コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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変人又は奇人(それと馬鹿)。《どうでもいい話》
日時: 2014/12/26 09:51
名前: 目玉ヤロウ (ID: zCMKRHtr)

おかしな話には、おかしい登場人物がいるものである。

そんなおかしな話、聞く価値なんて存在しない、なんて言わずに、すこし聞いて頂きたい。

んじゃ、よろしく。


◇登場人物 (現在オリキャラ募集中です >>130)◇

・大城 みなお
中等部生。伝説の変人候補。常に無表情で、淡々としている。B組。

・岡本 ユリ
中等部生。チート級お嬢様。言葉遣いに気を使っている。激しくツッコミ役。C組。

・高柳 リナ
中等部生。子供っぽい。お菓子が好きで、常に『パッキー』をくわえている。C組。

・辻村 くみ
中等部生。邪気眼系中二病患者。体育会系口調。常に何事にも全力。D組。

・後藤 はづき
中等部生。ドドドドS。人が苦しむ顔が好き。コウがお気に入り。A組。

・中村 コウ
中等部生。色々と得するキャラ。身長について話すと激昂する。一時期停学していた。B組。

・大城 はるか
初等部生。みなおの弟。中等部生の皆さんと仲良し。常識人でも、馬鹿である。

・野世 みゆき
初等部生。はるかと仲が良いんだか、悪いんだか。名前が女々しい。だが女々しく無い。

◆外伝登場人物(オリキャラ募集 >>130)◆

・弥生 椎
中等部生。声フェチ。常に疑心暗鬼。

・柴留 咲羅
中等部生。癖、苦笑。はづきのいい人バージョン的な。

・床央 都
(未登場)

・千田 光苹
(未登場)

(まだ出るよ)


はじめましての人ばかりでしょうから、はじめましてで挨拶させていただきます。はじめまして。

ほぼ毎日の更新になるかとおもわれます。
たまにのろまになります。

コメント大歓迎です。必ず返信しますよ。
それが私の禿げみになるので。あ、漢字間違えた。

き、君なんて別にがんばんなくていいよ、なんて言わないでくださいね←

では、よろしくお願いします。



目次(初等部編から読んでいただいた方が、よくわかります)

初等部編目次 >>198


>>197

バカ編
>>199
1. 鵜呑みクンに任せろ >>200
2. 常識人でも、バカである >>204
3. 人に名前聞くんなら、自分から名乗ってよ! >>205
4. 勝つッス!! >>206
5. 強行突破だ >>207
6. フールな男だな!! >>208
7. あ、全然違うね★ >>209
8. 変態かっ! >>211


番外編
クリスマス特別編 >>212 ←最新更新(12.25)


近状報告 >>203 >>210

♪コメ感謝な方々♪

ちるちるさん
鳥ヤロウ
namikaさん
寂一 手伸さん
狐さん
夕陽さん
shadowさん
にゃはさん
いろはうたさん
月出まひるさん

いやぁ、ほんと感謝しまくりんごです(とりあえず殴

連載開始 2013年 12月 29日

以下更新中。

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Re: 変人又は奇人(それと馬鹿)。《たまに挿絵》 ( No.203 )
日時: 2014/06/16 20:34
名前: 目玉ヤロウ (ID: BKGAQbzV)

閑話

はい、数学ビリ6超おバカちん変人マジキチパッパラパー系のギリギリ人間じゃない目玉です。

まったく更新してませんね、や、やる気はあるのですよ。フフン

期末テストが終わり次第更新しますので。


絶 対 更 新 し ま す の で 。


宣言しときます。
目標は高めに設定しときゃないとですからねっ。

では、来週辺りに出会えることを祈って……!!

