ダーク・ファンタジー小説
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- 逆十字の聖魔戦争
- 日時: 2017/04/30 01:07
- 名前: そーれんか (ID: qESkNdgF)
吸血鬼、人間の血を飲む怪物と呼ばれる生き物。耳が尖っており、吸血鬼かどうかはすぐ見分けられるが人間はごくまれに耳が尖っているものを産む。その人間は迫害され、捨てられ、最終的に魔術師になるケースが多い。
魔術師、元人間や吸血鬼など、様々な種族が魔力をもち不死身になった生き物をまとめてそう呼ぶ。元人間、と言うのは魔力をもった際に人間の記憶を忘れる為。吸血鬼はそうならない。他に精霊族や人狼族など色々な種族がいる。
聖戦士、神と人間によってつくられた通常の人間より遥かに強力な術を手に入れた吸血鬼と魔術師を消す為だけに存在する部隊。
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初めまして!そーれんかです。去年から妄想してたやつを小説書く練習がてら書こうかなと思ってます。語彙力のない中学生なので至らぬ点が多いだろうとは思いますがアドバイス等宜しくお願いします_(:3」∠)_
追記
宗教に対する批判的なセリフがありますが、決して実在する宗教を批判する意図で作った訳ではありません。そこはご理解頂けると幸いです。グロテスクな所も少なからず登場します。苦手な方はお控え下さいm(*_ _)m
登場人物を移動させました。そして題名もはっきり決まったので変更しましたヾ(:3ヾ∠)_
登場人物
>>66 異端側
>>67 聖戦士側
- Re: 逆十字の聖魔戦争 ( No.77 )
- 日時: 2017/04/30 03:52
- 名前: そーれんか (ID: qESkNdgF)
重い体を起こし花壇の方へと足を向ける。綺麗に整えられていた煉瓦は壊れ美しく咲き誇っていた花々は荒れ果てていた。そしてその荒れた花壇に一つリボンが巻かれた逆さの十字架が突き刺さっている。
きっとこの花壇は二度とあの美しさを取り戻す事は無いだろう。ルアイリの血を浴びた花は瞬時に枯れていき、浴びなかった花も次の日には枯れ果てた。
すっと逆十字に触れる。鋭利な鋼で出来ていた逆十字はアピクの指先を容易く傷つけるが、いつからか感覚が麻痺し痛みどころか触れた感覚すらも感じなくなっていた。
"疲れ"
真っ先にその感情が出てくる。何かを考えようにも、何か言葉を発そうにも。悪夢と後悔に縛られ何事にも無気力になってしまう。
「あぁ嫌だ嫌だ。縛られるだなんて私の嫌いなものの一つだね」
「ルナテ...また来たのか?」
魔扉から出てきたルナテは酒の入ったワイングラスを持ったまま紅い髪を風になびかせる。
「君が"心配"になってね。...あぁここは酒が不味くなる。黒に染まった世界...折角の赤ワインもこれでは黒い酒だ」
そう言ってグラスを傾けワインをアピクの靴元にかける。
「嫌がらせをしに来ただけなら帰れ」
「嫌だな、"心配"になっただけと言ったじゃないか?」
ー刹那、背後から二つの人影がアピクを狙い攻撃を仕掛ける。魔壁で防げたものの、壁がなければ確実に攻撃を受けていただろう。
「...鈍い。魔壁なんざ張らずとも避けられるだろうに」
「...」
「どうせあの"花咲の狼"の事だろう?あいつも嫌な奴だね、死んで師匠に迷惑をかけるのか。もしかして...迷惑をかけるために死を選んだのか?」
「何...?」
