二次創作小説(新・総合)
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- フェイタル・バレット 〜運命を貫く弾丸〜
- 日時: 2022/11/15 22:17
- 名前: イナ (ID: 8GPKKkoN)
注意!!!
読むのが最初の方へ
ページが増えています。このままだといきなり1話のあと6話になるので、最後のページに移動してから読み始めてください。
※これは《ソードアート・オンライン フェイタル・バレット》の二次創作です。
イツキと主人公を恋愛でくっつけるつもりです。苦手な方はUターンお願い致します。
原作を知らない方はちょっとお楽しみづらいと思います。原作をプレイしてからがおすすめです。
どんとこい!というかたはどうぞ。
「―――また、行くんだね。あの“仮想世界”に。」
《ガンゲイル・オンライン》、略して、《GGO》。それは、フルダイブ型のVRMMOである。
フルダイブ型VRMMOの祖、《ソード・アート・オンライン》、《SAO》。
私は、そのデスゲームに閉じ込められたプレイヤーの中で、生き残って帰ってきた、《SAO帰還者》である。
《SAO》から帰還して以来、私はVRMMOとは距離をおいていたが。
『ねえ、《GGO》って知ってる?』
私、神名 凛世は、幼馴染の高峰 紅葉の一言によって、ログインすることになった。
幼い頃に紅葉が引っ越してから、疎遠になっていた私達。その紅葉から、毎日のようにVRで会えるから、と誘われたVRMMO。行かないわけにはいかないだろう。大好きな紅葉の誘いとあらば。
ベッドに寝転がって、アミュスフィアを被る。
さあ、行こう。
“仮想世界”…………もう一つの現実に。
「―――リンク・スタート」
コンソールが真っ白な視界に映る。
【ユーザーネームを設定してください。尚、後から変更はできません】
迷いなく、私はユーザーネームを【Linose】……【リノセ】にした。
どんなアカウントでも、私は大抵、ユーザーネームを【リノセ】にしている。
最初にゲームをしようとした時、ユーザーネームが思いつかなくて悩んでたら、紅葉が提案してくれたユーザーネームである。気に入っているのだ。
―――でも、《SAO》では違った。
あの時、【リノセ】にしたくなかった理由があり、《SAO》では【リナ】にしていた。
凛世のりと、神名のなを反対に読んで、リナ。それが、あそこでの私だった。
でも、もういいんだ。私は【リノセ】。
コンソールがアバター設定に切り替わった。
普通の人なら誰?ってほど変えるところだけど、私は《SAO》以来、自分を偽るのはやめにしていた。とは言っても、現実とちょっとは変えるけど。
黒髪を白銀の髪に変え、褐色の瞳を紺色にする。おろしていた髪を編み込んで後ろに持っていった髪型にした。
とまあ、こんな感じで私のアバターを設定した。顔と体型はそのままね。
…まあ、《GGO》に《SAO帰還者》がいたらバレるかもしれないけど…そこはまあ大丈夫でしょ。私は、PKギルドを片っ端から潰してただけだし。まあ、キリトがまだ血盟騎士団にいない頃、血盟騎士団の一軍にいたりはしたけれども。名前は違うからセーフだセーフ。
ああ、そういえば…《SAO》といえば…懐かしいな。
―――霧散
それが、《SAO》時代に私につけられていた肩書だった。
それについてはまた今度。…もうすぐ、SBCグロッケンに着く。
足が地面に付く感覚がした。
ゆっくり、目を開く。
手のひらを見て、手を閉じたり開いたりした後、ぐっと握りしめた。
帰ってきたんだ。ここに。
「―――ただいま。…“仮想世界”。」
「お待たせっ。」
前方から声をかけられた。
「イベントの参加登録が混んでて、参っちゃった。」
ピンクの髪に、ピンクの目。見るからに元気っ子っぽい見た目の少女。
その声は、ついこの前聞いた、あの大好きな幼馴染のものだった。
「問題なくログインできたみたいね。待った?」
返事のために急いでユーザーネームを確認すると、少女の上に【Kureha】と表示されているのがわかった。
―――クレハ。紅葉の別の読みだね。
紅葉らしいと思いつつ、「待ってないよ、今来たとこ。」と答えた。
「ふふ、そう。…あんた、またその名前なわけ?あたしは使ってくれてるから嬉しいけど、別に全部それ使ってとは言ってないわよ?」
クレハは、私の表示を見てそう言った。
「気に入ってるの。」
《GGO》のあれこれを教えてもらいながら、私達は総督府に向かった。
戦闘についても戦闘の前に大体教えてもらい、イベントの目玉、“ArFA system tipe-x"についても聞いた。
久しぶりのVRMMO…ワクワクする。
「あ!イツキさんだ!」
転送ポート近くにできている人だかりの中心を見て、クレハが言った。
「知ってるの?」
あの人、《GGO》では珍しいイケメンアバターじゃん。
「知ってるっていうもんじゃないわよ!イツキさんはトッププレイヤーの一員なのよ!イツキさん率いるスコードロン《アルファルド》は強くて有名よ!」
「…すこーど…?」
「スコードロン。ギルドみたいなものね。」
「あー、なるほど。」
イツキさんは、すごいらしい。トッププレイヤーなんだから、まあそうだろうけど。すごいスコードロンのリーダーでもあったんだね。
「やあ、君たちも大会に参加するの?」
「え?」
なんか、この人話しかけてきたよ⁉大丈夫なの、あの取り巻き達に恨まれたりしません?
