ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- Peace Keeper
- 日時: 2011/03/24 22:40
- 名前: 朱音 (ID: z1wKO93N)
自己紹介、ですかね。
どうも初めまして。初めましてじゃない人は二度目まして。朱音と申す者です。
二次の方で小説を書いておったのですが、どうも自分でも話を一から作りたいなという変な欲求というか衝動というかに駆られまして。で、小説を立ち上げさせていただいた所存でござりまする。
え? ふざけてるようにしか見えないって? ふざけてるようで真面目なんです。実は。なにぶんB型なもんで。(全国のB型に謝れ
・更新は遅いです。キッパリ言います。遅いです。
・荒らし……まぁ、来ても私は気にしませんけどね、多分。
・ザ・ベスト・オブ・駄文なんで読みにくいです。あしからず。
それでも読んでくださるという方、係員の指示に沿って、あせらず奥のほうへお進み下さい↓↓↓
「様」とか「さん」づけされるのは苦手なんで、呼ぶときは「朱音」でいいです。タメ口でもかまわぬ。というかタメ口でお願いします!
キャラ紹介 >>7 絵>>31
序章 >>1
第一話 「最強meets最恐」>>2-19
第二話 「最恐アゲイン。」>>20->>47
第三話 「紅色サマーバケーション」>>55-109
第四話 「本格始動」>>110-
★番外編 >>48-54
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- 第一話「最強meets最恐」 04 ( No.6 )
- 日時: 2011/02/02 16:15
- 名前: 朱音 (ID: JYHezvC8)
これは戦争のドラマかなんかですかといわんばかりの目で、廊下を歩いている生徒が部長をちらちらと見る。日向は自分の後ろで土下座している部員Bに向き直り、
「なあ、新島センパイ……」
風紀委員である日向は、この学校の全ての生徒の顔と名前を覚えている。日向は二年生なので新島センパイは三年生、ということは部長も三年生。日向はセンパイにあんな失礼なことをしていたことになるが、ほぼ全校生から慕われている彼女は、そういうことをしてもほとんど咎められない。
日向はしゃがんで新島の肩に手を置き、さっきと一ミリも変わらぬ真剣フェイスで、
「今日のMステ、録画しといてもらえます? ラルク出るんすよ」
と、言い放った。そんなこと真顔で言われても、といった表情の彼は、とりあえず「……はい」と弱々しく言った。日向は真顔で頷き、ぺたぺたと上靴を鳴らして廊下を歩いていく。
「……委員長。オレ、バンプ派なんで」
新島の声は、日向の耳には届かなかった。
四階の一番東、音楽室。
廊下を歩いてきた日向は、扉の前にすえつけてあるゴミ箱にアイスの棒を捨てた。音楽室の中からは、美しいピアノの旋律が聞こえてくる。音楽の教養の無い日向には何の曲かは分からなかったが、とても悲しく、美しい曲であることは理解できた。
日向は扉を開ける。最初に目に飛び込んできたのは、黒いツヤを放つグランドピアノと、それを演奏する少女の姿。
「お、やっぱりお前か」
「ん? あ、日向! 早かったね」
ピアノを弾いていた少女は、手を止めて嬉しそうに日向の方を見た。明るい茶髪の髪をポニーテールに結わえ、前髪を何本かのピンで止めている。目は髪と同系色の茶色で、かなり大きい。化粧もしていないのにまつげがとても長かった。
少女は暑いのか、右側の袖をまくってノースリーブにしていた。
「あんなにたくさん不良がいたのに……やっぱり日向、マスターピースなんじゃない?」
少女は座っていた椅子から立ち上がり、日向に近づいてくる。その左腕には、「風紀委員」の腕章。
