二次創作小説(新・総合)
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- AfterBreakTime#CR 記憶の軌跡【完結】
- 日時: 2021/08/11 22:27
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: ADnZqv8N)
どうもです、灯焔です。
自作品でも表明しました通り、逃走中のゲームパート以外の場面をこちらに連載いたします。
コネクトワールドの住人達がどんな運命を辿っていくのか。物語の終末まで、どうぞお楽しみください。
※注意※
・登場するキャラクターは全て履修済みの作品からの出典です。かつ基本的な性格、口調等は原作準拠を心掛けております。が、表記上分かり易くする為キャラ崩壊にならない程度の改変を入れております。
・原作の設定が薄いキャラクター等、一部の登場人物に関しては自作設定を盛り込んでおります。苦手な方はブラウザバックをお願いいたします。
・誤字、脱字、展開の強引さ等ございますが、温かい目でお見守りの方をよろしくお願いいたします。
・今までのお話を振り返りたい方は、『逃走中#CR』の過去作をご覧ください。
・コメント等はいつでもお待ちしておりますが、出来るだけ『場面の切り替わりがいい』ところでの投稿のご協力をよろしくお願いいたします。
また、明らかに筋違いのコメントや中身のないもの、悪意のあるもの、宣伝のみのコメントだとこちらが判断した場合、返信をしないことがありますのであらかじめご了承をよろしくお願いいたします。
<目次>
【新訳・むらくもものがたり】 完結済
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【龍神が願う光の世】 完結済
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【異世界封神戦争】 完結済
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<コメント返信>
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- #CR10-8 -1 ( No.82 )
- 日時: 2021/07/17 22:06
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: 1lEcCkWN)
~天界~
「イテテテ……」
何者かに殴られた感触をアクラルは感じていました。落ちたんじゃない、これは殴られた。では一体誰に。暗闇からぱっと目を覚ますと、その視界には今にも自分を殴ろうとしているアカギの姿がありました。
いくらなんでも起こす為に暴力を起こすとは何を考えているんですか。
「あ…。起きた…」
「『起きた』じゃねーよ!何殴ってんだお前!!痛い!!!」
「普段サクヤにつつかれてるから…別にいいかなって…」
「良くねーよ!!俺を殴っていいのはサクヤだけだ!!」
「あの…。四神同士で言い争っている場合ではないと思いますが」
唐突に響いてきた数珠丸の声でハッと我に返る四神2人。本当に大丈夫なんですかねこいつら。そして、アクラルは自分が大神殿から飛ばされてこの場所で目を覚ましたのだと瞬時に判断しました。
足元には真っ白な雲が広がっていましたが―――。どこか、淀んだ空気も感じます。アンラが天界を占領してしまった何よりの証でしょうね。
「ここは?神殿じゃねーっぽいけど」
「俺達…多分バラバラに飛ばされたっぽいな…。他の連中は…幻を見せられてるっぽいけど…。ここは…本物だな…」
「幻、か。アンラのヤロー、きっとそれで閉じ込めた奴らの心を壊すって寸断かよ!胸糞わりーな」
「ですが…徐々にその力が和らいでいます。彼らが試練を突破した何よりの証拠でしょう」
「そうだね~。ぼく達もここに飛ばされたんなら、『核』ってやつを探さないとね!」
「ごくそつ!大包平!オメーらどこに行ってやがったんだよ!」
「数珠丸殿に頼まれ、辺りを散策していたのだ。貴様らがいつまで経っても起きないものだからな!」
話をしていると、ごくそつくんと大包平が合流。どうやら数珠丸に頼まれて辺りを調査していたようですね。大包平、ここでも数珠丸のいうことは素直に聞くんですよね。他の三振にはライバル心剝き出しにする癖に。
調査の結果を早速聞いてみると、大包平は1つの場所を指さしました。何やらそこに『核』があるみたいですね。
「向こうから邪悪な霊力を感じる。もしかしたら『核』が近くにあるのかもしれん」
「向こう、か…。アンラの力も近けーな。ってことは…根城の近くに核はあんのか。厄介だな…」
「厄介、厄介じゃないとか言ってる場合じゃない…。強い邪気があるのなら、早いところ壊さないとな…」
「『核』…。一体どんな形状をしているのでしょうか」
「行ってみなければ分からん。時間も惜しい、さっさと行くぞ」
アンラの根城の近くに『核』があるとなれば、彼女も察知していそうですね。随分と余裕に見えますが、何の魂胆があって『核』を近くに設置したのやら。
不思議に思う一同でしたが、あまり考えている時間はなさそうです。自分達が行動するのが遅くなれば遅くなるほど、アンラの軍勢は門から増え続けます。それすなわち、地上への影響も強まるというもの。
早く『核』の元へ行こうと大包平が催促し、案内を買って出ました。彼を先頭にして歩き出した矢先。
『うきゃああああああ!!!!!』
―――一同が向かおうとしていた方向から、少年の悲鳴が聞こえてきたのでした。
「クルーク?!」
「なっ…?!悲鳴だと?!」
「襲われてるのではないでしょうか…?まさか。1人だけ別の場所に飛ばされた可能性は…」
「もしかしたらとんでもないことになってるかもだからね~。とっとと気配がする場所に急ぐよ~!」
クルークは優秀な魔導師見習いだとはいえ、彼らから見てみればまだまだ幼子の部類。そんな少年が1人で何者かに襲われているとなれば―――。
『急がなければ』。脳裏にそんな考えが浮かび、一同は急いで悲鳴があった場所まで走っていくのでした。
~天界の『蔵』~
「貴様、その紅い魔力は―――」
「なんで今になって…!」
一方、悲鳴を出した方のクルーク。斧を持った道化師らしき人物に襲われていましたが…彼自体は無傷。というか、彼の持っている本が紅く光り、そこからバリアのようなものが出現し彼を守っていました。
他の人物とは違い、1人だけ蔵の近くで目覚めた彼。話にあったそれを見つけ、身を潜めて待っていようとしていたところを道化師に見つかってしまったようなのです。そして、彼が攻撃を仕掛けてきたと同時に本が共鳴するかの如く勝手に動き出し、今に至ります。
まさか本が魔力を発するとは。道化師は驚いていました。ちなみにクルークも別の理由で驚いていました。
「今までうんともすんとも言わなかったじゃないか~!」
「……そうか。『ふういんの記録』。貴様が持っているのはそれか」
「ひっ…?!な、なんでそれを?!渡せと言われても渡さないぞ?!」
「メフィスト様が欲しがっていたのだ。それも…今になっては無駄だがな…。今更寄越せとは言わん」
メフィストから話を聞いていたパターンでしたか。あいつ、力のありそうなものは片っ端から色々調べていたようですね。結局私怨でMZDとヴィルヘルムに狙いを定めていたようですが。
それはともかく。クルークは先程まで感じていた道化師の殺気が消えたのを不思議がり、本をぎゅっと握りしめながらも考えていました。今なら隙をついて逃げられるかもしれない、と。
彼が本の魔力を導き出し、魔法を出そうとしたその時でした。
『クルークー!大丈夫か……ってなんだその魔力?!』
向こうからアクラル達の姿が見えました。彼の名前を呼んでいることから、あの悲鳴を聞きつけやっと到着したのでしょう。
彼の近くに到着した…のはいいのですが、クルークの持っている本から邪悪な魔力が溢れていることに気付き思わずしかめっ面。何せ彼らの背後にある蔵の邪悪な気配よりも強いんですから。
「蔵がある…ということは、あの中に邪神の集めた刀剣があるのでしょうね。しかし、何故少年の持っている本からの邪気の方が強いのでしょうか?」
「考えるのは後にしろ!クルークを助けんぞ!―――揺らめけ、炎よ!!」
彼の本については、目の前の道化師を何とかしてから話を聞いても遅くありませんからね。そう言い放ち、アクラルはその道化師に向かって炎の魔法を一発。ストレートに飛んで行った為、軌道を読まれ避けられましたが隙は与えることが出来ました。今のうちにクルークを助けましょう!
