ダーク・ファンタジー小説

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逆十字の聖魔戦争
日時: 2017/04/30 01:07
名前: そーれんか (ID: qESkNdgF)

吸血鬼、人間の血を飲む怪物と呼ばれる生き物。耳が尖っており、吸血鬼かどうかはすぐ見分けられるが人間はごくまれに耳が尖っているものを産む。その人間は迫害され、捨てられ、最終的に魔術師になるケースが多い。

魔術師、元人間や吸血鬼など、様々な種族が魔力をもち不死身になった生き物をまとめてそう呼ぶ。元人間、と言うのは魔力をもった際に人間の記憶を忘れる為。吸血鬼はそうならない。他に精霊族や人狼族など色々な種族がいる。

聖戦士、神と人間によってつくられた通常の人間より遥かに強力な術を手に入れた吸血鬼と魔術師を消す為だけに存在する部隊。


ーーーーーーーーーー
初めまして!そーれんかです。去年から妄想してたやつを小説書く練習がてら書こうかなと思ってます。語彙力のない中学生なので至らぬ点が多いだろうとは思いますがアドバイス等宜しくお願いします_(:3」∠)_
追記
宗教に対する批判的なセリフがありますが、決して実在する宗教を批判する意図で作った訳ではありません。そこはご理解頂けると幸いです。グロテスクな所も少なからず登場します。苦手な方はお控え下さいm(*_ _)m
登場人物を移動させました。そして題名もはっきり決まったので変更しましたヾ(:3ヾ∠)_

登場人物
>>66 異端側
>>67 聖戦士側

Re: 紅の吸血鬼と黒の魔術師と白の聖戦士 ( No.6 )
日時: 2017/01/10 00:15
名前: そーれんか (ID: qESkNdgF)

謎の液体や本、何かの肉片などが散乱する研究室。淡く青白い明かりが部屋を照らす。
「...。」
無言で薬品などを取り出す。

カチャカチャ、ポトッ。グチッ、ゴトッ。

しんとした部屋に気味の悪い音だけが響く。

「っ?!」

欠けた槍の一部から赤い液体と赤白い液体がどろりと流れだす。
液体が手にふれた瞬間、力が抜けていくような不快な感覚に襲われる。
「...?」
そして手から液体が離れたかと思えば欠けた場所が修復していく。
「...クク...吸血鬼みたいな槍だ。壊れても壊れても勝手に修復して、朽ち果てることのない不死の身体...ん?」
突然槍がカタカタと震え始めたかと思えば意志を持ったかのように動きはじめた。
「...!」
槍はアピクの頬を掠める。
「クク...まだ研究は終わってない。休憩ははやく終わらせようじゃないか?」
アピクは持っていた指輪をはめ、謎の言葉を唱える。
黒い霧が背後から槍を徐々に包み込む。抵抗しているように見えるがあっという間に覆い尽くしてしまう。
「滅」
霧が槍に入り込む。槍は大人しくなりガランと音をたてて床に落ちた。
「さぁ、研究を再開しようか。大人しくしていてくれよ?」
満面の笑みでまたアピクは研究を再開した。

Re: 紅の吸血鬼と黒の魔術師と白の聖戦士 ( No.7 )
日時: 2017/01/11 00:36
名前: そーれんか (ID: qESkNdgF)

「あふ...眠...」
ふかふかしたベッドから重い体を起こし机にあるグラスに水を注ぎ飲み干す。
「ふはぁ。まだ夜の祈りには時間があるな...」
チラリと時計を見る。時計の下の棚には酒の入った瓶が置かれていた。
「...呑も。」
ヒューイは瓶に手を伸ばす。
「ぶっぶー!もーヒューイちゃん飲み過ぎ!スレイ怒るよー!」
頬は餅のように膨らむ。
「はぁ...別にスレイには関係の無いことだろう?いつどこで私が飲もうがそれが原因で死のうが赤の他人なんだから。」
ヒューイはスレイに向かって冷たく言う。
「...シスターなんだから質素に、神様に感謝して生きないとダメだって神様が言ってるじゃん。お酒とか贅沢しちゃダメなんだよ。」
本来シスターは祈りを捧げ、極貧に生きる者。それはヒューイも分かっていた。
「...だから何...?本当なら今すぐここから逃げ出してしまいたいよ!親がいくら聖戦士の上の存在、聖騎士だからって、なんで私の人生が支配されなきゃなんないんだよ!」
「ヒューイちゃん...」
「だから追い出されるのを待ってる。噂されようがどうでもいい。ここから一刻も早く抜け出したいんだよ!」
スレイに向かって感情を抑えきれず全ての心のうちを明かしてしまう。
「ヒューイちゃん...」
スレイはにっこり笑った。
「一緒に逃げよっか。」

