複雑・ファジー小説

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復讐 5年の歳月を経て……
日時: 2011/07/28 17:45
名前: コーダ (ID: n/BgqmGu)

 え〜…皆様初めまして!!コーダと申します!!

 このたびはこちらの小説カキコで私のオリジナル小説を投稿していきたいと思っております。しかし、過度な期待はしないでください。あっ、こんな小説かぁ…程度の期待で良いです。

 小説の内容は刀と魔法のファンタジーだと思います。(私でもジャンルが少々わかっていない。)時にはこれファンタジー?という物もありますがそこは温かい目でスルーしてください。

 小説に登場する人は人間や獣人、巫女などさまざまです。

 それでは、これで長ったらしい挨拶を終了します。小説のほうは編集が終わり次第投稿いたします。

 それではまた〜!!

 なんと参照が400を超えました!なんという出来事……これは、夢?幻?読者様!ありがとうございます!

謎の企画へ→>>91

※お知らせ

 これから、大規模な文章訂正を行います。なので、いつもの書き方から、一気に変わります。
 しかし、更新も同時並行に、行っていきますので、ご安心ください。

※お知らせ2

 そろそろ、溜まっていた小説のコピーが終わりそうになってきました。
 なので、これからは地道に作成作業もしていくので、更新速度は遅くなりますことを、お知らせします。

※お知らせ3
 突然ですが、私小説を掛け持ちしました。なので、こちらの小説はとんでもなく更新が遅くなると思います。

※追記1

 私の小説は戦闘描写が多いので”血”や”死”などの表現が多少ありますのでご報告いたします。

※追記2

 秋原かざや様に私の小説を宣伝していただきました。本当にありがとうございます!!

      宣伝文章を下記に記します。


————————————————————————

 もう、今となっては過去になるが、俺は昔、復讐しか頭になかった男だった。
 これから話すことはウソ、偽りは全くない……復讐のきっかけ、復讐符の終止符、これからについて……隠さずにここに記すとする。

「東牙(とうが)殿!! 今日はお祭りですぞ!!」
「騒がしい爺さんだな……どうせ規模の小さい夏祭りだろ?」
 屋根が全て瓦で覆い尽くされ、玄関の正面には立派な門構え。
 外から見ると、縁側にたくさんの襖が見えた。

 始まりは、その小さな夏祭りでの出会い。

「だーかーらー!! なんでこの商品は、何度撃っても倒れないのよ!? おかしいでしょ!?」
「おかしいたってお嬢ちゃん? 倒れないもんは倒れないんだよ」
「いーや!! 絶対なにか細工しているに違いないよ!!」

「おい……俺は女だからって手加減はしないぞ……」
「そっちこそ覚悟は出来てるの!? 私に逆らったことを深く後悔させてあげるんだから!!」

 そういって、少女は。

「グリモワールオブエレメント・サラマンド、第1章「バーンストーム」!!」
 東牙の足下に現れたのは、六角形の魔法陣。そこから激しい炎が噴き上げた!!


 ————ひとつ、話をしよう。
 ある家に決まりがあった。
 それは、破ってはならぬ厳しい掟。
『他人に振り回されず、自立して生きる』
 その家の者を勝手に振り回すことは、斬られても文句は言えない。
 また、自分から振り回されてしまえば、自分が死刑となる。
 そんな厳しい掟があった。
 そう、俺がいた鞘嘉多家は、そんな厳しい掟があったのだ。


「一体どうしたんですか?」
「それがですね……今日の朝、蓮花お嬢様が誘拐されてしまったんです! 犯人は、確か……“鞘嘉多”と言ってましたね」

 幼い俺が彼女、蓮花(れんか)に振り回されてしまったことがきっかけで……。


「ちょっとそこの爺さん!! 私をどうするつもりなのよ!?」
「おやおや……お嬢ちゃんは、自分がどんな状況か分かっていないようですな。……我々鞘嘉多家後継者、鞘嘉多 東牙殿を引き連れたという罪で、公開処刑ならぬ公開死刑になろうと」
「!!」

