ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- ぼくらのいるばしょ。
- 日時: 2010/01/06 00:40
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
この小説は、軽く読んでください。何か、「子供って残酷だなぁ」って思うような感じになってしまってます。汗
■登場人物■
広瀬トモ(ひろせとも)
11歳 みんなより年が1つ上なため、お兄ちゃん的な存在。愛称は「トモくん」「トモ」。妹の楓が純粋に好き。
広瀬楓
10歳 可愛らしい顔立ちでモテる。クラス委員。兄であるトモの事が恋愛的に好き。
宮岡マコト(みやおかまこと)
10歳 楓のクラスメイト。 ヤンチャでムードメイカー。虫を食べ、人間に興味がある殺戮好き。
石垣青
10歳 常に音楽を聞いており、あまり騒がない。人の体の部分をコレクションしており、切った爪やかさぶたまで収集している。
竹内裕也
11歳 2年前に引っ越してきた金髪の少年。耳にはピアスまでしてある。人が苦しんでいる姿に快感を覚えている。
桜崎庵(さくらざきいおり)
18歳 アパートの住人で一人暮らし。具沢山のラーメンを作ってくれる。人間、特に大人が嫌い。
画像>>78 現在の登場人物>>89
イメソンhttp://www.youtube.com/watch?v=qHJa3mKeoKg
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- Re: ぼくらのいるばしょ。 ( No.18 )
- 日時: 2009/12/27 12:48
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
第二章
俺とあいつとコレクション
夏休みの宿題を終了日で一気に終わらせる事に成功した。 でも、自由研究をやってなくて、先生にかなり怒られた………っていうのは嘘。
先生は俺をあんまり叱らないし、関わりたくもないみたいだ。 当たり前か。
自由研究、してきませんでした。 そう素直に言ってみたら、俺を見ずに 「あ、そう」 とだけ空返事。
どうやら、クラスで俺はかなり浮いている存在らしい。
「何でだろうねぇ」
「どうしたの? 裕也」
クラス委員で仲がいいトモが俺の肩を軽く揺する。
コイツは、クラスでも女子からちょいモテて、勉強もできるしいい子ちゃんだから、先生に褒められる。 怒られた事はないけれど。
別にそれが羨ましいとかじゃなくて、なんだろうな。
「んーや。 俺のポジションを考えてた」
「ポジション?」
「……そーいや、トモさ。 自由研究って何した?」
まさか、山で見つけた人間の観察〜とか言うなよ。
コイツ、しっかりしてるけど時々おかしな方に行くからな。
「ぼくは、普通にスライムの研究」 「あーそー」
真面目だな。 マコトは絶対に虫とかだよな。
「楓は?」 「楓はデンプンを調べてた」
この糞バカップル兄妹め。
「そういえば、青ちゃんは何してたんだろうね」
「青は…………なんだろ」
知らねー。 青も何もやってねーんだろうなぁ。
「なんか、珍しいね」
「あ?」
「裕也って、青ちゃんの事何でも知ってるって思ってたから」
「…………それは、ない」
ないないない。 俺だっていつも青といるわけじゃないし。 学年下だし。
青は、『人形』だし。
「両思いなのかと思ってた」
「トモと楓じゃないんだから」
「っ、そ、か?」
顔が赤いぞーバカップルの片割れ。
表情に出やすいんだからな。
鼻の頭を掻きながら、 「あ、まー。 うん、違うの?」
「違う。 俺は、ただアイツにあげてるんだよ」
「何を?」
おっと、この先は急ブレーキ。 迂回してバックしてください。
「秘密」
