複雑・ファジー小説

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復讐 5年の歳月を経て……
日時: 2011/07/28 17:45
名前: コーダ (ID: n/BgqmGu)

 え〜…皆様初めまして!!コーダと申します!!

 このたびはこちらの小説カキコで私のオリジナル小説を投稿していきたいと思っております。しかし、過度な期待はしないでください。あっ、こんな小説かぁ…程度の期待で良いです。

 小説の内容は刀と魔法のファンタジーだと思います。(私でもジャンルが少々わかっていない。)時にはこれファンタジー?という物もありますがそこは温かい目でスルーしてください。

 小説に登場する人は人間や獣人、巫女などさまざまです。

 それでは、これで長ったらしい挨拶を終了します。小説のほうは編集が終わり次第投稿いたします。

 それではまた〜!!

 なんと参照が400を超えました!なんという出来事……これは、夢?幻?読者様!ありがとうございます!

謎の企画へ→>>91

※お知らせ

 これから、大規模な文章訂正を行います。なので、いつもの書き方から、一気に変わります。
 しかし、更新も同時並行に、行っていきますので、ご安心ください。

※お知らせ2

 そろそろ、溜まっていた小説のコピーが終わりそうになってきました。
 なので、これからは地道に作成作業もしていくので、更新速度は遅くなりますことを、お知らせします。

※お知らせ3
 突然ですが、私小説を掛け持ちしました。なので、こちらの小説はとんでもなく更新が遅くなると思います。

※追記1

 私の小説は戦闘描写が多いので”血”や”死”などの表現が多少ありますのでご報告いたします。

※追記2

 秋原かざや様に私の小説を宣伝していただきました。本当にありがとうございます!!

      宣伝文章を下記に記します。


————————————————————————

 もう、今となっては過去になるが、俺は昔、復讐しか頭になかった男だった。
 これから話すことはウソ、偽りは全くない……復讐のきっかけ、復讐符の終止符、これからについて……隠さずにここに記すとする。

「東牙(とうが)殿!! 今日はお祭りですぞ!!」
「騒がしい爺さんだな……どうせ規模の小さい夏祭りだろ?」
 屋根が全て瓦で覆い尽くされ、玄関の正面には立派な門構え。
 外から見ると、縁側にたくさんの襖が見えた。

 始まりは、その小さな夏祭りでの出会い。

「だーかーらー!! なんでこの商品は、何度撃っても倒れないのよ!? おかしいでしょ!?」
「おかしいたってお嬢ちゃん? 倒れないもんは倒れないんだよ」
「いーや!! 絶対なにか細工しているに違いないよ!!」

「おい……俺は女だからって手加減はしないぞ……」
「そっちこそ覚悟は出来てるの!? 私に逆らったことを深く後悔させてあげるんだから!!」

 そういって、少女は。

「グリモワールオブエレメント・サラマンド、第1章「バーンストーム」!!」
 東牙の足下に現れたのは、六角形の魔法陣。そこから激しい炎が噴き上げた!!


 ————ひとつ、話をしよう。
 ある家に決まりがあった。
 それは、破ってはならぬ厳しい掟。
『他人に振り回されず、自立して生きる』
 その家の者を勝手に振り回すことは、斬られても文句は言えない。
 また、自分から振り回されてしまえば、自分が死刑となる。
 そんな厳しい掟があった。
 そう、俺がいた鞘嘉多家は、そんな厳しい掟があったのだ。


「一体どうしたんですか?」
「それがですね……今日の朝、蓮花お嬢様が誘拐されてしまったんです! 犯人は、確か……“鞘嘉多”と言ってましたね」

 幼い俺が彼女、蓮花(れんか)に振り回されてしまったことがきっかけで……。


「ちょっとそこの爺さん!! 私をどうするつもりなのよ!?」
「おやおや……お嬢ちゃんは、自分がどんな状況か分かっていないようですな。……我々鞘嘉多家後継者、鞘嘉多 東牙殿を引き連れたという罪で、公開処刑ならぬ公開死刑になろうと」
「!!」

「聞け貴様ら!! 俺は鞘嘉多の決まりを反対する!! そして俺は自分の名字を捨てて完全に鞘嘉多の縁を切る事にする!!」

 家との縁を切る事を決意した。

「ああもう!! じれったいわね!! この際、敵か味方かとっとと決めちゃいなさいよ!! せっかく東牙は覚悟決めて、ここに殴り込んでいるのよ!? あんたも覚悟くらい持ったら!?」
「……ふふ……わたくしとしたことが子供に説得されるとは思いもしませんでしたわ」

