二次創作小説(新・総合)
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- 逃走中#CR05 はじまりの炎と紋章物語【完結】
- 日時: 2020/09/25 22:01
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: b92MFW9H)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7a/index.cgi?mode=view&no=1440
どうもです、灯焔です。
遂にキリのいい数字を迎えた逃走中#CR05。前回エクラが捕まったり道化師側で大きな動きがありそうだったりと波乱の展開を迎えたコネクトワールド。世界の行方はどうなる…?
今回の舞台は、2回目の舞台『渋谷』があった時代から約5000年後の世界『エデン』が舞台と言われている『セブンスドラゴン』『セブンスドラゴンⅢ』より『学都プレロマ』。数々の木々に生い茂られた廃墟と化した学術都市を舞台に、逃走者達とハンターによる5回目の逃走劇が今、幕を開ける―――!
遂に本格的に動き出したメフィスト率いる道化師達。本部を襲うだけでは飽き足らなかったのか、他の支部で暴動を起こし始めました。そして、本部の面子もメフィストを叩こうと本格的に動き始めます。
そんな中、道化師一味にも何か動きが。前々回から様子がおかしかった『あの人物』の記憶が…?さて、運命はどう転がるのでしょうか。
<ルール>
逃走エリア:『学徒プレロマ』
かつて隆盛を誇った古代文明の研究者である学士たちが集っていた学術都市。
技術力の高さは『エデン』の中でも群を抜いていたが、現在は魔物の巣窟になっており、廃墟と化している。かつてこの地で、13班の意志を継いだ者が『真竜』を退治した伝承が伝えられている。ゲームではドラゴンによって木々が生い茂っていたが、今回は木々が生い茂っている様子は無く、廃墟であること以外は広い逃走エリアだと思っていいだろう。
エリア紹介 >>1
逃走時間:90分
賞金:54万(1秒100円)
ハンター:初期4体(OPゲームで1体起動。ゲーム開始後に3体追加で起動)
自首方法:後程通知にて発表
<参加者>
【逃走中#CR01 成績優秀者】 (3人) 詳細>>2
エーデルガルト=フォン=フレスベルグ
芽兎めう
ミミ
【逃走中#CR02 成績優秀者】 (3人) 詳細>>3
七海千秋
キュベリア
タイマー
【逃走中#CR03 成績優秀者】 (3人) 詳細>>4
アルル・ナジャ
クレア・スチーブンソン
ジャック
【逃走中#CR04 成績優秀者】 (3人) 詳細>>5
天海蘭太郎
クリス
むらびと
【作者枠】 (4人) 詳細>>6
YUMA
ゆめひめ
おろさん
葉月
【作者推薦枠】 (4人) 詳細>>7
サタヌ
左右田和一
霜月凛
イヤミ
計20名
○逃走中#CR06 シード枠争奪アンケート実施中
※締め切りました
○逃走中#CR06 次回参加者募集中!
※締め切りました
次回参加者 >>105
作者枠発表 >>120
※『お手伝い』として参加してくださる方向けの案内※
版権キャラ応募用紙 >>121 ※9/24(木) 20:00まで
◎AfterBreakTime
①『更に集う仲間たち』 >>8
②『赤色が抜けた景色』 >>33
③『折りに折られぬ心意気』 >>39
④『光と開く世界』 >>49
⑤『スーパースターは彗星の如く』 >>68
⑥『音無町の真実』 >>95-96
⑦『打ち上げ』 >>125-126 >>129-131
以上、逃走中#CR 運営本部がお送り致します。
- Re: 逃走中#CR05 はじまりの炎と紋章物語 ( No.64 )
- 日時: 2020/08/28 23:15
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: te9LMWl4)
【42:26】
~北東地区~
ソティス『じゃから!わしは手伝わんと言うておるに!しつこいのう!』
クリス「しかし、貴方が手伝ってくれなければミッションが達成できないんだ。頼む」
ソティス『神などエリア中にごろごろいるじゃろう!そやつに頼めばよかろうに!なんと言われようとわしは手伝わんからな!ふんっ!』
イヤミ「どうするザンスか?そもそも何で拗ねてるザンス?」
クリス「理由も一緒に聞いているんだが一向に答える気配が無くてな…。原因を探ればなんとか機嫌を直してもらえると思ったんだが」