「はい!」
クレハ気にしてないし。
「クレハくんだよね。噂は聞いているよ。」
「へっ?」
おー…。トッププレイヤーだもんなあ…。クレハは準トッププレイヤーだから、クレハくらいの情報は持っておかないと地位を保てないよねえ…。
「複数のスコードロンを渡り歩いてるんだろ。クレバーな戦況分析が頼りになるって評判いいよね。」
「あ、ありがとうございます!」
うわー、クレハが敬語だとなんか新鮮というか、違和感というか…。
トッププレイヤーの威厳ってものかね。
「そこの君は…初期装備みたいだけど、もしかしてニュービー?」
「あ、はい。私はリノセ!よろしくです!」
「リノセ、ゲームはめちゃくちゃ上手いけど、《GGO》は初めてなんです。」
「へえ、ログイン初日にイベントに参加するとは、冒険好きなんだね。そういうの、嫌いじゃないな。」
うーん。冒険好き、というよりは、取り敢えずやってみよー!タイプの気がする。
「銃の戦いは、レベルやステータスが全てではない。面白い戦いを―――期待しているよ。それじゃあ、失礼。」
そう言って、イツキさんは去っていった。
「イツキさんはすごいけど、私だってもうすぐでトッププレイヤー入りの腕前なんだから、そう簡単に負けないわ!」
クレハはやる気が燃えまくっている様子。
「ふふ、流石。」
クレハ、ゲーム好きだもんなあ。
「さあ、行くわよ。準備ができたらあの転送ポートに入ってね。会場に転送されるから。」
―――始めよう。
私の物語を。
大会開始後、20分くらい。
「リノセ、相変わらず飲み込みが早いわね。上達が著しいわ!」
ロケランでエネミーを蹂躙しながらクレハが言った。
「うん!クレハのおかげだよ!」
私も、ニコニコしながらエネミーの頭をぶち抜いて言った。
うん、もうこれリアルだったら犯罪者予備軍の光景だね。
あ、銃を扱ってる時点で犯罪者か。
リロードして、どんどん進んでいく。
そうしたら、今回は運が悪いのか、起きて欲しくないことが起きた。
「おや、君たち。」
「……イツキさん。」
一番…いや、二番?くらいに会いたくなかったよ。なんで会っちゃうかな。
…まあ、それでも一応、持ち前のリアルラックが発動してくれたようで、その先にいたネームドエネミーを倒すことで見逃してくれることになった。ラッキー。
「いくわよ、リノセ!」
「うん!」
そのネームドエネミーは、そんなにレベルが高くなく、私達2人だったら余裕だった。
うーん…ニュービーが思うことじゃないかもしれないけど、ちょっとこのネームド弱い。
私、《SAO》時代は血盟騎士団の一軍にも入ってたし。オレンジギルド潰しまくってたし。まあ、PKは一回しかしてないけど。それでも、ちょっとパターンがわかりやすすぎ。
「…終わったわね。」
「うん。意外と早かったね?」
「ええ。」
呆気なく倒してしまったと苦笑していると、後ろから、イツキさんが拍手をしてきた。
「見事だ。」
本当に見事だったかなあ。すぐ倒れちゃったし。
「約束通り、君たちは見逃そう。この先は分かれ道だから、君たちが選んで進むといい。」
え?それはいくらなんでも譲り過ぎじゃないかな。
「いいんですか?」
「生憎、僕は運がなくてね。この間、《無冠の女王》にレアアイテムを奪われたばかりなんだ。だから君たちが選ぶといい。」
僕が選んでもどうせ外れるし。という副音声が聞こえた気がした。
「そういうことなら、わかりました!」
クレハが了承したので、まあいいということにしておくけど、後で後悔しても知らないよ。
「じゃあリノセ、あんたが選んでね。」
「うん。私のリアルラックを見せてあげないと。」
そして私は、なんとなく左にした。なんとなく、これ大事。
道の先は、小さな部屋だった。
奥に、ハイテクそうな機械が並んでいる。
「こういうのを操作したりすると、何かしら先に進めたりするのよ。」
クレハが機械をポチポチ。
「…え?」
すると、床が光り出した。出ようにも、半透明の壁のせいで出れない。
「クレハ―――!」
「落ち着いて!ワープポータルよ!すぐ追いかけるから動かないでー!」
そして、私の視界は切り替わった。
着いたのは、開けた場所。戦うために広くなっているのだろうか。
「………あ。」
部屋を見回すと、なにかカプセルのようなものを見つけた。
「これは…」
よく見ようとして近づく。
すると。
「―――っ」
後ろから狙われている気がしてバッと振り返り、後ろに飛び退く。
その予感は的中したようで、さっきまで私がいたところには弾丸が舞っていた。
近くのカプセルを掴んで体勢を立て直す。
【プレイヤーの接触を確認。プレイヤー認証開始…ユーザーネーム、Linose。マスター登録 完了。】
なんか聞こえてきた気がした機械音声を無視し、思考する。
やっぱり誰かいるようだ。
となると、これはタッグ制だから、もうひとりいるはず。そう思ってキョロキョロすると、私めがけて突っ込んでくる見知った人物が見えた。
キリト⁉まさか、この《GGO》にもいたの…⁉ガンゲーだから来ないと思ってたのに。まあ、誰かが気分転換に誘ったんだろうけど。ってことは、ペア相手はアスナ?
うっわ、最悪!
