複雑・ファジー小説

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

復讐 5年の歳月を経て……
日時: 2011/07/28 17:45
名前: コーダ (ID: n/BgqmGu)

 え〜…皆様初めまして!!コーダと申します!!

 このたびはこちらの小説カキコで私のオリジナル小説を投稿していきたいと思っております。しかし、過度な期待はしないでください。あっ、こんな小説かぁ…程度の期待で良いです。

 小説の内容は刀と魔法のファンタジーだと思います。(私でもジャンルが少々わかっていない。)時にはこれファンタジー?という物もありますがそこは温かい目でスルーしてください。

 小説に登場する人は人間や獣人、巫女などさまざまです。

 それでは、これで長ったらしい挨拶を終了します。小説のほうは編集が終わり次第投稿いたします。

 それではまた〜!!

 なんと参照が400を超えました!なんという出来事……これは、夢?幻?読者様!ありがとうございます!

謎の企画へ→>>91

※お知らせ

 これから、大規模な文章訂正を行います。なので、いつもの書き方から、一気に変わります。
 しかし、更新も同時並行に、行っていきますので、ご安心ください。

※お知らせ2

 そろそろ、溜まっていた小説のコピーが終わりそうになってきました。
 なので、これからは地道に作成作業もしていくので、更新速度は遅くなりますことを、お知らせします。

※お知らせ3
 突然ですが、私小説を掛け持ちしました。なので、こちらの小説はとんでもなく更新が遅くなると思います。

※追記1

 私の小説は戦闘描写が多いので”血”や”死”などの表現が多少ありますのでご報告いたします。

※追記2

 秋原かざや様に私の小説を宣伝していただきました。本当にありがとうございます!!

      宣伝文章を下記に記します。


————————————————————————

 もう、今となっては過去になるが、俺は昔、復讐しか頭になかった男だった。
 これから話すことはウソ、偽りは全くない……復讐のきっかけ、復讐符の終止符、これからについて……隠さずにここに記すとする。

「東牙(とうが)殿!! 今日はお祭りですぞ!!」
「騒がしい爺さんだな……どうせ規模の小さい夏祭りだろ?」
 屋根が全て瓦で覆い尽くされ、玄関の正面には立派な門構え。
 外から見ると、縁側にたくさんの襖が見えた。

 始まりは、その小さな夏祭りでの出会い。

「だーかーらー!! なんでこの商品は、何度撃っても倒れないのよ!? おかしいでしょ!?」
「おかしいたってお嬢ちゃん? 倒れないもんは倒れないんだよ」
「いーや!! 絶対なにか細工しているに違いないよ!!」

「おい……俺は女だからって手加減はしないぞ……」
「そっちこそ覚悟は出来てるの!? 私に逆らったことを深く後悔させてあげるんだから!!」

 そういって、少女は。

「グリモワールオブエレメント・サラマンド、第1章「バーンストーム」!!」
 東牙の足下に現れたのは、六角形の魔法陣。そこから激しい炎が噴き上げた!!


 ————ひとつ、話をしよう。
 ある家に決まりがあった。
 それは、破ってはならぬ厳しい掟。
『他人に振り回されず、自立して生きる』
 その家の者を勝手に振り回すことは、斬られても文句は言えない。
 また、自分から振り回されてしまえば、自分が死刑となる。
 そんな厳しい掟があった。
 そう、俺がいた鞘嘉多家は、そんな厳しい掟があったのだ。


「一体どうしたんですか?」
「それがですね……今日の朝、蓮花お嬢様が誘拐されてしまったんです! 犯人は、確か……“鞘嘉多”と言ってましたね」

 幼い俺が彼女、蓮花(れんか)に振り回されてしまったことがきっかけで……。


「ちょっとそこの爺さん!! 私をどうするつもりなのよ!?」
「おやおや……お嬢ちゃんは、自分がどんな状況か分かっていないようですな。……我々鞘嘉多家後継者、鞘嘉多 東牙殿を引き連れたという罪で、公開処刑ならぬ公開死刑になろうと」
「!!」

「聞け貴様ら!! 俺は鞘嘉多の決まりを反対する!! そして俺は自分の名字を捨てて完全に鞘嘉多の縁を切る事にする!!」

 家との縁を切る事を決意した。

「ああもう!! じれったいわね!! この際、敵か味方かとっとと決めちゃいなさいよ!! せっかく東牙は覚悟決めて、ここに殴り込んでいるのよ!? あんたも覚悟くらい持ったら!?」
「……ふふ……わたくしとしたことが子供に説得されるとは思いもしませんでしたわ」