ルナテはニヤニヤと不気味に笑いながらアピクの神経を逆なでするような言葉を次々と投げかける。
「それに過去の記憶、そんなものを知ってどうするんだ?自ら弱へと落ちるのか?滑稽滑稽。だがそれも...また一興」
言い返すに言い返せない。ほぼ的確な事をわざと逆なでするような言葉を選び発しているのだから。下唇を血が出るほど噛む。
「...無理に自我を保ってどうする?化物のように理性を無くしたくないから?」
ルナテは興奮を抑えきれないような表情でアピクの顔をじっと見ながら話す。
「...フハッ...だとしたらとても滑稽!!私達は化物だよ!!言わずと知れた化物!!化物の境界線に理性も何もあるか!!世界に化物と言われたら化物なんだよ!!アハハハハ!!」
手で腹を抑え大笑いしながら叫ぶ。
あぁ
俺は
化物なんだって
再確認したよ
大鎌を取り出しルナテの首元へと刃を当てる。
「それでいいんだよそれで!あぁやっぱり君は面白いや!"心配"すればするほど面白くなる!!」
ルナテの声は平原中に響き渡るほどだった。ただその声は誰にも聞こえない。
響き渡る前に、喉と声を切り裂いたから。
- Re: 逆十字の聖魔戦争 ( No.78 )
- 日時: 2017/05/04 02:20
- 名前: そーれんか (ID: qESkNdgF)
ルナテは少し驚いた表情をするもすぐにいつもの不敵な笑みを浮かべる。
「びっくりした。君が無表情で鎌を使うなんてね」
傷ついた箇所はすぐに癒え言葉を何も無かったかのように発する。周辺に飛び散った血も煙をあげて消えていった。
「はぁ...バカバカしくなってきた。用事もある、入れ」
「なんだ珍しい。私にしかやれないことでもあるのかい?」
「あぁ。お前にしか聞けないことがな」
黒に塗れた扉を開く。蝋燭がほのかな光を放っている以外、目立った光はない。真っ暗とも言えない部屋にある椅子に腰掛ける。アピクはポットから紅茶を注いでテーブルに置く
「紅茶くらいは出せるんだね。脳筋っぽいのに」
「余計なお世話だ酒飲み」
「それは君も同じだろう?」
言葉に詰まるアピクを見ながルナテは紅茶を飲み干しカップを置く。
「んで用件...と言いたい所だが。君は忘却の海に最近行ったかい?」
「忘却の海に?いや...行ってないが」
「そう。ここに行く前に少し見に行ったんだが少し荒れててね。まぁ荒れるのは度々あるし何事もなければそれでいいんだが」
そう言ってルナテは煙草を取り出し火をつける。
「さっさと受け入れて静まればいいのに。死を受け入れられない一部の輩がいるから度々荒れるんだよ…」
珍しくルナテは深いため息をつく。
「あんまり荒らすなよ」
「私に言わないでその一部の輩に言ってくれると嬉しいんだけどね...っと、それはそうと私に聞きたいことってなんだい?」
「あぁ...隣の部屋にある絵なんだが」
アピクは部屋の鍵を開け、蝋燭をつける。
「ルナテ...お前に姉か妹はいるか?」
「.....は?」
ルナテは驚きのあまり煙草を床に落としてしまう。
「とぼけるな!この絵の少女は...アンナ・アーズは誰なんだ!」
絵を指差しアンナと書かれていた箇所に目線を合わせる。
「...何を言っているんだ?」
「そこに少女なんて描かれていないじゃないか」
- Re: 逆十字の聖魔戦争 ( No.79 )
- 日時: 2017/05/06 04:48
- 名前: そーれんか (ID: qESkNdgF)
"人生は人形劇。糸に吊るされて神様の意のままに動かされる人形。じゃなきゃ殺しなんて行わない。そうだろ?"
