複雑・ファジー小説

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桔梗ちゃんの不思議な日常。【参照1600突破!!】
日時: 2013/09/15 06:44
名前: 藍永智子 −アイナガサトコ− (ID: 1SopHnrT)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=12509

 初めまして。藍永と申します。
 なにぶん慣れない自身初の小説なので間違っていたり、つまらなかったり、辻褄合わなかったり…と色々あるかもしれません。これより先に進まれる場合は、それを踏まえたうえでお願い致します。
 感想、アドバイス等々、お待ちしてます! キャラ絵描いて下さる方もいらっしゃれば是非! 気になったことがあればどんどん突っ込んでください。コメント頂ければ嬉し過ぎて舞い上がりますww
 コメント頂ければ、返しにも参ります。
 
                     

【キャラクター紹介】  >>44 >>61

【キャラクター挿絵】  >>93>>112(月森和葉様より) >>151(火矢 八重様より)new!


【第一章】一人の少女は閉ざしていた心を開く気になり、
 一話、少女と化け物  >>02 >>04  
 二話、少女と偽り   >>08 >>10 >>11 >>14 >>16
 三話、少女と陰陽師  >>19 >>21 >>24 >>26 >>28
 四話、少女と少年   >>30 >>31 >>33

【第二章】一つの一族は大きな事件を予感し、
 一話、月輪と事件   >>34 >>35 
 二話、月輪と頑固娘  >>36

【第三章】二人の双子は護るべき人を見つけ、
 一話、星宮と異変   >>39 >>40 >>47
 二話、星宮と仮面少女 >>48 >>51
 三話、星宮と裏表会議 >>52 >>55 >>56
 四話、星宮と悪戯少年 >>68 >>71 >>74 >>77
 五話、星宮と根暗怪物 >>78 >>79 >>80 >>81
 六話、星宮と特別任務 >>85 >>88 >>90

【第四章】一人の少女は闘うべき理由に気付き、
 一話、彩蓮と特派員  >>91 >>92 >>100 >>101 >>105
 二話、彩蓮と警戒道中 >>115 >>116 >>119 >>120 >>125
 三話、彩蓮と式神夜伽 >>126 >>133 >>136 >>139 
 四話、彩蓮と寝坊助娘 >>143 >>148
 五話、彩蓮と静寂懐古 >>149 >>155 >>156

【ちょっとだけ雑談会】 
 「年明けまして、命も懸けて」>>82 (出演 彩蓮桔梗、星宮あやめ、+α)
 「参照1000突破記念座談会」 >>111 (出演 彩蓮桔梗、星宮あやめ、星宮しょうぶ、+α)

 ◇◆コメントをくださったお客様方◆◇
 ・火矢 八重様
 ・ゆぅ様
 ・杏里様
 ・小梅様
 ・碧眼金髪ショートケーキ様(とある少女A、奇妙不可解摩訶不思議)
 ・リア様
 ・古城アサヒ様
 ・森沢 美希様

 ◇◆オリキャラを提供してくださった方々/オリキャラ◆◇
 ・火矢 八重様/星宮菖蒲ほしみやあやめ星宮菖蒲ほしみやしょうぶ 、月草雫つきくさしずく三郎さぶろう             
 ・杏里様/りゅう
 ・リア様/安城有理あんじょうゆうり

 ◇◆絵を描いて下さった方/キャラクター◆◇
 ・月森和葉様/彩蓮桔梗、星宮あやめ、月輪燐音
 
 ◇◆注意書き◆◇
 ・途中で急にトリップが付き始めましたが、それは作者がその時点でトリップの存在を知った為です。
 ・このお話はもともとコメディ・ライト版に掲載させていただいておりました。
  (なぜ移転したのかって? …「これコメディ・ライトじゃないなww」と思ったからです)
 ・書きはじめに色々と失敗して一話目だけ目次に入れることが出来ていません。読んでいただけるのであれば、↓の部分にまず目を通して下さいませ…m(‐-)m