ミミ「そうは問屋が卸さないってやつだねー。万事休すだよー…」
MZD「万事休すにしてもらっちゃ困るんだけど?どうにかしてソティスを説得しないとオレ達も困るしさ~」
ヴィル「他の神に頼むといっても…条件に見合う神がいないのでは話にならん」
凛「青龍や朱雀…四神はどうなの?」
ソティスが機嫌を直さない為、なかなかミッションを進められない一同。彼女をどうにか出来なかった場合、他に『純粋な神』を探さないとなりませんが…。
凛が四神はどうだと聞いてきますが、MZDは首を振るばかり。
MZD「サクヤとアクラルはちょっと特殊で…ニアは『邪神』だし。アカギは魔力不足。アシッドはオレよりも地位が高いけど、得体が知れない神だから頼るワケにもいかないんだよ。…だから、どうにかしてソティスの機嫌を戻してもらわないことにはな」
ミミ「神様にも色々いるとは分かってたけど、ここまでとは思わないよー」
ジャック「だからこそ仲間割れもするし地上を快く思わない奴だって出て来るんだろ。結局は人間や魔族と一緒だ」
クリス「ソティス殿。本当に困っているんだ。どうにか力を貸してもらえないだろうか」
ソティス『何度問うても答えは同じじゃ。わしは手伝わん!!』
ミミ「…わたし、説得してみていいかな?拗ねてる子にはストレートな物言いをするだけじゃだめだと思うんだよね」
クリス「そうなのか?…分かった。ミミ殿に任せよう」
その間にもクリスはソティスの説得を続けます。しかし答えは『No』。これでは障壁を破壊出来ずに本部も逃走者もエクラ達も大変なことになってしまうのは目に見えています。
もう見てられないとミミが説得を変わるとクリスに進言。交渉術に長けた彼女なら何とかしてくれるかもしれないと思い、ミミにスマホを渡しました。
―――彼らは気付いていませんでした。実は、そんなこんなしている間に……。
ハンターGH「…………!!」
ダッダッダッダッダ!!!!!
ジャック「―――!!おい待て!ハンターが来てる!!」
凛「狙いは―――?!」
ハンターに気が付くジャックと凛。あの中で狙われたのは―――。
ROCK ON【JACK】
ピーーーーーーーーーーーー
ジャック「俺か…!くっそ、今ミミに近付ける訳には行かねぇからな…。そいそこの黒髪女。俺がハンターを引き付けている間にミミを他の地区に行かせんじゃねえぞ」
凛「黒髪女と呼ばれるのは心外ね…。私には『霜月凛』という名前があるのよ、金髪屋」
ジャック「そんなこと言ってる場合か!!―――ちぃっ!!」
凛「…………。仕方ないわね」
自分がターゲットにされていることに気付き、こっそり凛だけにその場を離れることを話したジャック。その行動は吉と出るのでしょうか…。
名前を読んでもらえなかったことにムッとするものの、これ以上伝言を伝えている時間が無いと彼は別方向に走り出します。それを見送りながら、彼女は素早くミミの元へと急いだのでした。
~東地区~
ジャック「もう少し引き離した方がいいか…」
ハンターGH「…………!!」
流石暗殺者。運動神経は抜群にあります。今まで温存していた体力と走力で、追ってきているハンターを引き離していきます!
~中央広場~
ジャック「はぁ…はぁ…。ここまで来れば、大丈夫か…?」
何とか中央広場の物陰に潜んだジャック。来た道を遠目で見るそこにハンターが近づいてくる気配はありません。
ハンターGH「…………?」
ハンターを撒くことに成功したようですね!間一髪です。
ジャック「油断も隙もあったもんじゃねえな…」
そう呟きながら彼は物陰から顔を出しました。
ハンターDU「…………」
ジャック「…………」
ポンッ
【41:44】
ジャック 確保 残り9名
ジャック「―――はぁーーーーー?!」
物陰から顔を出す時も油断しちゃダメなんですってば!!ハンターがどこから湧いてくるか分からないんですから!あーあ、勿体ないことしちゃって。
しばらく唖然としていた彼は、確保された事実を目の当たりにし叫びましたとさ。
ピリリ ピリリ
キュベリア「『ジャック 確保 残り9名』 …あ?あいつここにいなかったっけ?」
凛「実はここにハンターが来てて…。みんな気付いてない上にターゲットが彼だったからという理由で別の地区へと逃げて行ったのよ」
イヤミ「だけど、この中では一番運動神経良さそうだったザンスよ?なんでそんな確保なんて…」
あとでボスコンビに笑いものにされないようにしてくださいねジャック。さて、彼のことはともかくです。ミミの説得は上手く行っているのでしょうか…?
