複雑・ファジー小説
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- 復讐 5年の歳月を経て……
- 日時: 2011/07/28 17:45
- 名前: コーダ (ID: n/BgqmGu)
え〜…皆様初めまして!!コーダと申します!!
このたびはこちらの小説カキコで私のオリジナル小説を投稿していきたいと思っております。しかし、過度な期待はしないでください。あっ、こんな小説かぁ…程度の期待で良いです。
小説の内容は刀と魔法のファンタジーだと思います。(私でもジャンルが少々わかっていない。)時にはこれファンタジー?という物もありますがそこは温かい目でスルーしてください。
小説に登場する人は人間や獣人、巫女などさまざまです。
それでは、これで長ったらしい挨拶を終了します。小説のほうは編集が終わり次第投稿いたします。
それではまた〜!!
なんと参照が400を超えました!なんという出来事……これは、夢?幻?読者様!ありがとうございます!
謎の企画へ→>>91
※お知らせ
これから、大規模な文章訂正を行います。なので、いつもの書き方から、一気に変わります。
しかし、更新も同時並行に、行っていきますので、ご安心ください。
※お知らせ2
そろそろ、溜まっていた小説のコピーが終わりそうになってきました。
なので、これからは地道に作成作業もしていくので、更新速度は遅くなりますことを、お知らせします。
※お知らせ3
突然ですが、私小説を掛け持ちしました。なので、こちらの小説はとんでもなく更新が遅くなると思います。
※追記1
私の小説は戦闘描写が多いので”血”や”死”などの表現が多少ありますのでご報告いたします。
※追記2
秋原かざや様に私の小説を宣伝していただきました。本当にありがとうございます!!
宣伝文章を下記に記します。
————————————————————————
もう、今となっては過去になるが、俺は昔、復讐しか頭になかった男だった。
これから話すことはウソ、偽りは全くない……復讐のきっかけ、復讐符の終止符、これからについて……隠さずにここに記すとする。
「東牙(とうが)殿!! 今日はお祭りですぞ!!」
「騒がしい爺さんだな……どうせ規模の小さい夏祭りだろ?」
屋根が全て瓦で覆い尽くされ、玄関の正面には立派な門構え。
外から見ると、縁側にたくさんの襖が見えた。
始まりは、その小さな夏祭りでの出会い。
「だーかーらー!! なんでこの商品は、何度撃っても倒れないのよ!? おかしいでしょ!?」
「おかしいたってお嬢ちゃん? 倒れないもんは倒れないんだよ」
「いーや!! 絶対なにか細工しているに違いないよ!!」
「おい……俺は女だからって手加減はしないぞ……」
「そっちこそ覚悟は出来てるの!? 私に逆らったことを深く後悔させてあげるんだから!!」
そういって、少女は。
「グリモワールオブエレメント・サラマンド、第1章「バーンストーム」!!」
東牙の足下に現れたのは、六角形の魔法陣。そこから激しい炎が噴き上げた!!