Re: 変人又は奇人(それと馬鹿)。《たまに挿絵》 ( No.204 )
日時: 2014/06/20 19:28
名前: 目玉ヤロウ (ID: BKGAQbzV)




2. 「常識人でも、馬鹿である」



朝からひどい目にあった。

「なんなんだよ、あの金髪おじさん……」

あんなの、正直言って人間じゃなかった。
太陽の光に反射して眩しい金髪、左目に装着していた眼帯、あの言動。
前に姉から聞いたことはあった。だが、実際に出会ってみると、本当に痛々しいものだった。

あのおっさん、間違いなく『中二病』だ。

しかも、ぼくに向かって『小者』『小者』って。
こう見えても、クラスの中では真ん中の方なのに。

次会ったときは、どうしてやろう……。

ぼくがそんなことを考えていると、朝読書の時間になってしまった。
仕方ない、『金髪中二病おっさん打開策』は、とりあえず置いておこう。

ぼくは、鞄から姉から借りた本を取り出すと、読書を開始した。





一時間目は国語だ。

「教科書の52ページ……この文章の題名を……はるか君」
「はいっ」

先生に指名され、ぼくは教科書を両手で持って立ち上がった。

「『まくらのくさこ』! です!」

ぼくがそう読み上げた瞬間、教室内が微かに……、いや、豆腐をミキサーに放り込んだくらいに、嵐が吹き荒れたように、ざわついた。

「……もう一度読みなさい」
「えっ? 同じところ? 『まくらのくさし』……です?」
「……もう、座ってよろしい。 ……別の人にお願いするべきだった……」
「え…っ、えぇっ!?」

なっ、なぜだろう。教科書52ページ1行目には、確かに『枕草子』と書かれていた。
ぼくが困惑していると、先生はすぐに別の人を指名した。

「じゃあ……、みゆき君」
「……はい」

ガタッ、と椅子を後ろに引きながら、隣の席でみゆきが立ち上がった。
とたんにざわついていた教室は静かになり、みゆきはいつものように居心地の悪そうな顔をしながら、決して大きくなく、小さくもない声(やる気がないのだろうか)で音読しはじめる。

「……『まくらのそうし』」
「えぇッッ!?」
「正解。 ……ついでに、作者名は何ですか?」
「『せいしょうなごん』」
「さっ、さんしょうなごはん……っ?」

先生は呆れたようにため息をつくと、みゆきに向かって「座りなさい」とだけ言った。
みゆきは座るとき、一瞬だけぼくの方を見ると、さりげなく「バーカ」と口パクで伝えてきた。

ぼくの頭のなかでは、サンショウなご飯と草枕が、ぐるぐるとまわっていた。





「みゆきっ、一緒に帰ろう!」
「やだ」
「なんで!!」
「バカが移る」
「ぼくはバカじゃない!!」

下校時間は過ぎようとしている。日は暮れかけて空はオレンジ色になってるし、学校に残ってる人はもう高等部生と中等部くらいで、初等部の人はほとんどいなくなってしまっているだろう。

だが、しかし。
ぼくにはやることがあった。

そう、居残り勉強。

なぜだかぼくは、いくら勉強しても知識は全て身に付かなかった。
入学テストも、合格点には到底及ばないような結果だったのに、校長が抽選でぼくを入学させたのだ。
まさに奇跡。

今は、居残って、とりあえずは今日のノルマをクリアしたところである。

そこで、偶然廊下をうろうろしていたみゆきに声をかけ、一緒に帰ろうと誘ってみたのだが——。

「……うっぜぇ」
「ひまそうにしてたじゃんか!! 途中まででいいから……、ほら!」
「昇降口までな」
「わーいっ、ありがとうっ!!」
「……50メートル以下だぞ?」
「ごじゅう……? それって、グランド一周ぐらい?」
「バカだろお前……」
「ぼっ、ぼくはバカじゃないっ!!」

