コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 記憶をなくした少女*
- 日時: 2015/07/27 15:23
- 名前: 梅乃 ◆8DJG7S.Zq. (ID: bOX/HSBq)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2a/index.cgi
こんにちは!移転しました。
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- Re: 記憶の無い少女へ*.。・゜*.。・゜【オリキャラ募集】 ( No.20 )
- 日時: 2014/04/07 15:29
- 名前: 梅乃 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)
第二話 黄昏の波乱 to17 何処へ行く
∮———————————————————∮
何処へ行った。
陸、どこへ行った——?
このまま、陸が消えて、姉さんが消え、母さんが消え、父さんが消え、僕が消えるのか?。
残されるより早く消えてしまいたい。
早く消えて、琴の元へ行ってしまいたい。
果てない空を舞う蝶が、僕の元へやってきた。
「あっちへ行く?」と言いたげな様子で。。。
「嫌だ。僕は行きたくない。」
目の前に居る僕は、反抗した。
∮∮∮∮∮
「ん——…?」
僕は目を見開いた。
*見えた物*
上 白く広がる天井
下 真っ白でお世辞にもふかふかとは言えない硬めの掛布団
前 ピンク色のカーテン
後 まくら
様子歌が聞こえる。消毒液のにおい。
=保健室
(待て——?僕はいったい…)
確か、ランチタイムの時間に、隆志と一緒にご飯を食べ、優希と仲直りをし、
(左へ曲がります ご注意ください…)
で、陸を探そうとしつつも校舎に入ろうとして——
そのあとの記憶がない。
「おーい蓮、おーきーろ蓮!蓮蓮蓮蓮おーきろ蓮!「おい、優希。うるさいだろ。」
変な歌を歌う優希を、隆志がたしなめた。
「良いだろ、ほら、隆志も一緒に。」
「おーい蓮、おーきーろ蓮!蓮蓮蓮蓮おーきろ蓮」
隆志もぼんやり聞いているうちに歌ってしまう。
その上、振り付けまでつけて、まるっきりバカ騒ぎ。
「・・・」
僕は起き上がって、カーテンの向こう側に行く。
「あ……。蓮くん、気分は?」
行くと、同じクラスの女子の近江が居た。
「あ、ありがと。べつに悪くはないけど——「ぬお!蓮、起きたの?「あ、ああ。「調子はどうだ?」
喜ぶ優希と、疲れたと座り込む隆志。
「フツーだけど。」
すると、そばに先生が寄って来る。
「調子はどう?」
「あ、いえ。良いとも悪いともなく。フツーです。」
さっき聞かれたの聞いてなかったのと思いながら僕は答えた。
「そう、熱はかって。」
体温計を優希から渡され、隆志が絆創膏を貰っていた。
「なんで絆創膏?」
「さっき、コイツが体温計投げて、俺の膝に命中してくそ痛いんだ。ていうか、先生。保冷剤のほうが良くないっすか」
隆志は絆創膏を返し、保冷剤に変えてもらうよういう。
「—で、なんで僕がココに?」
僕は言った。
「あ、ああ。急におまえが倒れたんだよ。」
「倒れたあ?嘘つけ。」
いつ何を言っても冗談っぽい優希から、内容を聞かされる。