「…………別にいいけど」
俺と、青だけの秘密。
これを他の奴らに言っても、多分理解されないと思う。
だから、あえて言わない。 口が裂けても。
学校から帰ると、すぐに青の家に出かける。
青の家とか、出かけるとか言ってるけど、実際は階段を下りるだけ。
古びたアパートで、2階しかない。
1階には、トモと楓兄妹、青。 2階に俺とマコトの家族が住んでいる。
俺は2年前にここに引っ越してきたけど、子供は俺ら5人しかいないと聞かされた。
こんな古いアパート、物好きか老人ぐらいしか住まないらしい。 家賃は安いから、一人暮らしのお姉さんとか。
階段を勢いよく降りていって、トモん家の二つ隣の扉
を叩く。
「…………はい」 「俺」
短く答えると、扉が開いた。
先に帰っていた青が、イヤホンを耳から外して俺を見る。
「今日も、もってきた」
「…………入って、いいよ」
靴を脱いでリビングに顔を出す。
青の母さんがいた。 さすが青の母親だけある。 美人だけど、ボーッとテレビの液晶をじっと見ている。
電気もつけずに。
「裕也、来たから」 返事も聞かずにドアを閉めて、青の部屋に誘導される。
部屋は狭くもなく、開くも無かった。
机の上に、ガラスの小瓶がいくつも並んでいる。 茶色の物体とか、目玉とか。
クッションに座って、青は勉強用の椅子に座る。
で、
「ちょーだい」
右手を差し出してくる。
軽く頷いて、俺は自分の膝に爪をたてた。 うん、そろそろいい頃だ。
ペリペリペリ。
キレイに、かさぶたが剥がれた。
「どーぞ」 「…………」
それを青に手渡す。 じーっと見て、机の上の小瓶を手に取り、蓋を開けた。
俺の、それまでのかさぶたがまだ入っている。
何年前のまで収集されてるんだよ、一体。
「んじゃ、次は俺の番」
「…………あんまり、痛くしたら噛む」
「いやいや、それが好きだから」
立ち上がって、青の長い黒髪を掻きあげる。 俺の染めてる金髪とは違って、日本人だなーと呑気に思ってしまった。
青の口に、手を入れる。 ぬるりとしたけど、温かかった。 彼女の耳に口を寄せ、
「ッ」
思い切り噛む。
青の体が硬直した。 俺の指に歯をたてて、痛みを堪える。
「…………ぐっ」
拳を力強く握り締めているのがわかった。 それでも俺は、耳を噛む力を緩めない。
このまま穴が開いてしまうのかというほど、
強く、 強く、
「がっ」
青の口から、痛みの限界を伝える声が聞こえた。
正直、ゾクゾクする。
「…………」
耳から口を離すと、思い切り噛み跡がついていて、血が出ていた。 そんで、俺の指も同じような状態。
大きく息を吐いて、青が俺を睨む。
いーね。 俺、そういうの大好き。
「………噛みすぎ」
「ん、だね」
青が耳を抑えながら、顔をしかめる。
あまり普段喋らない青を痛めつけるのは、これでもう結構な数になる。
コイツのコレクションを見た時は、正直何とも思わなかった。 ただ、あー変な奴って。
でも、思ってみればこのアパートには変な奴ばっかだ。
兄妹なのに愛し合ってる奴、虫とか平気で食う奴、人間の部位を収集する奴、
何だか、よくわからない奴。
上記の孤立している奴は置いておいて、俺は自分の性癖を隠し通す事に決めていた。
だけど、ここではこういうのが『普通』で、普通を『異質』だと思っている。
で、青も何も隠さずに楓の髪の毛とか集めているから、ためしにかさぶたをあげてみた。
……けっこう喜んだ。
表情が変わらないから、よくわからないけど、こっちを見て、 「もっと、ある?」 って聞いてきた。
それから、俺はたびたび青に自分の体の部位をあげてきた。
あるときは、かさぶた。 あるときは、髪の毛。 唾液、血、マメ。
で、ある日気づいた。 俺ばっか損してるなーって。
だから、青に条件を出したわけだ。
「あげる代わりに、指噛ませて」
当然のように、指を差し出してきた。 んで、今さっきみたいに噛んだ。