 ————そして、5年の歳月が経った。
 俺の視力は落ち、眼鏡をかけることとなったが、ここから、俺の復讐が始まる。

「(一体どうなっているんだ……北の都会街と言っていたが……ちっ、早いとこ解決しないとな……)」

「佐々凪(ささなぎ)殿!! 反対関係者が守りの姿勢に入りました!!」

「科門奥義第伍目『円斬刀(えんざんとう)』……!!」

「こんなんじゃぁ、東牙に顔見せられねぇよ……」

「世の中何が起こるか分からない……だから勝つまで絶対油断はするな。良いか?」

「佳恵……さん? もしかして佳恵さんですか!?」

「その声、私が忘れるはずありません……東牙……東牙—!!」

「……ふんっ、さすがだな、鞘嘉多四天王の1人……」

「もう少し違う形で出会っていれば仲良くできたのにな……」

「四天王だから? 四天王だからという理由で、東牙は人を平気で殺すのですか!?」

「おい、指示が出てないのに、長距離狙撃銃を撃つ馬鹿がどこ居る?」

「み、見たのか……私の体を……」

「おっ……これはなかなかの味……」

「だろ? この味を分かってくれる人が居て俺は嬉しい」

「……すまなかった……まさか東牙がその……そういう人だと知らず……そして私を敵としていたなんて……」

「(ちっ……動け……動けよな……)」


「そこにいるのは誰だ……」
 —————————————————————チリリン。


 オリエンタルな東方風世界を舞台に、刀と魔法が彼らの運命を斬り開く!!
 剣戟あふれる復讐劇の先に、辿りつく未来とは……。
    【復讐 5年の歳月を経て……】
 現在、複雑・ファジースレッドにて、好評連載中!

「あ〜あ……自分も警視みたいに綺麗で家庭的な人欲しいですよ〜〜」
「そんなもん俺に相談すんな……自分の花嫁くらい自分で探せ……」

————————————————————————


         宣伝文章終了。


・読者様
 ステッドラーさん(【★】アーマード・フェアリーズ【★】を執筆している方です。)
 琴月さん(*鏡花水月に蝶は舞う*を執筆している方です。)
 龍宮ココロさん(白ずきんちゃんと。〜ワンダーランドの住人童話〜を執筆している方です。)
           (同時に、ゴッド・コードウルフ。という小説も執筆している方です。)
 水瀬 うららさん(Quiet Down!!を執筆している方です。)
 長月さん(神王サマは15歳!を執筆している方です。)

・絵を書いてくれた方々
 しかやんさん(美しい、柊 樅霞さんを描いてくれました!ありがとうございます!)

・評価をしてくれた方々
 緑月華さん(評価ありがとうございます!そして、蓮花を好きと言ってくれて、嬉しいです。)
 水瀬 うららさん(とても詳しい評価、感想をありがとうございます!私からは感謝の2文字しか出てきません!)

・鑑定をしてくれた方々 
 秋原かざやさん(非常に丁寧な鑑定、ありがとうございます!私の弱点を教えてくれて、本当に嬉しいです。)

・宣伝をしてくれた方々
 秋原かざやさん(とてもドキドキするような宣伝、ありがとうございます!そして、楓のことを好きと言ってくれて、嬉しいです!)

壱目 出会いと別れ
>>1 >>2 >>3 >>4 >>5 >>6 >>7
>>8 >>9 >>10 >>11

弐目 再開、そして別れ
>>12 >>13 >>14 >>15 >>16 >>17 
>>18 >>19 >>20

参目 新たな仲間と敵
>>21 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26
>>27 >>28

四目 裏切り裏切られ
>>29 >>30 >>31 >>32 >>33 >>34
>>35 >>36

伍目 城内戦争
>>37 >>38 >>39 >>40 >>41 >>42

六目 巫女と鈴と刀と……
>>43 >>44  >>45

七目 衝撃の事実
>>46 >>47 >>48 >>49 >>55

八目 過去よりも今
>>58 >>59 >>60

九目 雪月花解禁
>>64 >>66 >>71 >>72 >>73 >>79
>>80 >>81 >>83 >>84 >>85 >>86
>>87

拾目 活動、反省、計画
>>90 >>94 >>95 >>96 >>97 >>98
>>99 >>106

拾壱目 柊樅霞の呟き
>>107 >>108 >>109 >>112 >>113 >>114
>>115

拾弐目 それぞれの思惑
>>116 >>121 >>124 >>125 >>126

拾参目 城外大戦争
>>128 >>131 >>133 >>137

Re: 復讐 5年の歳月を経て… ( No.3 )
日時: 2011/07/04 07:54
名前: コーダ (ID: kY71cFa4)