「いや、ほんとだぞ。そんなこんなでいきなり倒れたんで、俺らが保健室に運んだ。」
らしい。
「そっか。なんかゴメン。」
ピピッピピッ
「あ、鳴った。」
謝りながら体温計を取り出す。
「平熱ですけど。」
僕は、先生に体温計を渡す。
「所でこんな先生居たっけ。」
わりと失礼な発言なんだが
「この前の朝会であいさつされてただろ、研修に来た、桃山先生。」
急に一著前な発言をする優希に
「おまえだってさっき知ったんだろ」と隆志が小突いた。
「そうです。よろしくね。」
先生はにっこり笑う。
「そうなんですか。宜しくお願いします。」
僕は立ち上がる。
「平熱ね、気分が悪くないなら授業に戻ってもいいわよ。」
「そうですか。」
僕はありがとうございましたと、歩き出そうとすると、先生が僕の後ろの下に目を向けた
「清水さん、大丈夫?近江さんも。あなたもそろそろ帰りなさい。授業始まっているんだから」
「そうだね。あい子ちゃん、帰ろう」
近江が立ち上がるが
「いやなんかもう急に倒れるからびっくりしたあ。」
横で疲れたとソファに寝っころがるのは、あい子だった。
「なんであい子?」
僕は、一緒に居たっけ。とつぶやいた。
「———いや、あい子も近江も花壇に水やりしに来た所でおまえが倒れたんで、ちょうどおまえを運ぶのに手伝ってもらったんだよね。」
と、保冷剤を手に隆志が言う。
「———あ、佐川くん、後で保冷剤返しに来てくださいね。」
「ほーい。しつれーしました」
僕らは、保健室を後にした。
- Re: 記憶の無い少女へ*.。・゜*.。・゜【オリキャラ募集】 ( No.21 )
- 日時: 2014/03/29 19:02
- 名前: 梅乃 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)
第二話 黄昏の波乱 to18 慈悲の裏腹
∮———————————————————∮
僕はまっすぐ家路へつかずに、地下鉄へ向かう。
陸や隆志が心配して、家まで送ろうかと言ったが、家の方向も全然違うし、大丈夫という理由に断ったのだった。
本当の所は、琴の墓場へ向かって、ケータイを取って来ようと思っていたからなのだけれど。
わざわざ二人に、墓参に行く。とも言うことでもないと思ったからだ。
「あ——」
僕は、頭に雫が落ちてきたのを感じ、空を見上げた。
雲一つないすっきりとした快晴なのに、お天気雨か。
僕は小さいころ、よく雨を誰よりも早く感じていた。
雨降ってるね?と言ったら
「降ってないよ」と言われて、手を空にかざし、確かめると、
「ほらー!降ってないじゃん。おかしいんじゃないの、蓮くん」と言われていた。
でもその五分後に、ザーザー降りになるのだけど。
雨男じゃないけど、この雨が嫌に嫌な予感がする。
(…あ!これじゃあケータイサビちゃうじゃん)
元から壊れているけれど、サビてカビでも生えて居たら最悪だ。
僕は足を速める。
「これなら虹が出るかな」
でも残念ながら虹が出るのは、僕が地下鉄に乗っている頃だと思う。
「お願いしまーす」
丁度、小学校の前を通った時だった。
正門の目の前で待ち構えていた人は、下校中の小学生に向けて、チラシを配っていた。
しかもそのチラシには飴がついているので、小学生はくれくれと言わんばかりにもらっていく。
僕は小学生の時から、怪しいとそう言う物はもらわなかったけど。
(陸?)