そう思っていると、カプセルから人が出てきた。
青みがかった銀髪の女の子で、顔は整っている。その着ている服は、まるでアファシスの―――
観察していると、その子がドサッと崩れ落ちた。
「えっ?」
もうすぐそこまでキリトは迫っているし、ハンドガンで攻撃してもどうせ弾丸を斬られるだろうし、斬られなくてもキリトをダウンさせることは難しい。
私は無理でも、この子だけは守らなきゃ!
そう考える前に、もう私の体は女の子を守っていた。
「マスター…?」
「―――っ!」
その女の子が何かを呟くと、キリトは急ブレーキをかけて目の前で止まった。
「…?」
何この状況?
よくわからずにキリトを見上げると、どこからか足音が聞こえた。
「…っ!ちょっと待ちなさい!」
クレハだ。
照準をキリトに合わせてそう言う。
「あなたこそ、銃を降ろして。」
そして、そんなクレハの背後を取ったアスナ。
やっぱり、アスナだったんだね、私を撃とうとしたのは。
一人で納得していると、キリトが何故か光剣をしまった。
「やめよう。もう俺たちは、君たちと戦うつもりはないんだ。残念だけど、間に合わなかったからな。」
「間に合わなかった?何を言っているの?」
クレハが、私の気持ちを代弁する。
「既にそこのアファシスは、彼女をマスターと認めたようなんだ。」
………あ、もしかして。
アファシスの服みたいなものを着ているなーと思ったら、この子アファシスだったの?
というか、マスターと認めた…私を?
あー…そういえば、マスター登録がなんとかって聞こえたような気がしなくもない。
うん、聞こえたね。
あちゃー。
「ええええ⁉」
この子がアファシス⁉と驚いて近づいてきたクレハ。
「ねっ、マスターは誰?」
「マスターユーザーネームは【Linose】です。現在、システムを50%起動中。暫くお待ち下さい。」
どうやら、さっきカプセルに触れてしまったことで、私がマスター登録されてしまったようだ。やっちゃった。……いや、私だってアファシスのマスターになる、ということに対して興味がなかったといえば嘘になるが。クレハのお手伝いのために来たので、私がマスターとなることは、今回は諦めようと思っていたのだ。
―――だが。
「あんたのものはあたしのもの!ってことで許してあげるわ。」
クレハは、からかい気味の口調で言って、許してくれた。
やっぱ、私はクレハがいないとだめだね。
私は改めてそう思った。
クレハに嫌われたらどうしよう、大丈夫だと思うけど万が一…と、さっきまでずっと考えていたからだ。
だから、クレハ。自分を嫌わないで。
クレハもいなくなったら、私―――
ううん。今はそんな事考えずに楽しまなきゃ。クレハが誘ってくれたんだから。
「私はクレハ。よろしくです!」
「リノセ。クレハの幼馴染です!」
「俺はキリト。よろしくな、リノセ、クレハ!」
「アスナよ。ふたりとも、よろしくね。」
自己紹介を交わした後、2人は優勝を目指して去っていった。
きっと優勝できるだろう。あの《SAO》をクリアした2人ならば。
私はその前に最前線から離脱しちゃったわけだし、今はリナじゃないし、2人にバレなくて当然というか、半分嬉しくて半分寂しい。
誰も私の《SAO》時代を知らないから、気付いてほしかったのかもしれない―――
「メインシステム、80…90…100%起動、システムチェック、オールグリーン。起動完了しました。」
アファシスの、そんな機械的な声で私ははっと我に返った。
「マ、マスター!私に名前をつけてくださいっ。」
「あれ?なんか元気になった?」
「えっと…ごめんなさい、そういう仕様なんです。tipe-xにはそれぞれ人格が設定されていて、私はそれに沿った性格なんです。」
「あ、そうなんだ。すごいね、アファシスって。」
じゃあ、このアファシスはこういう人格なんだね。
「名前、つけてあげなさいよ。これからずっと連れ歩くんだから。」
「うん。」
名前…どうしようかな。
この子、すごく綺麗だよね…綺麗…キレイ…レイ。レイ…いいじゃん。
「レイ。君はレイだよ。」
「レイ...!登録完了です。えへへ、素敵な名前をありがとうございます、マスター。」
アファシス改め、レイは嬉しそうに笑った。
「…リノセ、あんた中々センスあるじゃん。あのときはずっっと悩んでたっていうのに。」
クレハが呆れたように言った。まあ、いいでしょ。成長したってことで。
「えと、マスター。名前のお礼です。どうぞ。」
レイは、私に見たことのない銃を差し出した。
「ありがとう。これは何?」
受け取って訊いてみると、レイはニコッとして答えた。
「《アルティメットファイバーガン》です。長いので、《UFG》って呼んでください。」
《UFG》……何かレアそう。
また、大きな波乱の予感がした。
次へ続く
- Re: フェイタル・バレット 〜運命を貫く弾丸〜 ( No.28 )
- 日時: 2023/02/27 08:51
- 名前: イナ (ID: F5B8s22.)
