複雑・ファジー小説
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- 復讐 5年の歳月を経て……
- 日時: 2011/07/28 17:45
- 名前: コーダ (ID: n/BgqmGu)
え〜…皆様初めまして!!コーダと申します!!
このたびはこちらの小説カキコで私のオリジナル小説を投稿していきたいと思っております。しかし、過度な期待はしないでください。あっ、こんな小説かぁ…程度の期待で良いです。
小説の内容は刀と魔法のファンタジーだと思います。(私でもジャンルが少々わかっていない。)時にはこれファンタジー?という物もありますがそこは温かい目でスルーしてください。
小説に登場する人は人間や獣人、巫女などさまざまです。
それでは、これで長ったらしい挨拶を終了します。小説のほうは編集が終わり次第投稿いたします。
それではまた〜!!
なんと参照が400を超えました!なんという出来事……これは、夢?幻?読者様!ありがとうございます!
謎の企画へ→>>91
※お知らせ
これから、大規模な文章訂正を行います。なので、いつもの書き方から、一気に変わります。
しかし、更新も同時並行に、行っていきますので、ご安心ください。
※お知らせ2
そろそろ、溜まっていた小説のコピーが終わりそうになってきました。
なので、これからは地道に作成作業もしていくので、更新速度は遅くなりますことを、お知らせします。
※お知らせ3
突然ですが、私小説を掛け持ちしました。なので、こちらの小説はとんでもなく更新が遅くなると思います。
※追記1
私の小説は戦闘描写が多いので”血”や”死”などの表現が多少ありますのでご報告いたします。
※追記2
秋原かざや様に私の小説を宣伝していただきました。本当にありがとうございます!!
宣伝文章を下記に記します。
————————————————————————
もう、今となっては過去になるが、俺は昔、復讐しか頭になかった男だった。
これから話すことはウソ、偽りは全くない……復讐のきっかけ、復讐符の終止符、これからについて……隠さずにここに記すとする。
「東牙(とうが)殿!! 今日はお祭りですぞ!!」
「騒がしい爺さんだな……どうせ規模の小さい夏祭りだろ?」
屋根が全て瓦で覆い尽くされ、玄関の正面には立派な門構え。
外から見ると、縁側にたくさんの襖が見えた。
始まりは、その小さな夏祭りでの出会い。
「だーかーらー!! なんでこの商品は、何度撃っても倒れないのよ!? おかしいでしょ!?」
「おかしいたってお嬢ちゃん? 倒れないもんは倒れないんだよ」
「いーや!! 絶対なにか細工しているに違いないよ!!」
「おい……俺は女だからって手加減はしないぞ……」
「そっちこそ覚悟は出来てるの!? 私に逆らったことを深く後悔させてあげるんだから!!」
そういって、少女は。
「グリモワールオブエレメント・サラマンド、第1章「バーンストーム」!!」
東牙の足下に現れたのは、六角形の魔法陣。そこから激しい炎が噴き上げた!!
————ひとつ、話をしよう。
ある家に決まりがあった。
それは、破ってはならぬ厳しい掟。
『他人に振り回されず、自立して生きる』
その家の者を勝手に振り回すことは、斬られても文句は言えない。
また、自分から振り回されてしまえば、自分が死刑となる。
そんな厳しい掟があった。
そう、俺がいた鞘嘉多家は、そんな厳しい掟があったのだ。
「一体どうしたんですか?」
「それがですね……今日の朝、蓮花お嬢様が誘拐されてしまったんです! 犯人は、確か……“鞘嘉多”と言ってましたね」
幼い俺が彼女、蓮花(れんか)に振り回されてしまったことがきっかけで……。
「ちょっとそこの爺さん!! 私をどうするつもりなのよ!?」
