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- 記憶をなくした少女*
- 日時: 2015/07/27 15:23
- 名前: 梅乃 ◆8DJG7S.Zq. (ID: bOX/HSBq)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2a/index.cgi
こんにちは!移転しました。
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- Re: 記憶の無い少女へ*.。・゜*.。・゜*.。・゜ ( No.10 )
- 日時: 2014/03/27 15:37
- 名前: 梅乃 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)
第一話 揺れた時刻 to8 哀しみの底
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この国柄、地震なんて一日に五六回は普通に起きる。
僕は、朝から陸のことばかり考えて、陸の行く場所なんて思いつきもしなくて、穴があったら入りたかった。
両親両方とも 連絡してあるはずなのに、いそがしくもないはずなのに朝になっても連絡はこないし、姉さんは、疲れてしまって、話には聞いていても、探そうとも思ってないみたいだった。
僕のせいで二人もきょうだいを失ってしまうなんて嫌で嫌でたまらない。
すでに施されていた、花の瑞公園へ行くことも、今日だめだった。と告げるしかなく。
「…行ってきます」
誰もいない、家から飛び出した。
∮∮∮∮∮
周りに流れる音が、あまりに現実味を帯びすぎている。
僕が伝えれば向こうも返してくる。
「あ、蓮。おはよう」
行く途中に志乃に会った。
幼馴染で、小さいころはよく遊んでいた。
「…おはよう」
何かを察したらしく志乃が言った。
「ねえ、花の瑞公園、行けるの?」
言わなきゃ、いけない。
「ごめん—無理だった…!」
なんて言うかな。
「そっか。。でも、優希とかと話し合って また日付変えれたらいいね。それでもだめだったら、また今度誘う!」
ありがと と僕は返す。
「しばらくは無理そうだな」
「——……。…ね、なんかあったの?。蓮、何も話さないからわかんない。」
志乃に言われて、感づかれていたんだと思った。
「べ、別に「顔に出てるよ。」
呆れたように志乃が言う
「えーっ。……」
「何があったの!!」
・・・・
「——昨日の、夕方、なんだけど」
でも志乃でよかった。
優希や隆志、あい子だと、両親が共働きであることや きょうだいが居ることから全ての経緯を話せねばならない。
「一番下の弟の陸・・・会ったこと、あるよね」
うん、と志乃がうなずく。
「あいつをいつも、学校帰りに保育園まで迎えに行くんだけど。陸が、行方不明になったんだ。」
僕の沈んだ声音に、志乃が言った。
「そっか……。辛いね。」
(え?)
もっと、探さないととか、大変だね、とかもっと驚かれると思ってた。
「でも、わたしたちにできることはあまりないよ。待ってる。待ってるのが一番、出来ることだから、心配しなくてもいいの…。気に留めてればそれで」
志乃の言葉に 僕はうつむいた。
- Re: 記憶の無い少女へ*.。・゜*.。・゜*.。・゜ ( No.11 )
- 日時: 2014/04/07 15:32
- 名前: 梅乃 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)
第一話 揺れた時刻 to9 憂いの覇者
∮—————————————————∮
(そっか。)
「心配しなくてもいいの…。気に留めてればそれで」その言葉が脳裏によぎった。
心配しなくていい。か
必ず戻ってくると思ってるんだから・・・・。忘れなければいいってことだ——…。
そう思うと気が軽くなった。
女友達を見つけた志乃は僕の傍から離れて行った。
あーあ!花の瑞公園、残念だったなー!
