ダーク・ファンタジー小説
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- 神が導く学園生活
- 日時: 2022/09/25 12:31
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: SEvijNFF)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12800
初めましての方は初めまして。こんにちはの方はいつも私の作品を見て下さりありがとうございます!
今回ファンタジー物に挑戦してみようと思いまして、このスレを立てました。しかし、いざ作品わ作ると私が書いてる既存の作品「裏の陰謀」と既視感があるように思えてしまいまして…… 難しいものですね(苦笑
〇小説大会2022・夏 ダークファンタジー板銀賞受賞。ありがとうございます。ありがとうございます。
さて前座はここで終わりまして注意書きです。
◤◢◤◢注意◤◢◤◢
○文才がありません。分かりにくい描写が多々あるため、その際は教えて下さると嬉しいです。
○グロ要素があるため苦手な方は閉じてください。
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【記録】
登場人物 生物紹介 >>2
世界の魔法と、国ランクと学園ランク、学年 >>5
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【物語】
プロローグ >>1
【第一幕】
大きな秘密を抱えた4人の学園物語。
第一章 入学式編
>>3-10
第二章 ファミリア編
>>11-13
第三章 日常、コウ編
>>14-16
第四章 日常、剣編
>>17-19
第五章 ダンジョン編
>>20-31
- Re: 神が導く学園生活 ( No.8 )
- 日時: 2022/01/24 11:22
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: ae8EVJ5z)
《クロ》
ヌルヌルしている。手足がツタで縛られ、このヌルヌルしている液体は消化液だと本で見た事がある。
そしてこの植物の名前は幻影草 。巨大な葉が重なり合っている植物で、全生物が食物対象。獲物をトラウマから救い出す感覚の電波を出して誘い込み、捕まえるとヌルヌルの消化液を出し獲物を溶かす。そして消化中。獲物を暴れさせないようにトラウマを見させるのだ。そのため別名トラウマ草とも呼ばれる。ちなみに雷系統の植物だ。
って、知識をひけらかしてる場合じゃない!
俺の記憶が正しければこれからトラウマを見せられるんだ!
俺はこのまま死んでしまうという漠然とした不安と底知れない恐怖が襲ってくる。
するとどんどん意識が遠くなって言って……
俺はそこで気を失った。
ーーーーーーーーー
生まれた時。俺は純血の牙狼族の母のお腹から生まれた。母は高貴な貴族に飼われている牙狼族。父親はその飼い主だ。
そのため俺は人間と牙狼族のハーフということになった。
俺にも兄弟が居た。4人ほど。しかし、4人全員異型で、目が1つだったり、立つ牙狼族だったり、魔素が暴走したり。兄弟の中で唯一人型で、知能も人並みにあり、気が抜いたら出てきてしまう耳としっぽ以外を除けば人に見える見た目だった。飼い主である俺の父は俺の事を大層気に入ったようで、他の兄弟達は殺されてしまった。そして、母親である牙狼族に乱暴し続けていた飼い主の父。ついに母はキレたのか父に襲いかかるが、母は父に殺されてしまった。能力のリミッターを外せばあんなクズ父なんて一瞬で殺せるが、それをする前に殺されてしまったのだ。
それ以来、俺に対するあたりも強くなり、毎日虐待される日々を送っていた。
ある日、噂を聞いた貴族が通報したらしく、父は逮捕された。そして俺は貴重な牙狼族のハーフであるため、国から大きな支援を貰いながら生活していくことになったのだ。
しかし今でも離れない。異型でも愛し合った兄弟達が殺されてしまう瞬間。兄弟が俺だけになっても真摯に育ててくれた母親が殺される瞬間。
許さない。許さない。許さないっ!
しかし、兄弟、母の仇である父もこの世に居ない。絶滅危惧種の生物を殺した上、子供に虐待をする。そして、牙狼族のハーフでも人権はあるらしく、俺らの兄弟を殺したことにより、殺人、虐待の罪を問われ死刑にされてしまったのだ。
あの時俺はどうしたら良かったんだ?これからどうしたらいいんだ?