 木葉家兼赤紅最高裁判魔法管理事務所というのは、一体どんなところなのかは、書籍で読んだだけだが、知っている。

 その昔魔法が発展した時代があった。人々は魔法が使えると便利といって、流行に乗りたくさんの人達が魔法を覚えていった。
 しかし一部では、問題も発生する。覚えた魔法で相次ぐ犯罪だ。
 非常に力のある魔法なら、一般人が受けると即死亡という、残酷な犯罪が長い期間続く。だが、この手の対処方法が、まだ法としてなりたっていないので、人々はどうして良いか分からず、ただ黙って死を待つだけだった。
 するとそんな残酷なことをとめようとした人物が居たという。
 
 その名は木葉 綺駒(きく)という女性であった 
 綺駒はまず法を考えた。そして人々に言い伝えそれが採用。
 すると、人々の士気はとてもあがり、綺駒のために立派な裁判所を建てた。
 余談だが、外装は修繕してあるが、内装は当時のままである。
 そして法は一気に活用されていき、たくさんの人を殺していった犯罪者が、この裁判所に連行され重い罰を受けた。
 その時の罰が裁判式魔法だった。綺駒も1人の魔法使いだったので、魔法くらい朝飯前である。
 そして行った罪の重さに比例して、重い罰(魔法)をした。 
 こうして赤紅最高裁判所ができあがったが、さらに綺駒は、魔法の扱いを見直すという事で魔法のランク付けを行った。
 ランクが高い魔法を使用すると、報告書を書かされるという新たな法を作り、魔法の治安を一気に良くした。

 もちろんその管理は赤紅最高裁判所が行った。
 こうして出来上がったのは、赤紅最高魔法管理事務所であったが、これが浸透したときにはもう綺駒は、他界して新たな後継者に繋がっていった。

 どうしてこんなお偉いさんの娘が、このド田舎で遊んでいたのか不思議に思う東牙は明日から調査を始めた。

Re: 復讐 5年の歳月を経て… ( No.4 )
日時: 2011/06/25 16:52
名前: コーダ (ID: 5hG5Ocn3)

「(今思うと少し頭を冷やした方が、良かったかもな……。)」

 外の雀が一声に鳴き始める朝の時間。東牙は起きた途端に、昨日起こった出来事を思い返し、少々反省していた。
 たぶん鞘嘉多の決まりに少し、自分とあの少女が触れたと言うことに、頭を悩ませていたのだろう。
 一応鞘嘉多の関係者は、あの場に居なかったから今回は大丈夫だが、これからはもう少し冷静にいこうと誓ったその途端。

「東牙殿!」
「うわっ……なんだ爺さんか……いきなり襖を開けるな!……で?なんだ。」

 襖をガラッと勢いよく開けたのは、東牙の執事であった。
 本人はとてもびっくりしたが、ものの5秒でいつもの冷静状態に戻った。

「この爺嬉しいですぞ……まさか、あの人混みが大の苦手な東牙殿が、昨日1人で祭りに行かれたのですぞ!」
「……その情報の発端は?」
「昨日ここの関係者が見回りしていたら、東牙殿が出て行く姿を見かけたらしいですぞ。」
「(……少々不味いな……)ふむ……そうか……いや、偶には俺も外を歩きたいと思ってな。」

 東牙は少し不味そうな顔をして話を続けた。
 もしあのやりとりが見られていたら一貫の終わりだからだ。

「しかしこの爺喜んでばかりではありませんぞ!出かけるなら一言言って下され!何かあったら大変ですぞ!?」
「あ〜……それは悪い事したな……すまん……。」

 この流れは大丈夫だなと思った東牙は、もう安心して話しに集中した。

「……東牙殿……もしかしてですぞ?今日も祭りに行かれたりは……。」
「……するかもな。」

 東牙は一瞬考えた。
 もしかすると、またあの木葉家に会えるかもしれないし、またそこで改めて話が聞けるかもしれないと、なので、少し黙って、祭りに行くかもしれないと発言した。

