二次創作小説(新・総合)

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AfterBreakTime#CR 記憶の軌跡【完結】
日時: 2021/08/11 22:27
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: ADnZqv8N)

どうもです、灯焔です。
自作品でも表明しました通り、逃走中のゲームパート以外の場面をこちらに連載いたします。
コネクトワールドの住人達がどんな運命を辿っていくのか。物語の終末まで、どうぞお楽しみください。



※注意※
 ・登場するキャラクターは全て履修済みの作品からの出典です。かつ基本的な性格、口調等は原作準拠を心掛けております。が、表記上分かり易くする為キャラ崩壊にならない程度の改変を入れております。
 ・原作の設定が薄いキャラクター等、一部の登場人物に関しては自作設定を盛り込んでおります。苦手な方はブラウザバックをお願いいたします。
 ・誤字、脱字、展開の強引さ等ございますが、温かい目でお見守りの方をよろしくお願いいたします。
 ・今までのお話を振り返りたい方は、『逃走中#CR』の過去作をご覧ください。
 ・コメント等はいつでもお待ちしておりますが、出来るだけ『場面の切り替わりがいい』ところでの投稿のご協力をよろしくお願いいたします。
  また、明らかに筋違いのコメントや中身のないもの、悪意のあるもの、宣伝のみのコメントだとこちらが判断した場合、返信をしないことがありますのであらかじめご了承をよろしくお願いいたします。



<目次>
【新訳・むらくもものがたり】 完結済
 >>1-2 >>3-4 >>5-6 >>7 >>8 >>9-13 >>19-20 >>23-27

【龍神が願う光の世】 完結済
 >>31 >>34-36 >>39-41 >>42-43 >>47-56 >>59-64

【異世界封神戦争】 完結済
 >>67-69 >>70-72 >>73-75 >>76-78 >>79-81 >>82-83 >>86 >>87 >>88-90 >>93-98

<コメント返信>
 >>14-16 >>17-18 >>21-22 >>28-30
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 >>84-85 >>91-92 >>99-100

#CR08-4 かみさまは悪夢を見る ( No.1 )
日時: 2021/03/14 23:36
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: bUOIFFcu)

前田の声掛けを皮切りに、『異界』のポップンワールドについての情報を得に書庫までやってきた一同。
しかし、そんな簡単に見つかる筈もなく…。やっと見つけた手掛かりには、残酷な『現実』が書かれていました。

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~運営本部 書庫~



前田「さぁ。この書庫を全部漁って手掛かりになりそうなものを持って帰りましょう!」

ソティス「それにしても…。とんでもない書の量じゃのう。わしがここに来た時はもっと少なかったように思うが」

ベレス「それだけ寄贈してくれる人も増えたってことだよね。この人数でもこの量は…。少し骨が折れそうだね」

大包平「何を言っている。しらみつぶしに探せばいいだろう!!」

クルーク「この人数でも適当に探せば夜中までかかっちゃうよ…」

マルス「だけど、ジャンル分けをしたの随分と前だからね…。完全に、とは言えないけれどバラバラの場所に仕舞ってある可能性もある。ある程度区域を決めて、何人かのグループで探すとしようか」



 書庫には、クルークがMZDから過去を聞いた時よりもずっと多い書物が所狭しと並んでいました。アシッドが本部に協力してくれるようになってから、随分と寄贈書も増えたというものです。星の数もある書の数々に少し後ろめたさを感じた一同でしたが、手掛かりを探すには手を動かすしかありません。
 早速数人のグループに分かれ、場所を決めて情報を探し始めたのでした。が……。












クルーク「見つからないよー!」

三日月『刀の目線から見てもよく分からんな』

ルキナ「もしかしたら、『異界』に纏わる文献は寄贈の数が少ないのかもしれません。神々ですらよく分からないものだと言っていましたし…」

ごくそつ「なんだよそれー!こんだけゴミみたいに本が並んでるっていうのにさ!そこから数個しかないお宝を探せとかさ!それぼくがやることじゃないよね!手伝うって言った以上やるけどさ!きょひょひょ!
     ……そういえばさ~。大包平くんは『異界』について知ってることはないの?」

大包平「主。一体どうしたんだ?」

ごくそつ「いや~。前の大会の時に『審神者』っていう職業に就いていた作者がいてね?その人大包平くんのこと知ってたんだよね~。だから『異界』にもきみはいるんでしょ?何か知らないかな~と思ってさ」

