ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- ぼくらのいるばしょ。
- 日時: 2010/01/06 00:40
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
この小説は、軽く読んでください。何か、「子供って残酷だなぁ」って思うような感じになってしまってます。汗
■登場人物■
広瀬トモ(ひろせとも)
11歳 みんなより年が1つ上なため、お兄ちゃん的な存在。愛称は「トモくん」「トモ」。妹の楓が純粋に好き。
広瀬楓
10歳 可愛らしい顔立ちでモテる。クラス委員。兄であるトモの事が恋愛的に好き。
宮岡マコト(みやおかまこと)
10歳 楓のクラスメイト。 ヤンチャでムードメイカー。虫を食べ、人間に興味がある殺戮好き。
石垣青
10歳 常に音楽を聞いており、あまり騒がない。人の体の部分をコレクションしており、切った爪やかさぶたまで収集している。
竹内裕也
11歳 2年前に引っ越してきた金髪の少年。耳にはピアスまでしてある。人が苦しんでいる姿に快感を覚えている。
桜崎庵(さくらざきいおり)
18歳 アパートの住人で一人暮らし。具沢山のラーメンを作ってくれる。人間、特に大人が嫌い。
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イメソンhttp://www.youtube.com/watch?v=qHJa3mKeoKg
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- Re: ぼくらのいるばしょ。 ( No.93 )
- 日時: 2010/01/05 22:30
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
頭にようやく電流が通ったのか、スイッチがオンになり青が辺りを見渡す。 そこが自分の住んでいる部屋だと判って安心したのか、短く息を吐いた。
「青、制服に着替えて。 俺、ご飯作ってくるから」
「……台所で着替える」
青が絶対に一人になりたくないという風に俺の制服を掴む。 その力があまりにも強い。 今にも服を千切らんとせんばかりの怪力の為、数回頷いて青を立たせる。
すぐ後ろに青の気配を感じながら台所に移動する。
ガキの時、料理の腕なんて皆無に等しかったけど青が料理を作れない事もあって覚えた。
青も俺も、カップラーメンばっか食ってたからな。
「じゃあ俺作ってるから、青は着替えてて」
「……判った」
女の子が後ろで生着替えとか超やっべー抑えらんねーとか言ってるキモイおっさんは即行後ろを振り返るんだろうけど、俺はそうじゃなくても時々青の方を振り返る。
気になって仕方ない。 いや、そういう意味じゃなく。
着方が間違っていないか、下着まで脱いでるんじゃないか一々見ていないと青は常識が外れてるからとんでもない事になる時がある。
「青、リボンで首絞めるなよ」 前やってたし。
「……ん。 ラジャーした」
全然頼りにならない返事をして、青がリボンを結ぶ。
メシができたのと同時に青の着替えも終わり、二人で一心同体となりながらテーブルへ。
玉子焼きにウインナー、豆腐とネギの味噌汁という何とも簡単なものに、一杯のご飯。 それが朝食の日課だった。 まぁ、夕飯はもうちっと豪華に作るけど。
適当に切った玉子焼きを口に運びながら、向かい合って座っていた青がテレビをつける。 静寂は嫌い。
テレビの音量も上げまくる。 うっせー。
ニュースを見ながら青が静かに目を伏せた。
俺以外の人間は全て『怖いもの』と認識される青は、学校も苦痛らしく何度から登校を拒んだ。
その際は俺も一緒にサボったけど、だんだんその回数が増えていった為、デカイぬいぐるみをゲーセンのユーフォーキャッチャーでゲットしてもらい、これを俺だと思ってねーとか言ったら簡単に信じた。
俺がいないときはずっとその熊さんを大事に抱えている、といいな。
俺が帰ってくると熊さんを放り出して来るから。
ちなみに、そのぬいぐるみを一発でゲットしたのは俺じゃない。 なんかくれた。
「青、もし我慢できなくなったら保健室で寝てようか」
「……あの怖いものは私を変な目で見てくる」
くそ、保険医の鈴木先生めー。
いたいけな小動物を怯えさせやがって。
「ん、じゃあ目を閉じないでうつ伏せになりなさい」
「……そうする。 うん、そうする」
手早くメシを食べ終わって青が絶対に必要とするアイポッドをパソコンから抜く。
充電だと言って、昨日からずっとあのままだった。
「準備できた?」 「……できた」 「じゃあ行こうか」
授業中のあの先生の声しか聞こえない奇妙な空間がたまらなく嫌らしい。 授業中はイヤホンをつけて音楽を聴いている。
戸をあけて鍵をかける。 鍵は絶対に俺が保管しとかないと、青に持たせたら街中を探さなきゃならない。徹夜で。