————ひとつ、話をしよう。
ある家に決まりがあった。
それは、破ってはならぬ厳しい掟。
『他人に振り回されず、自立して生きる』
その家の者を勝手に振り回すことは、斬られても文句は言えない。
また、自分から振り回されてしまえば、自分が死刑となる。
そんな厳しい掟があった。
そう、俺がいた鞘嘉多家は、そんな厳しい掟があったのだ。
「一体どうしたんですか?」
「それがですね……今日の朝、蓮花お嬢様が誘拐されてしまったんです! 犯人は、確か……“鞘嘉多”と言ってましたね」
幼い俺が彼女、蓮花(れんか)に振り回されてしまったことがきっかけで……。
「ちょっとそこの爺さん!! 私をどうするつもりなのよ!?」
「おやおや……お嬢ちゃんは、自分がどんな状況か分かっていないようですな。……我々鞘嘉多家後継者、鞘嘉多 東牙殿を引き連れたという罪で、公開処刑ならぬ公開死刑になろうと」
「!!」
「聞け貴様ら!! 俺は鞘嘉多の決まりを反対する!! そして俺は自分の名字を捨てて完全に鞘嘉多の縁を切る事にする!!」
家との縁を切る事を決意した。
「ああもう!! じれったいわね!! この際、敵か味方かとっとと決めちゃいなさいよ!! せっかく東牙は覚悟決めて、ここに殴り込んでいるのよ!? あんたも覚悟くらい持ったら!?」
「……ふふ……わたくしとしたことが子供に説得されるとは思いもしませんでしたわ」
————そして、5年の歳月が経った。
俺の視力は落ち、眼鏡をかけることとなったが、ここから、俺の復讐が始まる。
「(一体どうなっているんだ……北の都会街と言っていたが……ちっ、早いとこ解決しないとな……)」
「佐々凪(ささなぎ)殿!! 反対関係者が守りの姿勢に入りました!!」
「科門奥義第伍目『円斬刀(えんざんとう)』……!!」
「こんなんじゃぁ、東牙に顔見せられねぇよ……」
「世の中何が起こるか分からない……だから勝つまで絶対油断はするな。良いか?」
「佳恵……さん? もしかして佳恵さんですか!?」
「その声、私が忘れるはずありません……東牙……東牙—!!」
「……ふんっ、さすがだな、鞘嘉多四天王の1人……」
「もう少し違う形で出会っていれば仲良くできたのにな……」
「四天王だから? 四天王だからという理由で、東牙は人を平気で殺すのですか!?」
「おい、指示が出てないのに、長距離狙撃銃を撃つ馬鹿がどこ居る?」
「み、見たのか……私の体を……」
「おっ……これはなかなかの味……」
「だろ? この味を分かってくれる人が居て俺は嬉しい」
「……すまなかった……まさか東牙がその……そういう人だと知らず……そして私を敵としていたなんて……」
「(ちっ……動け……動けよな……)」
「そこにいるのは誰だ……」
—————————————————————チリリン。
オリエンタルな東方風世界を舞台に、刀と魔法が彼らの運命を斬り開く!!
剣戟あふれる復讐劇の先に、辿りつく未来とは……。
【復讐 5年の歳月を経て……】
現在、複雑・ファジースレッドにて、好評連載中!
「あ〜あ……自分も警視みたいに綺麗で家庭的な人欲しいですよ〜〜」
「そんなもん俺に相談すんな……自分の花嫁くらい自分で探せ……」
————————————————————————
宣伝文章終了。
・読者様
ステッドラーさん(【★】アーマード・フェアリーズ【★】を執筆している方です。)
琴月さん(*鏡花水月に蝶は舞う*を執筆している方です。)
龍宮ココロさん(白ずきんちゃんと。〜ワンダーランドの住人童話〜を執筆している方です。)
(同時に、ゴッド・コードウルフ。という小説も執筆している方です。)
水瀬 うららさん(Quiet Down!!を執筆している方です。)
長月さん(神王サマは15歳!を執筆している方です。)
・絵を書いてくれた方々
しかやんさん(美しい、柊 樅霞さんを描いてくれました!ありがとうございます!)
・評価をしてくれた方々
緑月華さん(評価ありがとうございます!そして、蓮花を好きと言ってくれて、嬉しいです。)
水瀬 うららさん(とても詳しい評価、感想をありがとうございます!私からは感謝の2文字しか出てきません!)
・鑑定をしてくれた方々
秋原かざやさん(非常に丁寧な鑑定、ありがとうございます!私の弱点を教えてくれて、本当に嬉しいです。)
・宣伝をしてくれた方々
秋原かざやさん(とてもドキドキするような宣伝、ありがとうございます!そして、楓のことを好きと言ってくれて、嬉しいです!)
