二次創作小説(新・総合)
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- AfterBreakTime#CR 記憶の軌跡【完結】
- 日時: 2021/08/11 22:27
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: ADnZqv8N)
どうもです、灯焔です。
自作品でも表明しました通り、逃走中のゲームパート以外の場面をこちらに連載いたします。
コネクトワールドの住人達がどんな運命を辿っていくのか。物語の終末まで、どうぞお楽しみください。
※注意※
・登場するキャラクターは全て履修済みの作品からの出典です。かつ基本的な性格、口調等は原作準拠を心掛けております。が、表記上分かり易くする為キャラ崩壊にならない程度の改変を入れております。
・原作の設定が薄いキャラクター等、一部の登場人物に関しては自作設定を盛り込んでおります。苦手な方はブラウザバックをお願いいたします。
・誤字、脱字、展開の強引さ等ございますが、温かい目でお見守りの方をよろしくお願いいたします。
・今までのお話を振り返りたい方は、『逃走中#CR』の過去作をご覧ください。
・コメント等はいつでもお待ちしておりますが、出来るだけ『場面の切り替わりがいい』ところでの投稿のご協力をよろしくお願いいたします。
また、明らかに筋違いのコメントや中身のないもの、悪意のあるもの、宣伝のみのコメントだとこちらが判断した場合、返信をしないことがありますのであらかじめご了承をよろしくお願いいたします。
<目次>
【新訳・むらくもものがたり】 完結済
>>1-2 >>3-4 >>5-6 >>7 >>8 >>9-13 >>19-20 >>23-27
【龍神が願う光の世】 完結済
>>31 >>34-36 >>39-41 >>42-43 >>47-56 >>59-64
【異世界封神戦争】 完結済
>>67-69 >>70-72 >>73-75 >>76-78 >>79-81 >>82-83 >>86 >>87 >>88-90 >>93-98
<コメント返信>
>>14-16 >>17-18 >>21-22 >>28-30
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>>84-85 >>91-92 >>99-100
- #CR09-16 世界を巻き込む戦いの前奏曲 -4 ( No.62 )
- 日時: 2021/05/10 22:05
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: xXhZ29pq)
大典太がアンラに捕まった騒動から2日後。いつもの日常を取り戻した本部。各々それぞれやるべきことの為に動いており、今日も平和な昼下がりが続いていました。
―――そんな中、『神の足音』が本部へと向かって近付いてきていました。
~調査本部 エントランス~
チョロ松「早いところこの書物さっさと倉庫に仕舞いに行こう。まさかエンジンシティの騒動の報告書、ここまで膨れ上がるとは思わなかったな」
カラ松「仕方ないだろう。それくらい大ごとだったというだけの話さ。―――ま、オレ達は出来ることしか出来ないけどな!」
十四松「ぼく達戦えてもまだまだ足手まといの域だからねー!はやく強くなって一松にーさんやトド松まもりたい!」
チョロ松「そもそもそれに巻き込まれないような動きをしないと…。いやここで働いている以上絶対に無理な話なんだけど。なんか最近立て続けに大きい事件起きて流石に疲れるよね…」
おそ松「とは言っても、俺らが直接関わったのアオイの島の時くらいじゃ~ん?」
チョロ松「その時はお前を助けに行ってたんだよ!!」
おそ松「いだだ!いだだだ!!チョロちゃん話の流れぇ~!!」
カラ松「おそ松、ふざけている暇があったら書類の箱1つ持て。十四松ばかりに持たせすぎじゃないか」
現在、エントランスでは今回の騒動の報告書が書かれた紙を倉庫に運んでいる松野家の四つ子が歩いていました。一松とトド松は今日もカフェでお仕事です。一応電子ファイルにも議事録は保存してあるらしいのですが、やはり紙媒体として残しても置きたいらしく。大きな物事が起きた時は必ずこうして形に残しているんだそうです。それにしても多いな。
現在運んでいる報告書が入っている段ボールは4つ。チョロ松が1つ、カラ松が1つ、十四松が2つ抱えていました。おそ松は理由をつけて自分は持ちたがらない。流石に堪忍袋の緒が切れたのか、カラ松は自分の持っている段ボールを無理やりおそ松に持たせます。
おそ松「重ッ?!カラ松お前自分だけ楽しようとしやがって!!ずるいぞー!!」
チョロ松「どの口が言うんだよクソ長男!カラ松が持ってたの一番重い奴なんだぞ。大人しく十四松から1つ貰っておけば楽できたのにさ」
カラ松「せっかくアシッドさんの計らいで社長秘書に出世したんだから少しは働け!」
おそ松「なりたくてなったんじゃありませ~ん。あの社長も俺がサボっても文句言わないし好き勝手やってるだけで~す」
チョロ松「……お前、それアシッドさんに期待されてないんじゃないの?」
十四松「おそ松にーさんのサボり癖と飽き性なところは最初にせつめーしたけど、想像以上に酷かったみたいだね!あはは!」
おそ松「ちょっとちょっと!寄ってたかってお兄ちゃんにだけ言い方酷くない?!ず~る~い~!!」
カラ松「話してる暇があったら運べ!倉庫でファイリングする仕事も残ってるんだからな!」
実はおそ松。アシッドの社長秘書になったのはいいものの…彼のいらぬ気遣いによりカラ松達と一緒に仕事をしていました。どうやら彼、『兄弟と一緒にいた方がオソマツの気も楽だろう』との思いで彼の仕事の割り振りをしつつも、行動についてはおそ松に一任していたのでした。
その結果、おそ松はニート生活を本部で押下するかのようにマイペースに動いていました。まぁ雇っている側が側なので仕事には何の支障もでなさそうではありますが…。流石にサボりまくる彼にしびれを切らしたのか、保留組がつきっきりで一緒に仕事をしていたんだとか。
出世コースと聞いてもっと派手な仕事を任されると思っていたおそ松。日々の仕事が雑用に近いものであり、結構不満気の様子。
おそ松「確かに俺出世したよ?でもなんで雑用なんか…」
チョロ松「雑用だって立派な社長秘書になる為に必要な下積みなの!……ん?」
十四松「チョロ松にーさん、どーしたの?」
チョロ松「んー。入口の方からこっちに歩いて来る人が見えた…ような」
ふと、チョロ松が入口のガラス戸の方をじっと見ます。不思議に思った十四松が問いかけてみると、彼の目には『こちらに向かって歩いてきている人物』が見えたとのこと。影の形から女性なのではないかと推測を立てた瞬間、その言葉に反応したおそ松が我先にと段ボールを床に置いて走り出しました。