 ————そして、5年の歳月が経った。
 俺の視力は落ち、眼鏡をかけることとなったが、ここから、俺の復讐が始まる。

「(一体どうなっているんだ……北の都会街と言っていたが……ちっ、早いとこ解決しないとな……)」

「佐々凪(ささなぎ)殿!! 反対関係者が守りの姿勢に入りました!!」

「科門奥義第伍目『円斬刀(えんざんとう)』……!!」

「こんなんじゃぁ、東牙に顔見せられねぇよ……」

「世の中何が起こるか分からない……だから勝つまで絶対油断はするな。良いか?」

「佳恵……さん? もしかして佳恵さんですか!?」

「その声、私が忘れるはずありません……東牙……東牙—!!」

「……ふんっ、さすがだな、鞘嘉多四天王の1人……」

「もう少し違う形で出会っていれば仲良くできたのにな……」

「四天王だから? 四天王だからという理由で、東牙は人を平気で殺すのですか!?」

「おい、指示が出てないのに、長距離狙撃銃を撃つ馬鹿がどこ居る?」

「み、見たのか……私の体を……」

「おっ……これはなかなかの味……」

「だろ? この味を分かってくれる人が居て俺は嬉しい」

「……すまなかった……まさか東牙がその……そういう人だと知らず……そして私を敵としていたなんて……」

「(ちっ……動け……動けよな……)」


「そこにいるのは誰だ……」
 —————————————————————チリリン。


 オリエンタルな東方風世界を舞台に、刀と魔法が彼らの運命を斬り開く!!
 剣戟あふれる復讐劇の先に、辿りつく未来とは……。
    【復讐 5年の歳月を経て……】
 現在、複雑・ファジースレッドにて、好評連載中!

「あ〜あ……自分も警視みたいに綺麗で家庭的な人欲しいですよ〜〜」
「そんなもん俺に相談すんな……自分の花嫁くらい自分で探せ……」

————————————————————————


         宣伝文章終了。


・読者様
 ステッドラーさん(【★】アーマード・フェアリーズ【★】を執筆している方です。)
 琴月さん(*鏡花水月に蝶は舞う*を執筆している方です。)
 龍宮ココロさん(白ずきんちゃんと。〜ワンダーランドの住人童話〜を執筆している方です。)
           (同時に、ゴッド・コードウルフ。という小説も執筆している方です。)
 水瀬 うららさん(Quiet Down!!を執筆している方です。)
 長月さん(神王サマは15歳!を執筆している方です。)

・絵を書いてくれた方々
 しかやんさん(美しい、柊 樅霞さんを描いてくれました!ありがとうございます!)

・評価をしてくれた方々
 緑月華さん(評価ありがとうございます!そして、蓮花を好きと言ってくれて、嬉しいです。)
 水瀬 うららさん(とても詳しい評価、感想をありがとうございます!私からは感謝の2文字しか出てきません!)

・鑑定をしてくれた方々 
 秋原かざやさん(非常に丁寧な鑑定、ありがとうございます!私の弱点を教えてくれて、本当に嬉しいです。)

・宣伝をしてくれた方々
 秋原かざやさん(とてもドキドキするような宣伝、ありがとうございます!そして、楓のことを好きと言ってくれて、嬉しいです!)

壱目 出会いと別れ
>>1 >>2 >>3 >>4 >>5 >>6 >>7
>>8 >>9 >>10 >>11

弐目 再開、そして別れ
>>12 >>13 >>14 >>15 >>16 >>17 
>>18 >>19 >>20

参目 新たな仲間と敵
>>21 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26
>>27 >>28

四目 裏切り裏切られ
>>29 >>30 >>31 >>32 >>33 >>34
>>35 >>36

伍目 城内戦争
>>37 >>38 >>39 >>40 >>41 >>42

六目 巫女と鈴と刀と……
>>43 >>44  >>45

七目 衝撃の事実
>>46 >>47 >>48 >>49 >>55

八目 過去よりも今
>>58 >>59 >>60

九目 雪月花解禁
>>64 >>66 >>71 >>72 >>73 >>79
>>80 >>81 >>83 >>84 >>85 >>86
>>87

拾目 活動、反省、計画
>>90 >>94 >>95 >>96 >>97 >>98
>>99 >>106

拾壱目 柊樅霞の呟き
>>107 >>108 >>109 >>112 >>113 >>114
>>115

拾弐目 それぞれの思惑
>>116 >>121 >>124 >>125 >>126

拾参目 城外大戦争
>>128 >>131 >>133 >>137

Re: 復讐 5年の歳月を経て……   謎の企画実施中 ( No.93 )
日時: 2011/06/28 22:59
名前: コーダ (ID: kcbGQI7b)

ステッドラーさん>

 はい!好きなキャラクターを答えていただき、ありがとうございます!