壱目 出会いと別れ
>>1 >>2 >>3 >>4 >>5 >>6 >>7
>>8 >>9 >>10 >>11
弐目 再開、そして別れ
>>12 >>13 >>14 >>15 >>16 >>17
>>18 >>19 >>20
参目 新たな仲間と敵
>>21 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26
>>27 >>28
四目 裏切り裏切られ
>>29 >>30 >>31 >>32 >>33 >>34
>>35 >>36
伍目 城内戦争
>>37 >>38 >>39 >>40 >>41 >>42
六目 巫女と鈴と刀と……
>>43 >>44 >>45
七目 衝撃の事実
>>46 >>47 >>48 >>49 >>55
八目 過去よりも今
>>58 >>59 >>60
九目 雪月花解禁
>>64 >>66 >>71 >>72 >>73 >>79
>>80 >>81 >>83 >>84 >>85 >>86
>>87
拾目 活動、反省、計画
>>90 >>94 >>95 >>96 >>97 >>98
>>99 >>106
拾壱目 柊樅霞の呟き
>>107 >>108 >>109 >>112 >>113 >>114
>>115
拾弐目 それぞれの思惑
>>116 >>121 >>124 >>125 >>126
拾参目 城外大戦争
>>128 >>131 >>133 >>137
- Re: 復讐 5年の歳月を経て… ( No.38 )
- 日時: 2011/07/24 22:49
- 名前: コーダ (ID: AfTzDSaa)
「東牙、本当に大丈夫なのか!?」
「ああ、これくらい刀が無くてもいける……。」
城の侵入していた東牙と楓は、警備員を退けて、一昨日と同じパターンで城に向かって行った。
楓が基本的に斬り込み役で、前の戦闘で刀を落とした東牙は、ただ攻撃を回避しながら進んで行った。
「だが、夜よりは手薄で助かったな……。」
「だけど油断はしない方が良いよ……あの刑事、また現れるかもしれないから……。」
———————————————————————チリン。
例えどんな状況でも、鳴り響く首の鈴。
だけどこれを聴くたびに、東牙の心は常に平常心を保てたという。
まさかあの巫女は、そのために渡したのかもしれない。
そして一昨日は、ここで終わった第3門の先。
東牙はあの刑事を警戒したが、今日は全く出る気配がなく、すんなり城の入り口まで行けてしまった。
たまたま、運が良かったのかもしれないという言葉では片付けきれず、2人は警戒して城のエントランスへ入る。
思いのほか玄関は広く、真正面には左右に階段があり、そこを上ると対称的なギャラリーがあって、エントランスが上から見られるようになっていた。
「うわ〜……さすがはお城広いな……。」
「まずは地下に行って、捕まっている人たちを解放しよう……その方が戦力にもなるし安全に暴れられる……。」
東牙の言葉に、楓はこくりと頷く。
2人は一斉に地下の入り口を探しに走ろうとした瞬間。
————————————————バンッ。
銃声が聴こえ「そこまでだ……侵入者……」と、聞き覚えのある男の声が聴こえた。
2人は辺りをキョロキョロ見まわし、男の行方を探したが、一向に見つからず唖然としていた。
そして「どこを見ている……上を見ろ。」という声につられ、左上のギャラリーを見ると、そこには一昨日に戦った刑事が居た。
「やはりそう簡単には城の中を見せてくれないと……。」
「そういうことだ。話を聞かせてもらったが、どうやら地下に仲間が捕まっているらしいなぁ……。」
「ふっ……もし助けると言ったら?」
「その時は俺の銃が発砲されるぜ……。」
バンッ、と諺瑚は下に居た東牙を狙ったが、もちろんただで当たるわけのない東牙は、さっと回避して、そのまま左の階段を上り、諺瑚が居るギャラリーに向かった。
すると諺瑚は、そのままギャラリーから飛び降り、下に居た楓を警戒してか、銃を乱射してそのまま着地した。
その途端楓は、着地した隙をつき刀を諺瑚の後ろから振った。