おそ松「チョロ松。美女?美女なの?」
チョロ松「美女…かどうかは知らないけど。女の人だとは思うよ……って、オイ!!!」
おそ松「美女ちゃんなら俺のターゲットぉ!!ちょっくら声かけてくる~!!」
カラ松「まごうことなきクズニートだな」
十四松「でもカラ松にーさんもちょっと反応してたよね」
カラ松「なっ……!このパーフェクトボーイに美女がなびかないわけがないと少し思っただけだ!少し!」
チョロ松「ケツ毛燃えて死んじまえ」
カラ松「チョロまぁーつ?!」
カラ松とチョロ松のコントじみたやり取りも気にせず、おそ松は自分の仕事を放り出して近付いて来る女性の方まで全速力で走っていきます。もし本当に美女ならあの3人に絶対に渡すものか。そんな思いを抱いて。
しっかり視認できる場所まで近づいたおそ松は、その『シニヨンヘアーの金髪美女』に向かって口説き始めたのでした。
おそ松「わ!本当に美女じゃん!ねぇねぇおねーさん、これから俺とデートでもしな~い?あ、いきなりしっぽり夜を過ごしても俺は全然構わないけど!」
そんな言葉をぶつけられたのが原因なのかは知りませんが、金髪の女性の表情は歪んでいました。おそ松の口説きにもなんの反応も見せず、彼女は目の前の元ニート達に大声で叫んだのでした。
『青龍殿に会いに来たのですわ。早くお通しくださいまし!!!』
~メインサーバ~
サクヤ「……さて。ファイルの整理もこれでよし、と。光世さん、前田くん。お手伝いありがとうございました」
前田「主君。『お手伝い』ではありませんよ!僕達はれっきとした主君の方なのですから!主命があればお伝えください。それを果たすのが僕達の役目です。ねっ、大典太さん!」
大典太「……本来の契約を果たしたとしてもあんたは変わらんな。俺達にまるで仕事を振らない…」
サクヤ「それは…。いやほら、お二振が疲れ果てて倒れられても困りますし…」
大典太「……あんたが倒れて寝込まれる方が俺は困る」
前田「過去を受け入れた次は他人を頼ることを学んでくださいね、主君!」
サクヤ「はーい…」
一方。メインサーバではサクヤと彼女の刀達が仕事をしていました。こちらは議事録の電子ファイル版の整理をしていたのですね。彼女の『お手伝い』という言葉に自分達はサクヤの刀なのだからもっと仕事を割り振ってほしいと告げる前田。サクヤは過去を受け入れたとはいえ、まだまだ他人を頼ることに関してはまるで初心者。説教じみた前田の言葉にたじたじになりつつも、少しずつ仕事を割り振っていこうと心に決めたのでした。
そんな日常を過ごしていたその時でした。バタバタと走ってくる足音が5つ。一瞬見えた金髪を取り押さえながらやって来たのはカラ松でした。その焦り様に何事かと真面目な表情になって問いかける彼女に、カラ松は答えました。『サクヤに会いたいと人が訪ねてきた』と。
通すように告げると、後ろに構えていたチョロ松と十四松の案内で見覚えのある金髪の女性が現れたのでした。
カラ松「仕事中すまない。サクヤさんに会わせろと言って聞かなくて…」
ヘラ「青龍殿。どうしてわたくしが直々に来てあげたというのに誰も歓迎してくれないんですの?!」
サクヤ「うちは慈善事業ではないので…。オリュンポス十二神はみなアポなしで来るんだよなぁ…」
前田「この方は…。もやもやしてて思い出せませんが、天界で会ったことがあるような…?」
ヘラ「あら、天界から落ちた刀剣もいらっしゃったのですわね。それならば話は早い。わたくしは『ヘラ』。ゼウス様の正妻で、結婚や出産を司る女神ですわ」
大典太「……結婚と出産、か。白山吉光を思い出すな」
前田「彼も粟田口の刀剣ですから、少しではありますが僕も分かります」
サクヤ「随分と焦った表情をしていらっしゃいますがどうかなされたのですか?」
ヘラ「どうもこうもありませんわ!わたくしの話をお聞きになって、青龍殿」
現れたヘラの表情はかなり切羽詰まったものでした。そりゃあ天界が大変なことになって、急ぎで地上にやって来た背景をサクヤ達は知りません。まずはその話をせねばならない、とヘラは近くの椅子に座るように進言します。
その場にいた一同が椅子に腰を掛け終わると、ヘラは即座に本題に入ったのでした。
ヘラ「ゼウス様から言伝を預かりましたの。それでこちらにお邪魔させていただいた次第ですわ」
サクヤ「ゼウス様から…?天界で何かあったのですか?」
十四松「てんかい?てんかいってなーに?」
前田「神々や天使の類が住まう領域です。地上に降りて活動をしている者もいますが、それは稀だと以前主君が仰っていました。魔界に魔族の類が、地上に人間が住まうように、神々にとっての『地上』なのですよ」
ヘラ「ゼウス様は仰っておりました。『近々天界で戦争が起きる。確実に地上へと影響が出るだろう』と。―――天界に突如『門』が現れたと報告を受けまして。現在ゼウス様が直々に門の調査に向かっているところなのですわ」
前田「『門』…ですか?」
チョロ松「門、かぁ。僕達がこの世界に混ぜられた時に壊しちゃったアクラルさんのゲートとは違うものなの?」
サクヤ「いえ。兄貴がここに設置している『ゲート』も門の一種です。『門』とは、この世界と異世界とを繋ぐ『橋』のようなものです。本来ならば絶対に手繰り寄せられない『縁』を繋ぐもの。門があるからこそ、異世界との繋がりを得ることが出来ると言っていいでしょう」
大典太「……前に花火大会に行った時、帰りに霊力を弄ったのもそれが関係していたのか」
サクヤ「まぁ、あの時はかなりイレギュラーでしたからね…。ここにあるゲートに関しては、使えなくなっていたものを兄貴が勝手に改造して使えるようにしていたようなのですが」
カラ松「サクヤさんの兄貴、一体何者なんだ…」
大典太「……主の、片割れ」
チョロ松「真面目に答えんでいい」
大典太「…………。……その『門』とやら開くことに何の問題があるんだ。俺達がいつも使っているものと一緒なのであれば、何も問題はないはずだが」
大典太のその言葉に、ヘラは机をバンと叩いて『今回は繋がっている世界がまずいのです!』と声を荒げました。急な態度の変わりようにビクリと固まる彼でしたが、サクヤの執り成しで落ち着きを取り戻したのでした。
ヘラも品のないことをしたと咳ばらいをし、先程の言葉の続きを話し始めました。
ヘラ「確かに天下五剣殿、貴方の言うことは正しい。ですが…。今回は『繋がっている世界』が問題なのです。天界に唐突に現れた『門』は―――。『アンラ・マンユが元々いた世界』に繋がっているのです」
サクヤ「アンラ―――!」
カラ松「アンラ・マンユ…。確か『邪神』だったんだよな。そいつが元々いた世界って…どんな場所なんだ?」
ヘラ「生きとし生けるものが全て滅びた『死の世界』。天界ではそうお話が伝わっておりますわ」
前田「……『死の世界』」
サクヤ「天界―――強いてはこの世界を侵略する準備が整った、とでも言いたいのでしょうか。ヘラ様の仰る通り、もし天界で実際に戦争が始まってしまった場合―――。地上にも、魔界にも影響が出かねません。確実に我々は巻き込まれるでしょうね」