「近江ちゃーん!!「はーるー!」
騒がしい人らが後ろを通っていく。
(あ、優希だ)
すぐそばの交差点で、優希が信号待ちしているのが見えた。
「おーい!優希ー!」
僕が叫ぶが、全く聞こえていない様子だった。
(虚し〜・・)
僕は溜息をつくと、走り出した。
どうせなら脅かせてやろう。
ぼうっと信号を見つめる優希の背後に回り込む。
「三、二、一よっしゃ!」
「わーっ!」
ちょうど驚かせたときに、優希は信号とともに駆けだす。
「お、おい!!」
全く無視をされているので、おとなしく話しかけた。
「優希?「ああ——?……蓮か。……はら、へった。」
「な、なんだ。そ、その残念そうな目!僕じゃ悪いか。」
さっきからボヤけている優希にムカっときつつ、僕は言う。
それにこたえるように、優希の腹が鳴る。
「———ああ、ゴメン…。それがついさっきのことなんだけど」
ぼけーっとした話し方でとても長いので経緯だけ話します
1このまえのテストで0点を取ったが、怒られそうなので自分の部屋のお気に入りの緑色のカーペットの下に隠した。
2昨日の昼間見つけたらしく、昨日の夕方から今日の朝までみっちり怒られた。朝ごはん抜き。
「……ああ、そうか——…。そういうことー。」
隠す自分が悪い 自業自得だと思いながら、しょうがないなと、僕はかばんからおにぎりを差し出した。
「え!なにこれ?」
優希が目をキラキラ輝かせた。もう くれと言わんばかりだ。
「僕のおやつ。食べていいよ。」
「まーじーでー!!遠慮なく、頂きます。」
「…た、立ち食い。」
一瞬でおにぎりを腹の中に消した優希は、お茶をがぶがぶ飲んで
「おまえン家のおにぎりサイコ〜!」
と叫んだ。
「はァ?」
「あいつだれ?」
「黒本じゃない?横に居るのは此花くんだよね?!」
「うるさいー!」
周りの声も、彼には届いていないのだろう 優希はハイテンションで、かけて行く。
「おっす!」
「ん?」
ポンポンと、肩を叩かれて振り向くと、隆志が居た。
∮∮∮∮∮
今日ケータイで見て見たところ、地震が起きたらしい。
(いや、昨日も一昨日もそしてその前も、一日 四、五回は当たり前なほど地震おきてるんだけどね?)
なんか琴にこのことを報告したいし、保育園に迎えに行かなくてもいいので学校帰りに墓場まで向かうことにした。
(あーあ、そういえばおにぎり全部あいつにあげたんだった)
僕は、琴にあげるものがほとんどないとボヤきながら電車へ向かった。
(地下鉄はマナーモードだな)
僕はケータイを触ろうとしたとき、着信が来た。
(——!)
保育園、と映し出されている。
陸が見つかったのかもしれない。
僕は期待に胸を膨らませ、ケータイに出た!
「———もしもし?陸見つかったんすか!」
『もしもし?蓮くん?』
僕はぴんときた。
「円花先生ですか?!」
『そうよ——…。それがね、陸くん、まだ見つからないの。ここまで広範囲を探しても見つからないからもう少し域を広げるしかないと思って。お宅に電話かけてるんだけど、つながらないのよね。だから蓮くんにかけたんだけど。』
「・・そうですかー……。円花先生、体調は?」
『…あら、弟の方を心配したほうが良いんじゃないの?わたしは、良いとは、言えないわねー…まだ熱あるから』
「そうですか。では、お大事に、失礼します」
この地下鉄という場所柄と向こうの体調に合わせ、すぐに電話を切る。
(もしかしたら…飯花区役所の方に、居るかもしれない!!)
