ダーク・ファンタジー小説
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- Nem・e・sis -ネメシス- [気付いたら1200参照]
- 日時: 2016/03/19 23:43
- 名前: NATTU (ID: qQixMnJd)
こんにちは! NATTUというものです!!
実は小説書くの初めてでして、まるるるっと初心者だす!
なので、暖かい目で見てくれたら助かります(汗)
あと、アドバイスがあったら、遠慮なく言ってください! 助かりますから。
ではでは行きましょう! 楽しく書けるかな〜?
- Re: 絶対能力者ネメシス ( No.7 )
- 日時: 2015/01/19 20:33
- 名前: NATTU (ID: 6EsOEaHj)
そこにあったものは、人間の片腕。しかも、中指と小指をなくした、骨がむき出しになっているものだった。
「う! うぉえあ!!」
棺田はその場で丸くなる。どうやら嘔吐してしまったらしい。
なんだ!! なんだこれは!!? 手!? 人の手だ!? なにが! 何が起きてる!? なんでこんなところに!?
しばらくして、棺田の嘔吐が止む。その後、棺田はさっきの混乱が嘘のような平然を取り繕い、必死に冷静を保とうとし、そして考える。
さっきの手、今もここにある手は、中指と小指が、奇妙な切り口で切断されていた。と、言うことは・・・。
そこで棺田はとある可能性に行き当たる。しかも、その可能性が一番高いことにも、気づいてしまった。
「まさかこの手は! ・・・食われてた、人間の、手・・・?」
その言葉を口にした瞬間、変な悪寒が棺田の背中に走る。
悪寒がした方向に目を向けると、そこは路地裏だった。
「・・・・・・。」
何か・・・、いるのか?
棺田は、目の前の奥が真っ暗な路地裏に目が留まっていた。見続けていた。何かが、棺田を見ているような、そんな視線を棺田は感じていた。
な、何が俺を見てるんだ・・・、!?
そして棺田は気づいた。さっきまでの顛末で何も気づかなかったが、今、ようやく気づくことのできた疑問。
「なんで・・・?」
・・・なんで誰一人、いないんだ?
棺田の周りに誰もいない。それは、棺田の精神にダメージを与えるものになりえる事象。
なんで! 誰もいないなんて! おかしいじゃないか!!
しかしパニックになる寸前で、棺田は動きを止める。
・・・やっぱり、誰かが、こっちを見て・・・いる?
再び路地裏に視線を合わせる棺田。そして感じた。
あそこに行けば、何か、わかるのか?
そして棺田は、路地裏の方に視線を集中させながら立ち上がり、そのまま路地裏の方に足を少しずつ進ませていった。
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申し訳ありません! 実は少年の名前、読み方書いてなかったんですが、この子、かんだじゃなくて、ひつぎだって読みます! 本名は、ひつぎだまさおみです! 書いてなくてごめんなさい。うっかりしてました!!
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まるで吸い寄せられるように進んだ先には、
・・・え?
・・・何もなかった。
「・・・な、なんだよ、まったく!」
腰が抜けたのか、その場でへたり込んでしまう棺田。
・・・しかし、
べチャッ!
何か、液体を踏んだような音が路地裏のさらに奥にある左曲がり角から聞こえる。
・・・? なんだ?
さらに強い悪寒が棺田に襲い掛かる。その悪寒はまるで、
「死ぬ寸前で感じる悪寒に、似てる?」
棺田は今までに三度の窮地をくぐり抜けてきている。三つとも単なる事故だが、普通なら確実に死に至る、または大怪我をするような事故ばかりだ。トラック衝突、地下鉄で線路上に落下、中学校の科学実験での硫酸事故、しかし棺田はその三度の事故を、全て退けている。自分の変な体質によって。
そしてこの悪寒は、その死ぬ寸前、すなわち自分がかわす寸前で感じる悪寒めいた物とまったくと言っていいほど同じものだった。
しかし、気づいたときには遅く、奥にある左曲がり角に顔を覗き込んでいた。
そこにあったのは、
・・・!!?