「ごべぶっ」
七頁が転ける。床に頭をぶつけた鈍い音が外まで響きなんだなんだと一頁達が部屋に集まる。
「四....頁ぃぃぃ.....」
四頁が仕掛けた糸のトラップで転けたようで四頁は七頁を指差しながら笑い転げている。
「ひぃーお腹痛い!七頁引っかかりやすくて助かるよ...ぷっ...ぎゃははは!!」
「引っかかりやすいも何も、こんなに糸を張り巡らされたら誰でも引っかかると思うんですの。あんまり細すぎると転ける前に身体が切れてしまうのでその強度なら太めにしてくれると助かりますの」
五頁は淡々と話しながらハサミで糸をチョキチョキと切っていく。
「俺も手伝う。ったく...糸で俺の首が飛んだらどうする...お前の糸は戦闘用なの!悪戯用じゃねーの!」
「ひぃひぃ...わかってるさそれ位。首飛ばないように上手く避ければいいんだよ!ハハハッごふぁ!?」
二頁が背後からフライパンで四頁の頭を殴る。
「.......プス」
「え?」
「ポテトチップス食べたな...俺ののり塩味!!」
あぁ、どっちも通常運転だな一頁は頭を抱える。三頁も六頁もため息をついている。
「サラダ味も食べて!更には隠しておいたのり塩味も!!許さねぇぇぇぇ!!!」
凶器と化したフライパンを持ち逃げた四頁を追いかける。窓ガラスを割って。
二人は淡々と糸を切り、三人は頭を抱え、二人は追いかけっこをしている。いや追いかけっこというと何か違う気がするが。
「なあ三頁...六頁...あの二人を抑える方法はないのか...」
「...あったら俺が知りたいです」
「...同じく。私も知りたいです...」
三人は大きなため息をついた。
ーーーー
「ひー!二頁タンマタンマ!!」
「うるせぇ!いつもと違う道通ってるからって待つかー!!」
細い道を走り抜けた先はほぼ知らぬ場所で逃げる為に四頁は道を覚えずにとりあえず走る。
「これちゃんと帰れるかな...」
なんて呟きながらも走り続ける。
「あ、腹減った。帰ろ」
二頁はお腹をさすり追いかけるのをやめて道を戻っていく。
しばらく走ったあとちらっと後ろを見る。二頁の姿は無く、走るスピードを弱める。
「...ん。ようやく追いかけるのやめたかぁ...お腹すいたらすぐ帰るやつでよかった。一頁においかけられでもしたら死んでも追っかけられてそう」
そして四頁も走るのをやめ、息を整える。あたりを見渡すがどこなのか一切わからない。
「......ハハハ.....ヤバくね?」
人はそこそこいるが聞けるような人がいない。奇異の目で見られている為質問しても逃げられるだろう。まあ赤紫色で縦縞模様の服装では変質者としか思われないだろう。
人がそこそこいる場所ではあまり目立った行動もできない。流石に変質者とは思われたくない。
「.....帰れるかな...うぐぐ...あのたんさいぼ...二頁からあんまり離れなきゃよかった…あの人間地図め...」
とりあえず覚えている道を戻ろうと歩きだそうとすると、誰かの泣き声が聞こえてくる。
五歳くらいの少女が一人で泣いているようで"一応"修道士の四頁はいてもたってもいられずその少女の方へと歩み寄る。
「どうしたの?」
「おかーさんが戻ってこないの。うんとね、お昼ご飯食べた後にここでまっててねって言われてそのまま...なの...」
捨て子かな?と思いつつこのままでもいけないので少女の手を引く。
「とりあえず!僕の家に来るんだ。皆優しいから。...まずは家の場所を探さないといけないけど」
「でも...おかーさんね、修道女で、変な人にはついていっちゃだめだって。おじさん変な服着てるし、変な人じゃないの?」
変な服と言われるのには慣れているがおじさんと言われかなりショックを受ける。
「嘘だ...僕おじさんに見える外見なのか...この前外見年齢まだ17って言われたのに...そんなに老けたのか...ハハハ...」
「どうしたの?変な服のおじさん」
少女の純粋な心は時として人の心を深く抉る。
「うん...変な服のおじさんじゃなくて...僕の事は...しーちゃんって呼んで...」
「?変な服のしーちゃんでいいの?」
腑に落ちないがおじさんと呼ばれるよりはマシだと思い妥協する。
「うん...それでいいから...それはそうとして!修道女なら僕も知ってるかもしれない。僕も修道士だからね」
「本当!?なら大丈夫だよね!お...しーちゃんは修道士だもん!神様にそむくようなことしないもんね!」
「そんな事はしないよ。ここで話してても始まらないし、とりあえず歩こうか!」
「うん!」
四頁に手を引かれた少女はにっこりと笑った。
