ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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Peace Keeper
日時: 2011/03/24 22:40
名前: 朱音 (ID: z1wKO93N)

自己紹介、ですかね。

どうも初めまして。初めましてじゃない人は二度目まして。朱音と申す者です。
二次の方で小説を書いておったのですが、どうも自分でも話を一から作りたいなという変な欲求というか衝動というかに駆られまして。で、小説を立ち上げさせていただいた所存でござりまする。
え? ふざけてるようにしか見えないって? ふざけてるようで真面目なんです。実は。なにぶんB型なもんで。(全国のB型に謝れ

・更新は遅いです。キッパリ言います。遅いです。
・荒らし……まぁ、来ても私は気にしませんけどね、多分。
・ザ・ベスト・オブ・駄文なんで読みにくいです。あしからず。

それでも読んでくださるという方、係員の指示に沿って、あせらず奥のほうへお進み下さい↓↓↓

「様」とか「さん」づけされるのは苦手なんで、呼ぶときは「朱音」でいいです。タメ口でもかまわぬ。というかタメ口でお願いします!




キャラ紹介 >>7 絵>>31
序章 >>1
第一話 「最強meets最恐」>>2-19
第二話 「最恐アゲイン。」>>20->>47
第三話 「紅色サマーバケーション」>>55-109
第四話 「本格始動」>>110-

★番外編 >>48-54

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「序章」  ( No.1 )
日時: 2011/02/02 15:55
名前: 朱音 (ID: JYHezvC8)

 東京都、異ノ国市。
 戦前繁華街として栄えたこの街は、当時「東洋一美しい」と謳われた東京の中心だった。
 そしてその街並みは戦後も失われることはなく、今もそこは繁華街で溢れ、外国人や若者達の姿も多く見られる。立地の良いそこには百貨店も多く進出し、ビルも多い。傍目にはなんら問題のない街に見える。
 だが、それは違った。
 
 東京都の中心、異ノ国市は、酷く治安が悪かったのだ。
 学生による万引きなど序の口。路地裏ではカツアゲが絶えず、深夜になればオヤジ狩りや強盗、女子高生が連れ去られる事件などが相次いでいる。
 治安を悪くしているのは学生だけではない。極道の本家も多いこの街では、昼間から銃声が聞こえることすら珍しくないのだ。極道に追い詰められた借金の保証人などが電車に飛び込み、人身事故を起こすことさえ多々ある。
 そしてもうひとつ、この街を蝕む問題がある。
 
                          マスターピース
 生まれながらにして「異能」を持つ人間——「神宿る人間」だ。


 それが世界で最初に生まれた地、それがここ、異ノ国市。善に活かされなければいけないその能力はいつしか闇に生きる者の特権となり、現在本当にこの街を仕切っている者は「神宿る人間」だとも噂される。
 「神宿る人間」は、この街では十人に一人の割合で現れる。その能力は個人によって違うが、善にも悪にも活かすことのできる能力がほとんど。だが、その能力は大半が悪のために使われてしまっているのが現状。「神宿る人間」の能力の中には、簡単に人を殺傷出来るものも多く含まれ、犯罪に使われるケースが後を絶たない。
 
 そんな街の問題を、警察が全て処理できるわけがない。

                 ピースキーパー 
 そこで市が作った機関、それが「風紀委員」である。
 「風紀委員」は簡単に言えば学生による組織。仕事は主に管轄内のパトロールや、不良学生の取り締まり。異ノ国市に訪れた外国人観光客のガイドなどもたまに務める。
 この組織の一番の特徴は、それを構成する幹部の多く——ほとんどが「神宿る人間」だということ。
 市は街の自治を学生にさせると同時に、悪用されぬように「神宿る人間」を若いうちから保護することも考えたのだ。

 異ノ国市全体は東西南北四つの区に分かれており、「風紀委員」もそれに合わせて四つ部署がある。構成員はほとんどが中高生、まれに強大な能力を発生させた者は、幼稚園児、小学生から「風紀委員」に入ることもある。
 そして、「風紀委員」全体で最も能力(体力、知力、戦闘力)が高いものが、それの頂点——「風紀委員長」に選ばれる。

 平成二十三年今現在、十四代目「風紀委員長」に選ばれているのは、東区に住む中学二年生——朝岡日向(あさおかひなた)、であった。

第一話「最強meets最恐」 01 ( No.2 )
日時: 2011/02/06 10:49
名前: 朱音 (ID: JYHezvC8)

 異ノ国東中学校、屋上。季節は——夏。
 ギラギラと照りつける太陽の元、錆びかけの手すりにもたれてダルそうにメロンパンを食べている女子生徒がいた。

 「あー…………暑い、暑い。あっちぃーなあー……あーチクショウ」

 少女の腕には黒地に金色の刺繍が入った腕章。書いてある文字は「風紀委員」。その足元には、たかだか中学生の、しかも少女には圧倒的に不釣合いな金属バットが転がっている。グリップは黒、それ以外の場所は銀色。何を殴ったのか色んなところがボコボコ凹み、黒ずんだシミがあちこちに付着している。中学生、青春真っ只中の少女とそのバットのツーショットは、明らかにおかしかった。

