ダーク・ファンタジー小説

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Nem・e・sis -ネメシス- [気付いたら1200参照]
日時: 2016/03/19 23:43
名前: NATTU (ID: qQixMnJd)

 こんにちは! NATTUというものです!!

 実は小説書くの初めてでして、まるるるっと初心者だす!

 なので、暖かい目で見てくれたら助かります(汗)

 あと、アドバイスがあったら、遠慮なく言ってください! 助かりますから。

 ではでは行きましょう! 楽しく書けるかな〜?

Re: 絶対能力者ネメシス ( No.22 )
日時: 2015/01/26 20:54
名前: NATTU (ID: 6EsOEaHj)


 どうもこんばんは。今日も行きましょう!!

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 棺田はポカンとした表情でミーニャを見た。

 「え!? だって、あの化け物から逃げ続けてたんでしょ? それどころか私の銃弾を全てかわすなんて、普通なら無理よ?」

 ミーニャがそう言い終えると、棺田は心底不思議そうな顔をして呟いた。

 「え? そうなの?」

 今度はミーニャが心底不思議そうに問う。

 「じゃああなたは、『今まで怪我とかしたことありませぇん!』 とか言うんじゃないでしょうね?」

 すると棺田は図星だったことを隠そうとそっぽを向く。が、ミーニャは信じられないと言った様に顔を青ざめさせていた。

 「信じられない!! 怪我をしたことないなんて!! あなたそれ今まで自分で不思議に思わなかったの!?」

 唇が重なりそうな距離まで身を寄せてきた眼帯の赤髪少女ミーニャ様の顔をできるだけ直視しないように下を向きながら、棺田はさらっと過去を振り返ってみる。

 「・・・、あるにはあるけど、流してきたな。」

 「なんで流すのよ!!?」

 容赦がない右肘うちが飛んでくるが、棺田はそれを後ろに下がることによってかわす。それを見たミーニャは、棺田に指を指す。

 「ほらそれよ。・・・私思うんだけどね?」

 な、なんだ? いきなり変にまじめな顔しやがって・・・。

 棺田は座りなおした。

 「それ、あなたの能力なんじゃない? 異能力よ。」

 しかしミーニャの口から出てきた言葉は、棺田の思考と行動の全てを凍結させるものであり、・・・同時に笑いがこみ上げてくるものでもあった。

 「は、い? ははは、何言ってんだよ? 異能力? んなもん存在するわけねぇじゃねぇか。てかさっきも言ってたよな? 戦略核兵器能力者・・・何たらかんたらって。・・・一体何がなんだか・・・。」

 するとミーニャはしまったという顔をして、両手で顔を覆っていた。

 ? どうしたんだ?

 怪訝そうに棺田がミーニャを見ていると、ミーニャが顔から両手を下ろす。

 「そうだったわね、あなたにまだ詳しく話してなかった。どうしようか迷ってたけど、能力者の疑いがあるなら、話さないといけないわね。」

 棺田は何がなんだかわからず、さらに怪訝な顔を浮かべて聞く。

 「何を?」

 するとミーニャは自分の前髪を少し弄りながら答えた。

 「国家秘密。この国の暗部であって真実をよ。」


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Re: 絶対能力者ネメシス ( No.23 )
日時: 2015/01/26 21:44
名前: NATTU (ID: 6EsOEaHj)



  行間1


 世界には、アメリカのコネルテッド・マーシャルローズと、ドイツのヨハン・ゴートルデルム。二人の能力者が存在する。

 この二人は、日本で作られた12人の能力者の前に、自然的に異能力が発現した者達であり、それは世界でただ二人しかいない、自然発生型の能力者であった。

 その二人の能力者は、世界戦争の引き金となった対中国戦でも、五分で戦争を終結させうる力であったが、残った中国側の兵と、アメリカ、ドイツ連合に白旗を振った中国側の上層部に対し、戦闘終結時に条約を結ぶが、その条約内容は簡単に言うとたった三つであった。