ルキナ「確かにアスク王国にも『異界』についての話は有り余るほどありそうですが…。当のアルフォンス王子が逃走者として参加していますし…。シャロン王女やアンナさんも手が離せないようでこちらには来れないそうなのです」



 どうやら『異界』に纏わる蔵書は数が少ないらしく、情報の会得には困難を極めていました。メインサーバの一同総出で探しても中々見つかりません。
 ふと、手を動かしながらごくそつくんが大包平に『異界のことについて知らないのか』と問いかけました。確かに大包平は本丸ごとに別の大包平が存在しています。であれば、彼が何か知っていてもおかしくはないとごくそつくんは考えたのでしょう。
 ……しかし。大包平は少し考えた後。はっきりした大声でこう返したのでした。



大包平「知らん!!!」

クルーク「それは元気よく返す言葉なの…?」

大包平「知るも知らんもまずは声を張り上げなければ伝わるものも伝わらんからな。お前もあの陰気な刀のようにはなりたくないだろう!」

マルス「少なくともきみの前では容赦がないようにぼくは思えたのだけれど…」

三日月『はっはっは。あいつは仲のいい身内に対しては特に容赦がない物言いをするからなあ』

ごくそつ「勢いがあるのは裏がないから別にぼくはいいけどね~。きょひょひょ!当てにできるものが無いなら手を動かすしかないね~」



 大包平も政府の刀であることには変わりないのですが、前田の反応からして何も知らない可能性の方が高そうです。それならそれでいい、とごくそつくんは再び手を動かし始めたのでした。
 ルキナが当てにしているシャロンやアンナも今回は手が離せない用事があるそうで。そうなれば、この書物の中からどうにかして探し当てるしかありませんね。










 ―――更に時間が経った頃、別グループで書物の棚を漁っていたソティスがふと、異質な気配を感じます。気配の先にあるのは……。分厚い本に挟まれた、手帳のようなサイズの本でした。
 気になった彼女は取ってみようと考え手を伸ばすものの、いくらジャンプをしても背伸びをしても届きません。ぐぬぬぬぬ、と分かりやすく声を荒げても意味がありません。
 それでも諦められない彼女の隣で、いともたやすくベレスが『目的の本』をひょいと取り上げてしまったのでした。



ベレス「ソティス。この本が気になったの?」

ソティス「そうじゃ!……なんじゃなんじゃ!もう少しで取れそうであったのに!邪魔をするなベレス!」

ベレス「いやぁ。いくら腕を伸ばしても届かなさそうだったからつい」

ソティス「むぅ。いつかおぬしの背を超えてその本など容易く手に収めるわ!」

ベレス「まぁまぁ。―――話を戻すけど、ソティス。この本が気になったんだよね?」

ソティス「だからそうであると言っておろうに。どうにもこの本だけ、異質な雰囲気を感じてのう。手にしてみたくなったのじゃ」

ベレス「形状からして誰かの日記みたいだけど…。皆を集めて読んでみる?」

ソティス「汚れはついていないが、少し古めかしいものっぽいからのう。ベレス、疾く皆を集めよ!」

ベレス「分かった。ソティスは先に椅子に座って待ってて」



 ベレスが手に取り、ソティスに渡したのは日記のような古めかしい手帳でした。使い込まれた形跡があり、誰かが書き残したもののようです。その異様な雰囲気といい、ソティスにはどうも放置しておけないものだったようです。
 ソティスがみんなを集めて読むように提案し、ベレスに一同を呼んでくるように頼みました。そのままベレスは別の書物の並ぶ棚へ。ソティスはそのまま大きな机がある場所に歩いて行ったのでした。








 ソティスが椅子に座って待っていると、ベレスが書庫にいた面子をぞろぞろと引き連れて机へと近付いてきました。彼女の持っている古い手記をちらりと覗いては、各々空いている椅子へと座りました。
 全員が座り終わったところで、ベレスが周りを見回しながら手記について話し始めたのでした。