普段、人形のような彼女が、その時だけ痛みで顔を歪ませた事にゾクゾクした。
「………いつも、痛い」
「これ、秘密ね。 俺らだけの」
「………わかってる」
頭を撫でてみる。 無表情だった。
あー、くそ。 もうちょっとだけ苛めてみたい。
これだけ聞くとただの変態じゃん。 変態か。
でも、別に青じゃなくてもいい。
マコトでも、トモでも、楓でも。
楓は…………ダメだ。 トモにぶった斬られる。
今までは犬とか、猫とかだったからなぁ。
「今から、何するわけ?」
「…………桜崎さんに、会いに行く」
うっわー、俺の苦手な人。
『何だか、よくわからない奴』に今から会いに行くわけか。
最悪だ。
- Re: ぼくらのいるばしょ。 ( No.19 )
- 日時: 2009/12/27 13:13
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
隣の扉を叩く。 しばらくして、
「あーい」
中から間抜けな声が聞こえた。
青が無断で入っていく。 俺も後に続いた。
中は殺風景きまわりない部屋で、そのせいか広く見える。
で、リビングのソファに、「ちゃーお♪」 俺のあんまり会いたくない人がいた。
「……ちゃお」 青が真似する必要なにのに、そう挨拶した。
「金髪のぼうやは挨拶してくれんのかーい」
無視。
「んで、きょーは何の用だがにゃ??」
「夕飯、食べに来た」
「よかよか。 座りぃ」
黙って椅子に座る。
「何、食うー?」 「……ラーメン」 「金髪の坊やは?」 「…………ラーメンで」
「りょーかい♪ 電波受信中〜」
桜崎庵。 何とも不吉な漢字だ。 「いおり」 って読むらしいけど。
この人は、青の記憶によればずっと前から住んでいたらしい。 年齢は、27歳って聞いたけど、言動も顔も幼い。
楓と話が合う奴だ。
「ほりゃほりゃ!! できたぜ〜」
ラーメン蜂が出される。 今回もすげー。
この人の手にかかれば、野菜がムチャクチャ入る。
ラーメンも、どんだけっていうほど野菜が盛りだくさんだ。
「どう? うまい?」 食ってもねーのに聞くな。
青が一口食べて、頷く。 ま、味は旨いけど。
「金髪の少年〜、もうちょい愛想よくしなさい」
「…………何でですか?」
「そうした方が、カワユイぞ♪」
無視して白菜を口に入れる。 柔らかい。
「でも、ちっせーのに髪染めて……いたむよ?」
「別に、俺の勝手でしょうが」
「ま、そだなや」
変な方言を使わないで欲しい。 対応に困る。
「今日はバカップルと、虫食いは?」
「知らないです」
「なかよしやけど、なかよしっぽくないねぇ」
……? 意味がわからない。 保留。
やっと麺が見えてきた。
「なかよくは、ないです」
「一匹狼的存在な奴ですのー」
「……漫画から離れてください」
「萌え、ですよ!! 萌え!! 金髪の坊やはクールでちょい色気のある、●●●に出てくる、●●●に似てるんだよ!!」
あ、ニラまで入ってる。
「で、これで誰かとくっ付いてくれないかな〜。 例えば、トモく「いっぺん、地獄行って下さい」
誰があんな妹ラブの奴とくっつかよ。
「ぬぅ。 でもでも、青もかなりいー線行ってる!!」
いかないでいいから。
オタクにも程がある。
「ねー、お願いだからさ。 服脱いで〜」
「………ごちそさま」
グットタイミングで青が食べ終わった。
俺もこれ以上関わる事もなく、ラーメンを啜る。
「お、キレーに食べてくださいました♪」
嬉しそうにラーメン鉢を覗き込む。
うん、美味しかった。
「また、食べ来いやー」
- Re: ぼくらのいるばしょ。 ( No.20 )
- 日時: 2009/12/27 20:20
- 名前: テイル (ID: acQ6X1OT)
・・・庵さんは変人です。
子供達よりヤバいじゃん・・・。
いや、舐められてる?