だが刑事は、素早い判断で銃の銃身で楓の刀を止めた。
「けっ……俺がそう簡単にやられるかっての……。」
「東牙!ここは私に任せてくれ!早く仲間を助けに行くんだ!」
楓は、東牙の仲間を助けるということを、最優先だと考え、ギャラリーに居た東牙にこう叫んだ。
すると普段の東牙なら「だけどそれだと楓が……。」的な言葉を言うはずなのに、今日に限っては「……分かった。だけど絶対に死ぬな。」と、楓に言ってそのままギャラリーを走ったのだ。
やはりお互い、最優先するべきことは同じだったようだ。
「この犬っころが……俺の邪魔をしやがって……ただじゃおかねぇからな……。」
「ふふ、偶には東牙の役に立ちたいからな……それに、狼の私に犬っころとか失礼だぞ?」
楓は笑いながら、諺瑚の言った言葉を訂正して、そのまま刀に力を入れ刑事の銃を弾いた。
そしてそのまま後ろに少し下がり、両手で刀を構えては、風のように素早く動き、諺瑚の懐に入って刀を振る。
だが刑事は、その刀に1発銃を撃ち、楓の勢いを相殺させた。
「くっ……やはり一筋縄ではいかないみたいだな……。」
「あったりまえだ……そう簡単にはやられてたら、部下に顔見せなんてできねぇっての……。」
諺瑚はそう言って、左手にもう1丁銃を持ち、両手で乱射する。
これにはたまらず楓は、素早く逃げ回ることしかできなかったという。
そして2丁の銃は、同時に弾切れを起こしたらしく諺瑚が「ちっ……。」と、呟く。
山場を越えた楓は、呼吸を整え「なんでその銃でそこまでの連射ができる……。」と質問をした。
「何……俺の銃はちょっと改造が施されているだけだ……そんなに驚くことではないだろ?」
諺瑚は喋りながら、2丁の銃をリロードして、また楓に向かって乱射する。
もちろんここでは立ち向かわず、ただ逃げ回るのが賢明な判断だ。
そしてまた、銃が弾切れを起こしたらしく「けっ……逃げ脚だけは早いようだな……。」と、楓に呟いた。
「(右手の銃は15発、左手の銃は7発か?私が勝てる時は刑事がリロードをしているわずかな時間……。)」
実はちゃんと逃げ回りながら、弾数を数えていた楓。
もともと獣並の身体能力を持っており、回避しながら数えるくらいは朝飯前だったようだ。
「だが、そのうちスタミナ切れを起こすぞ?」
両手の銃をリロードしながら、楓に警告した諺瑚。
しかし「私は並の人間よりは体力に自信はある。むしろそちらの弾が間に合うか心配だな……。」と、挑発気味に言った。
すると、突然銃を突きつけて、今度は乱射ではなく冷静に1発1発正確に撃ってきた。
先を読んで、楓の一歩手前に撃ちこんだり、撃つと思いきや、フェイントで撃たなかったりなど、少しトリッキーな行動に少し戸惑ったという。
そして楓の計算では、次に撃つ弾で最後という所まで来た。
バンッ、最後の銃声が鳴り響き、一瞬諺瑚の顔つきが変わった。
その瞬間に、楓は一気に態勢を整え、一瞬のうちに刑事の懐に入り「そのリロードを待っていた!」と、叫んで刀を思いっきり振った。
だが諺瑚は、突然顔をにやっとさせる。
—————————————————————————バンッ。
銃声がエントランスで鳴り響き、カランと鉄か何かが落ちる音も聞こえ、その後床には、鮮やかな赤い液体が流れたという。
- Re: 復讐 5年の歳月を経て… タイトル変更しました。 ( No.39 )
- 日時: 2011/07/28 13:11
- 名前: コーダ (ID: n/BgqmGu)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode
「……どこか騒がしいですわね……。」
「またなんか、騒ぎでも起こっているんじゃない?」
牢屋で蓮花と佳恵が、城の騒ぎに薄々気づいていたという。
そして2人は、心の中で「もしかして東牙?」と、思ったのは言うまでもない。
「おい!黒くてメガネをかけて、首には鈴をつけた侵入者が地下に入ってきたぞ!」
「何ぃ!?それはやばいだろ!俺まだ死にたくない!」
「い、今なら命令無視良いよな?」
「……逃げろ—!」