 1.これ以上戦闘を起こそうとせず、ただ大人しくしていること。

 2.今回の戦闘で見たアメリカ、ドイツ側の戦力及び超能力者の存在は、決して他言しないものとする。

 3.以上のものを守らなかった場合は、国ではなく地形その物を地図から抹消する。

 といったものだった。

 実はこの条約は、中国より前にすでに戦争をし、アメリカ、ドイツ側の手中となったオランダも、同じ条約をかわしていた。たまたま中国の兵団が対オランダ戦を偵察していたためにアメリカ、ドイツ側の能力者のことを知ることができ、アメリカ、ドイツ側との戦争に発展したが、中国との条約を確立した時点で、他の他国に、アメリカ、ドイツ側の能力者の存在を知る国はいなくなっていた。

 日本を除いて・・・。

 日本は対オランダ戦、対中国戦と、秘密裏に偵察を行っていた。そして12人の能力者開発の実験に成功したのだ。

 その後、日本は全ての国に伝達を送った。

 『アメリカ、ドイツ側は特殊能力を持った二人の人間を秘密裏に隠していた。戦力は壮絶なものであり、この世のものとは思えないものである。・・・しかし私達日本国は、この解析に成功。12人の成功体をができた。・・・嘘だと思うならかかってくるがいい。12人のうちの一人だけ投入したとしても、一瞬で終わるだろう。』、と。

 そしてこれを見てかかってきたのが、何故かアメリカ、ドイツ側ではなく、ロシアであった。真意はわからなかったが。

 そして日本対ロシアは、日本の宣言どおり一瞬で終わってしまった。

 ロシアは何故か一点集中的に拠点を作っていた。それが敗因になっていたのだろう。拠点があった場所は・・・、


 中心部分から半径およそ150キロにわたって深く陥没して、いや、抉れていた。


 その後ロシア軍の消失は、世界各国の首相、軍上層部を騒然とさせる。

 そして日本は、アメリカ、ドイツ側の連盟に加わることとなり、今では戦争を仕掛けてくる国がないために、(戦争を起こそうとする気が、そもそもなくなってしまったのか、)半ば世界的に休戦状態となっていた。

 これが、現在までに続いていた戦争の顛末である。



 

Re: 絶対能力者ネメシス ( No.24 )
日時: 2015/01/28 21:38
名前: NATTU (ID: 6EsOEaHj)



 第二章 転換

 
 棺田はミーニャに手を引かれ、外を歩いていた。

 「ほら。早く歩かないと。」

 「・・・・・・。」

 何故こんな状態になったのかといえば、ミーニャが国家機密である戦争の実態と、その戦争に大きくかかわっている特殊能力を持った集団のこと、ミーニャがそこに入っていて、棺田が世界で三人目の自然発生型異能力者である疑いがあることを話して、疑いを上層部に伝えなければならないということで、こうなってしまったのだ。
 要は、今まさに棺田たちは新日本陸軍の総司令部に行こうとしていた。

 「な、なぁ、ほんとに行くのか?」

 棺田が不安そうな声をミーニャにかける。

 「当然じゃない。あなたに疑いがある以上は、調べておかなきゃならないんだから。」

 ミーニャは不安そうな声を即答で一蹴する。

 「だから、その調べるっていうの。ほんとにできんのかって聞きたいんだが。」

 その問いを聞いて、ミーニャは棺田の方に振り返る。

 「おそらく、ね。」

 ミーニャはそう言うと踵を返し、今度は少し早足で進む。

 「お! おい!! 待てよ!」

 棺田は少し遅れた距離を埋めようと、ミーニャのほうへ小走りした。


  5.


