複雑・ファジー小説
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- 復讐 5年の歳月を経て……
- 日時: 2011/07/28 17:45
- 名前: コーダ (ID: n/BgqmGu)
え〜…皆様初めまして!!コーダと申します!!
このたびはこちらの小説カキコで私のオリジナル小説を投稿していきたいと思っております。しかし、過度な期待はしないでください。あっ、こんな小説かぁ…程度の期待で良いです。
小説の内容は刀と魔法のファンタジーだと思います。(私でもジャンルが少々わかっていない。)時にはこれファンタジー?という物もありますがそこは温かい目でスルーしてください。
小説に登場する人は人間や獣人、巫女などさまざまです。
それでは、これで長ったらしい挨拶を終了します。小説のほうは編集が終わり次第投稿いたします。
それではまた〜!!
なんと参照が400を超えました!なんという出来事……これは、夢?幻?読者様!ありがとうございます!
謎の企画へ→>>91
※お知らせ
これから、大規模な文章訂正を行います。なので、いつもの書き方から、一気に変わります。
しかし、更新も同時並行に、行っていきますので、ご安心ください。
※お知らせ2
そろそろ、溜まっていた小説のコピーが終わりそうになってきました。
なので、これからは地道に作成作業もしていくので、更新速度は遅くなりますことを、お知らせします。
※お知らせ3
突然ですが、私小説を掛け持ちしました。なので、こちらの小説はとんでもなく更新が遅くなると思います。
※追記1
私の小説は戦闘描写が多いので”血”や”死”などの表現が多少ありますのでご報告いたします。
※追記2
秋原かざや様に私の小説を宣伝していただきました。本当にありがとうございます!!
宣伝文章を下記に記します。
————————————————————————
もう、今となっては過去になるが、俺は昔、復讐しか頭になかった男だった。
これから話すことはウソ、偽りは全くない……復讐のきっかけ、復讐符の終止符、これからについて……隠さずにここに記すとする。
「東牙(とうが)殿!! 今日はお祭りですぞ!!」
「騒がしい爺さんだな……どうせ規模の小さい夏祭りだろ?」
屋根が全て瓦で覆い尽くされ、玄関の正面には立派な門構え。
外から見ると、縁側にたくさんの襖が見えた。
始まりは、その小さな夏祭りでの出会い。
「だーかーらー!! なんでこの商品は、何度撃っても倒れないのよ!? おかしいでしょ!?」
「おかしいたってお嬢ちゃん? 倒れないもんは倒れないんだよ」
「いーや!! 絶対なにか細工しているに違いないよ!!」
「おい……俺は女だからって手加減はしないぞ……」
「そっちこそ覚悟は出来てるの!? 私に逆らったことを深く後悔させてあげるんだから!!」
そういって、少女は。
「グリモワールオブエレメント・サラマンド、第1章「バーンストーム」!!」
東牙の足下に現れたのは、六角形の魔法陣。そこから激しい炎が噴き上げた!!
————ひとつ、話をしよう。
ある家に決まりがあった。
それは、破ってはならぬ厳しい掟。
『他人に振り回されず、自立して生きる』
その家の者を勝手に振り回すことは、斬られても文句は言えない。
また、自分から振り回されてしまえば、自分が死刑となる。
そんな厳しい掟があった。
そう、俺がいた鞘嘉多家は、そんな厳しい掟があったのだ。
「一体どうしたんですか?」
「それがですね……今日の朝、蓮花お嬢様が誘拐されてしまったんです! 犯人は、確か……“鞘嘉多”と言ってましたね」
幼い俺が彼女、蓮花(れんか)に振り回されてしまったことがきっかけで……。
「ちょっとそこの爺さん!! 私をどうするつもりなのよ!?」
「おやおや……お嬢ちゃんは、自分がどんな状況か分かっていないようですな。……我々鞘嘉多家後継者、鞘嘉多 東牙殿を引き連れたという罪で、公開処刑ならぬ公開死刑になろうと」
「!!」
「聞け貴様ら!! 俺は鞘嘉多の決まりを反対する!! そして俺は自分の名字を捨てて完全に鞘嘉多の縁を切る事にする!!」
家との縁を切る事を決意した。
「ああもう!! じれったいわね!! この際、敵か味方かとっとと決めちゃいなさいよ!! せっかく東牙は覚悟決めて、ここに殴り込んでいるのよ!? あんたも覚悟くらい持ったら!?」
「……ふふ……わたくしとしたことが子供に説得されるとは思いもしませんでしたわ」
————そして、5年の歳月が経った。
俺の視力は落ち、眼鏡をかけることとなったが、ここから、俺の復讐が始まる。
「(一体どうなっているんだ……北の都会街と言っていたが……ちっ、早いとこ解決しないとな……)」
「佐々凪(ささなぎ)殿!! 反対関係者が守りの姿勢に入りました!!」
「科門奥義第伍目『円斬刀(えんざんとう)』……!!」
「こんなんじゃぁ、東牙に顔見せられねぇよ……」
「世の中何が起こるか分からない……だから勝つまで絶対油断はするな。良いか?」
「佳恵……さん? もしかして佳恵さんですか!?」
「その声、私が忘れるはずありません……東牙……東牙—!!」
「……ふんっ、さすがだな、鞘嘉多四天王の1人……」
「もう少し違う形で出会っていれば仲良くできたのにな……」
「四天王だから? 四天王だからという理由で、東牙は人を平気で殺すのですか!?」
「おい、指示が出てないのに、長距離狙撃銃を撃つ馬鹿がどこ居る?」
「み、見たのか……私の体を……」
「おっ……これはなかなかの味……」
「だろ? この味を分かってくれる人が居て俺は嬉しい」
「……すまなかった……まさか東牙がその……そういう人だと知らず……そして私を敵としていたなんて……」
「(ちっ……動け……動けよな……)」
「そこにいるのは誰だ……」
—————————————————————チリリン。
オリエンタルな東方風世界を舞台に、刀と魔法が彼らの運命を斬り開く!!