陸に似た姿を見て、遠目に覗いてみると、やっぱり違う人物で。
「あ、君もいる?」
僕は宣伝の紙を配る男の人に そう言われて無視して通っていく。
何となく断るだけのことも、しゃべるだけのことも、何かをする気分になれなかったのだ。
「落ちてる。」
道の所に、チラシが捨てられていた。
他にも、溝に入ってドロドロになっているチラシや、きっと飴だけとって小学生が捨てたのだろう。
でも中には飴が残っているチラシもあって。
(なんのためにもらったんだよ。)
僕は拾い上げると、地下鉄へ向かう。
地下鉄にすぐ入ると、階段を降りる。
雨が結構強くなってきた。
僕は、地下鉄のごみ箱にチラシのごみを捨てると、改札口に行く。
上にある電光掲示板に、飯花区役所 四十五分 coming-soonと書かれていた。
僕が乗るのはこの列車だ。
時計を確かめると、あと三分で来るようだった。
「急ごう」
走っていく社会人の姿もまばらだ。
僕を追い越す女性も、時計を見てあきらめたようだ。
僕がホームに降り立つと、ちょうどアナウンスが流れた。
ミュージックが流れる
「二番ホーム、花の瑞方面。飯花区役所方面の列車が参ります。黄色い線までお下がりください。」
と言われたのにもかかわらず、僕らは一歩前に出る。
奧の方が黄色く光って、風が吹いてくる。
少し息がし辛くなると、間もなく列車が前を通って行った
- Re: 記憶の無い少女へ*.。・゜*.。・゜【オリキャラ募集】 ( No.22 )
- 日時: 2014/04/03 13:05
- 名前: 梅乃 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)
第二話 黄昏の波乱 to19 忘れし記憶
∮———————————————————∮
「あれ、無い…!」
僕は琴の墓をぐるりと回った。
「なんでだろ…」
僕が探しに来た、マリンブルーのケータイが消えていたのだった。
「何で無いの……。」
僕が呆然と立ち尽くしていると、後ろからポンポンと肩をぽんぽんと叩かれた。
「———こんにちは。どうしたの?固まっちゃって。」
(可愛い)
清楚な白いワンピースに身を包んだ上品そうな女の人に話しかけられた。
僕と同じ墓参者なのだろう。
「あ、いえ。お供え物が無くなってしまったので」
と適当にごまかして言う。
「そっか——…。カラスとかも飛んでいるし、食べ物を平気で盗む人間もいるから気を着けなきゃね。——あなた、中学生?」
どことなく少女の周りに不思議な雰囲気が漂っている。
「は、ハイ。そうです。」
僕は背筋を正す。
「わたしはアオイ。高校二年生なの。アオイで良いよ。」
「———えと、僕は中学二年の、此花蓮です。」
僕も言う。
「蓮くんね。……あ」
アオイは、僕の顔をまじまじと見ると、「さっきコレを拾ったんだけど、もしかしてお供え物ってコレ?」と、僕のケータイのストラップを掲げて見せた。
「あ——ケータイの!」
僕が思わず声をあげると、アオイは僕の手を取って、ストラップを渡した。
「あなたのだったのねー。ケータイはないけど。通りで名前が。」
僕のストラップは、蓮・沙和・琴・陸と名前が木彫りで記されている。
「ありがとうございます。」
僕は深々とお辞儀をする。
「四人きょうだいなの?」
(…)
結構深く踏み込んでくる。
「あ、まあ、…僕の中では。アオイさんは?」
「良いねー。きょうだいいっぱい。わたしは…。あー…。一応、一人っ子?かな」
と言った。
表情をころころ変えるアオイを見ていて、少しだけ僕も楽しくなる。
「そうなんですか!」
僕がしんみり頷いていると、アオイは荷物を抱えて立ち上がった。
「それじゃあわたし、そろそろいかなくちゃいけないの。また会えるといいね☆バイバイ!」
「あ、はい。 さようなら」
あまりにアオイが社交的なので、初対面なのにこんなに話してしまった。
でも…。
少しだけ、楽しい。
僕はアオイが立っていたお墓の方へ行った。
「———あ。」
竜胆家と書かれたお墓があった。
(——アオイさんの家のお墓なのかな)
でも彼女は名字を僕に伝えていないからわからない。
「———そうだよな。何も用なく墓に来るわけがないんだよな」
何も用なしにアオイが此処へ来るとは思えない。
僕はアオイのことが気になってしかたなくなった。
(そういえば、僕のケータイ……は?)