「聞け貴様ら!! 俺は鞘嘉多の決まりを反対する!! そして俺は自分の名字を捨てて完全に鞘嘉多の縁を切る事にする!!」

 家との縁を切る事を決意した。

「ああもう!! じれったいわね!! この際、敵か味方かとっとと決めちゃいなさいよ!! せっかく東牙は覚悟決めて、ここに殴り込んでいるのよ!? あんたも覚悟くらい持ったら!?」
「……ふふ……わたくしとしたことが子供に説得されるとは思いもしませんでしたわ」

 ————そして、5年の歳月が経った。
 俺の視力は落ち、眼鏡をかけることとなったが、ここから、俺の復讐が始まる。

「(一体どうなっているんだ……北の都会街と言っていたが……ちっ、早いとこ解決しないとな……)」

「佐々凪(ささなぎ)殿!! 反対関係者が守りの姿勢に入りました!!」

「科門奥義第伍目『円斬刀(えんざんとう)』……!!」

「こんなんじゃぁ、東牙に顔見せられねぇよ……」

「世の中何が起こるか分からない……だから勝つまで絶対油断はするな。良いか?」

「佳恵……さん? もしかして佳恵さんですか!?」

「その声、私が忘れるはずありません……東牙……東牙—!!」

「……ふんっ、さすがだな、鞘嘉多四天王の1人……」

「もう少し違う形で出会っていれば仲良くできたのにな……」

「四天王だから? 四天王だからという理由で、東牙は人を平気で殺すのですか!?」

「おい、指示が出てないのに、長距離狙撃銃を撃つ馬鹿がどこ居る?」

「み、見たのか……私の体を……」

「おっ……これはなかなかの味……」

「だろ? この味を分かってくれる人が居て俺は嬉しい」

「……すまなかった……まさか東牙がその……そういう人だと知らず……そして私を敵としていたなんて……」

「(ちっ……動け……動けよな……)」


「そこにいるのは誰だ……」
 —————————————————————チリリン。


 オリエンタルな東方風世界を舞台に、刀と魔法が彼らの運命を斬り開く!!
 剣戟あふれる復讐劇の先に、辿りつく未来とは……。
    【復讐 5年の歳月を経て……】
 現在、複雑・ファジースレッドにて、好評連載中!

「あ〜あ……自分も警視みたいに綺麗で家庭的な人欲しいですよ〜〜」
「そんなもん俺に相談すんな……自分の花嫁くらい自分で探せ……」

————————————————————————


         宣伝文章終了。


・読者様
 ステッドラーさん(【★】アーマード・フェアリーズ【★】を執筆している方です。)
 琴月さん(*鏡花水月に蝶は舞う*を執筆している方です。)
 龍宮ココロさん(白ずきんちゃんと。〜ワンダーランドの住人童話〜を執筆している方です。)
           (同時に、ゴッド・コードウルフ。という小説も執筆している方です。)
 水瀬 うららさん(Quiet Down!!を執筆している方です。)
 長月さん(神王サマは15歳!を執筆している方です。)

・絵を書いてくれた方々
 しかやんさん(美しい、柊 樅霞さんを描いてくれました!ありがとうございます!)

・評価をしてくれた方々
 緑月華さん(評価ありがとうございます!そして、蓮花を好きと言ってくれて、嬉しいです。)
 水瀬 うららさん(とても詳しい評価、感想をありがとうございます!私からは感謝の2文字しか出てきません!)

・鑑定をしてくれた方々 
 秋原かざやさん(非常に丁寧な鑑定、ありがとうございます!私の弱点を教えてくれて、本当に嬉しいです。)

・宣伝をしてくれた方々
 秋原かざやさん(とてもドキドキするような宣伝、ありがとうございます!そして、楓のことを好きと言ってくれて、嬉しいです!)

壱目 出会いと別れ
>>1 >>2 >>3 >>4 >>5 >>6 >>7
>>8 >>9 >>10 >>11

弐目 再開、そして別れ
>>12 >>13 >>14 >>15 >>16 >>17 
>>18 >>19 >>20

参目 新たな仲間と敵
>>21 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26
>>27 >>28

