ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- ぼくらのいるばしょ。
- 日時: 2010/01/06 00:40
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
この小説は、軽く読んでください。何か、「子供って残酷だなぁ」って思うような感じになってしまってます。汗
■登場人物■
広瀬トモ(ひろせとも)
11歳 みんなより年が1つ上なため、お兄ちゃん的な存在。愛称は「トモくん」「トモ」。妹の楓が純粋に好き。
広瀬楓
10歳 可愛らしい顔立ちでモテる。クラス委員。兄であるトモの事が恋愛的に好き。
宮岡マコト(みやおかまこと)
10歳 楓のクラスメイト。 ヤンチャでムードメイカー。虫を食べ、人間に興味がある殺戮好き。
石垣青
10歳 常に音楽を聞いており、あまり騒がない。人の体の部分をコレクションしており、切った爪やかさぶたまで収集している。
竹内裕也
11歳 2年前に引っ越してきた金髪の少年。耳にはピアスまでしてある。人が苦しんでいる姿に快感を覚えている。
桜崎庵(さくらざきいおり)
18歳 アパートの住人で一人暮らし。具沢山のラーメンを作ってくれる。人間、特に大人が嫌い。
画像>>78 現在の登場人物>>89
イメソンhttp://www.youtube.com/watch?v=qHJa3mKeoKg
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- Re: ぼくらのいるばしょ。 ( No.43 )
- 日時: 2009/12/31 14:34
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
第四章
僕と、隣の本城さん
雨が、降っていた。
灰色でただでさえ滑りやすい田んぼのあぜ道を、洪水注意報がカエルの世界で鳴り響くように水で満たしている。
アパートの一番右で、さらにその部屋の一番北側に位置している僕の部屋から、その田んぼのあぜ道が容易に伺えた。
そして、そのあぜ道にいる真っ赤な傘を持っている女の子も見えている。
「……………………………………」
何してんだろ、あの子。
雨の中、ボーとして傘持って突っ立って。
寒くないんだろうか。
黄色のレインコートは着ているらしいけど。
「トモくん」
部屋の外からお母さんが僕を呼ぶ。
「悪いんだけど、楓を近くの病院に連れて行ってくるわね」
「あ、うん。 留守番しておくよ」
楓が昨日から熱を出して、学校を休んでる。 今日は土曜日で、学校もないからラッキーだよ。
玄関の戸が開いて、閉まった音がした。 鍵のかける音。
そして女の子はまだ立っている。
正直、怖い。
ホラーの何かかと身構えてしまう。
顔は見えないけど。
窓から、お母さんの車が走っていくのが見えた。
この雨だから、多分みんなを誘っても遊べないんだろうな。
暇だから、女の子と少し話をしてみようと思った。
ほんの、出来心。
部屋から出て、水色のレインコートと同じ色の傘を持ち、長靴を履く。
鍵を開けて、閉めないまま外に出た。
バシャバシャと、水音を楽しむ間もないまま、その子に向かって僕は、
「濡れるよ?」
何故かそう声をかけていた。
いやいや、傘もレインコートも常備してるじゃないか。 何で濡れる必要があるんだ。
その子の顔がハッキリと見えた。
「あ、本城さん」 「………広瀬」
同じクラスの、本城明美さん。 給食の当番が僕と同じおかず係。 そこそこ友達もいて、そこそこ成績がいい女の子だ。
「何してるの?」 「……散歩」 「ずっと立ってるけど」 「広瀬には、カンケーないだろ」
睨まれた。 何故じゃ。
あまり話した事ないけど。
「広瀬の家って、あそこなわけ?」 アパートを指差され、軽く頷く。
「てか、えっと竹内もあそこだったよね」
「そうだよ」
「へー」
まさか、僕の部屋をずっと盗撮してたのか!? ……なんて事は絶対にないんだろうな。
「本城さん、風邪ひくよ? 僕の妹も風邪ひいちゃって」
「あー、知らねぇよお前の妹なんて」
かなりカチンときた。 楓のことを悪く言われると、自分のこと以上に腹が立つ。
歯軋りをして、おさえた。
「本城さん、帰らないの?」 「アンタは、帰らないの? つか、何で来たの」 「本城さんが幽霊に見えて」 「バッカじゃねえ? 勝手に幽霊呼ばわりすんな」 いや、だからしてないじゃん。 勘違いしただけじゃん。
突っ込む気にもなれず、落胆させる。
「本城さんの家ってどこ?」 「駄菓子屋の近く」
どこだ?