「ケータイ、無い……」
- Re: 記憶の無い少女へ*.。・゜*.。・゜【オリキャラ募集】 ( No.23 )
- 日時: 2014/03/30 22:23
- 名前: 梅乃 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)
第二話 黄昏の波乱 to20 瑠璃光の夜
∮———————————————————∮
僕はケータイ探しに切り上げて帰る準備をしていた時、雨が降ってきた。
さっき出会ったアオイの手のぬくもりが、冷たい雨に打たれても溶けない。
アオイとは、妙にシンミリとした親近感を感じられて。
何となく、姉さんみたいな優しい感じが漂っていて。
(そう言えば)
姉さんも両親も、ここ最近あまり顔を合わせない気がする。
一昨日は姉さんに会ったし、その一日前には両親にも会っていた。
夜の話だが。
「———っ」
急いで荷物をまとめて出て行こうとしたとき、頭に何かが命中した。
「痛て!」
誰だ。変なもの投げたのはと思い振り向くと、そこにあったのはケータイだった。
「あ、ケータイ!!」
僕は喜んで手に取った。
「よかった……」
電源を確かめずに、すぐにカバンへ放り込む。
山並の向こうに、アオイの姿が見えたような気がした。
「そんなわけないよな」
僕はそう思いながら地下鉄へ移動した。
∮∮∮∮∮
「———あれ」
僕は気付くと、列車の席の周りに人が全くいなかった。
「君、起きて」
「———え」
思わぬことに、驚いていると車掌さんに揺り起こされた。
「終点ですよ」
「えっえええ!!」
僕は瞬時に立ち上がると
「す、すみません!」
と言って急いでドアから出る。
恥ずかしさに少し顔が紅潮したのが、自分でもわかる。
「おーい。君!カバン忘れてるよー」
「えーー!すみません」
僕はまた列車内に戻る。
「ほ、本当にすみません。」
カバンを受け取り、お辞儀する。
「ああ、いいよいいよ。気を付けて帰りなさい」
「ハイ!」
でも、待て・・
僕、帰りは終点まで乗らないはず。
「うわあーー」
帰らないと
時計の針はもう、一時間をすすめている。
∮∮∮∮∮
僕はそれから、地下鉄で降りる場所であった所で降り、歩き出していた。
真っ暗の夜。
空は今にも泣きだしそうなほど雲に覆われていて、雨がザーザーと激しく降っている。
ビュンッと風が僕の前を斬る。
もう雨なんてどうにでもなれ。
びちゃびちゃに濡れながら、僕はふとケータイが気になって、電源をつけてみる。
「あ——!!!」
ついた。
今までのことが嘘のよう。
僕は手始めにメールを開いてみた。
「————」
勿論、今までケータイは暗転していたのでケータイが元気だったころまでのメールまでしか来ていない。
「あ。」
急激にたくさんのメールが来ていた。
僕は開くのは後でにしようとケータイを閉じ、歩き出した。
僕が歩いていると、傍で音がしたような気がして、道路沿いに植えられている植木の方へ行ってみる。
「ああ、ネコか」
僕が見たのは、ふわふわの毛皮の真っ白な猫だった。
「———可愛い。」
雨に濡れても構わずに僕は猫を拾い上げようとしたが
「ニャ!」
逃げてしまう。
鈴のような声音で、まるで誰かに似ているような。そんな気がして、
僕はなんとなく反射的に追いかけた。
その白い猫は、公園らしい方まで行くと、森の方へ入り込む。
もう僕にはどこかわからない。
僕も、泥にまみれながら追いかけた。
「———ん?」
そこには、綺麗な白い家があった。
家というよりも、施設のようだ。
白い猫は、そのドアの前で鳴いた。
「ニャー!」
まるで開けろと言わんばかりだ。
「おかえりなさーい。」
若い女の人が、ドアを開ける。
「わー!ビアンカ帰ってきた」
(え?)
