複雑・ファジー小説
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- 復讐 5年の歳月を経て……
- 日時: 2011/07/28 17:45
- 名前: コーダ (ID: n/BgqmGu)
え〜…皆様初めまして!!コーダと申します!!
このたびはこちらの小説カキコで私のオリジナル小説を投稿していきたいと思っております。しかし、過度な期待はしないでください。あっ、こんな小説かぁ…程度の期待で良いです。
小説の内容は刀と魔法のファンタジーだと思います。(私でもジャンルが少々わかっていない。)時にはこれファンタジー?という物もありますがそこは温かい目でスルーしてください。
小説に登場する人は人間や獣人、巫女などさまざまです。
それでは、これで長ったらしい挨拶を終了します。小説のほうは編集が終わり次第投稿いたします。
それではまた〜!!
なんと参照が400を超えました!なんという出来事……これは、夢?幻?読者様!ありがとうございます!
謎の企画へ→>>91
※お知らせ
これから、大規模な文章訂正を行います。なので、いつもの書き方から、一気に変わります。
しかし、更新も同時並行に、行っていきますので、ご安心ください。
※お知らせ2
そろそろ、溜まっていた小説のコピーが終わりそうになってきました。
なので、これからは地道に作成作業もしていくので、更新速度は遅くなりますことを、お知らせします。
※お知らせ3
突然ですが、私小説を掛け持ちしました。なので、こちらの小説はとんでもなく更新が遅くなると思います。
※追記1
私の小説は戦闘描写が多いので”血”や”死”などの表現が多少ありますのでご報告いたします。
※追記2
秋原かざや様に私の小説を宣伝していただきました。本当にありがとうございます!!
宣伝文章を下記に記します。
————————————————————————
もう、今となっては過去になるが、俺は昔、復讐しか頭になかった男だった。
これから話すことはウソ、偽りは全くない……復讐のきっかけ、復讐符の終止符、これからについて……隠さずにここに記すとする。
「東牙(とうが)殿!! 今日はお祭りですぞ!!」
「騒がしい爺さんだな……どうせ規模の小さい夏祭りだろ?」
屋根が全て瓦で覆い尽くされ、玄関の正面には立派な門構え。
外から見ると、縁側にたくさんの襖が見えた。
始まりは、その小さな夏祭りでの出会い。
「だーかーらー!! なんでこの商品は、何度撃っても倒れないのよ!? おかしいでしょ!?」
「おかしいたってお嬢ちゃん? 倒れないもんは倒れないんだよ」
「いーや!! 絶対なにか細工しているに違いないよ!!」
「おい……俺は女だからって手加減はしないぞ……」
「そっちこそ覚悟は出来てるの!? 私に逆らったことを深く後悔させてあげるんだから!!」
そういって、少女は。
「グリモワールオブエレメント・サラマンド、第1章「バーンストーム」!!」
東牙の足下に現れたのは、六角形の魔法陣。そこから激しい炎が噴き上げた!!