人の形をした物が、人の形をした物を、喰っていた・・・。
「!!!!!!!??」
パニックになった棺田は、その場に尻餅をつく。そして、その音に気づいたのか、人の形をした物を喰っていた物は、尻餅をついた棺田の方に振り向く。
あ、やば・・・
その瞬間、その物は、大きな声で奇声を上げる。
「ぎぃぃぃぃぃぃぃぃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!!?」
その姿は、まるでこの世のものとは思えなかった。赤い瞳に左側の顔の皮膚が爛れ落ち、さらには上半身の右のわき腹四分の一が骨という異様な物体。立ってしまえば身長は二メートルはあるかというほどに高く、両方の手は何とか手の形は保っているものの、手首から肘にかけて伸びる刃が、この世のものとは思えないほどのギラつきを見せていた。
「きぎ! きぎぎぃっ!!」
もう一度奇声を浴びた棺田は、その場から動けずにいる。どうやら体が硬直しているらしかった。
ま、まずい! 逃げなきゃ!!
そう思っていても、体が言うことを利かずに、足がぶるぶると震えていた。そして、得体の知れない物は、棺田の頭上に、腕についている刃を掲げる。
んぐ! 動け!! 足ぃ!!!
刃は、棺田の頭上に目掛けて振り下ろされる。
今日はここまでにしたいと思います。つまんなかったかも知れませんが、そこらへんは、なんていいますか、許してください(汗)
それではまた次回、また見てくださいね! アジュッ!
- Re: 絶対能力者ネメシス ( No.8 )
- 日時: 2015/01/20 19:19
- 名前: NATTU (ID: 6EsOEaHj)
こんにちは! NATTUです!
ではでは〜、今日も行ってみましょう!! 自分で更新速度が速いと思う!
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いつの間にか棺田は目を瞑っていた。
死ぬっ!
自分が動けないために、避けられないと悟った棺田は、刃が自分に届いていないことを、遅く悟った。
・・・んぇ? 切られて・・・ない?
そう思いながら棺田が恐る恐る目を開ける。
「・・・、? 何が、起こってる?」
目の前に映っていたのは、まさしく不思議な光景だった。何故自分の真上から振り下ろされた鋭い刃による攻撃が、自分の真横を通過したのか。普通に振り落とす程度では、確実に自分の命を刈ることができたほどの距離なのに。
「どういう、ことだ?」
疑問を隠せないでいるのは、おそらく刈ろうとした本人も同じであろう。半ば呆然と、自分が振り下ろした刃を眺めている。そして棺田は、その時間を無駄に流すという行為は決してしようとはしない。
チャンスだっ! 今なら足が動く!!
目の前で起こった不思議な現象のおかげで、頭に妙な冷静的判断力が戻った棺田は、腰をすばやく上げて、後ろに走る。
「ハァ、ハァ、ハァ!!」
このまま逃げれば、俺は助かる!! 警察を! 警察を呼べば!!
しかし、そう易々とは行かない。後ろから瞬時に追いかけてくる物。さっきの呆然から復帰し、すぐさま追いかけてきたのだ。
「ひっ!!」
後ろを振り向いた棺田は顔を青くし、全速力で逃げる。距離にしておよそ1メートル弱。刃を振るわれては確実に殺される距離。しかし棺田には当たらない。間一髪でかわしながら逃げているのだ。そして、妙に長さを感じていた路地裏の出口にたどり着く。
くそぉ! 早く! 早く警察を!!
しかし棺田は忘れていた。この周辺には、人が一人もいなかったことに。
あ・・・、そうだった。人、いなかったっけ?
