ダーク・ファンタジー小説
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- Nem・e・sis -ネメシス- [気付いたら1200参照]
- 日時: 2016/03/19 23:43
- 名前: NATTU (ID: qQixMnJd)
こんにちは! NATTUというものです!!
実は小説書くの初めてでして、まるるるっと初心者だす!
なので、暖かい目で見てくれたら助かります(汗)
あと、アドバイスがあったら、遠慮なく言ってください! 助かりますから。
ではでは行きましょう! 楽しく書けるかな〜?
- Re: 絶対能力者ネメシス ( No.32 )
- 日時: 2015/02/05 21:11
- 名前: NATTU (ID: 6EsOEaHj)
「後ろからだぁ!?」
刺当は後ろを勢いよく右側から振り返り、そのまま右手に握っていた一刀目の蛍光灯ソードを横に一閃する。
しかし棺田はすでにそこにはいなかった。
「なっ!?」
しかし刺当は気配に気付いたのか、今度は回ったほうに戻っていくように左回りで後ろを勢いよく振り向く。
棺田はまたしてもいなかった。確かにいた気配がしたはずなのに、既にいなくなっている。
「てめぇ・・・俺で遊んでんじゃねぇえぞ!!」
刺当は右手と左手で握っていた蛍光灯ソード二刀をそれぞれ前と後ろに掲げると、刺当はそのままその二つのソードを形状変化させる。
その形は剣先が二つに分かれている異様なソード、しかも刀身が長い上に分かれている剣先もまた長い。さらに刀身の一定距離には東晋が生えるように突き出す。まるで蛍光灯ソードと鎌と鮫の歯を足しているみたいな武器だった。
「っ!?」
棺田は、すぐ後ろにいた。
刺当が振り向くと同時に振り向くときの首を回す回転方向と逆の方向を狙って逃げていた。しかし、刺当はそれに気付いたのだろう。形状変化させた両刃の先が三日月型をしたソードを前と後ろに構え、そのまま右回りに思い切り体ごと振り向きはじめる。
まずい、このままじゃ死角を狙って逃げるメリットが消える!?
そう考えた棺田は右側から襲い掛かってくる獲物をジャンプして、そのままやや斜め右後ろ側に体重をかけながらバク転をする。そのまま回避するが軸を崩したバク転で体制を崩し、着地に失敗してそのまま後ろ側に後ろ回りを一回行って体制を整える。
まだだ!!
しかし棺田はそのまま後ろ回りをした後にすぐ足に体重を掛け、一気に前側に突進するように向かっていく。
既に回転することをやめていた刺当はその光景に息を呑む。
「なっ!?」
刺当が驚いた声を上げるときには、既に棺田は右手に握っていた欠けたナイフを前に突き出し、既に懐にもぐりこんでいた。
「うおおおおおおおおおぉぉぉ!!!」
そしてそのまま、刺当の胸部分の真ん中にナイフを突きつけ、
ザッッ!!
思い切り刺当の胸に押し込んだ。
「んくっ! はぁ! はぁ! はぁ!!」
棺田は息を荒くする。
て、手応えなら、ある。どうだっ!
刺当の両手から杭が落ちる音がし、棺田は刺当の顔を見上げる。
しかし、
「な、なん、で・・・?」
その時、棺田に激しい電流が走る。
バリャリャリャリャリャ!!!!
「っっっ!? がっ!!!」
ドサッ!
棺田はその場に膝を落とし倒れる。
「あぶねぇ、ネックレスしてなかったら死んでたとこだ、くくくっ!!」
そこに立っていたのは、あったときと同様の三日月口して笑う刺当だった。
「戦うなら相手の背後、か。わかってきたじゃねぇか?」
そして刺当は棺田の前髪を乱暴につかみ持ち上げる。
「んっ! がっ!?」
棺田は、前回と違い継続する麻痺感覚から体を動かすことが出来なかった。
く、そ!!
そんなこともお構いなしに、刺当は棺田の顔を思い切り蹴り上げる。
ガッ!!