大典太「……だが。止める手立てはないんだろう?」
ヘラ「えぇ。門が現れた場所はアンラが根城にしている場所。―――そう易々と近付ける場所ではありません」
そこまで言って、ヘラは静かに立ち上がります。そして……サクヤに向かって深々と頭を下げました。まるで、自分達の戦いに巻き込んでしまうことを申し訳なく思うかのように。そして…彼女はその状態のまま、はっきりと口にしました。
ヘラ「青龍殿。貴方がたの腕を見込んで頼みがあります。我々と共に、アンラの軍勢と戦ってはいただけませんか」
サクヤ「…………」
前田「―――我々に、戦に加担しろというのですか」
ヘラ「無理を承知でお願いしているのは分かっています。しかし…ゼウス様はこうも仰っていました。『戦争が起きれば、最悪オリュンポス十二神が全滅する』と。相手はそれくらい得体のしれない軍勢。わたくしも身内を犠牲にしたくないのです!」
チョロ松「だからといって僕達に戦争に加勢しろだなんて…!この世界、戦争とは無縁な世界も混ぜられてるんだぞ?! ここで手伝いをしている人にも何人か、そういう人達がいる。……僕は反対だよサクヤさん。いくらなんでも身勝手すぎる願いだ!」
十四松「せっかくみんな仲良くなれたのに…。せんそうなんて嫌だよ!」
大典太「……『門』が開くのを阻止すれば…いや、無理か。あくまで門の開閉に関しては邪神側に主導権があるんだったな…」
ヘラ「えぇ。『門』が出現してしまった以上、開くのを阻止するのは不可能。ですから…我々が出来ることは、如何にして天界で邪気を最低限に抑え込むかということ。地上まで流れ込んでしまったが最後―――。この世界も、崩壊への一歩を辿ることでしょう」
カラ松「この世界が壊れるかもしれないのは話から想像できる。だけど…あなた達のような強い存在が死ぬかもしれないって話を聞かされて、オレ達の仲間が誰も犠牲を出さずに戦争を止められるとは限らない。……オレも反対だ」
ヘラ「それに、青龍殿。仮に我々が天界の防衛に失敗してしまった場合…。貴方がたが愛するこの『コネクトワールド』も滅びてしまう、ということは分かっていらっしゃいますのよね?」
サクヤ「……脅しのつもりですか」
ヘラ「そんなことはありませんわ。わたくしは、事実を述べたまでです」
大典太「……『天界』か」
前田「大典太さん…」
自分達だけでは天界で被害を抑えられるか分からない。だから、サクヤ達に自分達の加勢をしてほしいとヘラは頼んできたのです。しかし、それは『戦争に加担しろ』と言っているようなもの。混ぜられた世界には戦争とは無縁な世界もある為、そう易々と首を縦に振るわけには行きませんでした。天界の命も大事でしたが―――。サクヤには、それ以上に地上の生命も大事に思っていたのですから。
今すぐ返事が欲しそうな表情をするヘラに、サクヤは考えた後こう返しました。
サクヤ「……我々だけならばまだしも、地上の皆様を戦争に巻き込みたくない、というのが本音です。―――猶予が無いのは承知しておりますが…。1日だけ、時間をいただけませんか? ヘラ様、本日は本部にご宿泊なさってください。明日の朝までには……決断を下したいと思います」
ヘラ「…………。仕方ないですわね。確かにこんな頼みを急に口にしたわたくしにも責任の一端はあります。―――ですが、長くても1日。最悪でも明日の夜にはお答えをいただきますわよ」
サクヤ「はい。―――この世界を守る為。守護神として私はどういう選択を取るべきなのか…」
サクヤが返したのは『1日だけ時間が欲しい』という答えでした。時間がないのは分かっていますが、おいそれと『はい』と答えてしまうと被害が確実に出てしまうのも事実。考える時間が欲しかった。その真摯な表情にヘラも折れ、1日だけ待つと答えたのでした。
保留組とおそ松にヘラの案内を任せ、彼女がメインサーバから去るのを見送ります。サクヤの表情は曇ったままでした。急に現れた世界の危機と選択。正直、どう考えればいいのかすらも分かりませんでした。
そんな彼女の手に、大典太は優しく自分のものを重ねます。
大典太「……1人で考えるな。役には立たんと思うが…俺もいる」
前田「僕もです。1日猶予をいただいたのですから…しっかり考えて、答えを導きましょう」
大典太「……あんたがどんな選択を取ったとしても。ここの連中は納得してくれると思うがな」
サクヤ「光世さん…。前田くん…。ありがとう、ございます」
暖かく支えてくれる二振の刀剣男士に感謝をしながら、サクヤも今日のところは仕事を切り上げることにしたのでした。
―――近々、コネクトワールドは大きな『選択』を迫られる。そんな未来が、待っていそうです。
- #CR09-16 世界を巻き込む戦いの前奏曲 -5 -1 ( No.63 )
- 日時: 2021/05/11 22:00
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: xXhZ29pq)
~天界 アンラ・マンユの根城~
コツ、コツと鈍い靴音が鳴り響く。大理石の床を歩くその少女の片手には、闇に完全に染まった刀剣が握られていた。『邪神』の帰還に、その場にいた神々が全員通り道を開け、跪く。
彼女が通った道に咲いていた花が、瞬く間に枯れていく。『悪』を司る邪神。いのちを終わらせることを使命としているのを象徴するかのように、枯草の道を彼女は歩いていった。
『お帰りなさいませアンラ様!』
跪いた神々や魔族が一斉に声を放つ。彼女はそれを気にする素振りもせず、道の先にある神殿に入っていった。そして、その中に鎮座してある黒い玉座に腰を降ろす。ゼウスが座っていたものとは正反対の、真っ黒な玉座。彼女が座ったことに気付いた神々がぞろぞろと神殿に入って来た。
彼女の前で横一列に並び、再び首を垂れる。その様子を確認したアンラは、ようやく口を開いた。
アンラ「門はどうなっている?我の予測だと、もうじき開けるところまで来ている筈だが」
部下A「門の出現は確認いたしました。アンラ様の直属の部下の魔力をこのコネクトワールドに馴染ませることに成功したようです」
アンラ「そうか。我が世界とこの世界を繋ぐ準備は着々と進んでいる、という訳だな」
部下B「はっ。アンラ様の命ですぐにでも門を開くことは可能でございます」
やはり唐突に現れた『門』はアンラが準備したもののようだった。この世界とアンラの世界を繋ぐための橋……。会話から、その門の向こうにアンラの直属の部下が多数待機しているように思える。
彼女は門が無事に出現したことを聞き少し嬉しそうに反応した後、こう続けたのだった。
アンラ「貴様らの言っているように、門の向こうは我の世界と繋がっている。―――我の世界で、既に我の部下が門の開放を今かと待ちわびている。しかし……門を開くタイミングを見誤れば、我らにも甚大な被害が及ぶ。それは嫌であろう?