「おお……まさか2日連続で行かれるとは……もちろんこの爺許可しますぞ!」
「ありがたい。」

 実は東牙の両親はもうすでに他界していて、この老爺が東牙の親代わりであったりもした。 
 なので口うるさい発言はお互い了承しているので、特に変わったことでもない。

「ですが……今回の件はさすがに1人では行かせませんぞ……。」
「だと思ったよ……条件はなんだ?」
「な〜に簡単ですぞ!東牙殿の隣に、用心棒を置くだけですぞ。」
「用心棒?どんな人だ?」

 さすがに、後継者が祭りのど真ん中を歩くのは、いけないと思った老爺は、今日だけは、用心棒を置くことにした。
 東牙は別によいという顔をしたが、一体どんな用心棒なのか気にはなった。
 なお、鞘嘉多家では偉い人を守るための目的で、用心棒を配置するのは特例で認められている。
 しかし、その用心棒が、偉い人に指図することはできない。偉い人も、用心棒に指図して行動させることもできないという条件付きで。

「半年前に鞘嘉多家に仕える用心棒を募集して、見事適性試験に合格した用心棒名前は確か“佐奈観 佳恵(さなみ かえ)”と行ったかのう……しかも!まだ10代後半の女性ですぞ!」
「なんで最後の部分を強調したんだ?……佐奈観 佳恵か……果たして刀の腕はどうか……。」

 東牙は自分の刀をチラッと見て、これは是非お手合わせ願いたいと一瞬思った。
 そして、老爺が1回くらい対面した方がよろしいと言って、早速東牙に佐奈観 佳恵という人物を会わせた。


                ○


「佐奈観殿〜!」

 老爺は佳恵が鍛錬している庭に入っては、大声で名字を叫んだ。

「ん?もしかしてあの着物を着た人か?(動きにくい服装なのにあの身軽さ……これは期待できそうだ……。)」

 東牙は庭のど真ん中で刀を持って、鍛錬する着物を着た女性をみて、さらに手合わせしたい気持ちが増幅した。
 そして、こちらの気配を察知したのか、着物を着た女性はすぐに刀を鞘に戻して、2人が居る方向に振り向き

「はい。どうしましたか?あら……可愛い男の子ね……ふふ。」

 最初の第一声を発した。 
 東牙は生まれた初めて言われた言葉に、少々戸惑っていた。
 余談だが東牙を見た人達が最初に思う第一印象は大抵“堅物そう”“冷静そう”だという。

「佐奈観殿……この方が先程お話した鞘嘉多 東牙殿ですぞ。」
「あら?そうでしたか……先程のお言葉、大変失礼しました鞘嘉多殿……。」
「いや気にしないでください……えっと佐奈観さん?俺のことは別に東牙だけで良いですよ?これから使役関係になるんですし、堅いのはない方が良いですよね?」

 東牙よりは背が少し高くて、肩に掛かるくらい長い黒髪、目はこれでもかというくらい垂れていて、瞳は緑がかった黒、話し方は少しトロンとしていた。
 そして、無駄な飾り付けがない薄青い着物をきているのに、胸は結構あって少しぎこちなかった。
 東牙的に解釈すると、刀を持ったかなり垂れ目の大和撫子だけど、けっこう巨乳でもったいない女性らしい。

「では東牙も私のことは佳恵と呼んで下さりますよね?」
「もちろん……佳恵……さん(ううむ……けっこうペースに乗れないぞこれは……。)。」
「東牙殿!佳恵殿のご厚意が無駄になりますぞ!」
「爺は黙ってくれ!」

 もしかすると東牙はこういう年上の女性だと、調子が出ないのかもしれない。
 それもそのはず、長年1人で考えて育ったのだから、いざ女性で、しかも自分より年上(大人)の人と対面すると緊張するに決まっている。
 そんな東牙を見て佳恵は、また心の中で「可愛い男の子。」と呟いたらしい。

 そして、色々やり取りした後、東牙と佳恵は祭りに向かった。そんな2人を老爺は少しほほえんで見送ったという。






 え〜…キャラなどの詳しい設定に関してはしばらくお待ちください。

Re: 復讐 5年の歳月を経て… ( No.5 )
日時: 2011/06/25 17:01
名前: コーダ (ID: 5hG5Ocn3)