剣戟あふれる復讐劇の先に、辿りつく未来とは……。
【復讐 5年の歳月を経て……】
現在、複雑・ファジースレッドにて、好評連載中!
「あ〜あ……自分も警視みたいに綺麗で家庭的な人欲しいですよ〜〜」
「そんなもん俺に相談すんな……自分の花嫁くらい自分で探せ……」
————————————————————————
宣伝文章終了。
・読者様
ステッドラーさん(【★】アーマード・フェアリーズ【★】を執筆している方です。)
琴月さん(*鏡花水月に蝶は舞う*を執筆している方です。)
龍宮ココロさん(白ずきんちゃんと。〜ワンダーランドの住人童話〜を執筆している方です。)
(同時に、ゴッド・コードウルフ。という小説も執筆している方です。)
水瀬 うららさん(Quiet Down!!を執筆している方です。)
長月さん(神王サマは15歳!を執筆している方です。)
・絵を書いてくれた方々
しかやんさん(美しい、柊 樅霞さんを描いてくれました!ありがとうございます!)
・評価をしてくれた方々
緑月華さん(評価ありがとうございます!そして、蓮花を好きと言ってくれて、嬉しいです。)
水瀬 うららさん(とても詳しい評価、感想をありがとうございます!私からは感謝の2文字しか出てきません!)
・鑑定をしてくれた方々
秋原かざやさん(非常に丁寧な鑑定、ありがとうございます!私の弱点を教えてくれて、本当に嬉しいです。)
・宣伝をしてくれた方々
秋原かざやさん(とてもドキドキするような宣伝、ありがとうございます!そして、楓のことを好きと言ってくれて、嬉しいです!)
壱目 出会いと別れ
>>1 >>2 >>3 >>4 >>5 >>6 >>7
>>8 >>9 >>10 >>11
弐目 再開、そして別れ
>>12 >>13 >>14 >>15 >>16 >>17
>>18 >>19 >>20
参目 新たな仲間と敵
>>21 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26
>>27 >>28
四目 裏切り裏切られ
>>29 >>30 >>31 >>32 >>33 >>34
>>35 >>36
伍目 城内戦争
>>37 >>38 >>39 >>40 >>41 >>42
六目 巫女と鈴と刀と……
>>43 >>44 >>45
七目 衝撃の事実
>>46 >>47 >>48 >>49 >>55
八目 過去よりも今
>>58 >>59 >>60
九目 雪月花解禁
>>64 >>66 >>71 >>72 >>73 >>79
>>80 >>81 >>83 >>84 >>85 >>86
>>87
拾目 活動、反省、計画
>>90 >>94 >>95 >>96 >>97 >>98
>>99 >>106
拾壱目 柊樅霞の呟き
>>107 >>108 >>109 >>112 >>113 >>114
>>115
拾弐目 それぞれの思惑
>>116 >>121 >>124 >>125 >>126
拾参目 城外大戦争
>>128 >>131 >>133 >>137
- Re: 復讐 5年の歳月を経て… ( No.23 )
- 日時: 2011/06/26 09:28
- 名前: コーダ (ID: 46ePLi3X)
太陽が、明るく照らす、朝の城下町。
表通りでは、主婦が、市場で売られている商品を見る光景を、目にすることが多い。
朝と夜とでは、表通りの人が違うという、特色が、この城下町では有名だ。
そして、窓の近くで、寝ていた東牙は、朝の日差しを、受けてなのか、気持ちよく起きたみたいである。
少し腕を伸ばし、体に目覚ましをかける東牙。
窓を開けて、心地よい風を受けながら「今日は、情報を探ろう。」と、言って後ろを振り向くと、突然「はっ……?」と唖然したという。
昨日ベッドには、犬が1匹寝ていたのに、今日の朝は、犬が居なかった。
そのかわり、裸体の女性が、丸まって寝ていたのだ。
東牙は、メガネを取ったり、つけたりを、繰り返して、確認したが、やはりベッドには、女性が居た。
しかも、よく見ると、頭の上には、2つの獣のような耳と、ふさふさした尻尾があり、よく見なくても、美人だった。