「がっ!?」
棺田は動くことが出来ずにそのまま転がり、そのままうつ伏せになってしまう。
い、てぇ!!
舌が痺れているせいで言葉にすることが出来ずに心中でそう思うしかなかった。
棺田はこれまで怪我をしたことがなかった。そのような者が感じる痛覚は計り知れるものではない。棺田ははじめて蹴られた感触と痛みからのたうち回りそうになるが、麻痺をしているためにそれすらも出来なかった。
そんなところを見ながら、刺当は見下すように話かける。
「この戦いで徐々に進化してきましたってか? ははっ!! どんなお決まり展開だよ小猿が! いいこと教えてやる、よっ!!」
最後の声と共に勢いよく放たれる右足のつま先が、棺田の顔に直撃する。
ガッッ!!
血が飛び散る。鼻からではないが、どうやら頬に当たったようで、口の中を切ってしまう。
ッッッ!!!!?
激痛に体を動かそうとするが、体が動かない。
ま、まだ動かないのかっ!!
そして刺当は足を止めて呟く。
「俺の能力は『静電気操作』。要はセーターとかを着るときに発生するあれを操作することだ。静電気は身近だ。どこにでもありやがる。お前のナイフだってそうだろう?」
棺田は、心中で確信した。
- Re: 絶対能力者ネメシス ( No.33 )
- 日時: 2015/02/05 21:23
- 名前: NATTU (ID: 6EsOEaHj)
そうか、だからあの時あいつは、ナイフのことを言っていたのか・・・。ということはあいつは、自分の持っているものや自分自身が触れれば、その触れたときの静電気を操る、ってことか!
そう思ったとき、刺当が心を読んだように言葉を続けた。
「俺の両腕のブレスレットには、静電気の操作にリミッターをかけている。そのために操作量に上限がつくから、お前を一撃で殺せる威力が出せない。
しかも、自分の肌の上に着ているものの静電気は操れるが、その上に身に付けているものは操れないし、それに使っちまった静電気はなくなるから、触ったら出来るのは一回。しかし触り返せばまた静電気が発生する。要は静電気は摩擦だ。
そういう所でいうと、間接的に摩擦力を操ってることが言えなくもないが、まぁどうだっていいさ。」
棺田は今までの戦いを振り返る。
電撃をうけた回数は二回、特に攻撃力が強かった二回目。
あれは直接手に触れずにブレスレットに手を当てたときとナイフにブレスレットを当ててはじき返したとき、それとネクタイを切った時の合計三回の行動で電撃が入った。ネクタイは服の上に着けていたから静電気は流れない。
だとすると・・・、あれがやたらに威力が強かったのは触れた回数分威力にかけられてたからか!
刺当は棺田の心中を気にせず親切にも語り続ける。
「俺の体に直接触れれば、物から物へと伝わる静電気とは別に、本当の電撃を食らったような感覚に陥るっていう効果までつく。それは今お前が体験してることだ。さぁ、これで話はおしまいだ。」
刺当はそう言うと、棺田の頭に手を置く。
!? まさか・・・!?
棺田は動けずに体をビクッと動かす。
「俺がなんで自分の手の内を晒す様にべちゃくちゃ喋ってたかわかるか? お前を確実に殺せる時が来たからだ。」
そう言うと、刺当は頭を掴む。
棺田は少し歪んだ顔を見せるが、顔の筋肉まで麻痺しているためか、それ以上は筋肉がぴくついて動かない。
「確実に攻撃を避ける能力、か。確かに本当のことだったが、それにしてはお粗末過ぎる。試験は、失格だな。」
そして、刺当の手から光が溢れる。
「終わりだ、棺田正臣。」
バリャアアアアアアアアァァァァッ!!