 とある研究室。

 「うきゃほ〜! 今回はミーちゃん、お友達つれてくるみたいよん?」

 黒髪ロングに何故か犬耳(柴犬の類)をつけた20代前半ぐらいの女性は、そんなおちゃらけなことを言いながら、目の前のディスプレイを見ずに、高速でキーボードをタイピングしていた。

 「どうやら同胞らしいが。・・・となると世界で三番目の自然発生型異能力者ということになるな。」

 犬耳の女性が視線の先にいた、青髪セミロングの女性(こちらも20代前半ぐらいの見た目)が顎先を指でさすりながら言う。すると不意に犬耳の女性はタイピングをやめて座っている椅子を回しだした。

 「うっきゃほ〜!! 三・人・目! 三・人・目〜!! どんな子っかな〜?」

 それを見た青髪の女性は、深いため息をつきながら、左手で顔を覆った。

 「お前本当にうるさいな。少しは作業しようとする意思はないのか、まったく。上に頼まれた仕事の作業を始めてからまだ五分・・・」

 すると青髪の女性のデスクの上にドサッと資料が降ってきた。

 「それ、さっき上から頼まれた資料。残りの失敗作の性質傾向と、あとこれから来る、棺田正臣って子の資料ね。あ、あとさっき上から一緒に頼まれてた先遣隊観察プログラム、もうできてそっちに送っといたから、展開してデバックよろ。」

 青髪の女性は目を丸くしていたが、いつものことだったので、さほど驚きはしなかった。

 「え、あ、うんわかった。任せといて。・・・ま、あんたに限ってバグなんて事はないでしょうけど。」

 そう言いながら青髪の女性は、送られてきたプログラムのファイルを展開し、デバックを開始する。

 「ま、一応確認だって〜、確認するほうが得意でしょ?」

 犬耳の女性がにやりと笑ってそう言うと、キーボードの音と一緒に声が聞こえた。

 「とーぜん! ま、あんたに限っての話だけどね。あんたのプログラムは見てて楽しいから。他の人とは一味違うソースに、私の心はいつだってドギマギよ。・・・それに、」

 タンッという音を最後に、キーボードを打つ音が止む。

 「私の知ってる超天才肌の愛染(あいぜん)さんは、プログラムと資料集めに関しては絶対に失敗はしない女だからね。」



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 ご愛読ありがとうございます!! NATTUです!!

 なんとか第一章終わって、第二章入りました! え? 早い? なんのことかな? ふふふ。

 今回の犬耳っ子(2*才)こと愛染さんと、青髪の女性(名前は後日続きで出てきます。)のコンビは結構キャラ濃いと自分で思ってしまいました(汗)これで大丈夫なのか俺は(^_^;

 そろそろガチバトル書きたいです(゜▽Å) でもまだまだ先です。

 次も呼んでくれたら嬉しいな!! それではこの辺で! アジュッ!!

Re: 絶対能力者ネメシス ( No.25 )
日時: 2015/01/29 20:36
名前: NATTU (ID: 6EsOEaHj)


 6.

 「ここよ。」

 ミーニャについていって着いたところは、普通の住宅街にある一軒家だった。

 「え? ここ?」

 「そうよ? 何かおかしいことでも?」

 棺田は少し驚きを示しながらミーニャの言葉の信憑性を疑っていた。

 「いや、そりゃあおかしいと思うでしょ。だって、政府よ? 軍上層部よ? そんなドデカイ頭達の基地が、こんな変哲もねぇ一軒家だなんて。」

 しかしミーニャは、入ればわかるわよ。と言うと、玄関のドアを開ける。

 「あ、ちょっと!」

 棺田が急いでついて行くと、言わずもがなと言ったところか、中は一般的なものであった。しかし、家具がない分殺風景に思える。

 ここは、空き家なのかな? ・・・いや、政府が基地として使ってる時点で空き家もくそもないか。

 まっすぐ台所付近へと向かうミーニャを追いながら棺田がそんなことを考えていると、不意に前で歩いていたミーニャが台所の入り口付近に首を入れて、止まった。

 「な、なんだよ急に止まって。・・・?」

 棺田がミーニャの方に近づくと、ミーニャの首付近に手が巻きついていることがわかった。
 
 「へ?」

 手? 中に誰かいたのか?