 とても、参考になりました!

 そして、これからも箕琴さんのことよろしくお願いいたします!

Re: 復讐 5年の歳月を経て…… ( No.94 )
日時: 2011/06/29 07:09
名前: コーダ (ID: lAbz4I/2)

「あれ?そんな所で、どうしたんだ東牙?」
「ん?佳恵さんと楓か……何、少し、月刀を振っているだけだ。」

 佳恵と楓が、何気なく縁側を歩いていると、庭で、東牙が刀を振っていたという。

「うふふ……なら、わたくしも少し、雪刀を振ってみようかしら?」
「むっ、なら私も花刀を振ろう。」

 佳恵が、庭に足を運ぶと、楓もつられ庭へ来る。
 そして、雪刀と花刀を鞘から抜き、思いっきり1回だけ振った。

「ほう……雪刀と花刀の作りも、なかなか特徴的だな。」

 東牙は、2人の刀を見比べ、こんな言葉を呟く。
 すると「確かに長さがそれぞれ違いますわね……。」と、佳恵が呟いた。

「私の花刀が1番長くて、その次に東牙の月刀、佳恵の雪刀が1番短いな……。」

 佳恵の雪刀は1m20cm、東牙の月刀は1m30cm、楓の花刀は1m40cmと、だいたい10cmずつ長くなっていたという。

「もしかすると、切れ味も違うのか?」
「それはどうでしょうか……。」

 東牙の疑問に、佳恵は「う〜ん……。」と、いった感じで呟く。
 すると楓が「なら、実際に使ってみればいいじゃないか!」と、犬歯を出して2人に言う。
 この言葉に東牙は「なるほど、単純だが、それが1番わかりやすい……。」と、楓の意見を聴いた途端、月刀を目の前に居る楓に振る。
 ガキン、刀と刀がぶつかり合う音が周りに響き、林に居る鳥が一斉に逃げ出した。

「ちょっと、いきなりすぎないか東牙?」
「不意を突かれたほうが緊張するだろ?」

 キン、東牙は刀を思いっきり押して、そのまま作用反作用の法則で後ろへ下がる。
 楓も、態勢を立て直し、両手で刀を持ち、目の前にいる東牙を獣のような目で直視する。

「やはり、楓はその目が似合っているな。」
「褒め言葉として受け取っておくよ。私は、戦闘になると少々本性を出してしまうのでな……。」

 楓は、グッと足に力を入れ、そのまま東牙の懐まで走る。
 獣人の瞬発力で、一気に距離を縮められる東牙。
 ガキン、だが、冷静に楓の刀を受け止める。しかし、受け止めた時の衝撃が激しく、東牙は少し険しい表情をする。

「くっ……。」

 獣人の押しの強さに、どんどん負ける東牙。

「押しの強さなら、人間には負けないぞ……。」

 楓は、刀を押しながら言う。
 すると、東牙は突然、地面に背中から倒れる。
 この瞬間、刀と刀が触れ合っていない時間が発生し、楓は思いっきり前へすっ転んだという。
 佳恵は「あら……。」と、なかなか面白い対処の仕方に言葉を口からこぼしてしまう。

「目の前の壁を、思いっきり押すと前へ力は入る……だが、突然、壁がなくなってしまうと、体が前へ行くのは当然……それを上手い具合いに利用すれば、こういうこともできる……。」

 くいっと、東牙はメガネを上げながら倒れている楓にそう言う。

「うっ……さ、さすがは東牙だ……。」

 楓は、着物に着いた汚れをほろいながらそう言う。
 そして、花刀を思いっきりぎゅっと握り、また東牙の懐まで走る。
 しかし東牙は、慌てず月刀を鞘に戻し、腰を低くして何かの構えに入った。