「いやそんなわけないな」
僕は、額に手を当てて
自分こそ倒れるかも とつぶやいた。
- Re: 記憶の無い少女へ*.。・゜*.。・゜*.。・゜ ( No.12 )
- 日時: 2014/03/23 11:08
- 名前: 梅乃 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)
第一話 揺れた時刻 to10 消えた灯火
∮—————————————————∮
「…疲れたー…」
僕は、地下鉄の桜咲線を降りて、飯花区役所からあるきだす。
ずっと座っていたので身体がなまってしまった。
伸びをしながら、ふと時間が気になってケータイを見る。
道の向こうにあるケータイ屋の看板を見て、
「そろそろこのケータイも変えないと、壊れちゃうなー」
と僕はつぶやいた。
(あれ、優希から着信が来てる)
見ると二十分前と十五分前と十分前と五分前・・・と、五分刻みに何度も電話が来ている。
「何の用事だろう」
僕はかけなおそうとしたとき、先に電話が鳴った。
「もしもし?」
僕が優希か、と思いながら言うと、あわてたような大声が僕の耳に聞こえてくる
『蓮か?!』
「は?いやとにかく落ち着け!いや、僕に決まってるだろ…。だって優希が僕にかけたんだし——」
逆に僕じゃなかったらどうしたんだと 思いつつ、僕は言った。
「で、なんか用?迷惑電話じゃないんだから五分刻みでかけなくて『だからおまえ!弟とどうなってんだよ?。』
「は?」
思わぬ人から、弟 と言うワードが出た。
「———え、なんで優希が知ってるの?……。」
驚きのあまり、ケータイが手から落ちた。
「わ。」
慌てて拾い上げるが、ケータイが暗転し、真っ黒な画面になっていた。
「——うそ…」
琴とお揃いのケータイ。
マリンブルーの、誕生日に父さんからもらったケータイ。
買ってもらったばかりの時は、よく姉さんが写メを送ってくれた。
お母さんから 誕生日にもらったストラップがついてるケータイ。
僕らの四人きょうだいの写真の待ち受け画面。
(でも、これ。切られたって優希に思われてたら、相当嫌な感じだ)
僕はなんだかんだ電源を入れなおした。
これがつかなかったらどうしよう。
陸の行方が分かったとしても 連絡してもらえないかもしれない。
「———あ!」
すぐに画面が白くなり砂時計が現れた。
そして いつもの待ち受け画面に戻るかと思いきや、そのままフリーズしてしまった。
「え……」
僕は立ち尽くした。
(———…)
もう一度入れなおし、入れなおした。
「わ!!」
よかった、壊れてなかった。
いつもの待ち受け画面が現れて、僕と姉さんが琴と陸を真ん中にして笑顔で映ってる画面。
(…とにかく優希)
僕は、優希に再度電話をかけた。
「ツーツーツー・・・・・」
(かからない)
完全嫌われたと思われたかな。
嫌われたかな。
僕はもう一度かけてみた。
『もしもし』
電話から声が聞こえてくる。
「もしもし!!さっきはゴメン…『な…』
優希が返答しようとしたが、一向に声が聞こえてこない。
「なんで」
僕が見ると、画面はまた暗転していた。
(……そんな)
僕は歩き出した。
琴の墓場まで
- Re: 記憶の無い少女へ*.。・゜*.。・゜*.。・゜ ( No.13 )
- 日時: 2014/03/23 20:42
- 名前: 梅乃 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)
第二話 黄昏の波乱 to1 意味なき願
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琴のお墓をいつも通り僕は綺麗にすると、使い古したケータイを置いた。
(もう、僕がこれを使う権利はない)
思い出をぶち壊しうちの目にされた僕には、もうこのケータイは、悲しみを帯びたものに変わったのだから。
毎回これを見て悲しくなるくらいなら、こんなもの、必要なかった。
そう思った。
「———琴。陸が、居なくなったんだ。……きっと、僕のせい。そのケータイは…壊れた。僕が、落としたから…。きっと、僕のせい」
言っていて悲しくなった。
僕が落としたせいでこのケータイは、命を落としたのだ。
「……っ」
泣きそうになって、僕は目を閉じた。
琴の前で、こんな顔見せれない。
「——琴、このケータイが、僕の家族の思い出だと思ったんだ。数少ないきょうだい全員の写真とか、全部——。消えちゃった。……ゴメン。ゴメンな……。」
「琴、元気?僕は——…。今、琴から力を貸してもらってる。また、来るからね。」
僕は、ケータイと、そして琴のお墓に背を向けた。
「……じゃあね」
その瞬時に、僕は膝かっくんをされて、倒れた。
「うわっ!」
急なこと過ぎて頭から地面に衝突。
「いっ——…痛ってえ……」
膝かっくんのショックはともかく、まず地面に衝突したことが痛い。
涙目になりつつ、僕は立ち上がった。
「あーあ。ズボン敗れた。」
ズボンの右足のひざ部分が思いっきり破れてしまった。
また縫い直さなきゃいけない。
僕はがっかりして、後ろを向いた。
(…え?)