「おいクルーク!座ってないでこっちに来やがれ!!」
「う、うん!」
クルークに声をかけて、こちらに逃げるよう促します。その様子を見つつ、彼は敵情視察をしていました。記憶を書き換えられていたベリアや自我を失っていたベリトとは違い―――タナトスは見た目上は自我をしっかりと持っているとアクラルは感じました。
炎による煙が消えた後も、彼が襲ってくる気配はありません。そんな行動に、アクラルは戸惑いを覚えました。
「襲ってくる気配がない…?どういうことだよ」
「…………」
どうやらタナトス側もこちらが攻撃をしてこないと察知し、なんと斧を仕舞ってしまいました。警戒を解かない彼らでしたが、タナトスはそのままアクラル達の元まで歩いてきました。
何を考えているんでしょうか…。そのまま彼らに向かって真っすぐ目を向けるタナトスに、思わずアカギが口を開きます。
「戦わないのか…?」
「―――貴様らが戦う気があるのならば。無いのならば、無用な殺傷を増やすこともあるまい」
「……あれっ?なんか拍子抜けしちゃうんだけど。ぼくいっぱい兵器とか仕込んで来たんだけどな~」
「意外な返答だな。……だったらその蔵、壊させちゃくれねーか?その中に何があるかはもう分かってる」
「……そうだな。出来るならば私も壊したいのだ。この『蔵』を。この蔵こそが、あの門を生成している『核』の1つなのだから」
「……蔵が、核の1つ…。邪悪な霊力はそれだというのですか…」
タナトスも、もう戦うのに疲弊していたようです。戦う必要がないのなら、と彼らに話を持ち掛けてきたのです。
仲間の道化師を次々道具のように扱うアンラに、タナトスの心も耐えられなかったのでしょう。まだ、彼の中ではメフィストの方が何倍もマシだと思える程に。
そんな彼の心情を聞いたアクラル達は、どうすればいいのか分からなくなりました。蔵は壊さねばならない。しかも守っている筈のタナトスも目的が一緒。ならば壊せばいいだけの話ですが…。壊してしまったら、彼の身が無事では済まないことは誰もが分かっていました。
「『壊したい』って…。オメーはどうなるんだよ。オメーもその蔵守る為に、あのクソ邪神になんか言われてんだろ?」
「あぁ。だが…もう、疲れたのだ。メフィスト様も消滅した。ベリアもベリトも消滅した。他の道化師達も自らの保身の為に魔界に帰って行ったよ。―――こんな顛末、誰が望んだんだ」
「……そう思うなら。協力してくれ。…俺達はここの蔵の刀剣達を救わなきゃならない…」
頭を下げ、アカギがアクラルにそう頼みました。そう。『核』を壊すのもそうですが。彼らの目的はその中にある刀剣達を救うこと。サクヤと大典太から託された、ソハヤや秋田達との約束を果たすこと。
その為に手段は選んでいられませんでした。相手が『壊したい』と思っているのだから、協力してはくれないかと。アカギはそう、真剣に頼んだのでした。彼の行動に数珠丸の感銘を受け、一緒に深く頭を下げます。
彼の真摯な行動に、タナトスは『アカギの決意は固く、揺るがないものだ』と感じていました。
「刀剣男士が邪神等に惑わされることなど…あってはならんことだからな。もし協力してくれるというのであれば―――俺達も穏便に話を済ませよう」
「それによ。ベリアもベリトも『消滅した』ってのはちょいとちげーな。ベリアは奇跡的に人間に戻れて、今は人間らしい人生を送ってるよ。ベリトも―――消滅しちまったのは事実だけど、最後の最後に。人間としての記憶を取り戻した。
だから…オメーが思ってるような悲惨なことにはなってねーよ。安心しやがれ」
「…………」
アクラルから彼女達の事の顛末を聞いたタナトス。その表情は―――まるで人間のように穏やかでした。本当に彼らのことを心配したからこそなのでしょう。
―――『道化師だって元々は人間。被害者なんだ』。過去に誰かが言った言葉が脳裏に蘇ります。
「そう、か。そうなのか…。お前達が救ってくれたのだな、あの2人を…」
小さく呟くと、彼は何かを決意したように蔵の中に案内することを彼らに告げました。
思わぬ返答に一同も驚きを隠せません。まさか、信用させて騙す作戦かとごくそつくんが問いましたが、タナトスはそうではないと即座に反論。
―――本当に彼らを騙す魂胆ではないようです。
「……いいのかよ?俺達に協力することは…多分あいつにも筒抜けだぜ。何されるか分かったもんじゃねーんだぞ」
「あぁ、分かっている。そんな覚悟がなくてはこんな言葉…出てこないだろう?この蔵はアンラの邪気で造られている。その邪気を完全に祓うことが出来れば…この蔵は破壊できるだろう」
「邪神の邪気…。大典太殿の時と同じですね」
「ならば物理的に破壊してしまえばいいだけの話になる、が…。それでは中の刀剣が傷付いてしまう可能性があるな」
「私もそう思う。だから―――」
蔵の中にあるアンラの邪気を全て祓うことが出来れば、蔵は破壊できるとタナトスは告げます。その邪気を払う方法―――。タナトスは真剣な表情をして、数珠丸の方向を向きました。
「数珠丸恒次。お前の力を借りねばならない」
「私の…?」
「………?」
大典太があの幻の本丸で思っていたこと。三日月が幻の学園で察したこと。もしかしたら―――。本当なのかもしれません。
数珠丸は突然そんなことを言われ、眉をひそめていたのでした。アカギはそんな数珠丸を、ただ心配そうに見守ることしか出来なかったのでした。
- #CR10-8 -2 ( No.83 )
- 日時: 2021/07/18 22:02
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: Dbh764Xm)
「数珠丸さんの力が必要って…どういうこと?」
タナトスの言葉にすかさず疑問を問いかけるクルーク。まるで数珠丸の内に秘める異常な霊力を知っているかのような口ぶり。誰かに教えてもらったりでもしたのでしょうか。
彼の疑問にタナトスは『確かにな。私が知っているのは通常であればおかしいな』と答え、改めて一同に話し始めたのでした。
「貴方がたは…もしかして、我々の出自をご存じなのですか?」
「メフィスト様亡き後、天界で話を聞いた。この世界にある天下五剣は『特異な霊力を持っている』と。……目の前で、その闇に染まった天下五剣の一振も直に見たぞ」
「あー…。鬼丸と童子切はクソ邪神の手元にあるんだったな。そりゃ話聞いててもおかしくないか…」
数珠丸のその異常な霊力。それを利用して、蔵の中にある邪気を全て祓ってしまおうとタナトスは考えていました。アンラですら関心させる、異常な霊力を持った五振の刀剣…。彼らならば、自分達にかけられた呪縛も解いてくれるのではないかと。タナトスは希望を抱いていたのです。
そんな彼の言葉に、数珠丸もどこか思うことがあったようで…。その頼みを、静かに首を縦に振ることで承諾したのでした。
「…承知しました。蔵の中に案内してください」
「そうか。感謝する、天下五剣よ。―――道化師の苦しみも、これで終わりにしてくれればいいのだが」