牢屋の前に居た男は、地下に侵入者が来たという事を聴き、慌てて逃げ出した。
蓮花は「こら—!なんなら鍵を置いてけ—!」と、鎖越しから叫んだという。
「うふふ……やっとここから、出られそうな気がしてきましたわ……。」
「ええ、あの男たちが言っていた特徴からすると、間違いなく東牙ね……。」
蓮花と佳恵は、東牙がここまで来る事を祈っていたという。
○
「お前ら、せめて鍵を渡してから逃げろよな……。」
地下に入っては、警備の人たちから「うわ—侵入者だ。総員退避—!」と言われ、少し焦っていたという。
なぜなら、鍵を持っている警備員を逃がしたら、これはこれで面倒だから。
「仕方ない。少々手荒だが……。」
チリン、首の鈴が鳴り響いた瞬間、東牙は逃げ惑う警備員を1人ずつ恐喝する。
そしてこれを繰り返し、なんとか5つくらい、鍵を手に入れることができたという。
「……はたしてこの中に当たりがあればいいのだが。」
左手で5つの鍵を懐に入れ、次は蓮花と佳恵捕まっている牢屋を探す東牙。
すると途中で、捕まった人の武器が溜まっている部屋を見つけ「もしかしたら2人のも……。」と、呟き入っていた。
すると、最近捕まったからなのか、1番手前で蓮花の杖と佳恵の刀を見つけた。
そしてそれを左手で持ち、この場所から出ようとした瞬間。
————————————————チリン、チリリン。
鈴が酷く鳴り響いた。
東牙はどことなく異様な感じを覚え、この辺りをキョロキョロ見まわす。
すると、床に1本の刀が落ちている事に気が付き、なぜか無意識に手がその刀に伸びていたという。
蓮花の杖と佳恵の刀を、一時床に置き、無意識に手に入れてしまった刀を、じっと見てそのまま鞘から抜いた。
すると、捕まっている人達が使っていたとは思えないくらい、綺麗な刀が出てきて思わず「す、すごいなこれは……。」と、呟いてしまった東牙。
そしてそれを、鞘に戻して今度は無意識に腰へ掛けたという。
「……早く蓮花と佳恵さんを見つけないと……。」
謎の気分に漬かっていた東牙は、思わず本来の目的を忘れそうになったという。
そして、また急いで2人を探しに行った。
○
「ふぅ〜……やっと腹が落ち着いたぜぇ……。」
城の廊下をのんびり歩いていた橋鍍。
どうやらやっと、昼に食べた物が落ち着いたらしい。
「さぁてぇ……ちょいと遅刻した分暴れてやるかぁ……くっくっく……。」
橋鍍は魔道書を持って、ある場所に向かった。
○
「東牙!やっと来たわね……これが落ち着いたら色々と話させてもらうわよ!(あれ……右手どうしたのかしら……。)」
「……(やはりちょっと、顔を会わせずらいですわね……。)」
「待たせてすまない……今から救出する……。」
東牙はようやく、2人が捕まっている牢屋を見つけては、懐に入っていた鍵を全て、使って施錠を試みた。
だが5つとも当たりはなく「全部スカか……。」と、小声で呟いたという。
「ちょっとどういう事よ……。」
「うるさいぞ蓮花……そうだ佳恵さん……自慢のあれ……よろしく……。」
蓮花に文句を言われながら、東牙は牢屋に佳恵の刀をすっと入れて“あれ”という物を頼んだ。
すると中に居た佳恵は「うふふ……ようやく出られますのね……東牙はちょっと離れてください……。」と呟き、そのまま腰を低くして目を閉じた。
—————————————————10秒。
—————————————————20秒。
佳恵はずっと、目を閉じて精神統一していた。
—————————————————ガキン。
この音が聴こえた時には、もう鎖は見事に斬られていたという。
「お見事巨乳女!」
「……その呼び方やめてくれません?」
「よし……これで精鋭メンバーは揃った……。」
ようやく2人に出会えて、東牙は心なしか士気が上がっていたという。
そして「とりあえず、俺につい来てくれないか?楓が心配だ……。」と、蓮花と佳恵に言って来た道を急いで戻った。
なお、2人が心の中で「楓って誰?」と、呟いたのは言うまでもない。
- Re: 復讐 5年の歳月を経て… タイトル変更しました。 ( No.40 )
- 日時: 2011/07/28 13:16