俺とピッタリ寄り添って、青が人を見ないように軽く目を伏せる。
こういう時、俺がしっかりしないと青が勝手に信号に飛び出す危険がある。 俺、盲導人になれるかも。
ほとんど会話する事もなく、学校につく。
このときから、青はイヤホンを耳につける。 ざわついた『怖いもの』の声。 俺にも少しなら判るけど、それほどじゃない。
「じゃあ、行こうか」
音楽を聴いた中でも俺の声だけは聞こえるらしく、軽く頷いてくれた。 ありがたやー。
階段を上がり、教室に入る。 最初は一瞬でざわついた環境が凍りついたみたいにシンとしたものだ。
そういう面から見れば、みんな精神的に大人になったものだと思う。
特にお互い近くも遠くもない席に座り、一番後ろで窓際の青はそのまま外を見つめていた。
そして、全ての授業が終わるまでそのまま。 昼休みの時も、そのまま一人何も食べずにいた。
池田のラーメン話を回避して、青と一緒に下校する。
「……あいつら、やっぱ嫌い。 怖い」
「大丈夫。 青には俺がついてるから」
「裕也は好きだけど、あいつらはタヒねばいい。 怖い。 怖いのはみーんな消えればいい」
青が淡々と喋り続ける。
「……そんで、世界に私と裕也だけを残して欲しい」
「……誰にお願いしてるの?」
「……判ってる。 そんな事できないって」
諦めたような口調。 踏ん切りをつけて、青が世界を睨む。
「どうにもならないから、世界って怖い」
青の目に映る世界は、どれもこれもがぼやけていて、その中で俺はハッキリ見えるんだろうな。
頭一個分ほど身長差のある青を見下ろす。
その目は、どこも見てなかった。
どこも、映してなかった。
- Re: ぼくらのいるばしょ。 ( No.94 )
- 日時: 2010/01/05 22:45
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
夕飯は肉じゃがをしてみた。 少しこげたけど。
全部食べ終わって、青は久しぶりに学校に行って疲れたのか、俺のすぐ隣で静かに眠っていた。
テレビの音量を少し下げる。
面白くも何ともないバラエティをやっていた。
「はい、もしもし」
携帯が鳴った為、相手を確認せずにボタンを押す。
「俺。 お前、いつ検診日?」
低い、掠れた様な声が聞こえた。
俺の分身であるぬいぐるみを、手馴れた手つきで一発で仕留めたらしい駄菓子屋のお兄さん。
「えっと、明日学校休みなんでその日ですが」
「……女も一緒か?」
「はい。 どうかしたんですか?」
「いや、俺もちょっくら顔出そうと思ってな」
「……わかりました。 明日、昼からなんで」
「了解。 はい、じゃーな」
通話が終わり、携帯を閉じる。
駄菓子屋のお兄さんは、俺がガキん時から知っている当時はけっこう遠い所に住んでいた奴だ。
今は引っ越して近所だけど。
37歳で離婚してるけど子供もいるらしい。 会った事は無いって言ってた。
その人は昔、俺らと同じ境遇にあった被害者の親戚で、その被害者の居候先だったと聞いた。
そいつと俺を重ねてるんだろうか。 見ず知らずの人間と。
「……誰かも判らない奴に監禁されて、嫌いだった奴に助けられて、傍にいたのに助けられなくて。 俺は何してたんだろう」
独りでに、自分を責める言葉が出てきた。
隣で、青が寝ている。
誰も助けてはくれない。
俺じゃなくて、青だ。
青を助ける人なんて、誰もいない。
涙が出てくるかと思ったけど、出てこなかった。
笑う事も忘れて、
俺は青の笑顔を信じてる。
昔一度だけ見た青の笑顔。
「………嘘です」
信じているのは、青の正常が崩れること。
青が戻ったら、俺は何を信じればいい。
「ごめんなさい」
青の不幸せを願ってごめんなさい。
誰に謝ってるんだろう。
判らないけど、
判らないけど、
判らないけど、
「おやすみなさい」
夢に逃げようと思ってしまった。
- Re: ぼくらのいるばしょ。 ( No.95 )
- 日時: 2010/01/06 00:41
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
イメージソングを決めました。
またまた鬼塚さんです。
http://www.youtube.com/watch?v=qHJa3mKeoKg
- Re: ぼくらのいるばしょ。 ( No.96 )
- 日時: 2010/01/06 09:15
- 名前: ジョーカー (ID: xmMqk/NJ)
いまDSからよんでます
DSのほうが読みやすにです
小説のこうしんがなかなかできませんえ〜
ん
- Re: ぼくらのいるばしょ。 ( No.97 )
- 日時: 2010/01/06 09:43
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
DSでできるんですか!
初めて知りました。
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