 ガキン、刀と刀が触れ合う音が聴こえた時には、2人の刀は、なぜか宙を舞ってそのまま地面に突き刺さっていた。
 どうやら、東牙の居合抜きと、楓の一閃がぶつかった時の衝撃が激しく、思わず手を離してしまったらしい。
 2人は急いで、自分の刀を取りに行き、すぐさま態勢を立て直したが、観戦していた佳恵は「両者、引き分けですわ。」と、ニッコリを笑いながら東牙と楓に言った。

Re: 復讐 5年の歳月を経て…… ( No.95 )
日時: 2011/06/28 23:05
名前: コーダ (ID: kcbGQI7b)

「佳恵、どうして止めるんだ!?」
「用心棒の手合わせは、刀を手放した時点で負け……ですわよ?」

 楓は腑に落ちない感じで、佳恵に言ったが、なぜか用心棒のルールを言って納得させようとする。
 すると「確かにな……。」と、東牙は月刀を鞘に戻した。

「うぅ……なんか納得できないな……。」
「うふふ、なら今度は、わたくしと手合わせしましょうか?」

 尻尾をぶんぶん振りまわしながら、やはり満足いかない様子で言う楓。
 すると佳恵は、雪刀を鞘から抜き、笑いながら手合わせをお願いする。
 もちろん楓は「頼む!」と、花刀を構えて佳恵に言った。

「さて、なら俺は審判でもやるか……両者、正々堂々戦うように……いざ尋常に……」
「勝負ですわ!」
「勝負!」

 東牙の合図により、2人はお互いの懐を目指しすっと動く。
 相手の位置へ行くのは、けっこう時間はかかるが、今はお互いぶつかり合うようになっているので、距離は半分で済む。
 だからこそ構えを大切にしないと、一気にやられる可能性はある。
 ガキン、雪刀と花刀がぶつかり合う音が響き渡る。

「うっ……。」

 佳恵は楓の力強さに、2mくらい後ろへ跳ばされ、そのまま地面に背中からぶつける。

「刀は離さなかったのか……。」

 倒れている佳恵は、用心棒の命と言っても過言ではない刀をしっかり握りしめていた。
 この根性に、楓の眼光はより獣らしくなる。

「うふふっ……楓さんは、少々強引ですわね……。」

 佳恵は、よろよろとその場で立ち上がり、決して苦しそうな表情をせず、むしろ、笑顔で、楓にそう言う。
 この姿に、東牙と楓は背筋をゾクっとさせる。

「その表情……なんなんだ!?」

 楓は、そう言って突然、神社の屋根の上へ跳んで行く。
 高さはだいたい5mくらいはあったが、獣人にとっては、ハードル競走並みにたやすいことである。
 カタッ、瓦の屋根の上に着地して、花刀を右手で持ちながら堂々と立つ楓。
 佳恵も、楓が立っている場所を凝視する。
 キンッ、2人が見つめ合って10秒くらい経った後、楓は右手に持っていた花刀を両手で持つ。

 ————————————ドゴン!

 突然、佳恵の3歩後ろくらいにあった地面が、凹んだという。
 一瞬の出来事に、東牙は頭を混乱させる。
 すると「うふふっ……力だけが……刀ではありませんわよ?」と佳恵はなぜか首を後ろへ振り向かせながら言う。

「くっ……あの速さを見切っただと……!?」

 どうやら、屋根の上に居た楓は、佳恵に向かって突進するかのような勢いで、懐へ向かったという。
 しかし、佳恵はさっと、体を必要最低限に動かして突進を回避する。
 この間、1秒も経っていない。
 当然、目標を見失った楓は、そのまま地面に思いっきり足をつける。 恐ろしい程の衝撃を楓の足を襲うが、獣人の体は本当に丈夫で、これくらいではビクともしないらしい。
 むしろ、あの瞬時の動きを見切った佳恵にとても衝撃を受けていたという。

「うふふっ……精神を統一させれば……これくらい可能ですわよ?」

 ガキン、楓は時計回りに刀と体を180度に振って、後ろに居る佳恵に一閃をする。
 もちろん、これも見切られて受け止められてしまう。
 すると佳恵は「甘いですわね……。」と、小さく呟き、楓の刀を綺麗に受け流し、一気に背後へ行った。
 これには「しまった……。」と、叫びながら後ろへ振り向くが、時すでに遅し。
 振り向いた瞬間、楓の眉間には雪刀の先が、寸止めされていたのだから。