- Re: 逆十字の聖魔戦争 ( No.80 )
- 日時: 2017/05/07 02:48
- 名前: そーれんか (ID: qESkNdgF)
「あうあー!!くそー!ここどこだー!」
四頁は叫ぶ。本当にどこかわからない。少女はちらりと四頁の方を見て心配そうな表情で
「しーちゃんも迷子なの?」
と言う。四頁は否定もできずにもごもごと口ごもる。
「ハハハ.....はぁ...もう日が沈んでる...うーさむっ」
腹部があいている服装の為風をよく通す。
「しーちゃんの服寒そう...おなかこわさないの?私のタオルお腹まいたらいいよ!」
少女は大きめのタオルを取り出しぐるっと四頁の腹回りを一周させる。
「...!ありがとう。大分マシになったよ...うん、早く帰ろう。そうしよう」
四頁が立ち上がる。
刹那。何かが頬を掠める。尖ったガラスのようなものが近くに突き刺さっていた。四頁は周りを見渡し少女を抱き抱え後ずさりする。
『うんうん、ルナテ探しに扉開いたつもりだけど変な場所に来ちゃったから焦ったけど晩御飯がいて助かった』
建物からノウラとクトが飛び降りる。
「.....ばん.....ご...はん.....ど...う...しよ.....?」
クトは目を輝かせて少女を見る。
「っ...あぁやだやだ。追いかけられて帰れないしお前達には遭遇するし!今日は厄日だよ!」
『私達はここにいること自体が不快で不快でしょうがないわ。十字架に囲まれて気持ち悪い』
ノウラは近くに建てられていた十字架をへし折る。あっという間に石ころと化しパラパラと地面に落ちていく。
「ハハ、あんまり壊さないで欲しいんだけど。どうせ逃がしてくれないだろうし、戦うなら戦おうよ」
『うーん、私は晩御飯調達できればいいのだけど。まぁ貴方倒さない限り調達できなさそうだし、しょうがないわね。クトちゃん、やっちゃおうか』
ノウラがウインクをするとクトは目を輝かせる。
「しーちゃん...大丈夫?」
「そこに居なよ。きっと大丈夫だから」
「...うん」
"四頁目・天から垂らす神の糸"
キラキラと輝く糸が一本だけ空から降りて来、四頁と少女に優しい壁を張る。
「クト.....い...く...よ!」
"暗黒術士に従う魔物"
クトは暗闇に包まれ、巨大な単眼の怪物へと姿を変えた。
- Re: 逆十字の聖魔戦争 ( No.81 )
- 日時: 2017/05/24 02:39
- 名前: そーれんか (ID: qESkNdgF)
「茶が美味いのう。やはり戦いの後の茶は特別美味く感じる」
コハルは茶を啜りほっと息をつく。
「ですね。ふあ...」
コハルの隣に座っていたチキは小さいあくびをする。
「うん?チキや、眠いのか?あまり無理をしては死鬼の言う特訓とやらにも支障が出る。わちきの布団を貸そう。休むと良いぞ」
「ふぁ...い。ありがとうございます」
そう言ってチキはふらふらとコハルの部屋へと入っていく。
「うぅむ...時々頭も押さえておったし、心配じゃのう...」
ーーーー
頭が痛い。それにあわせて睡魔も強くなっていく。
痛い眠い痛い眠い痛い眠い痛い痛い...そう心の中で叫びながら襖を開ける。
ひんやりとした部屋が妙に心地いい。布団に入り目を閉じる。布団に入ってもなかなか身体が温まらない。この部屋のせいなのか、風邪をひいたか。今は考える気力もなくただ睡魔に身を委ねた。
ーーーー
「ちょっとマスター?チキちゃんは?」
しばらくして死鬼は自室から出てくる。
「チキかえ?眠いと言うから部屋で寝かせておるぞ」
「部屋って...チキちゃんの?」
「いいや、わちきの部屋じゃが。わちきの部屋がチキの部屋より近かったからの」
死鬼の顔から血の気が引くのがはっきりわかった。持っていたペンを地面に落としてしまう。
「ばっ.....マスターの部屋は幽霊部屋でしょ!?どんな悪霊がいるかどうかも分からないのに!!」
「何が悪いことでもあるのかえ?」
コハルはきょとんとし、危機感なく最中を頬張る。
「大ありだよバカマスター!!死人の部屋にいれるなんてチキちゃんまで死なす気か!!あぁこうしちゃいられない起こさないと!!」
死鬼は焦ってコハルの部屋へと走っていく。
「...死鬼や.....この最中こし餡だぞ...」
なんてコハルの呟きはまるっきり無視された。
死鬼は襖を開け、埃っぽく冷たい部屋に足を踏み入れる。
「うっ...案の定なんか幽霊がい.....ん.....?」
黒い影がチキの隣にそっと寄り添っている。
「あれ...ロジスタ!?」
(あれ、死鬼くん?なんでこんな所に?)
