ダーク・ファンタジー小説

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

逆十字の聖魔戦争
日時: 2017/04/30 01:07
名前: そーれんか (ID: qESkNdgF)

吸血鬼、人間の血を飲む怪物と呼ばれる生き物。耳が尖っており、吸血鬼かどうかはすぐ見分けられるが人間はごくまれに耳が尖っているものを産む。その人間は迫害され、捨てられ、最終的に魔術師になるケースが多い。

魔術師、元人間や吸血鬼など、様々な種族が魔力をもち不死身になった生き物をまとめてそう呼ぶ。元人間、と言うのは魔力をもった際に人間の記憶を忘れる為。吸血鬼はそうならない。他に精霊族や人狼族など色々な種族がいる。

聖戦士、神と人間によってつくられた通常の人間より遥かに強力な術を手に入れた吸血鬼と魔術師を消す為だけに存在する部隊。


ーーーーーーーーーー
初めまして!そーれんかです。去年から妄想してたやつを小説書く練習がてら書こうかなと思ってます。語彙力のない中学生なので至らぬ点が多いだろうとは思いますがアドバイス等宜しくお願いします_(:3」∠)_
追記
宗教に対する批判的なセリフがありますが、決して実在する宗教を批判する意図で作った訳ではありません。そこはご理解頂けると幸いです。グロテスクな所も少なからず登場します。苦手な方はお控え下さいm(*_ _)m
登場人物を移動させました。そして題名もはっきり決まったので変更しましたヾ(:3ヾ∠)_

登場人物
>>66 異端側
>>67 聖戦士側

Re: 紅の吸血鬼と黒の魔術師と白の聖戦士 ( No.31 )
日時: 2017/02/04 01:54
名前: そーれんか (ID: qESkNdgF)

「.....聖人...貴方の出番...」
ずっと閉じていた月星隠者の目が開く。だがその瞳には何もうつさなかった。
「え、えっ、ぼ、僕...?」
「そう...貴方の"記憶の皿"の力がいるの...それがあれば...外で堂々と戦える...」
「は、はい、な、なるべく食べてしまいますので...その...」
「おのこしげんきーん。ヴィシャおるすばんしてていーいー?」
「いいえ...あの二人に...護衛しながら...私達の"聖念術"...教えておいて...再興天使...あなたも...」
「任せておいてくれ。怪我の治療も...ね。」
再興天使はパチンとウインクをする。既に再び目を閉じていた月星隠者は見えているわけはないが、表情はどこか柔らかかった。

ーーーーー
月星隠者&聖人side
聖人達は人間の街の中心部に来ていた。月星隠者は目を瞑ったままあたりを見回す。
「.....あの吸血鬼達の気配なし...魔術師だけ...魔黒屋敷に留まっている...」
「は、はい。そ、それで、どうするんですか?まさか突撃するとかじゃ...」
「半分正解...正確には...おびき寄せる...」
「はぁ...。にしても、な、なんでこんな人通りの多い所で?」
「色...色が違うの...私の聖念術は...
"色眼"...。人って...一人一人色が違うの...どれだけ似ていても同じものなんて...ないの。けれど...魔術師や吸血鬼は人では到底なれないような色をしてるの.....人通りが多ければ...人間に紛れ込む者達が見つかるかもって...思ってたのだけど...。」
違ったのね、と息をはぁと吐く。
「じゃあ...おびき寄せるってどうやって?す、すみません質問ばっかりで...役立たずで...す、すみません」
自虐モードに入り込もうとする聖人をどうにか止め、話を続ける。
「...理由をつくればいい。来ざるを得ない...理由を...」
ほんの少し、月星隠者は歪んだ笑いを浮かべていた。
ーーーーーーー
再興天使&ヴィシャ&ヒューイ&スレイside
「...もう、戦えと?」
再興天使が部屋に入ってきた途端に布団にくるまったヒューイが喋る。
「いや、そうじゃない。ヒューイ様とスレイ様に教えないといけないことがあって...。」
「.....?スレイ、処刑されちゃうの?」
「そ、そうじゃないよ。聖念術って言う術の説明を...」

