ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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Peace Keeper
日時: 2011/03/24 22:40
名前: 朱音 (ID: z1wKO93N)

自己紹介、ですかね。

どうも初めまして。初めましてじゃない人は二度目まして。朱音と申す者です。
二次の方で小説を書いておったのですが、どうも自分でも話を一から作りたいなという変な欲求というか衝動というかに駆られまして。で、小説を立ち上げさせていただいた所存でござりまする。
え? ふざけてるようにしか見えないって? ふざけてるようで真面目なんです。実は。なにぶんB型なもんで。(全国のB型に謝れ

・更新は遅いです。キッパリ言います。遅いです。
・荒らし……まぁ、来ても私は気にしませんけどね、多分。
・ザ・ベスト・オブ・駄文なんで読みにくいです。あしからず。

それでも読んでくださるという方、係員の指示に沿って、あせらず奥のほうへお進み下さい↓↓↓

「様」とか「さん」づけされるのは苦手なんで、呼ぶときは「朱音」でいいです。タメ口でもかまわぬ。というかタメ口でお願いします!




キャラ紹介 >>7 絵>>31
序章 >>1
第一話 「最強meets最恐」>>2-19
第二話 「最恐アゲイン。」>>20->>47
第三話 「紅色サマーバケーション」>>55-109
第四話 「本格始動」>>110-

★番外編 >>48-54

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第一話 「最強meets最恐」 10 ( No.17 )
日時: 2011/02/06 11:47
名前: 朱音 (ID: JYHezvC8)

 5メートルほども開いていた日向との間を、赤沼は一瞬で跳躍。互いの鼻がくっつくほどにまで顔を近づけて、

 「久しぶりだよボクを怒らせた子は。それにその相手が女の子っていうんだからねぇ。……ひひっ、ひひゃはははははっ! ねえ日向、」

 赤沼はそこで一旦言葉を切ると、日向の耳元に口を近づけて囁いた。

 ——ころしてあげる

 動けなかった。まるで足が接着剤で地面にくっつけられたかのように、一歩前に踏み出すことすらできない。脚が震え、背筋が寒くなってくる。とても怖い怪談を聞いたときのような感覚が、日向の脳髄から足の先まで響き渡った。

 「っ……! 離れろ——」

 瞬間、世界が回った。
 さっきまで頭上にあったはずの空が、今は目の前に見える。どうやら脚払いをされたらしい。日向は汚い地面に仰向けに転がった。
 軽い衝撃が日向の背中を襲う。早く立たなければ、そう思った彼女は、腕を振ってその反動で起き上がろうと、両手を頭上に上げた。

 その時、

 「がっ!」

 赤沼が、その手首を靴で踏みつけていた。彼は日向の手首がちょうど交差したところを踏みつけているため、足一本で日向の両手を封じたことになる。これで彼女は起き上がれない。
 しかも、どういうわけか左足が地面にくっついて離れない。接着剤でくっつけられたような、というよりは、超強力な磁石で地面にくっつけられている感じがする。

 「痛い? 痛い? 痛い? ねぇ教えてよ」

 言いながら、赤沼は足にどんどん体重をかけていく。抵抗しようにも、両手と左足を封じられているため、何も出来ない。
 メキメキと、自分の手首の骨が悲鳴を上げているのを日向は感じていた。最低でもヒビ、もしかしたら、骨折を考えなければいけないかもしれない。
 日向は封じられた左足を必死に動かす。だが、それは何の役にも立たなかった。赤沼が不思議そうにその様子を見て、くすり、と笑った。さっきまで見開かれていた目は元の伏し目がちな目に戻っていたが、依然、その口は裂けたままだ。

 「ああ……なんで足がくっついてるか教えて欲しい? 言ってあげるよ?」

 返事をしない日向の顔を、赤沼は覗き込む。日向の顔は苦痛で歪んでいて、最早見られる表情ではなかった。

 「ボク、マスターピースなんだ。それで、この手で触れたものを磁石に変える力があるんだよ」

 赤沼は右手をヒラヒラと振る。

 「キミの左足とこの地面を磁石にしたんだ。これでキミは、ボクが能力を解除しない限り逃げられない」

 ギリギリ、ギリギリ、骨がきしむ。もう折れる寸前、というのは、踏みつけられている日向が一番よく知っていた。
 赤沼は、足元に落ちていた刃渡り十センチほどのナイフを拾い上げ、