————ひとつ、話をしよう。
ある家に決まりがあった。
それは、破ってはならぬ厳しい掟。
『他人に振り回されず、自立して生きる』
その家の者を勝手に振り回すことは、斬られても文句は言えない。
また、自分から振り回されてしまえば、自分が死刑となる。
そんな厳しい掟があった。
そう、俺がいた鞘嘉多家は、そんな厳しい掟があったのだ。
「一体どうしたんですか?」
「それがですね……今日の朝、蓮花お嬢様が誘拐されてしまったんです! 犯人は、確か……“鞘嘉多”と言ってましたね」
幼い俺が彼女、蓮花(れんか)に振り回されてしまったことがきっかけで……。
「ちょっとそこの爺さん!! 私をどうするつもりなのよ!?」
「おやおや……お嬢ちゃんは、自分がどんな状況か分かっていないようですな。……我々鞘嘉多家後継者、鞘嘉多 東牙殿を引き連れたという罪で、公開処刑ならぬ公開死刑になろうと」
「!!」
「聞け貴様ら!! 俺は鞘嘉多の決まりを反対する!! そして俺は自分の名字を捨てて完全に鞘嘉多の縁を切る事にする!!」
家との縁を切る事を決意した。
「ああもう!! じれったいわね!! この際、敵か味方かとっとと決めちゃいなさいよ!! せっかく東牙は覚悟決めて、ここに殴り込んでいるのよ!? あんたも覚悟くらい持ったら!?」
「……ふふ……わたくしとしたことが子供に説得されるとは思いもしませんでしたわ」
————そして、5年の歳月が経った。
俺の視力は落ち、眼鏡をかけることとなったが、ここから、俺の復讐が始まる。
「(一体どうなっているんだ……北の都会街と言っていたが……ちっ、早いとこ解決しないとな……)」
「佐々凪(ささなぎ)殿!! 反対関係者が守りの姿勢に入りました!!」
「科門奥義第伍目『円斬刀(えんざんとう)』……!!」
「こんなんじゃぁ、東牙に顔見せられねぇよ……」
「世の中何が起こるか分からない……だから勝つまで絶対油断はするな。良いか?」
「佳恵……さん? もしかして佳恵さんですか!?」
「その声、私が忘れるはずありません……東牙……東牙—!!」
「……ふんっ、さすがだな、鞘嘉多四天王の1人……」
「もう少し違う形で出会っていれば仲良くできたのにな……」
「四天王だから? 四天王だからという理由で、東牙は人を平気で殺すのですか!?」
「おい、指示が出てないのに、長距離狙撃銃を撃つ馬鹿がどこ居る?」
「み、見たのか……私の体を……」
「おっ……これはなかなかの味……」
「だろ? この味を分かってくれる人が居て俺は嬉しい」
「……すまなかった……まさか東牙がその……そういう人だと知らず……そして私を敵としていたなんて……」
「(ちっ……動け……動けよな……)」
「そこにいるのは誰だ……」
—————————————————————チリリン。
オリエンタルな東方風世界を舞台に、刀と魔法が彼らの運命を斬り開く!!
剣戟あふれる復讐劇の先に、辿りつく未来とは……。
【復讐 5年の歳月を経て……】
現在、複雑・ファジースレッドにて、好評連載中!
「あ〜あ……自分も警視みたいに綺麗で家庭的な人欲しいですよ〜〜」
「そんなもん俺に相談すんな……自分の花嫁くらい自分で探せ……」
————————————————————————
宣伝文章終了。
・読者様
ステッドラーさん(【★】アーマード・フェアリーズ【★】を執筆している方です。)
琴月さん(*鏡花水月に蝶は舞う*を執筆している方です。)
龍宮ココロさん(白ずきんちゃんと。〜ワンダーランドの住人童話〜を執筆している方です。)
(同時に、ゴッド・コードウルフ。という小説も執筆している方です。)
水瀬 うららさん(Quiet Down!!を執筆している方です。)
長月さん(神王サマは15歳!を執筆している方です。)
・絵を書いてくれた方々
しかやんさん(美しい、柊 樅霞さんを描いてくれました!ありがとうございます!)
・評価をしてくれた方々
緑月華さん(評価ありがとうございます!そして、蓮花を好きと言ってくれて、嬉しいです。)
水瀬 うららさん(とても詳しい評価、感想をありがとうございます!私からは感謝の2文字しか出てきません!)
・鑑定をしてくれた方々
秋原かざやさん(非常に丁寧な鑑定、ありがとうございます!私の弱点を教えてくれて、本当に嬉しいです。)
・宣伝をしてくれた方々
秋原かざやさん(とてもドキドキするような宣伝、ありがとうございます!そして、楓のことを好きと言ってくれて、嬉しいです!)