Re: 紅の吸血鬼と黒の魔術師と白の聖戦士 ( No.8 )
日時: 2017/01/20 01:12
名前: そーれんか (ID: qESkNdgF)

「全くあの男は...ぶつぶつ...」
ミサはアピクに対する愚痴を部屋に戻ってからずっと言い続けていた。
「んもうお姉さん!こっちまでイライラしてくるんだからいい加減大人しくしてよー!」「何を言っている!スオはお嬢様を平気で傷つける男を黙って見ていろというのか!」
と、スオの静止も聞かない。
「うー...チキ起きちゃうよ?寝てるもん。」
すやすやと心地よい寝息をたてているチキ。相当疲れたのであろう。
チキが寝ていると知るとミサは途端に大人しくなった。

バタン

アピクが乱暴に扉を開ける。ミサはアピクを睨みつける。
「おやおや、睨まれるような事をお前達にした覚えはないが?」
「お嬢様にあんな事をしておいて睨まないメイドはいない!」「お、お姉さん...」
ミサは指をさしながら声を荒らげる。
「なんだそれくらい。聖戦士達の戦った事による傷を見たことないのか?片腕どころじゃない。両腕両足もぎとられてても、軽症のうちに入るのに。それくらいじゃ勝手に治るさ。」
グロテスクな言葉を平気で言う。ミサとスオは想像してすこし気分が悪くなった。
「が...聖戦士の攻撃による一定の傷を負うと修復出来なくなって死ぬがな。実際の所不死身じゃないんだな。聖戦士達の攻撃にのみ死に至る。」
聖戦士は神の力を授かり強力な術を持ったもの。その神の力で悪を滅していくのだ。
「はぁ...だから主は死んだと...」「死なないのに死ぬ...なんか変なの。」
ミサはある程度理解したようだがスオはほぼ理解出来ていなかった。
「...で、何しに来たんです?女の部屋に入って、ふしだらな事でもやろうとしているのですか?」
「笑止。俺はこの槍とこれを渡しに来ただけだ.....お前ふしだらな事って、何を想像してたんだ?」
呆れた顔でミサを見る。ミサは顔を真っ赤にしてこう言う。
「ち、違います!別にお嬢様の寝顔が可愛いからとか...そんなんじゃ...!」「お姉さん...」
流石にスオも呆れ返った。ミサは再び穴があったら入りたいと呟いていた。
「おい、バカ娘起きろ。」
「...んぅ...兄様!?私寝てた!?」
ガバッと起き上がる。チキはアピク達に寝顔を見られた恥ずかしさで顔を赤くする。
「寝てた。槍は返す。あと...これ。」
アピクに小さな箱を手渡される。
「.....十字架?」
「貴様お嬢様になんてものを!?」「お、お姉さん、落ち着いてってばぁ!」
小さな十字架のネックレス。だがその十字架は逆さまだった。
「お前の大好きな父親が俺にくれたものだ。俺はつけないからお前にやる。ゴミ減らしたいから。」
「兄様...」
ゴミを減らしたいから、そう言っていたがチキは分かっていた。何とは言わない。けど弟子がくれたものをゴミだと言う人物ではないから。
「ありがとう。兄様。」
胸元で黒く輝く逆さの十字架。とても綺麗に輝いていて、まるで生きているかのようにも感じられた。