僕は聞き覚えのあるような声がして、思わずそこにくぎ付けになった。
「陸———??」
くりっとした可愛らしい瞳に愛嬌ある陸。
「———え?お兄ちゃん?」
僕の方を見て、駆けてくる。
「陸、陸なの?」
僕は必死になった。
「———そう、だよ!!」
陸は嬉しそうに僕に飛びついた。
「なんで、こんなところに居るんだ?」
「あら——…陸くん、お兄ちゃん?」
「そう!」
陸は頷く。
「———あのなんか、ありがとうございます。」
僕は放心状態のまま言った。
陸が戻ってきたことが嬉しくて。
本当に陸なのか、どうしてここに居るのか、分からない気持ちでいっぱいになって。でも嬉しくて
「ああ——・・ここ、孤児保育施設なんですよ。白夢園と言うんです。ついこの前、ビアンカ・・・あ、湖のネコと一緒に陸くんとその友達二人が紛れ込んで来て」
と、その人は言った。
「孤児保育施設——」
孤児、とは。
親が居ない、家がない子供の暮らしている場所だ。
僕は、陸が見つかったことを知らせたくて、ケータイを開いた。
新着メールが僕に報せを告げている
「嘘だろ……?」
声がかすれた。
- Re: 記憶の無い少女へ*.。・゜*.。・゜【オリキャラ募集】 ( No.24 )
- 日時: 2014/04/08 15:21
- 名前: 梅乃 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)
- 参照: http://おはようございます☆梅乃です、第三話突入
第三話 君を見てる to21 渦巻く予言
∮———————————————————∮
新着メールは、優希と隆志からのものが何通かと、あい子と志乃から二通。
あとは姉さんと母さんのものだった。
沢山あってほとんど同じ内容。「蓮じゃないと無理。陸を迎えに行け」と告発されている。
場所だけ教えとくから行っといてーみたいな感じだ。
「———何‥・これ——。」
内容は、陸が見つかったと書かれた物だった。
(どういうことだ。)
僕はさらにメールを進めて見る。
送信者:此花恵子(母さん)
———————————————
タイトル:Re:陸
───────────────
添付ファイル:
———————————————
本文:陸が見つかった。
迎えに行ってあげて。
きっと蓮じゃないと、陸は迎えに
行けないから
-END-
———————————————
「は」
僕は唖然とする。
次の姉さんのメールを開いてみる。
送信者:此花沙和(姉さん)
———————————————
タイトル:Re:陸
───────────────
添付ファイル:
———————————————
本文:陸らしき人を孤児保育園の
白夢園で見たという人がいたの。
わたし、見てきたよ。
あれは絶対、陸だった。
でもわたしが行っても無理。
蓮が行かないと無理。
-END-
———————————————
「どういうことかな」
僕は此処が白夢園であるということを確認し、陸が着ている服を確認した。
「陸、こんな服持ってた?」
僕がそう言うと、陸が言った。
「どろどろだったからココの服借りたよ。星哉くんも。」
と、。
「———藍花と星哉・・・?」
一緒に陸と行方不明になった人物だ。
「すみません、藍花ちゃんと星哉くんっていますか?」
そう言うと、女の人は答えた。
「ああ、二日前くらいに引き取られました。」
と答える。
僕はもう一度メールを確認して言った。
「お姉ちゃん来なかった?」
「——きたけど、おにいちゃんにきてもらいたかったからおしゃべりしなかったもん。」
と答えた。
(ふーん。そういうこと)
「さ、陸行こう」
うん、と愛想よく頷いた蓮を抱えようとすると、女の人がまた出てきた
「ちょっと、待って!!」
「あ、はい」
僕は背を向けていた孤児院の方へ振り向いた。
「陸くんの確認のために。名字を、教えてくれませんか」
「…此花ですけど。」
そう言うと、その人は頷いた
「良かった。此花なんてそう居る名字じゃないものね。何も一番の証拠は陸くんよね。さあ、これを持っていきなさい。」
と言われて、陸が行方不明になった時に来ていた服を渡された。
「ありがとうございます——……」
「気を付けて帰りなさいよ。」
そう言った女の人の後ろで
「陸くんバイバーイ」と言う声と、いいなあと言う声が入り混じっていた。
向こうの方に なぜかアオイの姿が見えた気がして…
(親の無い人が、来てるんだもんな)
僕は詳しいことを気にせずに、陸と家に帰った。
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