ミミ「ソティスちゃん!わたしの話を聞いてくれないかな?今わたし達すっごく困ってるの!MZDから色々話聞いて、ソティスちゃんじゃなきゃ魔法陣を作ってもらえないんだよ!」
ソティス『『魔法陣』じゃと…?はっ。何故それを先に言わぬのじゃ!それと拗ねているのとは話が違うわ!わしが手伝わなければあの子娘共が邪神になってしまうではないか!』
クリス「知ってたのか…?!」
ソティス『知ってた、というが。わしも神の端くれじゃ。メインサーバからでも気配を辿ることは出来る。…四台元素の力を収束させる『魔法陣』が欲しいのじゃな?それならば…わしにしか作れぬ。先に目的を説明してくれれば疾く協力したというのに!』
ミミ「あはは…。こっちも切羽詰まってたからさ。ごめんねソティスちゃん。あと、わたしはあなたの絵、ユニークで素敵だと思うな!」
ソティス『お主、どこでそれを…!』
ミミ「わたしエスパーだもんねー!っていう冗談は置いといて、出来るだけすぐに取り掛かってくれるかな?時間どれくらいかかりそう?」
クリス「もし6分以上かかる代物であれば、ミッションクリアは厳しくなるな…」
キュベリア「魔法陣を作ってもらってる間にハンターを招き入れちまえばそれも出来なくなる。出来るだけ早めに作ってくれ」
ソティス『そうは言ってものう!……『4分』。4分寄越せ。出来たらうさぎの小娘に連絡するから、そのまま電話を切るのではないぞ」
ミミ「4分だね、分かった。それじゃその間、この地区にハンターをおびき寄せないよう見張っておくよ」
目的を喋ると、ソティスはころっと表情が変わったように『何故それを早く言わぬ!』と捲し立ててきました。そりゃ彼女も神様ですもん、まずいことになっているのは丸分かりです。
4分欲しいと伝え、それまで待っていると伝えた彼女。―――その間、ハンターをこの地区に入れてしまえばミッション達成はほぼ不可能になってしまうでしょう。
イヤミ「4分…。ちょっと長いザンスね。2つのチームに分けて見張るザンス?」
キュベリア「そうした方がいいだろうな。念のためにミミに誰かつけよう」
クリス「ミミ殿にはおれが残る。キュベリア殿とイヤミ殿、凛殿はあの通路からハンターが来ないかどうか見張っていてくれ」
凛「…分かったわ。一応向こうのグループにもメールで連絡をしておくわ。無駄な行動が減るように、ね」
ミミ「ありがとう!よろしくね!」
4分…。逃走者達の行動で運命が決まります!ハンターを入れないようにしてくださいね!