「そういやよ。メフィストが消えてずいぶん経つけど…あいつらに道化師にされた奴は今どうなってんだ?」
「人間だった頃の記憶は既に皆失っているさ。ただ、崇拝する主が消えたから…日々を必死に生きているんだろうよ」
「あるべき人生を歩めないというのは哀れなものだが…。救えないというのも皮肉なものだな」
「ま、でもさ~。ぼくたちは少なくとも莉愛ちゃんとベリトは助けてるわけだし?そう心苦しく思うことも無いんじゃないの~?」
「……そうだ。普通であれば、長い間別の姿に変えられた者に人間の記憶を取り戻すことは不可能だからな」
言い終わると、タナトスは早速蔵の中に案内してくれると言葉を続けました。しかし…全員で行ってしまっては、仮にアンラがこの蔵を襲撃してきた時に対処が出来なくなってしまいます。
話し合いの結果、蔵の前にアクラルとごくそつくんが残り、それ以外の面子は数珠丸、タナトスについて行くことになりました。
「くれぐれも気を付けろよアカギ。どれくらいの刀剣が仕舞われているか知らねーが、中からとんでもねー『負の気』を感じる。あいつに植えられた恨みとかつらみとか全部ぶつけてくる可能性があっからな」
「あぁ…。だけど、数珠丸をここで待ってる訳にも行かないからな…。『主』って呼ばれてるからには、その責任はきちんと取るから…」
「そんなに過剰に心配しなくとも、数珠丸殿ならば大丈夫だと思うがな。……どうした。俺の言葉が信じられないのか」
「いえ、主は単純に気遣ってくださっているのですよ。……お心遣い感謝いたします主」
「いちお~ぼくは外で待ってるね~。大包平くん、なんかあっても戦わずに逃げるのも大事だからね~?きょひょひょ!」
「敵前逃亡など俺の心情に反する…が、得体のしれないものだからな。肝に銘じよう、主。それで……少年。ここで待っていなくていいのか」
アカギは数珠丸と最初から一緒に行くことを決めており、大包平は『刀剣男士は自分で助ける』と自分で言っていた為ついて行くのは分かりますが…。彼は再度クルークに待っていなくてもいいのか、と確認をしました。
クルークがついて行く理由はありませんからね。この場所より危険な可能性が高い以上、待っている方が得策なこともあります。しかし…彼の決意も揺らいではいなかったようです。小さく首を横に振り、自分もついて行くと答えたのでした。
「もしこの本と同じ目に遭ってたら…それこそ苦しいじゃないですか。ボクの知恵が役に立つことだってあるかもしれないじゃないですか!」
「ほう。そこまで断言するのならば俺はこれ以上何も言わん。だが、弱音を吐いても自己責任だからな」
「……そろそろ話を切り上げて、蔵の中に行くぞ。皆、準備は良いだろうか」
改めて確認を一同に迫ると、皆一様に無言で首を縦に振ったのでした。
その様子をしかと見たタナトスは、黙って蔵の鍵を開けます。……扉の隙間からの霊力でも分かる。この蔵の中には―――仕舞われている全ての刀剣男士の感情が籠っている、と。
静かに中に入っていく3人と二振の背中を見守りながら、アクラルは無事に戻ってくることを心で祈ったのでした。
~天界の蔵 内部~
「…………」
「かなりのものだと想像はしていましたが…これは…」
蔵の中は殺風景でした。ただ、壁に多数の刀剣が無造作にかけられている。長年手入もされていなかったのでしょう。場所によっては埃が舞ってしまっています。
……一同が感じたのはそれだけではありませんでした。アクラルが示唆した通り……。
『主!どうしてなんだ!何故本丸を解体するなどと……!!』
『酷い…。かわいいでしょ?かわいいって言ってよ!なんで俺達を見捨てるんだよ!!』
『もう主は僕達のことなんて見向きもしない。その目がもう、雅ではなくなったんだ』
『一緒に世界を作る言うたのは…嘘やったんやか主…!なぁ、答えとーせ主…!』
『写しとか写しじゃないとか、関係ないって主は言ったが…。主は変わった。政府のせいで主が壊れた…!どうしてくれるんだよ!!』
そこかしこから、刀剣の『声』と思われるものが耳に入ってきたのです。自分達に向けられているものではないのは誰もが分かっていました。ですが…その心の声はあまりにも悲痛なものでした。彼らが邪神に悪夢を見せられているからそうなっているのか。実際、過去に辛い思いをしたからなのか。
鳴りやまないその負の声に、思わずクルークが涙目になってしまいます。そんな彼の背中を数珠丸が優しく擦りました。
「そのご本を絶対に離さないように。邪悪な力でも…今は貴方を守ってくれるお守りになってくれている筈ですから」
「……はい」
「でも、クルークが耐えられないのも俺は、分かる…。実際に聞こえてきた声だけじゃない。沢山の刀剣の負の声がこれほどまでに強まっている…。―――一体、どれ程の期間この蔵に仕舞われていたんだ…」
「私は最近この蔵を任されるようになったのでな。アンラの邪気に耐えられぬと思い、今まで開けられていなかったのだ。だが、これだけ多くの『負』が一斉に襲い来るということは…」
「俺が思っている以上の長い期間、この蔵に封じられていたということになるのだろうな。くっ…もっと早く助けてやれば苦しまずに済んだものを―――!」
あまりに強い負の声に、思わず拳を握りしめる大包平。ただ、彼一振でもどうにもならなかったことは事実。このタイミングで助けられるのは…きっと幸せなことなのでしょう。
目的の場所は蔵の2階だというので、タナトスに黙ってついて行く一同。……そんな中、彼がクルークにふとこんなことを聞いてきました。
「少年。聞きたかったことが1つある。その本は何なんだ?」
「……この本」
「私が斧で一度お前を襲ったことがあるだろう。その時に出た魔力が気になってな」
タナトスが気にしていたのはクルークが持っている本の魔力のこと。蔵のものよりも強い、邪悪な力を感じたと彼は言いました。
クルークはしばらく無言を貫いていましたが、しばらく考えて頭の整理が出来たのか重い口を開いたのでした。
「この本には、世間では邪悪って謳われてるマモノが封じられています。ボクはその本の魔力を借りて、自分の魔法の効果を高めているんです。煩いヤツだけど、悪いヤツじゃないとボクは思っています。
でも…。この世界に飛ばされてから、本から出てこなくなって。さっき、タナトスさんに襲われるまでうんともすんとも言わなかったんです」
「…成程な。『紅きマモノ』は強大な力を持つ。かつてメフィスト様も封印のきろくという書物を探しておられたのだ。まさか―――お前のような一介の少年が持っているとは思っていなかったがな」
「タナトスに襲われるまで本から一度も出てこなかった、か…」
クルークの言葉を聞いて、アカギは考えます。何か引っかかりを覚える中、本部にやって来た後の彼の行動を思い返してみました。そして……1つの過程に辿り着きました。
そういえば。彼の面倒を見る等と言って、交流を深めていた少年の姿の化け物が近くにいたことに気付きました。……まさか、その『彼』がマモノを封じでもしていたのでしょうか?