- Re: ぼくらのいるばしょ。 ( No.21 )
- 日時: 2009/12/28 09:34
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
子供たちがああなので、どーしてもそういうキャラが必要だったんです。
でも庵にも色々あるので、この章でそれがわかります。
- Re: ぼくらのいるばしょ。 ( No.22 )
- 日時: 2009/12/28 10:07
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
桜崎の家から出ると、 「お」 「おー」 マコトがいた。 手に、虫かごを持っている。
「庵ちゃんトコで何してんの?」 「ラーメン」 「ああ、旨いよなー。 時折ヘンなの入ってるけど」
ラーメンの中身を想像したのか、苦笑い。
「マコトは?」 「ああ、虫取りに行ってた」
虫かごの中には、身動きが取れないほどの虫たち。 種類がハンパなく多い。
その苦しそうな彼らを見て、少しだけ性癖が疼いた。
「今から帰るんだ?」 「おう。 今日はトモと楓も出かけて、遊べないっつーから」 「そー」
軽く手を振って、マコトと別れる。
しばらく歩いて、アパートから離れた所で、
「どうする? 俺らは」
ずっと俺の後ろにくっ付いていた青に訊ねた。
「……っ……別に、遊んでもいい」
何でこの子は何か発言する前に躊躇うんだろ。
まったくの謎だ。
「じゃあ、遊ぼう。 イヤホン、貸して」
「………うぬ」
公園のベンチで、片方のイヤホンで音楽を聞きながら、気づかれないように青の耳を見た。
赤く、傷がついている。
今更ながらに、青は不思議だ。
俺の条件をウノミにしなくても、他の奴のかさぶたとか取ればいいのに。 わざわざ、痛い想いしなくても。
「…………ちょっとは、俺の事好きなのかなー」
小さく小さく、呟いてみた。
自惚れてないっす。 マジで。 真面目に。
あれから三日たったけど、俺は自由研究をしなかった。
そういえば、青に自由研究何したって聞くの忘れた。
「ま、いーや」
自分の部屋で、独り言。
今日は暇だ。
俺らだって毎日遊んでるわけじゃないから。 ま、部屋に行けば誰かいると思うけど、面倒くさい。
腹減った……。
朝と昼、食ってねーもんな。
あー、目眩がする。
こんな時は、 「はあ」 行きたくねーけど、「よし」 生きたいので、
桜崎の所に行こうか、という気持ちになってしまう。
「ちゃおー♪」 「……どうも」
ソファと、テレビぐらいしかない殺風景な部屋の真ん中で、優々と寝転んでいる桜崎がいた。
軽く右手を上げて、奇妙奇天烈な挨拶をかましてくる。
「今日は、彼女ちゃんは?」 「いると思うけど、いつも一緒じゃないんで」 「ほうほう。 そーゆー訳ですか。 フラれたんすか!?」 「ラーメン、ください」
少しだけ頬を脹らませたけど、はいはいって立ち上がる。 背、高いな。 普通の男よりもちょい高い。
「金髪の坊や、ここはラーメン屋じゃねえんよ?」
「えー、そうだったんですかー?」
「わざとらしく驚くのはよしんさい」
「あーい」
面倒くさい。 この人は精神年齢が低すぎる。
自分の家では滅多に聞けない台所でガチャガチャしてる音を聞きながら、ソファに座る。
「……桜崎さんは、家族とかいるんですか?」
「いねー」
「ふうん」
少し残っている良心が、痛かった。
でも、桜崎はあまり反応も見せなかったし。 謝らないで置こう。
「はい、お待ち♪」
ラーメンと箸を渡されて、黙々と食べていく。
いつになく、野菜のボリュームが凄い。
「何でこんなに多いんですか? 特に白菜」
「へへー。 失恋した金髪の坊やに、こっちからのささやかなサプライズー」
余計な事しやがって。 つか、白菜邪魔。
麺が全く見えない。 これ、ラーメンじゃないし。
でも、味は旨かった。
桜崎がテレビのチャンネルをつける。 バラエティが映ったけど、チャンネルを変えた。
「あ」
再放送されているアニメで、その手が止まる。
「ラッキー」 「ホントに、好きですね」 「当たり前でしょー?」
その意図がわからない。
まあ、このアニメは興味ないけど、二三回見たことがある。
「桜崎さんって、オタクなんですか?」 「そう思う?」 「ムチャクチャ」 「んじゃー、そーなんじゃねー?」
でも、それならさ。 心の中で、異議ありだ。
オタクって、部屋中にアニメのポスターとか、キャラクターのプラモとか、一個はあると思う。 あと、漫画とか。
だけど、この殺風景なリビングにはそんなもの一つもない。 それどころか、生活必要最低限のものしかない。
前に、この家があまりにも殺風景で広いため、あいつらと鬼ごっこした事がある。 桜崎も含めて。
その時、ある程度全部の部屋は見たけど、漫画どころか何もなかった。
「………桜崎、さん」
「うりゅ?」 「桜崎さんって、アニメ、好きなんですよね」 「おうともさ」 「漫画は?」 「フツーに好き」
……へえ。
漫画の一つもないのに、漫画好き、ねぇ。
ここからじゃ、本屋も自転車でいけば近い。 歩いても片道15分。
見たところ、生活には困ってないみたいだけど。
「ヘンな人」
「何がー?」
「何でもない」
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