「昨日よりは人混みが少なくて良いな……。」

 東牙は昨日よりも人混みが少なくて、とても安心していた。
 今日なら自分のペースで歩けて、色々観察できるからだ。
 
 佳恵は職業柄、周りを警戒して歩いていたが、雰囲気が全く出ていないので人々からは何も思われていなかったという。

「……佳恵さん?別にそんな警戒しなくても良いですよ?俺だってきちんと訓練されています。ボヤが起こったとしても、ある程度なら自己解決できますので。」
「あらあら……それではわたくしがここにいる意味が全く御座いませんね……後、わたくしに向かっては別に敬語でなくてもよろしいですわよ?これでは立場が逆に見えてしまい、わたくしが襲われかねませんわ。」

 東牙はもう少しリラックスして欲しいという意味で言ったことなのに、佳恵からすると、別にいらないから良いですよと捉えたらしい。
 しかもその後の敬語に関する指摘について、東牙は特に困ったという。
 この少年はやはりこういう大人の女性が苦手で、いつもの調子が出せないから、自然(不自然という使い方の方が良いかもしれないけど、東牙にとっては自然なので)と敬語になってしまうのだ。
 それに、こうやって自分が敬語で話せば、まず襲われることはないという考えもあったので、余計困ったのだ。

「努力します……それにもし佳恵さんが襲われても俺が助けに行きますから安心して下さい。」
「ふふ……本当に可愛い子ね……是非わたくしの息子にしたいですわ。」

 この言葉に東牙は満更でもない気持ちで、否定したのは言うまでもなかった。


                ○


「むっ?」
「どうしたのでしょうか?」

 2人が歩いていると突然東牙がある射的屋を見て一言呟いた。
 少年にとっては、昨日ボヤが起こって、いざ自分が止めようとしたら、木葉という、とても力のある一族と知り合いになったきっかけを作った屋台でもあったので、つい足を止めてしまったのだ。

「ごめん……ちょっとあの店に寄って良いか?」
「わたくしが止めると思いまして?是非楽しんでいって下さい。」
「すまんな。」

 東牙は佳恵に断りを得て、真っ直ぐ射的屋に直行した。
 走っている途中で、そういえば俺普通の口調で佳恵さんと話せたな、と思ったのは言うまでもない。

 射的屋の目の前に来た東牙は、そこでまさかの人物が目線に入った。紅い魔法服を着た親子連れの2人だったという。
 少年は一瞬自分の目を疑ったが、やはり見間違いではなかった。

 するとあちらの紅い少女も、こちらに気づき母を引き連れて走ってきた。
 少し考えて逃げようかと思ったが、それは失礼に値するため、東牙は仕方なく2人と対面する。
 余談だがこの時点で、佳恵の姿は居なかったが、誰も違和感に思わなかったという。


                ○


「まさか……今日も木葉家と会えるなんて……思いもしませんでしたよ。」
「こちらこそ、まさか東牙さんに会えるなんて思いもしなかったわね。」

 まず東牙と箕琴が第一声を発した。
 影で蓮花はただ黙って2人の会話聴く。様子からすると、昨日かなりの説教があったに違いないだろう。

「まぁ……こちらはけっこう暇なのでよく外で歩いてるんですよ。」
「そうなんですか?良かった……今日中にお詫びが出来るって事ですよね?それなら……。」
「えっ?お母さんこの人家に連れて行くの?」
「当たり前よ!元はと言えばあんたが起こした騒ぎなんでしょ!?本来ならあんたがお詫びを入れるはずなのよ?」

 箕琴は自分の娘にまたガッツリと注意した。
 少年は心の中で、この母はかなり律儀だなと思ったらしい。
 しかし感心している場合ではなかった。このままでは木葉家に訪問してしまうという危険があった。
 この様子を誰かに見られたら、東牙は一生の終わりと言っても過言でもない。鞘嘉多の決まり的に言わせればの話だが。

「いえいえ……お詫びなんてする必要全くないですよ……では……自分は知人が待っているので……。」
「ちょっと待ちなさい!家のお母さんが、せっかくお詫びしたいって言ってるのに何その態度!?いくらなんでもそれはないんじゃない!?」