その場に、雷が落ちたような光が満ちる。
漏れた増大した静電気が上方向に飛び散る。幸いに家に当たってはいないが、当たっていたら大惨事は免れないほどの電光だ。
光は徐々に小さくなり、光が切れる。辺りが暗くなった道にしゃがんでいる刺当は、目の前に目を向けていた。
「・・・、は?」
刺当の目の前に映っていた光景は異常だった。確かに最早灰しか残らないような電力の感電だった。
しかし刺当の目の前には、灰どころか焦げすら付いていない棺田がうつ伏せで倒れている。その時刺当見ていた光景を確信に引き上げる。
電撃が、棺田正臣を、・・・避けていった?
刺当はさすがに後ろに後退り、震えた声で呟く。
「な、なんだ、これは・・・?」
すると押さえつけられていた力がなくなり、ちょうど麻痺が殆どなくなった棺田が、ゆっくりと立ち始める。
「て、てめぇ、何しやがった!!?」
刺当は、左手のブレスレットから杭を出し、それを立ち上がった棺田の顔に突きつけた。
が、
「な、なにっ!?」
刺当の視線の先に信じられないものが映る。
棺田は首を動かすこともなくそのまま刺当を凝視し、
刺当が出したソードの方が、バナナのように外側に曲がっていた。
「・・・これは静電気をリミッターぎりぎりまで出して、細かいところまで粒子単位で静電気を敷き詰め動かし続けて、チェーンソーのような役割を実現する。」
そう呟くと棺田は、しゃがみ込みながら刺当の懐に飛び込んだ。
「くっ!?」
咄嗟に右手から出した杭で作り上げたソードで懐に飛び込んだ棺田の左横腹を串刺しにしようとした。
が、ソードはまるで体の側面を綺麗に滑る様に棺田をかわしていった。
「な、なんでっ!?」
そして棺田は右手を握り締めると、そのまま勢いよく刺当の顎先にアッパーを決める。
そのまま刺当は後ろに飛んでいき、そのままアスファルトに背中をうつ。
「ぐぁ!!?」
刺当は少しよろけながら立ち上がる。そしてふらふらしながら視線を目の前に合わせる。
そこには、何かを諦めたような目をした棺田の姿があった。
そして呟く。
「どんなに触れたら危ないものでも、当たらなければどうということはない。」
今度は刺当に悪寒が走った。
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どもNATTUっす!
頭痛い。書いてたら頭痛くなってきた。同じ曲聴いてるからかな?
さ! 楽しかったでしょうか!? 実は最初この戦い方はまだ取っとくはずだったんですが、もうこうなったらチートにしようと序盤で覚醒させちゃいました、テヘ!
ということで、これからひっつーはチートです。よろしく!!
では今日はこの辺で! じゃね〜≡≡≡ヘ(o^-^)ノ
- Re: 絶対能力者ネメシス ( No.34 )
- 日時: 2015/02/06 21:05
- 名前: NATTU (ID: 6EsOEaHj)
刺当は前かがみになり、棺田に向かって走り出しながら自分の右手を前に出し、そのまま杭を三発撃つ。
シュボボボッ!!
確実に仕留められる狙いで撃つ。それらは全てが致命傷である頭、首、左胸へと飛ぶ。完璧な位置取り。それらは綺麗に吸い込まれるように飛んでいく。
しかし、
「・・・。」
棺田は黙ったまま立っている。まるで何も飛んでこないと確信しているように反応すらしない。それは避けようとする意思がないように、それは言ってみれば、悟りと同様だ。焦りが一切感じられない態度。確実に致命傷へとなりえるものが飛んでくるものを見ても、どこかやはり何かを諦めたような表情をしながら、棺田はただ刺当を正面に捉えるだけだった。
ただそれだけなのに、
「!? くっそぉ!!」
杭の三本は全て、棺田の体を迂回し、そして元の位置取りに戻ると、何事もなかったかのように棺田の後ろを通過していった。その光景は、最早何かの手品を見せられているかのように異様な光景だった。
刺当は棺田の懐に飛び込もうとする。しかし、棺田はそれを阻止しようとは考えておらず、両手をぶらんと垂れ下げながらただ動く刺当を凝視するだけだった。
「なめてんじゃあねえぞ!!」
刺当は激昂した声を上げると、右足を振りかぶり、そのまま棺田の左脇腹を狙った蹴りを放つ。
しかしそれは失敗に終わった。
「なっ!!?」
蹴りを放ったまではいいが、棺田に当たる直前に、命令をしていないはずなのに何故か膝が内側に曲がり、足首が伸ばした格好になり、結局は蹴りを放ったはずが膝打ちする格好となり、しかもそれは棺田の前を通過して掠りもしない。そして通過したころには自然と膝と足首が元の体制に戻る。
「こ、こんなの!!」
ありえるのか!!?