壱目 出会いと別れ
>>1 >>2 >>3 >>4 >>5 >>6 >>7
>>8 >>9 >>10 >>11
弐目 再開、そして別れ
>>12 >>13 >>14 >>15 >>16 >>17
>>18 >>19 >>20
参目 新たな仲間と敵
>>21 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26
>>27 >>28
四目 裏切り裏切られ
>>29 >>30 >>31 >>32 >>33 >>34
>>35 >>36
伍目 城内戦争
>>37 >>38 >>39 >>40 >>41 >>42
六目 巫女と鈴と刀と……
>>43 >>44 >>45
七目 衝撃の事実
>>46 >>47 >>48 >>49 >>55
八目 過去よりも今
>>58 >>59 >>60
九目 雪月花解禁
>>64 >>66 >>71 >>72 >>73 >>79
>>80 >>81 >>83 >>84 >>85 >>86
>>87
拾目 活動、反省、計画
>>90 >>94 >>95 >>96 >>97 >>98
>>99 >>106
拾壱目 柊樅霞の呟き
>>107 >>108 >>109 >>112 >>113 >>114
>>115
拾弐目 それぞれの思惑
>>116 >>121 >>124 >>125 >>126
拾参目 城外大戦争
>>128 >>131 >>133 >>137
- Re: 復讐 5年の歳月を経て… ( No.8 )
- 日時: 2011/06/25 18:14
- 名前: コーダ (ID: 5hG5Ocn3)
「……これは大変なことになりましたわね……後をついてきたのですが……こんな事を聴くとは思いもしませんでした……。」
同時刻。木葉家の外では、洋館に背中を預けていた女性が居たという。
その女性は、自分の主が居る部屋と思われる場所に、ずっと居て、盗み聞きもしていた。
しかし聴かされたのは、とても深刻なことで、女性は少しどうしようか悩んでいた。
「これは報告するべきでしょうか?……悩みますわね……。」
この事を、鞘嘉多家の関係者に報告するか、否かで、女性は悩んでいた。
もちろん報告すれば、自分の主はひどい時には即死刑。
だからといって、黙っていれば自分も死刑になる可能性もあるという葛藤に襲われていた。
「誰だ!?こんな所に居る奴は!?」
どうやら、木葉家の関係者に自分の姿がバレてしまったらしい。
しかし女性はいつもの口調で
「あら……だめでしょうか?わたくしはここに居たくて、ここにいるのですが……。」
木葉家の関係者に言った。
だが、そんなことが通じる相手ではなかったらしく、強引に女性を追い出そうとしてきたらしい。
しかし、女性はそれに抵抗して、後を引いた。
これにより、木葉家の関係者は、不法侵入者として、捉えたという。
「貴様……まさか木葉家を狙っている者だな?」
「どういう事でしょうか?わたくしは別に狙ってもいませんわよ?」
だが、やはり女性の方はいつものトロンとした口調で、関係者に言った。
「惚けても無駄だ!」
そしてとうとう、関係者を敵に回したという。
だが、それでも女性はいつもの口調で「あら……乱暴な人はお嫌いですわ……。」と言う。
「これはすぐに報告せねば……。」
仲間に報告という、最終手段を選ぶ木葉家の関係者。
そして、いつも持っている通信機、いわばトランシーバーを出した瞬間であった。
——————————————ジャキン。
突然、木葉家の関係者は、心臓部分から大量出血をして、バタリと倒れたのは。
「……居合い抜きという言葉は、ご存じでしょうか?」
関係者が倒れた原因は、女性の素早い居合い抜きであったのだ。
居合い抜きは、素早く相手の急所を斬りつけて、一撃で相手を仕留める技であり、並大抵の刀使いではできない技なのだ。
「……少々酷くやりすぎましたわね……誰かに見つからないうちに、退散致しましょう……。」
血だらけの刀を鞘に戻して、女性はとっととこの場から去っていった。
そして、なぜか女性の目からは、一粒の涙がポタリと流れ落ちたという。
○
「で?結果はどうなったんだ?」
