コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 記憶をなくした少女*
- 日時: 2015/07/27 15:23
- 名前: 梅乃 ◆8DJG7S.Zq. (ID: bOX/HSBq)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2a/index.cgi
こんにちは!移転しました。
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- Re: 記憶の無い少女へ*.。・゜*.。・゜幻の異界都市 ( No.30 )
- 日時: 2014/04/08 15:30
- 名前: 梅乃 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)
第三話 君を見てる to25揺らめく炎
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此処だ〜……!!
殺風景でお墓が立ち並ぶ、特に何もない場所。
墓場。
琴に、陸が見つかったことを知らせるのは勿論だけれど…。
もしかしたら
もしかしたら、アオイが居たら。
そう思ったら、少しだけ行きたくなってしまって。
——また会えるといいね
その言葉だけ、信じてた。
いざ、墓場。
だけど、墓参者はいくらか居たけれど、アオイの姿は無くて。
ちょっと残念に思いながらも、なんでアオイが居ると期待したのか自分が分からなくなった。
「ん?」
僕のカバンから震えが伝わってきてケータイを開いた。
琴のお墓の前から少し離れる。
送信者:此花沙和(姉さん)
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タイトル:Re:ついでに。
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添付ファイル:
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本文:おつかい行っといて!
買うのは
合い挽き肉 500g
ベビーリーフ…etc
色々ね!頼むよー。
-END-
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「おつかいか」
別に良いのだけれど。
てゆうか姉さん行けよ!!と内心突っ込みながら、ケータイを閉じる。
僕はいつも通り雑草を抜いたり手入れをしたりして、琴に挨拶を済ませると、近くのスーパーに向かった。
テキトーにケータイで調べていると、交差点の向こうにスーパーがあるらしいのでそこに向かうことにしたのだ。
しばらく歩いていると、向こう側にオレンジ色のパキッとした看板と鮮やかな色合いの建物に、グランジと書かれているのが見えてきた。
(ここの店員グランジの意味わかってんのか…?)
僕の知識の中では、薄汚い、だらしないという意味があるとだけ知っていた。
「いらっしゃいませー」
丁度カゴの片付けをしている店員が、目線こそはカゴばっか見てて僕をちらっとしか見なかったけど、僕に向かって言ってる。
僕は「どうも」となぜか軽く会釈すると、カゴを持つて店内に入ろうとする。
「…蓮くん?」
その店員は僕のことをじいっと見ている。
僕は振り向いて、なぜこの店員が僕の名前を知っているのか考える。
(ケータイとか落としたか?いや、手元にあるし)
(誰だろ?)
名札を見る。
竜胆葵、と書いてあった。
僕の頭の中でこの前のことと一致した。
(もしかして…)
「アオイさん?!」
「そ、そう!。じゃあ蓮くんなんだ。」
でも前と雰囲気が違う。
オレンジ色のエプロンに身を包むアオイは、全く別人の様だが、どことなく清楚で整った顔立ちだけを見れば、確かにアオイそのものであって。(当たり前)
「何でこんなところに——?」
僕が声を漏らす。
高校生だしバイトしていてもおかしくないけど高校生ってまだ学校じゃないっけ?。
と推測をたてていたとき、アオイは店の店員と何やら話すと、エプロンを取って僕を店の外に連れ出した。
∮∮∮∮∮
「びっくりした?」
校舎裏みたいな店の裏に連れ出される。
「あ、いえ——…。少しだけ。名字、竜胆っていうんですね。」
僕は会えたことに少し嬉しくなった。
また会えた。
「そ、そうなの。変わってるでしょー。」
今あまり聞かないような気もするけど
「それは僕も一緒です。」
と言う。
「でも私の名前、画数悪いのよ。一番大事な 総運は四十六画で 凶なの。」
画数占い・・・。
僕はやったことないけど——……。
「で、わたしが何でここに居るか、驚いたでしょ?」
と楽しそうにアオイは言った。
「ハイ!」
僕は答える。
「———わたし、高校通ってないから…ね。」
「え?」
- Re: 記憶の無い少女へ*.。・゜*.。・゜幻の異界都市 ( No.31 )
- 日時: 2014/04/19 17:28
- 名前: 梅乃 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)
第三話 君と居たい to26ふたつの眸
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——…別に、高校には通わなくてはならないという決まりはない。
だから通ってなくても、可笑しいわけではないのに。
予想と的はずれして、なんだか訊くのを躊躇った。
アオイには、僕には触れてはいけない何かがあるような気がする。
「———あ、ああ。気にしなくていいの。わたしさ、両親も姉も居なくて、実質、祖父母とか親戚とか、親族もいないから独り身なの。」
「でもさー、死にたくないの。稼ぐしかないでしょ。高校なんて行ってられないから、今は家で少しずつ勉強してる」
——両親も姉も親族もいない?
