複雑・ファジー小説
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- 触れられない花。
- 日時: 2016/11/18 22:27
- 名前: @メンタル (ID: gdK5hR0W)
Character
〈神シン〉
限られた者。
炎・水・大地・雷・闇・無・愛
の7つに分けられた能力を操る。
〈鬼キ〉
神の使い魔。人外。
大抵は、1つ。多くても2つの能力しか使えない。
しかし1鬼だけ7種類の能力を操ることができる。
〈鄙ヒ〉
人類の敵。人外。
神と能力は、変わらない。見分けは、ほぼつかない。
破壊と絶望。そして憎悪を愛する。狂気殺人をする。
〈契チギリ〉
神が鬼と契約するときの事。
契を交わした神は、外れないピアスや体に紋様が刻まれる。
鬼には、自身の決められている名が体に刻まれる。
〈破ハ〉
鬼との契約をなくすこと。
鬼の体に刻まれた名を傷つけると契約は、無くなる。
〈神聖学院付属強化学園〉
神の能力があるもののみが通う学園。
初等部4年中等部3年高等部3年神聖学院3年
があり定期的に行われる実技テストのランクが
ABCDEの中でDとEになると普通科の学校に落とされる。
全寮制。中等部からは、週に一度だけ学園の外に行くことが許されている。
- Re: 触れられない花。 ( No.122 )
- 日時: 2017/11/18 22:45
- 名前: @メンタル (ID: gdK5hR0W)
本編
臨が倒れてから一晩が過ぎた時に拓哉と宇塚がリリックのもとにやって来た。
「実はね、リリック君たちと同じように鬼が能力を使うとある種の障害が起きてしまう神鬼が居るんだ。」
その人物の名は、未築館淳≪ミツキダテ ジュン≫と言う男だった。拓哉達がリリックに彼を紹介したのは能力を使わずして鄙と闘うための戦闘スキルを身に着けさせるためにとのことだった。リリックは彼の障害の事には一切触れず、居場所だけを聞き彼の所へと向かった。
「…大きな家。」
未築館の家を訪れたリリックは素直に感想を零した。未築館の家は何かの道場の様な大きさが有りとても神器との二人暮らしだとは思えなかった。
リリックは大きな扉の横にある呼び鈴を一度だけ押し返答を待っていると扉が開き、小さな男の子がひょっこりと顔を出した。
「どなたですか?」
愛らしい声で聴かれ、思わずリリックは少年と目線を合わせるためにしゃがみ込んで、名前を説明しようとすると。
「僕を見た目で判断しないでもらいたいですね。」
そう言ってから白い煙のようなものが少年を包み込んだ。その光景に驚いてリリックは思わず立ち上がり後ろに後ずさった。煙のようなものが消えた時に見えた光景にリリックは声も出さずに唖然とした。
「余り無駄な変形はしたくないのです。これからは気を付けるようにお願いします。…でどなたですか」
そこに居た少年はリリックと同じくらいの体躯になっていて、声も随分と大人びていた。
「………あ、宇塚教授の紹介で来ました、太田臨の鬼のリリックです。」
慌てて返答をすると、青年となった彼は少々考えてから邸宅に招き入れた。
ただいま帰還しました!
皆さまおひさしぶりです。@メンタルです。
今回もズタボロにされてきました。
そんなことよりも、
ただいま気が付いたのですが本日で一年もたっていたようですね!
一年でこの進み具合…大丈夫ですかね…いつに成ったら完結できるんでしょう(笑)。
こんなメンタルの作品をどうか今後ともよろしくお願いします。
@メンタル
- Re: 触れられない花。 ( No.123 )
- 日時: 2017/11/26 16:33
- 名前: @メンタル (ID: gdK5hR0W)
青年に案内されて着いたのは学院ほどではないが大きな広場。道場の様な大きな家だとは言ったが、外装や内装は先日読んだ資料に載っていたきらびやかなダンスホールに似ていた。そんな場所の中央に揺り椅子が一脚。そこには一人の男が瞳を閉じて静かに呼吸をしていた。
「………………」
しばらく沈黙が続いた。かと思いきや男が瞳を閉じたまま口を開いた。
「……レアン。どうかしたのか。」
「主、お客様です。」
レアンと呼ばれた青年はどうやら男の鬼のようだった。男の方は瞳を開けて揺り椅子から立ち上がりこちらに近づいて来た。
「主、申し訳ございません。先ほど能力を使用してしまったので覚えていらっしゃらないと思いますが彼は先日宇塚様からご連絡を受けた、」
「大丈夫だ。そこまでは失っていない。」
レアンの言葉を男は遮り口を開いた。
「俺の名は、未築館淳だ。」
「僕はリリックです。…気になったんですが淳さん、貴方の鬼の能力発動時の障害は何なんですか?」
宇塚達には聞かなかったことを本人に尋ねると、表情は一切変わらずに説明をし始めた。
未築館の鬼であるレアンは鬼で唯一、己の形状を変化させることのできる鬼だという。先ほどの少年から青年へと変化したのが例で現在の姿がレアン本来の姿らしい。ただしその力を持つせいで神である未築館には、『鬼が能力を使用するたびに記憶が失われていく』と言う代償があるらしい。今も宇塚が連絡をしてきたという昨日のことまでしか覚えていないらしい。
「リリック。お前にはレアンから自身の身体だけを使う格闘を習得してほしい。だそうだがお前はそれでいいか?レアンは新参者に対してあたりがひどいがな」
未築館の言葉に対してレアンは少々不服そうな表情を見せてから頷いた。
「ねぇ翠雨。今回はどうしよっか。」