東牙ぐらいの男性には、色々な意味で、刺激的なものなので、ある感情が抑えきれなくなるのに、この男は落ち着いて「起きたら、事情を聞こう。」と、言って、椅子に座り、懐から小さい本を出して、そのまま読み進め、女性を丸投げにしたのだ。
傍から見ると、誤解が生みそうな場面なのに、そんなことを気にもせず、のんきに読書する、この男の度胸がすごい。
そして「う〜ん……。」と、ベッドの方から、声が聞こえてきた。
東牙は、それを耳にすると、すぐに本をパタリと閉じて、窓の方向を見ながら「目覚めは好調か?」と尋ねる。
もちろん、この男は“裸体の女性”を意識して、向きを変えないでいる。
「め、目覚めは好調だ……んっ……?」
女性は、東牙の質問に答え、しばらく黙った。
そして、違和感を覚え、自分が、今、どんな姿をしているのかを、5秒くらい確認して、やっと頭の中で、処理ができ、毛布をばっと巻いて、クゥ〜ンと、鳴きながら赤面していた。
東牙は内心「この行動が正解か……。」と、思っていたという。
「み、見たのか……私の体を……。」
女性は、東牙に小声で質問する。
すると、意外にも「ああ、見た……だから、こうやっているのさ。」と、正直に答えたという。
「う〜……。」
この言葉に、女性はさらに、赤面したが、怒鳴りはしなかったという。
というか、東牙があっさりと、隠さず言った事に、意味があるのかもしれない。
「あなたが着ていた着物なら、もう乾いてるだろうし……持ってくるか?」
「……た、頼む……。」
東牙は「やれやれ……。」と、呟き部屋から出て行き、従業員に着物について、聞きに行った。
部屋を出て、5〜6歩進んだ時に、なぜか部屋から、クゥ〜ンと、鳴き声が聞こえたのは、言うまでもない。
しかし、ここでおかしいところがある。
なぜ東牙は、この女性に着物を着させるのか、という事を。
もしかすると、この男からは、謎という文字が、頭の中から、消えたのかもしれない。
○
「ほら。持ってきたぞ……早く着替えてくれよ?」
東牙は、部屋を開けて、着物を女性の近くにおいては、せっせと、部屋から出て行った。
そして、扉に背中をかけて、また懐から本を取りだし、着替えが終わるまで、読書をした。
「……もう、入ってきていいぞ?」
女性が、着替えたことの知らせを聴き、東牙は、本をパタリと閉じ、ガチャと、扉を開け椅子に座った。
そして「やはりそうか……。」と、女性を見ながら呟いた。
「な、なにがそうなんだ?」
「いや、なぜこの部屋に、美人な女性が居るか、っていう謎……単刀直入に言おう……あなたは、昨日撃たれた犬だよな?」
この一言に、女性は色々な意味で、ドキッとしたらしい。
そして、尻尾を落としながら「そうだ。私は、昨日撃たれて、お前に助けられた馬鹿な狼だ。」と呟く。
「だろうな……その耳と尻尾、さらに、獣のような眼光……明らかに、人間ではないだろうと判断した……後、自分を自分で、馬鹿というのはやめろ……それは、完全に自分を否定していることになる……良いか……!」
どうやら東牙は、朝起きた時点で、この女性があの犬だと、見抜いていたのだ。
もちろん、人間にはないものが、その答えに結び付いたのは、言うまでもない。
そして、最後の言葉には、底知れぬ意味があるのだと、女性は思ったらしく「わ、わかった。」と恐れながら言った。
「まぁ、色々聞きたいことはあるが……まずは、朝食でも食うか。あなたは何が好きなんだ?」
東牙は、とりあえず、このまま話していては、つまらないし、悪いと思って、朝食を取ることにした。
この宿屋は“泊まる”という、概念しかないので、食事は買ってこなくては、だめなのだった。
だから東牙は、女性に、好きな食べ物を訪ねた。
「えっと……果物ならなんでも良い……。」
「分かった。じゃあ、おとなしくここで待っていろよ?」
そして、扉を開けて、表通りまで買い物に行った、東牙。
女性は心の中で「優しい人。」と思ったのは、言うまでもない。
ちょっとした補足説明…。
〜この世界の住民〜
この世界には大まかに人間、獣人、鳥人、竜人が存在している。
他種族間で争いは基本的に少なくともに協力して暮らしていることが多い。しかし、一部では人間による他種族の差別的意識がある場所もある。
とくに、獣人は犬、猫、狼、兎、狐、鼠と多種多様に存在する。
獣人の特徴は作中でも書いたとおりそのモデルとなった獣に実際になれるということ。