「……沙羅、なんでお前までカイと同じこと言うんだ? 俺はマスターピースじゃねぇって言ったろ?」
沙羅、と呼ばれた少女は、いたずらっ子のように微笑んだ。彼女の腰には黒くて太いベルトが巻かれており、その両側には一つずつ、拳銃を入れるためのホルスターがついていた。そこから黒いグリップが見える。
彼女の名は紫苑沙羅(しおんさら)。日向、開封と同じく風紀委員で、マスターピースでもある。
「それにしても……」
日向は音楽室を見回す。音を吸収するために小さな穴が空けられた壁にかけられたたくさんの賞状、合唱をするために段になった床の最上段には、形も大きさも様々な楽器が雑多に置かれ、楽譜も散乱している。無造作に放られた指揮棒や、どう見ても年代物であろうメトロノームは、見ていて少し痛々しい。
- キャラ紹介的なカンジ。 ( No.7 )
- 日時: 2011/02/02 16:16
- 名前: 朱音 (ID: JYHezvC8)
とりあえず、主要三人がでてきたので、登場人物紹介をしておきます。まだ出てきてないキャラの名前は伏せておきます。
マスターピースは、名前の後ろに★をつけておきます。
朝岡日向(あさおか ひなた) ♀
身長:152センチ 血液型:O
能力名:
能力の概要:
第14代目風紀委員長。女だが一人称は「俺」で、言葉遣いは男。仕事をしているときは怖いと定評がある。
慈悲の心など欠片も持っていないため、不良たちからは「物言わぬ兵器」と恐れられている。根は優しく、正義感が強い。
紫苑沙羅(しおん さら)★ ♀
身長:153センチ 血液型:A
能力名:魔弾の射手(ダークネススコープ)
能力の概要:銃(モデルガンでも可)を両手で保持している間、目がスコープの役割を果たす。
風紀委員幹部の一人。中一の時に千葉から引っ越してきたため、友達がいなかったが、日向によって救われた過去がある。サッカー部の三年に彼氏がいる。明るい茶髪の髪やピアスなど見た目は派手だが、中身は純真。
李 開封(リ カイフォン)★ ♂
身長:167センチ 血液型:AB
能力名:鬼神の咆哮(クレイジーアワーズ)
能力の概要:目を開けている間のみ、身体能力が十倍になる。能力を長時間使った場合、翌日は疲労で動けなくなる。
飄々とした性格の中国人で、風紀委員の一人。一つ下の学年に妹がいる。人をからかう(特に日向)のが大好きだが、性格が悪いわけではない。犬猫が大好きで捨てられているのを見ては拾ってくる。
赤沼 幽人(あかぬま ゆうと) ♂ ★
身長:172センチ 血液型:B
能力名:磁石手品の応用編(マグネティックトリック)
能力の概要:左手で触れたものを磁石にする。自分以外の命あるものは磁石にはできない。磁石にしたものの面積と磁力は反比例する(小さいものほど磁力が強い的な)。
私立悠ヶ谷高等学校に通う二年生。学校では物静かだが、正体は異ノ国市でもトップクラスの力を持つ不良。幼い頃虐待を受けたせいで精神が不安定に歪み、性格は非情に残虐。「死」を異常に嫌っている。
- 第一話「最強meets最恐」 05 ( No.8 )
- 日時: 2011/02/02 16:23
- 名前: 朱音 (ID: JYHezvC8)
- 参照: http://www.pixiv.net/member.php?id=2475226
「……まだ、直ってねぇんだな」
五年ほど前、この学校の吹奏楽部が全国大会に出た。結果は惜しくも二位。だが、吹奏楽部以外はその賞に満足していた。初めての全国で二位、校長も誇らしげだったという。
結果としては、その喜びが仇となった。
東中の全国出場を妬んだ北中の生徒が、不良を雇って東中を襲わせたのだ。