アスナとキリト……《SAO》では一回も戦ったことがない。
まあ、《GGO》に来てからは、ちょっとしたバトルみたいなのはあった。
スコードロンリーダーの決定戦でキリトとは対戦したし。
でも、こうして真面目にタッグバトルで戦うのは始めてだろう。
一番最初、レイをゲットした大会では戦わなかったし。
「2人の瞬発力と適応力はすさまじいからね。結構厄介だ。」
「そうだよね…どうしたものかねえ。」
うーむと考える。
そもそも、二人の戦闘スタイルは剣の状態すらよく知らないのだ。
瞬発力と適応力……学習力………あっ。
「イツキ。いーこと思いついちゃった!」
「そうかい?それはよかった。楽しそうな顔をしているね。」
「ふふっ。そうだね。折角二人と戦えるんだから、楽しまないとね〜。」
「そうだね。」
「作戦は―――」
『次の対戦ユーザーは準備をしてください。』
そのアナウンスを聞いて、転送ポートに入る。
今回は、一回目と同じ武器、同じスキルロール。
炸裂弾が今回のポイントだ。
私は、ビルの屋上。イツキは2人の死角だ。
『3…2…1…開始』
2人の位置取りは完璧だけど、《UFG》がある私に対しては分が悪い。結構な角度で見えない場所だけど、ここからは…
「見えちゃうんだよねっ!」
トリガーを引き、弾丸を発射。
それに気付いたキリトは、即反応して弾丸を斬る。それは流石だ。……だけどね。
「ぐっ!」
「きゃあっ!」
炸裂弾は、斬ったら爆発するのだ。
2人のHPゲージは炸裂弾4に大きく削られ、彼らはすぐに移動する。
まあ、このままでは私の射程の暴力だから、とりあえず近づくか遠ざかるかが必要だからね。
私は、アスナのアサルトライフルでも届かない位置。
そして、彼らが行く先には、イツキ。
「見つけたぜ、イツキ!」
「玉座に来るのはまだ早いよ。」
地雷の発動音が聞こえ、キリトたちは後退する。
そこには、沢山の地雷、電磁スタントラップ、トラップ、イビルマイン…足止めの数々。
イツキが足止めしてくれている間に、私は移動。
「…っ、色々とやってくれたみたいだが…追い詰めたぜ、イツキ!」
「キリトくん、リノセちゃんがいない!」
「っち、早めに片付けるぞ!」
キリトが、イツキに斬り掛かる。だけど、イツキは微動だにしない。それもそのはず…
「言ってなかったっけ?」
「ッ、リノセ⁉」
「玉座に来るのはまだ早いって。」
Destroy Gateで剣を受け止める、私がいたのだ。
「思いスナイパーライフルで剣の相手か?」
「まさかでしょ。」
私は、剣を受け流すとともに、至近距離で炸裂弾を撃ち込み、もう一発ヘッドショット。
「キリトくんっ!」
回復しようとするアスナは、イツキによって妨害された。
そして、私は剣に持ち替える。
「…まさか、サブウェポンが剣だった?」
「そ。知らなかっただろうね。一回も使ったこと…なかったか、ら!」
飛び出して、私とキリトは剣を交えた。
『―――そのとき、一回、わざとアスナに負けて欲しい。できれば相打ちかな。』
『相打ち?』
『うん。その後は―――』
合図を送ると、イツキは予定通り、アスナと相打ちになった。そこあたりのコントロールも、流石はイツキってとこかな。
あとは、私がするべきは2つだけ。
『キリト、あそこでよく生き延びたね。おかげで助かったよ。』
『まーな。俺、即死回避付いてんだよ。だから、体力が1だけ残ってたんだ。』
『へー!いいね、そのメモリーチップ。』
この会話をしたクエストから、キリトは一回もアクセサリーをいじってない。
だから、即死回避で私を倒した瞬間が、隙のないキリトの、唯一の隙!
私は、剣で戦ったまま左手にハンドガンを持ち、スキルの弾丸を撃ち込む。
流石に学んだのか、キリトはそれを間一髪で避けた。
それは本当に凄い。
私は一回小さく舌打ちすると、また剣を交えた。
段々HPが少なくなってくる。私が倒れるタイミングはもうすぐだ。
まだ、まだ、まだ…今だ!
スナイパーライフルを頭に突きつけて、いきなりトリガーを引く。
それでできた大きな隙にキリトは剣を入れ、私は倒れる。
キリトは、即死回避で1のみ、体力があった。
―――あとは、頼んだ。
「がっ!」
「残念だったね。」
アスナと相打ちになっていたはずのイツキが立ち上がり、キリトの最後の1を削りきっていた。
そう、これが狙いだったのだ。
さっきのスキル弾は、炸裂弾ではなく、AED弾。
私は、キリトに向けた炸裂弾と見せかけて、イツキを蘇生していたのだ。
これが、一番やりやすい蘇生の仕方だからね。
イツキは、すぐに私を蘇生する。
そして―――
『勝者、イツキ&リノセ ペア。』
私たちの、勝ちだ。
次へ続く
- Re: フェイタル・バレット 〜運命を貫く弾丸〜 ( No.29 )
- 日時: 2023/03/09 19:13
- 名前: イナ (ID: 8GPKKkoN)
タッグバトルトーナメントは、結果、私とイツキが優勝した。
キリトたちとのアレが決勝戦だったのだ。気付かなかったけど。
まあ、決勝戦まで生き残るのはやっぱり流石だよね。
「今回は君が大活躍だったね。」
「えー、イツキだって。私、いろいろやってもらったから、イツキがいなきゃ無理だったよ。イツキと一緒に出場できてよかった。」
「ッ…君は、また……簡単に、そんな…」
「?」