刺当は完全に混乱の色を見せていた。自分の武器の攻撃は当たらない。ズラされてしまう。それどころか自分の肉体攻撃までも意識も命令もしていないのに勝手に動き、棺田が当たらないような形になってしまい、棺田を通過すると元に戻る。
こんなことが起こると、誰であれ混乱するのは当然である。
「くっそがぁ!!」
わかっていてもままならない。刺当は左の拳を握り締めると、棺田の右頬に当てるために思い切り振りかぶる。
しかしその拳は、まるで棺田の周りだけ重力が違うみたいに段々と下に下がっていき、いつしかその拳は地面に向かって空振りをしていた。
こ、こんなの。・・・・・・・・・・・、勝てるわけねぇ。
遂に刺当は、心中でそんなことを思ってしまっていた。そして刺当は、空振りした状態から体を停止させ、フラフラの視界のまま上目で棺田の顔を見ながら動かなくなり、今度は下を向いてしまう。
何だこいつ。さっきまでの必死そうな顔が嘘の様じゃねぇか。何だその冷めた顔は。ははっ、大体なんだよその能力は、まるで本物の化けもんじゃねえか。・・・命名は、絶対回避能力と言ったところか? ははっ、我ながらだっせぇな。なんだその能力? てかなんで俺そんなこと考えてんだろ・・・・・・、冗談じゃねぇ!!
刺当は空振りしていた左拳をまたしても硬く握っていた。
絶対回避能力だ!? 絶対なんてあるかよ!! 数撃ちゃ当たるって言うだろが!! ぜってぇ当ててやる!!
刺当は空振りした体制で左腕の拳を上側に向け、アッパーの体制にする。そのアッパーは棺田の顎部分を捉えようと一直線に向かう。
この試験、お前の合格だ! 認めてやるよ! お前は俺よりやばいってな。・・・でもな、
アッパーはさらにキレを増すように棺田の顎先に吸い込まれる。
この勝負だけはゆずらねぇ!! お前を、死んでも倒すっ!!
「ぜってぇ当ててやるっ!!」
そしてアッパーが顎先に当たろうかという距離に迫った瞬間、刺当は棺田の瞳を見るため上に視線を上げる。
・・・するとそこには、この状況をはじめて見たとでも言うかのようなきょとんとした顔の棺田が立っている。
「・・・え? はいっ!?」
素っ頓狂な声を上げた棺田は、そのまま刺当のアッパーをモロに食らう。
ガァァァァァン!!
そのまま棺田は宙を飛び、そのまま後方に飛んでいったところでアスファルトに落ちた。そのまま起き上がらずピクリともしないところを見ると、失神してしまった様子だった。
「・・・、え?」
刺当は謎めいたものを見たような声をあげ、自分の握ったままの左拳に視線を落とし、再度失神した棺田を見る。
「え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?」
刺当の素っ頓狂な声は、棺田の耳に入ることなく宙に消えていった。
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こんにちはNATTUっす。
刺当戦、とりあえずこれで終了ッと〜(@^▽^@) ・・・・・・え? 釈然としない? そうしたつもりです! あはっ!!
今回は完全に刺当視点でしたね。これは次の初盤で棺田の心中を書こうとしたためにしたものです。
というわけで、次からはちゃんとひっつーに戻りますから。良かったら次も見てください!
それではこの辺で! 今日もありがとうございます! NATTUでしたっ!!