「真正面の敵を倒すことに、夢中になりすぎて臨機応変に戦えないのは、痛いですわよ?いかなる時も、精神を集中させ刀を振らないと……。」

 佳恵は、楓にそう呟き、そのまま雪刀を鞘に戻す。
 楓はその場にペタリと座り「まだまだ私は修行不足というのか……。」と、悔しい表情をして呟いていた。

「(楓は元鞘嘉多元四天王で、実力は相当の物だ……それをいとも簡単に……やるな佳恵さん……。)」

 東牙は、この勝敗に少々驚き、改めて佳恵が相当の実力者というのは知る。
 もしかすると、自分も負けてしまうのかと、思ったのは言うまでもない。
 そして、少し落ち着いた時に楓は「次は、東牙と佳恵じゃないか?」と、当然のように2人へ言う。

Re: 復讐 5年の歳月を経て…… ( No.96 )
日時: 2011/06/28 23:07
名前: コーダ (ID: kcbGQI7b)

「気が付いたらリーグ戦になっているな……。」
「あらあら、良いじゃないですか、朝はこれくらい動かないとだめですわ。」

 彼女の言っている事は、常人には理解しがたいと思う。

「なんだかんだいって、俺と佳恵さんが手合わせするのは、初めてだよな?」
「そうでしたわね。あの頃はそんな暇もありませんでしたし……よろしくお願いします。」

 佳恵の挨拶に「よろしく……。」と、呟いた瞬間、お互い刀を構え一気に空気は手合わせモードに入る。
 楓は、突然すぎる切り替えに、少々戸惑っていた。
 両者、ピクリとも動かずに、お互いの様子を見ていた。
 朝の心地よい風の音が、響き渡る庭の中で、楓は生唾をごくりと飲んで、なぜか見ているだけなのに自分もかなり緊張をしていた。
 そして東牙が「こちらから行かさせてもらう……。」と、佳恵の懐めがけ足を動かす。
 佳恵は、特に動かず目を閉じて、刀を構えて東牙が来るのを待つ。

 ————————————————————————ガキン。

 雪刀と月刀がぶつかり合う音が響き渡り、風の音が一気に消える、
 しかし、これでは先程の二の舞になると思った東牙は、すぐにあの法則で後ろに下がり態勢を立て直した。

「東牙は、作用反作用の力を使うのですね……。」
「俺の刀は論理的なんでな……。」

 東牙は刀を使っている時に、頭も使っている事を知り、佳恵は少々尊敬する。
 そして次は、佳恵が東牙の懐めがけ動いてきた。

「その無駄のない動きが、俺には無いとこだな……さすがは佳恵さん。」

 東牙はこんな状況でも、佳恵の刀捌きをじっくり見ていた。
 そして、またガキンと刀がぶつかり合う。

「(すごい……この2人の手合わせはレベルが高い……。)」

 楓は、2人の手合わせを見て、とても興奮していた。
 元四天王が、ここまで唸らせる手合わせを、平然とする東牙と佳恵はすごい。

「どうする佳恵さん?このまま楓の時と同じように受け流すか?」
「うふふ……それをさせないために、刀に力を入れているのはなぜでしょうか?」

 お互いの刀を押し合いながら、こんな会話をしている2人。
 東牙は、佳恵の受け流しを警戒して相手の刀を自分の刀で固定する。
 これでは日が暮れると思った佳恵は、慣れないあの法則を使って、後ろに下がり態勢を立て直す。
 すると東牙は「論理的な刀捌き……。」と、少々意味不明な言葉を呟き、そのまま佳恵の懐まで向かった。

「まだ私はやられませんわ……。」
「科門奥義第七目『遠刀斬(えんとうざん)』…!」

 東牙は、佳恵の懐に向かいながら刀を思いっきり回し、1周した途端、ガキンとぶつける。
 想像もできないくらいの強い衝撃に、佳恵の雪刀は、そのまま横へ3mくらい跳ばされたという。
 この瞬間、佳恵は東牙に負け「ありがとうございました……。」と、一礼して雪刀を取りに行った。

「ちょっとした遠心力を使えば、刀の威力は上がる…あの時、九寺に使った奥義も……これだ。」

 月刀を鞘に戻し小さく呟く東牙。
 あの時、九寺の刀を折るほどの奥義は、遠心力を使った一閃。だが、 ここでおかしな点が発生する。
 なぜ、佳恵の雪刀を折れずに跳ばされただけなのかということ。
 この答えの候補として、ただ東牙が手加減をしたか、雪刀がとても丈夫という2つが挙げられる。
 しかし、今はその答えを明確に答えることはできなかったという。