 「降参、って言ったら見逃してあげる。キミをここで壊しちゃうのは惜しいんだ」

 優しげな声をかけながらも、足の力はどんどん増していく。そのたび、日向の顔が苦痛に歪む。
 降参、というたった一言で楽になるのに、日向は頑として口を開かない。その身を震わせながらも、襲い来る苦痛に耐えていた。その様子を見た赤沼の顔から、笑みが失われていく。

 「可愛げのない子だ。言っちゃえば楽になるんだよ?」

 楽になる、というのは、助けてあげるということではない。手に携えたナイフでその身を切り刻むぞ、というある種の脅しだ。

 「誰が……言うかよ……」

 ぶるぶると震える声で、それでも日向は、



 「俺は風紀委員、朝岡日向だ! テメェなんかに屈してちゃ、この街護れるわけがねぇんだよ!!」



 強い、強い一言を放った。その顔から苦痛の表情は消えていて、替わりにその瞳からは意志の強さが垣間見えた。
 中学二年生の彼女が、特殊な能力も持っていないただの女の子が、風紀委員長に選ばれた理由。
 それは、彼女の持つ意思の強さだった。

 「殺りたきゃやれよ。そうすりゃお前は刑務所行きだ。これからはお前みたいなイカレた野郎に傷つけられる奴は誰もいなくなる」

 そう、決心した日向の顔からは、負の感情などカケラも残っていなかった。
 赤沼はしばらく黙っていた。驚嘆に満ちた表情で、日向をずっと見続けるだけ。足の力はキープされたままだったが、強くなることはなくなっていた。

 「ふぅん…………」

 突然、赤沼は手のナイフを宙に放った。かきん、と金属音がし、ナイフが地面に落ちる。

 「合格」

 「…………はぁ?」

 あまりに突拍子だった赤沼の言葉に反応して、つい日向は声を漏らす。同時に、日向の手と足が解放された。

 「キミをここで壊しちゃうのは惜しい。もっともっと強くなるだろうから。青い果実はあんまり好きじゃないんだよ」

 正直言うと、その言葉に寒気を感じた。違う意味でコイツはヤバイ奴だと再認識する。青い果実って……青い果実って! と、日向の脳内はその言葉で埋め尽くされた。若干の吐き気を覚える。

 「いい? キミを壊すのはボクだ。それまで絶対に誰かに負けるなよ」

 薄い笑みをたゆたえた赤沼は、街灯の向こう、暗い路地へと消えていった。今さら心臓の鼓動が激しくなっていくのを、日向は感じていた。さっきと同じように、どっと疲れが身体に押し寄せてくる。
 
 怖い。
 とにかくその一言しか思い浮かばなかった。

Re: Peace Keeper ( No.18 )
日時: 2011/01/15 19:25
名前: ささめ ◆rOs2KSq2QU (ID: jbwgUQwv)

日向先輩カッコいいっス、マジリスペクトっス……!

祖父と日向ちゃんの思い出辺りから脳内BGMが格ゲーで流れてるのに変わったというささめがまたもやコメしますよ! 日向ちゃんが熱血過ぎて、読んだ直後興奮して顔が真っ赤になりました。

やはりイケメソだとしても許せないことがあると思った今日この頃。
何故かって? 我等が風紀委員長、朝岡日向先輩を傷つけたからdそろそろ黙るんですみませんでした。

あー赤沼君何者なんだしーてかマスターピースで磁石に変える力とか凄いしー続き気になるしーあーどうしようと続きを全力で応援させて頂きます! ちなみにすでにお気に入り登録済み。

それでは。

Re: Peace Keeper ( No.19 )
日時: 2011/01/15 22:34
名前: 朱音 (ID: WOvdF.BH)

 ▼ささめ様
 お気に入り登録、だと……? ここに神がいらっしゃった!
 日向かっこいいって! 良かったねえ日向! これで実は虫が苦手とかケツが裂けても言えないね!←
 おお……格ゲーとか……BGM合いそうですね! 私は格ゲーといえばストリートファイターです。春麗とジュリが大好きです。ガイルとザンギエフも好きです。
 イケメソでも許されないことってありますよね! そうだよあきゃぬま。君は確かに私の理想を全て集結させたキャラだけど、やっていいことと悪いことがあるよ!←
 まぁ、不良ですし、悪役サイドですし。黙認しt(殴
 あきゃぬま君や日向、沙羅、それと開封の過去は、番外編で明らかに? なるかもしんない。
 応援ありがとうございます^^ 頑張ります!