- 名前: コーダ (ID: n/BgqmGu)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode
「安心しろ……急所は狙ってねぇ……だけど、そのままにしたら大量出血で死ぬがな……。」
諺瑚は、腹部から血を出して倒れている楓に、小声で呟いたという。
どうやら刑事の銃は、改造によって本来16発撃てるのに、ワザと15発撃ったらリロードをしていたらしい。
その事に気がつくだろうという、相手の裏をかき、楓は見事その策にはまったのだ。
「俺だって何も考えずに銃を撃っている男じゃない……じゃぁ、あばよ……。」
諺瑚は最後の言葉を言って、そのまま階段へ上り、東牙を追おうとした途端「待て……私は……まだ倒れていない……。」と、楓はふらふらと立ちあがり、刀を構えて諺瑚に言った。
「死にぞこなった犬が……よっぽど命を粗末にしたいようだな……。」
「私は約束したんだ……東牙に一生ついていくと……こんな所で……こんな所で死ねない……。」
楓の目は、どことなく普段よりも獣っぽさが出ていて、気の弱い人がまともに見ると、恐怖で倒れてしまうくらい恐ろしかった。
そしてそこから、今までにない速さで、諺瑚の懐に向かい刀を振る。
これには思わず、態勢が不完全だったため、上手く回避ができず、左目の下に楓の刀が深く当たった。
「何っ……まさか俺が一撃を食らうとは……。」
「獣の身体能力を甘く見ないでほしい……うっ……。」
楓は途端に、頭を押さえつけその場に膝松居た。
どうやら、あまりにも出血量が多くて、だんだん意識を保つのが難しくなってきたのだ。
「獣は獣でも……血は人間と同じか……。」
諺瑚は膝松居た楓の頭に、銃を突きつけた。
そして「俺は基本的に人の命はとらないが、公務執行妨害をしまくった奴には容赦はない……。」と、殺す気満々のセリフを言った。
「ふふ……やっぱり無理か……ごめん東牙……約束……守れなくて……。」
楓は死を覚悟したのか、最後にこんな言葉を呟く。
そして諺瑚が引き金を引こうとした瞬間。
—————————————————「待てぇ鉈崎ぃ……。」
おぞましい声が、ギャラリーから聴こえた。
すっと銃を降ろし「橋鍍。今更何だ?」と、不機嫌そうに刑事は言った。
「そこの犬を殺すのは、お前じゃねぇってぇことだよぉ……四天王のくせにぃ、裏切り者の同情をした罰を与えねぇとなぁ……。」
橋鍍は魔道書をパラパラめくり、あるページを開いて、なにやら呪文のようなものを唱えた。
すると辺りは、突然禍々しい空気になり、思わず気分を悪くなってしまうくらいだった。
「おいおい、なんだよこの気味悪い空気は……。」
「くっくっく……今に見てろよぉ……楓の……本性が見られるからよぉ……っと、丁度よく来たみてぇだなぁ……。」
橋鍍は後ろを振り向き、3人ほどこちらに向かってくるのが見えた。
そして「おいぃ……ずらかるぞ鉈崎ぃ……。」と、諺瑚に言って、有無を言わさず反対側のギャラリーに連れて、この場を後にした2人だった。
「うっ……この空間……この禍々しい感じ……やめろ……やめてくれ……私は……こんな姿を……東牙に……みせたく……。」
楓は悶え苦しみながら、その場に倒れてしまった。
- Re: 復讐 5年の歳月を経て… タイトル変更しました。 ( No.41 )
- 日時: 2011/07/28 13:32
- 名前: コーダ (ID: n/BgqmGu)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode
私は犬頌 楓。
犬頌 楓?
どうして私には名前があるんだ?
名前も貰われず捨てられたただの獣人なのに。
親の顔も全く知らない私に、そう名づけるのは誰だ?
どうせお前も私を捨てるんだろう?
気安く名前を付けないで欲しい。
だけど嬉しかった……初めて名前と言う物を貰ったんだから……だが、お前はすぐに私を捨てた……ただ目が怖いという理由で捨てられた。
なら代わりに私は、お前から貰った名前を捨て……捨て……捨てられない……どうしてだろうか?