神々を裏切ったとはいえ、大切な『いのち』なのだからな?」
部下C「は、はぁ…。しかし、アンラ様は『死』をも司る邪神。我々のいのちに興味などはないのでは?」
アンラ「そうだな。貴様らが塵になろうがどうということはないが…。必要以上に騒ぎを大きくしたくない。我らの目的はこの世界を壊し、我が手中に納めること。その為には最低限『ゼウス』と『柱』さえ壊してしまえばいいのだ」
部下B「『柱』…。この世界を守護する『四神』と呼ばれる四柱の神ですね」
部下A「確かにこの世界をアンラ様が蹂躙する為には、五柱の神を滅ぼすことは必須かと思われます」
アンラ「だが…。我の想定外のところで力をつけておる。当然ゼウス側も『門』のことには気付いて四神に話を通しているだろう。……好都合だ。まとめて潰す機会が出来たというものだからな」
部下C「ならば今すぐにでもオリュンポス大神殿に侵攻して神々を捕えましょう!オリュンポス十二神を捕虜にして脅せばいくら四神でも取引に応じることしか出来ない筈…!」
部下B「馬鹿か!不必要に俺達が暴れて相手に勘付かれて対策されたらどうするんだ」
アンラ「侵攻するタイミングは……明日の昼。『門』を開いた直後だ。それまでは皆英気を養え。―――全力でこの世界を『叩き潰す』」
部下A「はっ!それでは我々は一旦失礼いたします。アンラ様もお早いお休みを」
アンラは『明日『門』を開く。その時に天界の侵攻を始める』そう部下達に伝えた。恐らくゼウス達も動いていると推測しての明日だった。―――潰さねばならないいのちを潰すなら、まとめての方が好都合。そして―――四神を潰すのに厄介な天下五剣もまとめて折ることが出来る。そう考えての決断だった。
彼女の言葉に部下達は一例をし、神殿を去って行く。しばらくした後、残ったのは彼女と数柱の神と魔族だけだった。神々がいなくなったのを確認し、その残っていた神々も神殿を去った。
―――アンラはタイミングを見計らったように、とある『道化師』に話を振ったのだった。
アンラ「タナトス。何故貴様も戻ろうとしている?話がある、残れ」
タナトス「……ベリトを見殺しにしておきながらよく言う」
アンラ「あいつがあの邪神もどきを未だに崇拝していたからお灸を添えたまでよ。メフィスト亡き今、貴様らの主導権は全て我が握っているのだからな。それをゆめゆめ忘れるな」
タナトス「承知しておりますとも。……もう、私しかいないのですがね」
アンラ「我の話はこうだ。貴様に1つ選択肢をやろう。今ここで『我の近侍』に斬られるか、我の頼みを聞くか。どちらか好きな方を選べ」
タナトス「…………」
そう言いながら、彼女は刀剣を前に突き出した。これがアンラの言う『近侍』なのだろうが…。タナトスにはその気配が邪悪なものとしか考えられなかった。刀剣は闇に染まっており、彼女が握っているところからもあふれ出ている状態。これに『斬られる』か、彼女の『頼み』とやらを聞くか。
どちらにしろ、タナトスの命はもうないと思うほか無かった。
タナトス「……『頼み』とは」
アンラ「この神殿から少し離れた場所に、1つ大きな蔵がある。そこに、今まで我が奪取してきた刀剣が全て仕舞われている。刀剣に宿る付喪神の心を壊す為、幻の本丸と偽って闇を注いでいたが……。それが、最近何者かに破られてな。
―――貴様に、蔵の管理を任せたい。出来るか」
タナトス「私にベリトが担っていた役割を引き継げということですか」
アンラ「貴様らの崇拝する道化師は既に『JOKER』に喰われ、身体も造り替えられてしまったのだろう?魂も無い、身体も無い。最早この世には存在せぬ。ならば……せめて、我の役に少しでも立ってから死ぬべきだとは思わぬか?」
タナトス「…………」
幻の空間でソハヤや秋田が言っていた通り、刀剣はまとめてアンラが所持していた。その蔵の管理を今までベリトに任せていたが、彼が消滅してしまった為タナトスに引き継いでほしいというのが彼女の頼みだった。
ベリトが自我を失ってしまうまでに心を壊した蔵。タナトスも分かっていた。引き継げば、自分の心も壊れてしまうだろう、と。しかし、拒否すれば即座に彼女が握っている刀剣に斬られる。―――少しでもいのちを生きながらえる為、選択肢は1つしかなかった。
タナトスが渋い顔でこくり、と一度首を縦に振ると、アンラは興味無さそうな面持ちで彼を見たのだった。
アンラ「断らなかっただけ良しとしよう。断っていれば、即座に我の近侍に斬ってもらっていたからな」
タナトス「アンラ。さっきから言っている『近侍』とはその握っている刀剣のことなのか?」
アンラ「あぁ、そうだ。いい具合に我の傀儡となった。見てみるか?」
そう言うと、彼女は刀剣から手を離し空中に浮かばせた。その中心から淡く黒い光が広がる。タナトスはその光景をただじっと見つめることしか出来なかった。
しばらくした後、刀剣は人間の姿へと形を変えたのだが…。それと同時に、タナトスは背中に寒気を覚えた。それもそう。目の前に顕現した刀剣男士は―――。
鬼丸『…………』
既に『この世のものではない』霊力を纏っていたのだったから。片側に生えた角は戦闘時よりも伸びきっており、目には光が宿っていない。元々の白い肌も病的に青白く、正に『アンラの傀儡』と呼ぶに相応しい邪気が巡り切っていた。
彼は刀剣男士ではない。『化け物』だ。タナトスはそう感じていた。
アンラ「どうだ?我の『近侍』は。地上では最近刀剣と人間が力を合わせて障害を乗り越えるという話で持ちきりではないか。……その流行りに乗ってみただけのことよ」
タナトス「―――これだけの邪気を…。もう、この刀剣男士の自我は…」
アンラ「あぁ。無い。我の近侍…既に我の『傀儡』なのだからな。いくら仲のいい刀剣男士に説得されようとも目覚めることはない。心は既に死んでいるのだからな」
タナトス「……そう、なのですか」
アンラ「もしかしたら我の命が無くとも首を斬られるかもしれんなぁ?『鬼丸国綱』は、元々戦に使われた刀だ。―――今でも貴様を獲物として狙っているかもしれんぞ」
タナトス「―――私は蔵に向かいます。その頼み……引き受けましょう」
アンラ「物わかりの良い道化師で助かる。……刀剣を集めるのも楽ではないのだ。くれぐれも、『蔵』を壊すなど考えないことだな。貴様程度の魔力では耐えきれんからな。我の邪気に」
タナトス「…………」
もう、逃げ道などない。タナトスはそう決断し、早く彼女の元から離れようと蔵へ行く旨を伝えた。その言葉を聞いた彼女は、再び表情を失ったようにタナトスを一度見た後、玉座へと再び座り直したのだった。
タナトスが無言で神殿を出ていってからしばらくした後。アンラは鬼丸の方を向いてこう口にした。