Re: 紅の吸血鬼と黒の魔術師と白の聖戦士 ( No.9 )
日時: 2017/01/13 22:30
名前: そーれんか (ID: qESkNdgF)

「...」
ヒューイは半ば強引に連れられ裏口へと行く。暗く湿った道を一言も喋らず歩いていく。
「ふぅ...着いたよ。」
スレイは暗い道の先に見える眩い光の元に行こうとする。ヒューイは足を止めた。
「...?どうしたのヒューイちゃん?」
「正直な話、私はスレイを信用してない。この先が脱出経路なのか、もしかすると反逆者を捕らえる牢かもしれない。」
「...ヒューイちゃん、スレイのことそんなふうに思ってるの?そっかぁ。」
スレイははぁ、とため息をつく。だがすぐ笑顔になる。
「じゃあ、ヒューイちゃんに信用して貰えるまでがんばるね!」
グッとガッツポーズ紛いのことをやる。ヒューイからすればガッツポーズと言われればそう見えなくもないがパッと見そうは思えない謎のポーズだった。
「...まあいいや。どうせこのまま戻っても何も変わらないし。何も変わらなくてめんどくさいより、何かが変わってめんどくさい方がよっぽどめんどくさくないよ。」
「...?よくわかんないけど、一緒に逃げ出すんだね!よかったぁ!」
スレイは満面の笑みでヒューイに語りかけた。


ーーー明るい。武器庫だ。
長年使われていなかったのであろう。至る所にホコリがかぶっている。
「武器庫で何するの?」
「えへへー。この天才スレイちゃんにちゃーんと考えがあるのです!」
スレイは心底嬉しそうに木箱に入った武器を漁る。
「あった!」
大量のホコリに錆び付いた剣と槍。思わず2人は咳き込んでしまう。
「ゲホッゲホッ...何?この古臭いのは。」
「けほけほっ、あのね、この武器はね...」
スレイはもったいぶった感じに話す。
「反逆の罪人って人がつくったの。元々ここに居たらしいんだけど、ある事がきっかけでここにいたくなくなったんだって。逃げる前に内部から破壊しようとしてたらしくて、破壊の槍と剣を創り出したんだけどその前に神様にバレちゃって、処刑されたんだって。」
ヒューイはあぁ、だから無雑作に置かれているのかと納得する。そしてその罪人と自分の置かれている状況が、似ているように感じた。
「っ...」
息をのむ。その剣と槍が果たせなかった主の願いを叶えてほしそうにしていた。
そしてヒューイは考える。本来の敵であるはずの吸血鬼と魔術師の事を。ヒューイ達は今まで吸血鬼と魔術師は悪とだけしか教えられなかった。吸血鬼達による実害なんて教えられたことは一度たりともなかった。
(本当はこっちが悪じゃないのか?)
(なんで疑問に思わなかった?)
(...ただひっそり暮らしたかっただけじゃないのか?)
そんな疑問が頭でぐるぐる回る。
「...ヒューイちゃん、逃げようか。」
考えを遮るようにスレイが話しかけ、剣を渡される。
「うん。」
ヒューイは剣を手にとり穴が空いていた場所から外へ飛び出した。

Re: 紅の吸血鬼と黒の魔術師と白の聖戦士 ( No.10 )
日時: 2017/01/15 02:58
名前: そーれんか (ID: qESkNdgF)

「ここどこよ?月明かりだけでなんとか見える状態だよ...。」
今日は満月。外へ逃げ出したはいいものの行く宛もなくふらふらとしていたらあっという間に夜になってしまった。満月なのが不幸中の幸いであろう。
「うぅーん...熊とかでないよねー?見たことあるような場所だけど、暗くてよくわかんない。」
ふらふらふらふら、どこかもわからないところを歩き続ける。

ヒュッ

「んきゃん!」
何か固いものが飛んできた。固いものは見事スレイの頭にぶつかる。スレイはそのまま倒れ込んでしまった。
「ち、ちょっとスレイ!?っ、敵襲か何かーー
遅れてヒューイの頭にも固いものがぶつかる。