吹奏楽部のメンバーは全員重傷を負い、病院に送られた。顧問にいたっては生涯歩けない身体にされ、今はノイローゼを起こして精神科医に通っている。学校にいた関係のない生徒も、怪我を負わされた。後にその不良たちは退学となり、それを依頼した生徒も停学処分となったが、事件は生徒達、教師達の心に深い傷を残した。
不良たちが乗り込んできたのは、東中A棟にあるここ、音楽室。あの事件が起こってから吹奏楽部は自然消滅し、音楽の授業にこの教室が使われることもなくなってしまった。
そんな音楽室に来るのは、いまや沙羅ただ一人。派手な外見に似合わずピアノが趣味の沙羅は、暇さえ見つけたらここへ来ていた。
「あたしの友達も、吹奏楽部だったんだ。……あそこにある丸くて黄色いの見える? ホルンっていうんだけど、あれ、やってたの」
沙羅は、背後に雑多に置かれている楽器の中の一つを指差す。黒っぽくくすみ、埃にまみれているそのホルンの近くの壁に、日光ですっかり色が落ちてしまった大きな写真が貼られていた。
楽器を抱え、笑っている生徒達。多さからして吹奏楽部で撮ったものだろう。後ろには大きな体育館のような建物。
「その子のホルンの音色、とっても綺麗だった。私はその子に憧れて、中学は絶対吹奏楽部に入るって決めてたんだ。……結局、出来なかったけど」
そう言った沙羅の顔には、悲しい、悲しい笑みが浮かんでいた。
「……沙羅、さっき弾いてた曲の題名、なんていうんだ?」
日向は壁にもたれかかって聞く。ここに来たのは沙羅に用があったからなのだが、どうも切り出せそうにない。
「ショパンの、「革命」。難しいけど、綺麗な曲だったでしょ?」
「……ああ。綺麗だった。……ところで沙羅、今日の夜勤の話なんだが——」
恐る恐る、日向が切り出す。なぜこんなに腰が引けているのか、それは、沙羅が怒るとこの学校で一番怖いからである。日向が最も苦手な、ひたすら言葉で攻めてくるタイプの怒り方。過去に二、三回ほど見たことがあるが、言葉に出来ないほど恐ろしかった。
仕事のことになればなおさらだ。日向はいつでも逃げられるよう、扉の方へとじりじり下がる。
「あの、出来れば、変わってもらえないかな、なんて——」
「変わらないよ。日向、頑張ってね」
即答。
日向のお願いをスッパリ切り捨てた沙羅の顔には、笑みが浮かんでいる。さっきの悲しい笑みとは違い、何だか顔の陰影が濃くなっている、気がする。
汗まみれの顔で日向はにこやかに笑い、恐ろしいほどの速度で音楽室を出た。
- 第一話「最強meets最恐」 06 ( No.9 )
- 日時: 2011/02/02 16:24
- 名前: 朱音 (ID: JYHezvC8)
- 参照: http://www.pixiv.net/member.php?id=2475226
午後八時。日向は住宅街にある自分の家を出た。家を出てくるときに若頭が「Mステ録画しときますんでっ!」と叫んだが、日向は無視した。新島センパイに頼んだし、その前に自分の耳に「Mステ」という言葉を入れないでもらいたかった。やっと忘れかけていたのに、日向の心の中に未練という感情が膨れ上がる。
朝岡家は、ヤクザで溢れるこの市の中でもかなり大きな勢力を持つ極道である。日向の祖父が今の頭。彼はとても温厚な性格のため、朝岡組は、いざこざを全く起こしていなかった。
で、さっき要らぬ世話を焼いた若頭は外様樹(とざまいつき)という。日向が生まれた頃から過保護ともいえるほど世話を焼いているので、少しばかり本人からはウザがられている。
「……ああ、熱帯夜じゃねぇかよ今日もよー。なんで二日も連続で夜勤? ふざけてんじゃねぇぞ……オイ樹、見えてんだよ。ついてくんじゃねぇー、よっ」
「いだっ、ちょ、輪ゴム痛いっすよー!」