狼の獣人なら狼になれるなど…しかし、遺伝子の強さが弱いと獣になるこができない(簡単に説明すると、人間と獣人からできた子供は獣になれない。)。
なお、鼠に狐、竜人以外の寿命は人間と同じ100年くらいである。
- Re: 復讐 5年の歳月を経て… ( No.24 )
- 日時: 2011/06/26 09:50
- 名前: コーダ (ID: 46ePLi3X)
「なるほど……今の季節的にしょうがないか……。」
市場で、頭を悩ませながら、果物を見ていた東牙。
今の季節的に、柿、ブドウ、リンゴ、ナシくらいしかなかったので、こんなセリフを吐いていた。
ちなみに、この男は柑橘系を、探していたみたいなので、少し残念がっていたという。
余談だが、柑橘系の旬は、だいたい冬から春である。
「親父。とりあえず、これらの果物、5つずつくれないか?」
東牙は、場所で言葉を使い分けられる。
市場的な、店舗を持たない場所だと、丁寧な言葉より、先の言葉の方が、売り手に好印象を、あたえられるくらい、朝飯前だった。
「ん?リンゴが1個多いぞ?」
このように、言葉の使い分けで、得をすることはよくある話だ。
次は、自分の分の食事を買う為に、店舗販売している、惣菜屋に向かった。
「朝はあまり、重たい食べ物は食いたくないし……おっ?」
どんなものを、食べたいかを悩んでいた時に、東牙の前に、ある食べ物が売られていた。
それをみた瞬間、この男の目は、珍しく輝き、少々嬉しそうに。
「すみません。これ6つください。」
今度は、丁寧な言葉で物を頼んだ。
すると店員が「あっ!すみません、今から作りますので、少し待ってください!」と、東牙へ言った。
この言葉に、もっと嬉しくなったという。
「(出来立てを食えるってことか……これは運が良い……。)」
出来立てを、食べられることに、ワクワクしていた、東牙にとって、待つことなんて、苦ではなかった。
すると、隣のお店で、並んでいた主婦の会話が、小耳にはさんだ。
「あら奥さん。あの城に、北の都会地で、ちょっと暴れた人が、連れてこられた事、知らなかったのかしら?」
「え〜!?それはすごいわね〜……。」
「どうやら、しばらく城に、捕まることになるらしいわよ?」
「あんな見かけで実は……とは思わないわよね。」
「なんだか、それを見たっていう人から、聞いたんだけどね。数は40人くらいで、基本的に全員が、腰に刀を持っているのよね。」
この何気ない会話に、東牙は思わず疑問に感じた。
“北の都会地”“暴れた”“40人くらい”“全員腰に刀”というワードに、全て自分があの時の状況と、当てはまるということに。
そして、惣菜屋で買った物を、受けとっては「これは、近い間暴れる時が来るな……。」と、とても小さな声で、呟いた。
○
「買ってきたぞ。」
「どんな果物を、買ってくれた?」
扉を開けるなり、女性は東牙の買ってくれた果物を、袋の中から覗いた。
この行動だけみると、本当に犬だな、と思った東牙である。
「季節的に、それしかなくてな……気に食わないものがあったら、言ってくれ。」
「いやいや、そんなことはない。全て私の好物だ。」
尻尾を大きく振り、獣独特の犬歯を見せながら、笑顔で女性は東牙に言った。
そして、袋の中から、リンゴを取りだし、1口かじったという。
「そ、そうか……たくさん買ってきたから、どんどん食えよ?」
そう言って、袋を全て女性に渡し、東牙は椅子へ座り、自分の分の食べ物を出した。
そして、割り箸を割り、その食べ物を、1口食べては「やはり美味いな……。」と、小声で呟いたという。
「むっ?お前は何を、食べているんだ?」
女性は、2つ目のリンゴを食べながら、東牙の食べているものを、見た。
すると、そこにはたくさんの、黄色い物があった。
「ん?これは出汁巻き玉子っていう食べ物だ。これが美味くて……俺の大好物だ。」
「ほう……ひ、1口良いか?」
女性は、出汁巻き玉子という、食べ物を知らないらしく、思わず1口食べたいと言った。
もちろん東牙は、持っている割り箸を渡して、自由に食べさせた。
「おっ……これはなかなかの味……。」
「だろ?この味を分かってくれる人が居て、俺は嬉しい。」
女性は、出汁巻き玉子が気に入ったらしく、もう1口食べてしまった。