「おやおや……お嬢ちゃんは、自分がどんな状況か分かっていないようですな。……我々鞘嘉多家後継者、鞘嘉多 東牙殿を引き連れたという罪で、公開処刑ならぬ公開死刑になろうと」
「!!」
「聞け貴様ら!! 俺は鞘嘉多の決まりを反対する!! そして俺は自分の名字を捨てて完全に鞘嘉多の縁を切る事にする!!」
家との縁を切る事を決意した。
「ああもう!! じれったいわね!! この際、敵か味方かとっとと決めちゃいなさいよ!! せっかく東牙は覚悟決めて、ここに殴り込んでいるのよ!? あんたも覚悟くらい持ったら!?」
「……ふふ……わたくしとしたことが子供に説得されるとは思いもしませんでしたわ」
————そして、5年の歳月が経った。
俺の視力は落ち、眼鏡をかけることとなったが、ここから、俺の復讐が始まる。
「(一体どうなっているんだ……北の都会街と言っていたが……ちっ、早いとこ解決しないとな……)」
「佐々凪(ささなぎ)殿!! 反対関係者が守りの姿勢に入りました!!」
「科門奥義第伍目『円斬刀(えんざんとう)』……!!」
「こんなんじゃぁ、東牙に顔見せられねぇよ……」
「世の中何が起こるか分からない……だから勝つまで絶対油断はするな。良いか?」
「佳恵……さん? もしかして佳恵さんですか!?」
「その声、私が忘れるはずありません……東牙……東牙—!!」
「……ふんっ、さすがだな、鞘嘉多四天王の1人……」
「もう少し違う形で出会っていれば仲良くできたのにな……」
「四天王だから? 四天王だからという理由で、東牙は人を平気で殺すのですか!?」
「おい、指示が出てないのに、長距離狙撃銃を撃つ馬鹿がどこ居る?」
「み、見たのか……私の体を……」
「おっ……これはなかなかの味……」
「だろ? この味を分かってくれる人が居て俺は嬉しい」
「……すまなかった……まさか東牙がその……そういう人だと知らず……そして私を敵としていたなんて……」
「(ちっ……動け……動けよな……)」
「そこにいるのは誰だ……」
—————————————————————チリリン。
オリエンタルな東方風世界を舞台に、刀と魔法が彼らの運命を斬り開く!!
剣戟あふれる復讐劇の先に、辿りつく未来とは……。
【復讐 5年の歳月を経て……】
現在、複雑・ファジースレッドにて、好評連載中!
「あ〜あ……自分も警視みたいに綺麗で家庭的な人欲しいですよ〜〜」
「そんなもん俺に相談すんな……自分の花嫁くらい自分で探せ……」
————————————————————————
宣伝文章終了。
・読者様
ステッドラーさん(【★】アーマード・フェアリーズ【★】を執筆している方です。)
琴月さん(*鏡花水月に蝶は舞う*を執筆している方です。)
龍宮ココロさん(白ずきんちゃんと。〜ワンダーランドの住人童話〜を執筆している方です。)
(同時に、ゴッド・コードウルフ。という小説も執筆している方です。)
水瀬 うららさん(Quiet Down!!を執筆している方です。)
長月さん(神王サマは15歳!を執筆している方です。)
・絵を書いてくれた方々
しかやんさん(美しい、柊 樅霞さんを描いてくれました!ありがとうございます!)
・評価をしてくれた方々
緑月華さん(評価ありがとうございます!そして、蓮花を好きと言ってくれて、嬉しいです。)
水瀬 うららさん(とても詳しい評価、感想をありがとうございます!私からは感謝の2文字しか出てきません!)
・鑑定をしてくれた方々
秋原かざやさん(非常に丁寧な鑑定、ありがとうございます!私の弱点を教えてくれて、本当に嬉しいです。)
・宣伝をしてくれた方々
秋原かざやさん(とてもドキドキするような宣伝、ありがとうございます!そして、楓のことを好きと言ってくれて、嬉しいです!)
