ダーク・ファンタジー小説

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逆十字の聖魔戦争
日時: 2017/04/30 01:07
名前: そーれんか (ID: qESkNdgF)

吸血鬼、人間の血を飲む怪物と呼ばれる生き物。耳が尖っており、吸血鬼かどうかはすぐ見分けられるが人間はごくまれに耳が尖っているものを産む。その人間は迫害され、捨てられ、最終的に魔術師になるケースが多い。

魔術師、元人間や吸血鬼など、様々な種族が魔力をもち不死身になった生き物をまとめてそう呼ぶ。元人間、と言うのは魔力をもった際に人間の記憶を忘れる為。吸血鬼はそうならない。他に精霊族や人狼族など色々な種族がいる。

聖戦士、神と人間によってつくられた通常の人間より遥かに強力な術を手に入れた吸血鬼と魔術師を消す為だけに存在する部隊。


ーーーーーーーーーー
初めまして!そーれんかです。去年から妄想してたやつを小説書く練習がてら書こうかなと思ってます。語彙力のない中学生なので至らぬ点が多いだろうとは思いますがアドバイス等宜しくお願いします_(:3」∠)_
追記
宗教に対する批判的なセリフがありますが、決して実在する宗教を批判する意図で作った訳ではありません。そこはご理解頂けると幸いです。グロテスクな所も少なからず登場します。苦手な方はお控え下さいm(*_ _)m
登場人物を移動させました。そして題名もはっきり決まったので変更しましたヾ(:3ヾ∠)_

登場人物
>>66 異端側
>>67 聖戦士側

Re: 逆十字の聖魔戦争 ( No.112 )
日時: 2017/06/27 02:50
名前: そーれんか ◆2VcP.GZKgI (ID: qESkNdgF)



ーー:ーー

「あ、時計止まってる」
ネメシスが壁にかかった時計を手に取る。時計の針は次の秒を指すことなく一歩進んでは一歩下がり続けていた。
「聖人、電池とって電池!」
「え、えっと...単三ですか?」
「そうだよ!単三みっつ!」

わたわたわたわたわた...
見ているこっちが苛立ってくる。

「ど、どうぞ!」
新しい電池を強引に奪い取り、古い電池を渡す。そして電池を入れ替えるが動きは変わらない。
「あれ?壊れてんのかな」
ネメシスはぶんぶんと時計を振る。

ああ見てられない、ネメシスさんは自分が足場が悪くて高い脚立の上に座っているのになんでそんなに平気そうなんだろう?

ぐらぐらぐら...

「あっ!」
と聖人が叫んだが時既に遅し、ネメシスはバランスを崩してドカンと音を立て落ちる。
「どうしまし.....た...?」
別室で洗濯をしていた天使がひょっこりと顔を出す。
「あわわ...ど、どうしましょう再興天使さぁん...」
何故か涙目になる聖人を見、ため息をついて気絶したネメシスを抱き上げる。
「シーツはまだ洗濯中なのでありませんがまぁいいでしょう...全く...頭を怪我してるんだからじっとしていてくださいと言ったのに...」
ぶつくさと愚痴をこぼす。

ここ最近みんな不機嫌だな、と思いながら聖人は窓から景色を見る。
高いとこから見る景色はいい、という人もいるけれど僕はそんなによく感じない。

もし床が崩れて落ちたりしたら、もし落とされたりしたら、もし...太陽が僕を飲み込んだら。
そんな最悪な発想ばかりしてしまう。時には普通に考えたら有り得ないだろ、と思うことまで考えてしまう。バカバカしいのは分かってる。
でもそんな事はないって決めつけることは出来ない。

万全を期した、完璧、そんな言葉ほど信用のならない言葉なんてあるだろうか?
完璧と思っていたものでも、小さな穴に気がついた時に大きく動揺してしまう。それで一気に崩れ落ちる。

だから僕は絶対にそんな言葉を信用しない。落ちたくないから。
落ちるのは怖い。ここから落ちるのは死という底にぶつかって終わりかもしれないけど、変なものを信用して裏切られた時に落とされる底のない場所はずっと落ち続ける。たまにぶら下がってる紐は分け隔てなく与えられる救済処置。その紐に手をかければようやく底が見えてくる。