 「あー……なんでこんなにあちぃんだ? ……ああそうだ太陽が出てるからじゃねぇか。もうマジ消えてくんないかな。今から地球が氷河期に突入しちまえば何にも問題はねぇか? あ? こらそこの。何か言ってみろやハゲ。ハゲ。ハーゲ!」

 何故か太陽に向かってハゲハゲ言いまくる少女。その端正な顔からはとめどなく汗が流れ、漆黒の瞳はやや虚ろになってきている。さっさと影にいってしまえばいいのに、少女はそこから動かない。
 ハゲハゲ言いながらも、メロンパンを口へと運ぶ手は休まない。少女の顔ほどの大きさがあったであろうメロンパンは、ものの数十秒でパン粉と化した。

 「暑い、暑い、暑い。ヒョウとか降ってこねーかなー。みぞれとか降ってこねーかなー。アラレとか降ってこねーわなー。だって夏じゃねぇか今は。期待すんなよ俺。期待して空とか見んじゃねぇぞ俺」

 太陽の熱を吸い込み、むんむんと熱気を発するコンクリートの床。それに直に触れている肌は、さぞ熱いだろう。
 少女がもたれかかっている手すり。それは、丁度屋上への出入り口の前にある。少女は、屋上へ入ってくる生徒を見張る形になっているのだ。
 理科の実験に使ったり、卒業の記念写真を撮ったりする広い場所は、少女の右手——屋上に入ってくる生徒からすれば、左手にある。そしてそこには——

 学ラン、ブレザー、または私服。
 体格も顔つきも違う男達が十数人、固まるようにして倒れていた。辺りに散らばるのは血とゴミとタバコ、それにナイフやスタンガンなどの凶器もちらほら見える。

 「……おっせーんだよアイツよー。いつまで俺をこんなあっちぃとこにほっとく気だよクソが。今度殴ってやらねぇと俺の気が済まんよこれは」

 ここ、異ノ国東中学校は、街を見下ろす高台に建っている。
 手すりに背中を預け、少女は逆さまになって街を見下ろした。音を立てて通り過ぎる電車、様々な映像を映し出す街頭テレビ、せわしなく行きかう人の群れが全て逆さまに見えるのは、少し変な気分になる。

 「おまたせー。待ったかー?」

 突然、出入り口のほうから男の声がした。少女は顔も上げずに、

 「待ったかじゃねぇよ。待ったに決まってんだろ。テメェ、俺をこんな暑いところに長時間放っておいたらどうなるかわかってやってんだろな?」

 「爆発するか? するといいね。その方が世の為人の為よ。日向みたいな暴力的な子がこの街に何人もいたら、それこそこの街の終わりね」

 「テメェ…………」

 日向。少年は彼女をそう呼んだ。
 この街では知らないものがいないとさえ称される、今現在の風紀委員長。十四代目にして最年少、若干十四歳でその地位を得た彼女は、風紀委員始まって以来の快挙を成し遂げた。
 朝岡日向は、マスターピースではない。特殊な能力も持たずに風紀委員長となった日向は、「物言わぬ兵器」と恐れられている。
 冷静にして冷淡。街の秩序を荒らすものには容赦をしない、慈悲などカケラも持たず、不良たちを次々に少年院へと放り込んでいく。彼女に目を付けられた者は地の果てまで追いかけられるとさえ言われている。

第一話「最強meets最恐」 02 ( No.3 )
日時: 2011/02/02 16:11
名前: 朱音 (ID: JYHezvC8)

 「てめっ、開封! 待ちやがれぇぇぇぇ!!」

 「ははっ、鬼ゴッコか? ワタシ捕まえられたら褒めてあげるよ」

 日向は転がっていたバットを握り、怒り狂った顔で少年を追いかける。対して少年は糸のように細めた目を嬉しそうに更に細め、青みのかかった髪を揺らしながらひょいひょい逃げる。
 少年の名は李 開封(リ カイフォン)。風紀委員のメンバーで、マスターピースでもある。生まれも育ちもこの街で、戸籍上は中国人だが中身はほぼ日本人だ。

 「どうしたか日向。全然動けてないね。もう体力切れか?」

 「うっせんだよ! 元はといえばテメェが俺を屋上に置いておいたのが悪いんだろうがコラァ!」

 怒り狂う日向に対し、開封はあくまで飄々と振舞う。彼らが「鬼ごっこ」をしているのは、屋上の手すりの外側、足を踏み外せば四階の高さからまっ逆さまに落ちてしまう危険な場所だ。

