰かに掴まれた。

「ちょっと待った」

 そう言って間に入ったのは、他でもない瑞樹ちゃんだった。
 彼女は私から星華ちゃんを引き離し、私達の間に立ち、腕を組んだ。
 私の方に背を向けているため、顔色は伺えない。

「……何が目的?」

 明らかに苛立った様子の声。
 それに、星華ちゃんは驚いたように目を見開く。
 しかし、すぐに余裕そうな笑みを浮かべ、「何の話ですか?」と返す。
 それに、微かに瑞樹ちゃんが舌打ちしたのが聴こえた。

「わざわざ二年生の教室に、一日に二回も訪れて……さらに、特に仲良くも無い先輩に一緒に帰ろうなんて、何か裏があるようにしか見えないんだけど」
「酷い言いがかりですね。私は単純に今行先輩と仲良くなりたいだけですよ?」

 笑顔で言われた言葉に、私は胸が熱くなる。
 あの星華ちゃんが、私と、仲良くなりたいと言うのだ。
 今なら死んでも良い。私、今一番幸せすぎる……。
 喜びに打ちひしがれていた時、星華ちゃんが私の腕を抱きしめた。

「わッ!?」
「今行先輩もそうですよねっ!」

 明るい笑みで言われ、私は、咄嗟に「うん!」と大きく頷いてしまう。
 すると、瑞樹ちゃんが「ちょ、杏!?」と声を張り上げた。

「では、そういうことなので、今行先輩はこれから私とデートしてもらうので」
「へ? デート?」

 キョトンとしている間に、私は星華ちゃんに腕を引かれ、教室を飛び出す。
 すれ違う度に、奇異なものを見る目を向けられる。
 そんな目を向けられても、私自身も何が起こっているのか理解できてないのだ。
 とはいえ、こちらから見える星華ちゃんの横顔はとても嬉しそうで、楽しそうだった。
 まぁ、良いか。と開き直ることにした私は、少しだけ速足で彼女の隣に並び、二人で校舎を飛び出した。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.39 )
日時: 2017/08/29 18:41
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第7話「正体がばれる!?杏奈と星華急接近!」2

「それじゃあ、どこ行きますか?」

 嬉しそうに、跳ねるように歩きながら言う星華ちゃんに、私は頬を掻く。
 どこに行くと聞かれても……この間瑞樹ちゃんに色々案内されたばかりで、別に行きたい場所はないんだよねぇ。
 元々、この町の楽しい場所とか分からないし。
 そう思って顔を上げた時、とあるものを見つけて、私は立ち止まった。
 突然立ち止まった私を心配したのか、星華ちゃんも立ち止まる。

「どうしましたか?」
「えっと……私の行きたい場所に、なるんだけど……」
「今行先輩の行きたい場所……ですか?」

 星華ちゃんの言葉に、私は頷く。
 すると、彼女は明るい笑みを浮かべた。

「どこですか!?」
「えっと……あそこなんだけど……」

 私がそう言いつつその場所を指さすと、星華ちゃんは弾かれたように振り向いた。
 そこにあるのは……巨大な時計塔だった。


「ここです」

 そんな言葉と共に、星華ちゃんは扉を開く。
 吹き抜けのように、かなり高い天井。
 そして、上に上るための螺旋階段。
 星華ちゃんに促され、私は早速階段を上り始めた。

「……今更ですけど、なぜ、時計塔に?」

 階段を上りながら、星華ちゃんはそう聞いてくる。
 彼女の言葉に、私ははにかんだ。

「いやぁ……この町に引っ越してきたばかりの頃、瑞樹ちゃんに、時見町の名物だって言われて……」
「……今行先輩は、去年まで、別の町に?」
「うん。でもパパの仕事の関係で、引っ越してきてね。それで、瑞樹ちゃんに町を案内してもらった時に、ここにも行く予定だったんだけど、色々とハプニングがありまして……」

 私の言葉に、星華ちゃんは小さく「へぇ……」と言った。
 彼女の反応に少しドギマギしつつ、私は階段の手すりを指でなぞる。

「……でも、なんだかんだお互いに忘れちゃって。結局行く機会逃しちゃったんだけど……」
「今日私にどこに行こうか聞かれて、ここを選んだ……ということですか?」
「ご名答」