 恐る恐る棺田はミーニャの後ろから中を確認すると、そこでは変な光景が広がっている。

 ・・・、え?

 ミーニャが中腰の状態で、犬耳をつけ半袖ミニスカートを着た、見るからにミーニャより年齢が高そうな女性に抱きつかれていた。

 「・・・、あの〜」

 棺田がそんな声を上げると、右方向から急に空気が通り過ぎた。

 シュオォン!

 「あん!? なんだ!?」

 視線を移すと、女性が頭突きで棺田に向かってきていたのだ。棺田がかわしたおかげでなんとか衝突を回避できたが、その代わり頭突きをしてきた女性はそのまま玄関のドアに激突していた。女性はそのまま床に落ち、動かなくなった。

 「え!? その、大丈夫ですか!?」

 棺田が飛んできた女性の方に向かい、体を抱えた。

 「あ、あの!!」

 そのとき、女性の腕が棺田の首を絡めとるようにして巻きつく。

 「・・・へ?」

 そして気絶したはずの女性は顔を上げた。

 「あなた、なかなかやるじゃない。」

 そして棺田の顔と自分の顔を近づけると、女性はそのまま棺田の耳をくわえた。

 「!? 〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!?」

 な、何だこの人はっ!?

 棺田は赤面爆発でパニックになっていると、ミーニャが棺田の方に声をかける。

 「あ、その人、気に入った人の耳をくわえる変な性癖持ってるから気をつけてね。」

 「そ、そういうのは早めに言えよ!!」

 尚も女性は棺田の耳をはむはむしていた。


   *


 「・・・で? あなた達は誰なんですか?」

 耳はむはむからようやく逃れ、渡されたタオルで耳を拭く棺田は女性達に尋ねた。

 「私の名前は霧坂綾音(きりさかあやね)。とりあえずは、軍に雇われたただのプログラマよ。」

 青髪の女性がそう答えると、スカートで執拗にさらけ出されている絶対領域を見せ付けながら、棺田にウィンクする。棺田はそれを受け、強烈な寒気を覚えていた。

 俺、今日無事に家に帰れるかな?

 「うきゃっほーい! 私の名前は愛染里美(あいぜんさとみ)! 右に同じくプログラマだよ!」

 右手を高らかに上げ名乗った彼女は、目を光らせながら目を極限まで細めているミーニャをガン見していた。

 こっちはミーニャを狙ってるのか!? どんなコンビだこいつら!?

 深くため息をつきたくなるこの状況で、口を開いたのはミーニャだった。

 「愛染さん、霧坂さん。この子が、私が先ほど言っていた、棺田正臣です。」

 そう言いながら促すミーニャに乗っかり、棺田が軽く会釈する。

 「あ、あの、棺田、正臣です。よろしく、です。」

 ・・・少々硬くなってしまったかな?