なぁ。教えてくれよ母さん。皆。
俺の心が悲しみの濁流で溢れてくる。そして頭がどんどん白に覆われていき……
ー何も考えられなくなった。ー
ーーーーーーーーー
《コウ》
「くっ、何この葉っぱ!ツルツルして気で引き裂けないんだけど!」
タミが嘆きながら気魔法を連続で出している。そんなにだせる魔素はどこからきてんだ。
かく言う俺とラナは葉に相性はいいためスムーズに葉をどかしていく。
俺たちは今、クロが囚われているであろう幻影草を攻撃している。葉をどかしている途中。変なビジョンが頭に流れてくる。これは…クロの記憶?
「え?え?クロの記憶が頭に流れてきてるんだけど!どゆこと!」
タミが魔法を辞めドタバタとしている。とりあえず魔法を続けてくれ。
それにしてもなんでこんな映像が脳内に流れてくるのか。
「幻影草は……自己防衛のため、消化を妨げるものには……トラウマを見せる。だけど、幻影草も……そんなに器用じゃない……だから消化中の人物のトラウマを見せるの。」
なんだそれ。残念な生き物図鑑に乗りそうな性質。それにしてもクロが牙狼族のハーフで、こんな壮絶な過去があったとはな。少し同情するぜ。
すると
「グァァァァァァァァッ!!」
何かの、狼の叫び声が聞こえた。なんだ?!奇襲か?!
すると、クロが閉じ込められていたであろう場所から猛スピードで葉を破りながらとっしんしてくる。俺たちはそれを辛うじてかわす。
「何何!一体なんなの!」
タミが叫んで余計混乱する。そんなん俺が聞きていわ!
目の前には、髪の毛が逆立ち、制服は所々破れ、黒髪に耳としっぽを生やした俺らの2倍ある身長の化け物がいた。
いや、化け物……じゃない?この姿には見覚えがある。もしかしてコイツ……
「「「クロ……?」」」
3人の声が重なった。そう。目の前にいる化け物はクロだった。
>>9
- Re: 神が導く学園生活 ( No.9 )
- 日時: 2022/02/06 04:27
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: kJLdBB9S)
「くっ、クロ?クロだよね!」
タミがクロ...と思われる獣に声をかける。しかし、
「グァァッ!」
獣が黒い5本の爪を立ててタミを襲う。タミは瞬時にそれを察知し、バックステップするが、顔に傷が着いている。どれだけその爪は切れ味が良いんだよ。
それに...
「大量の魔素で溢れかえってる...」
ラナが呟く。そうなのだ。獣が高濃度の魔素で溢れかえっており、苦しく、近づけない。
「ねぇ、これってどうするの?!どうしたらいいの?!」
タミが慌てている。そうだな...
「逃げた方がいいかもしれねぇ。これは俺たちの手には負えない。」
俺はなるべく冷静に言う。逃げて先生達に抑えてもらうのが今のところ1番最善だ。
「そうね。」
ラナも賛同し、俺とラナは獣から離れる...が、ここに逃げないバカが1人。
「壱・電流っ!」
その瞬間ラナの半径3m程の範囲の魔素が複数の細長い電気になり、獣に攻撃する。
壱・電流は...雷系統の電魔法だな、やはりタミは雷系統使いだったようだ。
て、解説してる場合じゃねぇ!何やってるんだタミ!
「おい!何やってるんだ!逃げるぞ!」
俺は焦って大声でタミに忠告する。タミは俺の忠告を無視し、次は気魔法を連続で打ちまくっている。
「逃げれるわけないじゃない!友達が酷い姿になってるのに!クロが気絶するまで私はここをどかない!参・気斬!」
タミは気魔法の最上級の魔法を連続で出しながら攻撃する。しかしクロには全く効いていない。
クソ、このまま逃げたらタミが倒れちまう...
仕方がない
「ラナ!俺達も参戦しよう!」
ラナは顰めた顔をするが、
「...」
ラナが手をかざすとクロの体の所々に氷が生成され、クロにぶつかる。ドゥ・グラソンか。氷魔法の中で中ぐらいの威力の魔法だが、敵単体を攻撃するのに長けている。
よし、俺もやるか。クロを気絶させるためには高火力の魔法を出すしかないか。
「ロゥワ・ブレイズっ!」
俺は頭の中で炎がクロを包み込むイメージをして、手をかざす。しかし、その魔法は手の中でボッと小さい爆発がするだけだった。
な、何でだ?!