そう思った瞬間、後ろからの刃による真横へのなぎ払いが襲い掛かる。
「んぐっ!!?」
咄嗟にしゃがみ込み、その刃をかわす。そのまま棺田は転がっていき、少し距離が遠くなったところで体制を何とか立て直した。
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ。」
何とか狭い路地から抜け出した棺田だったが、これからどうするべきかわからなくなっていた。
どうする? あの速さ、逃げ切れる速さじゃない。
棺田は、物の動きを確かめつつ、考える。
かと言って戦うわけにも・・・。
そこで棺田の思考は一瞬止まる。そしてすぐに再起動した。
戦えるん、じゃないか?
そこで棺田は、偶然自分が今右膝をついているところにバールがあることに気づいた。
これは、バールか。・・・武器はこれでいい。
そして棺田はバールを右手で取ると、立ち上がり、刀を持つようにして正面に構える。
今まで俺は自分にとって危険なものは、全て避けることができた。
棺田は、前に向かって走り出す。得体の知れない物に向かって。
確証はない。けど、何故かわかる。
そして、得体の知れない物が右斜め上から左斜め下に振り下ろした刃を、棺田は体を中腰にし、やってきた刃の反対方向である左側にズラすことによって、刃を最小限の労力でかわしていた。
やっぱり、わかる。どこから来るかわかる。次は、振り下ろした反動を受け流して、右からの横なぎ!
そして棺田が片膝をついて屈むと、棺田が思ったとおり、得体の知れない物の横なぎが飛んでくる。
これで終わりだ!!
そして、立ち上がった棺田は、手早くバールを振りかぶると、得体の知れない物の右側頭部に向かってバールを刺し込む。
グジャアアアアアァァァ!!
何かを潰すような音がし、鮮血が舞い散る。
「ぐぎ!」
そう叫ぶと得体の知れない物は、その場で倒れこむ。どうやら即死だったようだ。
「ハァ、ハァ、ハァ。」
息が上がる棺田は、右手に握っている血の着いたバールを落とす。
「う! うげぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
そして再び棺田は嘔吐してしまった。それは、死体の無残さに嘔吐したのと、理由はもうひとつあった。
こ、殺した、殺しちゃった!
とてつもない罪悪感と劣等感が棺田を襲い、それがさらに嘔吐を繰り返させる。
ど、どうしよう! どうしよう!! 俺は、俺は!
しかし、嘔吐と葛藤を繰り返している棺田に、更なる不幸が襲い掛かる。
棺田は、いつの間にか目の前に立っていた気配に気づく。
「!?」
見上げると、そこにいたのは少女だった。年は棺田より下のような外見をしており、右目に眼帯をしている。赤く長い髪を風でなびかせ、ワンピースのようなものを着ているが、奇妙なことに、腰の両側に一丁ずつ拳銃を携帯していた。
「ふむ、これは・・・、同士討ちか?」
赤髪の少女は不可解なことを口にすると、棺田の右側に置いてあるバールを見ると怪訝な顔をし、すぐに元の整った顔に戻す。
「まぁいい。とりあえず任務条件だ。」
そして赤髪の少女は、腰の右側についているホルスターから拳銃を抜くと、棺田に銃口を向ける。
「失敗作は消す。・・・死ね。」
そして、銃声が鳴り響く。
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いかがでしたか? ちょっとナレーション長くなったところが多くて読みづらくなってしまったと思いますが、ご了承ください〜。
それでは、一旦これで終わります。ありがとうございました!!
- Re: 絶対能力者ネメシス ( No.9 )
- 日時: 2015/01/24 12:48
- 名前: NATTU (ID: 6EsOEaHj)
風邪で休んでいたから投稿できなかったため遅くなりましたが、大体完治したため書き始めます〜!
ではでは続きから。
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3.
「うえあっぷつ!!」
棺田はバールを右手で持ち直し、銃弾を左に転がることによって避けていた。
「!?」
ばかな!? この至近距離で私の改良型グロック18CR3の銃弾を避けるなんて!?
赤髪の少女はすぐにもう片方のホルスターにしまいこんでいた拳銃(すでに手にしているものとは違う種類のもの)を取り出し、棺田に照準を合わせる。
「ちょ!? ちょっとタンマッス!!」
ドンッ! ドンッ! ドンッ! ドンッ!