アンラ「―――この世界も、あと数刻の命よ。我の手で滅びを迎えられること…。せめて楽しみにしながら『終末』を待つがいい。
未来も。希望も。明日も。―――我が直々に潰してくれる」
その言葉を聞いても、傀儡と化した鬼丸の表情は何一つ動くことは無かった。
- #CR09-16 世界を巻き込む戦いの前奏曲 -5 -2 ( No.64 )
- 日時: 2021/05/11 22:08
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: xXhZ29pq)
ヘラが唐突に本部に現れて一夜が明けました。あの後、足早に仕事を終わらせ自室で彼女の言葉について返答を考えていたサクヤでしたが、どうにもいい言葉が思いつきませんでした。『1人で考えるな』とは言ったものの、こういうことに慣れていない為大典太も前田も彼女にどう言葉をかけていいか分からず、結局は見守ることしか出来ませんでした。
そして、早朝。彼女はひんやりと静かな空気が流れるメインサーバにて、再びヘラの言葉の返答について考えるのでした。
~本部 メインサーバ~
サクヤ「……この世界に脅威が迫っているのは分かっている。ですが…。どう判断を下したら良いのやら」
前田「主君。やはり答えは纏まりませんか」
サクヤ「そう、ですね。一日寝れば考えも整理できるかと思いましたが、どうやらそうではないようです」
大典太「……急にあんなことを言われれば誰だってそうだ。一晩で考えが纏まるわけがない…」
サクヤ「―――そういえば、です。光世さん。貴方を助けに向かったあの場で、貴方の兄弟刀に『天界の蔵に刀剣が仕舞われている』と言われたことを覚えていらっしゃいますか?」
大典太「……あぁ。確かに言っていた。―――兄弟と秋田を含めた刀剣を助ける為には、天界に行かなければならない、が…」
前田「秋田…。主君。大典太さん。もしかして僕以外の藤四郎兄弟とお会いになったのですか?!」
サクヤ「光世さんが捕らわれていた世界―――。あの世界の中で少しだけお話を。……彼らは『心を無くす』為、あの空間に意識だけが飛ばされていたようです」
大典太「……だが、あいつらは『心』が死んでいなかった。あの白い布の連中だってきっとそうだ。自分を取り戻して、刀の中で深く眠ってるんだろう」
前田「そう、だったんですね…。僕以外の兄弟が、全て天界に」
見かねた前田がサクヤに話を振り、そこから話題は刀剣の話へと移りました。大典太を助けに行ったあの空間で、ソハヤと秋田に言われた『自分達は全振揃って天界の蔵に仕舞われている』と。助けるならば、ヘラに加勢し行動した方が好都合ですが…。前田も他の藤四郎兄弟が蔵にあることを知り、『助けたい』という気持ちが募り始めます。
―――しかし。まだサクヤの心に引っかかるものがありました。もしヘラの頼みを承諾してしまったら、確実に地上のいのちを巻き込んでしまうことを懸念していたのです。
サクヤ「もし我々がヘラ様のご依頼を承諾した場合…。きっと、光世さん達だけではない。この本部の、いや…。他の支部の皆様を始め、コネクトワールド中の方々を巻き込んでしまうことになります。
……正味、どう答えればいいのか迷っています」
大典太「……主」
サクヤ「光世さんと前田くんの気持ちも痛い程分かります。天界に行けるチャンスが目の前に来た。ならば、彼女に協力した上で他の刀剣男士を助けたい。私もそうしたいのは山々です」
前田「…………。でも、もし戦う選択をした場合…。確実に地上への影響は免れない。最悪守れない命も出てくることを主君は懸念されているのですよね」
大典太「……俺達は『神』と呼ばれる存在ではあるが…。全てが守れる訳ではない。それは、主も分かっている筈だ。しかし…。あんたの言いたいことも分かる。俺だってそんな選択、即決できない…」
大典太も前田も、刀剣男士を助けたかった。しかし、サクヤはこの世界の守護神。彼らが思っている以上の命を背負ってこの地上に立っている。だからこそ…決断が出来ないことを分かっていました。
……そんな彼女達の元に、優しく響いて来る声が2つ。
MZD「おっすサクヤ。1人で悩みに悩み抜いて答えが出ないとはお前さんらしいけど。迷う必要はない。オレ達の決意は既に固まってるよ」
ヴィル「この世界を見守っていくと決めた矢先に別の者に滅ぼされる可能性が出てきたとはな。……『監視』していく者として、そう簡単に滅びる様を許す訳には行かないからな」
MZD「こっそり支部の方に連絡取ってさ。みんな手伝ってくれるってよ。オレ達の世界を守る為に」
サクヤ「えむぜさん、ヴィルさん…!」
なんと。入口から現れたのはMZDとヴィルヘルムでした。どうやらサクヤがとんでもない選択を突きつけられ悩んでいるのを聞きつけ、秘密裏に行動を開始していたのでした。彼女は唐突なその言葉に驚くも、2人の決心は揺るがない様子が表情から読み取れました。
彼らの後を追うようにかけてくる3つの足音。息を切らしながらその少女の声は発されます。
ミミ「んもう!MZDったら勝手にサクヤさんに話に行くとか言ってー!確かにテントさんには『早くサクヤさんに協力することを伝えてください』とは言われたけどさ!」
ニャミ「あたし達神様でもなんでもないんだから身体能力について行けるわけないじゃん…ぜぇ…ぜぇ…」
MZD「ジャックとジルクついてんだからいいだろ」
ジャック「そういう問題じゃないんだよ!!ったく…」
ジルク「俺もこの世界を守る為。ミミとニャミを守る為。力を奮おう。皆、そう思っている」
ヴィル「そういうことだ。ポップン支部一同。お前達に協力することを約束しよう。……この世界を守る為に」
その言葉に続くように、次々とメインサーバには人が集まってきました。まるで彼らの言葉を待ちわびていたかのように。……サクヤが心配しなくとも、皆心は決まっていたのかもしれません。
ヘラが頼んで来た時の大典太の言葉が本当になりましたね。
マルス「自分達で解決しようとするなんてみずくさいじゃないか。ぼく達も勿論協力するよ。既にガルク=マクやアスク王国にも話は付けてある」
エイリーク「はい。皆共に戦うと仰ってくださいました。私達も、この美しい世界を守る為。尽力致します」
エフラム「やっと俺達の本領発揮という訳だな。稽古の成果を見せねば」
アイク「奪う為の戦いじゃなくて、守る為の戦い。そうであれば、俺は何度でも力を貸す。必ず勝つぞ!」
奪う為ではなく、守る為に剣を取ることを選んだ者達も。
カラ松「あれから考えたんだ。オレ達がどうあがいたって世界が滅びる未来が待っているんだって。六つ子で話もしたさ。……滅びる未来を変えられる可能性があるなら…。怖いけど、オレ達はその可能性に賭けてみたい」