僕の親がそうだった。底なしに落とされた。二人は間もなく救済処置に手を伸ばした。

惨め。

僕は絶対こうはならないよ。


あ。ボケッと景色を見ていれば月星隠者さん達が帰ってきたかな。
ヴィシャさんが驚かしてこなければいいんだけど...。うぅ...だってびっくりするもん...。

ガチャ、と扉が開く。月星隠者さんの金色の髪に黒と黄色の服。ヒューイさんの蒼い髪に白い服。スレイさんの翠の髪に青白い服。ヴィシャさんの淡いピンクの髪に紫色の服。

派手だ。
服も相まって派手だ。

なんて余計な事を思いながら、聖人は四人におかえりなさいと言う。
「せーと、おちゃちょーだいおちゃ!のどかわいたー!」
ヴィシャの第一声がこれ。
そう言えばお茶が冷蔵庫にあったな、と聖人はコップを四つ用意し茶を注いだ後トレイに乗せる。
あ、意外と重い。

「つ、冷たいお茶...うわわわっ!?」
転け、お茶を床にぶちまける。

まずは転けないようにしないとなぁ...。
そう思いながら、聖人はびしょ濡れの服を見て涙ぐんだ。

Re: 逆十字の聖魔戦争 ( No.113 )
日時: 2017/06/28 04:28
名前: そーれんか ◆2VcP.GZKgI (ID: qESkNdgF)

天使には羽根がある、なんて人間の中では常識な話。けれどね、昔は天使に羽根は無かった。

羽根は大きい程高位の存在...なんていうのも半分嘘。全てが高位の存在な訳じゃない。
ただ、羽根のない天使は全て高位の存在。

羽根のない天使はもう滅びかけているけれど。あと三人、今はどこにいるのでしょう?




「天使ー、たおるたおる!せーとがおちゃこぼしたぁ!」
ヴィシャが半笑いで天使の方へ駆け寄る。
「お茶を?タオルと...はい、着替えです」
服とタオルを雑に投げるようにして渡すが、ヴィシャの手に乗る時には綺麗に折りたたまれた状態になっていた。ヴィシャはわお、と小さく驚き、ありがとーと言ってバタンと足で扉を閉める。

全く、面白い人達ですね。

天使は微笑ましくその様子を見る。

「.....天使.....手紙.....」
隠者が淡く光る手紙を持って扉を開ける。
「珍しいですね?私宛に手紙なんて」
普段は全く来ない手紙に少し驚き、軽く封がされた箇所をペリペリと指で開く。
「.....すみません隠者様、一日だけでいいのでお休みをくれますか?」
手紙を服の中に入れ、笑顔で問いかける。だがその笑顔の中は焦りも混じっていたが。
「...断る理由もない...行ってらっしゃい...」
隠者は口元を緩ませ、天使の肩をポンと叩く。
「ありがとうございます。気をつけてくださいね」
それはこっちのセリフ、と隠者は言い、目を軽く開いて見送った。
「.....あ...洗濯機の動かし方...聞こうと思ったの.....忘れてた.......」


ーーーーーー

目がくらむ程に白く輝く風景

聴こえてくるは人々の歌声

無駄に広く、無駄に明るい場所。

そこに二つだけ椅子があり、その椅子には二人の少女の姿がある。

「来てくれるでしょうか?ギンイロ、とても不安です」
右側に座っている銀色の長髪、銀色の服、銀色の眼。
ギンイロ、自身でそう名前を口に出す。

「ギンイロやマリアが不安になっても結末は変わりません。だからこんな時は何も考えずこのように座っているだけでいいんですよ」
透き通った声で左側の椅子に座る金色の髪のマリアと口に出した少女は、ただ一転を見つめて動かずに座っていた。

愛すべき私の子供達。伴侶は既にこの地を去れど、困る事は無い。

人間と血を交えてしまった私達。

天使の血を濃く受け継いだ者はギンイロから産まれた一人、人間の血を濃く受け継いだ者はマリアから産まれた一人。

少しばかりお遊びを。

「何の用でしょう?」
マリアから産まれた子が先に到着する。
「お久しぶりです、アイスン・ヴァール。相も変わらずにゲームを楽しんでおられるようですね」
マリアはにこやかに笑うと、アイスンも微笑み返す。