木葉家の関係者が一斉に東牙が居る部屋に入ってきては、すぐさま診断をされ、ものの10分で結果が出たらしいので、蓮花に聞き出そうとしていた。
「一応全ての検査は白ね……でも1つだけおかしいことがあったのよね〜。」
「なんだそれは?」
「あなたの魔力は非常に特殊で希なタイプなのよ……。」
蓮花は、少し眉間にしわを寄せて、東牙に言った。
もちろん東牙も、眉間にしわを寄せて、聴いていた。
「魔力に希とかあるんだな。」
「うん。あなたの場合は、魔力をただ待っているだけで、あまり魔法を扱えない人よ?ただ、そのおかげで、魔法に対する耐性は非常に高いのよ……だから昨日私の魔法を受けても大丈夫だったのよ。」
蓮花は昨日の出来事の原因が分かって、非常に満足しながら説明していた。
すると東牙は、少し馬鹿にした感じで「それはお前が弱かったからじゃないのか?」と一言言った。
もちろん少女は、その言葉を聞いて、黙っているわけがなかった。
「ちょっと失礼よ!?それに私は蓮花!れ・ん・かよ!?何度言えば気が済むかしら!?」
「そっちこそ……俺には東牙という名前がある。何度もあなたと呼んで欲しくないがな。」
今度はお互いの名前を言い合い合戦になった。
この2人はもしかすると、相性的に最悪かもしれない。
「な〜にが東牙よ!?私の名前の方が立派よ!」
「聞き捨てならない言葉だな……俺だって、蓮花に負けないくらい立派な名前を貰っている。」
こうしてしばらく2人は、大声で周りに迷惑がかかるくらいの、口ケンカをしていたらしい。
そして、15分くらい経った頃には、もう2人は疲れ果てて、落ち着いて話し合っていたという。
「東牙と話していると、とっても疲れるわ〜。」
「俺だって、蓮花と話していると疲れる。」
「はぁ〜……って……いっけない!私としたことが重要なことを言い忘れていたわ!」
突然の言葉に、東牙はなんだ?という顔になった。
「これから東牙は、ここに毎日診断を受けにこないとだめなのよね……ようは通院。」
「……おいおい……それは本当か?」
「ここで冗談を言うと思う?仕方ないじゃない。東牙が変な魔力の持ち主なんだから。」
東牙は、一気にやれやれという顔をして、黙って通院を承諾した。
もちろん蓮花も、やれやれという顔で、通院を引き受けた。
気づくと、2人はお互いの事を普通に名前で呼ぶ仲になっていたが、それに2人は全く気づかなかったらしい。
- Re: 復讐 5年の歳月を経て… ( No.9 )
- 日時: 2011/07/04 07:46
- 名前: コーダ (ID: kY71cFa4)
「東牙殿!」
「だからいきなり襖を開けるなと言っているだろ爺さん?」
鞘嘉多家東牙の部屋で、いつも通りのやりとりが行われていた。
老爺が、東牙の部屋に来ることは毎日のことなのに、未だ襖を、突然開けるクセが治らなくて、少々少年は懲りていたらしい。
「おっと失礼致しました……っと、それどころではないですぞ!東牙殿がこの2ヶ月間、ずっとここから外出をしていると関係者からの報告が多数あったのですぞ?」
「それがどうした……悪いか?」
どうやら2ヶ月間、外出をしている姿を見られていたらしく、東牙は少々焦ったが、肝心の木葉家に行っているという事は、まだ知られてなかったので、あまり焦らなかったという。
「いえ……この爺としてはとても嬉しいですぞ?……だが、少々怪しい噂を耳にしたので。」
「その噂は?」
「……東牙殿が……赤紅最高裁判魔法管理事務所に出入りしているという噂が……しかも紅い少女と一緒に行動しているというのも……。」
この言葉を聞いた瞬間、東牙は一気に眉間にしわを寄せて「そんな噂は信じるな。」と言って、部屋からとっとと出て行ったという。
もちろん老爺は、その行動を見逃さなかったが、少し気になることがあった。
「……佳恵殿。そこにいるのは分かっているのですぞ?」
「……あら……さすがは鞘嘉多家の最年長さんですわね……。」
老爺はわずかな気配を察知して、天井裏に隠れていた佳恵を呼び出した。
もちろん佳恵は、すぐに現れては、そのトロンとした口調で、何事もなかったかのように話した。
「まだまだ現役ですぞ……さて……佳恵殿……そなたの言うとおり、東牙殿はあの木葉家に何度も訪問しているようですぞ?」