 私の返答に、星華ちゃんは「やった」と言って拳をつくる。
 それから拳を下ろした星華ちゃんは、少しだけ軽やかになった足取りで階段を上っていく。

「でも……そっか……じゃあ今行先輩が初めてこの時計塔に上った相手は私なんだ……」
「そうなるのかな……あ、もしかして、初めてここに上った人が運命の人とか、そういう言い伝えがあったりするの!?」
「あははッ、無いですよ。……ただ、今行先輩の初めての人になれて、ちょっと嬉しいだけです」

 星華ちゃんの言葉に、私は肩から力が抜けた。
 私の反応に星華ちゃんはクスクスと悪戯っぽく笑いながら、手すりを握り締める。

「……今行先輩って、なんていうか、普通の先輩として接してくれますよね」

 しばらく上っていた時、星華ちゃんはそう口を開いた。
 彼女の言葉に、私は首を傾げた。

「どういうこと?」
「……他の先輩もクラスの皆も、芸能人だからか、私のことを特別視しているというか……一線を引いて接している感じがあるんです」

 星華ちゃんが放った言葉に、私は足を止める。
 すると、星華ちゃんはこちらに振り向き、私の手を握った。

「でも、今行先輩は違う。……今行先輩は、私のことを、普通の後輩として見てくれてる感じがあるんです」
「そ、そうかなぁ……? 私だって、星華ちゃんのことは特別視してるよ? 星華ちゃんは、超人気モデルで、有名人で……私にとっては、憧れの存在だから」
「そう言ってもらえると嬉しいです。でも、今行先輩は、私を見る目が変な感じじゃないんです。珍しいとかそういうのじゃなくて、単純に……誰に対しても、すごく優しくて、キラキラした目で」

 その言葉に、私は首を傾げる。
 自分の目のことなんてよく分からないしなぁ……。
 腕を組んで考え込んだ私に、星華ちゃんは「フフッ」と笑い、ラブメモリーウォッチを指でなぞった。

「……だから、私、嬉しいんです。今行先輩が……なってくれて……」
「なって……?」

 私の言葉に、星華ちゃんは微笑み、私の腕を掴んだ。
 そして、私の手を引いて、階段を駆け上る。

「わ、ちょッ……星華ちゃん!?」
「……私、今行先輩のこと好きなんです。優しくて、純粋な先輩が」

 そんな言葉と共に、階段を上り切る。
 目の前に広がる、巨大なガラス張りの時計。
 頭上では歯車が回り、これが時計を動かしていることを知る。
 呆然としていると、星華ちゃんはガラス張りの時計の前まで歩いて行き、立ち止まる。
 そして、こちらに振り向いて、優しく微笑んだ。

「だから、嬉しいんですよ。……先輩が選ばれたことが」
「選ばれた……? 星華ちゃん、一体何の話を……」
「今行先輩」

 私の言葉を遮るように、星華ちゃんは口を開く。
 それについ押し黙ると、彼女は笑って、続けた。

「先輩……プリキュアってご存知ですか?」

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.40 )
日時: 2017/08/30 21:42
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第7話「正体がばれる!?杏奈と星華急接近!」3

「先輩……プリキュアってご存知ですか?」

 その言葉に、氷の塊を飲み込んだような、胃の奥から体全体が冷えるような感触を覚えた。
 しかし、まだ誤魔化しが効く範囲だ。
 だって、プリキュアを知っているか否かを聞かれているだけだから。
 私は一度深呼吸をして、口を開いた。

「ぷ……ぷりきゅあ……? 何それ、聞いたことない……」
「……先輩、嘘が下手ですね。目逸らしちゃって」

 そう言いながら星華ちゃんは私の顔を覗き込み、目を見つめてくる。
 彼女の目は星のようにキラキラしていて、純粋で、とてもじゃないが今の私に見ることなんて出来ない。
 耐え切れず目を逸らすと、星華ちゃんはクスクスと笑って、体を起こした。

「しょうがないですね。それじゃあ、もっと細かいところまで聞きますけど……」

 そう言うと、ズイッと私に顔を近づけ、満面の笑みを浮かべた。

「先輩……プリキュアですよね?」

 ビクッ、と。自分の体が震えるのを感じた。
 彼女は……一体何なんだろう。
 プリキュアの関係者なのか……ロブメモワールの刺客か。
 後者ではない……と信じたい。
 しかし、確実に違うとは言えない。
 とにかく、ここは否定しておこう。