                 *

【少女と化け物】

 雪のように真っ白な帽子に、真っ白なマフラー。真っ白なワンピースに真っ白な靴。そして何より、透き通るようなその白い肌。
 そんな一風変わった格好の少女は周りの目を気にしていないようで、何度も通行人にぶつかりながら、必死に街を駆けていた。
 普通より一回りは細い、その棒のような腕を一生懸命に振り、他の人には見えない「何か」から必死に逃げているその光景は、何とも異様で、恐ろしいものだった。
 そうして街の繁華街を抜け出すと、目に涙を浮かべ、怯えながら必死に逃げていた先程までの様子からは想像も出来ないような、自信に満ちた表情で振り返り、その場で「何か」が来るのを待った。
 ……すると数秒後、辺りに生暖かい風が流れ始めたのを合図に、それはやってきた。
 静電気でも起きたかのように、皮膚にピリッと霊気が走る。
「……来た」
 次の瞬間、それは姿を現した。
 お世辞にも人の姿をしている、とはいえないくらい哀れな形のそれは、あまりにも長い年月を生き過ぎたために、皮膚は、黒々と不気味なひかりを放ち、一部に至っては腐り落ちて、何ともいえないにおいを撒き散らしている。
 聞き取るのも困難な呻き声を漏らしながら、一歩、また一歩と弱々しい足取りで少女の方に歩み寄ってきた。

「ふうん、こっちに来ちゃうんだ」

 いつの間にか、少女の手には立派な日本刀が握られていた。
 にやり、と不敵に微笑む。


「あなた、逝っちゃうけど……それでも良いの?」


 グオオオオと叫びながらそれが突進してきて、あっという間に少女は引き裂かれてしまった——ように見えた。


「さっさと成仏しなさい! この悪霊!」


 そう言い終えた時、少女は、悪霊の向こう側に刀を振り下ろした形でしゃがみこんでいた。

Re: 桔梗ちゃんの不思議な日常。 ( No.78 )
日時: 2012/12/28 17:25
名前: 藍永智子 (ID: G8vJKxfm)

「まず、星宮さんで『ハチ』に関する情報をどれくらい持っているのかを、知りたいのだが……」
 宗匠はそういって、あやめの方を見る。
 あやめは、まさかここで話が振られるとは思っていなかったものだから、傍目から見ても分かるぐらい動揺してしまったのだが、すぐに落ち着きを取り戻して——正確には、平静を装って——ゆっくりと質問に答えた。

「では、私達が把握している情報をいくつか述べさせていただきます。『ハチ』の正式名称は『永久平和主義協会』で、表向きには、その名の通り平和を目指して活動する保全協会ということになっています。私達の世界でよく使われる方の『ハチ』は、それとはまた違った形で秩序を保とうとしている……超過激派の集団として捉えられておりますが」

 「過激派」という言葉に、更に「超」を付けたことは、あやめの中での『ハチ』の印象の悪さをよく表している。
 会議室にいる全員が苦笑していたが、あやめはそんなこと気にも留めず、にこりと微笑むと、話を続けた。

「そこの代表者につきましては、苗字が「夜科ヨシナ」であるということしか分かりません。確証はとれていませんが、一人娘がいて、歳は高校生くらい——ちょうど、雫さんと同じくらいだとか」

「あはははは。面白いですねー。何だか運命感じちゃう、みたいな?」

 雫が、この場に似つかないような、軽い口調で返す。
 あやめは、雫がそう言った途端に部屋の中に冷たい空気が流れてきたような気がしたので、妖怪が入ってきたのではないかと思ったのだが、他の人の様子を見ていても、特に何か異変を感じたようではなかったので、自分の思い過ごしだろうと、疑問を押し殺して、納得した。