「——」
「あはは、驚かせた?。……わたし、蓮くん好きだなあ。家、ここから近いの?」
その好きが違う意味であることはわかってる。
「———結構遠いです。五十分くらいかかるので」
僕の中に、いま明るく振舞うアオイの姿が溶けた。
「———文通しない?」
∮∮∮∮∮
拝啓
敬具
僕の中でスラスラと文章が浮かんだ。
「おーーい!!!蓮!」
「大丈夫?気分悪いんじゃないの?」
あい子が呆れたように言った。
「あ、ごめん!!」
僕が我に返る。
青い空、青い水
そう ここはプール!!
それも大型なところで、むちゃくちゃでかいバナナみたいな舟のような浮き輪などもそろっていて、ものすごい人でにぎわっていた。
「あ、近江!」
隆志が近江を見つけて手を振る。
「あれー?春遥じゃん。それにミウも愛も桃花と蘭も。皆プール?」
あい子が、傍にいた 女子らに話しかける
(あ)
同じクラスの女子だ。
近江があい子に返事を返す。
「そうだよ〜。今日はお天気もいいし」
「ね〜」と皆で顔を見合わせて笑う。
「そっか!あ、わたしたちと居る?大勢のが楽しいよね」
と志乃が言い、自然体に皆でくっつくことに。
「来たぞ。プールっ!」
優希が嬉しそうに大きい浮き輪を握りしめた。
「いやおまえ泳げないんだろ。カナヅチ!」
と隆志が優希を冷やかすが、横で僕も浮き輪を手に取った。
「え!蓮もカナヅチだったりして?そりゃない「いや、カナヅチだけど」
僕ははっきり言って全く泳げない。
「あは——…。実は 春遥も泳げない—。」
近江が自分から浮き輪を取り出してあははとゆるく笑う。
「うそー!あ、でも蘭もクロール無理なんだよね」
一緒に居た蘭も浮き輪を手に騒ぎ出す。
「あ、いやでも俺、潜るぐらいはできるぜ」
優希が弁解するが、僕は潜るのは無理。
- Re: 記憶の無い少女へ*.。・゜*.。・゜幻の異界都市 ( No.32 )
- 日時: 2014/04/07 15:07
- 名前: 梅乃 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)
第三話 雲に隠し誠 to27伝わる紅焔
∮———————————————————∮
「えー!蓮くん泳げなかったの?」
志乃が呟くように言った。
「うん。溺れたら助けてよ。」
本気真面目に僕が言うと、隆志が笑い半分で言った。
「いや、蓮は溺れても頭の方がいいから大丈夫だけど優希が心底 超心配」
隆志は呆れたように言った。
「あれ?やっぱカナヅチだからゴーグルとか持ってない系? カナヅチだからゴーグルもっといたほうが良い系じゃないの?」
あい子がそう言った。
と、隆志はだって去年はさー、と始める。
「去年も行ったの?」
あい子が言った。
あい子は去年はいなかったのだ。
「あ、俺と優希と蓮——とは言っても、その時はそんな仲良くなかったんだけど、その時の学年の男子とかでいっぱい群がって此処に来たんだ」
と話し始めた。
まず、カナヅチは僕と優希だけで、浮き輪に乗ったままの僕はともかく、優希が最悪だった。
「最初に、波がくるプールに言ったんだけど、俺たちとかはもうどんどん波が強い方に向かってって、何回かひっくり返ったりとかして楽しんでたんだ。」
と隆志が言った。
「蓮は、俺のこと知らないはずなのに、めちゃくちゃ俺にしがみついてたんだけど」
優希が、これじゃ溺れるし〜と呟いた。
「そうだったっけ」
僕が恍ける。
「んで、俺はテキトーに笑いながら一番前まで進んでたんだけど、油断しすぎた俺がそのまま波に押されて溺れたor迷子になったんだよな。」
優希が割り込んでいう。
「そうそう。いちいち全員居るかなんて確認しないから、テントで休憩してるときに気付いたよ。」
と僕が口をはさんだ。
「あーそうそう!!」
隆志が笑いながら優希をじろっと見た。
「で、おまえ。結局自分がひとり残されたことを知ると、此処のプールの人に迷子放送してもらったんだよな」
「ぷっ。迷子放送?どっちが迷子の視点で放送したのよ」
あい子と志乃がそろって吹き出した。
「恥ずかしっ!」
ミウが騒ぐ。
「それもなんだと思う?。優希の迷子放送ならともかく、俺たち全員の迷子放送したんだぜ。俺ら十八人、全員優希の元へ向かったんだぜ。お世話だな」