私を捨てた酷い奴の付けた名前なんていらない……いらないのに……捨てられない……。
「楓……しっかりしろ……。」
やめてくれ……その名前を呼ばないでくれ……私はその名前で、ずっとここまで生きてしまったんだ……名前さえなければ……名前さえなければ……未練を残さず死ねたのに……全部お前のせいだ……。
「こら!楓とかいう女!勝手に死ぬとかやめてくれない!?」
お前は言ってくれた。
君には犬頌 楓という文字が似合っていると……一晩真剣に考えてくれたのに……お前は私を裏切って捨てた……憂さ晴らしに名前を捨てて死のうと考えたのに……考えたのに……名前がどうしても捨てられず死ねなかった……。
「このまま死んでよろしいのでしょうか?楓さん。」
死にたい……名前を捨てて死にたい……殺してくれ……私を呪いから解くために殺してくれ……。
「殺してくれ—!」
楓は突然ばっと起き上がり、刀を持ち、傍に居た誰かに一閃をする。
一閃されたのは東牙で、あまりに突然すぎてさらに無防備だったので、モロに上半身を斬られてしまった。
「うっ……ど、どうした楓……。」
「お願い……私を殺して……殺して……。」
楓の目は完全に獣目となっており、かなり威圧も持っていた。
そして東牙に刀をまた振る。
——————————————————ガキン。
刀と刀が当たる音。
どうやら東牙に当たる寸前で、佳恵が止めたようだ。
「か、楓さん……何があったか知りませんが……今の東牙に殺してという言葉は、少々無意味ですわよ……。」
楓はその場から、例の法則で少し後ろに飛び「私は名前を貰ったせいで死ねない……だから殺して……。」と、今度は佳恵に素早く一閃をした。
————————————————ガキン。
またもや2人の刀が当たり、その場で押し合いになった。
「名前貰ったせいで死ねないとは、どういう意味でしょうか……。」
「私は元々捨てられた獣人……だけど、あいつは私を拾い名前を付けてくれた……でもあいつも、最後に私を捨てた……だから私は、憂さ晴らしに名前を捨てて死のうと考えたのに、初めて貰った名前が嬉しくてそのまま捨てられず、生きてしまったんだ!だから……殺して……。」
楓は全身に力を入れ、思いっきり押した。
佳恵はあまりにも強い力に、思わず刀を手放し素早く横に動く。
すると「あ—……話はだいたい把握したわよ……でも私から一言言わせてもらうけど……あなた馬鹿?」と、横から蓮花の声が聴こえた。
「くっ……私の気持ちを知らないで、なにをそんな口を聞いている……。」
「そうよ。あなたの気持ちは全く分かんない……だけど、名前を貰って悲しい人は絶対に居ないわ……確かに名前を付けた人は、あなたを捨てた。でも考えてみなさい!あなたに名前を付けようとするその人の気持ちを!どうしたら周りから理解される名前になるだろうか?どうしたら周りから疎外されない名前になるだろうか?どうすれば……あなたが気にいる名前になるだろうか?その人は、数えきれないくらいの思いであなたに名前をつけようとしたのよ!それを捨てたい?何馬鹿なこと言ってんのよ!」
蓮花は長々と、楓に怒鳴りつけた。
人につける名前の深い思いについてたんたんと。
すると楓は「お前は……そこまでして考えてくれたのか?そうだとしたら私は……私は……。」と、刀をカランと落としてバタリと倒れた。
- Re: 復讐 5年の歳月を経て… タイトル変更しました。 ( No.42 )
- 日時: 2011/07/28 13:39
- 名前: コーダ (ID: n/BgqmGu)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode
「グリモワールオブエレメント・サラマンドアンドデクアルプ、第71章「ホワイトフレイム」……東牙はとりあえず大丈夫だけど……この子はちょっと難しいわね……。」
蓮花は炎の治癒魔法で、東牙と楓の傷の応急処置をした。
しかし楓の方は、それだけでは足りず、今すぐにでも病院に行かなければならなかったという。