四発の銃弾が発射される。その銃弾はそれぞれ棺田の両手両足を的確に狙っていた。しかし、それも当たるはずがなく、全て綺麗にかわされる。
「は、はぁ!?」
な、なんで当たらないのよ!!? 今のは確実に当たったって確信持ったのに!!
素っ頓狂な声を出して内心取り乱している赤髪の少女は、際限なく的確な位置を狙いながら二丁の拳銃で銃弾を発射させる。しかし、その全てを際限なく棺田はかわし続けている。
「タンマっつってんのが聞こえんのか!!」
イラついているのか、棺田が大声を出しながら赤髪の少女に問いかけると、少女は片眉を上げる。
「・・・しゃべれるの?」
「さっきから喋ってんだろが! なめてんのかお前!!」
棺田はそう言うと、少女がいる方向に走り出す。
「くっ!」
少女はさせじと二丁の拳銃の銃口を棺田に向ける。
ドドンッ!
二つの銃弾を同時に発射させる。それらは二つとも棺田の頭蓋部分を狙っていたが、棺田はそれを右側に一歩のステップを刻むことによってかわす。
だから! なんで銃弾をかわせるのよ!!
そう心中で毒づきながら、先ほど左側ホルスターから抜いた、右手に握っている改良型グロック18CR3とは違う銃の側面についているスイッチを握っている左手の親指で押す。
ガシャン!
「え!?」
スイッチを押すと、その銃身の下部分から、なにやら筒状のものが出てくる。その形はまるで、
ぐ、グレネ−ドランチャー!!?
少女はにやりと笑うと、距離数メートルまで近づいてきていた棺田に銃口を合わせて、グレネードを発射させる。
「終わりよ!」
ドガアアァァァァァァッ!!
爆発音が鳴り響き、爆心地から爆風と煙と爆炎が、二人を飲み込もうとするが、少女は後ろにバックステップをしてかわす。
さすがに近距離でのこの直撃はかわせるわけ・・・!
しかし、同時に煙の中から、出てくるものがあるのを、少女は確かに目撃する。
「ば、ばかな!? そんな・・・。」
その正体は紛れもなく棺田だった。こちらも爆発をかわしていたらしい。・・・まったくの無傷で。
あの近距離で撃たれてもかわせるというの!? 何なの!?
そして靴底でブレーキをかけながら動きを停止させる少女は、棺田に話しかける。
「ただの失敗作じゃなさそうね。人の言葉を理解できる上に、返してくるなんて。こんな奴がいるなんて聞いてない、明らかに希少種よあんた!」
しかし棺田は、自分が今何を言われているのかまったくわからなかった。
「はぁ!? 失敗作? 希少種? 何じゃそりゃ!? そんなもん俺だって聞いてねぇよドァホ!! てかあんた何もんだ! なんでいきなり俺を襲ってきた!? 意味わかんねぇよ!!」
「なっ! ドアホってあんた! 口の利き方に注意しなさいよね!!」
・・・拾うところはそこなんだな。
半ば呆れるようにため息をつく棺田に、顔を赤面させて怒り狂う少女は、次に棺田が聞き逃すことのできない言葉を口にする。
「とにかく! あなたが仲間割れして殺したそこに倒れている死体同様に、失敗作の実験体であることはわかっているの! あなたは確実に殺さなきゃいけないのよ!!」
な、仲間割れ!? な、何言ってんだこいつ!? それに実験体って・・・。
心中でそんなことを考えている棺田を他所に少女は、二丁の銃のマガジンを抜き、新しいマガジンを瞬時に入れると、一瞬で間合いをつめてきた。
!? は、速っ!?
そして少女は改良型グロックの銃口を棺田の腹部に押し当てる。
な、にぃ!?
そして少女は引き金を三度ひく。
ドンッドンッドンッッ!!!