イツキは、少し顔を背けてからなにか呟いたが、聞こえない。
しばらくして戻ったイツキは、いつもどおりのイツキだった。
「さて…終わったね。」
「うん。」
顔を見合わせて頷き合い、2人で金色のトロフィーを持ち上げた。
「はい、チーズ!」
カシャッ。
そんな私たちを映した写真は、永遠に残るだろう。
「リノセ、イツキ!」
「「「トーナメント優勝、おめでとう!」」」
この日、私たちはキリトたちの部屋でパーティーを行っていた。
なんか、キリトたちは頻繁にパーティーを開いている気がする。楽しいからいいけど。
これだけ開いていたら、最早パーティーの価値がなくなっちゃうんじゃないの、みたいな、そんなことをちょっと思ってしまった。
でも楽しいからいいんだ、楽しいから。
とにかく。
「今日は楽しもーっ!」
「「「おーっ!」」」
カランッ、と乾杯の音が部屋に響いた。
「マスター、すっごくかっこよくて、あそことか、とってもかっこよくて、とにかくかっこよかったですっ!」
「あそこって何?かっこいいしか言ってないけど?………まあ、ありがと、レイ!」
「えへへ…マスター大好きですっ!」
「もーかわいいね、レイったら〜。私も大好きだよ!」
「……マスターバカが進行してる…」
なんかちょっとむず痒いけど、それって嬉しいってことだ、多分。
ここに来て、「ただいま、レイ。」って言って、一緒に銃をぶっ放して…
そんな毎日を送れる、《GGO》は私の家だ。マイホーム。
『相変わらず寂しい家ね。ぬいぐるみの一つや二つぐらい置きなさいよ。』
あんなことを言ってた香住も…ここに来たら、言うんだろうな。
なんだ、あんたの家あったかいじゃないの、って。
「イツキ!」
「ああ、わかった!」
そして、再びSBCフリューゲル攻略に入った私たち。
『エネミーアファシス』の噂も調査しつつ、順調に攻略していた。
流石の広さで、全部だけでも相当な時間がかかる。後部も攻略したいと言うのに。
まあ、すぐ攻略できたらつまんないから、逆に燃えるけどね!
「あれ、行き止まり?」
「ううん、ドアにロックが掛かってるみたいだね。鍵…が必要みたいだけど。」
赤いランプが光るドアに近付いてみる。
真ん中で切れてるから、開くんだろうけど。
「うーん…何か見逃したわけではないだろうね。だとすると…」
「鍵を獲得するためのコンテンツがあるはずだよね。……アルゴに訊いてみるかー」
本当は唯葉…じゃなくて、ユーハに訊いてもいいんだけど、ユーハとの繋がりを明らかにするとシュピーゲルが面倒そうだし。
大人しくアルゴに訊いたほうがよさそう。
「仕方ないわね。一回帰るわよ〜」
「はいっ、わかりました、クレハ!」
ということで、一旦SBCグロッケンに帰ることに。
コンソールを操作してファストトラベルの用意をする。
―――一人で突っ込み過ぎんな、リナ。
「ッ⁉」
「どうかしたかい?」
「…いや、なんでも。帰ろっか。」
一瞬…
一瞬、アイツの声が聞こえた気がした。
でも、そんなはずはない。アイツは、もういないんだから…。聞こえるはずが、ない。
…万が一、億が一、アイツがいるとしたら…。
アイツの妹のあの子を、探し出さなきゃいけない。
多分、あの子も《GGO》に来てると思うから―――
「情報がほしいって飢えた顔をしてるナ。」
アルゴは、開口一番そう言った。
「飢えてはないけど、情報が欲しくてね。」
そう返すと、「ニャハハ、お腹はいっぱいだったカ」とアルゴは笑った。
「おや、今日はキー坊もいるのか。じゃあお友達価格で3割増しカナ。」
「おいっ、アルゴ。3割増しは流石に…」
「買うわ!」
何だこのコントは。…じゃなくて、会話は。
というかお友達価格で3割増しとは、アルゴは私たちを金のなる木と間違えてない?大丈夫?
「クレハ、ストップ!」
「あたしはいつでも冷静よ!ただ、悩んでる時間がもったいないってだけ。こうしている間に、他の人に先を越されているかもしれないって思うと…」
「ニャハハ。じゃあ、クレハのその心意気に免じて、今回は適正価格で対応させてもらうヨ。今回の情報はこんな感じダ。」
アルゴが慣れた手付きでクレハと取引をし、クレハは少し顔を歪める。
「うわっ、適正価格でもちょっと痛いわね。…なになに、ゲートを開けるには、各フィールドのダンジョンボスを倒してカードキーを入手しよウ。」
各フィールドに散らばってるのか。これはニュービーとか、攻略中間勢のほうが進んでるかも。場合によっては、高レベルプレイヤーに売ってる人もいるだろうし、これは急がないと。
…待てよ。これってもしや…
【「あれ…?こんなとこあったっけ…?」
見逃していたのだろうか。見たことのないダンジョンを見つけた。
「……行くか。」
《砂に覆われた孤島》は結構序盤のフィールドだし、1人でもなんとかなるだろう。ヤバそうだった
ら剣を使えばいいし。そう思い、私はそのダンジョンに入った。
「あれ…?」
と思ったら、造りがフリューゲルと似ている。デザインは同じだ。ということは…
あちゃー。フリューゲル攻略の途中で入ってくる、あのよくある“キーアイテム”系だな。
そう直感した。
「うん、行こう!」
戻るのもちょっとシャクだし。こうなったら1人で攻略してやる!】
文化祭前、フリューゲル攻略を始めたばかりのとき、一人でレベリングしてきたときの、フリューゲルに似たダンジョン…じゃないかな?