「…エムゼ、かな。あいつ…クルークの面倒をよく見てくれていたと思うし…。その最中にでも本に細工を仕掛けることなら、神であるあいつなら簡単に出来る筈だ…」
「あの道化師から本の魔力を悟られないようにする為…でしょうか。それにしては少々やり方が過激だと思うですが…」
「恐らく、音神も心配しているのだろう。少年が魔の力に見初められてしまわないように、な。……こう、話をしていると既に手遅れな気もするが」
「マモノは封印されてからずっとひとりでした。それが苦しいっていつも言ってました。……前に一度だけ、この本の封印を解いて―――そのマモノに身体を乗っ取られたことがあるんです。だから、なのかな。
あいつに苦しい思いをしてほしくない、って思っちゃうのは。本の中―――本当に暗くて、何も見えなくて、静かで、冷たくて…。あいつの『ひとりは嫌だ』って気持ちが分かるんです。なんとなく」
「(あぁ。だからでしょうか。大典太殿がやけに彼のことを気にかけていたのは…。彼も長年封じられていたから…分かるのでしょうね。『封じられる側』の苦しみが…)」
クルークの話を聞いて、一同は押し黙ってしまいました。タナトスを守っていた時に感じた邪悪な力。蔵のものよりも強いそれは、彼の身体を確実に蝕んでいるということに。ですが…彼の気持ちも分かっていました。本の中の存在を思う気持ちに邪な気持ちはない。純粋に『マモノ』のことを心配しての発言なのだと。
数珠丸はようやく合点がいきました。大神殿で何故大典太がクルークにあんな言葉をかけたか、を。
そんなことを考えている矢先、タナトスの足が止まりました。どうやら目的地に到着したようですね。
「あっ、あれは―――」
クルークが指さした先には、紫色に禍々しく光る宝玉が鎮座されていました。アオイの島にあった、ハスターの紛い物を呼ぶ為の宝玉によく似ています。
タナトスは黙って宝玉の近くまで進み、数珠丸に『これが蔵を生成している』と説明を始めました。
「数珠丸恒次。この宝玉が、邪気を介している媒体だ。この宝玉から邪気を完全に払えば、この蔵は壊れる。刀剣達も邪気から解放されるかもしれん」
「随分と確信のない言い方をするのだな。自信が無くなったか」
「そうではない。心の中にまで沈み込んだ邪気がどうなるかまでは知らん。……現に、私はアンラによって闇に堕ちた刀剣を見ているからな」
「…………」
「だが…この宝玉を破壊せねば、邪気に苦しみ続けるのも事実だ。―――『核』を壊すんだろう」
「……ええ。助けられる命を放置し、おめおめと帰る訳にも参りません。……やりましょう」
そう言って、数珠丸はタナトスに教えられるがままに宝玉の前へ。そんな彼を心配したのか、すかさずアカギも『自分もやる』と彼の隣に歩いてきました。
宝玉からは禍々しい霊力が溢れ出ており、早く納めねば解放されないことは明白でした。
「主。…大丈夫なのですか。私一振でも…」
「俺もやる…。俺も神だ…。一柱より、二柱の方が何倍にも力は膨れ上がるだろう…」
「―――了解しました。助力、感謝いたします」
アカギの決意を聞いた数珠丸は、彼と同時に宝玉にそっと触れました。
その途端、彼らの触れた場所からバチバチと電気が走りました。純粋な神の力、そして法力と、宝玉の中に溢れる邪気が反発し合っているのでしょう。
電力を介し、1人と一振にも痛みが走ります。
「………ッ!」
「大丈夫ですか主…」
「俺は、大丈夫だ…。数珠丸、は…」
「これくらい…。なんのこれしき、です。政府に受けた仕打ちに比べれば、なんてことは…」
「数珠丸殿…」
痛みに耐えながら、宝玉に神の力を送り続けるアカギと数珠丸。
するとどうでしょう。触れ続けていた場所にヒビが入りました。そこから白い光が漏れ始めました。その強さに思わず本で目隠しをしてしまうクルーク。そんな彼を思ったのか、大包平は彼の真ん前に立ち、光を遮りました。
もう少しだ、と確信する1人と一振。更に強く念じると、宝玉に入るヒビは強くなっていきます。そして―――。
『これで…!』
『終わりです!』
ぱきん。その音を最後に、宝玉は粉々に崩れてしまったのでした。
「う…。光、は…?!」
「もう大丈夫のようだ。光は収まった。―――この場を覆う忌々しい霊力も、な」
「ってことは…。この蔵の邪気を祓うことが出来たんですね!」
「そのようだ…」
「やったぁ!やりましたねタナトスさ―――タナトスさん?」
空気が澄んだものになり、蔵を覆っていた邪気が全て消滅したことを確認した大包平。もう大丈夫だとクルークに伝えると、彼は嬉しそうにタナトスの方向を見ました。しかし、彼はそこにはいませんでした。
彼は、安らかな表情でクルークの目線の先で倒れていたのです。
- Re: AfterBreakTime#CR 記憶の軌跡 ( No.84 )
- 日時: 2021/07/19 20:42
- 名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: eN4PzAxv)
どうも、柊です!
いきなり不穏すぎる…連絡が取れないのは不穏すぎる…← そしてヘラ結構短気←
大典太はナイス←
ヘラが連絡を取っている間に役割分担の確認。確認大事、超大事です。一部戦えるメンバーと戦えないメンバーは本部の護衛…ミミニャミ大丈夫なんでしょうか…←
なるほど、ミミニャミが付いていく理由はジェイドを助けたいから、ですか…。MZDさんも折れましたね←
超高校級の面々もいるであろうモノクマとの決着のために…無理は禁物ですが、彼らも譲れないのでしょうね。
他の面々の決意も見ていてこう…胸が熱くなります。クルークの『チカラ』…ぷよぷよはあまりやらなくなっていたのですが、もしや彼でしょうか…?
連絡が付いて天界へ。でも天界はすでにやべーことに。邪気がそれほどまでに強いのですね…。
しかもゼウス達のいた神殿以外は占拠されていると…思っていた以上に不利でとんでもない状況。アクラルさんとアカギさんの棘のある物言いに気になるところですが、そちらよりもゼウスの頼みです←
なるほど、四つの『核』を壊すことですか…確かにそうすれば『門』の消滅にも繋がる…その上、直接『門』を攻撃したら神様でも倒れているならその方が安全かつ確実です。普通の人間もいますからね…安全第一←
アンラのセリフが出た瞬間、めっちゃゾワってなりました← 画面越しでもゾワっとさせるアンラ…流石は邪神(多分そういう問題じゃない)←
あああああみんなが!! しかも鬼丸も近くに!? あああ、あああ…(語彙力0)
鬼丸の元へは大典太一振で…お守りもあるし大丈夫と言いたい、でも言えない← そしてじんわり涙が←
鬼丸との対峙…つっらい、分かってたけどつらんい← ???がどこか分からなくても、周りが綺麗で心地いいのが皮肉なくらいにつらい←
ああ、声も届かないのですか…何度でも言います、つらんい←
本当ならこんな戦いしなくてもいいはずなのに…と、orzしてしまいそうです←
サクヤさんたちは仲間たちの居場所を見つけられて良かったです。心配なのはめちゃくちゃ分かります。どうかみんな無事に帰ってきますように…!!
ミミニャミたちは『ラピストリア学園』に似た幻の空間ですか…。全員無事でまずは何よりです。
旧支配者も…あのクソアニメさんですね、竹○房を破壊してる…←
神三体とやべー魔術師を一緒にするってアンラどんだけ自信あるんですか…そこまで自信過剰
だとメタ的に言うと大抵やられんぞ…!!← でもアンラのことだからそう易々と行くのか不安です←
やっぱり理事長室怪しいですよねー…。
竹○房さんはどうなっているんでしょうね←
二人のバックアップはアンラでしたか…ところでそうやって見下してるのってメタ的に(強制終了)←
ミミニャミの言葉で教えてくれたものの、まあはいそうですかと渡すわけありませんよね…。
ミミニャミとMZDさんのやり取り好きです←
二人に有利になる様になるなら本当、長期戦になれば不利ですね…。
今まで苦しめられ続けてきたものを利用する…私だったら絶対に思いつかないやつですな←
二人も助けられなくなるなら余計に短期決戦にしなくては…。呪縛を通じて何か伝えたいこと、ですか。ちょっと便利だなぁと思いましたがそれ以上にデメリットデカすぎますね←
一方、ミミニャミ、ニア、旧支配者。目星付けないと確かに長々と探していられませんもんね。目星振りたい← 旧支配者はSAN削るの自重してください←
ニアに探してもらう、ナイスアイデアですね! ニアが何がやべーことに使いそうなのはスルーしておきましょう! 怖いから!←
SAN値!ピンチ!SAN値!ピンチ!
核も見つかりましたね、シャンデリア…その中に紛れ込まされたらすぐに見つかるはずもない…!!
シャンデリアを落とせば確かに核はすぐに破壊できそう…ニアさん触手しまってくださいSAN値ががが←
ジルクファイドがジェイドを、ジャックがジェダイトを誘導…ドキドキしますな…←
ジェダイトに気付かれた時にはドキリとしましたが作戦成功しましたね! あのクソアニメさんの旧支配者とは分かっていますが、旧支配者が銃を使うってなんかシュールですね←
しかし『この世界』での…? 何だか引っかかりますね…。
どちらも怪我はあれど死んではいないことにホッとしつつ、アンラの力だと思うとちょっぴり複雑←
崩壊する幻の空間から一行脱出でめちゃくちゃホッとしました。
次は白猫メンバーですね。こちらも全員無事に目覚めて何よりです。
過去に来たことがあるような場所…? なるほど、三年前まで開催されていたイベントの…。調べたら頻繁に開催されていたものがどんどん期間が開いてましたね…。
核を探そうとした矢先、怪しいピエロが…警戒して当然では←
グレンさんの記憶を取り戻せる…!? すっごい怪しさ1000%!← 案の定やべー液体取り出してきた!! 絶対飲みたくない!!←
けれど飲まないと仲間も出られないとなれば…。何やらピエロは過去を知っているみたいだし、身体が自由に動かなくなってるしで…。
グレンさんが液体を飲んで、あああ、ゾッとした…! ルーファスさんが間に合わなかったらと思うと…!!
ピエロの態度が非常に腹立ちますね、こういうどの口で言ってるんだ的な悪役←
チタとクレアの考えも分かりますね…このまま平和で穏やかな方がって…。
核も飲まされていたとは…いやそんな気はしましたけども!