普通なら確実に回避不可の距離である。しかし、
「!? がっ!!」
少女は宙を舞っていた。銃弾は全て上に向かって撃ってしまったらしい。
な、何が!? 起こって!!?
下顎に激痛が走るのを知り、即座に目線を下に落とすと、右腕を上に掲げている棺田の姿があった。その右手には、
ば、バール!!? も、持ってたの!? ・・・今まで目線に入らなかったために見失っていた。まさか、持っていた、なん、て。
ドサッ!
そして少女は地面にたたきつけられ、そのまま気を失った。
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今日はここまでで。ちょっと疲れました、あはは。
それでは失礼します。
- Re: 絶対能力者ネメシス ( No.10 )
- 日時: 2015/01/24 19:33
- 名前: 流々 ◆NYj7L97KzI (ID: 0T6O.YfN)
いきなり銃で売ってくる少女に惹かれましたね←
戦闘描写が好きです!
続きが楽しみです
- Re: 絶対能力者ネメシス ( No.11 )
- 日時: 2015/01/24 22:04
- 名前: NATTU (ID: 6EsOEaHj)
ありがとうございます! すごく嬉しいです!!
あ、暇なのでもう少し書きますね。
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4.
少女が目を覚ますと、天井が見える。
う・・・ん。あれ?
そのまま起き上がり、瞼を擦りながら辺りを見渡すと、そこは誰かの部屋のようだった。人の気配はなく、すごく殺風景で、ベッドと食器棚とテレビとテーブルとといった感じで最小限のものしか置かれていないように見える。どうやら1LDKのような風を醸し出しているようだが、台所は別の部屋にあるらしい。
一体誰の・・・?
そして彼女は完全に意識を覚醒させる。
「!? まさかここって!!」
少女はベッドからすぐさま起き上がると、腰に手をあてがう、が。
「あ、あれ? あれれ? わ、私の銃は!?」
そう叫びながらきょろきょろと探していると、台所のドアが開けられる。
「!?」
少女はすぐさま、台所のドアを開けた本人に掌底を当てるために間合いを一気に縮める。そして、ドアが開ききった瞬間に、ドアを開けた本人に対して掌底を当てようとしたが、
「あ! わぁ!!」
掌底を当てられる直前だった者は一歩後ろに下がることによって空振りし、そのまま抱きついてしまう。
「うわっぶねぇよおい! てかいきなりか怖ぇな。こちとら食事運んでんだぞ!?」
しかし少女は人の話をまったく聞かない体で次の攻撃に転じようとする。
「あぁぁ!! タンマタンマ!! 抱きついた状態で殴られんのはちょっと! てか人の話し聞けよお嬢さん!!?」
・・・五分後。
「はぁ、落ち着いたか?」
棺田の顔は真っ青だった。まさかあの後に隠し持っていたダイナマイトで攻撃しようとしてくるとは思っていなかったようで、決死の交渉の末、とりあえず座らせることに成功した。
「私は別に、いつも落ち着いています! ・・・、っ。」
少女は顔を真っ赤にしながら俯いていた。
・・・今頃抱きついたことに恥ずかしがっても仕方なくないか?