「………精神科病院の近くだっつったら判る?」
「あー、うん。 何となく。 ……そこから一人で来たわけ?」
「………らしいね」
「へ?」
「アタシだって来たくなかったよ! ここどこよ!」
「自分で来たんでしょ?」
「────……、もういい」
意味が判らない。
「帰れるの?」 「帰れるよ! 広瀬マジうざい!」
僕が何したっていうんだよ。
本当に本城さんは判らない。
怒ったげに肩を揺すりながら歩いていく本城さんを、僕は見送る事もなく、家に帰った。
今更ながら、本城さんにかまった自分がバカだと実感する。
♪
楓が熱が下がらない。 そして雨も止まない。
僕は同じクラスのマシロと会っていた。
いや、苗字は判らない。 ただ、マシロだと告げられた。
僕はクラスの女子の名前と顔がどうりにも結び付けられない。 名札を見ないとダメだ。
楓、そして青ちゃん以外の女子に興味は断然無い。
マシロと名乗ったその子は、僕がいつもみんなと遊ぶ公園で、学校帰りに会っていた。
てか、本日初対面だ。
「えっと、マシロちゃんなんだよね?」
「ちゃんは付けないでいーよ? マシロだけで」
「……あ、そう」
うーん、よく判らない。 ほんの出来心か? マシロって呼んでくれって。
「マシロはねぇ、ずっとずっと、広瀬くんラブだったんだよぉ?」 嘘つけ。
「ホントだよぉ? でね、マシロ広瀬くんに告白したいのでありますのだー!」
宣言された。
「でも、広瀬くんどーせふるからぁ〜」 お、よく判ってる。
「告白しない事にしましたのです♪」
いろいろ突っ込みたかったけど、止めておいた。
「マシロちゃ 「ちゃんはいらないって言ってるでしょお?」 「………マシロは、帰らなくていいの?」
「いーの! あんな家、だぁれも相手にしてくんないもん」
ふーん。 相手にねぇ。
「でも、おなかすいたから、そろそろ帰ろうかなぁ」
「うん、その方がいいよ? 暗くなるし」
そして僕もこの事がバレたら楓に何をされるか、先行き不安で暗くなるし。
はあ。
マシロを見送って、少々突かれながら家につく。
「どこ行ってたの〜!」
大分よくなった楓が仁王立ちだ。
「ちょっと友達と話していて」
「ぬぬ。 まあそれならいいや。 オヤツあるよ!」
無邪気な笑顔。 可愛いです。
楓の腕を引っ張られながら、リビングに。
ふと、マシロのことが頭をかすった。
- Re: ぼくらのいるばしょ。 ( No.44 )
- 日時: 2009/12/31 21:15
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
楓の調子がよくなって、雨も無事あがって。
僕は無事に学校生活を送っていた。
「ねぇ、広瀬」 「……何?」
図工の時間、僕の隣で必死に風景画を描いているナナセちゃんが、話しかけてきた。
給食前の図工の時間。 学校に散らばって、その風景を描こうというどうでもいいけど、僕の得意な分野の授業で、何故かナナセちゃんが付いてきた。
「広瀬って、スキな子とかいるー?」
「ん、いないよ」 嘘。
「そっかぁ。 んじゃ明美はどう思う?」
おいおい、何だよソレ。
「本城さん………可愛いね」
何だか、不思議な気分だ。
「そっかー。 可愛いのかぁ。 やったね明美♪」
ナナセちゃんが嬉しそうだ。
「………ナナセちゃん、だっけ」
「もう、クラスメイトの名前忘れたの?」
「あ、そうじゃないけど……。 ナナセちゃんって、マシロっていう子知ってる?」
ナナセちゃんが目をパチクリ開ける。
「あ、マシロとも会ったんだー」
「うん、まあね」
「知ってるよー。 文通してるし♪」
「そっかー」
適当に、頷いていた。 「うわー、広瀬って絵ぇ上手だよねぇ」
ナナセちゃんが絵を覗き込んでくる。
甘い匂いがした。
「うん、絵は得意なんだー」 「そっかぁ」
ナナセちゃんがケラケラと笑う。
……演技じゃなさそうだ。
「ナナセちゃん」
「んー?」
「本城さんの事、どう思う?」
ナナセちゃんがこちらを向く。 笑顔だった。
「大親友♪」
その数日後、本城明美の両親が虐待の容疑で捕まった。
そしてその数日後。
僕は、公園でマシロと会っていた。
「ねぇ、えっと」 「マ・シ・ロ!」 「……マシロはさぁ、大丈夫だったの?」 「何が?」
マシロが、不思議そうに僕を見る。
え、だって、でも、マシロ?
マシロ?
「キミは、本城明美だよね?」
だって、本城さんの姿してるし。 マシロが笑う。
「明美が起きたら、アイツ親ころしちゃうもん」
「………」
「だから、マシロとナナセで、止めてるんだよぉ」
やっと、繋がった。
糸と、糸が。
本城明美だけど、本城明美じゃない彼女が目の前にいる。
「明美をタヒなせる訳にはいかないの」
もう一人の、本城さん。
「だから、マシロと協力してるんだよ」
もう一人の、本城さん。
そっか、そういう事か。
本城さんが勝手に田んぼのあぜ道にいたのも、家に帰りたくないと言ったのも、虐待があったから。
だから、マシロとナナセが生まれた。
彼女が、彼女でいるために。
「もう、明美は眠ってる」
「そう」
「だから、これでサヨウナラ」
「そう」
悲しくないけど。
「バイバイ、広瀬くん」
これは、マシロかな。
「バイバイ、広瀬」
これは、ナナセ。
そして、本当のキミは現れず、ただ隣には虚しさだけが残った。
- Re: ぼくらのいるばしょ。 ( No.45 )
- 日時: 2009/12/31 21:42
- 名前: ラビ ◆bIXnO7zfJs (ID: AyMnBqmb)
多重人格ですかー。
難しい表現がいっぱいあると感じてますー(゜×゜*)
でもこんなに上手にかけるなんて、スゴイですー。
こーしんおつかれさまデス。
- Re: ぼくらのいるばしょ。 ( No.46 )
- 日時: 2009/12/31 21:46
- 名前: 邪狼 ◆XRTr.Bg.qw (ID: nXlmokR.)
多重人格って恐ろしいです……
あっ!はじめまして、邪狼といいます。
上手いですね……僕も見習いたいです……
- Re: ぼくらのいるばしょ。 ( No.47 )
- 日時: 2010/01/01 00:42
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
なんかチャラになっていまって反省ばっか残るんですが……っ!!
すみません。
>ラビs
はじめまして。 上手いなんて、そんな滅相もない。でも本心すっごく照れてます、はい。
>邪狼s
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