「空気中の魔素は魔素を貯められる器が多い生物順に取り込まれる!クロは今私たちの中で1番大きな器を持ってるから空気中の魔素がクロに取り込まれてるのよ!だから体内の魔素で何とかしなくちゃならないのよっ!」
なるほど、だからタミは今最底辺魔法の気魔法しか使えないのか。ラナも同じで、アン、ドゥ、ロゥワ魔法しか使えていない。
嘘だろ...?俺の体内には魔素が一切ない。要するに外の魔素頼りで魔法を打っているのだ。俺は体術で戦うしかないか。と言っても俺は体術なんて出来っ子しない。となれば...
俺はそこら辺の石を取って、獣の後ろに回る。そして、その石を投げる。すると獣は俺の方へ突進し、攻撃を仕掛けてくる。
魔法が、使えない。そうなるとヘイトを買ってなるべく2人の邪魔にならないようにするしかない。
俺は死ぬ気で獣の攻撃を交わしていく。大きな爪で襲ってきた時はしゃがみ、拳で上から潰してこようとする時は左右に転がり避けていく。
「気斬!気斬!気斬!気斬!」
タミが空気を操り複数の半月形の空気の攻撃を仕掛ける。ラナも同じくロゥワ・グラソンを打ちまくっている。
タミは天使の派生のエルフだから、生まれつきの体内の魔素が大量のため、いくら攻撃しても大丈夫なのは分かるが、人類(?)であるラナは大丈夫なのだろうか?天使や、エルフほどでは無いが人類も体内にある程度の魔素があるのは知ってるが本当にほんの少しだ。それが無くなると死んでしまう。
これ以上ラナが魔法を使うとラナが危ない...!
「気斬!...あれ?気斬!」
タミがさっきの俺と同じ魔法が使えない状態になる。多分体内の魔素を使い切ってしまったのだろう。となると...攻撃出来るのはラナだけになってしまった。
「ラナ!逃げろ!死ぬぞ!」
俺はクロの攻撃を避けながらシンプルな言葉で忠告する。しかし、ラナは動かない。
ー逃げろって言ってるだろ!
そう苛立ちを覚えてきたら...
「グァォォァァァ!」
獣の拳が俺に向かってくる。あ、これは不味い。
俺は自分が潰れてぺちゃんこになってしまうグロテスクな光景が浮かんだ。
折角...折角人間の街に来れたって言うのに...
「...やるしかない。」
すると俺の目の前にラナが立ちはだかる。
俺は驚きと同様で溢れていく。
「なっ、何やってんだラナ!人類はどうしようもないぞ!」
ラナは両手を広げ俺の方を向く。
「コウも''人類''なんでしょ?」
ラナはそう言って表情を変えない。変えてないはずだが、何故かその顔に怒りが滲み出ている気がする。
するとラナの体に変化がおこる。
肩までの髪は腰までのストレートな髪になり、髪先は青色から赤色に変わる。
白銀の髪がキラキラと、輝いてクロにまとわりついていた魔素が一気にラナへと向かっていくのが分かる。
嘘だろ?いまのラナは獣以上の器を持ってるってのか?
「...」
ラナが手をかざすと獣の地面から炎が渦巻いて天に登っていく。俺もまだ使えない炎魔法。弐・炎天だ。しかもかなり魔素が濃い魔法だ。
魔法は魔素が濃ければ濃いほど威力が上がる。
この濃さは国家のエリート魔法使いの集まり、国家宮廷魔道士程の威力がある。
それに、人類は1つの魔法系統しか使えないはずだ。なんでラナは水系統と炎系統の魔法が使えるんだ?新種の生物なのか?
俺は分からないことだらけで混乱している間に獣は倒れ、ドスン!と大きな音を立てる。
そして、シューと、魔素が獣から抜けていく音が聞こえる。そこに居たのは...
黒い耳とふさふさのしっぽが生えたクロだった。
もしかして、クロはあの絶滅危惧種の牙狼族だったのか...?
>>10
- Re: 神が導く学園生活 ( No.10 )
- 日時: 2022/02/06 02:23
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: kJLdBB9S)
《クロ》
真っ暗な深海の中。もがいてももがいても出られない何か。それがもどかしくてイラついてしまう。
ーもう疲れた。
このまま大量の魔素に身を任してもいいのではないだろうか?