チョロ松「本当は勝率が低い方になんて賭けたくないんだけどね。そんな悠長なこと言ってられないってトド松に説教されてさ。それで気付いたんだ僕。目の前の現実から逃げてるんじゃないかって。だから……僕も、出来る分でだけど戦う。1人じゃないならきっと大丈夫だよね」
十四松「ぼくはもうじゅんび整ってマッスル!またみんなでおいしいご飯を食べる為、戦いマッスル!」
おそ松「ま、俺はこいつらみたいに戦えるわけじゃないから後方支援だけど~。長男様なりの知恵で気が向いたら助けようかな。ハタ坊達に連絡してみたら全面協力してくれるってさ!」
チョロ松「気が向いたらじゃねえ積極的に知恵を絞れクソ長男」
一度は現実から目を背けた六つ子も、自分達の明日をを守る為。美味しいご飯を食べる為に戦うことを選んだ者達も。
リピカ「キュベリアがやけに張り切ってたのさ。『鬱憤晴らしがやっと出来るー』って。……プレロマの屈辱かなり根に持ってたみたいだな…。あ、魔導騎士アイテール隊も私の命令でいつでも出撃できるようにはしておいたのさ!」
ジョマンダ「天界、か…。親父とヴァリスが酷い目に遭った場所だし、俺も良い感情は持ってない。今までの気持ちをまとめてこの戦にぶつけるつもりだ」
リサ「天界の知識ならば少しは残っている。役立ててくれ。少しでも…この世界の贖罪となるのなら」
マモニス「キュベリア様に足手まといと言われてしまいました、が!!私だってハイパーマモニスドリンクを飲めばパワーアップできるんですからね!この為にストック貯めておいたんですから。明日のご飯と作物を守る為、私も戦いますよ!」
各々目的を持ち、戦うことを選んだ者達も。
バンワド「大王さま達にも協力を取り付けてきました~!みなやる気充分です!勿論ボクもです!」
ノルン「クッパ軍団も全面協力します!二大『悪の巨頭』が揃ったんですから絶対に負けませんよね!」
マルク「クッパはともかくデデデってヴィラン扱いになるのか…?まぁいいのサ。あいつに恨みつらみ全部ぶつけられるならマホロアごとぶつけるのサ。最近魔法ぶっぱなてなくて鬱憤がたまっていたからな!」
マホロア「チョットチョット、ボクをダシに使わないでモラエルゥ?デモ、このセカイ滅びちゃっタラカービィと仲良くおしゃべりも出来ないシネェ。ボクも手伝うヨォサクヤ。ボクとオマエとの仲、デショ?」
カノン「クッパ様も…おれも…みんな…信じてる…。だから…迷わなくていい…。だから…おれたちのことも…信じてくれ…」
勢力を挙げて戦うことを決めた者達も。
罪木「希望ヶ峰学園一同、本部に協力要請は充分ですよぉ!私達も出来る限り頑張りますぅ!」
田中「戦闘が出来る者が必要であれば随時召喚せよ、とのことだった。ククク…俺様の邪腕の本気を見せる時が来たようだな!!」
天海「戦えない人達も地上で色々支援してくれるみたいっす。…大丈夫。みんなが協力すればこの危機もきっと、乗り越えられます」
石丸「三日月くん…。君の仲間を助ける為、今回は僕も共に戦いたい。君が止めても、だ。―――それくらい、今の僕は怒っている」
三日月『……そうか。主がそう言うならば、俺も最大限援助をしよう。……すまぬな、本当に』
石丸「いやいや。もしかしたら天界の力で三日月くんが顕現出来るかもしれないからな!はっはっは!」
三日月『そうであればいいがなぁ』
いのちを守る為、戦うことを決めた者達も。
キョウカ「ムラクモ機関はこれより本部に全面協力すると指令があった。当然我が13班も今まで通り力を貸そう」
コハク「あのデカブツに貰ったモン返さなきゃなンねェからなァ…?待っていやがれクソ神共が」
ノア「俺に出来ることがあったら言ってくれよな!攻撃の盾になって跳ね返すことが俺の得意技だ」
ヴィオラ「世界が滅んじゃったら引きこもれなくなっちゃうし…。私も、頑張るから」
アイラ「みんなで最高の勝利をもぎ取って、ウィナーライブを開こう!その為に僕も頑張るよ!」
竜を三度封じ、その悲劇をそっくり返すと決めた者達も。
翔陽「おれ達に何が出来るかは分かりませんが、援助します!がんばります!武田先生もそう言っていました」
赤葦「俺達は皆さんみたいに直接ぶん殴ることは出来ませんけど…。この世界に生きる人間として、黙って見ている訳には行きませんから」
西谷「おうよ!守る拠点があれば俺達に言ってくれよな。アリ一匹通さねえぜ」
黒尾「武力は無理だけど、知恵を出すのなら俺頑張るからさァ。ま、協力関係ってことで」
木兎「力仕事なら頑張る!……きっとこれから大変な戦いに行くんだろ?見ているだけなんて出来ないぜ!」
戦えないながらも、自分達に出来ることをすると決めた者達も。
クレア「私達が今まで紡いできた絆の力なら、世界の崩壊だってきっと食い止められちゃいますよ!今までピンチになったって、私達そうやって乗り越えてきましたから」
グレン「あぁ。再び得体のしれない存在になった私を受け入れてくれた。それだけで恩義を返さない理由にはならないだろう」
チタ「テンションブチアゲで敵の本拠地までレッツラゴー、的な?マジ卍!」
シェリル「まじまんじ!わたしも頑張るよー!」
ルーファス「槍もバンズ島から持ってきました。……この槍、盾にも使えます。もし戦いに行くのであれば、僕達も誘ってくださいね」
絆の力を信じ、手を貸す者達も。
ごくそつ「さぁ~て。乗りかかった船だしぃ?最後までやり遂げないとね大包平くん。君のお仲間も天界に捕まってるんだったよね」
大包平「大典太光世の話が本当であれば、のことだがな。しかし。刀剣男士を救うのはこの俺。日本刀の誇りである彼らを勝手に紛い物にされてたまるものか。必ず俺が救ってやる!」
ルキナ「私も同感です。この世界に絶望の未来が近付いてきているというのなら…止めない手筈はありません。運命を変えてみせます!」
マリオ「もちろん、ボクも協力するよ~!カービィと一緒に楽しい明日を迎えるためにね!」
カービィ「おなかいっぱいご飯食べて、気の済むまでぐーぐー眠って、のんびり遊ぶ明日がこないなんて嫌だからね!平和の為ならボク戦っちゃうよー!」
普段は愉快なことを求める者達も。
サクヤ「皆様…」
アクラル「地上のみんな、オメーが悩んでる顔見てすぐヤバい状況だって気付いて各支部に連絡寄越したんだと。で、みんな協力してくれるってさ。―――今までの努力が身を結んだんだサクヤ。オメーはもう、ひとりぼっちじゃねーんだ」
アカギ「俺達も…この世界を…守りたい気持ちは同じ…。だから…一緒に守ろう。サクヤ…」
ニア「それに、この世界は『四神』が守護神です、わ?貴方様おひとりで悩むなんて野暮なことをなさらずに…私達に相談すれば良かったものを…。それに私、未だこの世界には興味がありましてよ?そんな世界を壊す、だなんて…。いくら邪神とはいえ、お灸を据えてやらねば気が済みませんの…」