みゆきは、必死にバカであることを否定しているぼくをバカにしたように見ると、バカにしたような口調で、ぼくに話しかけてきた。

「居残ってるくらいじゃあ、あの『約束』、果たせねぇな?」
「……っ! でっ、できるもん! はたせるし!!」

『約束』。

ぼくは、みゆきとある『約束』を結んでいた。


「次のテストでみゆきに勝ったら、友達になってくれるんでしょ?」


みゆきは面白そうに口元に笑みを浮かべると、「あぁ、そうだ」と言った。


「だけどな、はるか」


それは、勝利を確信した笑みだった。


「お前には絶対負けねぇ……、なにがあってもな」


夕日に照らされて、元から色素の薄いみゆきの髪の色は、なんだか白っぽく見えた。
さっきからなんか喋ってるみたいだけど、ぼくはそんなみゆきを見てるだけで、なんだか笑えてきた。
そして、頭にフッと浮かんだ言葉を、そのまま口に出す。

「おじいちゃんみたいだっ!」
「…………」

みゆきはモアイ像が眉間にシワを寄せているような顔をして、なにも言わずに教室から出ていってしまった。

「まっ、待ってよみゆきーっ?!」

慌ててぼくは帰り支度を整えて、その後を追ったのだが、昇降口にはすでに、みゆきの姿はなかった。





変人物語は、なお、続く模様です。

Re: 変人又は奇人(それと馬鹿)。《更新 8.21》 ( No.205 )
日時: 2014/08/21 11:32
名前: 目玉ヤロウ (ID: BKGAQbzV)




3.「人に名前聞くんなら、自分から名乗ってよ!」



今日もいい天気だ。
蒼い空には、金の髪がよく映える。
なんという、爽やかな登校。

あの小者が、登校中の我が身に厄をもたらしたのが一昨日。時が立つのは早いモノである。

「それにしても最近は暑くなってきたッスねぇー……」

まだ春真っ只中とはいえ、徐々に暑くなって行く天候に、私の心も熱く燃え上がっているのが……解るッッ!!

「燃え上がれ、我が魂! 魔神眼、開が……ッ!!」

魔神眼のチカラを解放しようとした矢先に、私の目には最悪なモノが映った。

「あれ……っ、おっさん?!」
「おっさんじゃないッスッ!!」

一昨日のクソガキ……、もとい小者だった。
まるで、路上でいきなり奇行にはしるバカを見るような目で、私を見つめて来た。
なんだその哀れみさえ感じる目は。私は奇行になんて走っていないのに。

「なに道路のど真ん中で恥ずかしいことやってんの?!」
「魔神眼のチカラを解放しようとしていたッス!!」
「なにそれ痛っ!!」
「小者にはわからないッス!!」
「わかるわからない以前の問題だよ!!」
「貴様は魔神眼も持ってないくせに生意気ッスね……!」
「いや普通持ってないから!!」

く……っ、ことごとく魔神眼を否定するなんて。所詮は小者か。

「ムカつく野郎ッス……!」
「あー、もう……。 ここじゃ他の人の邪魔になるじゃん……」

……そ、それもそうか……。

小者のクセに一般常識は兼ね備えているのか、コイツ。

「朝くらい静かに登校しなよ」

小者は呆れ顔でそう言うと、私をグイグイと道の右側へ押しやった。
うーん、こんな小者に諭されるなんて。なんという屈辱。
私はそこで、先程までの熱い気持ちを一旦忘れ、ふと冷静になって小者を観察する事にした。
敵の事を知るのも、戦では必要になって来るだろう。
小者は無防備に「は? なにジロジロ見てんの? キモ……!?」とかなんとか言っていた。ふっ、哀れなガキだ。もう貴様の事など見通しているというのに……!!

「どうしよう、そこら辺にケイサツは……」
「ふっ、ケーサツなんぞのチカラを借りようとは……」
「おまわりさーん、このおっさんこわいよーっ!」
「ケーサツなんて魔神眼の前では無力も当然……」
「おまわりさーん、このおっさんサラッとコウムシッコーボーガイしようとしてるよーっ!」
「ケーサツ……、将来は我が僕として働く事となるのだろうな……ッ!!」
「おまわりさーん、このおっさんイロイロとヤバイよーっ!!」

こうやって会話していると、ただの小学生にしか感じないのだが……。
外見の特徴としても、目立つ所は無い。一般人と遜色無いと言えよう。
あえていえば、男子にしてはまつ毛が長めで、瞳もまるいため、中性的な印象を受ける。
言いたくはないが……、こいつ、異性からなかなかモテるんじゃないだろうか。

くっ、羨ましい。

……羨ましいッッ!!