「あらあら〜師匠のいる魔黒屋敷の庭をうろつくとは...とんだ馬鹿もいたもんね〜」

ーーーーー
「ん...」
気がつけば知らないベッドの上でぐっすり眠っていた。もう朝だ。服も変わっていて、フリフリした洋服になっていた。
「あら〜?起きたの〜?」
のんびりとした口調で話しかけられる。声の主の元へ顔を向けた。
「!!」
緑色のベレー帽に似た帽子を被り、袖口までゆるゆるとした白色の服を着ていた少女。
「ル...ルアイリ...!」
「あら〜?覚えていてくれたの?嬉しいわ〜」
アピクのもう一人の弟子とされる人物、ルアイリだった。
「な、なんでここに!」
「なんでって〜あなた達が師匠の庭に入ってたのを私が見つけたからよ〜?殺さなかっただけましじゃな〜い?」
ヒューイは知らず知らずのうちに魔術師達のテリトリーに入っていた事を知り、脱力する。
「あ〜安心してね〜?もう一人の娘は隣の部屋で寝てるから〜。」
とりあえずスレイが無事と知り、少し安心する。

ガチャッ

いつもの如く強引に扉を開けられる。
「げっ...アピクまで...」
「なにがげっ...だ。お前達のテリトリーに吸血鬼やらが入り込めばすぐ殺す癖に。」
ヒューイはぐっと、言葉に詰まる。
「ま、お前はバカ達の集まりから逃げ出したどうしようもないバカだがな。戻れば処刑、ここにいてもいずれ殺される。仲間は仲間同士傷の舐め合いでもしてたらどうだ?何も教えられずに俺達を消していけばいいさ。」
ヒューイは何も言い返せない。ただ一つ気になったことがあった。
「なんで...私達にそんな詳しいんですか...?この戦争を最初から見ていた者とは言え...内部の事を知ってるなんて...」
「さぁな。」
あっさりとその質問は答えを知ることなく終わる。
「.....私達は逃げた存在です。だから聖戦士でもなんでもない。全ての敵です。ここで殺してくれても構いません。」
萎れたような声でアピクに話す。
「はっ、やだよ。俺は殺すもんか。後片付け大変だからな。...ドアの前で立ち聞きしてないで入ってこい。イライラする。」
キィ、と静かに扉を開け、チキとメイド達が入ってくる。
「...何も知らずに...」
ミサが口を開く。
「何も知らずに!お前達は私達の仲間を!主を殺したというのか!?私達が一体何をしたのか知らないのに!?」「お姉さん!気持ちはわかるから落ち着いて!」
必死にスオはミサを制止する。チキはただ黙ってヒューイを見ていた。
「.....なんとでも言って。」
ヒューイは唇を噛む。
「ヒューイちゃん!」
スレイが少し開いていたドアから入り込む。ヒューイをぎゅっと抱きしめ、アピク達を見る。
「...あのね...ヒューイちゃんはね、なりたくて聖戦士になったんじゃないんだよ。だからね、ヒューイちゃんを殺さないでね。その代わり、スレイはどうなってもいいの!」
涙ながらに語るスレイを見て、重かった空気が一層重くなる。目の前にいるのは吸血鬼達にとっての敵。スレイを殺したあとヒューイを殺しても構わない...はず...
「チキ、短剣だ。殺すも生かすもお前次第だ。俺は何も言わない。その選択が後悔することになっても。未来なんて誰にもわからないからな。」
チキは渡された短剣を見つめ悩む。長く生きてきて、これ程悩んだことはないだろう。今のチキにはどちらを選んでも後悔しかしそうに無かった。
「チキちゃん、どうする?二度とない命の火を消して後悔するか、灯したまま後悔するか。」

「私は.....」

短剣を落とした。

「生かすよ。」

追加登場人物
ルアイリ
人狼族でアピクの弟子。ふらふら庭を散歩することが大好きでほぼ部屋にいない。のんびりした口調で話す。花が大好きで使う魔術も花を使ったものが多い。アピクとチキの父親には"花咲の狼"と呼ばれてたりいなかったりする。好きな花はマツバギク。


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