 東牙が丁寧に断った瞬間だった。
 突然紅い少女蓮花が首を突っ込んだのは。
 どうやら自分の母の好意を無駄にするのには、納得いかないようだった。

「偶にはそれらしいことを言うんだな……そこの紅い少女。」
「私は蓮花というお母さんがつけてくれた立派な名前があるのよ!?紅い少女とか失礼じゃない。」
「そうだったな……そんな名前だったな……。」

 これは明らかに少年の方が失礼であったが、東牙はなんとも思わずそんな名前だったな、と少々小馬鹿にするように言った。
 さすがにこれには蓮花も堪忍袋が切れたらしい。

「ちょっとそれどういうことよ!?むむ〜……ごめんお母さんこの男連れて先に帰ってるわ!」
「お、おい!ちょっと待て!やめろって!」
「黙ってついてきなさい!」

 蓮花は東牙の手を思いっきり握って、そのまま木葉家に直行した。
 少年は離そうと懸命にあがいたが、思ったよりも少女の力は強くて振り解けなかったという。
 箕琴はその様子を見て、ただ、ほほえみながら後を追いかけていった。
 東牙はもう終わりだと心の中で呟いて、木葉家に向かっていった。




「……あらあら……これは急展開ですわね……ふふふ……。」

Re: 復讐 5年の歳月を経て… ( No.6 )
日時: 2011/07/04 07:56
名前: コーダ (ID: kY71cFa4)

「ただいま!!」

 祭り会場から走って、15分くらいが経った時だった。
 立派な門構えがまず出迎え、そこを潜ると大変大きな庭には、数多くの花が植えられていて、センターには噴水もあった。
 そしてそこからもっと先に進むと、とても大きくて立派な洋館があった。東牙はそんな所を見る余裕もなく、蓮花に連れ回され、さらには普通に中に入ってしまったのだ。

「おかえりなさいませ、蓮花お嬢様……おや?箕琴殿が帰ってきてませんね……それに、そこの男は何ものでしょうか?」
「お母さんならもうすぐ帰ってくるわよ。それに、この男は昨日お世話になったから連れてきただけよ?だから、内部の人達には怪しい男がいたら無視して構わないと伝えておいて。」
「かしこまりました。」

「さぁ〜て……って……あんた体力ないわね〜……ずっと外に出ないで、家で過ごしていたことがすぐ分かるわよ?」

 蓮花が家の中にはいると、すぐさま近くに居たメイドが迎えに来た。
 少女は慣れた様子で、簡潔に用件を伝えた。
 東牙はあまりにも高速で走ったため、息がかなり切れていた。
 近くで蓮花が馬鹿にしているのに、何も言えないくらい疲れていたという。

「でも残念ね……まだこの中を歩くわよ!」
「お、おい……少しは客人を大切にしろよな……。」
「はいはい……客人さんのために、迅速に向かいますよ〜。」

 完全に蓮花のペースだった。東牙はなんでこの少女が、こんなに体力があるんだろうか?とずっと考えていたという。






 文字数の関係でここで切らせていただきます。

Re: 復讐 5年の歳月を経て… ( No.7 )
日時: 2011/06/25 18:04
名前: コーダ (ID: 5hG5Ocn3)

「はい。着いたわよ!」

 蓮花はある部屋の扉を勢いよく開けた。
 部屋の真ん中には、長方形のテーブルとイスが置いており、壁には色々な絵が並んでいた。
 東牙は一瞬で、ここは客人を招くために使われる部屋だと判断した。

「ちょっとお茶とか持ってくるから、そこら辺で待っててよ?」

 そう言って少女はすぐさま部屋から立ち去った。
 一応もてなしはできる(さすがに言葉までは完璧ではないが。)のだなと、また東牙は心の中で呟いた。

「……ふう……参った……これは本当に参った……俺は今普通に木葉家に居る……こんなの鞘嘉多の関係者に見られたら……想像したくもないな……。」

 東牙は息を整えて、今自分がどんな状況にあるのかを改めて考える。
 他人を振り回さず、他人に振り回されない、という鞘嘉多の決まりを普通に破っているのだから。
 余談だが、この決まりに反対する鞘嘉多の関係者も、実は極少数ながら居たりする。
 しかし、あらがったところで、自分の命がなくなるだけなので、行動には移せずただチャンスを待っているだけなのである。
 さらに余談だが、この決まりを唯一反対した鞘嘉多の後継者も居たというが、その人は即死刑となった。