「それなら……一旦ここを出ましょう。せっかくの仲間なんですしね……。」
佳恵は楓に肩を貸して2人に言った。
もちろん佳恵の意見には、即賛成をして警戒しながら城を後にした。
○
「……すげぇなおい……あの楓をいとも簡単に、正気に戻したぜぇ……。」
「お前は一体何をしたんだ……?」
諺瑚と橋鍍は、ギャラリーで3人の行動を全て見ていた。
そして諺瑚は、先程楓に唱えた魔法について質問する。
「何……ありゃただのトラウマ再生魔法さ……楓の過去は俺も知っていてなぁ……くっくっく……獣人っつのは、精神的攻撃に弱い……捨てられた記憶を呼び覚ませば途端にああなる……。」
なんとも酷い魔法に、刑事はその場で黙る。
「くっくっく……しばらく楓は使えないぜぇ……。」
「所で良いのか橋鍍……このまま奴らを逃がして……。」
刑事の質問に「あぁ?くっくっく……別に良いぜぇ……。」と、返答してこの場を後にする橋鍍。
諺瑚は腑に落ちない感じでこの場を後にする。
○
「う〜ん……あれ……ここは……。」
楓はいつもの宿屋の風景を見て、とても頭がパニックになっていたという。
すると「あら?起きたのですか?」と、横から女性の声が聴こえて来た。
「……あ、あなたは……誰?」
「うふふ、わたくしは佐奈観 佳恵と言います。そうですわね……東牙の仲間と言った方が、分かりは良いと思いますわ。」
楓はその言葉を聴くと、胸をなでおろし安心したようだ。
そして先程まで城に居たのに、突然宿屋に居る理由を聞いたという。
「……実はですね……。」
佳恵は今まであったことを、包み隠さず全て楓に言ったという。
もちろんあの出来事も。
「えっ……私は東牙を……斬ったのか……?」
「ええ、見事な一閃でしたわ……。」
楓は自分自身が行った行動に、絶望をしていた。
そして「東牙は大丈夫……なのか……?」と、佳恵に確認する。
「……ここは大丈夫と言ってあげたいのですが……残念ながら、東牙の上半身には傷が深く残ってしまいましたわ……。」
この佳恵の言葉により、もっと楓は絶望する。
そして「私が……東牙を……。」と、かなり精神的に追い詰められたという。
「東牙は自分が無防備だからという理由で、決して楓さんを悪く思ってないですわよ……。」
「でも……やったことには変わりない……もう……私は東牙に会わせる顔がない……。」
佳恵はこの言葉を聴いて「これはしばらくそっとした方が良いですわね……かなり精神的に追い詰められていますわ……。」と、眉間にしわを寄せて、心で呟いたという。
そしてその場に立ちあがり、黙って部屋から出て行った佳恵だった。
○
「で?あの楓とかいう女は大丈夫なの?」
「だめですわ……あれはしばらくそっとしておかないと、さらに精神的に追い詰められてしまいますわ……。」
2人は違う部屋で、楓について話をしていた。
そして次に城へ行くときは、1人減った状態という事が頭の中にすぐ思い浮かんだ。
「う〜ん……困ったわね……肝心の東牙は、安静に寝ているし……。」
「いえ……あれは東牙でなんとかなるものではありません……なんとなくわかりますわ……あれは自分自身に勝たなければ絶対に脱出できないと……。」
佳恵はいつもの目を、キリッとさせて蓮花に言った。
あの佳恵がここまで深刻に言うときは、絶対に嘘はないと思った蓮花は「分かったわ……あの楓とかいう女に賭けてみるわ。」と、同じく深刻に言ったという。
「……では、次にわたくしは東牙の心配でもしてきますわ。」
佳恵は一言呟いて部屋を出ていった。
すると蓮花は「あっ!こら待て巨乳女—!」と、言って同じく部屋を出て行った。
先までの深刻な空気は、嘘のように消えて、いつもの空気が流れた。
だが2人は、なんでも“切り替え”が大事だという気持ちを持っていたので、こんな行動をしたという。
そして2人は、東牙に少々怒鳴られたのは言うまでもない。
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