 「それにしてもあんなに沢山の不倒すなんて……日向すごいね。ホントはマスターピースか?」

 手すりの上でヤンキー座りをした開封が、感心したように呟く。その無防備な背中に、日向の容赦の無い制裁が振り下ろされ——

 なかった。

 殴るべき目標を殴ることができなかったバットは見事に手すりに命中。バットが当たった部分はその怪力によって凹み、あられもない姿になる。

 「おお、危ない危ない。当たったらワタシでもやばかったね〜」

 言葉とは裏腹に、開封の顔には余裕の笑みが浮かんでいる。さっきの一瞬の間に、開封は屋上へと逃げ切っていた。
 悔しそうに日向が顔を上げると、さっきまで糸のようだった開封の目が開かれていた。深い海の底の様な、群青の目が日向をしっかりと捉えている。
 その目の色はとても美しい反面、ひどく恐ろしく見えた。

 「お前……チカラ使うのはナシじゃねぇか?」

 「ケース・バイ・ケース。「臨機応変」がワタシの座右の銘ね」

 開封は目を糸のように細め、右手をヒラヒラと振る。

 彼の能力は「鬼神の咆哮(クレイジーアワーズ)」。普段閉じている目を開いている間だけ、彼の身体能力が十倍に跳ね上がる、という物。
 元々開封の身体能力はこの学校の中でも群を抜いている。それが十倍にまで高まるということは、リンゴをまるでミカンのように握りつぶせたり、垂直とびで15mほども飛び上がれたり、100m走ではカール・ルイスよりも早く走れるということだ。

第一話「最強meets最恐」 03 ( No.4 )
日時: 2011/02/02 16:11
名前: 朱音 (ID: JYHezvC8)

 日向の一撃で鬼ごっこは終わった。むーん、と退屈そうに伸びをする開封は、わりと激しい運動をしたにもかかわらず、汗すらかいていない。

 「鬼ごっこも終わったし……そろそろ「後始末」するね」

 「…………それが本来の目的だろが。俺はもう中入るぜ。………影ー……」

 フラフラとした足取りで日向は鉄製のドアを開ける。その背中を見送ってから、開封は足元に転がっている不良に目を向けた。
 開封の表情は固く、その顔にさっきの飄々とした感じは全くない。糸のような目さえも、冷たいように感じられる。

 生ぬるい風が一陣、彼の前髪を揺らした。

 「…………クズどもが。簡単にワタシたち倒せると思ったか? ……甘いね。ワタシたちが護ってるこの学校、落とせる思うな」



 「あっ………つかったぁ………」

 多少とはいえ屋上よりは涼しい校社内に入った日向は、早速購買でアイスを買ってきた。この学校、昼休みだけは購買が開放され、その時間内なら何を買って食べようが自由という、他の学校よりも大分フリーダムな校風なのだ。ちなみに私服も可。ちょっと自由すぎるんじゃないだろうか、と日向はたまに不安になる。
 さっきから廊下をすれ違う生徒達は、ほとんどが私服だ。制服はカッターシャツを着なければならず、男子は長ズボン。やはり暑いのだろう、男子は半ズボン、女子は短いスカートや短パンをはき、それでも暑いのか団扇を持ってきている生徒もいた。

 だが、日向はカッチリとした制服。同じく開封も制服。風紀委員は制服の着用が義務付けられているため、夏の暑いときも冬の寒いときも常時制服でいなければならない。

 「差別だ、偏見だ。なんで俺達ゃいっつも制服でいなきゃなんねーんだ? 暑いったらありゃしねーぜコノヤロー。…………あ」

 食べ終わったアイスの棒をくわえた日向は、何かを思い出したかのように立ち止まる。

 「……おいおい、今日俺夜勤じゃねもしかして。ちくしよーMステ見らんねーじゃねーか。今日は折角ラルクが新曲発表するんだぜ? ああもう休んじまうか」

 日向はつかつかと廊下の隅で屯していた野球部部長に近づき、何も言わずに胸ぐらを掴んで締め上げる。周りの部員がおびえる中、日向は

 「なぁ、今日俺夜勤休んでもいいかな?」

 と、真顔で聞いた。
 だが、首を絞められている坊主頭は何も言うことができない。彼はただただ苦しそうな表情を浮かべて、何とか胸元の手をはずそうと必死にもがいている。
 日向が黙っていると、近くにいた部員B(タレ目)が、半ば悲鳴に近い声を上げた。

 「日向さん、公務はサボっちゃダメですよ! って言うか早く部長を離して下さい!! 泡吹いてますって!!」

 涙目になりながら訴えるBの顔をチラリと横目で見、日向はしぶしぶ、といった様子でその手を離した。どさりと床に倒れ込んだ部長に、部員A、C、Dと、教室から出てきた部長の彼女が駆け寄る。




 


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