ひっつー> ま、またさっしーと戦うんだけどね?
さっしー> おい! それはネタばれだろっ!!
- Re: 絶対能力者ネメシス ( No.35 )
- 日時: 2015/02/22 17:50
- 名前: NATTU (ID: 6EsOEaHj)
8.
棺田は諦めていた。
何故、というよりは当然として。動けない状態であった状況で、自分の死を訴えかける攻撃が目の前で起こるというのは、その人間に生きることを諦めさせる効果まで相乗的に発生させるものである。
だから棺田は、その時諦めていた。この状態で生きていられるはずがないと。
そして、それは同時に、相手の攻撃を避けることを諦めるのと同義になっていた。
そしてそれはある意味において、棺田の中にある安全装置のトリガーを引くことになる。
「終わりだ、棺田正臣。」
あの時は、どうだったのかな?
棺田はこの状況下であることを思い返す。
それは今日の話。初めて失敗作と相対してしまったあの時。路地裏での出来事だった。
あの時、刃は・・・頭上から振り落とされた刃。普通なら即死してしまうだろうあの攻撃を、俺はかわしていた・・・。
そして棺田は、疑問にぶち当たった。
? ・・・、違うだろ? あれはかわせたんじゃない・・・。
・・・・・・、刃の方が、避けていった?
バリャアアアアアアアアァァァァッ!!
雷撃が棺田に襲い掛かってくる。
そして棺田は、何故か何も考えられなかった。まるで深い海の底に深々と沈んでいくように、どんどんと意識が薄れていく。
あぁ、やっぱり、考えていた通りにはいかなかった、か。相手の方からかわしてくれる、なんてことは、やっ、ぱ、り、考・・・え、す・・・ぎ?
そしてぶっつん、とそこで意識が完全にシャットダウンする。自分の体が動いているような錯覚を覚えながら・・・。
・・・そしてしばらくして・・・。
「・・・・・・、え?」
棺田は急にはっきりした意識で目覚める。そこでは何が起きているのかさっぱりわからなくなっていた。
あれ? 俺、死んだんじゃないの!?
そう思いながら、棺田は自分が立っている疑問をとりあえず後回しし、目の前で起こっている現象に目を向けようとする。
えっと、俺の下方で、拳を引いたしゃがみの体制をとっている男が、腰をも使った全身全霊のアッパーを、俺に向かって仕掛けようとしている。・・・、は?
そしてそのまま、棺田に向けられたアッパーは、吸い込まれていくかのように棺田の顎先へと向かってくる。
だ、大丈夫! 見えてるからかわせ
しかしそのアッパーは、掠めるということも許さず、直線的にそのまま棺田の元に向かってくる。
「・・・え? はいっ!?」
そしてアッパーは、棺田の顎先にクリーンヒットする。
*
「う・・・ん?」
目が覚めると、そこはいつも通りの家だった。いつも通りの殺風景とした部屋は、何事もなく暖房が入り、目覚まし時計が鳴っている。
あー、朝か・・・。
棺田は重い上体を起き上がらせる。そしていつも通り学校へ行く準備に取り掛かろうとする棺田は、
「・・・ってなんでやねんっっ!!」
布団に入ったままの膝を手でたたき、一人漫才を繰り広げながら愕然としていた。
「確か昨日、意識途切れたよな? で、気づいたらなんか状況が進行してて、アッパーされて・・・、気を失ったのか?」
棺田はそして、部屋全体を見回す。
「じゃあ、なんで俺、この家に帰ってきてるんだ? ・・・ん?」
そして棺田は、いつの間にか漂ってきた味噌のいい香りに、疑問を抱いた。
「誰だっ!?」
キッチンに向かって叫ぶ棺田は、キッチンから姿を現した人物に眉をひそめる。
「み、ミーニャ!? 何でここに!?」