- Re: 逃走中#CR05 はじまりの炎と紋章物語 ( No.65 )
- 日時: 2020/08/29 22:01
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: J1W6A8bP)
【40:38】
~西地区~
ゆめひめ「…あっ。そういえば思い出した。渡さなくちゃ」
マルク「渡す?誰になのサ?」
ゆめひめ「暑苦しい顔文字に頼まれたんだよ。これを渡してくれ、って」
中央広場まで移動する為、リピカとマルクを連れた4人は西地区を移動していました。その道中、ふとゆめひめがはっとした表情になり懐から預かったものを取り出します。
暑苦しい顔文字、と言われ表情を崩すリピカ。あー、察したか。
リピカ「暑苦しい顔文字…。十中八九灼熱くんさ…。あいつこんなところで何してるさ?」
左右田「本当ならキッチーって奴がこっちに来てなんかしたかったらしいんだけどよ。知ってるやついねーから来られなかったんだってさ」
リピカ「なんだそりゃ。はぁー、もし会えたらかまぼこ入りの焼きそばの新バージョンの案でも出そうと思ってたのに」
天海「リピカさんも知ってるんすか?」
リピカ「知ってるも何も私もかまぼこの提供者さ!灼熱くんとは仲良しさ!」
左右田「ぎ、ぎにゃああああああああ?!?!?!」
ゆめひめ「左右田の悪夢が蘇るのは早かったねwwwww」
まぁ、リピカの担当曲もかまぼこ…もとい皿多いですかねぇ。手が小さい天の声にはHクリアすら苦痛…って何言わすんですか。
そんな話はさておき、ゆめひめは左右田に爆笑しつつもその取り出した短刀をリピカに手渡しました。彼女がそれに触れた時―――眉が動いたのを天海くんは見逃していませんでした。
リピカ「(うん?なんだこの感じ…。中に、誰かいる?)」
天海「リピカさん。心当たりあるんですか?眉動いたように見えたんですけど…」
タイマー「でもリピカさんって槍を使って戦ってたよね?刀を持ってる姿なんて僕知らないよ?」
リピカ「私の武器の話はしてないさ!…この刀、妙に不思議な力を感じてな。まるで『生きている』みたいな…」
左右田「生きてるぅ?!物が?!」
タイマー「自然で出来た物なら話は分かるけど、刀って人工的に出来たものだよね?命が宿る、なんてあるの?」
リピカは奇抜な格好をしていますが優秀な魔術師です。だからこそマルクと気が合いよく行動を共にしているんですけどね。天海くんが問うてみると、彼女は『刀に命が宿っている気がする』と答えました。木や花、自然のものならばともかく。人工物である刀に命が宿るなど普通では考えられません。左右田くんとタイマーは信じられないという顔をしています。
…しかし、天海くんは少し考えた後…こう答えました。
天海「もしかしたら、この刀に『付喪神』が宿っているのかもしれませんね」
マルク「付喪神…物に宿る神様のことだよな。蘭太郎はそう思ってるのサ?」
天海「あまり現実味の無い、幻想的な話ではありますがね。ですがこの世界は過去に何度も常識では考えられないことが起こっています。色々な種族がなんの不都合も無く1つの場所で過ごしている、とかね。
…そうであれば、物に神様が宿るなんてこともあり得るのではないかと考えただけですよ」
左右田「なるほどなー。それじゃ、もしかしたら俺の使ってるスパナにも神様が宿る可能性があるかもしれないのか」
ゆめひめ「左右田の場合は疫病神か貧乏神じゃない?」
左右田「マイナス振り切れてんな!!ちょっとはまともな神で例えられねーのかよ!!」
タイマー「でもロマンチックだよね!物に神様が宿る、なんてさ!まるで守護神みたいに…。そういえば、サクヤさんも大きな刀を2本持ち歩いていたよね?もしかして、その2本にも神様が宿ってたりするのかな?」
ゆめひめ「えっ?この逃走中のGMって侍だったの?!」
天海「侍じゃありませんけど…。でも、随分大事そうに持っていましたし。何か訳ありではありそうですよね」