壱目 出会いと別れ
>>1 >>2 >>3 >>4 >>5 >>6 >>7
>>8 >>9 >>10 >>11
弐目 再開、そして別れ
>>12 >>13 >>14 >>15 >>16 >>17
>>18 >>19 >>20
参目 新たな仲間と敵
>>21 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26
>>27 >>28
四目 裏切り裏切られ
>>29 >>30 >>31 >>32 >>33 >>34
>>35 >>36
伍目 城内戦争
>>37 >>38 >>39 >>40 >>41 >>42
六目 巫女と鈴と刀と……
>>43 >>44 >>45
七目 衝撃の事実
>>46 >>47 >>48 >>49 >>55
八目 過去よりも今
>>58 >>59 >>60
九目 雪月花解禁
>>64 >>66 >>71 >>72 >>73 >>79
>>80 >>81 >>83 >>84 >>85 >>86
>>87
拾目 活動、反省、計画
>>90 >>94 >>95 >>96 >>97 >>98
>>99 >>106
拾壱目 柊樅霞の呟き
>>107 >>108 >>109 >>112 >>113 >>114
>>115
拾弐目 それぞれの思惑
>>116 >>121 >>124 >>125 >>126
拾参目 城外大戦争
>>128 >>131 >>133 >>137
- Re: 復讐 5年の歳月を経て…… ( No.108 )
- 日時: 2011/07/01 22:28
- 名前: コーダ (ID: jBxFHKzX)
そんな中、宿屋に居た5人も、やはり少々中だるみをしていた。
東牙は、エントランスの椅子に座りながら黙々と本を読み、蓮花は宿屋の台所とにらめっこをして献立を考え、佳恵は半強制的におつかいに行かされ、楓はこっくりこっくり座って腕組をしながら寝ており、樅霞は新聞紙を読みながらかりん糖を食べていた。
これだけみると、かなり平和そうだが、ちゃんと5人は緊張感を持っているはずである。
すると、ふと何かを思い出したのか、東牙は本をパタリと閉じ、隣に座っている樅霞に「すまないが、少し良いか?」と、周りには聞こえないように言う。
雰囲気的に、けっこう真面目な話かもしれないと判断した巫女は、新聞紙を丁寧に折りたたみ、ぶっきらぼうに既定の位置に戻して「では、私の部屋で話すか」と、メガネをカチャッと上げて、そのまま2階へ向かった。
そして2人が部屋に入るとすぐに話が始まった。
「昨日気になったことなのだが、佳恵さんの雪刀、俺の月刀、楓の花刀……それぞれ最初の文字を抜くと雪月花となる。これには意味があるのか?」
メガネをくいっと上げて、東牙は昨日の疑問を質問する。
すると「ふんっ……そんなことか?」と、少々馬鹿にしたような口調で樅霞は一言呟いた。
そして「深い意味などない。初代柊神社の巫女が自分の作った刀の名前を語呂良くしただけだ。」と、目を吊り上げながら東牙に言う。
「初代の巫女が作っただと……この刀を?」
疑問が無くなったと思ったら、また新たに疑問が出てきたので東牙は続けて質問をする。
樅霞はやれやれと言った顔をしながら「仕方ない。この際だ……全て東牙に話そう。」と、苦虫を噛んだかのよう表情で言う。
「昔柊神社では、見世物と言う見世物がなく参拝客が全く来ない状況が続いた。そこで初代柊神社の巫女が、見世物がないなら作ってしまえばいい。というノリで刀を作ったのがきっかけだ……なぜか、鍛治の技術が身に付いていた初代巫女はたった1ヶ月半で、3本の刀を作ってしまった。」
「それが雪刀、月刀、花刀か……。」
「そして、そこから見世物として出来上がった刀を公開すると、巫女が作った刀とは縁起が良い。との反応があって参拝客が増えていったそうだ。もちろん中には、刀欲しさに来る輩も居た……だが、面白いことにそういう輩は鞘から刀を抜くことができなかったらしい。」
「ほう……。」
「いや、抜けないと言った方が分かりは良いだろう……まるで、刀自身が拒否しているかのようにな……。」
この言葉だけを聴くと、柊神社の刀は生きているのでは?と思ってしまうが、冷静に考えるとそれはないだろう。
所詮、刀は物質なのだから心を持つなんて不可能である。
「結局、初代の巫女は自分の作った刀を人に抜かれることなく他界した。時は少し経ち3代目の巫女が、この世に居た時にある事件が起きた……突然、夜中に3人の男たちが傷だらけで柊神社へ来たという。」
「………………。」
「この時、3代目の巫女は私と違ってかなり真面目な性格だったから、すぐに状況を把握して、何があったのかを男たちに聞いた。すると恐ろしい魔物に襲われたという事だ……そこで3代目の巫女は、その話を聴き終わるとなぜか3人に3本の刀をそれぞれ渡したという。」