驚いた顔をして見せた棺田を、怪訝な顔で返すミーニャは、ため息をつきながら御盆をテーブルに置く。
「ま、まぁ目が覚めてよかったわ。とりあえず、ご飯、食べなさいよ。」
御盆には先ほどの匂いを漂わせていたものと思わせる味噌汁と、オムレツと焼いたトースト・・・。
「な、なんで味噌汁とパンが一緒なんだよ?」
「文句言わないのっ! 私はいつもこれなのっ!」
しかし、せっかく作ってもらったし、何よりまずそうには見えなかったため、棺田はベッドから完全に起き上がり、テーブルに着く。
「い、いただきます。」
目の前に置いてある箸を持ち、一口サイズに分けたオムレツを口にする。
口の中でふわっと蕩ける様な感触のオムレツは、少し甘くてやさしい味をしていた。
「どう? おいし?」
「う、旨い・・・です。」
そう言い、黙々と食べ続ける棺田は、皿の上の食事が半分程になったところで、じっと棺田を見つめるミーニャの視線を感じる。
「何?」
「なっ! 何でもないわっ!?」
ミーニャは顔を赤くすると、そのまま顔を隠すように後ろを向いてしまった。
「お、おうそうか。」
そして再び黙々と箸を動かし始める棺田をちらちらと見るミーニャの視線を今度は気に留めず、やがて食事は完食を遂げた。
「ごちそうさまです。」
両手を合わせる棺田を見つめた後に、ミーニャはお盆を流し台に運ぼうとする。
「あ! ちょっと待て! 聞きたいことがある。」
「?」
呼び止めた棺田だが、いろいろ聞きたいことがありすぎて、何から話せばよいか迷っていた。とりあえずミーニャを座らせるため誘導しつつ、座らせることに成功した。
「どうしたの? 正臣、君。」
「少し、聞きたいことがあるって言ったろ。」
そう言うと棺田は一回咳払いし、整理をした後、聞きたいことを話し始める。
「まずひとつだが、何でお前がここにいるんだ? 」
そう聞くと、何故かミーニャは頬を少し膨らませてきた。
「え!? 何!?」
「正臣君、今、お前と言った。ちゃんと呼んで・・・。」
すごい形相で睨みつけられた棺田は、一つの提案を思い出した。
「ああ、すまんミーニャ、そうだったな。ごめんごめん。」
「・・・わかればいいのよ。」
怒りが収まったことを知り、少し慌てて棺田は話を戻す。
「で? なんでミーニャはここに居る?」
「・・・私が居ちゃおかしいの?」
「いや、おかしいということはない・・・、わけでもないというか決して良くはないと思うが、今はその話ではなく。」
ミーニャはようやく悟ったように目を細めると、問われた問いに答えようと、そっと口を開いた。
「昨日。私が気を失って、棺田が四体の失敗作と戦って愛染さんのところへ行った後、私の傷は愛染さんの手によって完全に治癒しました。」
そう言い終わると、棺田は数秒置いて首を傾げる。
「え? ミーニャの傷は結構浅くなかったと思うけど? 一晩で完全に治ったってか?」
「いえ、一晩じゃありません、三十分ほどです。」
棺田はさらにわからなくなっていた。
「え? 三十分て、早くないか? 何をしたんだよ?」
「愛染さんも能力者なの。」
・・・・・・ん? あれ? 今衝撃的な事実を聞かされたような気がする?
棺田がポカンとし出すが、ミーニャは気にせず、話を淡々と続けていく。
「あの人は傷を少し時間がかかるけど治せる、『治癒魔法』の能力を持ってる。それで治してもらったのよ。」
「じゃあ何か! あの愛染さんもミーニャやあの刺当って言った男と同じく新日本国陸軍何ちゃらとかって言うやつの実働部隊なの!?」
大声で驚いてしまう棺田は、そのまま信じられないといった顔でミーニャを見つめていた。
あの、いかにもデスク側なので実戦は無理よ? みたいな雰囲気してた人が!? どうなってんだい新日本陸軍何ちゃらは!!