そう思った瞬間。
俺の身が炎に包まれ、絡まっていた何かが燃えて消え去っていく。そうして無防備になった俺に差し出される白くて艶やかな手。俺は無意識にその手を掴んでしまった。
すると今までの苦労はなんだったんだと笑えるほどズルズルと上へ引きづられていく。
この手は…この感触は…ラナ?
次の瞬間俺は目が覚めた。すると目の前にラナの顔がドアップで表示され、頭には柔らかい感触、額にはひんやりとした手が乗っている。
え?え?!なんだこれ?!
俺は照れと驚きですぐさまそこをどいた。
見るとラナは無表情で俺を見つめる。
ーもう少しあのままで居ても良かったかもな
と、少し後悔をする。
「アンロウさん。目が覚めましたか。」
赤髪にきっちりとしたスーツ。俺たちの担任の先生が近づいてくる。
「アンロウさん。貴方は獣化して暴れてていた所をガベーラさんとセキマさんとローズさんに助けられたんですよ。」
「助けました!」
先生が話すと後ろにいたタミが空気をぶち壊すかのように元気に返事する。タミって気魔法使いなのに空気は読めないんだな。
「まぁ…なんだ。クロ。お前も大変だったんだな。」
コウが気まづそうに俺に話しかける。なんでそんな罰の悪そうな言い方なんだ?
「クロが幻影草に捕まってる間…私達にクロのトラウマが流れ込んできた。」
ラナが淡々と告げる。あぁ。幻影草の効果なのか。ってことは、俺が牙狼族のハーフであることもバレた上に幼少期の思い出もバレたのか。なんか恥ずかしいな。それよりも…
「先生。獣化って何ですか?」
俺は今までこのように暴れることは無かった。それに暴れていたであろう記憶が曖昧だし…
「獣化というのは牙狼族特有の能力です。何らかのきっかけでリミッターが外れると外の魔素で溢れかえり、強靭な肉体を手に入れることが出来ます。しかし、獣化に慣れていないと理性が失われるんです。」
獣化…俺の牙狼族の能力なのか。俺は自分の両手を見る。
俺に入っている母さんの血。きっとその力だろう。この力は唯一母さんを感じられる力。俺は自分の手を胸に当てた。
ーーーーーーーーーーー
ー放課後ー
学園生活初めての放課後。家の学園は寮制の上に学園都市があるため教室に入り浸ってる人が多かった。
そして俺達4人は集まって居た。
「でさっ、皆のランクは?」
特に何も話さなかった俺たち4人。その中沈黙を破ったのはタミだった。
「俺はFランクの黄梅だった。」
コウが呟く。Fランクは妥当として、黄梅は凄いと思う。下から2番目のランク。基本入学したてだと白梅が多いが、その上ということはコウは優秀ということなのか。まぁ…
「俺もコウと同じ。Fランクの黄梅だ。」
俺はリミッターを外すと大量の魔素や筋力が得られるからこの高いランクになったんだな。
「私もFランクの黄梅だよっ!」
タミは大量の魔素が体内にある上に上級の雷系統魔法使えるからな。納得だ。
黄梅である俺、タミ、コウはリボンとネクタイが黄色になっている。
「私はFランクの白梅」
ラナはボソッとつぶやく。比較的一般的なランクだな。でも、納得が行かない。リミッターを外した俺を一撃で倒した筈なのになんで一般的なランクなんだ!俺よりもランクが上であるべきだろう!
「よし先生に抗議しよう。」
俺はすぐさま職員室に行こうとする。
「まてまてまてまて!何故そうなる!」
コウが俺を止める。いや、当たり前だろう。ラナのランクが白梅なんだから。
「クロ…もしかしてラナのランクのこと気にしてる?」
タミは無駄に勘が言い様で俺が思ってたことをすぐさま察する。
「いや、私は大丈夫だから。辞めて。」
「分かった。辞める。」
俺はラナのやめてという言葉にすぐさま反応しラナの隣に座る。なんかどんどん牙狼族みたいになってきてるが…いいよな!俺牙狼族のハーフだし!