「幽翠の、したいことで良い」
「翠雨、貴方いつもそればかりよねぇ?自分の殺りたい神鬼とかいないわけ?」
「奈緒、お前には、関係ない。俺は幽翠のやりたいことを、バックアップする、だけ」
翠雨、幽翠、奈緒は巨像の前で会話をしていました。
バラの蔦に絡まれて血を流した女神の巨像の前で。
- Re: 触れられない花。 ( No.124 )
- 日時: 2017/12/02 22:31
- 名前: @メンタル (ID: gdK5hR0W)
リリックがレアンから格闘技を教わっている時、大量の資料に囲まれた拓哉は、腹立たしそうに頭を掻きむしりながら悪態をついていた。
「あぁもう!これにも載ってない!なんで!?力の全解放なんだから普通大量に資料があったっていいでしょ!?なんで一つしか文献が無いんだよ!!」
見ていた資料を読み終わると近くに投げ置き新たな資料に目を移す。そんな風にしていたためにこの様な資料の壁できあがっていったようだ。
「ッ…るっせーな。もうちょっと静かに作業できねーのかよ。つかその文献ってのは何処にあったんだよ。近くにあるやつにも載ってんじゃねーの?」
煙草の煙を吐き出しながら、宇塚は腹立たしそうに拓哉の近くに出来上がっていた資料の壁を術で除けながら資料を探し始めた。二人とも腹が立つと人格が荒くなるようで大人しそうな研究マニアな生徒も仕事の出来る教授も、口の悪い研究員と気だるげな教授になり果てていた。
「なんかおかしくないですか?」
踏み台を椅子代わりにし、怪訝そうな表情で資料に目を通していた研究員の一人である蘭が言った。
「鄙が襲来する年かもしれないって時になんだかよく分からないすごく強い術解放があることが分かって、そもそも文献は一つしか無いのに皆信じているし。実際教授の術もあれ、ただの複合術にしか見えないし。なんだかとんとん拍子だと思いません?あまりにも出来すぎと言うか敷かれたレールをたどっているみたいじゃないですか?」
「そうかもね、でもとんとん拍子に言ってたのは術の有無まで。今は崖っぷちもいい処だよ。だから裏があるかもしれないーってのはないと思うよ」
聞く耳持たずという感じで返された蘭は読み終わった資料を棚に戻してグランから新しい資料を受け取り目を通し始める。資料と言うよりは日記の様なもので今までには見たこともないことが書かれていた。
「…!?ねぇグラン。これどっから持ってきたの?」
グランが持ってきたのは大量の日記帳の様なもの。様々な人が書いたと思われるその日記には目を見張る事実が記入してあった。
「千尋ちゃんの一族の形見なんだって。千尋ちゃんの家族は、菊谷一族ってのが始まった時から日記を毎日書いていたんだって。しかも菊谷一族は隠れていたけど強力な神がいっぱいいるの。家の家訓にもあるぐらいだから一日も書き忘れはないみたいだよ」
- Re: 触れられない花。 ( No.125 )
- 日時: 2017/12/09 17:46
- 名前: とまと (ID: .6mQrr9F)
お久しぶりです。もう一年もたつんですね…。
あっという間でしたが、これからも応援しています。
頑張ってください!
- Re: 触れられない花。 ( No.126 )
- 日時: 2017/12/10 19:20
- 名前: @メンタル (ID: gdK5hR0W)
トマトさん
投稿当時からコメントをくださって本当にありがとうございます。
応援していただけるなんて…
嬉しい限りです( *´艸`)
物語はだんだんと完結へ進んでいます。亀ペースですが(笑)。
本編
グランが持ってきた菊谷一族の日記に書かれていたのは神器力開放術についての他に生け捕りにした鄙から聞き出したことなど様々な重要項目が記入されていた。
「凛時、なんか見つけたのか?」
煙草の煙を揺らしながら拓哉の作り上げた壁を術で整理をする宇塚が声を上げた蘭に振り向いた。
「宇塚教授…契の品を見せてください。」
質問に答えずに蘭が言うと宇塚は蘭の目の前にしゃがみ右手で前髪を書き上げて額右側についたハート型の様な紋様を見せた。
「…宇塚教授、貴方相当な幸運の持ち主ですよ。」
蘭が安堵の息を吐き出してから宇塚の額についた紋様と日記に書いてある文章や時々書いてある図などを交互に見続けた。
「?どうゆう事だ?」
「日記によると神器力開放術が使用可能になる、完成形になった時に本来白黒であるはずの契の品に色が付くそうです。すなわち貴方の見せたあの技は失敗、未完成なんです。本当だったら貴方鬼に襲われて今頃死んでるところだったかもしれませんね」
それから数日後、分かったことをそれぞれに伝えるべく配布されていたイヤホンがようやく役目を果たした。
『対鄙部隊政策全員に連絡します。神器力開放術は完成形になると契の品に色が付くこと、鄙には鄙の者全員が崇拝する女神≪ガテラ≫と呼ばれる人物が居たことが新たに分かりました。質問があれば連絡をしてをしてください。これで連絡を終わります。』
この連絡は臨の鬼であるリリックにも当然イヤホンを通して伝わっていた。レアンとの稽古は今日はもう終了したようでいつも通り臨の眠るベットの傍らに座り、窓の外に浮かぶ満月。その近くにある小さな小さな、術を使っても見えるか見えないかと言うほどの極小の真っ黒な星を見つめていた。
「まだ、まだ見つけないで…。もう僕はリリックなんだよ…。」
頬に伝う水滴に月明りは反射した。
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