しかし棺田はその言葉を飲み込む。おそらくこの言葉を口にすると、第二ラウンドが始まる危険性を帯びていると察知してのことだろう。
「・・・それで?」
少女が不意に棺田に話しかける。
「はい? それで、とは?」
「だ〜か〜ら! なんで私をこんな場所で寝かせてんのよ! 私を気絶させたあなたが! 失敗作の癖に人質を捕ったつもり? お笑いね、そんな頭脳までつけるなんて、聞いてないわよ!!」
「そう! それが聞きたかったんだ! 失敗作って何だよ! てかあんた一体誰なんだ!!」
すると少女はテーブルを手で叩く。
「質問してるのはこっち! こっちの質問から答えなさいよ!!」
あぁ、うぜぇ。
棺田はそう心中で嘯くと、質問にしぶしぶ答える。
「いや、ほっとけねぇじゃん? 気絶させたのは俺だけど、その場に置いとくわけにもいかねぇし、大体にしてなんで襲われたのかわかんねぇから理由も聞きたかったしよ。」
棺田の言い分を聞き終えると、少女は不敵な笑みを浮かべた。
「それは殊勝なことね。私が目を覚ましたら殺されるかもしれないって思わなかったのかしら?」
少女がそう言うと、今度は棺田が不敵な笑みを浮かべた。
「さっきまで俺に銃弾一発も当てられなかったあんたが、俺を殺せるとでも?」
棺田は内心冷や冷やしていた。しかし棺田が思っていた想像とは全然違っていて、少女が今度は普通の笑みを浮かべていた。
「・・・そうね、反論ができないわ。・・・私の負けよ。」
「お・・・おう。」
なんだこいつ、普通に笑えんじゃねぇか。
そう思った棺田が、今度は少女に質問をする。
「じゃあこっちもさっきの質問に答えてもらおうか。」
少女は、ちょっと驚いた顔をしたが、すぐに答える。
「私は新日本国陸軍上層部第一戦闘部隊、通称戦略核兵器能力者選抜部隊暫定第五位、茶乙女(さおとめ)ミ−ニャ。今、能力者開発のための実験で生まれた77体の失敗作全てが研究室内からの逃走を図ったと知らせが来て、その抹殺の任務を行っているのよ。」
「・・・は?」
棺田はチンプンカンプンだった。
「え? だって、え? 俺より明らかに年が下そうなお前が軍隊? しかもお前今能力者って言ったな? なんだそれ? 聞いたことねぇぞ?」
ミーニャは苦笑いを浮かべる。
「だって能力者の開発とかって大体国家秘密で、・・・て、あなた、その反応・・・。」
ミーニャは首をかしげながら問いかけた。
「え? あなた本当に失敗作じゃ、ないの?」
「いや、最初からそういってんじゃん。おれはただの一般人だよ?」
場に一瞬の静寂が生まれ、そしてミーニャは不意に叫んだ。
「な、なんてこったぁぁぁいいいいいい!!」
「え? え!? え!!?」
パニックになる棺田を他所に、ミーニャはひたすらに頭を下げていた。
「ごめんなさい! ごめんなさい!! ほんっっとに! ごめんなさい!!
そしてミーニャは顔をかなり赤くして謝り続ける。
「あなたの話を聞かず、いきなりあなたを殺そうとするなんて!! ごめんなさい!!!」
棺田は何をしたらいいかわからない風だったが、ミーニャが落ち着きを取り戻してきたところで、改めてフォローに入る。
「ああ、大丈夫だって! 結局怪我しなかったし、何より気づいてくれたからよかったよ!!」
するとミーニャは涙目ながらほっとするように胸を撫で下ろしていた。
「よ、よかった。あ、ありがとうございます。」
はぁ、とりあえずは、誤解を解けたようだな。
棺田もそうして胸を撫で下ろすと、話を戻す。
「で? 国家秘密なんだ、能力者ってやつとか、その実験とかで生まれた・・・、失敗作? 77体だっけ?」
「う、うん。そうだけど・・・、て、あれ?」
ミーニャは首を縦に振ると、疑問を口にする。
「じゃあ君は、あの失敗作をどうやって殺したの? 最初に見たときは吐いてたけど?」
「い、いやぁ、路地裏に行ったら襲われて、最初は攻撃を避け続けるだけだったけど、これなら倒せると思って、落ちてたバールで殴ったら頭に当たってて・・・。俺、さ。殺したの、初めてだったんだよ。だから吐いちゃってたんだ。」
「・・・そうだったの。・・・、ん?」
そしてミーニャはひとつの大きな疑問を投げかけた。
「ねぇ、君は、どうしてそんなに避けることができるの?」
「・・・、え?」
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今日はここまでにしたいと思います。ちょっと長いですね。すいません。
ではでは、ありがとうございました〜。
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