隆志が呟く
「いや、おまえらが迷子だったんじゃないの?それに探す手間が省けてよかったじゃん。」
あっけらかんと優希が呟いた。
「いや違うだろ完全おまえが迷子だろ!」
と優希と隆志の間で取っ組み合い
「探す手間が必要になったのは——迷子になったからだよね?」
と近江と愛がうなずいている。
そんな間に、僕があい子と志乃そのほか女子に軽く説明を占めた。
「で、ゴーグルとボウシをなくした結果、優希はどっちとも買ってもらえなかったorお小遣いで買う気がないから無いんだよね」
「へぇー!!」
女子が つじつまがあうね とうなずいた。
「てか 泳げるようになれよ!!おまえら」
と、あい子が軽く僕らの肩をバンバン叩いた。
- Re: 記憶の無い少女へ*.。・゜*.。・゜幻の異界都市 ( No.33 )
- 日時: 2014/04/07 15:10
- 名前: 梅乃 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)
第三話 君と居たい to28海の小な雫
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「つ、疲れた……」
家に帰ってくるなり、僕は自分の部屋のベットに倒れ込んだ。
あの後、僕らにあい子からのプール指導があったんだけど(裏では隆志と志乃+桃花と愛とミウが遊んでんだけどね)
僕ら二人とも、全く泳げなくて。
波プールは二人そろって見学。
流水プールは二人そろって浮き輪にしがみつく。
状態でもの凄いことになった。
でも、僕らふたりにも、あい子からのプール指導で進歩したことがあった。
ф
「優希、蓮。カナヅチ過ぎ。!今までのプールの授業なにしてたのよ。春遥も蘭も、クロール出来るから平泳ぎやってんだよ?! とりあえず潜ってよ」
あい子が呆れると、傍で小さい子用のプールを指して指示をした。
「うぇー。あそこ結構、水の高さが無い・・・」
小さい子プールだけあって、僕らの足までもない。
「あんたらカナヅチだろっ!」
と言って、あい子は僕らの頭を思いっきり鎮める
『た、たふへて!(た、たすけて)』
『ぶびー!しぬー(むりー しぬー)』
ф
「あれはあれで苦しかった。」
優希が嘆く。
「水、すごい飲んだ。気持ち悪い」
僕がプールサイドで だらけていると、あい子が今度はもう少し水深のあるプールへ連れて行く。
「ほら、行くよ!」
『ぎゃああああ……。『僕もう無理』
二人とも引きずられていく姿に、幼い子供から笑いが呼び起こっている。
「ほら二人ともみなよ。あれ 小学校一年生くらいなんじゃないの?」
クロールを思いっきりやりこなす子供を指して、あい子が言った。
「クロールとか無理だから。大きい方が無理なんじゃないの」
諦めた僕に、あい子が言った。
「あー、あんたはもう一個年取ったね。そういえば優希!誕生日八月三十一日じゃないの?もう少しで一個オジサンになるんだから。さらに年取るよ」
「お、オジサン・・・」
優希と僕がそろって苦笑いをしていると、あい子がここで ダルマ浮きができるようになれ と命じた。
ф
今回のプール指導で出来るようになったこと。
その一、水に慣れる(いや慣れてないし!これは平均的に幼稚園、小学校低学年レベルだから!byあい子)
その二、潜る(いや、出来てない!頭出てたから!!これも平均的に小学校低学年レベルだから!!byあい子)
その三、伏し浮き(いや、ほとんど不死浮きだったから!byあい子)
こんなもんだった。
そんなこんなで、もう足が筋肉痛。
僕は、手に持っていた手紙を、目の前に下した。
「———アオイさんから…か。」
- Re: 記憶の無い少女へ*.。・゜*.。・゜幻の異界都市 ( No.34 )
- 日時: 2014/04/07 14:16
- 名前: 梅乃 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)
第三話 君と居たい to29未来貫く翼
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蓮くんへ
もっとちゃんとした文章書きたいけど、蓮くんみたいに。
でも、わたしは——ね?