「クロがなんか開き直ってる気がする…」
「タミお前本当勘いいな」
コウも俺と同じことを思ったらしい。タミはふふんと鼻を鳴らした。
「クロ。そういうのやめて」
ラナが困ったような顔をする。あぁ…困った顔も美しい。これは国が守るべきの顔じゃないのか?ラナが笑ったらどれほど美しくなるのだろう。
「なんか、私の下僕というかペットになっちゃってるから」
「俺は全然構わないのだが?」
俺はラナの問いかけに即答する。逆に下僕の方が嬉しいしラナのサンドバッグに成り下がっても良い。逆に嬉しいぐらいだ。
「ねぇねぇコウ。クロが気持ち悪いんだけど」
「タミ奇遇だな俺も思った。」
ちょ、なんだよタミ、コウ!失礼だぞ!
別に気持ち悪くないよな?ラナ?
という意を込めてラナの方を見る。
「…気持ち悪いから辞めて」
俺はその言葉に衝撃を受けた。俺が…気持ち悪い…?
嘘だろ…そんなわけない。コレが普通だろう!
「いや、あの、同じ目線でいて欲しいというか…」
「分かった。」
俺はまたもやラナの要求に即答する。ラナの要求ならなんだって叶えてやる。同じ目線でいて欲しいならそうするか。
「この中で常識人って私だけなのかも…」
タミが呟く。
「「いや、タミは変人に入るだろ」」
俺とコウの声が重なる。タミはええっ!というポーズをとり口をあんぐりと開けている。
うんそういう所だな。
「はぁ…この先の学園生活が不安。」
ラナが呟いた。俺はラナが居る学園生活なんて舞い上がりそうだけどな。
そんなオーラを3人は感じたのか苦笑いをした。
そ、そんな目で俺を見るなよ!おい!おーい!
入学式編 ~完~
- Re: 神が導く学園生活 ( No.11 )
- 日時: 2022/02/06 04:32
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: kJLdBB9S)
第二章 ファミリア編
《コウ》
「では、授業は以上となります。次の授業はファミリア召喚となります。召喚部屋に集まるように!それでは!」
先生こと、担任のヘル先生はそう言い残すと教室を出ていった。次の授業はファミリア召喚か…学園生活の中で5本指に入るほどの重大行事だ。ファミリア召喚。まあ簡単に言うと使い魔召喚だ。妖精を召喚して自分の使い魔にする行事。
と、その前に昼飯だな。昼飯は俺の手作り弁当だ。と言っても自慢できる友達も居ないんだがな。
友達がいない俺は自分の席で1人で食べようと…していた。
「イヤッフゥ!授業終わったー!コウのお昼ご飯はなになにー?」
「あぁ。いつもと同じ弁当だが…て、なんでタミは自然と俺の昼飯タイムに割り込めるんだよ!」
俺ら友達未満知り合い以上のような関係だろ?なんでそんな慣れ親しんだ友達と昼飯食べる時のようなノリで俺に近づけるんだよ!
何気に俺1人で居たいオーラ出てたつもりなんだけどな?!友達いない陰キャです感だしてたつもりなんだけどな?!
「あ、ラナとクロも呼んだ方が良かった?おーい!そこの主従の2人ー」
「違ぇよ!1人で居たいつったの!」
こいつ空気読めるのか読めないのか分からねぇやつだな!
タミが主従2人こと、なんか話していたラナとクロを呼ぶ。何だかんだでいつも一緒なんだよなあの二人。いや、ラナがクロを引き剥がそうとしても剥がれないから諦めた感じか。同情するぜ、ラナ。
「誰が主従よ。で、なんの用?」
「俺は主従でも構わないのだが?」
ラナはイラついたような顔をクロに見せつけるがクロは諸共せず逆に喜んでいるように見える。
1歩譲ってに普通のやつを連れてくるのは分かるが、なんでこんな変人と変態を呼んでくるんだよ…
「お前今失礼なこと考えてなかった?」
クロに凄い圧がある顔をされる。その通り過ぎて俺は焦ったが、とりあえず横を向いといた。俺は関係ないという意志を示すために。
「まあまあいつもの仲良し4人組が集まったことだし弁当でも食べようよ!」
仲良し4人組って…
俺は初めて聞いたことに困惑する。
「俺たち知り合い以上友達未満だろ?」
俺がそんなことを言うと場がシーンと静まり返る。あ、これまずいこと言ってしまったパターンか?