刀と言えば、とタイマーはサクヤの持っている2振の刀について話します。ちなみにどちらも太刀の形状をしており、小柄な彼女では2本持ち歩くのすら大変そうですが…まぁ青龍なんでね彼女。
確かにそうだとうんうん頷くリピカ。そしてサクヤの持っている刀について、こう語り始めたのです。
リピカ「サクヤに軽く話を聞いただけなんだけどな?今あいつが持ってる刀って『天下五剣』って呼ばれてる凄い霊力を持つ刀なんだって。だから天海のいうことも何となくわかるのさ」
左右田「天下五剣…確か日本刀の中でも『名刀』って呼ばれてる5振だったよな?辺古山に前教えて貰ったぜ。名前は確か…『三日月宗近』『数珠丸恒次』『大典太光世』『鬼丸国綱』『童子切安綱』だったっけ」
ゆめひめ「うわ、難しい名前ばっかりで頭が混乱しそう…。でも、実際に歴史の中で名刀って呼ばれたのは本当なんだよね?」
マルク「じゃあサクヤは全部持ってるのサ?ボク、武器については知識不足なのサ…。ほら、ボク爪と魔法で攻撃するから武器なんかいらないだろ?」
リピカ「全部持ってるわけじゃないらしいんだけど…。確か私達が本部に合流してちょっと経った後、あの委員トリオが本部に転がり込んできてな。流れで手伝いすることになったのさ。その時に、サクヤが石丸の奴だけ自室に呼び出して何をするかと思ったら、石丸が刀を持って出てきたのさ。
…多分、それが『最初に持ってた3振のうちの1つ』だと思うのさ」
左右田「3振?天下五剣は5振だろ?GM、全部持ってるんじゃねーのかよ?」
マルク「サクヤさんの自室をみんな知らないのサ。そもそも自室に上げたがらない人だからな…。どこで寝てるかもボク達全然分からないのサ。頼りにはしてるけど、あの人謎が多すぎるのサ…」
リピカ「そんなんでよく居座ろうとか思ったさ?まー、でも現状一番頼りに出来るのあの人しかいないからなー…」
ゆめひめ「渡した短刀から何か分かると良いよね!刀の管理をしているんだから、きっとGMさんなら知ってることもあるだろうし!」
リピカ「そうだなー。これ以上話すると脱線するからここまでにするとして…。この刀は私がきっちりサクヤさんに渡しておくのさ。心配するな!」
天海「助かります。あと…それとなく天下五剣のお話も聞けるのであれば…」
左右田「興味あるのかよ」
天海「ありますよそりゃ。だって歴史に名を残す名刀なんですよ?冒険家魂が疼くってもんです」
タイマー「冒険家魂…?」
天海くんが話していることはともかく!灼熱くんに頼まれた依頼はしっかりこなせたようで良かったです。一同は時間を気にしながらも中央広場へと向かって行ったのでした。
―――そろそろソティスの魔法陣が完成しそうな感じがしますが…。次回、それを見て行きましょう。
- Re: 逃走中#CR05 はじまりの炎と紋章物語 ( No.66 )
- 日時: 2020/08/30 22:20
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: UgVNLVY0)
【37:50】
~北東地区~
ミミ「ソティスちゃん、魔法陣の進捗はどうかな?」
ソティス『もうすぐ出来る。待ってておれ』
北東地区で魔法陣の完成を待っているミミ。ソティスが『4分で創る』と言ってのけてから時間がやってまいりました。彼女曰く『もう少しで完成する』とのこと。
その言葉を信じ、ひたすらに待機するミミ。見張りを続けている3人には少し申し訳ない気持ちも湧いてきているようで。
クリス「ミミ殿。ハンターが来そうな場所は見張っている。だから、そんなに心配しなくても大丈夫だ」
ミミ「うん。それは分かってるんだけど…。なんか申し訳ないなぁって思っちゃって」
クリス「今回に限らずミッションは協力が要のものがある。一々申し訳ないと思っていたらキリが無いぞ」
ミミ「マルスさんが積極的にハンターの見張りをしていたら?」
クリス「おれが代わる」
ミミ「デスヨネー」
そんな他愛無い(?)話をしている最中、向こうから1つ大きなため息が。どうやら魔法陣が完成したようですね!