シェリルとチタがあのピエロを探し、ルーファスさんとクレアが足止めですね…! ピエロがあっさりと答えるとは思いませんが、見つけないよりは断然マシです。
にしても、村人たちとかも身勝手な…もしそんなものを飲まされたら、どんな人であってもダメになりそう…。
クレアとルーファスも結構やばいですね…きつい、いろいろと…!
ピエロは少しお黙りになりやがりまして!?←
しかし完全に否定できない…ゲームによっては愛でカバーできますが、出来ないものも多いですし…でも『ゴミ』と言っていいわけではないんやぞ…!!
正気に戻りかけていたのに…! あああ…!
そんな中、チタとシェリルがピエロ、もといエピタフを見つけましたね! っていうか襲撃したのも記憶奪ったのもエピタフなんかーい!! 最悪すぎる…!!←
私も激おこファイナリアリティぷんぷんドリーム←
しかしシェリルがビームでエピタフを…逃げたかどうかはともかく…時間が止まって…クレア以外全員止まってる…!?
あー!! アシッドさん! だからか!! クレアの右手に刀身の透き通った短剣…想像するだけで綺麗なのだなぁと思います。
それでグレンさんを刺す。相当な覚悟が要りますね…。手が震えるのも無理はありません。
時間が動き出して、グレンさんに、短剣が刺さっていて…混乱してしまいますね← ですが核が吐き出されて破壊! やりましたね!
グレンさんの記憶もそのままに、短剣によって狂気を吸われるために正気に…しかし神の暴走を止めるためのものでやっととなると、本当に大変なんですね…。
とにかく、二つ目の核破壊お疲れ様です!
次は、ダンロン組と三日月ですか。
学級裁判場のような場所…こちらも幻の空間ですかね。石丸くんの近くに天海くんがいてよかったですが、今までとは違って言い方は変かもしれませんが全員近くにいないのですね…。
はい出たモノクマ。別ジャンルでも追いかけましてくれやがるモノクマ…。いやぁ夢の内容どこかで見たような気がしますがきっと気のせいですね!←
モノクマ碌なことしないな!← …『真実』…いやーな予感が…。
この『真実』って…そういうことですか本当に悪趣味だなあのモノクロクマ←
三日月のお陰で石丸くんも天海くんも落ち着きましたね。…神々に隠されていた真実。…ある意味そうですね…。いや天海くんどんな展開になってたんそれ(V3未プレイ)
三日月の異常な霊力がみんなを助けてる…何だか皮肉ですね…。
次に出たのは希望ヶ峰学園…に似た空間。もしや無印の舞台の方の…? モノクマは確かに自分で手を下すより仲間内でギスギスドロドロ何だったらコロシアイ見てるの楽しんでますものね。
保健室に罪木ちゃん発見。ですがその様子は当然…。ゲームの展開に度肝抜かされたのは私だけじゃないと信じたいです。おらえれぇ驚いたぞ← その時点ですごく好きだなーって思ってたのが罪木ちゃんと七海ちゃんだったので←
石丸くんはもっと別の方向でしたからね←
れでぃふぁーすとはなんか少し違う気もしますが刀剣だからね、仕方ないね←
三日月に触れると罪木ちゃんも元に戻りましたね、良かった…!
次は、東条さんが走って…しかも何だかすごくやばそうな…二次でしか知り得ないのですが、確かにこんな風になるような方ではないはず…原作で一体何が起きたというんだ…←
天海くんの作戦で東条さんの暴走を止め、正気に戻せて何よりです。いつかV3やりたい。
最後は田中くん。ハムスターたち可愛いですよね。そんな場合じゃなかったわ←
田中くんは抵抗して気絶…メンタル強いなと思いましたが原作の彼を考えれば妥当ですね…。
モノクマ、おおメタいメタい。交換条件は三日月を渡すこと…。
石丸くんの言葉にもう言い表せることができないくらい感動しております。
グングニルの槍…! ボタンの軽快な音に反してやべーやつ…!
でもここで三日月が顕現!! これで勝つる!! こういう展開大好き侍と申す←
強くて優雅とは流石、天下五剣で最も美しいとされる刀です。
最後は爆発とは…でも全員無事…!
そして、大典太と鬼丸。獣のような戦い方と聞いて、本当に鬼丸は呑まれてしまったのだと胸が苦しくなります。それにしても戦闘描写が凄い。大典太が考えている策…もしや…。だとするなら、大典太が先に折れるわけにはいきませんね。
大典太の言葉がしんどくて辛くて切なくて…でもほんの少しの奇跡に全私と当本丸の粟田口たちがタヒにました← 主に涙腺が←
お守りを握らせ…やっぱりその策でしたか…鬼丸を完全に折らずに済ませるにはそれしかありませんからね…。
鬼丸ぅううううううううう!! あかん、あかん泣く…。
これは天下五剣たちの過去ですか…。外なる神…だから五振りは老人に拾われて、異常な霊力を持っていたのですね。鍛刀した者がいなくなっているのが妙に引っかかりますが、なんというか、必死なのは分かるけど無責任な、と怒りたくなる気持ち…。くぅ…。
でも鬼丸も無事で大典太も重傷でも生きてたからヨシ!! いやほんと!! お守り大事、超大事。鬼丸と大典太のやりとりについ笑みが溢れます。
サクヤさんも合流しましたね。残る核はあと一つ。やっとここまで感あります← 鬼丸、大人しく抱きしめられなさい← うちの鬼丸も粟田口短刀おしくらまんじゅうされてるのですから(主犯、乱藤四郎)←
それにしてもやはり刀剣破壊寸前でしたか…手入れ大事…。そんな中、鬼丸とサクヤさん契約来ましたね!!!! テンション上がってきた(ヘドバン)←
蔵、と聞いてタナトスのことを思い出しました…大丈夫なんでしょうか…。まだ蔵に近い、なら何とかなるかもしれませんが…。でも、本当にやっと…終わったら酒を飲み交わしてください…存分に…!!←
アクラルさん、アカギさんに殴られて目を覚ます← いやつつかれるのと殴られるのはだいぶ違いますよ← アクラルさんもサクヤさんなら殴られていいんですか←
その場にいたのは数珠丸にごくそつくん、大包平ですね。数珠丸には本当、素直に言う事聞くし丁寧なのにと思います←
クルークの悲鳴!? 一体何が!? 赤い魔力…やっぱり彼なんですか…!?
メフィスト、結構調べるものはとことん調べてるんですね←
蔵より強い邪悪な気配…やべーですね(何回やべーと言うのだろう私は)
あれ、タナトス戦う気がないんですか…? って思いましたがそりゃ確かに心が疲弊しますよね…。タナトスの協力も得られて良きですね。
…ベリアとベリトのことを聞けて安心してくれたようで良かったです。
蔵の邪気を祓うには数珠丸の異常な霊力が必要…ただでさえめちゃくちゃ霊力ありそうなのに異常とまで言われるほどなら何とかなりそうです。
アクラルとごくそつくんが残って他のメンバーは蔵の中へ。クルークが少し心配ですが、この決意に私なら否は唱えられないです←
そして蔵の中ですが…手入れしろやぁあああああああああ!!(絶望) しかもこの声、勘違いでなければ初期刀、アッ私の初期刀アッあっあっ(SANチェック失敗)
ワタシノ初期刀、メッチャワカリヤスゥイ…(白目)
え…この中に皆さん入ったの…??? SAN値大丈夫…??? 私だったら即SANチェック失敗からの不定の狂気なんですが…??????
相当長い間閉じ込められていたんですね…そう考えると、あのソハヤと秋田くん凄い…。
クルークの本の中のマモノ。なるほど、MZDさんなら封じられてもおかしくはないですね。クルーク…優しいんですね…。
ハス、失礼信者としての魂が騒ぎました。
宝玉を数珠丸とアカギさんで…辛そうだし痛そうですが、ここで辞めてはいけないですから。そしてやっぱり優しいな大包平←
宝玉破壊! やった! って思ったら…タナトスが…!! あああ…!!
ずいぶん間が開いたせいで長文かつぐだぐだで申し訳ありません!
次回も楽しみにしております。それでは!