3代目の巫女はかなり賭け好きだなと心の中で呟く東牙。
しかも、そのあと樅霞が付け足しで「もちろん、魔物退治は巫女の仕事だ。」という言葉で、さらにその巫女が賭け好きだとわかってしまった。
「いままで抜けなかった刀をどうして渡したのか……この時、3代目の巫女も分からなかったらしい。しかしここで奇跡は起こった……3本の刀は、まるで相手が見つかったかの様の勢いで抜けた……。」
やはり樅霞が説明する刀は、どことなく生きている感じがする。
東牙はふと自分の月刀を見てそんな事を考えていた。
「役目を終えた男たちは、神社に刀を返してその場を去った。だが、そこからまた刀は鞘から抜けなくなった……そしてかなり時は進む。6代目の巫女が、柊神社の巫女は、刀の持ち主が来るまでずっと守る。という事を決めてから、厳重に保管された……書籍で書かれているものはここまでだ。」
「……この刀は一体なんだ?」
話が終わった途端に、東牙の真っすぐだけどかなり難しい質問があった。
樅霞は眉間にしわを寄せ、かなり悩んで「生きている刀……。」と、小さく呟いた。
「生きている……どういう意味だ……だがどうやって……?」
謎が深まるばかりの刀。
どうやって刀に生命を宿らせる?どういう感じで生きているか?などなど色々な疑問が沸いてきた。
「すまない…これも私は明確には答えられない。初代巫女がそうさせたのかもしれないし、勝手に宿ったのかもしれない……だが、1つだけ言えることはある。東牙、お前がその刀に認められたなら、語りかけることで、疑問が晴れる可能性はあるかもしれん。」
メガネをカチャッと上げ、東牙の顔を見ながら樅霞は一言呟く。
確かにこの巫女の言っていることは正しい、この男は刀に認められた唯一の人物なのだから。
東牙はこの言葉の意味をすぐに理解して「分かった……。」と、小さく呟いた。
「……正直、私の時代に刀を抜く者が居たとは思わなかったからな。あまり頼りにならないが、気になったらいつでも相談してくれ……。」
チリン、久しぶりに聴く柊神社の鈴を鳴らしながら、樅霞は東牙に一言呟き、そのまま部屋から出て行ってしまった。
東牙は黙ってその場で本を読みながら色々と考えていたという。
- Re: 復讐 5年の歳月を経て…… ( No.109 )
- 日時: 2011/07/02 15:16
- 名前: コーダ (ID: H0XozSVW)
「うん、これだけの設備があれば大抵の物は作れそうね……後は、あの巨乳女が何を買ってくるか……。」
台所を全て把握した蓮花は、佳恵が買ってくる物に少しばかり期待をしていたという。
本当に、家庭的な少女で下心丸出しの男には勿体ない相手である。
「あ—!早く買ってきてくれないかしら!?」
「……そんなに怒鳴るなら、自分が買いに行けば良かったんじゃないか?」
蓮花が若干むしゃくしゃしているときに、丁度樅霞がやってきて途端に一言突っ込んだ。
これには思わず少女は、びっくりして反射的に杖を構えてしまったという。
「ほう……蓮花は魔法使いか?」
メガネをカチャッと上げ、樅霞は杖を凝視して一言呟く。
少女は「そうよ?私は魔女であり裁判官でもあり遺跡調査員よ。」と、杖を降ろしながら言った。
この言葉に巫女は、少々頭がごちゃごちゃになった。
そりゃそうだ、職業がこんなに重複していればどれが本職なのか分からないからだ。
ちなみに、蓮花はとんでもないくらいの遺跡マニアでもある。遺跡のある場所があれば、はしゃいで調査をする。本人曰く、歴史に触れられて楽しいとのこと。
「えっと……裁判官が本職よ。」
「そ、そうか……(この少女、無駄に職を持ちすぎだな……。)。」
やれやれと言わんばかりの顔をして、樅霞は壁に背中を預ける。
蓮花も近くにあった木の椅子に座って巫女を見た。
すると途端に、蓮花が「ねぇ。東牙と巨乳女と楓は刀で戦えるし、私は魔法を使えるわ……でも、あなたは一体何を使えるの?」と、戦闘面について質問をしてきた。
「ふむ……私は巫女だから、主に札を使った攻撃が得意なのだが……これは魔物、悪魔、天使専用だからな……人間には効果がない。だが、小さい防御結界くらいは張れるし、体力にも自信はある。」
「へぇ〜……防御系か……私もそれなりにそろっているけど、あまり期待はできないのよね。」
しばらくお互いの戦闘能力を確認し合っていた2人。
時には、札を見せたり軽い魔法も放ったりと色々なことをした。
そして話のネタが無くなり、次に蓮花が「樅霞って東牙に似ている。」と、ポロリと呟いた。
「……どうしてだ?」
「ほら、東牙はメガネをかけていてクールな男でしょ?樅霞もメガネをかけていてクールな雰囲気を出すから。」