ソティス『雑談をしておる場合ではないぞ。魔法陣が完成した。今すぐ『特定の場所』にカロンを向かわせるのじゃ!』
ミミ「え?ここじゃないの?」
ソティス『流石に場所までは指定できんわ!…四大元素の力が一番引き出される場所。そこに設置した。即興で創ったからな。魔法陣が消滅するまで時間が無い。もたもたするな、急ぐのじゃ!』
クリス「時間的にも猶予は残されていないみたいだからな…。他の3人を呼んで魔法陣の居場所を特定しよう」
しかし、ソティスが言うには『北西地区に魔法陣は設置できない』とのこと。ということは、別のどこかに魔法陣があるはずです。
更に即興で創った為、効力がそこまで長く続かないとのこと。ミッションの終了時間も迫っています。このままでは本当に間に合わなくなってしまいます。
そう判断したクリスとミミは素早く見張っていた3人を招集。魔法陣の居場所を特定する為にMZD達がいる場所まで足を進めました。
MZD「―――即興にしちゃあ上手く創ってんじゃない?あとは場所だけど…そう遠くには無い。あんまり心配する必要はないと思うぜ」
クリス「具体的な場所を教えていただくことは出来ないのか?」
ヴィル「……ふふ。もう分かっている癖に何を言っている?」
イヤミ「は?意味が分からんザンス」
既にお見通しとでもいうようにヴィルヘルムは微笑みます。それと同時に鳴り響くスマホ。どうやらミミのもので間違いなさそうですね。
素早くスマホをスピーカーモードにして反応。その相手は……。
タイマー『ミミちゃん!すぐに『中央広場』に来てくれないかな?』
ミミ「タイマー?!どうしたの?わたし達これから魔法陣を探さなきゃいけないんだけど…」
天海『その探してる魔法陣が『中央広場』にあるんです。急いで来てください!』
凛「そう…。運が良かったのね…。すぐに向かわなければならないようね」
キュベリア「あぁ。あのチビの言う通り、もたもたしてれば魔法陣の効力が消えるからな。急ぐぞ」
タイマー『一応電話は繋いだままの方がいいかな?』
ミミ「うん。すぐ合流できるよう繋いだままでお願い!」
電話の相手はタイマー!どうやら別行動していたグループが魔法陣を発見したようです!まぁ、どちらのグループも暗闇の近くを行動していましたからね…。
しかし、具体的な場所が見つかったのであれば話は早い。急いで中央広場に向かいましょう!
そう思い東地区への一歩を踏み出した逃走者達でしたが―――。
ハンターSA「…………!!」
ダッダッダッダッダ!!!!!
ROCK ON【MIMI】
ピーーーーーーーーーーーー
イヤミ「シェーっ!!なんてタイミングでハンターが見つかるザンスかー?!このまま中央広場に逃げても他の奴らを巻き込むだけザンス!!」
ミミ「(狙いはわたし…。なら、やることはひとつ!)」
うわぁーっ?!とんでもないタイミングでハンターが来たーっ?!ターゲットに捉えたのはミミ!
逃げ場がない!このままでは魔法陣どころではありません!どうにか上手く逃げないと全員お陀仏ですよーーー?!
ミミ「凛ちゃん!わたしのスマホ預かってて!ハンターのターゲットわたしだし、引き付けてる間にみんなは東地区へ!」
タイマー『どうしたの?!ハンター来てるの?!』
凛「…判断を迷っている時間はないようね。分かったわ、しばらく預かる」
クリス「ミミ殿…おれが身代わりになれればいいんだが。すまない…頼んだぞ!!」
イヤミ「お礼はおフランス産のお菓子おごってやるザンス~!!」
ミミは凛に自分のスマホを手渡し、タイマーとの連絡役を変わるよう頼みます。そうやりとりをしている時間も本当はないのですが。
一部の面々は悔やみながらもミミとは別の道を通って東地区への方向へ。ミミはハンターを引き付ける為、逃走者達とは別方向へ走り始めました。
【36:38】
~北西地区~
ミミ「ハンター早いんですけどぉー!!」
ハンターSA「…………!!」
取り残されたミミをハンターは追いかけ続けます。既に人の気配は自分以外にありません。全員無事に東地区へと逃れられたのかと安堵するのも束の間、ハンターは徐々にミミとの距離を詰めていきます。
ミミ「―――あぁ……もう無理……」
長らく同じエリアを逃げ続けていた弊害かミミの体力に限界が訪れます。ハンターとの距離を詰められ、遂に―――
ポンッ
【36:16】
ミミ 確保 残り8名
ミミ「ふぅ…へぇ…もう…駄目ぇ…」
全力で逃げた末、ミッションを逃走者達に託し確保されました。お疲れ様です。
ピリリ ピリリ
ゆめひめ「『ミミ 確保 残り8名』 やっぱりあっちでハンターに見つかってたみたいだよ…」
タイマー「急に凛ちゃんが会話し始めたからどうしたのかなと思ったけど、ミミちゃんハンターに狙われてたんだね…」
凛『ごめんなさい…。もうすぐそっちに着くから、姿が見えたら反応を返してくれるかしら』
左右田「おう。多数被害出しちまったし、失敗はできねえからな!」
天海「あと1分…。急いでください皆さん!」
暗闇を祓う為にも急いでくださーい!次回、ミッション③完結!逃走者の運命はどうなる―――?!