…そうかあ。あのとき、一緒にフリューゲル攻略に行ける人がいなくて運悪いと思ったけど、結局はラッキーだったんだ、やっぱり。
「…ふふっ、クレハ。一つ仕事減ったよ。」
私は、そう言って、クスリと笑った。
次へ続く
- Re: フェイタル・バレット 〜運命を貫く弾丸〜 ( No.30 )
- 日時: 2023/03/14 12:38
- 名前: イナ (ID: 8GPKKkoN)
笑う私を見て、クレハは眉をひそめた。
「一つ仕事が減った?どういうことよ?」
「実は、かくかくしかじか……」
説明すると、クレハはあははと苦笑した。
「全くあんたは…いいんだか悪いんだか…まあ、結局は役に立ってるからラッキーなんでしょうけど、それにしても、一人で行くなって行ったでしょ。この前、変なプレイヤーに絡まれてたじゃないっ。」
「ご、ごめんなさい…」
「まあまあ。クレハも、そこらへんは妥協するんだナ。リノセに言ったことの七割は無駄になル。」
「え、そんな失礼な。」
「いや、しょうがないわよ。今まで無茶するなって言われながら何回無茶したと思ってるの!」
「うっ…」
言い返したいところだけど、まったくもってその通りである。
私は、約束したことも、いざというときには破る可能性がある。
勿論、悪い方向での理由では絶対に破らないけど。誰かが危ないとか、そういうときには破る。
「あっ、いたいた!レイちゃん!」
「アスナ、キリト!シノン、ユイも!」
そうしていると、4人が私たちのもとに駆け寄ってきた。
「レイちゃん、昨日はありがとね。」
「えっ?」
「昨日もらったお得情報の隠しダンジョン、ちょっと手強かったけど攻略できたよ。レアアイテムもどっさり。」
「ええ。『ムフフなお得情報なのです!』って言って手を握ってきたからびっくりしたけど。」
「ええっ?」
シノンとアスナは、そう言ってニコニコする。
でも、私とレイは顔を見合わせた。
私とレイは昨日、ずっとイツキと3人で隠しクエストを消化していた。
確か、解散した頃にはもう、キリトたちはログアウトしていたはずだ。
そう、私たち―――否、レイは昨日、アスナたちに会っていない、ということになる。
「おかしい…どういうこと?」
「そういえば、昨日の衣装はどうしたんだ?いつもと雰囲気違ったよな。」
「新しくリノセさんに買ってもらったのですか?」
衣装が違った?それ以外は同じだったってこと?ってことは、そっくりさん?
「あの…実は私、昨日、キリトたちに会っていないのです。ムフフなお得情報も知りません。それは、私じゃないのです。」
レイが遠慮気味にそう言うと、キリトたちは目を見開いた。
「えっ?あれ、レイちゃんじゃなかったの?」
「じゃあ、一体誰なのかしら…」
「確かに、見た目も声も一緒だったのですが…なぜでしょうか。」
同じ…似ていた、じゃない。
とすると、見た目だけコピーしていた?
「完全に、あの、アファシス3のそっくりさんは、NPCのAfasysでしたので、完全にあなただと思っていました。」
ユイがそう呟く。
それの言葉でなにか思い出したのか、クレハがばっと顔をあげる。
「そういえば、アファシスについての奇妙な噂なら聞きますよね。」
「えっ?」
奇妙な噂?それは聞かないなあ…。
なんだろう?
「フィールドに、プレイヤーそっくりのエネミーが出るって話。なんでも、そのエネミーがアファシスらしくて。」
「そんな話は聞きませんわ〜。」
「わっ、びっくりした!」
クレハの言う、奇妙な噂を否定したのは、突然背後からぬっと出てきたツェリスカだった。
「そもそも、今のアファシスはグロッケンの味方よ。昔は、グロッケンとフリューゲルは敵対関係にあったとはいえ、今は違う。設定に矛盾はないけれど、少しおかしい話よ。」
「まあ、そうだよね。」
ツェリスカはアファシスマニアで設定に詳しい。
そんなツェリスカでさえエネミーアファシスを見たことがない…?
「それに、それだけのことがあるのなら、運営から発表があってもおかしくないもの〜。」
「そういえば、エネミーアファシスについて何も公にされてないわね。」
「だから、まだ噂なんだろうね。」
ふむ…これは、ちょっと調べる必要が出てきそうだね。
フリューゲルの鍵入手と並行して調査しなきゃ。
「これはやってみなきゃな。」
「だね。」
キリトとは意見が合うね。同じことを思ってたみたいだ。
「「でた、ゲーマー魂。」」
そして何故クレハとアスナが突っ込んでくるのか。
「まあとにかく、二手に別れよう。俺たちはまだパーティを組んだままだから、俺たちで情報を探ってみる。」
「了解。じゃあ、リノセ、ツェリスカさん、私はこっちで探索してみますね。」
「何故今…」
ツェリスカが何か呟く。
「どうかした、ツェリスカ?」
「あ、いいえ。それよりも、私、少し用事があるの。後で合流するから、先に言っててちょうだい。」
「あ、そうなんですか?」
「ええ。ごめんね。とりあえず、イツキを頼ればいいんじゃないかしら。あいつ、無駄に顔だけは広いから〜。」
「無駄に、って…。まあ、じゃあ、わかりました。」
「また後でね、ツェリスカ。」
「またね、失礼しますわ〜。」
…エネミーアファシス、プレイヤーコピー、レイのそっくりさん…。
クレハはプレイヤーのそっくりさん、って言った。
レイの他にもNPCがコピーされているなら、もっと別の言い方をするはずだし。
もしかしたら、NPCの中でコピーされているのはレイだけ…?