「...」


あるビルの屋上、強い風がびゅうびゅうと吹き荒れる。再興天使の羽が靡く度にキラキラとしたものが風に吹かれていく。
「...聖念術の話をしても大丈夫かな?」
手すりに寄りかかり再興天使は鼻をこする。
「...どうぞ。」
素っ気なくヒューイは返事をする。それでも再興天使は笑顔でありがとうと言っていた。
「まず聖念術は君達の持っている技とは違うんだ。神徒のみがつかえる技でね。私の聖念術は"生の風"。ただ生き返らせるだけさ。聖人様が"記憶の皿"。対象の記憶を食べてしまうことで意図的に消せるんだ。ヴィシャ様が"剣の蒼空"。幻霊が力を貸してくれるんだよ。月星隠者様が"色眼"。人の色がわかる。」
「なんで...その話をスレイ達に?」
スレイの質問に対し先程からずっと寝ていたヴィシャが目を覚ます。
「あのねー、ヒューイたちにもそのちからさずけろっていわれたからどんなちからがほしいかさんこうまでにってこと。」
「...。」
力。ヒューイはそれが欲しい。力があれば守りたいものが守れる。目の前で大切な人を失う事なんて、もう二度と見たくない。
「私も貴方達のような時期、ありましたよ。けれど、前までいくら嫌だったのも...やはり大切な人には変わりないんです。失って初めて気が付きました。」
「...!」
再興天使が物悲しい顔でヒューイ達を見つめる。
「...スレイ、やるよ。ヒューイちゃんの大切な人はスレイの大切な人だもん!」
「...私も...魔術師...吸血鬼に...復讐を...!」

風が止み、曇り空から日が差し込む。木漏れ日があちこちで見られ、ヒューイにその光景はまるで天使が降りてくるように見えた。

Re: 紅の吸血鬼と黒の魔術師と白の聖戦士 ( No.32 )
日時: 2017/02/08 00:53
名前: そーれんか (ID: qESkNdgF)

「ぐぅ...やっぱりひとりじゃきついものありますねー。ちがとまりませーん。」
少女はぼたぼたと血を流し、苦しそうに壁に寄りかかる。
「ん、そーいえばまたこのやしきおーきくなりましたね。じゅーめーとるはおーきくなったんじゃねーですか?」
血だまりになるほどの量が木の床に染み込んでいく。それも尋常ではない速さで。
「にんげんのちをすってせーちょーするなんてきもちわりーですねー。いったいどれだけのちをすってきたんですー?」
「〜〜〜。どれだけ、ねぇ。ずぅっと昔から、何十何千何万何億...沢山の人間の血を飲んできたわ。人間一人の血じゃ生命力なんて虫のようなもの。だけど集まりさえすればな巨大な力を持つことが出来るの。例えば、こんな風に。」

ズシャッと音がする。血が、血が、血が。白っぽかった木は一瞬にして真っ赤な木になる。茨と木の枝が少女の身体を無慈悲に突き刺していた。

「.....っ...」
ピクンと指が動く。
「〜〜〜!意識あるの?」
少女の目は何もうつさず、ただ天井だけを虚ろに見つめている。
「ぁー.....きゅーけつき....みてのとーり...ちまみれです...のむなりたべるなりおすきにどーぞ...どーせきょーしぬことは...かみさまからいわれたんで...でも...みじかくてもたのしーこといっぱいできたし...らいせにきたいですねー.......。」
少女はそれを言ったきり二度と喋らなくなる。
「...ジンリン...さん。」
「〜〜〜?なぁーに?」

チキの中でなにかが壊れる。なになのかはわからない。ただチキの中にあるなにかが。パリンと音を立てて壊れた気がした。

「この死体...貰っていいかな?」

ーーーーーーーーーー
二日更新してなくてすみませんテスト期間中でした( ゜∀゜)・∵. グハッ!!

Re: 紅の吸血鬼と黒の魔術師と白の聖戦士 ( No.33 )
日時: 2017/02/07 03:03
名前: そーれんか (ID: qESkNdgF)

静寂。ただでさえ気味の悪い真っ暗な屋敷に静けさが加わり魔黒屋敷はお化け屋敷より怖いのではないかというくらい不気味になっていた。
「やっぱり静かなのがいい...」
アピクは見渡す限り本しかない部屋で古文書などを読み漁る。本の保存に最適な少しひんやりとした温度で居心地が良いものだった。
「眠い」
布団を頭までかぶる。この暗さがまた居心地が良い。

静かに目を閉じる。

また、あの少女。

「○○○!?」
自分や少女は前見た姿より少し幼いものの
街並みなどは変わってなかった。
「もー、かくれんぼの途中でこんな裏路地で寝るなんて能天気だなぁ!」
ぷりぷりと怒る少女にアピクは内心苦笑いしつつ起きあがる。