 実は、それはあやめの思い過ごしなんかではなかったし、妖怪が入ってきた、というのもあながち外れてはいなかったのだが、「彼」自身は気配を消していたつもりだったらしいので、彼のメンツの為にも、説明はもうしばらく後にさせてもらう。
 
「星宮家が把握している情報は、大体、こんなものです」

 最後に、そう言って締めた。
 当然のように燐音は噛みついてきたのだが、今度はあやめもそれを見越していたので、まったくひるむ様子はなく——それどころか、燐音が、あれやこれやと騒ぎ立てるたびに、その様子を面白そうに眺めるまでになってきた。

「これっぽちしか無いの? 星宮の情報網は、一体どうなっちゃたのかしら? 昔は「情報といったら星宮一族」って言われるぐらいだったのに、今じゃこんなザマ? あーあ、ご先祖様は毎日お嘆きでしょうね。かわいそうだこと!!」

「……あなたは、減らず口をたたくことしかできないんですか? うちの状況なら、よーくご存じのはずです。そもそも、うちが繁栄してたのって……一体、いつのことを持ち出す気なんですか? 随分昔のことですよね、それ。両親が揃って不在だっていうのも知っていますよね? 長期の任務で、しかも、極秘だっていうから場所すら教えられていないんです。連絡は寄越すな、っていわれているし、それでも電話を掛けてしまったことがあったんですが、電波が通じない場所にいるみたいで——任務に出てからだから……もう十年以上、私達は両親と連絡をとれていません」

 あやめの反撃は、まったく休みをみせない。
 感情は高ぶり、言葉も、意味も乱れてきた。

「血を継いでいる、という理由だけで当主になったのは、双子の姉である私。当時、幼かった私に、そんなに多くの人をまとめられたと思います!? ……ずーっと前から星宮に仕えてくれていた一族の人たちも、一人、また一人と、うちから離れていきました。成長して、昔はできなかったことも、何とかできるようになってきたときには、もう遅すぎたんです!! 何かをしようにも、残っていたのは、抜け殻みたいな屋敷と、弟のしょうぶ。そして、私だけ……!! そんな私に、何をしろっていうんですか!!」

 頬にはすっかり血が上って、真っ赤に染まり、顔は涙でぐちゃぐちゃになっていた。

 ねえ、ともう一度口を開こうとしたとき——力強い声が、部屋に響いた。







「止めろよ!! ……もう、その辺にしておけって」





 「誰?」という声が重なり、全員が声のした方を向く。



 ——そこには、見知らぬ少年が立っていた。

Re: 桔梗ちゃんの不思議な日常。 ( No.79 )
日時: 2013/01/01 22:06
名前: 藍永智子 (ID: gHpB4F6k)

 しばしの沈黙——最初に口を開いたのは、今までほとんど喋っていなかったためかほとんど存在感がなくなっていた、雫だった。
 少年の方を見て、困ったように笑う。

「随分遅かったね——三郎サブロウ

「いやー、それは雫に頼まれていた仕事をやっつけてきたからなんだけど……?」

 こちらも困ったように笑う。その様子からは、先程の緊迫感は微塵も感じられなかった。
 服の袖から出ている骨のように細い指からも伺えるように、彼はがりがりに痩せていて、今着ているグレーのパーカーが随分と大きく見えた。
 その時の空気があまりにもこの場にそぐわなかったためか、他の人々は唖然を通り超して呆然としてしまい——結果として、彼等のほのぼのとした会話はしばらく続けられることになったのである。

 三郎に聞かれても、雫は全く困った様子を見せず……まあ、それは堂々としたものだった。

「それは今日中にやっちゃおう、って決めていたから。もともとは自分でやる予定だったのよ? だけど、会議が入っちゃったんだもん!!」

「何が『入っちゃったんだもん!!』だ! ……かわいこぶっても全然似合わないぞ、お前」

「何であんたにそんなこと言われなきゃならないの? それに、今回は案内役としてですから」

 雫がぴしゃり、と言い返す。そう言われた三郎も負けじと反論しようとする。
 こんなこといったと知られれば、彼らは即座に噛みついてくると思うのだが——まったく、どこまでも似た者同士である。