この言葉に巫女は「私は常に素の自分を相手に披露しているのだが……私はかっこいいのか?」と、疑問気に答える。
「とてもクールよ!私ね、実はクールな人が好きなのよ……苦手だけど……。」
矛盾しているかもしれないが、実は全く矛盾はしていない不思議な一言。
樅霞は「ふふっ……なら東牙は、好きだけど苦手なのか?」と、ちょっと意地悪そうに質問をする。
これが思いのほか、少女の心を焦らせたのか「えっ!?ち、違うわ!私は東牙のことは苦手なだけよ!」と、身振り手振りを入れて否定する。
だが巫女は、メガネをカチャッと上げさらには、目を吊り上げながら蓮花を見て「嘘を言うな。」と、一言でバッサリと斬る。
「ううぅ……なんでそこまで自信満々に言えるのよ!?」
「顔に書いているからな。」
とても勝ち誇った顔で樅霞は、蓮花にこの一言をお見舞いする。
この瞬間、少女の頭の中では、昨日東牙と鳥居の下で話した出来事がよぎったという。
「まさか、自分も言われるなんてね……顔に出やすいのかな?」
「自分も?……まぁ、蓮花はよく顔に出る……隠し事、嘘は全く付けない人と見た。」
蓮花の人間性を少し理解した樅霞は、そのままエントランスの方向へ足を運ぶ。
そして最後に「あの男は、自分の命より蓮花の事を大切に思っているし、命がけで守りたいとも思っている……だが同時に、それはあの男の死をもたらす恐れもある……果たして運命は見守るか、見放すかどっちになるのだろうか……。」と、とても小さく呟く。
「えっ?なんか言った?」
「いや、これからが楽しみだな。とでも言っておく。」
メガネをカチャッとあげて、明るくこのセリフを言う樅霞。
蓮花は当然のごとく、頭の中にクエスチョンマークがいっぱいあった。
一体この巫女は、何を思ってこの言葉を呟いたのか。もしかすると樅霞には、これからどうなるかが、だいたい予想はついたという事なのだろうか。
○
「う〜ん……あ、あれ……もしかして、私としたことが昼寝をしていたのか?」
エントランスの椅子で、目を腕でこすりながら楓が眠りから覚めた。
こんな状況で昼寝をしてしまうなんて緊張感がない。と思ったのか楓は「はぁ〜……。」と、忍耐力の弱さに溜息をした。
「ん?起きたのか楓。」
「も、樅霞……もしかして、ずっとそこに居たのか?」
目の前で新聞紙を読みながら、かりん糖を食べている樅霞に、声をかけられる。
楓は昼寝を見られたのかと反射的に考えてしまい、こんな質問をしてしまった。
「ずっとではないが、ほとんどここで新聞を読みながらかりん糖を食べていたが?」
この言葉に楓は、お得意の鳴き声を出して耳も尻尾も心も落とした。
しかし巫女は「何をそんなに落ち込んでいる。確かにこんな状況だが、常に緊張感を持つなんて疲れるだけだ……緊張する所は緊張する。楽をする所は楽をする。このメリハリさえ、きちっとしていれば良いだろう?現に私は、大好物のかりん糖を食べているんだしな……。」と、かなり真面目な顔をして言った。
「……確かにそうだが、私のプライドが許さないんだ。」
せっかくの助言を楓は済まなそうに撥ね退ける。
すると樅霞は、メガネをカチャッと上げかりん糖を一口食べて「私の助言を活用するかしないかは、自分自身だ。別に私は何も思わん。」と、クールに一言呟く。
そこから楓と樅霞は、喋らなくなり、聴こえるのは新聞紙が次のページに開く音と、かりん糖をかじった時にでてくる音しか無かった。
「(どうして樅霞は、こんなに強いんだろうか……私とそんなに歳は変わらないのに……非常に落ち着いている。例えるなら東牙みたいに……。)」
楓は腕組をしながらその場にすっと立ち上がり、そのまま2階に向かった。樅霞はチラッとかりん糖を咥えながら見ては、すぐに新聞紙へ目を落とした。
- Re: 復讐 5年の歳月を経て…… 謎の企画実施中 ( No.110 )
- 日時: 2011/07/02 17:32
- 名前: ステッドラー ◆7L7/Uupxyg (ID: .YzEMtko)
ども。
四天王を一人倒すところまで読みました。
これって現代モノっていうか、ファンタジー物みたいですね(今更
四天王なので佳恵さんじゃあ太刀打ちできなかったですね。
しかし流石東牙、殆どノーダメージで勝てましたねw
- Re: 復讐 5年の歳月を経て…… 謎の企画実施中 ( No.111 )
- 日時: 2011/07/02 18:24
- 名前: コーダ (ID: H0XozSVW)
ステッドラーさん>
佐々凪 九寺さん……今思うと、二刀流という美味しいキャラを1話限りにしたのは、非常に惜しいと感じています。
四天王に余裕で勝つ東牙……まぁ、彼は5年間の血のにじむような鍛錬があったから、この結果になりました。
佳恵さんも強いんです!ただ、相手が四天王だったから負けただけなんですよ!普通の用心棒として見れば強いんですよ!