ベレス「みんな、来てくれてありがとう。実はソティスが手掛かりっぽいものを見つけてね…。見てもらいたかったんだ」

前田「手がかり…。もしかして異界について記された文献が見つかったのですか?!」

ソティス「そうではない…のじゃが、どうも異様な雰囲気を醸し出していた書物があってのう。ベレスに頼んで取ってもらったのじゃ」

クルーク「それが…。ソティスさんの持っている本ってことだよね?手記か日記のようにも見えるけど」

マルス「手帳のようなサイズだから、スケジュール帳のようなものかもしれないね。セテス殿が持っていたものと似ているよ」

ソティス「とにかく!この中に手掛かりがあるかもしれん。みな、疾く集まるのじゃ。そして内容を目に焼き付けよ!」

ごくそつ「そんなこと言われなくたってちゃんと目に焼き付けるよ~。ソティスちゃんはせっかちなんだから~。きょひょひょ!」

ベレス「せっかちなんじゃなくて好奇心旺盛なんだよ」

ソティス「そこ!!!うるさいわ!!!」



 からかわれながらもソティスは手に持っている手帳を開き、みんなに見えるようにひっくり返しました。そこには文字がつらつらと連なっており、文面的に日記のように一同は感じました。
 ―――内容を頭に叩き込むように、一同はその中身をゆっくりと読み始めるのでした。




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<49ページ目>
 ポップンミュージックは終わった。この世界は終わってしまった…。『現』が、ポップンを必要としなくなった。『ポップンパーティ』は25回目で完全に終わる。そう告げられた。異世界のポップンは歴史が続くかもしれないが、少なくとも『この世界』のポップン。強いてはこの世界の全てのものが終わりを告げる。そう未来が告げていた。
 だから、異世界の自分達も同じ道を歩まぬよう。この世界の顛末を迎えないように、『この世界』に何があったのかをこの手帳に残そうと思う。


<50ページ目>
 事の始まりは、25回目のポップンパーティが終わった後だった。25回目のポップンパーティは、ポップンミュージック20周年の大事な節目の宴。これからのポップンの歴史を作っていく為の架け橋だった。だが……。その宴は、次に繋ぐことも無く唐突に終わりを告げた。
 見たことのない黄金の龍が、パーティ会場を……いや。世界を壊し始めた。その龍は神のように美しかったけど……感情のままに次々と在るものを破壊していく様は、皆が崇め称える『神』等ではなかった。過去に参加した誰かが言っていたような気がする。『竜族は時折は破壊衝動に襲われるのだ』と。龍神は我を忘れていた。その言葉通りだった。だけど……異世界の未知なる脅威に、この世界の常識は通用しなかった。
 自分の神の力を最大限使っても、目の前のうさぎと猫の少女しか助けることが出来なかった。音に溢れた世界は、一瞬で音すらもならない『滅び』の世界を迎えてしまった。


<51ページ目>
 自分の身体にも異変が起こっていた。全力で少女達を守った弊害で、神の力を使い果たしてしまったのだ。自分を支えてくれた影ももういない。最後は彼女達に襲い掛かる神の力を、自分の身体を持って庇うことしか出来なかったのだ。
 身体は消えてしまったが、この世界に1000年以上も根付いた魂がそう簡単に消える筈がない。目の前の少女達は泣いていた。泣いて、泣いて、泣き果てたその向こうに―――。何か『危険なもの』が見えたような表情をしていた。少なくとも、自分はそう感じていた。
 嫌な予感がよぎったのも束の間、よろよろと立ち上がった少女達はパーティ会場に残っていた『小さな闇』に向かって歩いていく。その闇を見た瞬間、この世のものとは思えない魔力を感じた。少女達を止めたかったが、止められなかった。
 ……体が、ないのだから。


<52ページ目>
 駄目だ。その闇はこの世の理を覆す危険な力だ。触るな。触るんじゃない。2人の命まで危険に『わたし達が必ず世界を救うから。別の世界のMZDを連れてきて、この世界の神様にしちゃえばいいんだ!』


<53ページ目>
 (この世のものとは思えない文面で、何かの呪文が書かれている)


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ごくそつ「きょひょ…。これ、異世界のポップンの世界だよね?」

マルス「この世界もまた、『異世界』からやってきた竜によって滅ぼされてしまったんだね…」

アクラル「(ん?『竜によって滅ぼされた』…?)」

ルキナ「あの!少し気になったことがあるのですが…」



 ここではない別の世界のポップンワールドが滅びたと、その手帳には書かれていました。異世界の力に対抗できず、守れるものも守れず、目の前の愚行を止めることも出来なかった…。そんな自分を『愚かな神』と称し、その文は書き綴られていました。
 内容に絶句する一同。道を間違えていれば、もしかしたら自分達の知っているポップンも同じ道を辿っていたのかもしれない…。そして、今まさにその『分かれ道』の前にいるのだと、改めて思い知ったのでした。
 そんな中、ルキナが52ページ目を指さしてこんなことを口にするのでした。