クルーク「ここに来てから沢山のことを勉強出来た。だから、ボクはその恩返しがしたい。ボクらしくないって言われてもやるぞ!」
他の四神とクルークも一緒にやって来て、本部に寝泊りをしている面子がほぼ全て揃いました。皆思いは1つ。この世界を守る為。平和な明日を守る為。戦うことを決意していました。
各々の表情を見て、サクヤはじんと胸が熱くなるのを感じました。これが……感情を手に入れた末の結果なのか。もし、心を閉ざしていたままならば、こんなに熱い気持ちになれなかったことでしょう。
大典太「……皆、心は決まっているようだな」
数珠丸「えぇ。皆の心は1つ。今ならば、大きな邪神の力にも対抗できるでしょう。地上の者達皆が力を合わせるのですから」
三日月『……恐らく、天界には鬼丸もいるんだろう。―――お前の話通りだと、大典太に邪気を注いでいた神棚と同じ材料で蔵が立てられている筈だ。救うならば…。天界に乗り込む際に、一緒に破壊すべきだな』
大包平「ならば簡単だ。俺達で天界に乗り込み、蔵を破壊し中にいる刀剣男士を救出する。それで済む話だ」
前田「しかし、邪神が長い年月をかけて収集したものであれば…。蔵の守りも硬くしていそうです。乗り込むならば、相当の覚悟をしていかねば」
大包平「誰に物を言っている。この刀剣の横綱である俺が手を貸すと言っているんだ。必ず全振天界から開放する。そして―――一緒に邪気も祓うぞ」
大典太「……そうだな。―――主。改めて俺から頼みたいことがある」
刀剣男士達の決意も1つに固まったようです。大典太は改めてサクヤに向き直り、深く頭を下げて自分の願いを口にしたのでした。
大典太「……鬼丸を。兄弟…ソハヤを。秋田を。囚われた刀剣男士を。救えるところまで来ている。……手を伸ばせるところに今、立っているのかもしれない。……主。勝手なことを言っているのは自分でも分かっているが…。俺は…皆を助けたいと、思う。
―――俺達にも協力させてくれ。この平和な世界を守ること。そして……天界の刀剣男士とも一緒に、平和な明日を迎えること」
サクヤ「光世さん。言われなくても分かっております。こんなに沢山の方々に協力いただけて、『拒否する』なんて私が口にするとでも思いましたか?」
頭を上げてほしいと口にした後、サクヤは大典太の手に優しく自分の手を載せました。口にするのも緊張していたようで、手が小刻みに震えているのが伝わりました。その恐怖や不安を少しでも拭う為、彼女は大典太の大きな手を優しくさするのでした。
そして―――遂に彼女は決意しました。『ヘラに協力する』と。
ヘラ「ならば…!」
サクヤ「ヘラ様。我々はこれより、ゼウス様の軍として邪神との全面戦争に加勢することを宣言します。……平和な明日を取り戻す為。私達は戦うことを誓います」
ヘラが嬉しそうに彼女に向き直った瞬間、彼女の顔が険しいものに変わるのをサクヤは見逃していませんでした。どうしたのかと問うと、ヘラはその表情を崩さずこう口にしたのでした。
ヘラ「『門』が……たった今、開きました。アンラ・マンユの軍勢が天界にこれから押し寄せることでしょう」
サクヤ「調査をしている暇は与えてくれなさそうですね…。至急作戦を練り、天界へと乗り込みます。
……皆様。この世界を―――。」
『コネクトワールドの『未来』を、皆様で守りましょう』
『おーーーっ!!!!!』
サクヤの号令に、意気込むように一同は声を上げたのでした。
鬼丸が大変なことになった裏側でとんでもない計画が始動しようとしていました。コネクトワールドでの総力戦が始まりそうな気配。
このままでは邪神にコネクトワールドが潰されてしまいます。それを阻止し、平和な明日を取り戻す為一同は戦うことを決意するのです。なんだか話全体としてもクライマックスを迎えそうな感じがひしひしと伝わりますが……。1章、最後のページがもうすぐめくられそうですね。
果たして、サクヤ達は邪神の侵攻を阻止し、平和な明日を守ることが出来るのでしょうか…。
それでは皆様、次回のお話でお会いいたしましょう。Adieu!
AfterBreakTime#CR09 ~龍神が願う光の世~ THE END.
NEXT⇒ AfterBreakTime#CR10 ~異世界封神戦争~
- Re: AfterBreakTime#CR 記憶の軌跡【#09完結】 ( No.65 )
- 日時: 2021/05/16 13:46
- 名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: bD140njr)
どうも、柊です!
良かった良かったと思いながら三日月の言葉に確かに、と思いました。サクヤさんたちは『刀剣男士がそんなことしない』と分かっていますが世界の人々から見れば危険と思われますよね。そうなれば彼らはコネクトワールドに居場所がなくなってしまいます。それを分かっていて利用する辺り…悪質…←
天界から落ちた刀剣は後何振りかいるんでしょうか…気になりますね。いてもアンラたちに拾われてなければ良いんですが…。
レストインピースはあかん。安らかにお眠りになられたらあかん←
ああ、三日月も気にしてはいたんですね…。精神的なものなら、相当難しいですね。
そして鬼丸のことも…本当に首を落とさねばならないんでしょうか…。150年というのはおそ松たちとは話が違いますし、難しいのだとは分かっていても望まずにはいられません。
鬼丸も多分、大典太の首を落としたくはないでしょうし、本気で斬り合うことになってももしかしたら…しんどい。
鬼丸は第二鉱山に。分かってはいましたが、もうだいぶ邪気が…。
あああ鬼丸たちにだって『たられば』の幸せを望んだって良いというかむしろ幸せを手に入れてくださいお願いします!!!!!!!!
もう幸せになったっていいじゃない彼らの幸せ望んだっていいじゃない人間だもの!!!(????)
って時に来ましたねアンラ!! それでも抵抗しようとする鬼丸はカッコいいけれど…!! ああ、あああ…。
望んでることが邪神なんですけど〜!!! 邪神だったわ!!←
オリュンポス大神殿では早々にヘラがお怒り。『いつもの』理由ェ…。そりゃそうでしたわ、神話だとこの神、わざわざ牡牛になって島に攫うとかそんなんしてましたわ。
ヘラのお怒りの理由も分からなくもないですが、サクヤさんが過去を受け入れられたのも事実。後個人的に歓喜したのも事実です←
アンラ、本当にいくつ滅ぼしたのでしょうね…。本人も覚えてなさそう←
そして『門』の出現…位の低い神は活動を停止してしまうほど…やばいのがよく分かりますね…。
ゼウスの言うことも最も。最高神らしい。
ヘラも…もどかしい…!