「……そうですわね……。(すみません東牙……やはり私には、こうすることしかできないようですわ……。)」
「さて……これで東牙殿に鞘嘉多家を任せられなくなりましたぞ?もちろん処置もしないといけませんの〜。」
老爺は、上を見上げて、東牙の処置を考えていた。
もちろん佳恵は、無言で話を聞いていた。
「まっ……全て東牙殿が悪いとは思いませんからの……木葉家の方々も含め、処置をするとしましょうか?」
「その……処置はどういったものでしょうか?」
「……それは佳恵殿に関係ないものですぞ?そなたはただ、用心棒として、業をなせばいいのに、なぜ鞘嘉多に関わろうとするのか?爺には全く理解不明ですぞ……それに、もう処置の方は、現在進行形で進んでいるし、今更やめろとはいえませんぞ。」
佳恵は恐ろしいことを聴いてしまった。
なんと、東牙と木葉家関係者の処置はもう進んでいるらしい。
「……少々失礼致しますわ……。」
佳恵は何を思ったのか、自分から話を切り上げ、急いで部屋から出ようとした。しかし、老爺はそんな佳恵を止めた。
「まぁ、待ちなされ佳恵殿……そんなに気になるのでしたら……少し手伝いをして頂けるでしょうか?」
「はい?」
佳恵は、浮かない返事で、ただただ老爺の後をついて行った。
○
「……参ったな……これは最悪なパターンだ……まさか関係者に見られていたとはな……。」
東牙は、木葉家に行くための道をあるきながら、これからどうするかを考えていた。
最悪、もう帰らないのもありだな、とも思った。
「まぁ……これはこれでありか……俺は鞘嘉多の決まりを反対してるんだし……。」
少年口からは、なんと、鞘嘉多を反対するという言葉が出てきたという。
東牙もなんだかんだいって、鞘嘉多の決まりを嫌っていた。
なので、あまり危機感は感じていない、むしろ、スッキリしているという。
「12年間……意味不明な掟に縛られてきた……俺は少しずつ、それは無駄な人生だと思い始め、いつしか、この無駄な12年間を取り返すために復讐をしようとも考え始めていた。」
たんたんと、東牙は決まりを嫌がる理由を言う。
この意味不明な決まりが、自分の12年間を無駄にした。
そういう、怒りと憎しみが若干ながら、感じ取れた一言でもあったという。
「今日が山か?」
少年は、人が変ったようにそう言って、のんびり木葉家に向かった。
しかし、この後、とても大変なことになる前触れだとは、本人は気づいていないが。
○
「おじゃまします……ん?」
東牙は、何度も訪問している木葉家に律儀に挨拶した。
親しき仲にも礼儀あり、ということわざが好きなのかもしれない。
しかし、洋館に入っては、木葉家の関係者全員がザワザワしていたのにすぐに気づいて、東牙は近くにいたメイドに話を聞いた。
「一体、今日はどうしたんでしょうか?」
「それがですね……今日の朝……蓮花お嬢様が誘拐されたんですよ。」
「……なるほど……それは一大事ですね……で?犯人は分かっているのですか?」
「はい、確か“鞘嘉多”と言ってましたね。」
東牙は眉間にしわを寄せた。
一応、木葉家の関係者には、箕琴と蓮花を除いて名前しか言ってなかったから怪しまれずにすんだが、これは一大事だとすぐに感づいた。
「……すみません……鞘嘉多の馬鹿どもが勝手に……。」
「は、はい?」
東牙は、そう言った瞬間に、走ってこの洋館から出て行った。
もちろん、メイドは何を言っているのか分からず、そのままにしといたらしい。
少年が向かった場所を、予想するのはたやすかった。
そこは、自分が生まれ育った場所、鞘嘉多家。理由は簡単だ。
1人の少女を助け出すためだけである。
「(ついでに鞘嘉多家との縁を切ってやるか……待ってろよ蓮花……。)。」
東牙は、1秒でも早く鞘嘉多家に向かって走った。
そうしないと、蓮花の身に何が起こってもおかしくなかったからだ。
- Re: 復讐 5年の歳月を経て… ( No.10 )
- 日時: 2011/07/04 07:58
- 名前: コーダ (ID: kY71cFa4)
「ちょ、ちょっと離しなさいよ!痛い痛いって!」
「わたくし的には力を弱めている方ですわ……それに乱暴な人はお嫌いなので暴れないでくださる?」