 そんなことを棺田は思っていると、不意に霧坂は腰をくびらせながら、棺田を見てウットリしていた。

 「・・・な、なん、ですか?」

 恐る恐る棺田は聞いてみた。すると返ってきた答えは、

 「かんわい〜、私、キュンと来ちゃうわ!」

 フンフンと鼻を鳴らすような勢いで興奮して見てくる霧坂に、棺田は半ば本気で顔に青スジをたてながら、自分のこれからの安否を心配していた。

 「そ、それで! ゲートを開けてほしいんですけど!!」

 軌道修正を図ろうとしたのか、ミーニャが声を多少荒げてそんなことを言うと、今度はいつの間にかミーニャの後ろに回り込んでいた愛染が執拗にミーニャに絡みだした。

 「ミーちゃぁん。楽しもうよ〜? 久しぶりに遊ぼ〜?」

 「あ〜!! 鬱陶しい!! 愛染さん離れてください! 私にレズビアンの趣味はありません!!」

 ミーニャは必死に愛染の手を解き、眉間にしわを寄せていた。愛染は名残惜しそうに、仕方ないなぁ、本当にミーちゃんは恥ずかしがり屋なんだから。と言うと大人しく離れる。

 「電話で話したとおり、上層部に掛け合って、棺田正臣を検査の対象として認めてもらいます!!」

 ミーニャがそう言うと、愛染はさっきのおちゃらけた風貌が嘘のようにまじめな表情を浮かべた。

 「上にはすでに連絡したよ? 許可ももらってる。検査できるよ?」

 ミーニャは急な変化に少し硬くなりながら、愛染にくって掛かる。

 「じゃ、じゃあ今からでも!!」

 しかし愛染は首を縦には振らなかった。

 「急すぎるよミーちゃん。機材の準備にはそれなりの時間がかかっちゃう。今日は無理だよ。」

 愛染の言葉に霧坂が続ける。
 
 「それにあの検査は体力を大幅に減少させてしまう。その外見から棺田君はあまり体力がないほうでしょう。下手をすれば死んでしまうおそれがある。」

 そう両方から言われ、絶句してしまうミーニャ。すると愛染はそんなミーニャの肩に右手を置き、言葉を続ける。

 「大丈夫。検査はできる。ただ今はできないだけよ。」

 そう言われ、ミーニャは小さく頷いた。そんな一部始終を見届けていた話の中心に存在していたはずの棺田の肩にも、霧坂の右手が置かれる。そして呟かれた。

 「棺田君、あなた、覚悟しておきなさい。下手をすると本当に死んでしまうからね? 今日中にも。」

 ・・・、え?

 疑問しかない言葉を投げかけられ、動揺しているさなか、ミーニャに手を引かれ、玄関まで引きずられる

 「ちょ! 帰るの!?」

 「・・・うん。今日が無理なら仕方ないわ。帰りましょ?」

 そう言って玄関で手を振る二人に軽く頭を下げてから、棺田はミーニャと共に歩き始めた。

 霧坂は、見送り終わって家に入ろうとした愛染を止める。

 「本当に、いいのか?」

 顔は真剣そのもの。愛染は霧坂のほうに振り向くと、微笑と共に言葉を返す。

 「うきゃっ、良いのよ。おそらくこれが手っ取り早いわ。」

 そして愛染は、暗い空に燦然と輝いている丸い月を見上げる。

 「第三位と対峙してどこまでやれるかが、この検査の鍵になるわね。」



////////////////////////////////////////////////////////////////////

 どうもこんばんは、NATTUです。

 眠いです。すごく。死ねます。

 と、言うわけで! やっと次か次辺りで戦闘が書ける!!! うれしー(ノ^-^)ノ

 因みに少しネタばれですが、第三位は禁書さんの第三位とちょっと同じに感じになるかもしれませんσ(-_-;)

 読者の皆さん、そして鎌○さん! すいません! でも私は書きます!!

 では今日はこの辺で、それでは、アジュッ!!

Re: 絶対能力者ネメシス ( No.26 )
日時: 2015/02/02 22:15
名前: NATTU (ID: 6EsOEaHj)



 *


 帰り道の途中で棺田は、ミーニャに先ほどの検査に対して質問を投げかけていた。

 「検査って、実際何やんの?」

 「検査というか、試験みたいなもんよ。」

 ミーニャがそう言うと、棺田は、想像出来ない、と言ったような顔を浮かべる。

 「ま、学校とかみたいに筆記試験やる、というものじゃないわ。基本的に試験には三つ種類があるの。」

 ミーニャがそう言って指を四つ立てたところで、棺田は、うわ、話し長くなりそう、と考えていた。

 「戦闘試験、制圧試験、それと実戦試験。この三つよ。
 言葉のとおり戦闘試験は、連続的に敵を投入していって、その個人の戦闘力を測るもの。制圧試験は、これも名前のとおり、どれだけ敵を一気に制圧できるかっていう試験、この二つは、所謂バーチャル世界での試験になるから、死ぬ、と言うことはまずないの。
 そして実戦試験は、実際の戦闘での試験。つまり戦闘試験や制圧試験とは違って、現実での戦闘。しかも実験時の相手が能力持ちの人。要は死ぬこともありえてしまう場合での応用力、ここぞと言うときの機転や、状況判断を図るもの。もちろん、戦闘能力や制圧力も一気に加味されるから、この試験は総合力検査って感じなの。」