でも、そうだとしても、なんでレイだけ…。
まあ、それも調査すればわかるか。
「《アルファルド》に向かおう。」
そうして、私たちは《アルファルド》に向かった。
「ま、頑張れヨー。」
ニヒヒと笑いながら手をふるアルゴに、手を振り返しながら。
次へ続く
《銃火の覇者》混ぜ、スタートです!
- Re: フェイタル・バレット 〜運命を貫く弾丸〜 ( No.31 )
- 日時: 2023/04/07 22:59
- 名前: イナ (ID: 8GPKKkoN)
「―――なるほどね。それで僕を頼ってきたと。嬉しいけど、残念ながら何も知らないな。でも、ああ…こういうときは。」
知らないかー、と思っていたが、イツキは思いついたようにコンソールを操作し、誰かにメッセージを送った。
そして、十秒ぐらいすると、メッセージの受信を告げる音がイツキから聞こえる。
「うん、返ってきた。」
「はやっ」
元々inしていた人に送ったのだろうが、この速さだとは。
十秒でメッセージって…イツキガチ勢なのかね。パイソンとかかな〜。
「うん…一つ、それらしい情報があったよ。《忘却の森》にある《忘却の神殿》に、エネミーアファシスが出るという噂だ。」
「《忘却の神殿》…」
ああ、この前《忘却の森》のマッピングに行ったときに見た、左下にある神殿のことだね。
なるほど…行ったことなかったけど、いつの間にそんなものが。
「ありがとう、イツキ。」
「ああ。乗りかかった船だ、僕も付き合うよ。」
そう言ったイツキに頷いてパーティを組むと、私たちは、早速《忘却の神殿》に向かった。
―――それは、唐突だった。
シュン…と音がして、二つの影が目の前に落ちる。
それはプレイヤーにも見え、私の後ろにいるはずの人物に似ていた。
「えっ」
「ええっ!マスター、クレハとイツキが2人いますっ!」
そう、クレハとイツキ。
そうか…エネミーアファシス、それもクレハとイツキのそっくりさん。仮に、クレハ?と、イツキ?にしておこう。
その2人がちょうど、現れたわけだ。
「こんにちは!あたし、まだ不慣れですけど…一生懸命、頑張ります!」
そう言ったクレハ?。
「えと…あの!お話いいですか!」
レイが話しかけるも、クレハ?は応じない。
「剣を持ったエネミーは近付いてくるから苦手だけど…それでも、役に立てるように努力しますから!」
「うう…話が通じません…」
項垂れるレイ。
そんなレイの横で、クレハが呟いた。
「剣を持ったエネミーが、苦手…?」
すると、今度はイツキ?が口を開く。
「もしかして、君たちもニュービー?僕と一緒に、トップ目指して頑張ろうね!」
「ッ!ッチ…」
それを聞いて、何故かイツキは盛大に舌打ちをする。
「強力なボスでも、仲間同士で力を合わせれば、倒せる!」
…イツキ?は、随分本物のイツキと違うな…。なんというか、雰囲気が。
悪くないけど、でも…。
考えていると、イツキ?とクレハ?は、銃を持った。
「あっ!戦闘態勢に入ったみたいですっ。戦いですよ、マスター!」
驚いている暇もなく、私も銃を持つ。
イツキとクレハの姿をした人に銃口を向けるのはちょっと嫌だけど…
うん、それでも、あれは2人じゃないから。
「いくよ!」
そうして、私たちは地面を蹴った。
「…嘘、負けちゃった…」
クレハ?が倒れる。
「ふう…やりにくかったあ…」
クレハが脱力したように言ってため息を吐く。
まあ、そりゃそうだ。
自分を相手してるみたいだっただろうから。
戦闘中にクレハが言っていたが、クレハ?のほうは昔のクレハらしい。
イツキ?は昔のイツキと全く違うって言ってた。意味わからん。
まあ、とにかく、クレハ?は倒しきった。
「まだだ!」
イツキが鋭く叫ぶ。
その視線の先には―――イツキの顔だけコピー。
「君たち、強いんだねっ。よし、もう一度修行して、出直してくるよ!」
「待て!逃げるな!」
素早く駆けていったイツキ?を、恨めしそうにイツキは睨んだ。
「チッ…」
「どうしたんですか、イツキ?なんだか、様子がおかしいです。」
訊くレイに、イツキは首を横に振った。
「なんでもないさ。それより、あれを追おう。他プレイヤーに見つかって、変な噂が立てられでもしたら面倒だ。」
「………」
その様子を、私は、静かに見ていた。
中間地点を少し過ぎたあたりの部屋に駆け込むと、後ろから女性の声がした。
「やっと追いつけたわ〜。」
ツェリスカである。
「ツェリスカさん⁉」
クレハが驚いて声を上げた。
「ツェリスカくんか。悪いが、今、君に構っている暇はないんだ。」
イツキがじれったそうに言う。
「あらあら。随分ご機嫌斜めみたいね。何があったのかしら?」
「何もない。早く行くぞ。」
「そんなわけないでしょう。正直に吐きなさい。」
そんなツェリスカに、躊躇いながらもクレハが説明した。
「なるほどね〜。それであなたがツンツンしてるわけですか。」
「ッチ、早くしてくれ。今忙しいんだ。」
「ちょっと待って。今のことを、私の知り合いにも話してほしいの〜。助っ人に呼んだから。」