日向には両親がいない。何故か、それは小さいときに交通事故に巻き込まれたからである。某ドラマの極道先生を思い出していただければ話は早い。
「……ったく、俺ァもうガキじゃねぇんだぜ? いらねー世話焼くなっつ、のっ」
「いだっ。だから痛いですって! 何本持ってんですか! ……あ」
外様がひるんでいる間に、日向は路地へと消えた。全くしょうがないなあの人は、と思いながら外様が家へ入ると、玄関に金属バットが一本、転がっていた。
「……あぁーーー!!」
ようやくうるさい奴を振り切った日向は、金属バットを持ってこなかったことをすっかり忘れていた。いつもなら右手に懐中電灯、左手にバットを持っているのだが、彼女の脳内は今Mステに侵食されている。
今日の巡回コースは、住宅街から商店街へと周り、戻ってくるコース。いつも問題が起きているのが商店街。時間帯は午前二時ごろ。今はまだ午後八時だが、何も起きていない可能性はゼロではない。早く行かなければ、という意思からか、日向の足は自然と速くなる。
「……ちくしょー、Mステー……」
アホのように呟きながら、日向は角を曲がる。ここを曲がれば、商店街はすぐ。街頭が何本か設置された、広い路地だ。
「………………あ……?」
角を曲がった日向の目に飛び込んできたもの。
それは、重なるようにして倒れた不良たちだった。
今日の昼、日向は屋上で同じような光景を見ている。だが、それとこれとは気味の悪さが段違いだった。
「あ、もしかしてキミ、風紀委員?」
声が聞こえた。見ると、倒れ重なる不良たちを見下ろすかの様に立っている影が一つ。街頭に照らされたせいで、顔はよく見えない。
「困ったなー。さっさと片付けるつもりだったんだけど……」
影が頭を掻いた。目の前に広がる光景と、その影の声は、あまりにも温度差がありすぎる。不快感さえ覚えるほどだった。
不良は、どうやら気を失っているらしい。呼吸で胸が上下する以外は、ぴくりとも動いていない。
その不良たちの中には、足や手が妙な方向に折れ曲がっている物もいた。その一部は、折れた骨が体外へと突き出している。骨は折られていなくても、口を真っ赤に染めて、白目をむいて気絶している不良もいた。その総数は十人ほど。いずれも重傷を負っている。
「……テメェ……こいつらに何しやがった!!」
「……何、って何? ああ、先に手を出してきたのは彼らだよ? ボクはあくまで被害者。こういうの、正当防衛って言うんじゃない?」
ふざけるな、日向は唇を噛み締める。何が正当防衛だ。こんなもの度が過ぎている。
「ん? もしかして……キミ、風紀委員長の——」
影が言い終わる前に、日向は突進した。足元に転がる不良を踏まないように器用に避けながら、影の鳩尾にボディブローを叩き込む。
ドッ、と鈍い音がした。
だが、
「最近の子は血の気が多いなぁ。血圧が上がっちゃうよ?」
「なっ……」
完璧に入ったはずの日向の拳は、その影——青年の右手に止められていた。
日向は青年の顔を見上げた。今までは逆光でよく見えなかったが、下から見上げる形の今はよく見えた。
街灯に照らされた、恐ろしいほど白い肌。黒い前髪をカチューシャでまとめている。日向と同じ漆黒の目はやや伏し目がちで、左目の下に大きな絆創膏を貼っていた。
「初めまして、委員長。ボクは赤沼。以後よろしくね」
日向は青年——赤沼の手を振り解き、距離をとる。そして左手のバットを握りなおして——
「……あ」
バットが無い。日向はバットを置きっぱなしにしたことを今さら思い出した。だが、思い出したところでもう遅い。
コイツはヤバイ。日向の脳が危険信号を発する。
「委員長の名前は何? 教えて欲しいな」
背中や顔に、汗が滲んでいるのが分かる。暑さのせいではない。この青年が放つ異様なオーラのせいだ。