四目 裏切り裏切られ
>>29 >>30 >>31 >>32 >>33 >>34
>>35 >>36

伍目 城内戦争
>>37 >>38 >>39 >>40 >>41 >>42

六目 巫女と鈴と刀と……
>>43 >>44  >>45

七目 衝撃の事実
>>46 >>47 >>48 >>49 >>55

八目 過去よりも今
>>58 >>59 >>60

九目 雪月花解禁
>>64 >>66 >>71 >>72 >>73 >>79
>>80 >>81 >>83 >>84 >>85 >>86
>>87

拾目 活動、反省、計画
>>90 >>94 >>95 >>96 >>97 >>98
>>99 >>106

拾壱目 柊樅霞の呟き
>>107 >>108 >>109 >>112 >>113 >>114
>>115

拾弐目 それぞれの思惑
>>116 >>121 >>124 >>125 >>126

拾参目 城外大戦争
>>128 >>131 >>133 >>137

Re: 復讐 5年の歳月を経て… ( No.28 )
日時: 2011/06/26 19:45
名前: コーダ (ID: 46ePLi3X)

「ったく……寒いなおい……。」

 城の外で、カップ麺を食べながら、愚痴をこぼしていた、刑事が居たという。
 そう、夜尭に頼まれた仕事を、早速行っていた、諺瑚だった。

「もう少し、マシな場所はなかったのか……っと、こちら鉈崎、どうした?」

 こんなんでも、彼は難事件を解決しているんだから笑える。

 鉈崎は、突然、仲間から連絡が来たらしく、通信機を取り出し、内容を聞いた。

「何?……そうか……分かった……。」

 鉈崎は、どこか腑に落ちない感じで、通信機を切った。
 そして、今度は、自分から、仲間全員に通信機を繋げて。

「こちら鉈崎。急遽、後退命令が出た。総員城に戻れ。」

 ブチッと、通信機を切っては「どうも納得いかん。」と、呟き、自分も城に向かった。
 すると、3歩くらい、歩いたところで「何が納得いかないんだぁ?鉈崎ぃ。」という声が聞こえた。

「なんだ?あの時の黒い男か……俺に何の用だ?」

 振り向きもしないで、会話をする鉈崎。
 すると、後ろにいる黒い男は「俺には、柿崎 橋鍍(かきざき きょうと)という名前が、あるんだけどなぁ…。」と、呟き、刑事のそばに寄ってきた。

「用件を早く言え橋鍍……俺は、そんなに待つ男ではないぞ?」
「短気な刑事だなぁ……まぁ、良いや……俺からは一言だぁ……。」

 橋鍍は、一言だと言って、突然、声を太くして「あの時と、内容が、かぶるかもしれねぇが……東牙にあったらよぉ……潔く逃げた方がいいぜぇ……。」と、鉈崎に、警告の意味として告げた。

 しかし「そんな事で、怯える俺じゃない……だが、警告には感謝する。」と、言って、城に入って行った。

「……そういえばぁ、楓は上手くやっているのかぁ?」

 橋鍍は、自分の仲間を気にしながら、城に入って、明日に備えた。


                ○


「結局、城へ偵察はしないのか?」
「ああ、酒場にいた男に感謝しないと……。」

 東牙は、快晴の夜空を見ながら、城の偵察をしないと言い切った。
 楓は「そ、そうか……で、これからどうする?」と、また質問する。

「……もう、言わなくても分かるだろ?明日の夜に、城へ行く……!」

 東牙は、楓の顔を見ながら、強く、このセリフを言った。
 もちろん「了解。」と、楓は即答して、了承する。

「さて。ちょっと早いが、もう寝るか……。」

 いつもなら、深夜に寝る男なのに、明日へ備えてなのか、珍しく、11時で就寝すると、宣言した。
 すると楓は「そういえば、元々ここは、東牙1人で寝る予定だったから、ベッドが1つだけしかないな…。」と、呟いた。
 しかし東牙は「別に、俺は床で我慢する。楓はゆっくりベッドで寝てくれ。」と、きっぱり言った。

 だが、この返答が、まさかの地雷であり楓は「それはだめだ!それなら、まだ尻尾がある私が、床で寝る!」と、否定した。
 しかし東牙も「それはだめだ。床に女性を寝かせるだなんて事はできん。」と、お互い一歩も、譲らなかった。