カラーンカラーン

教会の甲高い鐘の音が街中に広がる。
「あ、時間だ!○○○、行こっ!」
手を強引に引かれ少女は街の中心部に行く。そこの光景は、前の夢で見たあの場所だった。
「...!」
縛られているのは勿論人間。しかも女ばかり。
「魔女狩りだよ。能天気な○○○は知らないだろうけど、ここ数日魔女っていう悪い奴らがどんどん処刑されてるんだって。...そうは見えないんだけどな。」
沢山の女が縛られ、民衆に石を投げられていた。
皆、なんの力も持たない人間だった。
民衆は面白がってそこらにある石をたくさん投げつけ、汚く笑う。アピクはその光景にだんだんと苛立ってきた。
「...そいつらが魔女だなんて確証はないくせに...」
思わず言葉を漏らす。一瞬で民衆の白い目がアピクに向かった。
『おいガキ、無知なのに喋んじゃねーよ。』
夢だ。もうどうにでもなれと、アピクは感情のままに発言する。
「無知?逆だな。俺は全部見てきた。言いがかりをつけてはやれ魔女だやれ拷問だと?冗談じゃない!」
「○○○?...どしたの?」
「お前達は今までやさしく接してきても魔女と言われれば笑いながら石を投げつけるのか!?」
次第になんだこいつなどの声が増えザワザワとしはじめる。
「魔女が何をした!人殺しか何かをしたとでも言うのか!?」
『黙れガキ!窃盗や人殺しは全て魔女が罪のない一般人を魔法で操ってやらせているのだ!魔女は邪悪の塊なんだ!』
「魔女が...?はっ、笑わせるな。何もかも魔女のせいにするお前達の方がよっぽど邪悪だよ。」
『この...糞ガキ!』
民衆が一斉にアピクに殴りかかる。
夢の中では魔術も使えず、身体能力も低くなっていたせいで何も出来ずに殴られてしまう。

そこで目が覚めた。
「.....魔女狩り...」
あの後どうなったのかはわからない。そして少女も。

「あぁ...悪夢だ...。」

Re: 紅の吸血鬼と黒の魔術師と白の聖戦士 ( No.34 )
日時: 2017/02/09 01:04
名前: そーれんか (ID: qESkNdgF)

「.....合流した...今から...魔黒屋敷に...乗り込む...」
「えっ、乗り込む...?コロコロ変わるんですね...ひぃぃ...ぼ、ぼく、あの魔術師嫌いなんですよぅ...怖いし...男だし...」
がくがく震える聖人をヴィシャはじっと見る。
「おとこなのはせーともおなじでしょー?なんでふるえてるのさ。もしかしてせーとっておんなのこなのー?」
「うわぁぁぁん!それ一番言われたくなかった!女の子って...言われたくなかった...うぅぅ...」
「ヴィシャ...あなたいつも一言余計...」
ふさぎ込んでしまった聖人を月星隠者は引きずりながら歩く。
「絶対に...父さんたちの敵を...」
ヒューイはずっと小さな声でぶつぶつ呟いていた。いつも使っていた鈍器を固く握りながら。
「ヒューイちゃん、スレイがついてるからね!」