- Re: AfterBreakTime#CR 記憶の軌跡 ( No.85 )
- 日時: 2021/07/20 22:45
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: Dbh764Xm)
どうもです。灯焔です。
この文面自体を書いたのが久々です。
物語も佳境となってまいりましたが、一体どういう終わりを迎えるのか。どうか暖かくお見守りください。
>>柊 様
どうもです。コメントありがとうございます!
まぁ実際の神話でも浮気したゼウスの相手に嫉妬して花に変えたり星に変えたり挙句の果ては殺したり、なんて普通にありますから← 怒ってるだけまだマシだと思います()
6回目の件を通して、ミミニャミはジェイドを助けたい。その気持ちはMZDすら納得させてしまう程強いものでした。様々な冒険を通して成長した彼女達なりの答えなのでしょうね。
やっとの思いでたどり着いた天界は荒れ果てており、アンラの侵攻を許してしまっていました。
神々にもピンキリいますからね。それを知っている彼らだからこそ刺々しいのでしょう。
アンラの侵攻を止める為『門』の『核』を壊すことになりましたが、タイミングを見計らっていたのかアンラにほぼ全員バラバラに飛ばされてしまいました。
そして、待ちわびたように鬼丸さんが近くにいるとの連絡も。結局光世さん一振で向かうことになりましたが、心配です。
彼が覚悟していたように、鬼丸さんは完全に自我を失っていました。彼らの望まない死闘が始まってしまいます。
一方飛ばされた面子。先ずはポップン勢。見覚えのある幻の空間に閉じ込めるとはなんと悪趣味な。
クソアニメでコントしてコンビニ爆破してラ○ボーです。あたしゃバラエティ声優だよぉ~~~~っ!!!
SAN値ゴッソリ減る奴らと世界片手間にぶっ壊せるのが集まってますからね。いやー、いつ見てもバケモンの集まりですね。
今までの経験則から理事長室が怪しいと導き出した彼女達は早速向かいます。そこで案の定ジェイド達と対峙。当初の目的である『彼らを助ける』ことを遂行できるのでしょうか。
各々役割を全うし、遂に『核』のありかを見つけ出します。餅は餅屋です。
まぁニアさん正体にゃる様なんでね。いつしか本当にやりかねませんね、うん。そして、みんなで考えた作戦を遂行。気付かれそうになりましたが対抗される前に完遂出来ました。
なんだか意味深な言葉を残して倒れたジェイドでしたが、彼らを助けないとお話になりません。抱えたまま幻の空間から脱出。無事に合流できるといいのですが…。
白猫の面子に関しては私の私怨をたっぷり込めて書きました← 書いたらあかん。
ただ1人の為に必死に石を集めて集めて、ガチャも我慢して我慢して。それでも来ないのでとある日ぽっくり折れました。でも彼への熱が冷めないのでヤケでアプリはアンストしてないのです。
そんなことは置いといて、怪しいピエロに謎の液体を渡されたグレンさん。飲めば記憶が戻るうえみんなを外に脱出させることが出来ますが…。彼は迷った結果意を決してそれを飲み干しますが。
やはり記憶が戻った代償に蛮勇の血に吞まれてしまい仲間を襲ってしまいました。本当ルーファスの反応が遅れたら大変なことになっていました。
こちらも各々得意分野で役割を分け、この事態をなんとかすることになりました。見た目も良くて性能も良いからみんなに覚えてもらえる。恨めしいと何度思ったことか…。
ピエロ、もといエピタフですが結構原作通りに動かせて私としては満足しております← こういうド外道書くの楽しいです←
インフレが激しいゲームだとひしひしと感じられます。『愛』でカバーできる範囲が一番いいです。
白猫の世界が混ざる時に襲撃したのもエピタフだと判明しました。ただし、彼の心は『とある少女』への復讐心でいっぱいなので彼らはゴミ同然としか思ってないでしょうけれど。
一方、ピンチのクレアをアシッドが救いました。そして彼女にとんでもない選択をさせます。もうちょいなんとかしてやれなかったのか…となりますが、アンラに妨害を受けるかもしれない状況での精一杯の手助けですよね。
アシッドさんの渡した刀剣、『ツァンの清められた刀身』を元ネタにしております。しっかりクトゥルフです。
迷っている間にも時は再び動きだし、遂に終わりだと覚悟したクレアでしたが…グレンさんが自分で短剣を心臓に刺していました。そのお陰で核も破壊し一件落着。
6周年関連のイベントで結構ヤバい真実が見えてしまったのでそれを参考に話を広げてみました。……なんで投げっぱなしなんや許さんぞコロ○ラァ…。竹○房の前にこっちを破壊してほしいくらいです。
話を戻して石丸クンと三日月さん。
そしてダイレクトマーケティングを遂にやらかしました。大分気合入れて作ってるのでそっちもみてね←
モノクマによって『真実』を蘇られられる彼ら。ネタバレになるので言えないんですが、悲惨すぎる。原作のようになる前に三日月さんが止めてくれました。もし彼がいなかったら…。
他の3人を探しに裁判場を後にしましたが、保健室では罪木さんを発見しました。案の定大変なことになっていましたが三日月さんの霊力で元に戻す。何かから逃げていた東条さんも元に戻す。東条さんもV3でそれ関連のネタがあるので、もし購入したらプレイしてくださいね。
そして奥の部屋でモノクマと田中クンを見つけますが、そこで三日月さんを渡すように言われます。しかし、そんな言葉に屈する石丸クンではありません。
グングニルでやられると思ったその時。三日月さんが遂に顕現を果たしました。天下五剣で一番美しいとされる話に違わず、余裕を見せた優雅な戦いでモノクマに打ち勝ちました。
光世さんと鬼丸さんの戦いにも決着がつきそうになっていました。
打撃vs打撃なんで全力で殴るし殴られるし斬り合います。きっと。光世さんの作戦を成功させるために自分が先に折れてはいけない、と鬼丸さんの猛攻にも耐え続けます。
そして、お守りを持たせ鬼丸さんの首を掻っ切りました。自分が破壊されるのも覚悟で。多分、鬼丸さんは約束を果たしてくれて嬉しかったんだと思います。だからこそ、口角を上げて光世さんを見ていた。光世さんからしてみればたまったもんじゃありませんけれどもね←
光世さんが見た過去。自分達が顕現された頃の話でした。
ちなみに『天下五剣の鍛刀者』と『外なる神』は同一人物です。そして、光世さんが気付いたことによると『自分達を拾ってくれた老人は軽々と自分達を顕現した』そうな。それを踏まえて考えてみると…?