すると、慌てて「あっ……す、すまない……1口の約束だったのに。」と、割り箸を東牙に渡す。
しかし東牙は「いや、なんなら1個やるよ。」と言って、割り箸を返した。
この言葉を、聴いた女性は、笑顔で「ありがとう。」と、言って満面な笑みで、出汁巻き玉子を食べたという。
「じゃあ、俺はリンゴを1個頂こうか……。」
「うぐっ……あ—!それはだめだ—!私が、1番好きな果物だから!」
しばらく、このやりとりが続いたのは、言うまでもない。
そして、この時の東牙の顔が、いつもより明るかったのは、言うまでもない。
- Re: 復讐 5年の歳月を経て… ( No.25 )
- 日時: 2011/06/26 10:28
- 名前: コーダ (ID: 46ePLi3X)
「でぇ?北の都会地の奴らを、苦労してここに送ったんだから……それ相応の報酬があるだろぉ?」
「ん?君は私の言ったことを、聴いていなかったのかね?報酬は、反対関係者の処罰が、決まるまでと。」
城下町の中心に建つ城。
敷地は、直径400mくらいで、100mずつ城を囲い込み、高さ20mの大きな門を、3回通って、やっと入られる城の、1番上で、2人の男性が話していた。
1人は、北の都会地に居た、黒い服装をした男で、もう1人は、地面までつく長いマントをしていて、少々長い金髪で、目は青く、腰には剣みたいなもがあった。
そして、見るからに育ちが良く、気品の高い男だった。
「あぁん?そんなこと言ったかぁ!?」
「言いましたよ……。」
どうやら、報酬についてもめていたが、明らかに黒い男が不利。
なので、一旦諦め「今度はちゃんと言えよぉ夜尭(やたか)!」と、言った。
「あなたのいうちゃんとは、どれくらいか、私には理解できませんね……ん?どうぞ入ってください。」
夜尭という男は、黒い男の叫び声の中、扉をノックする音が聞こえたので、丁重に許可を出した。
すると、そこからは、上のボタンが全て取れている、スーツ姿の、ガラが悪そうな男が現れた。
「失礼する……確か、今回の仕事を依頼してきた高仲 夜尭(やかなか やたか)という者は君か?」
入っていきなり、仕事の件について、話を持ってきた男。
すると、黒い男は「なんだぁてめぇ。」と、言って、がんを飛ばしてきた。
「おっと、俺の名前は鉈崎 諺瑚……刑事だ。」
「何ぃ!?あの鉈崎だってぇ!?」
黒い男は、鉈崎と聞くと、すぐに驚いてあたふたし始めた。
どうやら、諺瑚という名は、それほど世の中に、浸透しているに違いない。
「静かにしてくれないか橋鍍(きょうと)……大事な話だから。」
夜尭は、とりあえず話が進まないため、橋鍍と名乗る男を、鎮めさせた。
そして、すぐさま仕事の内容を、諺瑚に言った。
「刑事さんに、やってもらいたいのは簡単ですよ……しばらく、この城を、24時間体制で、見張ってほしいのです。もちろん、こちらからも人員は出しますよ?」
夜尭の依頼に、思わず「そんな簡単なもんで良いのか?」と、言った諺瑚。
どうやら、この仕事は、彼的に、あくびが出るくらいのものらしい。
「いえ、刑事さんは分かっていません……北の都会地で、騒ぎを起こした者に、捕まっていない男が居ると……。」
「あぁ、しかもその男はよぉ……俺達、四天王の1人、九寺をいとも簡単に殺したんだぁ……。」
「なるほど、かなり腕が良いと……だけどな、俺はどんな奴が来ようと、絶対、逮捕する刑事だ。」
諺瑚は、懐から銃を取り出し、夜尭に突きつけながら、このセリフを言う。
そして、すぐに懐にしまい「失礼。」と、言ってこの場から去って行った。
「あんなガラの悪い奴が刑事ねぇ……しかも、あいつ、よく見たら銃2丁あったぜぇ……。」
橋鍍は、やや恐ろしく諺瑚の事を言い「それじゃ、俺も失礼するぜぇ。」と、言ってこの場から去って行った。
「……刑事さんも、橋鍍も、油断禁物ですよ……。」
○
「なるほど、あなたは元々そういう人か……。」
「ああ、獣人として生まれた私は、自分が、平和に暮らせる場所を探して、ここに来た。」
かなり、真剣な空気が漂う、宿屋のある一室。
東牙は、女性に関して、色々と情報をもらっていた。
「まぁ、ここら辺の人は、あなたみたいな人が来ても、別に何とも思わんから……すごしやすいといえば、すごしやすいか……。」
東牙は、少し考えながらこのセリフを言った。