「佳恵殿。油断してはいけませんぞ?一応木葉家の娘。魔法の力はとてもお強いですぞ。」
時は少し戻るが、実は東牙が木葉家に向かうために、ここから出たときから、蓮花は捕らわれていたのだ。
やけに暴れる少女なので、しばらく物置に入れていたので、東牙は気づかないのも無理はない。
そして、東牙が出た後、老爺は佳恵を連れて物置に居る、暴れて反抗してくる蓮花を引きずり出し、庭にたどり着いた。
すると佳恵は思わず「すごいですわね。」と一言呟いた。
そう広庭には、鞘嘉多の関係者全員が右と左に別れ、真ん中を開ける形で並んでいたからだ。
「な〜に……これくらい普通ですぞ佳恵殿?」
「……(まさか……これは……。)。」
「ちょっとそこの爺さん!!私をどうするつもりなのよ!?」
「おやおや……お嬢ちゃんは自分がどんな状況に居るのか、分かっていないようですな……我々、鞘嘉多家後継者。鞘嘉多 東牙殿を引き連れたという罪で、公開処刑ならぬ公開死刑になろうと。」
そう、この老爺はまず、木葉家の娘から処置するということを選んだ。
蓮花は、まさか自分がこんな人達と関わっていたなんてと、思わずただただ、呆然としていた。
「ふむ……やはりショックは大きいですの……自分の知り合いがこういう場所で育っていたなんてと思うと……しかもこれから罪を償うのですから。」
「ごめんなさいね……鞘嘉多家は他人に縛られず、1人で生きていくという決まりがあるのですわ……あなたは、東牙を振り回したということで罪に問われているのですよ……。」
佳恵は、蓮花にどうして罪を償うのかを、親切に説明した。
しかし、それについての返答が、本当に意外だったのは、誰も想像しなかったと言う。
「はぁ!?何その決まり、馬鹿みたい!?そんな決まりで生きていくあんたらの心がすごいわね!私なら即パスするわね!だって、人間は決して1人では生きていけないからよ!」
「なんと……この期に及んでそんな言葉を言えるとは……よかろう……佳恵殿……。」
蓮花は、鞘嘉多の決まりを、とても馬鹿にして反対した。
さすがに、老爺も、これには、怒りを覚えたらしい。そして、佳恵に目で、この少女を斬れと言う。
佳恵は「……本当によろしいのでしょうか?」と一応確認したが、老爺の気持ちは変わらなかった。
そして、佳恵は、刀を抜き、蓮花に最後の言葉を言った。
「本当にごめんなさい……わたくしだってこんなことしたくないですわ……ですが、職業柄命令には逆らえないのです……。」
佳恵はそう言って、刀を構えた。
すると、蓮花はその言葉に何か引っかかったらしく、また。
「何それ?職業柄命令に逆らえない?それおかしくない?自分がしたくないことはしたくないってはっきり言ったらどうなの!?この巨乳女!」
佳恵は、この言葉を聞いて、ピクリとも動かなくなった。
どうやら、”巨乳女”という言葉が、けっこう心にきたのだろう。すると、どこからともかく笑い声が聞こえてきた。
もちろん、鞘嘉多の関係者は「なんだなんだ?」と騒ぎ始めたが、その中に居た1人が「居たぞ!屋根の上だ!」と言うと、一斉に屋根を見始めた。
そして関係者が「東牙殿!」と叫んだ。
そう、笑い声は屋根の上にいた東牙だったのだ。
- Re: 復讐 5年の歳月を経て… ( No.11 )
- 日時: 2011/07/04 07:53
- 名前: コーダ (ID: kY71cFa4)
「こんな状況で、そんな事いえる蓮花の腐った根性が面白いな……しかも巨乳女とは傑作だな……待ってろお前達!俺は今からそこにいく!」
そう言って、東牙は屋根から、地上に飛び移った。
しかも、着地点をあえて、鞘嘉多の関係者が左右にいる所の丁度ど真ん中にしたという。
もちろん、このままでは、挟み撃ちにされる危険性はあったが、東牙は着地した途端ある宣言をした。
「聞け貴様ら!俺は鞘嘉多の決まりを反対する!そして、俺は自分の名字を捨てて完全に鞘嘉多の縁を切る事にする!」
そう、東牙は鞘嘉多との縁を完全に切ると、宣言したのだ。
これには、さすがに関係者全員驚いたが、1人だけあまり驚きはしなかったという。
「東牙殿……いや……裏切り者に何が出来るというのですか?さぁ、一斉に裏切り者を囲むのですぞ!」