「...うん。」

ーーーーーーーーーー
魔黒屋敷は光を通さない。いつも闇に閉ざされている。だが夢幻白昼屋敷のジンリンのように外部から光がさすことはない。魔力の結晶体で光を人工的に創り出している。
「はーぁ。久々に一人になったな...いや、一人と一体?」
グラスにワインを注ぐ。注いでいるのはアピクではなく"透明なもの"だが。
「ーーーーー?」
その透明なものは当然人の言葉が喋れない。人の姿をしているだけの魔力の結晶なのだから。創り出した主や指定した相手にのみ通じる不思議な言葉で話すのだ。言うなればこれも"魔像"の一種。魔像は創り出した主に忠実で逆らう事は一切ない。
魔像から攻撃性を抜いたのがこの透明なものである。
「...いや、菓子はいらない。俺の屋敷を壊す手荒な客には、手荒な歓迎をしないといけないからな。菓子より別のもので歓迎してやろう。」
杖を手に持ち、分厚い術書を空中に数冊浮かせる。
「.....気がつくの...はやい。」
「少しは殺気を抑える努力をさせたらどうだ?それなら数秒は気がつくのが遅れるだろうよ。」
「...ひぃぃぃ...ぼくやっぱりこの魔術師嫌いです...」
聖人が半泣きになる。再興天使が宥めるも結局ヴィシャが余計な一言を言うため無駄だった。
「うぅぇぇぇぇ!!やっぱり僕はできない子なんだぁぁぁ!!!」
「ヴィシャ様!」
茶番の様な事が数分続きアピク達は呆然とする。
「.......できるできないじゃない.....やりなさい...」
「うぅ...ひっく...ぁい...やりまず...」
涙と鼻水を袖で拭き、胸にあった十字架のネックレスを手に取る。そして何かを詠唱し始めた。他の者は攻撃すること無く、棒立ちしている。
「...。何もしないならこっちから行ってもいいか?」
"獄焔・龍劇"
アピクは魔術を唱えようとする。すると月星隠者はカッと目を見開いた。
「...今」
「は、はい!」
"記憶の皿"
「!?」
不思議な色をしたスプーンがアピクの頭を掠め、聖人の手元に行く。
聖人はそのスプーンを口に入れスプーンごと飲み込む。
「...これでいいんですよね...?」
「.....ええ...」
聖人はほっと息をつき後ろに回る。
「な...」
アピクは青い顔をしている。
「魔術が...使え...ない?」
「...今...叩きのめせ...」
月星隠者のその一言で一斉に攻撃を仕掛ける。
「クソッ!こういう時に一人だと困るんだよ!」

Re: 紅の吸血鬼と黒の魔術師と白の聖戦士 ( No.35 )
日時: 2017/02/09 01:38
名前: そーれんか (ID: qESkNdgF)

チキは貰っていいか聞くと答えを聞く前に床に流れた赤い液体をすすりはじめた。
「〜〜〜。やっぱり吸血鬼の衝動は抑えられないのね...貰っていいかって聞いたすぐに食べちゃって...ルアイリちゃん、無理させたんじゃないのー?」
「無理か〜、最近連戦続きだったからね〜。暫く休んでもいいんじゃないかしら〜?屋敷なら師匠一人で何とかなる...はずだから〜。」
ルアイリは席を立ち別室へと向かっていった。のほほんとした口調だったが行動に少し焦りが見えた気がするが。

「...がふっ!」
「お嬢様!?」「チキ、血が...」
チキが吐血しあたりをまた赤く染め上げる。木の匂いがしていた屋敷は鉄の臭いも混じってきつい臭いを発していた。
「〜〜〜...やっぱりか。」
「やっぱり...?」「どーいうことー?」
「〜〜〜。聖戦士達は日々神に祈ってるでしょ?あれは信仰の力って言って神だけが使える力を人に使えるように神が細工したのを聖戦士達に分け与えるんだ。沢山祈ってる人ほど強いみたい。んで、その力は聖なるもの。悪が聖に触れればどうなるか...わかるかな?」
ジンリンはチキの背中をさすりながら話す。だがチキは血を吐き続けていた。
「お嬢様...大丈夫ですか?」
「げほっ...うん、大丈夫だよっ...」
「チキ、無理しないでねー?」
大きな水たまりのように血だまりができる。死体はいつの間にか消えていた。
「〜〜〜...勝手に食うなおバカさん!」
ジンリンは近くにあった斧を床に突き刺した。
心做しか屋敷は痛がっているように見えた。
「チキちゃ〜ん、大丈夫〜?ベッド用意しておいたから、寝てていいわよ〜?勿論ミサちゃんとスオちゃんもね〜。」
チキはルアイリにおぶられ別室に行きベッドに寝かせられる。
「少し落ち着いたかな〜?ゆっくり休んでていいわよ〜。私達少し無茶させすぎたかもしれないからね〜。私は花壇にいるから、何かあったら呼んでちょうだ〜い」
そう言ってルアイリは部屋をあとにする。

「.....っぅ...」
チキはベッドに潜り、気が付かれないよう小さく泣く。
皆あんなに強いなのに、どうして私はこんなに中途半端で弱いんだろう。
私はお荷物じゃないのかな?
そんなネガティブな感情が次から次へと出てくる。
苦しい。個人的な復讐に皆に協力を求めて、結局自分は何も出来なくて。邪魔でしかない。
「っ...ふ...ぅ...っく...」
泣いてるうちに睡魔がだんだんと襲ってきて、チキはそのまま眠りについた。


Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。