 すると、楓は何を思ったのか「では、私と東牙が2人で寝れば良い!」と、爆弾発言をした。
 こんなに美人で、しかも、尻尾まである女性と一緒に寝れるなんて、全国の男性なら「是非お願いします。」と、絶対に言う。
 なのに、この男は「それは1番だめだ!」と、強く否定をした。
 しかし、今回だけは、絶対に引き下がらないと、心の中で誓っていた楓は、無理やり、東牙の腕を引っ張り、強引にベッドへ連れ込んだ。
 だが、思いのほか狭く、2人は密着していないと、寝れない状況だったという。
 なのに、楓はそんなことお構いもせず、東牙と密着しながら、眠りに入る。

 当の東牙は「どうすればいいんだ……。」という紳士的な、男性の気持ちが心の中にあったが、実は、本当に少量ながら「これはこれで良いか?」という素直な、男性の気持ちもあったという。

Re: 復讐 5年の歳月を経て… ( No.29 )
日時: 2011/06/26 20:29
名前: コーダ (ID: 46ePLi3X)

        〜四目 裏切り裏切られ〜


 少々、曇っていて、雨が降りそうな城下町。
 こういう日は、あまり目覚めが、よろしくないという人が、たぶん多いだろう。
 もちろん、宿屋に泊っていた、この男も。

「……今日は、目覚めがあれだな……。」

 目を開けて、薄暗い部屋に、東牙は、ちょっと気分が不機嫌だった。
 そして、起き上がろうと、全身に力を出したが、なぜか、起き上がらず、どうしてか原因を調べていたら、そぐそばに居た女性が犯人だった。

 そう、楓が東牙を見事に、固定していたのだ。
 これにはたまらず「おいおい……。」と、寝ながら呟いたが、さすがに無理やり起こすのは、かわいそうだと感じて、ただ黙って、楓が起きるのを待っていたという。
 そして「う〜ん……。」と、楓の目が開き、すぐに、隣に居た東牙を見て「おはよう東牙。」と、さわやかに、挨拶をして何事もなかったかのように、起き上がって、床に足をつけた。
 東牙は「この事態を忘れて、キャーキャー騒ぐ女性じゃなくて助かった……。」と、やけにリアルな思いを、心の中で呟いたという。

「あっ、言い忘れていたが……わ、私……男と一緒に寝たのは……初めて……だから。」

 赤面交じりに、一言言った楓は、顔を洗いに部屋を出て行った。
 これには思わず「俺だってそうだよ……。」と、小声で、突っ込んだらしい。


                ○


「で、今日の何時くらいに、行くんだ?」
「……どうせなら、深夜ではなく17〜18時のくらいに行くか?」

 東牙は、楓に城へ行く時間を言った。
 もちろん、この時間にしたのは、ちゃんと理由があった。
 1番、警備が厳しいからこそ、不意打ちされる危険性は、絶対にあり得ないという考えがあったのだ。

「了解……。」
「……楓。これだけは、約束してくれるか?危なくなったら、絶対に逃げてくれると……。」

 東牙は、せめて楓には、危害を最小限にしたい、という気持ちで、この約束を言った。
 しかし、楓は「それは、私だけか?東牙と一緒に逃げるのなら、守ってやる。」と、なにがなんでも、2人という思いがあった。

「……分かった。約束する。」

 東牙が、あっさり了承したのは、どうせ拒否をしても、無理だろうと判断したからだ。
 だが、これから思いもよらぬことになるなんて、2人はまだ知らなかったという。


                ○


 表通りが、1番賑わう夜の時間帯。
 2人は、宿を出て行き、梯子を使い、屋根の上で、マントとシッポを風でなびかせていた。
 そう、今から城へ、屋根を使っていくつもりだったのだ。

「屋根を使って侵入とは、なかなか考えもしない発想だな……。」
「ふふ……よく、私が使う移動方法だ。」

 腕を組みながら、楓に感心する東牙。
 そして、風が吹きやんだ瞬間「行くぞ……!」と、強く言って、屋根をたんたんと渡り、城まで向かって行った。


                ○


「こちら鉈崎……各員、異常はないか?」

 城の内部に入れる、たった1つの入り口の前で、鉈崎は1人で、警備にあたっていた。
 他の人員は、全て第1、2、3の門の前で、待機していたという。

「よし。油断はするなよ……。」

 ブチッと、通信機を切り、食べかけのカップ麺を、1口食べる諺瑚。
 すると、背後から「今日も、気合いが入っているねぇ…刑事さんよぉ。」と、男の声が聞こえた。

「橋鍍か……俺の勘だと、今日あたりに来るんじゃないかと思う……。」
「刑事の勘かぁ……ふっ、それじゃぁ、俺は第2門の、入口辺りを守っているぜぇ……なにかあったら、俺に連絡しなぁ……。」