「所で……目的は果たせたのか?」
「………………。」
「さぁ……どうでしょうか?」

 楓は、ふとこの手合わせの目的が達成されたのかを、2人に聞く。
 だが、この反応だと目的を忘れていたと思われる。
 すると3人はいきなり声を出して笑い始めた。
 目的を考えずに、普通に手合わせをやって、何も収穫が無かったことに対しての笑いがしばらく神社の境内で。

Re: 復讐 5年の歳月を経て…… ( No.97 )
日時: 2011/06/29 20:44
名前: コーダ (ID: rGbn2kVL)

「さぁ、そろそろ城下町に戻りましょう。」

 3人が手合わせを終えて、居間に行くと、テーブルには、蓮花と樅霞が一緒に作った朝食があった。
 それを、5人で雑談しながら食べ終え、20分くらい経った頃に、佳恵がふと皆に言った。

「そうだな、城の方はまだ片付いていないし……早めに作戦を立てないと……。」
「1泊世話になった……。」

 東牙が、隣に居た樅霞にそういうと、なぜかメガネをカチャッと上げ「世話になった?まだ世話になるの、間違いではないか?」と、呟いた。

「どういう事だ……?」
「ふふ、私は今日から長男坊、次男坊、三男坊の監視と言う意味で、お前たちについていくことになる。」

 樅霞の言葉に、4人はとても驚いた。
 だが、当然と言えば当然である。
 柊の巫女は、刀を守っていくために居るのだから。

「しばらく帰ってこれないって、そういう意味だったの!?」
「そうだ。無事に、3本の刀が神社に戻るまで、ついていくぞ?」

 もちろん樅霞は、半端な気持ちでそんなことは言っていない。
 だが東牙は、確認の意味で「俺達についていくというのは、いざこざに巻き込まれるんだぞ?」と、樅霞に一言言う。
 すると目を吊り上げ「そんなもの、百も承知済みだ。」と、迷いのない答えが返ってきた。

「そうか……そこまで言うなら、俺は何も言わん……皆はどうだ?」
「あんたがそう言うなら、私はそれに黙って納得するだけよ。」
「お色気巫女さんが増えて良いですわ。」
「私も構わない。」

 皆の同意を受けた樅霞は「済まない。」と、一言呟き、そのまま襖を開けて、どこかに行ってしまった。

「また部屋を借りないとな……。」
「ならいっそのことあの宿屋、私たち専用にしない?」
「あら、それは良いですわね。」
「ふむ、自由に使えるから良いな。」

 宿屋の部屋を心配する東牙に、女性陣のとんでもない発言に「おいおい……。」と、心の中で呟いたのは言うまでもない。


                ○


「所で、行く前におみくじでも引かないか?」

 鳥居と賽銭箱の間くらいの道で、ウロウロしていた時、突然樅霞が、大量の紙を用意して神社っぽくおみくじを勧めてきた。
 すると楓は、何も言わず紙を1枚取り「11番だ。」と、樅霞に言った。

「11番は……なるほど末吉か。」
「なんか微妙だな……。」

 楓が引き終わると東牙、蓮花、佳恵はつられて1枚紙を取り「24番……。」「8番ね。」「16番ですわ。」と、一気に樅霞へ言った。
「24番は吉、8番は中吉、16番は小吉だ……なんだ、誰も大吉は居ないのか?」

 メガネをカチャッと上げて、面白くないなと言った表情をする樅霞。
 するとなぜか、自分もおみくじを引いて「29番か……。」と呟き「なるほど、凶か……。」と、紙をじっくり睨んだ。

「巫女が凶を引くって大丈夫なのか……。」
「そもそも大吉、入っているのかしら?」

 楓と蓮花が、樅霞に突っ込みをすると「ううむ……。」と、眉間にしわを寄せて、おみくじを既定の位置に戻す。
 そして「別に、運勢が全てではない、最終的には自分だしな……。」と、巫女らしからぬ言葉と、負け惜しみを4人に聴こえるように言った。
 これには思わず4人は「本当に巫女か?」と、一瞬疑ったらしい。

「神社には結界も張ったし、これで誰も入れない……さて、行こうか。」

 なぜか、樅霞の合図で神社を後にする一向。
 行きより、帰りの方が人数の多いことに今は誰も突っ込みはしなかった。
 余談だが、東牙はだめもとで宿屋の人に「貸し切りにしてくれませんか?」と、頼んでみると意外にあっさりと承諾を得られたという。


Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28