 そもそも、二人はなぜこんなに打ち解けているのであろうか。

「打ち解けてなんかいないわよ!!」
「打ち解けてなんかいねえよ!!」

 ……失礼致しました。それでは、仕切りなおさせていただきます。

 二人は、なぜこんなに親しげなのであろうか。


 雫には、本人も自覚している通りだが、「感情」というものがほとんどない。それは、過去に起こった、ある出来事が影響しているからなのだが——これについては、また後を追って説明する。
 「楽しい」、「嬉しい」、「憎らしい」などと、心の底からは思ったことも感じた事もないし、これからも、彼女がそれを感じる時は訪れない。
 だが、彼女の顔には常に笑顔が浮かんでいる。
 「感情がない」というからには、それは矛盾しているのではないか。——確かにそうだ。何にも感じていなければ、笑顔は生まれない筈である。

 答えは、簡単——とはいかない。少し面倒くさい説明になってしまう。


 ——彼女は「ほとんど」感情がないのだが、少しだけなら残っているから、である。
 

 そもそも、ここでいう「感情がない」ということは、「感情を上手く表せない」ということなのであり、そのまま、読んで字のごとく……という訳ではない。心の奥では、確かに感じているのだが、それをどうやって表せばいいのかが分からず、結果として、それが表面に現れない——そういうことだ。
 回りくどい言い方になってしまったが、彼女にも感情はある。
 素直に「嬉しい」と感じられる彼女がいるのだが、それを認めたくない自分もいて——最終的にこのようになってしまったのだ。


 雫の中には、感情のある自分と、感情のない自分がいて、目の前にいる人物によってそのうちのどちらかが交代で出てくるようになった。
 初めて会った時に出てきた「自分」は、次に会うときも自然と出てくるようになり——話し相手によって、感情がどれくらい現れるかが違ったのだ。
 
 雫が三郎に初めて会ったのは、不幸にも両親が事故で亡くなってしまい、遠縁の親戚の家をたらい回しにされていたときだった。
 嫌々引き取ってくれた家では、毎日のように、面と向かって嫌味を言われていたため、その頃の雫の精神はぼろぼろで、「一緒に行こう」と手を差し伸べてくれた三郎は、まるで神様のように見えたし、凄く感謝した。





 つまり、三郎の前では、「感情がある」雫が出てくるようになったのだ。

Re: 桔梗ちゃんの不思議な日常。 ( No.80 )
日時: 2013/01/02 21:28
名前: 藍永智子 (ID: gHpB4F6k)

 月輪家の人々にとっては、もうお馴染みとなってしまった、雫と三郎のの口喧嘩が繰り広げられる。——彼は、先程言われたことをまだ引きずっているようだった。
 
「案内役を頼まれたんだとしても、まだ、納得いかないね! 俺だって暇じゃあないんだ」
「『暇じゃあない』? つまり、忙しいっていうこと?」
「そういう事だ。俺にだって、やるべきことがあるんだ」

 雫は、そう断言した三郎に、怪訝そうな目を向ける。

「……な、何だよ!?」

 動揺が滲み出ている彼の声を聞いてから、わざとらしくため息をつくと、これまた大げさに首を横に振った。

「……それって、あの「受かるはずもない履歴書を送りつける」やつのことを言ってるんでしょ?」

 彼女の声からは、厭きれが感じ取れた。

「あれさー、いつまで続ける気なの? ……いい加減、紙とインクが勿体無く思えてきたんだけど」
「えっ!? いつまでって、それは勿論、受かるまでだろ」

「それだけは、やめて!!」

「お、お前だって、そんなこと言えるのかよ! 『仮面P』だったっけか? たいして売れてるわけでもないのに、いつまでも未練がましく……」

 ——形成逆転。
 たいして日に焼けているわけでもない雫の顔は、一瞬で真っ赤になった。余程熱を帯びているのか、その表面からは、ゆらゆらと蒸気が立ち上っている。
 苦し紛れに言い放ったその言葉は、彼が思っていたよりも、絶大な効果を発揮したようだった。 