クロとタミはキョトンとした顔をしている。い、いや!でもラナは…ラナは無表情だ。何考えてるのか分かんねぇ。
やばい俺まずいこと言ってしまったのかもしれねぇ。
「私たち友達じゃなかったっけ?」
タミがキョトンとした顔で沈黙を破る。いいえ友達未満の関係だった気がします。
「俺とラナは友達以上だけどな。」
「え、ってことは親友?」
「そうだ。俺とラナは親友だ!」
「なにそれ羨ましい!」
クロとタミはバカバカしい茶番を繰り広げる。てかラナとクロの話は聞いてねぇっつーの。ラナはいつまでも無表情だが、なんか焦りの感情を感じる。そりゃこのまま行ったらクロと離れたいラナとクロの関係が親友ってことになっちまうもんな。
「違うわ。」
クロとタミが繰り返す茶番にラナは終止符を打つ。あれ、なんか嫌な予感するのは俺だけかな?
「私たち4人は親友よ。」
コイツ…クロと親友になりたくないからって俺達まで巻き込みやがったな…
「おぉ!そうだね!私たちは親友4人組!」
タミが顔をパァっと輝かせる。
くそっ、タミのせいで親友否定しにくい空気になってしまったじゃねぇか!
そうだ、クロは?クロ!お前なら不満言うはずだろ?頼む言ってくれ!
「4人組で親友…ってことは間接的に俺とラナも、親友…うん。俺達は親友だ!」
クロも、タミ同様顔をパァっと輝かせる。
なんだよ!ラナのやつこうなることまで予想してたな!
ラナは仲良し4人組を結成することでクロを引き剥がす事ができる。
クロは間接的にラナと親友になれて万々歳。
タミはみんなと親友になれてこいつも万々歳。
不満があるのは俺だけってかよ…
皆もそう思ったのか自然と3人の視線は俺に向けられる。特にラナ。圧が大きすぎる。
「お、おう…俺達は…親友だ…」
俺は嘆きに近い親友宣言を掲げた。クロとタミは小躍りするほど喜び、ラナはほっと胸をなで下ろす。
おいラナ。これは俺の犠牲があってこそ成り立つんだからな?これは貸1だぞ?
と、言う思いを含めた視線をラナに向けながら弁当のおかずを食いちぎった。
>>12
- Re: 神が導く学園生活 ( No.12 )
- 日時: 2022/02/23 18:12
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: Ga5FD7ZE)
《クロ》
「それではファミリア召喚を始める。」
白髪に黒のメッシュが入り、長いポニーテール。鋭い目に、1番目が引くのは…頭の黒い角だ。
黒い角といえば悪魔の象徴。思い描いただけでも吐き気がする。
それが先生に着いているということは…
「俺の名前はチェック・トイフェル。見ての通り悪魔だ。」
悪魔…!殺さないと。
俺を含める生徒全員は攻撃を構える。全てトイフェルに向けてへの攻撃だ。魔法を構えるものもいれば剣や槍を構えてる人もいる。しかし、構えてないのはラナとコウの約2名だけだ。
なんで悪魔がいるのに攻撃を構えないのだ?いや…ラナが構えてないのならば俺も構えないべきなのか。いや、悪魔は殺すべきだ。
俺は構えている闇魔法の威力を更に強める。
「はぁ。毎年毎年騒がしいことだ。来るならこい。」
すると俺ラナ、コウ以外の生徒全員がトイフェルに攻撃を与える。闇魔法、土魔法、風魔法。様々な魔法の他、槍や弓矢等が飛んでいく。俺は…攻撃出来なかった。悪魔よりラナをとってしまったのだ。不甲斐ない…
それよりもアインスは力が弱いもののここには1000人もの生徒がいる。流石に溜まったものじゃないだろう。
「ふん。」
するとトイフェルの周りが闇で覆われる。あれは…闇魔法最上級魔法 参・闇時?空間や時間を操る魔法であるため、空間を遮断して攻撃を防いだり、跳ね返したりできる。
そんな魔法が使えるなんて…何者だ?