そして、部屋の窓を閉め「ちょっと外で、情報をもらってくるか?」と、女性に言う。
一体、何の情報か分からないが、このまま1人で居ても、つまらないからという理由で、東牙についていくことにした。
「と、所でお前……。」
「ん?なんだ?」
東牙が、外に出る準備をしている時に、女性は少し気になることが、あったみたいだ。
「そ、そのなんだ……あなたとか、お前って呼ぶのはもうやめにしないか?」
「……そういうことか。確かに、あなたの言う通りだ。」
そう、まだお互いの名前を、確認していなかったのだ。
このセリフを聴いた途端、女性は尻尾を振りながら。
「私は、犬頌 楓(けんしょう かえで)だ。お前の名は?」
「俺は、科門 東牙だ。しばらく、よろしく頼む楓。」
いきなり東牙は、“楓”と、呼び捨てで読んだので、楓は思わずドキッとして「わ、わかった……東……牙……。」と、返した。
しかし、楓はこの名前を聴いて、ふと思い出したのだ。
今、自分が斬るべき人の名前も、“とうが”という事に。
だが、楓は、こんな優しい人が、仲間を裏切るわけがないという理由で、何も疑いを持たなかったという。
一方、東牙も、楓が四天王だとは知らないらしく、何も思いもしなかった。
○
「あ〜あ……結局こんな所に捕まったわね……。」
薄暗く、黒い棒状の物が、正面に何本も並び、周りは、石でできた牢屋の中、蓮花は、明るく一言呟いた。
そう、北の都会地に居た反対関係者は、全員この牢屋に捕まっていたのだ。
「せっかく、表向きは綺麗な城なのに、なんで地下は牢獄なのかしら?」
先から、蓮花ばかりが、独り言のように喋っていた。
他の反対関係者は、絶望に満ち溢れているのか、何も突っ込みもしなかったという。
「(あの時に会った魔法使いの男性……何か、人間には持たない雰囲気がありましたわね……。)」
一方、佳恵は、あの時に会った黒い男が、気になってしょうがなかった。
別に、一目ぼれしたとかという、意味ではなく、少し、人間とはかけ離れた雰囲気が、気になったみたいだ。
「はぁ……どっか強い王子様が、私たちを助けてくれないかしら……。」
「(ここは私が少しあの男性を調べないと……でも、破廉恥な事をされるのはごめんですわ……。)」
ちなみに、この牢屋には、魔力不無装置(まりょくふむそうち)と言うものが、働いており、蓮花はいっさい、魔法を唱えられなかったのだ。
佳恵も、牢屋に入る時に、刀を持っていかれ、自慢の斬鉄剣が、できない状況であった。
キャラ紹介…
名前:鉈崎 諺瑚(なたざき げんご)
性別:男
種族:人間
年齢:28歳
血液型:A型
身長・体重:175cm・65kg
得意な戦術:銃
名前:犬頌 楓(けんしょう かえで)
性別:女
種族:獣人(モデルは狼)
年齢:23歳
血液型:O型
身長・体重:162cm・56kg
得意な戦術:刀(正確にいえば太刀)
- Re: 復讐 5年の歳月を経て… ( No.26 )
- 日時: 2011/07/02 21:54
- 名前: コーダ (ID: H0XozSVW)
「面白い情報は、なかなか、なかったな……。」
「ふむ。だが、どうしてあの城について、聞きたいんだ?」
空が、茜色に染まる時間帯。
東牙と楓は、昼間ずっと、情報を探していたが、思いのほか、収穫がなく、こうして宿屋に戻っていた。
「いや……ちょっと気になって……。」
東牙は、窓を開け椅子に座り、何か考えながら、このセリフを言った。
すると「もしかして、あの城に入りたいのか?」と、楓がベッドに座って、外を見ながら、考える東牙に言った。
「まぁ、それもある……ただ、心配なだけだ……。」
また、意味深なことを、言う東牙。
しかし楓は「何を遠回しに言っている!?はっきりしないか!?」と、じれったい東牙に、一言、怒鳴った。
これには、思わず表情を変え、びっくりしたが、すぐに落ち着きを取り戻し、ふっ、と笑い。
「やはり、楓は獣の血が宿っている……回りくどいことは嫌いで、真正面な生き方……俺は嫌いじゃないが、それだと、騙されやすい人になるぞ?」
一言、楓に言ったが「東牙のような人間は、胡散臭く見られて、好かれないぞ?」と、次に彼女が、東牙へ返した。
すると「……俺は嫌われてなんぼだ。」と、少し、小声で呟いた。