「ま、まぁあの人は所詮は『治癒魔法』だから、実戦というよりは補助向きね。それに、デスク側っていうのは間違ってないわ。」
「は!? なんで今考えてたデスク側かって話をお前は知ってんだよ、心読めんのかお前は!」
「いや、顔に書いてあるし、」
「えっ!? そんな俺顔に出やすいの!?」
- Re: 絶対能力者ネメシス ( No.36 )
- 日時: 2015/02/22 17:49
- 名前: NATTU (ID: 6EsOEaHj)
そう言って自分の顔を弄り回す棺田は、はっとしたように何かを思い出すと、ふたたびミーニャを見つめる。
「ま、まぁ愛染さんのことはわかった。それは一時置いておくとして、続きをどうぞ。」
「あ、ああそうね。傷が三十分ほどで完治した後の話よね?」
そう言うと、ミーニャはあの時の詳細な場の展開を話していく・・・。
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こんにちはすごくお久しぶりですね! NATTUです。
テストも無事終わり(?)今はテスト返却期間でオナカイタイデス。
さて、久しぶりに書きましたが、数日のうちに実家に帰省する(と思う)ので、当分は書けなくなります。家、インターネットないんだ。あはは・・・、あはは、あは(〒-〒)
というわけで、また四月からになります。楽しんで待ってて下さい。楽しんでくれてる人がいればいいですけどね。ははは(>_<。。)
ではではこの辺で。新学期で会いましょう。アジュッ!!
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オ・マ・ケ 第二弾!!
「いらっしゃいませー!」
刺当は、とあるファミレスに来ていた。どこにでもありそうな内装の店であった。刺当はそのファミレスの窓側を陣取った。
「アイスコーヒー、あとクラブサンド。」
「かしこまりました! 少々お待ちください!」
そう言ってウェイトレスはきびきびとした動きでキッチンに向かっていく。それを目で追いながら、キッチンに吸い込まれていったことを確認し、刺当は窓から外を眺める。
あの男、棺田正臣。・・・、最後のあれは一体なんだったんだ? 急に人が変わったように・・・。かと思いきや急に人が戻ったような反応をし、俺の攻撃も当たった・・・。
刺当は、自分の右手に目線を移し、拳にして硬く握る。
次は勝つ! あんなのは勝ったとはいえねぇ!! 途中までは完全に敗北だった。次は完膚なきまでに!!
「お待たせしました! アイスコーヒーとクラブサンドになります!!」
そう思っていると、ウェイトレスが運んできたアイスコーヒーとクラブサンドをテーブルに置き、一礼してから違うホールに回るために忙しそうに足をばたつかせながら去っていった。
「ま、いい。とりあえず朝飯を食わないといけないからな。」
そう言いながらクラブサンドに手をかけようとしたとき、遠くのホールから大声が響き渡る。
「ちょっとあんた!! どういうつもり!!?」
なんだこんな朝早くから? という顔を刺当がすると同時に、今度は男性の声が響く。
「だからごめんて言ってるだろ!? しかたねぇだろ!? コーヒーは頭にかぶるわ頼んだドリアは体にかかるわ、挙句の果てにはインデックスにかみつかれんだぞ!! こっちのみにもなってみやがれ御坂!!」
「私が悪いって言ってるのとうま? 言ってるんだねとうま??」
「インデックスさん落ち着こう!! 今また噛み付かれたら確実に死ぬっ!!」
そう言いながら、とうまと言われた少年は、テーブルにお金を置いて、インデックスを脇に抱えてそそくさと去っていった。
「こ、こら待ちなさい! あんたーーーーっっ!!」
バチイイイイイイイイイイイッッ!!
そして御坂という少女は、先ほどの少年を追いかけるため、全力疾走でファミレスを走り去っていった。
ん? 何やら電撃が走る音が・・・?
刺当は一瞬気にしたが、何事もなかったように、クラブサンドとコーヒーを頂く。
「・・・、うまい。」
完っ!!
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一回やってみたかった。はぁ満足満足(ノ≧▽≦)ノ
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