「ち、違うよ〜……プリキュアなんかじゃないって」
「嘘! その時計で変身するんですよね!?」

 そう言いながらラブメモリーウォッチを指さす星華ちゃん。
 どこまで知っているんだこの子は……。
 私は咄嗟にラブメモリーウォッチを隠しながら、なんとか声に出す。

「ち、違うって! これは、その……あ、私の家、時計屋さんでね? 新しい学校に行くお祝いで、パパがくれたの。これ、元々は家の商品」

 嘘をつくのは、全くの嘘だと見抜かれると聞く。
 九割本当のことを言って、一割嘘を混ぜておけば人は騙せるらしい。
 それに、これは今行家での認識だ。
 確実に誤魔化せる。

「で、でも……!」
「……だったらさ、私の家の店……行ってみる?」

 きっと、このまま話していても埒が明かないだろう。
 腑に落ちない様子の星華ちゃんを説得して、私は我が家である『Adesso』に案内することにした。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.41 )
日時: 2017/08/30 23:11
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第7話「正体がばれる!?杏奈と星華急接近!」4

「ここが、今行先輩の家……?」
「うん。結構この町では有名な店って聞いたけど……」

 Adessoを前にして驚いた様子の声を漏らす星華ちゃんに、私はそう説明する。
 それから扉を開き、「どうぞ。遠慮しないで」と促す。
 すると、星華ちゃんは「お邪魔します……」と言いながら、中に入った。

「ふぁぁぁ……」

 中に入った途端、店中に飾られた時計を見てため息を漏らす星華ちゃん。
 それが微笑ましくて、私は笑ってしまった。

「フフッ。星華ちゃん、今一番好奇心旺盛だね」
「え、そうですか?」

 自分の顔に手を当てながら言う星華ちゃんに、私は頷く。
 すると、星華ちゃんは恥ずかしそうに顔を赤らめて俯いた。
 その時、店の奥から誰かが出てくる。

「おや、杏奈。お友達かい?」
「パパ!」

 私がそう呼ぶと、星華ちゃんはパパに顔を向けた。
 星華ちゃんの顔を見た瞬間、パパは驚いたように目を丸くした。

「君……もしかして、モデルの後宮星華さん?」
「はい……」
「おぉ……本物の有名人だ……あ、良かったらサイン貰って良いですか? 店に飾りたいので」
「ちょ、パパってば! 勝手にビジネスしようとしないで!」
「杏奈は星華さんのサイン欲しくないのか? いつも可愛い可愛いって言ってたじゃないか」
「そうだけどッ……って、本人が目の前にいるのにばらさないでよ!」

 私がそう声を張り上げると、パパはクスクスと悪戯っぽく笑う。
 よりによって星華ちゃんが目の前にいるのに……!
 恥ずかしさに顔が熱くなるのを感じていた時だった。

「ぷッ……あっはは!」

 突然笑い出した星華ちゃんに、私とパパは同時に顔を上げた。
 見ると、星華ちゃんは腹を抱えて大笑いしていた。
 しばらく笑った後で、目尻に溜まった涙を拭いながら、彼女は顔を上げる。

「せ、星華ちゃん……?」
「あははッ……あぁ、いや……なんだか今行先輩とお父さんのやり取りが、少し、微笑ましくて」

 そう言いながら目尻の涙を拭いきった星華ちゃんは、やがて、優しく笑った。

「今行先輩は……普通の人なんですね」
「普通の人?」

 私が聞き返すと、星華ちゃんは優しく笑い、頷いた。

「はい……だから、私がその、普通の生活を壊したらダメだと思うんです」
「……?」
「だから、その……私は……!」

 星華ちゃんがそこまで言った時、窓の外に、一瞬、青い、魚みたいな女の人がいるのが見えた。
 あれは確か……ロブメモワールの!

「ごめん、星華ちゃん! ちょっと、急用思い出した!」
「え、ちょっと先輩!」

 呼び止める星華ちゃんを無視して、私はAdessoを飛び出した。
 青い女の人を追いかけて路地裏に入ると、すでに、そこには倒れ伏す男の人の姿があった。

「あれ、杏。何してんの? あの生意気モデルは?」
「瑞樹ちゃん!」

 路地を覗き込む瑞樹ちゃんは、私の目の前で倒れる男の人を見てすぐに血相を変える。
 私はそれにすぐにラブメモリーウォッチを構えた。

「行くよ、瑞樹ちゃん!」
「う、うん!」

 瑞樹ちゃんもすぐに鞄からラブメモリーウォッチを外して手首に装着する。
 それから男の人に掲げて胸元を裂かせ、異空間に飛び込んだ。


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