楓は、こんなセリフを吐いた東牙に「全く……自分を自分で、嫌われたほうが良いなど、言うな。それは、自分自身を完全に不定していることになるぞ!?」と、どこか聞いたことあるセリフを言った。
「……まさか、そのセリフを、自分が言われるなんてな……すまない。」
東牙は、まさかの言葉に、少しグサリと心に来たのか、素直に謝り、先ほどの言葉を撤回した。
楓は「それで良いんだ。」と、言って、この空気を戻した。
「じゃあ、素直に言う。実はあの城には、俺の知人が捕まっている可能性があるんだ。」
「何!?それは本当か!?」
城を見ながら、東牙は気になっていることを、素直にいう。
すると楓は、慌てて、早く助けた方がよいという、雰囲気を出していたが「だが、これはあくまで可能性なんだ。」と、東牙は、楓を落ち着かせるため、もう1回言った。
「そ、そうか……だから今日、昼間はずっと城のことを……。」
「……とりあえず、俺はしばらくその調査に行動して、噂が本当ならあの城に行って、何が何でも知人を助ける……。」
東牙は、これからの行動を少し、簡単に説明した。
そして、重大なことを楓に言った。
「だから……楓とはもう少しで……共に行動ができないんだ。」
そう。これはあくまで東牙の事であり、関係ない楓を、巻き込みたくないという一心で、このセリフを言った。
もちろん楓は、東牙が言った言葉の意味が、分かっていた。
しかし「何を言っている……私は、命の恩人が困っている所を、ノコノコ引き下がるような狼ではない。」と、獣のような眼光で、東牙を見て強くこのセリフを言った。
だが、この男も、いままでにもないくらい、目を吊り上げて「それは、俺の巻き添えを食らうという意味なんだぞ……分かっているのか?」と、声を太くして言った。
しかし楓は「かまわん。命の恩人が助けられるなら。」と、一歩も引きさがらなかったという。
すると東牙は、突然、黙ってベッドまで歩き、そこからしゃがんで、ベッドの下に手を入れた。
そして、そこからとても長い刀を取り出し、楓に渡しては「楓の覚悟を知りたい。今から俺を斬れ。」と、強く言ったのだ。
普通なら、少々慌てて訳を聞くが、楓は黙って刀を鞘から抜き、両手で構え、思いっきり東牙を斜め45度に斬りつけた。
————————————————ガキン。
部屋の中からは、刀と刀がぶつかる音が、とても綺麗に響いた。
どうやら、楓の一閃は東牙に当たる寸前で、止められたみたいだ。
そして東牙は「合格だ。」と、一言つぶやき、刀を鞘に戻しては、そのまま椅子に座り、懐から本を取り出し、黙って読書にはいる。
すると楓は「なぜそう思った。」と、合格にした理由を尋ねる。
本を、パタリと閉じ、茜色の空を見ながら「簡単だ。本当に俺を殺すと言わんばかりに、斬りつけようとしたからだ……あそこで手を抜いたら、その時点で、度胸がないと判断し、不合格にした。だけど楓は、刀が1番斬れる角度、45度で斬りつけて、さらには、獣のような眼光をしていたからだ……ここまで言えば納得か?」と、長々と理由を言った。
もちろん、楓は納得して、自分も長い刀を鞘に戻し、ベッドに座った。
「今日の夜。少し城を偵察するが、もちろん行くよな?」
「もちろんだ。命の恩人が行くと言うなら、私はどこまでもついていく!」
楓は、犬歯を出して、東牙についていくと決めた。
東牙は「ふっ……。」と、笑い、読書を続けた。
しかし、彼の心ではなぜか「すまない……。」と、いう一言が呟かれていたという。
- Re: 復讐 5年の歳月を経て… ( No.27 )
- 日時: 2011/06/26 14:34
- 名前: コーダ (ID: 46ePLi3X)
表通りが、1番賑わう時間帯。
もちろん、城の方も、にぎわっているが、その分、警備は万全である。
そんな、夜の飲食店で、メガネをかけた、黒いマントの男と、美人で、耳と尻尾がある女が、一緒に食べているという噂が、小規模で、流れていた。
「騒がしい飲食店しかとれなくて、すまない。」
「いや、東牙が謝る事じゃない。だから、気にしないでくれ。」
飲食店と言うか、むしろ、酒場と言った方が、あっている場所で、2人は、夜の食事をしていた。
周りは、のんべぇの男たちが、騒いでおり、東牙にとっては、最悪な場所だ。
なのに、楓を心配する辺りが、この男らしい。