ルキナ「この文面、途中から別の人物が書き加えたものではないですか?明らかに筆の質が違うというか…」

アクラル「そりゃそうだろうよ。52ページ目の途中までは、魔法で書かれてんだから。それ以降は実筆だ」

クルーク「魔法で書かれてた?ま、まぁ…文を見れば、この手帳に手記を残した人は途中で身体が無くなっているからそう考えるのも普通だと思うけど…」

大包平「いかんせん信じがたいが、途中から文がおかしくなっていることからもルキナ殿が考えていることは合っているのだろうな」

前田「それと…。53枚目の文章。見たことのないような文字で書かれていますが…。何かの呪文なのでしょうか?」

クルーク「うん。多分、そうだと思う。前に神様に教えてもらった呪文の式とよく似てるよ」



 前田が指摘した呪文にクルークは心当たりがあった様子で、その呪文を指さしながら言葉を続けるのでした。



クルーク「もしかしたら…。神様を攫っちゃったあのミミさんとニャミさん。この手帳の中の2人、なのかもしれない」

ベレス「どうしてそう思うの?」

ソティス「この呪文は…。『幻の不思議の国』を創り出す呪文じゃ。世界を創り出すとも同義。つまり、相当規模が大きい魔法じゃ。使いたい魔法の効力は基本的に大きければ大きい程、支払う代償も大きくなる。
     通常の攻撃魔法も、強い魔法を使いたければ、それ相応の魔力を使用するじゃろう?それと同じじゃ。足りない魔力を、何かで補う必要がある。―――世界を造るとなれば、普通の人間には絶対に無理な領域じゃ」

クルーク「多分…。この系統の魔法…。神様や魔族…魔法に長けた人達でも無理かもしれない。理由は分からないけど…そう思うんだ」

マルス「成程。メフィストと彼女達が手を組んでいれば、彼女達は神様を使って自分達の世界を蘇らせられる。メフィストにとっては邪魔者がいなくなるし、『JOKER』を消す手立てが生まれる。そういうことだね」

大包平「回りくどいことはいい。つまりだ。双方潰し、あの少年を救うのが我々の最終的な目的だろう!」

ごくそつ「過程って割と必要だと思うけどねぇ~?きょひょひょ!」

マルス「最終的にはそうなるけど…。街を入れ替える程に用意周到な彼のことだ。何重にも対策をしててもおかしくはないと思うよ」



 MZDを連れ去ったあのミミニャミの正体が何となく見えてきたところで、書庫にぼそぼそとしたアナウンスが鳴り響きます。恐らくメインサーバからの放送でしょうが……。大包平、眉間にしわを寄せないでください。
 その小さな声は、淡々と要件を伝えます。



『……本部の連中に告ぐ。至急、全員メインサーバに集合するようにと主から指示があった…。音の神の救出、そしてあの道化師を叩く作戦について話し合うそうだ…。時間も惜しい。早く集まるんだな……』

大包平「通信くらいもう少し覇気のある声で話せ!こちらまで士気が下がるだろうが大典太光世!!!」

ごくそつ「一方的な通信だからきみの思いは届かないとは、思うけどねぇ~?」

マルス「あ、あはは…」

ごくそつ「きょひょひょひょひょ~!!!!」



 大包平が届かない大声を発している間にも放送は切れて、彼の賑やかな声だけが残ります。何かメインサーバでも進展があったということなのでしょうね。
 一同は早速書庫を後にし、メインサーバへと向かいます。



ソティス「この書はわしが責任をもって持っていく!心配することはないぞベレス!」

ベレス「この件を解決する手がかりになるかもしれないからね。勿論。君が襲われないよう私が守るよ」

マルス「流石に本部に直接襲ってくるようなことはしないんじゃないかなぁ…」




 どことなく的外れな会話とそれにやんわりと突っ込む声と共に、足はメインサーバへと向かって動いていくのでした。
 ―――この手記。MZD救出の手がかりになるといいのですがね…。


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