 そう言って、橋鍍は第2門まで、歩いて行った。
 鉈崎は「貴様の助けなんてかりずに、やってやるよ……。」と、言って、カップ麺のスープを飲んでいた。


                ○


「これはすごい……私も、内側を見たのは初めてだ……。」
「しかし、ここからどう降りるか……。」

 どうやら、2人はもう、城の第1門の上に居たようだ。
 そして、ここから20m先の地上に、どうやって降りるか悩んでいた。
 ちなみに、第1門を守っていた警備員は、まさか、上を通るとは思っておらず、2人が侵入していることに、気が付いていないようだ。

「やはり、警備も厳しいな……。」
「……よし。ここから、下に降りるか。」

 東牙は、さらっと、とんでもない事を言った。
 ここから、地上降りるとなると、もし失敗したら、命に支障が出るか、でないかくらいの、怪我につながる。
 しかし、この問題は、獣である楓には全く問題なく、言いだしっぺが、1番の問題だった。

「しかし……大丈夫か?私は、別に獣だから良いが……。」
「何……この下は、丁度草むら……降りるにはまだ、マシな方だ……。」

 余裕そうなセリフを吐いた東牙は、5秒後、目で楓に「降りる。」と、訴えて、そのまま勢いよく下に飛び降りた。
 それにつられ、楓も飛び降りる。
 そして、内壁と、自分の距離を近づけて落ちていた東牙は、冷静に腰にある刀を抜き、そのまま内壁に思いっきり刀を当てた。

 すると、面白い現象が起こった。
 壁に刀を当てることで、摩擦が生じる。しかも、東牙は、かなりの落下速度を持っていたため、摩擦は激しく、あまつさえ、摩擦熱で刀から火花が出て、キキーという、あの嫌な音が、周りにおぞましく響いていた。
 この行動により、東牙の落下速度は、少しずつ落ち、無事に草地へ着地する。
 楓は「なんだその方法は!?」と、心の中で呟き、絶句しながら東牙を見ていた。

 しかし、この東牙の行動により、最悪な状況が、生まれた。

「居たぞ—!総員突撃—!」

 2人が降りた瞬間、警備の人の声が聞こえた。
 さすがに、あんな目立った降り方もすれば、自分たちの存在が、バレバレだろう。

「行くぞ楓……!」
「任せろ東牙!」

 2人は、刀を構え、迫りくる、警備員に立ち向かった。
 荒々しくも、華麗に相手の攻撃を見切っては、斬りつける東牙。
 獣のような動きで、相手を翻弄して、スキを見ては、斬る楓。
 2人のコンビネーションは、最高だった。

Re: 復讐 5年の歳月を経て… ( No.30 )
日時: 2011/07/02 19:23
名前: コーダ (ID: H0XozSVW)

「何!?侵入者が、第2門へ向かっているだと!?」

 鉈崎は、通信機に向かって大きな声で隊員に言った。
 そして、慌てて通信機を切っては、懐からハンドガンを取り出し弾数のチェックをして「面白くなってきたな……。」と侵入者を待っていた。


                ○


「東牙!第2門はあっちだ!」
「了解……っと、危ないな……。」

 楓のとても良い視力により、第2門を見つけては急いでそっちに向かった。
 だが、思いのほか警備の数は多く、このままではラチがあかないと判断した東牙は、精神を集中させて「科門奥義第伍目『円斬刀』……!」と、技を繰り出した。
 そして、一気に警備の数は激減し、あっさり第2門を突破した。

「これは、また門を探すことになるのか?」
「ああ、そうだ。第3門を突破すればやっと城に入れるぞ……左へ行くぞ……!」

 東牙は、第1門の上で、ある程度どんな地形かは頭の中には入っていたので、次にやることがパッと言えた。
 そして、またたくさんの警備員を退けながら進んだ。
 2人が、第3門へと近づくにつれ、なぜかどんどん警備の数が減っているのに違和感を覚え、最終的に門の前には誰も居なかった。
 これにはさすがの2人は、怪しく思い警戒して門を通る。
 しかし、やはり警備員は誰も居なかった。先程までの戦いがまるで嘘のように。