「城に関する有力な情報が、本当になくて困るな……。」
お茶を飲みながら、肘をついて、東牙はこんなセリフを呟いた。
すると、それを聴いていた、隣の男が「兄ちゃん。城のことが、聞きたいのか?」と、酔っ払いながらも、話しかけてきた。
「その情報が、正しいという根拠は?」
「な〜に……こう見えて、俺は城を警備する男だ!今日は、たまたま休みで、こうやって仲間と飲んでるんだがよぉ!」
東牙は、これを聴いて、顔色を変え「情報を、教えてくれ!」と、言った。
すると男は「良いけどよぉ……ただじゃなんだから……。」と、言って、お店のメニューを見た。
もちろん東牙は、何を言っているのかが分かっており、懐から、酒1杯分の、お金を渡した。
「兄ちゃん、物分かりが良いなぁ!」
「ふんっ……。」
ちなみに、楓はこのやりとりを、唖然としながら見ていた。
どうして、東牙はこういう人の接し方が、自然にできるのか、という意味で。
「じゃぁ、言うぜぇ……今日、城に40人くらいの人が捕まった、という話は聞いたことあるだろ?だけどよぉ、実は、一昨日辺りから、もうここに連れてこられたんだ。」
「なるほど……どういう人が居たとか覚えているか?」
「あ〜……そうだなぁ……俺は、ちらっとしか見てねぇから、一概に言えんが、全員、刀を持っていてその中に、かなり胸がでかい女性が居て、なぜか1人だけ、全身が紅い服を、着ていた女性もいたな……あれは、見たところ魔道士と見たぜぇ。」
この言葉により、東牙は「やはり、佳恵さん達が捕まっているのか……。」と、心の中で呟き、2秒後に「そういえば、なんで蓮花も居る?」と、1つ謎が生まれた。
「親方は、見るときは、みるんですねぇ〜。」
「へっ、俺は親方が気づく前に、あの胸がデカイ姉ちゃんを見てたぜぇ!」
「そういえば、お前ずっとその人、見ていたなぁ…。」
東牙と男が話していると、仲間たちが、会話に参加してきた。
これにより、どんどん情報が得られやすいと思った、東牙であった。
相変わらず、楓は唖然としながら、この男達を見ていた。
「でな、その捕まったやつらは……おっと、ここからは、極秘だから言えないが……。」
東牙は「極秘の情報は、絶対に教えてくれないのか?」と、親方に問い詰める。
すると、親方は仲間の顔を、1人1人見て、最後にメニューを見る。
だが、やはり東牙は、何を言っているのかが、わかっており、懐から、酒16杯分のお金を渡した。
「さすがだなぁ、兄ちゃん!俺の言っていることを、完全に解ってるぜぇ!」
「4の2乗をしただけだ……それ以外、理由はない。」
この行動に、仲間たちも、他のお客さんの事を考えず、歓声をあげて、盛り上がった。
というか、周りが、ほぼそういう状態だから、何も言われなかったらしい。
「へへっ……どうして、あの40人が捕まったのかという理由……表向きでは、暴れたと言っているが、それは違うぜぇ……てことは、分かるだろぉ?裏向きの理由があることに……。」
親方は、小声で、東牙に言った。
そして、ゆっくりと、裏向きの理由を言い始めた。
「どうやら……あの40人を助けるために、来るだろうと思われる男を、呼び込むために、捕まえているらしいぞぉ……。」
この言葉に、東牙は心の中で「何!?」と、叫んだ。
しかし、ここで表情に出すのは、少々危険なので、落ち着いて「な、なるほど……その男が目当てか……。」と、呟く。
「しかもよぉ……来なかったら来なかったで、捕まっている40人を、処罰すんだってよぉ。」
「あ〜あ……勿体ねぇよな、それ……なんなら、俺にあの姉ちゃん、くれってのにぃ……。」
「そして、すぐにビンタされ、お前は死ぬと……。」
「はは!それは、面白い死に方だな!」
東牙は「そうか、すまないな……こんな極秘情報を教えてくれて。」と、言って親方の手に、酒20杯分のお金を渡した。
そして「行くぞ……。」と、楓に言って、この場を後にした。
気がつくと、外は少し冷たい風が吹いていて、思わず、身震いしてしまう中、楓は「良かったのか?あんなにお金を出して。」と、東牙の経済面を心配した。
しかし「その金以上の、価値がある情報をきけたから良い。」と、きっぱり言って、宿屋に早足で向かった。
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