いや、まず人はいないよな。
それにこの位置に立ってたんだし、自分から物に当たって膝かっくんとかないし。
「———……!!!」
僕が見たのは、空中に浮く自分のケータイの姿だった。
∮∮∮∮∮
ルルルル・・・・・・
「ん?どうした、優希?」
『あー!隆志ぃ——…』
俺は疑問に思う。
優希は、気持ちの高低がすぐに行動に出るからわかりやすい。
「なんだなんだ。どうした、言ってみろ。」
俺が言うと、優希は言った。
『俺、ついに蓮に愛想つかされた』
「は?」
『俺はもう、蓮と仲良くできない……。』
「どういうことだよ?!」
俺は状況が読めなくて、焦った。
『…それに俺今まで、結構、蓮に頼ってたんだな。あいつ居なきゃ、今度のテスト赤点だ』
「はあ…。そっち?」
- Re: 記憶の無い少女へ*.。・゜*.。・゜*.。・゜ ( No.14 )
- 日時: 2014/04/07 15:31
- 名前: 梅乃 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)
第二話 黄昏の波乱 to12 想い告げて
∮—————————————————∮
「——おまえ……。動けんのか……?。」
思わず僕はケータイに触れようとしたが、その指先が触れるそれそれで交わされた。
「え……。」
僕は、その場に立ち尽くした。
もう一度ケータイを握ろうとしたが、その行動も易々と交わされて。
「カー……。カーーカー!!」
カラスの群れが、僕の上を舞った。
その鳴き声が、僕に「帰れ」「帰れ」と警告しているようだった。
「・・・」
僕がまた手に取ろうとしたが、琴の墓に、自然に戻っておかれていた。
「…きっと疲れてんだ。」
僕は総合的にそう考えると、琴の墓場から離れた。
∮∮∮∮∮
「おはよー」
僕がいつも通り教室に入ると、空気がなんだかしけているような気がした。
隆志と優希は、僕の方を見ながら会話してて、志乃とあい子も、普通に必要ある時だけしゃべっている様子だった。
「あー…?え、あ。うん。おはよう。」
クラスの人に話しかけたら、微妙な感じに返事された。
「…?」
僕はとりあえず席に行く。
「あ、あーごめんね。優希に話しちゃったわ。志乃」
あい子が筆箱を触りながら素っ気なく言った。
朝から早々謝られて逆に気分が悪い。
「何を?」
僕が言うと、志乃が申し訳なさそうに言った。
「———えっとその……。ほら、陸くん。メールで花の瑞公園の話題が出て、でさらっと言っちゃって……。」
「ふーん……。別に口止めはしてないけど?」
僕は、向こうからくる痛い視線を見て、思った。
「なんか向こう、避けてるわけ?僕のこと。」
「——いや、避けてんのはあんたの方じゃない?」
あい子はそう言うと、他のクラスの子に呼ばれて廊下へ駆けだして行った。
「は——…?」
僕は唖然とした。
なんか二人に嫌われるようなことしたかな。
(えー・・なんで嫌われてんだろ)
僕は、嫌われたんだと一方的に考えて、向こうを避けてどう今日を乗り切るかを考え始めた。
なんだか、変に孤独感を感じた。
∮∮∮∮∮
すでにクラスに話題が広まっていたのか、時折り僕の顔をちらっと見て会話してる人が居る気がする。
そういう日に限って、先生から挙手では当ててもらえる。
ただ僕は、今は友情関係修復の場合ではなかった。
(陸——…)
僕は、まだ。
ひとり失っている。
「あ、蓮くん。」
(誰?」
君付けで呼ぶ人は少ないので振り向いた。
「あ。近江。どうしたの?」
同じクラスの女子、近江だ。
「さっき先生が、…」
誰かが話しかけてくれるだけ 少し嬉しかった。
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