 彼女の喋り方は、なぜだか、エラーを起こした機械を思い出させた。

「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと、何で言うのよそんなこと!! ぜ、全然関係ないじゃない!?」
「いーや、あるね。俺の仕事を馬鹿にしたんだ! 普通だったら、じゃあ、お前は自慢できるようなことをやっているのか、って話になるだろ!?」
「知らないわよ、そんなこと!!」
「今、言った」
「お、お黙りなさい!! それに、あれよ? あの仕事だって、馬鹿にできないんだから! 前は確かにあれだったけど、最近はあんたが知っているよりも、結構順調なんだから!」
「ふーん。例えばなんだよ!?」
「今度発売されるCDに収録されること決定したし!! しかも、二曲だし!!」

「えっっっっ!! ……まじですか」

「そうよ! まじなんですよーだ!!」

 いい加減、誰か止めに入っても良い頃だと思うのだが、二人の出している雰囲気に、それを躊躇わせるような「何か」があったせいで、結局、誰一人として止めることができず、この口喧嘩は数十分にも及んだ。
 

 


Re: 桔梗ちゃんの不思議な日常。 ( No.81 )
日時: 2013/01/04 21:42
名前: 藍永智子 (ID: fHjxvMJe)

 一番早く我を取り戻したのは、先程まで呆然として自分の座っていた机に突っ伏していたあやめだった。

(うわあ……。これ、私が止めなきゃだめなのかな……)

 あやめは二人の様子を見て、思わずため息をつきそうになった。
 それもその筈。——今や部屋のなかの全員が注目していた当の本人達はというと、あまりにも場違いな、某動画サイトに投稿する予定の「新曲」の相談をするまでになっていたのである。
 真剣な表情で、三郎が切り出す。
「やっぱりさ、次は新しいソフト使うべきだと思うんだ。雫だって他のみなさんのを聞いたら、そう思ってくれるはず! ……きっとそう思ってくれる、って願ってるよ」
「えー……。あんたが自腹で買ってくれる、っていうのなら良いよ?」
「……俺の収入の少なさ、なめるなよ」
「あたしの懐具合だって知ってるくせに」
「俺よりはマシだろ? 四捨五入したんだとしても、月給十万を超えるなんて……夢のまた夢さ」

「確かにそれは、悲惨ね……」

 悲愴な面持ちで呟いた三郎を見て、雫は少しだけ同情の籠った言葉を掛けた。そう言う彼女自身も、学費が無いという理由で学校に通えていなかったし、決して貧乏でないとは言い切れないようなギリギリの生活をしていたのだが——その立場から見ても、彼の収入は「悲惨」だった。
 彼の服は、擦り切れる直前まで着回されていたのだが、それにも頷ける。

 ——と、二人の会話が途切れた一瞬を見逃さなかったあやめが、あらかじめ用意
していた台詞を一気にまくし立てた。
 一度も息継ぎをしなかったために後半は貧血気味になってしまっていた、というのは言う必要のないが試しに書いてみただけの余談である。

「あのっすみません突然割り込んで申し訳ないのですがよろしいでしょうか先程からお二人で新曲だか動画投稿だかの相談をされていたようなのですが今は重要な会議の途中ですし出来れば後にして頂きたいのですお二人が話されていたことはあなた方にしか関係ありませんし例え遅れてしまったのだとしても影響を受ける人は少ないと思いますあっ反論しないでください命が無くなるような人はでてきませんよねってことですからでもこの話し合いは遅れれば遅れる程それにともなって危険は増していくんですひょっとしたら誰かの命が無くなるんじゃってレベルで——まあそんなこんなでお二人さんだけの世界を造るのをやめてもらっても良いですよね」