「東牙……これは一体……。」

 楓は、怯えながらセリフを言ったが、東牙は「……おい、そこに居る奴……出てこい。」と、声を太くして言った。
 すると、バンッと銃声が聞こえ、東牙は素早く回避した。

「やはり、親玉が居るか……隠れてないで、出てこい。」

 東牙は、挑発気味にこのセリフを言う。
 すると、草陰からサッと、スーツ姿の男が出てきて、また2〜3発銃を撃った。
 しかし、東牙は一歩も動かずに事を終えた。

「ふんっ……俺の脅しが効かないとはな……大した度胸の持ち主だ。」

 どうやら、この男はワザと外して撃ったみたいだ。 もちろん東牙は、そのことを分かっていたので動かなかったという。

「どうやら貴様を倒さないと、無事に入れてくれないようだな……。」
「けっ……誰が通すかっての……刑事をなめるな……。」

 お互い正面に向き合い、構えに入った。
 そして東牙が、すっと動くと刑事は9、10発、銃を連発して距離を取った。
 しかし、そのスキに楓は、刑事の不意を突き、後ろから刀を振ったが、刑事はそれに気が付き左手を懐に入れ、もう1丁の銃を速攻で取り出し、なんと後ろを向きながら1発、刀に撃った。
 これにより、楓の刀は銃により弾き飛ばされ「くっ……。」と、呟き、遠くに飛んで行った刀を取りに行った。

「不意打ちとかやめた方がいいぞ……誤って命をとるかもしれねぇしな……。」

 この行動を見て東牙は「これはかなり危ない奴だ……下手すれば四天王より強いかもしれん……。」と、久しぶりに強敵だと認識した。

「さて、そこの男はどう来るか……。」

 刑事は東牙を見ながらずっと銃を構えていた。
 するとどこからともかく「ったくよぉ……って、楓じゃねぇかよぉ!」という声が聞こえてきた。
 3人がその方向を振り向くと、なんと黒いローブを着た男、橋鍍がその場に立っていた。
 楓は「きょ、橋鍍……。」と、怯えながら言った。東牙は「ん?知り合いか?」と、尋ねた。

「まさかぁ……ここで楓に会えるとはねぇ……くっくっ……鉈崎、楓、そいつが裏切り者の東牙だぁ!」

 橋鍍が叫ぶと鉈崎は「焦らせるな。ちゃんと捕まえてやる!」と、言った。
 楓は「えっ……?」と、マヌケな声で言って東牙を見る。
 そう、彼女の斬るべき相手は、あの東牙だったのだ。
 これには思わず「橋鍍!本当にそいつが、裏切り者の東牙なのか!?」と、再確認する。
 だがやはり「ああぁ、そうだよぉ!だから遠慮なく斬れ。」という回答が返ってきた。
 東牙は、少しこの状況についてこれなくて思わず「おい橋鍍という男……楓とはどんな関係だ?」と、強く言う。
 すると「簡単だよぉ……楓も俺たちと同じ、鞘嘉多の四天王だからだよぉ!」と、笑いながら言った。

「……なんだって……。」

 東牙はこの一言により、楓に対する目がすっと変わった。
 それは明らかに、敵を見るかのような眼光、しかし楓は「待ってくれ!私は東牙と戦う気はない!」と、叫ぶ。
 だが残念ながら「黙れ四天王が……。」と、言って、さっと楓の懐に入って刀を振った。

 ————————————————ガキン。

 刀と刀がぶつかる音が聴こえ、東牙は例のごとくあの法則を使って後ろにすこし下がった。
 そして「どうした……思いっきりかかってこい……。」と、楓に言ったが「嫌だ!私は東牙と戦いたくない!」と、やはり戦いをしたくないと主張する。

「ならこちらからいくぞ……。」

 東牙は刀を両手で構え、楓の懐に向かおうとした瞬間。

 ———————————————バンッ。

 銃声が響き、次に聴こえたのはカランと刀が落ちる音が聞こえ、その次に「うっ……ぐっ……。」と、東牙が右手からの出血を左手で抑えつけながら、その場に膝をついていた。
 なんと、東牙が楓に集中していたのをチャンスと見た鉈崎は、銃で右手を上手く射撃したのだ。
 しかも右利きで刀を使う東牙には、致命的なダメージで、これにより圧倒的不利な状況になった。