あれ、確かクトゥルフ神話に人間に比較的友好的な外なる神がいた、ような。
そんなことはともかく光世さんは鬼丸さんに起こされます。二振とも無事。良かった良かった。サクヤも合流し、鬼丸さんとサクヤも契約を果たしました。
光世さんの手入をしに蔵まで行くことに。そうですね、蔵はタナトスが管理することになっていましたものね。
そして蔵近くにとばされたアクラルとアカギ。仮にも神なのに扱いが雑です。アクラルにとってはサクヤは唯一の妹で愛すべき存在です。そりゃ殴られたって痛くない←
そこに数珠丸さん、ごくそつくん、大包平も合流。さてこれからどうしようかという時にクルークの悲鳴。蔵がある場所からだと知り追いかける一同でしたが、そこでクルークの本についてを少しだけ知ることになります。
タナトスは戦う気がないようで、終わらせられるなら終わらせようと協力を持ち掛けてきました。刀剣達を助ける為に、『核』を壊す為に。蔵の中へと突入。
手入はしてないし邪気は濃いし良いことが何もない!前回の光世さんの封じられた蔵の方がマシです←
ソハヤと秋田くんに関しては光世さんの介入も関係しているかもしれませんね。もし彼に触れられていなかったら初期刀と同じように…アワワワワ…。
クルークの本のマモノはずっと本の中から出てきていませんでした。その話を聞いて、アカギはMZDの仕業ではないかと推測を立てます。彼を魔の道へ進ませないようにという彼の配慮なんでしょうが…複雑ですね。
宝玉の元へ辿り着き、破壊に成功しましたが―――。まぁ、アンラの命にそむいたってことでそうなりますよね…。一体彼はどうなってしまうんでしょうか。
物語の顛末まで、どうか暖かくお見守りください。
暖かいコメントありがとうございます。執筆の励みになっております。
マイペースに完結までこぎつけたいと思っておりますので、応援よろしくお願いします。
- #CR10-8 -3 ( No.86 )
- 日時: 2021/07/20 22:52
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: Dbh764Xm)
先程まで一緒にいたのに、何故。唐突な彼の倒れている景色に驚く一同でしたが、更に目を疑うような出来事が襲い掛かってきます。……いや、気付いてしまったのです。
タナトスの身体が足元から灰になっていく姿を。アカギ、数珠丸、大包平はすぐ理解しました。この消滅のし方―――。鬼丸がベリトの首を斬った時と同じだと。
思わず彼の元に駆け寄る一同でしたが、既にタナトスは手遅れ。ですが、彼はこうなることが分かっていたようで…。ばつの悪い表情をする彼らに、震える声で『気にするな』と言ったのでした。
「言ったであろう。この蔵の邪気に侵されて無事である筈がない、と。そして…やはりあの邪神に気付かれていた。こうなるということは…私ももう用済みなのだろうな」
「酷い…酷過ぎるよ…。折角わかり合えたのに…!」
タナトスの傍で泣きじゃくるクルークの頭を、消えゆく彼は優しく撫でたのでした。
普段は子供らしいことをされると嫌がる彼でしたが、今回ばかりはそんな反論を言っていられる状態ではなく。ただ、彼は助ける為に動いただけなのに。自分が危険であることも承知で自分達に協力してくれたのに。その結末がこれ、だなんて。彼は受け入れたくありませんでした。
タナトスは天井を向いて、静かに自らの過去を話し始めました。―――自分がただの人間だった時に味わった、過去の『後悔』を。
「私は……いや、俺は。人間だった頃…孤児院の職員だったんだ」
「人間の…?お前、まさか―――」
「あぁ。取り戻していたんだよ。人間の頃の記憶を。だからこそお前達に協力した。……あんな邪神の思い通りになってやるかと思えたんだ」
「そう、だったのですか…」
「あ…あれっ?でも、ベリアもベリトもあの殺人事件の被害者で、その後にメフィストに道化師にされたんだったよね。タナトスさんは…子供じゃなかったんですね?」
「俺が道化師にされたのは、ベリアとベリトが道化師にされた数年前。……街に本物の『JOKER』が現れてから2年経った後だ」
「2年後…。ってことは、貴方は神様と同じ―――」
「『音無町』に建てられた孤児院で働いていた。……その、JOKERに唆された少年についても知っている」
タナトスの口から語られた事実。それはとんでもないものでした。
彼が音無町で働いていた、孤児院の職員であったこと。会話の内容から、人間の頃のMZDと会っていたということ。そして…彼の直接的な死の原因も、彼が他の人物との交流を避けていたことも。知って、苦しんでいました。
「孤児院でも、少年についての不吉な噂が広まっていてな。実際に、彼と仲良くしようと近付いた子供や職員が次々と不慮の事故や理不尽な殺人に巻き込まれ命を落としていった。
……少年は自分の心を押し殺していた。自分と関わると命を落とすことを、自分が一番よく分かっていたんだ」
「(確か、邪魔者を排除するとかいう名目で、別の神様が関わった人たちを殺しちゃったんだよね)」
「……そのことを俺は悔やんで、どうにかしようと思ったが…。恐怖で足が前に進まなかった。立ち往生している間に―――2年の時が立った。そして……」
「神様はトラックの事故に巻き込まれて、死んでしまった…」
「孤児院を管理する奴らは、あろうことか俺にその責任を全て押し付けられた。勇気を出せなかった結末が、孤児院を辞めさせられたことさ。その時に抱いた負の感情を…メフィストに運悪く見つかり、利用されてしまったんだ」
小さな声で、しかし確かな言葉で孤児院時代の記憶を彼らに話すタナトス。
クルークは考えていました。身勝手な神々のせいで、MZDの人生は滅茶苦茶になった。だが…彼を助けようとした人間は…想像以上にいたのだと。『ひとりぼっち』ではなかったのだと。
過去を語っている間にタナトスの灰化は進み、既に残っているのは顔と首だけになっていました。それでも、タナトスは安らかな表情を変えません。……最後の最後に、自分のやりたいことをやれた。その満足感からなのでしょうか。
「それ以上は充分です。貴方も、既に自らを思い出していた。だからこそ…我々に協力してくださった。感謝いたします。
……せめて安らかにお眠りください。貴方の魂が正しく導かれることを、私も祈りましょう」
1人の子供に躊躇したことへの後悔。そこからのどん底の人生。感じた負の感情をメフィストに利用されたと話し、やはり彼も被害者なのだと改めて思い直した一同。
それ以上はいい、と数珠丸は口止めをします。その代わり、彼は静かに持っていた数珠を顔の前に持ってきて、せめて安らかに魂が天に昇れるようにと法を唱えたのでした。
彼の言葉を聞いたタナトスは、満足したように灰となって消えていったのでした。
「……貴方の魂が、次の人生の幸せを掴むように。私も祈っております」
「数珠丸殿。貴方の気持ちはきっと届いている。もういいだろう。……そろそろ下にある刀剣の回収をせねばな」
「だけど…。今いる人数で全部持ち出せるんですか?ざっと見て90本くらいはあったような…」
「そんなもの、時間と気力さえあれば持ち出せるだろう!」
「大包平はそうでも力自慢が少ない今は無理に等しいだろ…」
そう。彼らがここに来た目的を果たさなくては、ですね。いくら蔵の邪気を祓えたとはいっても、恨みの言葉を表面上に出すくらいには蔵の中の刀剣は負の気に侵されています。念の為、本部に持ち帰って手入をした方がいいのは明白です。
しかし、今いる人数はごく僅か。さらに力に自慢のある面子が少ない為、一度に多くの刀剣を蔵から持ち出せるとは思えません。ならばどうすればいいのか。アカギが考え始めたその時でした。
……彼らの耳に瓦の落ちる音が聞こえてくるのは。
「瓦の…音?まさか…もう…!?」
「―――! いけません、すぐにこの蔵を脱出いたしましょう!刀剣を回収している時間はありません」
「チッ!…あの忌々しい邪神め。こうまでして刀剣を侮辱するとは……!」
「怒ってる場合じゃないよ大包平さん!悔しいけど……今は仕方ない!!」
音と同時に、屋根が少しずつ崩れていく光景を目の当たりにしました。蔵を形作る邪気が全て祓われたことで、支えるものが全て無くなったのでしょう。
急いでここを脱出せねば皆無事では済みません。刀剣の回収は急がなければならない事案ですが、今はそんなことをやっていては崩壊に巻き込まれてしまいます。
―――アンラとの決着がついた後、刀剣を別途回収することになりそうですね。
「行くぞ!幸い階段の辺りは崩れ始めていないようだ。今のうちに!!」
「…………」
「少年殿。貴方の気持ちはきっと届いています。だから…今は生き残ることを考えて行動しましょう。貴方の信じた友と―――また、再会したいのでしょう」
「……うん!」
タナトスが消えた場所をじっと見つめるクルーク。そんな彼に数珠丸は優しく声をかけます。気持ちは充分届いたからきっと大丈夫だ、と。そして、本の中の友と再会する為にも今は生き延びることだけを考えろ、と。
数珠丸の言葉に背中を押してもらったクルークは零れた涙を裾で拭った後、戦闘を走る大包平の後ろを追って行ったのでした。
~天界 『蔵』前~
「オイオイ待ってくれ蔵が崩れてんじゃねーか?!大丈夫なんだろうな?!」
「刀ぶっ壊れてないから大丈夫っしょ~。大包平くん達を信じてもうちょっと待とうか」
蔵の前で待機していたアクラルとごくそつくんでしたが、突如蔵が崩壊を始めたことに焦り始めていました。中で何かがあったのは確実ですが、そう考えている間にも蔵は徐々に形を失っていきます。今できることは、蔵の中に突入した面子が無事に戻ってくることを祈るのみ―――。
不安な表情で待っていると、扉の向こうから人影が見えてきました。何とか間に合いそうです!