「確か……あ、何だっけ。あから始まるんだよね? 委員長——」
「うああぁぁぁぁぁ!!」
日向はもう一度突進した。開き直ったところもあるだろうが、覚悟を決めたのが大きい。赤沼はは少し驚いた顔をし、すぐ笑顔に戻った。
鋭く放たれた日向の回し蹴りを、彼はいとも簡単にかわした。ズボンのポケットに手を入れたまま、日向のスピードのある攻撃をかわしていく。
「名前、教えてくれないの?」
「ふざけんなっ!!」
怒号とともに、日向は最上段、赤沼の右横面をめがけて蹴りを放った。赤沼はそれをしゃがんでかわす。
それは伏線だった。
しゃがんだ赤沼の顔面に、到底かわせるはずのないスピードで右掌底を叩き込む。確かな手ごたえが、手の神経を通して脳に行き渡る。
確かに当たったはずだった。だが、
「キミの年にしては早いほうだね。でも、まだまだボクには届かないよ」
その手は、赤沼の左手で止められていた。
「そん……な……」
日向の顔には、さっきまで多少はあった自信が消え失せていた。日向は右手を握られている。距離をとることも出来ない、逃げることも出来ない。
「女の子に手を上げるのは趣味じゃないんだけど——仕方ないよね」
- 第一話「最強meets最恐」 07 ( No.10 )
- 日時: 2011/02/02 16:26
- 名前: 朱音 (ID: JYHezvC8)
赤沼は、日向の右手を自分の方へ引っ張った。恐ろしいほどの力で引っ張られた日向の体は軽く浮き、引き寄せられる。
「しまっ……」
反応が、一瞬遅れた。
引き寄せられた日向の鳩尾に、赤沼の膝が入った。鈍い音とともに、日向の口から唾液とも胃液ともとれる体液が漏れる。力に一切の容赦はないように思えた。
あまりの衝撃で息が一瞬どころか数秒止まった。崩れ落ちた日向は地面に膝と頭をつき、ゲホゲホと激しくせき込む。
「もう終わりなの? キミなら楽しませてくれると思ったんだけどなぁ……」
地面に頭をつけた日向を観察するかのように、赤沼はしゃがみ込む。荒い息を整える日向の前髪を無理矢理引っ張り、自分の方を向かせ、
「ねぇ、キミの名前は何?」
と、まるで初対面の子供のように聞く。その顔には無邪気ささえ浮かんでいた。
激しくせき込み、相手の視認すらままならないはずの日向は、それでも、
「てめーで考えやがれ、クソ野郎!」
怒号とともに、日向は地面に膝をついた体勢から右ストレートを放つ。予想外だったのだろう、拳は赤沼の顔にクリーンヒットした。
衝撃。
日向の拳は非常に不安定な体勢から繰り出されたものだった。そのせいか、地面に尻餅をついた赤沼の顔は、口の端を切っている以外ほとんどダメージがない。軽すぎたのだ。
だが、不意をついたのは大きかった。彼の顔には淡い驚きと賞賛の表情が浮かんでいる。赤沼は口元の血を手の甲で拭い、ゆらりと立ち上がって長ズボンの埃を払う。
「ふぅん、朝岡日向っていうんだ。カワイイ名前だね」
赤沼の右手に握られていたそれは、日向がワイシャツの胸ポケットに入れておいた生徒手帳だった。
「じゃあこれからは日向って呼ぶね。ボクのことは幽人でいいよ」
「……慣れ慣れしくしてんじゃねぇよ!」
もう一度、隙を突くことさえ出来れば勝てる。日向は立ち上がり、赤沼の顎をめがけて右アッパーを放つ。だが、それはするりとかわされた。
「日向、攻撃が単調なんだよ。すぐ筋が読めるし、なんの捻りもない。一発一発の威力はあるんだから、当てなきゃ損だろ?」
喋りながら、赤沼は日向の攻撃をかわしている。今度はかわすだけではなく、掌底やジャブなど軽めの攻撃を、日向がかわせない動きでヒットさせてくる。対して日向の攻撃は当たらない。
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