「ええ、おかげさまで。こうして人間の屑、として生きていますわ。それで何の用でしょう?」
「落ち着きなさい、友人の子の到着くらい待てないのかしら?」
「関係の無いことでは?貴女達は友人でも、子も友人になるとは限らなくてよ?」
淡々と笑顔を崩さずに返事をしていく。

そうこうしているうちにギンイロから産まれた子も到着する。

「...アイスン!?」
天使は驚いた表情でアイスンの方を見る。
「ほら、そもそも相手は私が誰の子かすらも知らない。友人になろうなんて夢のまた夢...どころではありませんわ」
アイスンは手で口を押さえ、クスクスと笑う。
天使はキッと睨みつけ、自身の親の方に顔を向けようとした。

「わぁ!ようやくギンイロの愛娘ちゃんが会いに来てくれましたー!フフ、どーお再興ちゃん?ママと一回再開を喜ぶハグを...」

笑っていたアイスンと天使は目を丸くする。なんなんだこれは。ただの子離れ出来ていない親じゃないか。
天使はどう対応していいのかわからず、ポカンとその場に立っている。

「...貴女の親、変わっていますわね」
「.....そこだけは同意させて下さい。どうしてこんな...」
天使はこれまでに無いほどの大きなため息をついた。

「はぁーい、気を取り直して本題に入りますよ。マリア、代読お願いしますね。ギンイロは再興ちゃんを眺めてますから」
「やめて下さい」
と、天使は冷たく返す。アイスンですら同情させるような親だ、どうせろくなこと言わないだろう。

「今見ているゲームに少しばかり飽きてしまったから、違うものが見たいという神のお願いです」

「あらまぁ、神様直々のお願い?なら断る事も出来ないですわね?」
クスクスと不敵な笑みを見せる。天使も嫌々ながらも話の続きに耳を傾けた。

「簡単な話です。神を信仰していない人間を数人殺せばいいだけですから」

マリアは表情を崩すこと無く、軽く言いきった。

Re: 逆十字の聖魔戦争 ( No.114 )
日時: 2017/07/01 02:56
名前: そーれんか ◆2VcP.GZKgI (ID: qESkNdgF)


屑ですね。

何度この言葉を言われただろう。

聞き飽きただけじゃ済まされない程に、私は何度も言われた。

また言われるだろう。私の中では他愛ない会話以上に意味を成さない言葉を。

空想以上に空っぽな言葉なんて、届いたって捨てられるだけさ。


「早かったね」
ルナテは煙草の灰をトントンと灰皿に落とす。
「働いた分の報酬は渡すつもりだよ?隣の書庫、好きに使うといい」
そう言って鍵を投げる。アピクは無言で鍵を受け取り、バタンと音を立てて部屋を出ていった。
そう睨まなくてもいいのに。

ああ嫌だ嫌だ。

「う...」
「よく眠れたかい?可哀想な聖戦士」
女はハッとして辺りを見回す。自分が置かれた状況を必死に理解しようとしている。
「おやおや、そう焦ったって理解出来る時間が縮まったりなんかしないよ?」
「...どういう事!?」
「簡単に説明するのなら君は信仰する神様に見捨てられた…ってとこかな?」
ルナテは理解の追いついていないのか俯く女を見てクスクスと笑う。

ああ滑稽。

「残念だったね、後少しで君の娘に会えていたのに」

娘、その単語で女はガバッと立ち上がり胸ぐらをつかむ。
「何ですって...娘が...教会に...?」
ただその声は弱々しく、信じられないといった様だった。
「ねぇ聖戦士...アイルだったよね?愛娘はぬいぐるみ何かより君と遊びたがっているようだけど?」
力も抜け、へたりとその場に座り込む。嘘か本当かどうかはルナテの寄りかかっている机に乗っていた、無数の水晶が映し出した光景が物語っていた。

ああ可哀想に。

アイルは絶句して、カタカタと震える。
「何奴も此奴も反応一緒だね...つまんないな」
ルナテは火の消えた煙草を皿に置き、新しい煙草に火をつける。
「娘を.....殺したりなんかしないで...娘を殺さないで...まだ子供なのよ...」
お、娘を守る事を最優先...か。親子によく見られるね、子供はしばらくの間絶望する事が確実な選択。
「あぁ。勿論殺したりなんかしないよ?」
「......異端の言うことは信用出来ないわね...」
なんだそれは、とルナテは苦笑する。まぁ信用無くても仕方がない。敵の言うことなんて信用する方がどうかしてるよ。
「じゃあ行くかい?愛娘の場所に」
魔扉を開く。
慌てふためくアイルの手を引き扉の発する黒い光の中に入っていく。