「まっ……見つかったら見つかったで、悪あがきはするけどな……。」

 東牙は最悪な状況になったらどうするかを、もう決めっていた。
 ただ、自分の刀で悪あがきをするだけだが。

「……しかしこの部屋何もないな……と思いきや……最高の暇つぶし道具があるじゃないか……。」

 少年はそんなことばかり考えてもしょうがないと思い、頭をすぐに切り換えて、この部屋を探し回った。
 すると部屋の片隅に、本棚があったのを見つけては、誰の許可も得ずに、とても分厚い本を読み始めたという。

「……ほう……これは木葉家の歴史か……。」

 東牙は普通に本を読んでいたが、この本はただの本ではなかったのだ。
 その見た目はただの分厚い本だが、中身の文字は“魔道文字”で書かれていたという。
 魔道文字を読めるのは、その名の通り魔法使いのみなのに、この少年は普通に違和感なく読んでいたのだ。

「遅くなってごめん!ん〜?あんた読めない本を読んで面白い?」

 東牙がしばらく本を読み進めていっていると、突然部屋の扉が開いて、蓮花がお茶菓子を持ってきた。
 そして少女は、魔道文字で書かれている本を読んでいる東牙を見て、少々小馬鹿にして言った。

「はっ?……いや、普通に読めるぞ、これ。」
「はいー!?ウソでしょー!?」

 思いもしない一言が帰ってきて、蓮花はとても驚いて東牙の元に急いで近づいた。そして無理矢理本を奪い所々確認した。

「何をしてるんだ?この本は普通に読めるって言ってるだろ?」
「そ、そんなはずはないわ……これ魔道士しか読めないのよ?もっと正確に言えば魔女だけよ!?」
「そうなのか?面白い本だなこれは……なぜ魔女しか読めなくするんだろうか……。」

 驚いている蓮花なんて気にしないで、東牙はこんな良い本を、特定の人にしか読ませなくするのは、もったいないと思っていた。

「……あなた……ちょっと疑問に思うところおかしくない?」
「なんだ?どういうことだ?」

 蓮花はのんきにもったいない、と言っている東牙に、とても真剣にツッコミを入れたが、本人は何を言っているのかよく分からず、頭の中で色々整理をしていた。

「なんでこの本を読めるのか?よ!あなた自分が何者か分かっているの!?」
「俺は俺だ……普通の人間で、決して魔法使いでもない……。」

 この返答に蓮花はもっとびっくりしたらしい。
 そしてもっと少年を問いつめた。

「じゃあさ……言うよ?なんで、あなたから凄まじい魔力を感じるのよ?昨日もそうだったけど。」
「……魔力?俺にそんなものはないが……。」

 東牙の何気ない一言は、蓮花にとっては重傷者と思ったらしい。
 それもそのはず、自分自身のことが未だによく分かっていないのだから。

「はぁ〜……先の言葉でよ〜く分かったわよ……。」
「だからなんだっていうんだ?」
「あなたは“魔法律”を破っているわ……自分の魔力を知らなさすぎてね。」

 少女からは“魔法律”という言葉が出てきた。
 簡単に言えば、今の法律を魔法的目線で見た物だ。もちろん破れば、なんらかの刑を執行される。
 東牙もさすがに、この言葉を聞けば、今自分がどんな状況に陥っているのかは簡単に想像できたらしい。

「お、おい……それってどうなるんだ?」
「あなたは“自分自身に蓄積されている魔力の危険さを知らない”という事で、とても危険な人物に早変わりよ?そうね……魔力の強さなら即魔法死刑……良くて懲役15年かしら……。」

 東牙はとても焦った。
 こんな所で、自分が魔法律を破っていたとは思いもしなかったし、しかも、鞘嘉多の後継者が懲役を貰った事が、周囲に知られたら、それだけで自分の立場が危ういのものっかてきているからだ。

「……参ったなこれは……。」
「参ったわねこれは……でもまだ早かったから少しはマシになるかな……いや……う〜ん……ちょっとこれは私だけでは決めかねないわ……ちょっと家の関係者全員呼んでくるからここでおとなしくしていること!もし逃げたら……刑はもっと重くなるわよ?」

 さすがに東牙も、抵抗せずに黙ってこの部屋で関係者が来るのを待っていた。
 するとふと少年の頭の中に、ある1人の女性が現れた。

「そういえば佳恵さんどうしてるんだろう……。」

 今更、佳恵の事が心配になっているが、今はどうしようもないので、すぐに頭の片隅置いた東牙であった。


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