 「は、はぁそうなのか・・・。」

 長々しい話が終わり首をかしげながら頷いた棺田が理解したのは、戦闘試験と制圧試験は死に直結しないが、実戦試験はその限りではないということの一点だけだった。

 「長い話をして悪いとは思ってるけど、まぁ多分実戦試験はないでしょう。
 実際にこの試験を受けた人間は第三位と第十二位だけだって聞いてるし、心配ないわ。」

 そう言うとミーニャがそう言って棺田に笑いかけ、前を向いて進みだす。しかし、棺田はその場で立ち止まる。

 本当にそれでいいのだろうか? 実戦試験をやる可能性だってあるわけだし、さっきの話が確かなら、この子と戦う羽目になるかもしれない。
 あの時は偶然どうにかなったが、この子も能力者。そうなると俺はまだ、この子の能力を見てはいない・・・。

 棺田はそれ以上考えるのをやめるように首を振る。

 今はいいや。そんなの気にするのは。

 そう棺田は心中で呟くと、先に行ったミーニャを追う。そして棺田がミーニャに追いついたところで、

 「!?」

 ミーニャは勢いよく棺田の方を振り返る。

 「お、おい、なんだよ?」

 否、ミーニャは棺田を見ていなかった。
 見ていたのは棺田より後ろの、先ほど通ってきた、暗闇で先が染まっている道だった。
 棺田はミーニャの見ていた方向を同じく見やるため、振り返った。

 「? おい、なにが」

 「避けて!!」

 ミーニャが大声で棺田を催促したのと同時。

 「なっ!?」

 ミーニャが凝視していた暗闇の向こう側から、高速で四つ。何かが飛んでくる。
 棺田はその高速で飛んでくる、右腕を狙ったもの、頭を狙ったもの、右わき腹を狙ったもの、左足を狙ったものを右後ろに体を捻り、左足で地面を蹴り左側に大きく避けることによってかわしきる。

 「くっ!」

 そのまま棺田は背中から地面に当たってしまったが、痛がっている余裕はない。ミーニャは棺田の後ろにいたのだ。当然飛んできた物の位置は棺田が避けきった後でしか確認できない。
 つまり、棺田よりも避けるのが困難になる。

 「うぐっ! あっ!!」

 案の定全てかわしけれなかったミーニャは、右側頭部に石を掠める。しかしあまり浅くはなかったのか、後ろ方向に倒れこんでしまったミーニャの頭からは血が流れている。

 「お、おい!!」

 棺田が声をかける。が、反応がない。

 あのぐらいでは多分死なない。おそらく気を失っただけだ。でもこのままじゃあ、

 そう思っていたときに、高速で物が飛ばされた方向から、ようやく何かが視界に入る距離に近づいてきた。
 それは、

 「うそ、だろ。」

 実験の失敗作だった。しかも不幸なことに、

 「よ、四体、なんて・・・。」

 棺田が呟いた直後、失敗作四体が、棺田の元へと走ってくる。

 「っ!?」

 棺田はこの場から逃げるために、ミーニャを抱きかかえると、全速力で前へ足を運ぶ。

 「はぁ、はぁっ、はぁ!!」

 くっそ! なんだよこりゃ!!

 棺田は走りながら抱きかかえているミーニャの頭を見る。

 傷はそれほどじゃない! それはいいことだが! これはどうする!!

 ある程度走ると、交差点に差し掛かる。無我夢中で走る棺田は、最初に来た右方向の道を無視し、逆の左方向に走る。
 すぐ後ろを追いかけてくる四体の失敗作は、こちらも無我夢中に、奇声を上げながら追ってきていた。

 「「「「ギャギャギャギャアアアアアアアァァァヤヤヤヤ!!!」」」」


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