「な、なに、おっさん? 目が怖いんだけど」
「……なんでもないッスよー」
「ふ、ふーん……」

ただ、すこし突っかかる点があった。

こいつの顔、どこかで……?

いや、一昨日の事は関係ない。それに、『どこかで』というのも、かなり頻繁に見かけているような気がする。
こんな小者に似た人物が、親しい者達の中にいる……?
とすると、兄弟関係の可能性が高いか。
名を尋ねるのが早いだろう。姓で確認する。

「おい、小者!」
「なんでそんなに偉そうなんだよっ!」
「そんな事はどーでもいいッス!!」
「へたしたらジンケンシンガイだよ!」
「どーでもいいッス!!」
「ねじふせないでよ!」
「さ、どうでもいい話題は置いといて……」
「どうでもいい連発しないでよ……」

本題に入る。

「貴様、中学生に兄弟はいるか?」
「え? いるけど……」
「貴様の名前は?」

小者は心底困惑した顔をした後、不満ありげな表情で私に突っかかって来た。

「人に名前聞くんなら、自分から名乗ってよ!」
「うっ、なんかカッコいいセリフッス……!」

仕方が無い、名乗ってやるとするか。

「我が名は魔神眼の使い手、辻村くみッス!!」
「え……っ?! く……み……?」

小者は私の『気』にあてられたのか、驚愕に堪えないといった表情で私を見た。

「さぁ……、貴様も名を名乗るがいい……!!」

小者は口をパクパクさせながら私に名を差し出した。


「おおしろ……、はるか……」


「え?」


まさかの小者は、『伝説の変人』候補……、大城みなおの弟であった。





変人物語は、なお、続く模様です。

Re: 変人又は奇人(それと馬鹿)。《頑張るぜ!》 ( No.206 )
日時: 2014/08/22 11:56
名前: 目玉ヤロウ (ID: BKGAQbzV)
参照: http://www.kakiko.info/upload_bbs/index.php?mode=article&id=3011

4. 「勝つッス!!」



「最近、弟にフられた」

大城サンからその話を聞かされた時、私はどのような反応を返せば良いのか戸惑った。

「お、弟さんがいるんスか?」
「ああ、私に似た超絶美少年の弟だ」
「へぇ〜……」

大城サンのこういう所、本当に尊敬する。自分の事を何よりもわかっていて、堂々としていて……。 私の憧れだ。

「ぜひとも会ってみたいッス!」
「あぁ、惚れるなよ」
「クソガキ一匹に惚れ込むほど、私は落ちぶれちゃいないッスよ!」
「クソは付けるな。 トイレに流すべきだぞ」
「超絶下品なネタを堂々と使ってしまう大城サンも輝いているッスゥーッッ!!」
「汗じゃないか?」


あの時こそ、純粋に「会ってみたい」一心だったのだが……。

これが、大城サンの、弟さん?

吸い込まれるような、憂いを帯びた瞳、光のあたり具合で明るさの変わる茶髪、歩く時の腕の振れ幅、洗剤の香り……。クンカクンカ。

「言われてみれば、確かに似てるッスね……」
「おっさん? なにジロジロ見てんの? 超キモいよ」
「うっさいッス!!」

だが。どんな教育を受けたのかは知らないが、こいつ、ものすごくウザい。
特に『おっさん』を言う度の顔が超ウザい。
魔神眼のチカラで焼き払うことも出来るが……、あの大城サンが溺愛(?)している弟だ。無下には扱えない。
そのまま歩いて行くと、突然はるかが立ち止まった。私もなんとなく立ち止まる。……歩いて行ってしまってもよかったのに。

「あっ」
「……ん? どうしたッスか?」

そしてはるかは、左の小道から登場した少年を見つめた。

「みゆき!」

『みゆき』と呼ばれた少年は心底嫌そうな顔をしたかと思うと、一瞬立ち止まり、私とはるかを交互にみると更に顔をしかめてスタスタと歩き出そうとした。

「ちょっと待って! 一緒に行こうよっ!」

はるかは必死になって引き止めるが、みゆきはちょっと立ち止まるだけだった。
しかも、はるかに向かって嫌味たっぷり、私だったら掴みかからんばかりの言葉を述べたのだ。

「バカはもっと早く学校行って、勉強でもしてたら?」

イラッ。

このクソガキ……!!