 最後は有無を言わせないように締めた。
 実のところを言ってしまえば、論戦に持っていくような余裕がなかった、という笑ってしまうような理由があるのだが、これ以上はあやめのプライドの為にも触れないでおく。
 数十分間も周りを気にせずに延々と会話を続けられるような図太い神経の持ち主である二人にも、真っ白な顔になったあやめに長々と説得させてしまった、という罪悪感はあったらしい。
「ええと……取り敢えず、ごめんね? あたしってば興奮すると、すぐに周りが見えなくなっちゃうみたいでさ」
 と、必死に頭を下げてきたのは、もう正気に戻ったらしい雫で、
「会議を中断しちゃった、ってのはスマン。でも、こっちだって影響は大きいぞ?」
 と、本当に形ばかりの謝罪をみせてくれたのは、なんとなく腑に落ちない様子の三郎だった。

 ぜえぜえ、とあやめは苦しそうにしながらも「それならいいです」と二人に聞こえるような範囲で出来る限り小さく、短く呟いた。

Re: 桔梗ちゃんの不思議な日常。【ちょっとだけ!雑談会】 ( No.82 )
日時: 2013/01/06 21:06
名前: 藍永智子 (ID: /ldXoLEc)

藍永 「遅れてしまいましたが、謹賀新年明けましておめでとうございます!
   昨年は本当に世話になりました…。何せ私は超気まぐれ&ひねくれ者なので、コメントがしばらくこないだけで、飼い猫を抱きしめてブツブツ言っているのです」
桔梗 「確かにそれは想像するだけで物凄い吐き気が襲ってくるわね」
藍永 「(君の冷たさもまったく変わらないね…。少しくらい考えてくれてもいいの——)」
桔梗 「——ねぇ、あんた今何考えてた?」

 ガンッ! (作者が机の角に思いっきりおでこを打ち付けた音)

藍永 「………………ッ!!」

 悶絶——声にならない悲鳴。(それもまあそうですよね…。あぁ、あれは痛かったなぁ…)

桔梗 「ねえ、馬鹿なの!? あんたは馬鹿なんだよね!?」
藍永 「うっさい!! 馬鹿じゃないもん! 少なくともあんたよりはね!!」
桔梗 「はぁ…? それどういうこと!?」
藍永 「得意教科が美術だけなんでしょ?(>>08より) 私、苦手な教科は体育と技術と家庭科だけだし!!」
桔梗 「ななななななな、何ですって!? つーか、あんた…『あの』数学をスルーしやがったわね!?」
藍永 「ふんっっっだ! 口だけの暴れ馬は黙ってなさい!!」

 作者の以外な一面を知って、壁にもたれ掛り本格的に落ち込み始めた桔梗。

 …………。流石に気まずくなってくると、謝らずにはいられないものである。

藍永 「…え、えーとそのー…ご、ごめんね?」
桔梗 「…嘘だ、嘘だ、さっき聞こえた事は嘘だ、あいつが馬鹿じゃないなんて…違う人種だなんて…」
藍永 「き、桔梗さん、落ち込まないで!!」
桔梗 「あはははは…。あっ、なんか今ならなんでも倒せる気がする…何でだろう」
藍永 「きゃぁぁぁぁ! この人がこんなに落ち込んでると調子狂っちゃうよぉぉぉ!! 誰かいないの!!??」

 「ちょっとだけ雑談会」と明朝体で書かれた看板がかかる特設会場の中で、作者が心の奥底から叫んだ声は、空しくも辺りに反響して消えてゆくだけ。

 ——と、その瞬間、扉が盛大な音をたてて開かれた。
 僅かにできた隙間からダッシュで入ってきた人影には、なぜか見覚えがある。

藍永 「あっ、あやめちゃんではないですかぁ!! あけましておめでとー! 今年もハチャメチャな作者の気分に付き合ってね!」
あやめ「わー久しぶりっ! ありー、ちょっとテンション低いんじゃないのぉ!?」
藍永 「そっ、そうかしらー(何でわかってるの、この子!? 何!? サイコメトリー!?)」
あやめ「それとついでにズバッと言っちゃいますが…ききょーちゃん、どしたの?」