「ふんっ……周りを見れない若造が……。」
「すげぇなぁ……さすがは鉈崎だぁ!」

 橋鍍は、鉈崎の一撃にとても感動していて、思わず喜びを声に出してしまった。
 楓は、手で口を押さえながら、腕を必死に押さえて痛みにこらえる東牙見ていた。
 そして「やめてくれ!これ以上の戦いはやめてくれ!」と、2人に強く発言した。
 すると「おい楓ぇ……なんで裏切り者をかばう……てめぇは、鞘嘉多四天王の犬頌 楓だろぉ?」と、橋鍍がとてもガラの悪い口調で言った。
 東牙も「ど、どうして……俺をかばう……なぜだ……うっ……なぜなんだ!」と、楓に問いかけた。
 すると「……私は銃で撃たれ生死をさまよっているところ、東牙によって助けられた……そして心優しく私のことを見てくれた……そんな、そんな人を私は、敵とは思いたくない!」と、涙を流しながら東牙に言う。
 この一言により橋鍍は「おい鉈崎ぃ……あの犬も……撃てぇ……。」と、小声で言って「言われなくとも……。」と、鉈崎は銃を取り出し、楓に構えて引き金を引いた。

 ————————————————カチッ。

 とてもマヌケな音が響き「ちっ……リロードを忘れていたぜ……。」と、言った。
 この行動により、楓は即座に「危ない。」と、獣の勘が悟り、素早く、膝をついている東牙をいとも簡単に抱え、来た道を急いで戻った。
 その速さは、人間が出せるものではないくらい速く、2人が気づいた時にはもうその場にはもう居なかった。

Re: 復讐 5年の歳月を経て… ( No.31 )
日時: 2011/07/02 19:42
名前: コーダ (ID: H0XozSVW)

「なぜ俺を助ける……離せ……!」
「嫌だ!約束したじゃないか!2人で一緒に逃げると!それに次は、私が東牙を助けたい!」

 涙をこらえながらも、楓は暴れる東牙を離さず、ひたすら来た道を戻っていた。


                ○


「……おいおいぃ、どうする鉈崎ぃ?」
「ふんっ……だが、これでしばらく東牙はこれないだろう……。」

 2人は、腕を組みながら今の状況に対して、少々反省していた。

「それに、橋鍍のほうは良いのか?楓と言う女性を裏切って。」
「へっ……良いんだよぉ……たかが、四天王が1人減ろうとなぁ……くっくっく……。」

 橋鍍の不気味な笑いに、鉈崎は少々恐れを覚えたという。
 そして2人は、急いで城に入って、次の作戦を考えていた。


                ○


「……しばらく腕は動かないらしいぞ東牙……。」
「………………。」

 夜の表通りを、風のように走り、急いで病院に行って、診察をしてもらい、宿屋の部屋に入り、今に至る。
 楓は、東牙に優しく言ったが、東牙は距離を置いてただ黙っていたという。

「……すまなかった……まさか東牙がその……そういう人だと知らず……そして、私を敵としていたなんて……。」

 もう何を言っていいか分からず、とりあえず謝った楓、だが、やはり東牙は黙っていた。

「……だけど、何度も言うように、私は東牙を敵として見ない……いや見たくない……だって……うっ……。」

 楓はいままでこらえていた悲しみを、今ここで解放して、思いっきり声を出して涙を流した。
 普段なら、言葉をかける東牙も、今回だけはただ黙っていたという。
 そして、泣き疲れたのか、楓はベッドで横になり、しばらく東牙を見つめていたが、気がつくと夢の中へ行ってしまったという。

「(四天王に助けられたか……復讐を目標にする俺にとって1番最悪な出来事だ……ちっ……。)」

 楓が就寝すると、東牙は心の中で、何かを呟いていた。
 いままで復讐のために動いていた自分が、まさか敵に命を救われるという屈辱。
 考えたくもない出来事なのに、起こってしまった事。
 しかもよく考えると、完璧に自分が引き起こしたという事に、悔しさがどんどん増幅する。