別に、無視してもよかった。自分が言われたわけでもなかった。
でも、ムカムカした。
そして次の瞬間「調子乗ってんじゃねーッスよ!!」と突っ込んで行こうとした私を、慌ててはるかが遮った。

「う、うるさいよ、みゆきっ! それにおっさん?! 別にみゆきは、あんたに言ったんじゃないから、怒んないでよ!!」
「く……ッ」
「……ふんっ……」

……今の私は、確かに冷静さが欠けていた。
みゆきの方も何か言いたげな様子だったが、私同様、はるかの仲裁によって冷めたようだ。

3人が、はるかを真ん中にして歩き出して少し経つと、はるかが口を開いた。

「ちゃんとわかってるよ」

何かを決心したような、そんな声だった。

「次のテストで40点取れなかったら、ぼくは、みゆきの友達になるのを諦めるよ」
「……えっ?」

今、私の耳にとんでもない単語が聞こえて来たのだが、気のせいだろうか。

「ふん、まぁ、無理だろうがな」
「……えっ?!」

なんで無理なの?!

「ううん。 せっかく難易度下げてくれたんだから、ぼくだって何もしてないわけじゃないよ」
「……えぇっ?!」

40点、無理、難易度下げた、はるか。嘘だろおい。

「最近では、一日の勉強時間が20分に増えたからね」
「……そうか」

おい。
私にも理解できた。


大城はるか、侮れん。


「ぼくがバカじゃないってこと、証明して見せるよ!!」

こいつは。


常識人でも、馬鹿である。


「……はっ、それじゃあ無理だな。 やっぱり、バカは逆立ちしてもバカなんだな」

みゆきは口を歪めて、ニヤリと笑った。
そんなみゆきに、はるかは自信満々の表情で切り返す。

「『バカ』は逆立ちしたら……、『カバ』じゃんっ!!」

バカッスね。マジもんの。

「……せいぜいがんばるんだな」

みゆきの方も、脱色していた。
私も、「あぁもうこいつは手遅れなんだ」と悟ったのであった。





が、事件は、コレで終わらなかった。
みゆきは最後にこう言い残して去って行ったのだ。

「んじゃ、バカ『2人』と絡んでると、こっちまでバカだと思われそうだし……、さようなら」

「まっ、また後で会うじゃん! まってよ、みゆ……っ、って、おっさん?! 顔が女子中学生のする表情じゃないよ?!」


……どんな顔だったかは知らない。


だが、この世で一番恐ろしいモノの顔なら知っている。


悪魔をも欺くなら、人間であれ。


「はるか」


魔神眼を開眼させ、私は魂を込めて叫んだ。


「絶対に、勝つッス!!」

「おっさん、近所メーワクだよ!!」





変人物語は、なお、続く模様です。

Re: 変人又は奇人(それと馬鹿)。《頑張るぜ!》 ( No.207 )
日時: 2014/08/26 18:30
名前: 目玉ヤロウ (ID: BKGAQbzV)