ニヤリと口元を歪ませたまま。


ーーーーーー
ルナテに出会ったのは二十年前。ジンリンに出会ったのは五十年前。死鬼に出会ったのは百年前。
時というものはあっという間に過ぎ去っていく。...とりあえずろくな事がなかった事は確実だ、特にルナテと死鬼との間には。

アピクはとにかく広い書庫から適当な本を手に取りペラペラとめくる。後ろでコソコソとやっている女はなんなんだ一体。
「え......えと......ルナ...........の...」
服の裾をクイッと引っ張り、消え入りそうな声で本が積まれた箇所を指さす。
「...ルナ......ェ...い...つも......し...てた...」
アピクは言われるがままにその場所に歩いていく。

金属の擦れる音がした瞬間床から無数の針が飛び出て身体を突き刺した。クトは無邪気に喜ぶ子供のように純粋に喜びを顔で表す。
「...だからこの屋敷は嫌なんだよ、糞ガキ」
アピクはクトの首元に鎌を当てる。
「あ...れ...?にん...ぎょ......お?」
クトは鎌に怯える様子もなくただ罠に引っかかっていなかった事だけに驚いていた。
「チッ...こんなに気分が悪いのも久々だ、頭が痛い」
ズキズキと痛む頭を押さえ、再び本棚を漁る。

あれも違う、これも違う、それも、あっちも、そっちも、こっちも。

そもそもここに答えなんかあるのか?誰も答えがあるなんて言っていない。

そう考えると急に無気力になる。自分は何をやっているんだ、と。
ため息をついて無気力ながらもとりあえず手を動かす。

大抵は読める物だが、たまに精霊語でも人語でもない物が混ざっている。表紙がぼろぼろに破け、いかにも古そうな雰囲気の本が無造作にしまわれている。それも本棚の奥の方に隠すようにして。
「...日記?」
似たような本は他に数えて十五冊。このだだっ広い書庫なら他にもあるかもしれないが、そんな気力なんざさらさらない。
最初の方と見られる特に古い本は全くもって読めやしない。だが七冊目当たりからぽつぽつと人語が混ざり始め、最後の方では普通に人語が使われていた。それでも時々知らない言語が使われている。

″ーー月ーー日。
屑、と初めて言われた。殺した。


ーー月ーー日。
二回目


ーー月ーー日
三回目、四回目


ーー月ーー日
沢山言われた。人間はこの言葉を多用しすぎではないか?

ーー月ーー日
もういい。飽きた。
ーーーーー″


これが十五冊目の最後のページ。最後の最後だけは読めなかったが、そこまで気にする理由もない。
「...やれやれ、君にはプライバシーってのが無いのかい?」
ルナテの幻影的モノが語りかけてくる。姿や声はそのものでも、半透明なその身体、分身に似たものだった。
「ま、特に面白味もない日記だろ?そう言えば結構な間日記を書いていないね、久々に書いてもいいかもしれない」
クスクスと笑い、最初の方の日記を手に取ってパラパラとめくる。
「...書いた本人でも読めなくなってきてるよ、やはり間があくと忘れるものだね。今は誰も使わぬ言語だろうけど」
パタンと日記を閉じる。そしてアピクから残りの日記を取って抱え込んだ。

「片付けがてらに行きたい場所へと案内するよ。君は一番いい人間を持ってきたからね」
目を細め、ニコリと笑う。
「クト、誰も侵入れるなよ」
クトは頷き、書庫の外に出る。

アピクは無言のままルナテの幻影についていった。

ああ、頭が痛い。

Re: 逆十字の聖魔戦争 ( No.115 )
日時: 2017/07/01 15:01
名前: ぜろ&カイ&クゥ (ID: N9DlcNaW)

先ほどはありがとうございます!
面白い話ですね。
これからも頑張ってください!



Re: 逆十字の聖魔戦争 ( No.116 )
日時: 2017/07/01 19:44
名前: そーれんか ◆2VcP.GZKgI (ID: qESkNdgF)

おお!見に来て下さってどうもありがとうございますヾ(:3ヾ∠)_頑張ります!


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