 すると東牙は、何を思ったのか、ふと立ち上がり、左手で床に置いてあった楓の刀を、鞘から抜き、静かに眠っている楓の右胸に突きつけた。
 このまま刀を突けば、楓は即死する。
 東牙にとっては、願ってもいないチャンスだった。

 ———————————なにせ、あの鞘嘉多四天王をまた1人減らせるのだから。

 しかしそこから刀はピクリとも動かず、なぜかずっと止まっていた。

「(ちっ……動け……動けよな……四天王を殺せるチャンスだってのに……どうしてだ……。)」

 殺す気はあるのに、東牙の心の中で、何かがストッパーとなっているものがあり、刀が動かなかったのだ。
 その心には楓との出会い、会話、食事、就寝、起床などの出来事がたんたんと流れており、あの時、佳恵が言っていた「四天王だから?四天王だからという理由で、東牙は人を平気で殺すのですか!?」という言葉も流れていた。
 すると、だんだんストッパーの方が強くなり、刀はどんどん楓から離れ、最終的にカランと床に落とし「お、俺は一体何をしようとしたんだ……楓を殺すだと?……違う……そんなことしたくない……例え四天王でも、こうやって味方になってくれているのに俺は……俺は……なんてこと……くっ……。」
 静かにこのセリフを言い終わった後、なんと東牙が、その場で涙をポタリと落とし、その場で泣き崩れてしまった。

 どうして、楓を殺すということを思いついたんだという自分の酷い心に、悔しさを覚え、ずっと声をあげずに涙を流していたという。

Re: 復讐 5年の歳月を経て… ( No.32 )
日時: 2011/07/02 19:54
名前: コーダ (ID: H0XozSVW)

「う〜ん……おはよう東……牙?」

 雲1つなく、とても眩しい朝の日差しを受け、楓は起床した。
 しかしそこには、東牙の姿はなく、少々戸惑いながら、辺りをキョロキョロする。
 ふと、机の上に何か置かれているのを発見しては「なんだこれは?」と、言ってそこまで歩いた。
 机の上には、お金と1枚のA4サイズの紙があり、そこにはびっしり文字が書かれていたという。
 楓は、それを手に取り黙って呼んだ。




 おはよう楓。目覚めは良かったか?この手紙を置いた理由はいくつかあるが、まぁ読んでほしい……。

 まず最初に、俺は楓に謝らなければならないことがある。実は昨日、俺は楓が寝ているときに、そこの刀を持ち、あなたを殺そうとしてしまった……刀はきちんと、楓の右胸を突き刺すかのように置いた。だけど、俺はせっかくのチャンスを無駄にして、それができなかった。

 理由は簡単だ。俺は楓との出会い、会話、食事、就寝、起床などの出来事を思い出し、それがストッパーとなり刀を突き刺せなかった。

 そして俺は自分の行ったこと行動に、酷く後悔した……四天王でも、こうして俺の味方をしてくれるのに、どうして殺そうと思ったのだろうか?と……こんなこと許してもらえるわけないと思うが、素直に言う……すまない。

 楓が四天王と言う事は、まだ俺自身、きちんと自覚している。だけどあなたを、もう敵と見ないと約束する……口頭ではないので、説得力はないが、またしばらくしたら、口頭ではっきり言う。

 そして俺は、今日1日、心の整理をするため楓とは会わない……そして楓は、俺を見つけるとかいう行動は絶対にしないでくれ……勝手なわがままだと分かっているが頼む……。

 最後になるが、こんな俺にまだついていくと思うなら、そのまま部屋に居てくれ。もしついていけないと思ったら、その場から去ってくれ……俺は明日の朝になったら、必ずここに戻ってくるから、それまでに決断をしてほしい。

 隣に置いてあるお金は、自由に使っても構わない。食費に当てるなり、趣味に当てるなり、楓の好きにしてくれ。




「……うっ……。」

 楓はこの手紙を読み終わると、なぜか目から大量の涙を流していた。
 自分は、東牙にとって殺されるべき存在なのに、生かしてくれたその優しさが、彼女の心に深く刺さったからだ。
 そして楓は、涙でクシャクシャになった手紙を、四つ折りにして、そのまま懐にしまい「私……一生……東牙についていく……。」と、涙交じりの声で固く誓ったという。


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