「オイ!こっちだこっち!!」
アクラルの声に導かれるがままアカギ達は蔵の出入口に飛び出します。それと同時に、建物は一気に崩壊し跡形もなく消えてしまったのでした。
間一髪間に合った彼らにすかさず合流し、無事を確かめ合う一同。そんな彼らの元に、もう2つ別の声が聞こえてきました。
「兄貴!アカギ!」
「サクヤ?!」
「無事…な感じじゃないみたいだな…」
声の正体―――サクヤと鬼丸が到着。彼女が無事だと安心した2人でしたが、鬼丸におぶられている血塗れの大典太を見てしかめっ面。そりゃこいつらついさっきまで命の奪い合いしてましたからね。
蔵の惨状を見て複雑な表情を浮かべたサクヤでしたが、今は心を痛めている時間はありません。目的を果たす為、鬼丸に手入場への案内を頼みます。その道中大包平と数珠丸とも合流。鬼丸がサクヤに付き従っていることと、大典太の様子を見た大包平が声を荒げました。
「鬼丸国綱。説明しろ、これはどういうことだ。何故貴様が大典太光世をおぶっている。何故貴様が青龍に従っている!」
「煩い。今は黙れ。大典太の傷が開いたらどうする。……主、手入場はこの近くだ」
「大包平さん、申し訳ございません…。今は一刻を争っていますので、後でお話しましょう」
サクヤも丁寧に会釈をした後、鬼丸に続いて崩れた蔵の隣の建物に消えてしまいました。その様子を見て眉間にしわを寄せた大包平でしたが、数珠丸がそれを宥めていました。鬼丸から感じた霊力で、サクヤと契約したことを彼は見抜いたのでしょう。
「大包平殿。落ち着いてください。……鬼丸殿は青龍殿と契約なさったのです」
「な…!あの鬼丸国綱が…!し、信じられん!」
「……それが、彼の出した答えということなのでしょう。彼女の意見に素直に従っていることからも見て取れます」
「そうか…。サクヤ、鬼丸とも契約したんだな…」
大典太からの契約をも突っぱねていた以前のサクヤとは思えない行動に彼らは驚きを隠せません。しかし…彼女も成長した、ということなのでしょうね。覚悟を受け止め、共に歩むことを許した。自らの力と感情を受け入れた、今の彼女だからこそ出来たこと。
―――消えた建物の扉を見て、アカギは何となく安心感を彼女に覚えたのでした。
~天界 手入場~
手入場に到着したサクヤ達は、早速大典太の手入をすることにしました。傍らには資材が充分に入った壺と、その近くに刀を入れる低い棚のようなものがありました。鬼丸がサクヤを案内し棚の前に立つと、物陰からひょっこり小さな和服を着た妖精が現れました。
鬼丸も大典太を横たわらせ、サクヤに指示をします。
「主。一度大典太を刀に戻せ。そして、本体をこいつに渡せば手入が始まる筈だ」
「了解しました。さほど手順は違っていないように思いますね」
「……ある、じ…」
彼女と離れるのが不安なのか、震える手でサクヤの着物の裾を掴んでくる大典太。そんな彼の行動に、サクヤは優しく自分の手を添えながら『大丈夫だ』と伝えます。
「大丈夫です。今手入を致しますから」
「…………」
その言葉に安心したのか、薄く開いていた大典太の深紅の目が静かに閉じました。それを機とし、サクヤは大典太を刀に戻しました。本体を腰から外し、妖精に渡します。
妖精は刀のひび割れの酷さに急いで棚の中に大典太光世の本体を入れますが……その顔はあまり芳しくないようで。資材は充分揃っているのに何故なのでしょう。
妖精から伝えられた修復時間を聞いた1人と一振も、すぐさま彼と同じ表情をしたのでした。
「損傷が想像以上に酷かったらしい。やはり時間がかかるか。一刻も無駄には出来ないんだがな」
「しかし…光世さんをここに放置して大神殿に戻る訳にもいきません。かといってここで20時間以上待っている訳にも…」
困り果てていた彼女達の耳元に、手入場の扉が開く音が聞こえてきました。音の方向を向いてみると……そこには心配そうにこちらを見つめるクルークの姿がありました。
何事かとサクヤが取り次ぐと、彼は『刀のことは詳しく調べ切れてないけど』と前置きをして、懐から1枚の札を出しました。
「前に書庫の本で読んだんだ。刀の手入を手助けする道具…。1枚、蔵の中に落ちてた。使えるかどうかは分からないけど…これ、使ってほしい」
「『手伝い札』か。なんでそんなものが蔵の中に…いや、蔵の中だからあって当たり前か」
「クルークくん…。ありがとうございます。すぐに渡してきますね」
「大典太さんの言ったこと…今なら少し理解できるかもしれないから。多分…ボクが助けたいヤツと、大典太さんは同じ。―――これで助かるなら、助けてほしい」
「分かったような口を。大典太のような陰気な奴は他に類を見ないぞ」
「違うよっ!ネガティブなところじゃなくて、えーっと…ほら、長年封印されていたところとかさ!」
クルークが取り出したその板には『手伝い札』と書かれていました。そう、原作にもあるあれです。蔵から脱出する際、近くに落ちていたものを偶然拾っていたのですね。なんとラッキー。
彼から札を受け取ったサクヤは、すぐに妖精にそれを渡しました。複雑な表情をしていた妖精はその札を見た瞬間、ぱぁっと明るい表情をした後札を大典太光世が仕舞ってある棚に投げ込みました。すると……棚は淡い光を放ち、しばらくした後収まりました。手入が終わったようですね。
妖精から傷が修復され、真新しくなった大典太光世を受け取るサクヤ。それを腰に帯刀し、意識を集中させると……再び大典太がその場に現れました。血塗れだったその身体もすっかり治っています。
「……主、鬼丸。助かった。ありがとう」
「礼を言われる筋合いはない。もう二度とあんなことはするな」
「……主やあんたの命が天秤にかけられたら、するか『二度とするな』…………」
「光世さん。やっとですね。やっと…貴方の願いが成就する。あともう少しというところまで来ています」
「……そう、だな。俺の願いも、あんたの願いも…無事叶うよう最大限動くとするさ」
改めてサクヤが大典太に話をすると、彼は目を細めて『そうだな』と答えました。陰気なあいつを前向きに変えた主……。彼女達が話している様子を見ながら、改めて自分の選択は間違っていなかったのだと思い直す鬼丸なのでした。
手入場を去る直前、大典太はクルークに向き直ります。そして―――。
「……俺がすぐに動けるようになったのはあんたのお陰だと主から聞いた。ありがとう。―――礼は、改めてさせてくれ。俺の霊力が役に立つかは分からんがな…」
「大典太さん…」
彼はクルークに小さく、ですが強い気持ちで声でお礼を言ったのでした。
それと同時に聞こえてくる手入場の扉の音。後はアクラル達と合流し、神殿に戻ればいい話ですが……。その『扉から見えたもの』に、一同は絶句するのでした。
「サクヤ。アカギ。あれ……!」
アクラルが指さした方向。目線を向けてみると、そこには―――。
巨大な門。『邪神』の世界と繋がった門が、ガラガラと大きな音を立てて崩れていく光景が見えました。
「『門』が崩れていく―――!」
「つまり…『核』が全部壊れたってことだよな…?」
「えぇ。……戻りましょう。アンラに飛ばされた皆様も戻っている頃合いかと思われます」
「刀剣達はどうすんだよ?蔵の下敷きだぞ」
「わざわざアンラがその中から全て掘り起こすとも思えません。……事が終わり次第、総出で回収し本部に持ち帰ります。それでいいですね?」
「……承知した。今やるべきことは…悪の根源を叩くことだからな…」
門が崩れた。それすなわち、『核』が全て破壊されたことに繋がる。そう判断したサクヤは、急いで戻ることを提案。アクラルから蔵の下敷きになっている刀剣はどうするか聞かれて一瞬迷いましたが、今は回収している時間はないと結論付け、神殿に戻ることを促しました。
事が終わったら必ず刀剣の回収に来る。そう、言葉を付け加えて。
その言葉を最後に、サクヤ達はその場を素早く去ったのでした。無事に仲間と再会出来ることを祈って…。
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