老爺がそう言うと、一斉に鞘嘉多の関係者が、東牙を囲み始めた。
絶体絶命のピンチというのに、少年は、とても落ち着いていた。
「これで爺が一声かければ、お主は即天国行きですぞ?」
「……爺さん……あんたには世話になった……だけどな……それは今日で終わりだ……所で佳恵さん?あなたは、どうなんですか?」
東牙は、こんな状況で佳恵に質問する。
この質問をしたのは、簡単で、佳恵の気持ちを知りたかったからだ。
「……わたくしは……。」
「あくまで、佳恵さんの気持ちを、正直に言って欲しい……。」
佳恵は答えを出すのに、とても悩んでいた。
すると、佳恵の後ろにいた蓮花が。
「ああもう!じれったいわね!この際、敵か味方かとっとと決めちゃいなさいよ!せっかく東牙は、覚悟決めて、ここに殴り込んでいるのよ!?あんたも覚悟くらい持ったら!?」
と佳恵に一喝した。
さすがに、これを聴いた佳恵は、一気に心を動かされたらしく、やっと決断をした。
「……ふふ……わたくしとしたことが、子供に説得されるとは思いもしませんでしたわ……分かりました……わたくしは、東牙について行きますわ。」
佳恵は、覚悟を決めて東牙について行くと、あのいつもの口調で固く誓った。
すると、それを聴いた、鞘嘉多家関係者の一部が「俺も元々反対派だ!」「俺も東牙について行くぜ。」などと叫んだのだ。
これには、さすがの老爺も驚いたという。
「どうだ?俺以外にも協力者は少なからず居るんだ……行くぞ。まずは蓮花の救出だ!」
東牙がそう言うと、反対した鞘嘉多家の関係者が、一気に士気をあげて、賛成派の鞘嘉多関係者を斬りつけ始めた。
100人も満たない数だったが、懸命に抗う姿は、非常に勇ましかったという。
佳恵は、1番蓮花の近くにいたので、一緒に東牙の元へ向かった。
もちろん、東牙もその様子をみていたので、敵を斬りつけながら向かっていく。
「前代未聞ですぞこれは……なんとかせねば……おおそういえば……こんなときのために四天王がいたのう……早速呼びに行くかの〜。」
老爺は、こっそり誰にもバレないように、ここから戦線離脱をした。
「佳恵さん!すまんな……こんな貧乏くじを引かせてしまって……。」
「いえいえ……わたくしは思ったことを素直に言っただけですわ……それに……。」
佳恵は”それに”と言った後、何も言わなくなった。
東牙は、少し気にはなったが、状況が状況なので聴こうとはしなかった。
「とりあえず、まずは蓮花を安全なところに避難させないとな……。」
「私の家に行けば、協力要請も出来て一石二鳥よ?」
「ですね……東牙?それはあなたの役ですわよ?この少女を安全に家に送ることを……良いですわね?」
蓮花の避難場所は、無難に蓮花の家になったが、その付き人は東牙になった。
しかし少年は佳恵に。
「だけど……俺がこの場から居なくなるのは……。」
「これくらい、わたくしたちだけでも十分ですわよ?だから早く行くのです……。」
東牙は佳恵の言葉に、黙ってこくりと頷いた。
そして、蓮花の手を握り、木葉家に向かって走り出した。
○
そして無事に木葉家についた俺は、すぐさま1人で鞘嘉多家に戻った。
だけど、そこに行くと誰も居なくなっていて、もぬけの殻状態だった。
たぶん、どちらも逃げたのだろう、と思った俺は帰る場所がなかったので、とりあえず木葉家に居候という形で住むことになった。
その際に、俺は名字を“科門(しなかど)”として戸籍にもそうやって登録した。
そこからの生活は非常に変わった……自分の時間を全て鍛錬に費やし、体力的、精神的な向上。寝る間を惜しんでは、とにかく本を読んで知識を頭の中にたたき込んだ。
そのせいで、視力はガタ落ちになって、メガネも掛けることになった……復讐のきっかけはこんな感じだ。
そして、そこから5年後だった……復讐に終止符をつけるための旅を始めたのは……。
え〜…最初は簡単にプロローグ的な感じです。次の話から本番です。
なお、私は非常に誤字・脱字などが多いのでもしそのような物があったら温かい目で見守ってください。(報告してくれたら嬉しいですけどw)
※キャラ設定はもう少しお待ちください。
それではまた〜!!