本部でヘラと会ったのはカラ松たちでしたか。しかしいきなり(神と知らないとは言え)ヘラをナンパするおそ松。精神が強い。
サクヤさんと大典太、前田くんのやりとりにほっこり&じんわりしながらヘラの言葉に少し吹きました。その後のサクヤさんの慈善事業ではないので…にも吹きました。せやな←
ヘラの頼みはそうですね、『戦争に参加しろ』ということですもんね…。神々だけでなく、誰かが犠牲になるかもしれない。だけどしなければしないでコネクトワールド自体が滅んでしまうかもしれない。そんな簡単に「はい分かりました」なんて言えません。当たり前です。
サクヤさんはどういう答えを出すのか…。
アンラの根城ではアンラ帰還。その手には鬼丸。
ゼウスと柱…つまりサクヤさんたちが倒されればコネクトワールドは…。
しかもタイミングが良いのか悪いのか、こちらの実行も明日ですか。纏めて四神も天下五剣も潰すつもりとは…アンラだからこそできると思える策ですね、嫌ですけど←
タナトスは道化師唯一の生き残りなんですかね…いいように使われていることを分かっていても抵抗できない、悔しすぎるやつ。…その悔しさを感じられればまだいいですよね。
鬼丸ぅううううううううう!! おに、おにまっ、鬼丸ぅううううううううううう!!
もう…もうダメなんでしょうか…でも諦めきれないこの心、つらひ。
本部ではまだサクヤさんも悩んでいましたね。無理もありません。一人で決められるようなことじゃないですから。
天界に行ければもしかするとソハヤや秋田くんだけでなく、刀剣男士たちを助けられるかもしれない。それでも、地上のいのちを巻き込む。
でもそんなサクヤさんたちの元にMZDさん、ヴィルさんを始め、マルスたち、カラ松たち、リピカたち、バンワドたち、罪木ちゃんたち、キョウカさんたち、翔陽くんたち、クレアたそたち、ごくそつくんたち…そして四神たち。みんなみんな、覚悟を伝えてくれましたね。とっても胸熱です。
ヘラに伝えたとほぼ同時に扉が開いたと…どうしてでしょう、つい先ほどまで不安とかいろいろ入り乱れていたのに今は大丈夫と思えます。胸熱の影響、すごんい。
#CR10のお話も楽しみにしております!
それでは!
- Re: AfterBreakTime#CR 記憶の軌跡【#09完結】 ( No.66 )
- 日時: 2021/05/20 00:44
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: rE1CEdls)
どうもです。昨今ぷよったりぷよったり三池に爆撃喰らっている灯焔です。
#CR10に関してはプロットは全て書き終わっていますので、今しばらくお待ちください。このスレ最後の節になります為、私としても闘魂を入れて執筆しております。
余談ですが、私はフィバ2からクルークがずっとマイキャラです。最早『愛』の域です。折り返し出来ない癖に。
>>柊 様
どうもです。コメントありがとうございます。
事件も無事解決し、刀剣男士とサクヤ達の会話から後日談編はスタート致しました。今彼女らのもとに顕現している天下五剣は、他の同位体と違い『霊力が桁違いに高い』個体。そんなことがばれてしまえば、世界に居場所はないと各々思っているのでしょうね。敵方も同条件の童子切と鬼丸を奪取している為、事情も分かっていたと。悪質ですね←
大包平、前田くんの他に落ちている刀剣男士はいるかもしれませんし、いないかもしれません。ただ、前回のソハヤと秋田がいた場所の描写からすると…。
○○ちゃん&○○くん『お化けになっちゃえば 死んじゃっても楽しいからいいのデース!!』
と、冥府から声が聞こえてきそうなものです。レストインピースはあかん。
果たして鬼丸の言葉の真意は。助ける為には彼の邪気を何とかしなければなりませんが、現状彼を『折る』ことでしか完全に邪気は断ち切れないようで。他に方法があればいいんですがね…。
一方鬼丸は第二鉱山に逃げ込んでいましたが…もう、本人も分かっていました。もう、自分に時間は残されていないのだと。
政府の都合で生み出され、政府の都合で監禁され、政府の都合で捨てられた。彼らにだってのんびりと暮らす平和な未来を望んだって誰もバチはあたりゃしませんって。そして、アンラも遂に鬼丸に追いつき彼を回収してしまいました。一体どうなっちゃうのー?
一方天界。オリュンポス十二神ではヘラがぷりぷり怒っていました。ですが今回はまた浮気をやらかしたわけではないようで。ゼウスの行動がきっかけなのは確かですが、それで成長できたいのちもあります。どちらが正しかったかなんて、きっと誰にも分かりません。
そして現れ出でた『門』。これが開いちゃったら大変なことになってしまいます。ヘラを残し調査へと向かってしまった彼にまたぷりぷり怒りながら地上へと下りた彼女でしたが…。きっと、ゼウスなりの気遣いなんでしょうね。
ところかわって本部に戻りまして、おそ松達がヘラと邂逅しました。女神に向かってもいつもの調子な松野家をスルーし、彼女はサクヤと会わせろと声を大にして言ってきました。
まぁね、サクヤさん感情を受け入れたとはいえまだ日が浅い。自分でなんでもやってしまう悪い癖は中々とれないようで。慈善事業ではありませんのでうち。←
簡単に言ってしまえば『戦争に参加しろ』という頼みをそう易々と頷く訳にはいきません。サクヤは一日時間をくれと彼女にいい答えを保留しましたが、やはり迷っているようで。きっと光世さんが隣にいなければ『分かりました』と淡々と頷いていた可能性もあります。そんな未来もあったかもしれません。
アンラの根城に帰還した邪神。既に魔の手に堕ちてしまった鬼丸も一緒です。
彼女はやはりこの世界を滅ぼそうとしていました。『門』を開く日時は明日、ということでちょっと大変なことになってまいりました。
タナトスには『蔵』…。刀剣達が仕舞われているものですね。それの管理を引き継げと。やらなければいのちはない、やってもいのちはないと結局八方塞がりな選択肢なんですが。
そして、アンラの手によって再び鬼丸は顕現されたのですが…。既にそれは『鬼丸国綱』の形をした何かでした。既に化け物になってしまった彼を助けることは出来るのでしょうか…?
そして、本部ではサクヤがまだ答えを決めかねていました。光世さんも前田くんも協力しようとしますが、彼らも答えは出てこず。ソハヤ達を救いたくても、本人の感情だけで行ける場所ではなのは明白です。
そんな彼女達に仲間達からの覚悟の言葉が続々と出てきました。世界を守る為、共に戦うと。彼らの支えを受け、遂にサクヤはゼウスに加勢することを決意しましたが……それと同時に『もん』が開かれました。
遂にクライマックスを迎えるABT#CR。どんな結末になるのか。どうか最後まで暖かくお見守りください。
暖かいコメント、毎度ありがとうございます。執筆の励みになっております。
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