黒い影はチキの父親、ロジスタのものだった。
「いやなんでって...こっちがなんでだよ!ここ一応僕の屋敷なんだからね!?」
(そうなの?いやぁ忘却の海の様子を内部から見るよう頼まれたから行こうとしたら愛娘が急にこっちに来たんだもん。びっくりしたよ)
チキはすうすうと心地よい寝息を立てて眠っている。
「あぁ...ごめんうちのマスターが...」
(あっはっは!いいのいいの。愛娘がまだここに来るような時じゃないと知って安心したよ。それに師匠もちゃんとこのネックレス渡してくれて色々もやもやがなくなったよ!)
ロジスタはチキの胸元にあるネックレスをじっと見る。
(師匠の性格考えたらどうせ俺はつけないからって渡してるんだろうなー!)
「うぅーん、よくわかんないけど!とりあえずよかったぁ...悪霊なんかに連れ去られてたらどうしようかと思ったんだよ」
死鬼は脱力し床にドサッと座り込む。ロジスタも座った。
(愛娘を起こしてもいい?夢と思われてもいいから話したいんだけど)
「ロジスタの娘でしょ。好きにしなよ。僕は聞かなかったことにするからー」
死鬼は目と耳を塞ぎそっぽを向く。ロジスタはチキの背中をポンポンと叩き半ば無理矢理起こす。
(....)
「.......お父さん?夢?」
(いや...夢じゃない!本物!本物!えっと、チキ。無、無理はしたらダメだからな!ししょ...アピクや死鬼くん、ジンリンちゃんもいるから。頼っていいんだぞー?...そして、お父さんお母さんとは二度と会わないでほしい)
最後辺りの言葉でチキの表情は笑顔から一変して絶望に近い表情になる。
「な...なんで!?」
(次に会うとしたらチキが死んだ時だ。そんな事はお父さんが許さないからな!勿論お母さんも許さない。だから!!絶対に死なない事!いいな!)
「.....うん」
チキはぼろぼろと涙を流し俯く。ロジスタは優しく頭を撫で、抱きしめる。
(はいはい。泣かない泣かない!絶対チキは死なないから!!おやすみ、チキ)
ロジスタの胸の中でそのままチキは眠る。死鬼は耳から手を離し、ロジスタの方を見る。
「...よかったの?」
(聞いてたのかよ!!耳塞いでた意味はなんだったの!?...まぁ、よかったんじゃないかな?コハルちゃんには感謝だね。こうやって言いたかったことも言えた)
「ロジスタが満足してるならそれでいいんじゃない?お礼ならマスターに言っとくよ。他に伝言はない?」
(あ、師匠に伝言いいかな?師匠になら愛娘あげてもいいよってね!)
その伝言で死鬼が吹き出す。
「なっ...僕じゃダメなのー!?」
(死鬼くんにゃまだ早いっ!...さて、そろそろ行かなきゃ。久しぶりに会えて楽しかったよ)
ロジスタは手を振って部屋の奥の方へと消えていく。
死鬼は軽く息をつき、チキを別室に移そうと抱きかかえる。
「っうぅー...僕じゃダメなのかぁ...まぁ、アピクとか...一番似合ってるんじゃないかな。悔しいけど!!」
チキをベッドに寝かせた後、死鬼はコップに水を入れて近くのテーブルに置いた。
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