「これで分かったか。これが俺の力だ。分かったら構えを外せ。無駄な事だ。」
今の出来事にぽかんとした俺らは仕方なく武器や魔法を下ろす。
「さて自己紹介しよう。国家宮廷魔導師の悪魔。チェック・トイフェルだ。チェック先生と呼ぶように。俺は特別に悪魔として国家宮廷魔導師に着いている。毎年正道光魔法学園のファミリア召喚を担当している。」
悪魔が…先生?考えたくもない。なんで悪魔なんかが国の有数の魔道士、国家宮廷魔導師についてるんだ。国は何をしている?意味がわからない。
「そして、俺に攻撃をしなかったそこの2人」
するとラナとコウにスポットライトが照らされる。これは候魔法?
そうかトイフェルは悪魔だから闇魔法と、個人の適正魔法が使えるんだ。なんで悪魔なんかが2つの属性の魔法を使えるんだ…
それよりもラナとコウは大丈夫なのか?!コウはともなく、ラナは何がなんでも守らないと…!
「な、なんですか…」
コウは僅かな抵抗として先生を睨みつける。ラナは何もせずに黙っている。もしかして緊張しているのか…?
「ほう…これはおもしろい。」
するとトイフェルがコウに近づき、顎をクイッと上げる。コウが危ないな…一応魔法は構えとくか。
「君はなんでここにいるんだい?」
「…」
トイフェルの問いかけにコウは黙っている。コウは…怯えている…?
「ふむ。じゃあ何歳だ?」
「10歳だ。」
トイフェルの問いかけに次はちゃんと答えるコウ。いや、俺らアインスだから10才しかここにいないんだが…
「そうか。俺は500歳だ。若造。」
トイフェルはコウの顎に添えていた手を振り払うとはははと笑いながら言った。
「まあ、裏切り者同士仲良くしよう」
「それってどういうことですか」
コウは威嚇とも捉えられる鋭い言葉をトイフェルにぶつける。トイフェルは鼻を鳴らすと次はラナに近づいた。
なっ…!ラナには近づかせないぞ…!
「ドゥ・オプスキュリテ!」
俺は精一杯の闇魔法をトイフェルにぶつけながらラナの前につく。
「おやおや、王子様が現れてしまったよ…いや、番犬と言うべきか?」
トイフェルは俺の魔法を軽々消した上でケラケラと笑いながら俺たちを見る。番犬って…牙狼族だということがバレたってことか?いや、そんなはずは…
「で、白髪に緋色の目の君。君は何者だい。」
トイフェルはラナに問いかける。俺が守っているためか、それともからかっているのかトイフェルはわざとラナに近づかずに問いかけた。
「私はラナンキュー・ローズ。人間です。」
ラナは動じることなく無表情で淡々と告げる。
さすがラナだ…!正体不明の悪魔なんかに怯えず堂々といるだなんて…!
「そうか。少なくとも俺はローズのような容姿の種族は知らない。」
「私は人間です」
「人類か…まあそういうことにしてやるよ」
トイフェルはやれやれとした動きをしながら定位置に戻っていく。
「いや、今年は俺に攻撃しないやつが2人もいて驚いた。例年は全員俺に攻撃してたからな。まあ、そんなことは置いといて召喚やるぞ。」
トイフェルは何かの魔法陣が複数書いてある場所に立つ。
「今からこの魔法陣でファミリアの召喚を行う。ファミリアとは、今から俺たちが奴隷として扱う妖精だ。そいつを召喚して1年契約を結ぶ。その間に使いこなせ。」
妖精…か。聞いたことはあるが会ったことはないな。なんせ温室育ちなものだから。確か人類以上に知能を持つ妖精や魔物のように知性なく暴れる妖精など様々な妖精がいるらしい。俺はどんな妖精がファミリアになるのだろうか…
「やり方は簡単だ。この魔法陣に立ってファミリアが欲しいと願え。そしたら現れるだろう。以上。クラスが書いてある魔法陣に出席番号順に並べー」
結構簡単なんだな。なんか長い呪文を詠唱しなきゃ行けないとか高難易度の魔法を唱えなければならないとレッテルを貼っていたがどうやらそうでも無いらしい。
そして複数魔法陣があるのも1000人の生徒をさばききれないためだろう。
俺は自分のクラスの最初あたりに立った。なんせ名前の頭文字が「あ」のため出席番号は前から数える方が早い。
前の人達は魔法の上で俯くと光に覆われ、気づいた時には目の前にファミリアがいる。という状況だ。俺もあんな風になるのかな…あ、俺の番が来た。
俺は魔法陣に歩みを進めようとする…前に
俺はトイフェルに気づかれないように無口頭魔法をトイフェルにぶつけた。しかしトイフェルはそれを容易く消してみせる。
やっぱり無口頭魔法は威力が低くなってしまう。
「無駄な事しないで早く行け」
トイフェルは俺に鋭い目付きをし俺を見つめる。俺は軽く舌打ちをすると素直に魔法陣の上に立つ。もし俺が襲われてもラナが守ってくれる…はず!