- Re: 復讐 5年の歳月を経て… ( No.12 )
- 日時: 2011/06/25 20:15
- 名前: コーダ (ID: 5hG5Ocn3)
〜弐目 再開、そして別れ〜
「何?それは本当か?」
「は、はい……お願いします……佐奈観さんを……助けてください……。」
「酷い傷……早くなんとかしないと……。」
木葉家エントランスで、会話をしていたのは、東牙と蓮花。
そして、体中が血まみれの男。どうやら、この男は鞘嘉多の反対関係者らしい。
5年間、何も起こらずに、ただ平凡と生活していたのが、腑に落ちなかった東牙は「早くなんとかしなければ…。」と毎日呟いていたが、今日でそれはなくなるだろうと誰もが予想できた。
どうやら、男は、この5年間の間ずっと、佐奈観という人と行動していたのだろう。
そして、風の噂で、東牙の所在地を知り、急いで向かったところ、鞘嘉多の関係者に不意を突かれたが、なんとか、今の状況を伝えないと、という気持ちだけで動きやっとの思いで、木葉家に到着したみたいだ。
「佐奈観さんは……ここから北の都会街……うっ……ゲホッ、ゴホッ……。」
「いけない!ちょっとこの人治癒しないと!」
男は、佐奈観という人が居る場所を言ったが、途中で吐血をしてむせてしまった。
蓮花は急いで、木葉家関係者を呼んで、緊急治癒室に運んだ。
「(一体どうなっているんだ……北の都会街と言っていたが……ちっ……早いとこ解決しないとな……。)」
気がつくと、東牙1人でエントランスに居た。
その顔たちは、焦りという文字を表現していた。
○
「というわけだ……俺は今すぐにでも動く。」
「待ちなさい東牙!それはちょっと無計画すぎるわよ!」
木葉家一室で、東牙は今から、北の都会街に行くと蓮花に告げたが、蓮花は机をばんっと叩き反対した。
理由は、いくつかあったが、その中でも1番の候補に挙がったのが、ここから北の都会街までは少なくとも、100km以上あったのだ。
「それは十分把握している。しかし、ここで黙っているわけにもいかないだろ?俺は1日でも早く、鞘嘉多の反対関係者を集めたいんだ。」
「あんたの気持はわかる……でも、事が大きすぎるわ!」
しばらく、この会話が続いたが、2人の間では解決にはいたらなったという。
○
「(……さて、行くとするか……。)」
現在深夜1時。大抵の人が眠りにつく時間に、木葉家外では、不審な男が歩いていた。
そう、その男は、昼に行くことを反対された東牙だった。
どうやら、コッソリ北の都会地まで行こうと考えていたという。
「(世話になった木葉家の人たちには悪いが、俺はやらなければいけないことがある……それが終わったら、何時間でも小言を食らうつもりだ……。)」
そして、東牙は遥か北の都会地まで、歩いて行った。
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