5. 「強行突破だ」



「バカに勉強を教えてやってほしいッス」
「やだ」
「拒否権は無いッス」
「絶対やだ」
「人権も無いッス」
「人としてやだ」

朝の一件から、私は広い人脈を利用し、朝から手当たり次第に頭のイイ人間にアタックし続けていた。


「バカに勉強を教えてやってほしいッス」


ちなみに、現在は昼休み。
1人も首を縦に振ってくれない。


「お願いするッスー、コウ〜……」
「おれの人権を無下に扱う奴の頼みなんて知らん」
「コウに人権も何も無いッスよ……」
「さらっと酷いこと言った?」

今、私がロックオン中の人間は中村コウ。

いちいち余分な事を言うムカつく野郎だが、今は仕方がない。
こいつが秀でているモノの中に、『勉学』が含まれているのである。

勉強に人のよさなんてもんは含まれていない。

デリカシーの欠片も見当たらないような中村にも出来ることはあるんだ……。と、私は毎度感心させられる。

コウは目の前で「ケッ」とでも言いたげな表情を見せた。

「バカにはきっと、おれの説明理解できないよ」

こ、こいつ、ちょっと頭が良いからって……!
いや私もそんなこと言える立場じゃないんスけど……!!

「他をあたれよ」
「いやッス!」
「諦めれば?」
「断るッス!」
「……自分で教えてやれば?」
「無理ッス!!」
「……」

コウは呆れ顔でため息をついた。
その様子は、学年内でもかなり小柄の部類に含まれるコウが行うと、小学生が無理して大人ぶっている様にしか見えない。

「やーい小学生!」と言ってやりたいところだが、本人的にはかなり気にしているようだし、こちらは頼み事をしている訳であって。
それは……、それだけは、禁句だ。

「だいたい、何でおれにはそんなにしつこくつきまとうんだよ?」
「う……っ、そ、それは……」


『中村は押しに弱いから、ウザがられるくらいしつこくつきまとえ。 強行突破だ』


大城サンからの助言である。

今こそ、その助言を最大限に活かしている時なのだ!

「とっ、とーにーかーくーっ、バカに勉強を教えてやってくださいッス!!」
「えぇーっ……、そのバカって、どの程度のバカなんだ……?」
「テストで40点取るのが困難な程度ッス!」
「『程度ッス!』じゃないだろそれ……」
「頼むッスよぉー!!」

私が手を合わせて懇願ポーズを取ると、コウは「うぅん……」とうなり出した。


よし来たッ……!!


『うなり出したらあとは突き落とすまでだ』


大城サンの助言その2。
今こそ最大の『アレ』をかます時だ。

私はニッコリとコウに微笑みかけた。嫌みなほど、ニンマリと。


「あっるぇ〜? コウ君は小学生にお勉強教えることもできないッスかぁ?」

ヤツの表情筋が『ピキッ』とひきつる音が聞こえたと同時に、小さく「舐めんなよ」という声が聞こえた。


チョロい。


なかなか自分もゲスかったと思う。

コウの、少々ひねくれていて変なところで強気な性格上、迷っている最中にデカイ『挑発』をかまされると、確実に乗ってくることを大城サンは予測していたのだ。
くぅ〜っ、そこに痺れる憧れるぅ!!


私が大城サンに痺れて憧れていると、コウが私に向かって何かを問いかけて来た。

「……ところで」
「ん? なんッスか?」
「勿論お前も教えるんだよな? そのバカに」
「は?」

そして、「そんなワケ無いじゃ無いッスかぁ〜」と流そうとした私に、更なる追い討ちをかけてきたのだ。


「え? くみちゃんはおバカさんにお勉強教えることもできないのぉ?」

「……舐めんなッス」





15秒後、私はまんまとはめられたことを理解した。

「こっ、この……!!」
「ふふん、詰めが甘いな」

すっかり得意気な表情のコウが腹立たしい。

「でっ、でも、コウも引っ掛かったッスよね!?」
「あれは事故だ……」
「バリバリ目を逸らしてるじゃ無いッスか!!」
「目にゴミが……」
「苦しい言い訳ッスね!?」
「目が、目がぁぁあああああッッ!!」
「バルスッ!!」

くぅ……っ、悔しい。

「……まぁ、別にイイよ。 めんどくさいけど」
「おぉっ! ありがとッス!」

結局、コウは勉強を見てくれる事になった。





変人物語は、なお、続く模様です。


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