「助っ人?」
「よお、エネミーアファシスが出たってホントか?」
「ちょっとダイン、血の気が多いわよ。」
「今更じゃないか。ダインは通常運転だぞ。」
カウボーイのような見た目のちょびヒゲと、黒いマントに身を包んだ男の人、そして露出が多い服を着た(最早水着の)女の人だった。
「あーっ!」
クレハが、私が最初にログインした後にイツキを見つけたときのようなリアクションをする。
「ダインさんに、闇風さんに、銃士Xさん!」
…いや誰なの、知らないんだけど。
ランキングなどは気にしない私は、全くわからなかった。
次へ続く
- Re: フェイタル・バレット 〜運命を貫く弾丸〜 ( No.32 )
- 日時: 2023/05/28 22:59
- 名前: イナ (ID: 8GPKKkoN)
ID変わっていますが同一人物です。
「―――ふうん。なるほどね〜。」
銃士Xがうんうんと頷いた。
「それで、クレハのコピーは昔のクレハだったと。」
「はい。剣のエネミーが苦手って言ってたから。私、昔そうだったの。」
「じゃあ、やっぱり、イツキのもコピーだったんじゃないの〜?」
ツェリスカの言葉に、イツキが憎々しそうに吐き捨てた。
「だから、僕のは偽物だったって言っているだろう!」
「……。」
その様子を、私はじっと見つめていた。
「それは流石に苦しいんじゃないかしら?」
「は?」
「イツキ、あなた、何を恐れているの?」
「……。」
すると、私達の後ろ―――丁度ダンジョンの先に、一人のエネミーアファシスが現れた。
赤い衣装をまとった、ツェリスカである。
「あれは!」
「さあ!ぜーんぶぶっ飛ばしてやるわ!ストレス発散よー!」
「…ぷっ」
いつかに聞いたことのあるセリフだな。
そう、それはSBCフリューゲル攻略前半だったっけ。
『リノセ!今すぐ狩りにでも生きましょう!マガジンを持てるだけ持って!ぜーんぶぶっ飛ばしたい気分なの!』
このまま仕事に行ったら1+1も50と言ってしまいそうなくらいに投げやりになっているツェリスカ。
『お、おぉ…。なんか、随分と鬱憤が溜まってるみたいだね?』
『大人の女性は大変なんだもの〜』
そんなツェリスカを見て、レイは少し縮こまる。
『うぅ…今日のツェリスカはちょっと怖いです…。』
『マスターは、ストレスを溜められているのです。』
デイジーは、ツェリスカを心配そうに見やる。
『すとれす…?』
復唱するレイ。
『ストレスは、適宜発散する必要があります。』
『そうなんですね。ストレス…とても危機的な状況です。』
『ストレスの意味わかる?』
そんな天然なレイと冷静なデイジー。
『はあ〜、癒やされるわ〜。かわいいレイちゃんとデイジーちゃんの冷静なツッコミ。世の中があなた達のような人間ばかりならよかったのに〜。』
『マスターのストレス発散のお手伝いをすることができているのなら嬉しいです。』
『ええ、お手伝いしてもらっていますとも。』
まあ、たしかに、レイは癒やされるよね。
『はあ、建設的な意見を言うことができないイヤミ上司なんか燃やしてしまいたいわ〜。そんな上司をいつまでものさばらせておく会社には、グレネードをお見舞いしたいわね〜。』
『あ、あはは…』
『折角いいアップデートを思いついたのに…』
アップデート?もしかして、ゲーム関係の仕事なのかな。
『まあまあ。』
『あ…っと、リアルの話はマナー違反だったわね、ごめんなさい。』
『大丈夫です。何かあれば、私に遠慮せずお話ください。』
『デイジーちゃんはいい子ね〜。』
『よし、狩りに行こう。私が狩られる前に。』
『冷静な判断ね〜。じゃあ、行きましょうか。』
…とまあ、ストレスで相当荒れていた記憶がある。
「あれは…昔、相当荒れていた頃のツェリスカだな。」
ダインが言った。
「うん。あの装備、あのセリフ…間違いないね。」
そして、当人ツェリスカは…
「確かに…こうして見せられると、結構来るものがあるわね…」
とてもやりづらそうだ。
まあ、私としても、昔の自分は見たくないな。はずい。
「先手必勝よー!!」
なんて、談笑している間に、偽ツェリスカは武器を持ってしまった。
「まずい!」
すると、ツェリスカが前に出る。
「おい、ツェリスカ!」
「大丈夫よ。…この距離なら」
ツェリスカと偽ツェリスカがショットガンを構える。そして―――
「おい、肝が冷えたぞ、ツェリスカ。」
「あの頃のステータスと装備のNPCに負ける気はないわ。」
そう言ってツェリスカは肩をすくめた。
「…と、いうことで。」
ツェリスカはイツキをチラ見する。
「私のコピーも昔のものだったわ。イツキも本当は…」
「時間が惜しい。逃げられたら困るんだ。早くしてくれないか。」
焦っているイツキ。これだけ怒りを露にするのは些か珍しい。
「……。」
すると、またエネミーアファシスが現れた。
闇風にとても良く似ている。
「あれは…闇風のコピー?」
次へ続く
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