 言われるがままに、桔梗を見てみると、壁の方を向いてなにやら怪しげな魔方陣をつくったり、呪符をとりだしてぶつぶつと呪文を唱えたり、と色々怪しげなことを始めていた。
 そうして観察すること数秒——不意にあたりが暗くなった。

藍&あ「きゃあああああああああああ!!」
あやめ「ちょっと桔梗!! それはやっちゃだめ! ほらぁ、ここに一般人…凡人もいるんだよ!?」
藍永 「ぼっ、凡人ですと!? それは何とかして置いておくとして…桔梗、それだけは止めて!! というか、あやめちゃん止めてよぉぉぉ!!」
あやめ「うん、やってみるね!」

 言うが否や、あやめはすっと真剣な表情になった。
 ひゅっと口笛を吹いてから、小さく呟く。

あやめ「…厘銘、おいで」
厘銘 「はい、参上致しました。ついでといってはなンですが、あけましておめでとうございます」
あやめ「あなたって、以外に律儀なのね…?」
厘銘 「ハァ…。で、どうしたンですか?」

 無言で桔梗を指さすあやめ。

厘銘 「あれですか。まぁやってみますね…」

 すたすたと歩いていったかと思うと——

桔梗 「だぁっっっっ!!」
あやめ「りんめい、あんがとっ! 殴るとは…流石の私も思いつかなかったわ」
厘銘 「そりゃどうも。——それでは『あちら』の新年会から抜けて来ていたので、失礼」
全員 「ばいばーい」

                   *

藍永 「あー、なんかすっごいぐだぐだだったね」
桔梗 「まっ、たまには良いんじゃないの? あんた、いっつも更新するたびに頭抱えてるじゃない」
あやめ「へーそうなんだぁ、初耳☆ …でも、だからといってサボらないでね?」
藍永 「了解…」
あやめ「あっ、しょうぶ呼ぶの忘れていたぁ!! ま、いっか。ごめんねしょーぶ君!」

 「よかねぇよぉぉぉぉぉ」と、誰かの叫び声が木霊しているような気がする…ような気がしないでもないような、やっぱりするような…。
 三人の女の子たちは、華麗なまでにスルーしておりましたが。

藍永 「長ったらしい雑談会ですみません」
桔梗 「まー、それはともかくね」
あやめ「今年も私達が大暴れするかと思います!」
藍永 「そうそう! 桔梗ちゃん、君の余命って確か…にじゅう——」
桔梗 「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 言うなって、今は!! 頑張って忘れてたんだから!!」
あやめ「えー…それは嘘だよー。ちょっと、藍永聞いてよ! 大晦日もずーっと、私の家にいたんだけどさぁ、桔梗ってば——」
桔梗 「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ! それも言わなくて良いからぁ!!」
あやめ「つまんないんだもーん」
桔梗 「私のことをそんな感情で、もてあそぶな!!」
藍&あ「ほーい」
藍永 「あやめちゃんはというと、星宮の当主として大活躍! もちろん、ほかの皆様も頑張ってくれちゃいます!」
あやめ「そろそろ『ハチ』内部も出てくるしね〜」
桔梗 「そいつら、ぶっつぶす」
あやめ「まーまー。それは、皆で…ネ?」

 ………。











藍永 「それでは、ことしもよろしくお願いいたします!!」













桔梗 「最後、無理やりまとめたわねぇ」
あやめ「まぁまぁ。それが藍永なんだから、良いじゃないのぉ!」
桔梗 「それもそうかも」

 最後の最後は彼女等の呟きで終わるのでした。




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