俺は少し恐怖を覚えつつ目をつぶり心でこう唱えた。
『ファミリアが欲しい。特にラナのような!ラナの様な!』
そう唱えた瞬間俺の周りが光で包まれる。あれ、それにしても俺の周りの光他のみんなより強くないか?
眩しすぎたため俺は目をつぶったが、まぶた越しでも明るさが俺の瞳を指す。
「ほう。おもしろい…」
トイフェルがふふっと呟く。
聞こえてるからな!いいから何とかしろよ…!
俺はそう思った瞬間どんどん光が薄れていく…
俺はうっすらと目を開けると…そこには…
何かがいた。
えと、トカゲみたいで手足と羽が生えてて角が生えている。色は緋色の目に白色で羽や手足はうっすらと水色になっている。
なんだ…この生物は…?
「ほお。これは…竜だな。それに見たことがない竜だ。犬っころよ。一体何を願ったのだ?」
いや、特にこれといったことは思って無いのだが…
「どうせラナみたいなファミリアが欲しいとでも思ってたんじゃない?」
俺の召喚で周りがシーンと静まっていた中タミの澄んだ声が響き渡る。
確かにその通りだがそれのどこがおかしい事なんだ?
「このっ、バカ!」
するとトイフェルが俺の頭を拳で殴る。
「いてっ」
俺は結構痛かったため思わずそう言ってしまった。なんで殴るかなぁ。
「ファミリアは本人の意思に左右された妖精が現れる。しかし、ローズのような得体もしれない奴が欲しいと願ってみろ!思いの強さによっては新種の生物が現れたりするんだぞ!」
「んな事聞いてねぇよトイフェル!」
「チェック先生と呼べと言ったろう!」
それにしてもさすがラナだ。俺が願っただけで新種の妖精を現すことが出来るだなんて…!
「あぁ、もういい、鑑定してみるか。」
するとトイフェルが俺の竜?に手をかざす。
するとトイフェルのてから魔法陣のようなものが浮かんできた。
「竜。名前なし。属性不明…か。お前本当飛んでもない竜を呼び出したものだ…ファミリアは本来妖精を呼び出す儀式なのだがな…」
トイフェルは俺たちの前で初めて困った顔を浮かべる。
うん!さすがラナだ!ラナのおかげだ!ラナ最高!
「お前…何考えてるんだよ…」
次はファミリアは俺に呆れた。
え、おい。俺に呆れる所なんてあったか?
トイフェルはハハッと笑うとファミリアの竜を、俺に差し出してくる。
「竜とはいえお前のファミリア。奴隷だ。好きにするといい。まあ力は未知数だがな。」
俺の…奴隷。いや、ラナのような竜を奴隷になんてできない。逆に俺が奴隷になる側だ。俺は竜の前で跪いた。
「バッ!お前何やってるんだ!」
俺はトイフェルにまた殴られた。なんかい殴れば気が済むんだ?!それに悪魔と言っても教師が殴っていいのかよ!
クソっこれで攻撃が効かないから憎たらしい!
「ラナの竜なら頭を下げるのが当たり前だ」
「これはお前の竜だ!あぁもう。なんで新種の竜を呼び出したやつがこんな変態なんだよ…」
ファミリアはそうして頭を抱える。なんで俺は変態って言われるんだよ…!
「キャウッ」
竜はそう声を鳴らすと炎を口からボワっと出す。炎系統の瞳に天系統の純白な鱗に水色の羽や足の鱗。本当ラナみたいだよな!可愛いし美しいし麗しい!
俺は思わず竜を抱きしめてしまう。
「キュウ…!キャウッ!」
竜は苦しそうな声を上げるが、いつもラナには避けられるから抱きしめられた嬉しみを噛み締めた。
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