この小説を読んでくださり、本当にありがとうございます!読者様の応援の声が、私の活力になります。
- Re: 復讐 5年の歳月を経て…… ( No.112 )
- 日時: 2011/07/02 20:28
- 名前: コーダ (ID: H0XozSVW)
「では、ミーティングを終了します。」
空全体が、曇りがかって、綺麗な星空が見えない夜。
城の最上階では、ミーティングが終わる合図が聴こえて来た。
特に大事なことはなく、ただ夜は油断をするなと警告するだけのものだった。
主にミーティングでは、楠美と矩樫の2人が騒がしかったという。
椅子から立ち上がり、そのまま静かに座っていた狼鍍に近づく刑事。
昼に、会って会話ができなかったので、今ここでするという考えだった。
そして、刑事が「少し良いか?」と、一言言うと狼鍍は「……遠慮する。」と、断られてしまった。
すると横に居た楠美が「やめた方が良いですわよ?狼鍍は無口だから、会話は好みませんのよ。」と、忠告する。
これに諺瑚は「そうか……それは失礼した……。」と、謝罪をして少し距離を置いた。
「極端に無口ではない……大事なことなら話しに参加はする……。」
だがこの言葉を聴いていそうな、人は誰も居なかった。
狼鍍は「はぁ……」と、浅い溜息をして、ささっとこの部屋から出て行った。
「……実力は確かなんですけどね。狼鍍は。」
「だけどあいつ、本性出したらの話しだろ?」
「まぁ、そうですけどね。」
「どっかに、狼鍍をワクワクさせる獣人は居ないもんかね〜。」
何気なく矩樫と刻杜が話していた事を聴いていた諺瑚。
するとふと「東牙の所に獣人が居たな……。」と、小さく呟く。
「ん〜?なんか良いこと聴いちゃったな〜。」
姫狗は、トランプをシャッフルしながら刑事にすり寄ってきた。
その顔は、胡散臭いという言葉が似合っており、非常に怖かった。
「なんだ姫狗……聴いていたのか?」
「ええぇ……それって楓の事ねぇ〜……ふふ、元鞘嘉多の四天王と言えば、狼鍍の闘争心が沸くかもね〜……。」
怪しい笑顔になりながら、姫狗はトランプの1番上のカードを引き「サターンの審判。」と、また意味不明なことを呟き、次に「これは面白くなりそうね。」と、刑事に言う。
「……思ったが、その行為はなんだ?」
「う〜ん?別にぃ、ただの占いよぉ〜。」
姫狗はすっとトランプを自分の懐に入れて、一言刑事に言う。
あまり腑に落ちない表情で諺瑚は「そうか……。」と、了解した。
「疑うのは別にかまわないわよ〜?だって私は、トリックスター。怪しまれてこその存在だからねぇ〜。」
この言葉に刻杜は「さすがですな。」と、感心したらしい。続いて楠美も「あ〜ら。刻杜が褒めるなんて明日は雪ですわね。おーほっほっほ!」と、高笑いをした。
一方、こんな雰囲気なのに夜尭と老人は、別の話をしていたという。
「やはり鞘嘉多の復旧は無理ですぞ……この際、鞘嘉多家を無くすしかないですな。」
「そうですか……後継者は居ない……あれもこれも、全部裏切った東牙のせいですね……。」
かなり険悪なムードを出す2人。
どうやら裏切り者の東牙について話をしていたらしい。
「誰にも干渉されないという言い伝えだが、裏では高仲の助けを借りたという事を、教えなければ東牙が悪人ですぞ?」
「そうですね。」
色々とおかしい気がする会話。
しかし2人は、何事もなく話を進めていた。
「しかし、鞘嘉多家を無くす前に、早い所裏切り者を始末したいの〜。」
「任せてください。城の将軍達が、跡形もなく消してくれますよ……。」
このセリフを境に、2人の会話はすっと終わり、何事もなかったかのような表情をして周りを見た。
特に違和感だと思っている人は居なく、その証拠として人目を気にせずに盛り上がっていたからだ。
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