第二話 「最恐アゲイン。」 01 ( No.20 )
日時: 2011/02/06 11:52
名前: 朱音 (ID: JYHezvC8)
参照: ハピツリ(ハッビーツリーフレンズ)最高。フリッピー大好き。

 ども。はぴつりにはまった朱音です。あれ見て笑えるガイキチは私だけじゃないはず。ぐひひひひひ。



 「あ、委員長。おはようございます! ……て何すかその怪我!?」

 「……ああ、オハヨウゴザイマス」

 朝、八時十五分。日向は両手首に湿布、右頬にガーゼ、両膝に絆創膏というなりで登校した。昨日殴られたところは未だに痛い。病院行きましょう、と涙ながらに言った外様をうっせー黙ってろと蹴り飛ばし、日向は痛む体を押して学校へ来た。
 来て早々挨拶をしてくれたのは、昨日日向に首を絞められた野球部部長だ。今朝練を終えたらしく、濡れタオルで汗を拭きながらポカリを飲んでいる。

 「怪我はまぁ……そう、チャリ乗ってるときに転んじゃって」

 「委員長にもそんなことあるんスねー」

 部長は苦笑したあと、肩にかけていた鞄から何か取り出した。

 「これ、新島からっス。今日アイツ休みなんで、渡しといてくれ、て」

 差し出されたのは、DVDが一枚入った薄い袋だった。袋には付箋が貼ってあり、わりかし綺麗な字で「Mステ」と書いてある。

第二話 「最恐アゲイン。」 02 ( No.23 )
日時: 2011/02/06 11:53
名前: 朱音 (ID: JYHezvC8)
参照: やぁっぱすぅっきゃねぇん♪←

 「え……マジでマジでマジで? うっわ新島センパイさんくす!」

 袋を両手で持って小踊りする日向を、部長はなんとも言えない目で見つめる。余程嬉しいのだろう、日向はいつもの締まった顔からは考えられないほど緩みきった顔をしていた。
 うっひゃうっひゃ言っていた彼女の脳に、さっき部長が言った言葉が繰り返される。

ーーアイツ今日休みだから

 普段の日向なら、怪我でもしたんっスかあっはっはー、と受け流すことが出来ただろう。だが、昨日あんなことがあったばかりの彼女の頭には、「不良に襲われて怪我をした」というイメージが貼りついてはなれない。

 「……新島センパイ、なんで休みなんスか?」

 何気ない風を装って聞いた。
 心の中では、「寝冷えでもしたんじゃねーの」というような言葉を少なからず、いや、間違いなく望んでいた。
 だが、



 「…………カン、いいっスね」




 そんな少女の小さな願いは、一瞬にして砕け散った。

 幸せは、近くにあるときは案外気づけないらしい。幸せがなくなって初めて、人は自分が幸せだったと気づく。そんなことを前にどこかで聞いた気がする、と日向は思う。

 「……昨日八時頃、襲われたらしいっス。自分家の近くの自販でジュース買ってたときに……」

 昨日八時。日向の背に悪寒が走る。丁度日向が赤沼と戦っていた時間。

 「新島を襲った不良、一人だったって。顔はよく覚えてねーけど、確かこの辺にバンソコしてたって言ってました」

 言いながら、部長は自分の左目の下を指さす。
 赤沼だ。日向は感じ取っていた。でも決めつけるにはまだ早いかもしれない、もしかして、というような淡い希望が日向の胸をかすめる。

 「……ほ、他に特徴とか、言ってなかったっスか?」

 「……そういや、不良には珍しく黒髪だった、て聞きました。あと、カチューシャで前髪上げてたって……」

 かくん、と。
 日向の膝から、それこそ抜けるように力がなくなった。絶望と衝撃で顔の色を失った日向の目から、大粒の滴が溢れ出す。



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