色々無いから 無理なんだ!ゴメンね!
わたしね、手紙を開くときって少しドキドキして嬉しいんだ。
内容がどんなのかなって思うの。
自分に嫌な内容かもしれない。楽しい内容かもしれないって思えるからね!
前話してたけど、わたしね、一人っ子じゃないの。
本当は、嬉って書いて「きい」って読む、お姉ちゃんが居たの。蓮くんと一緒だね♪。
わたし、蓮くんと居ると楽しいんだ!
わたしには、「友達」というものが居ないからね…。
またいつか会おうね!
お返事待ってる。
竜胆葵
(なんなんだろ———この気持ち)
嬉しいような。
プール前のいくらかの日に書いた手紙の返事が来た。
いまかいまかと待っていたから、読み終わりにじれったさを感じる。
読み終わった僕に、少しの謎が浮かんだ。
まだ、アオイと打ち解けられていない。
まだ僕にも向こうにも隠されている部分がある気がする。
アオイってこんな字を書くんだ。とか思いながら、僕は手紙をまた読みかえす。
——色々無いから
「いろいろ」でぼやかしてる部分がある、だとかアオイの姉がどうして故人であるのか。
と思いながらも、相手には相手の都合があると自分で納得すると、僕は手紙を置いて、机の引き出しから便箋を取り出した。
(どうしようあ。聞いてみようか)
いつもは相手を気にして、尋問の様に問いだしはしないけど、今回は——…。
色々、の内容を。
知りたい。
もっと仲良くなりたい。
いつもと違う、何かが違う。もっと近づきたい。
その思いが手紙を結んだ。
∮∮∮∮∮
僕は、図書館へ足を進めていた。
ここ最近行っていないと思ったのだった。
(相変わらず暑いな)
アイスの自動販売機の前に 常に人が群がっている。
日陰を踏んで歩いている僕もアイスに目が行ってしまう。
実はさっき隆志を誘ったんだけど、悪い今超忙しいと、優希も誘ったんだけど、俺もう無理 プールのせいで歩けない。という返事が来た。
二人とも物騒だと思いながら一人で向かっているのだ。
陸はテレビを見ていて、姉さんは留守番がてら勉強している。
宿題を終わらせたいらしい。
「あ、此花くん。」
「?」
僕は話しかけられて振り向いた。
(誰だっけ…?)
見覚えはある——ような、気もしないでも。
あ、同じクラスの近江だ。
普段あまりしゃべらないのと、髪型も服装もいつも校則まもった髪型と制服だからいつもと違うので 全然ピンとこなかった。
「あ、いや。どうも」
僕は近江ではなく他からの視線を感じつつ、嫌気がさして後ろを向くと、女子の群れが木陰に隠れて僕をじっと見ていた。
(なんだ——? 近江のファン?いや女子だよね。近江の偵察??スパイ?ストーカー?何それ 女子なんだよね。)
同じ学年の女子であること、同じクラスの女子がまぎれていること、その中にあい子が居ることに何ともなく嫌な予感が過る。
「今日は?図書館に行くの?」
まるで待ち構えていたような 近江と女子大勢の姿に 僕は引きめになる。
「———あ、うん。そう」
そりゃこの路地は図書館にしかつながってないんだから、図書館に向かって歩いてんだしそうだろ!と内心突っ込みながら、返す。
「わたしもそうなの。何かりる〜?」
自分で考えろ!!
と言いたい気持ちを抑えて僕は言った。
「あー……。小説小説。文庫本とか。。」
「文庫本?どんなの?」
面倒なヤツだ。
なかなかうまく断れない。
テキトーに断って泣かれても困る故、いつも内気な近江がここまでして話してくるとは思っていなかったのだ。
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