- Re: 逃走中#CR05 はじまりの炎と紋章物語 ( No.67 )
- 日時: 2020/08/31 22:24
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: xrNhe4A.)
【35:57】
~中央広場~
キュベリア「…んぁ?あれじゃねーか?」
イヤミ「こっちに手を振ってるザンス!きっとそうザンスよ!」
ミミの囮のお陰で何とか中央広場に到着した逃走者達。遠目にこちらに手を振る様子が見えます。その先に、通常ではあり得ない程に光り輝くものが。恐らくソティスが創った『魔法陣』で間違いないでしょう!
素早く手を振る方向へ向かいます。ミッション終了まで1分を切っています。急いで!
天海「良かった。ハンターも来てないみたいですし…。魔法陣ってこれですよね?」
ヴィル「間違いない。だが…効力が切れかけているな。即興で創った弊害か。カロン、チャンスは1回だ。失敗すれば全て無駄になる…。それでもお前しか頼りになる者がいない。頼めるか?」
カノン「やってみる…。オレの力が…役に立つのであれば…」
ゆめひめ「どきどき…」
時間も惜しいとヴィルヘルムがカノンに魔法陣の中央に立つよう指示。そして、精神を集中するように伝えます。
怪我をしないようにとカノンから離れる逃走者達。彼がゆっくりと両手を目の前に出すと同時に…カノンを纏うように風が吹き始めました。
タイマー「うわっ!油断したら僕達まで巻き込まれちゃうかもね…」
クリス「戦える者以外は後ろに下がっていた方がいいだろうな」
キュベリア「それにしても…即興とはいえすげー力だな。これが『純粋なる神』の創り出す魔法陣か…」
クリスとキュベリアが優先的に戦えないであろう逃走者を後ろに下げ、万が一に備えます。その間にもカノンを囲む風は強くなっていき―――暗闇にバチバチと稲妻が走りました。
左右田「反発しあってんのか今…?」
MZD「ま、そーゆーことね。間に合えばいいけど…」
凛「言い方的に『間に合わない』可能性もあるということなのね…」
ヴィル「微妙なところだ。だが…やってくれるだろう。彼ならば」
カロンの放つ魔力と暗闇の魔力が反発し合い、バチバチと輝きを放っています。―――しばらく様子を見てみると、少しずつ暗闇が薄れていくのが分かります。カノンが頑張って力を強めてくれている証拠でしょう。
イヤミ「あっ!向こう側が見えるようになってきたザンスよ!」
天海「しかし…。あと20秒弱。間に合いますかね…」
キュベリア「あいつに賭けるしかない。だが―――私は勝てる賭けしかしない!」
天海くんがスマホで時間を確認。既に残り時間は20秒を切ろうとしていました。その間にも徐々に暗闇は薄れ―――
カノン『これで…終わりだ…!!』
彼が小さく呟いた言の葉を最後に、暗闇は空に溶けて無くなりました。…暗闇の障壁が完全に消え去りましたね!
ゆめひめ「おお!向こうがハッキリと見えるようになったよ!これで北地区へ行けるようになったんだよね?」
天海「はい。なんとかミッション③クリアですね!」
タイマー「道中どうなるかと思ったけど、クリア出来て良かったよー…」
【35:13】
ミッション③ クリア
ピリリ ピリリ
~牢獄ルーム~
エーデル「…通知ね。無事にクリアしてくれているといいけれど」
めう「読むむめうよ!『逃走者の活躍によって、北地区を覆う暗闇の障壁が破壊された。よって特定エリアにいる逃走者の強制失格は回避。及び北地区に侵入できるようになった。ミッション③クリア』
ミッション③、無事クリアめうーーー!!!やっためうーーー!!わーいわーい!!」
アルル「良かったぁ…。なんかざっくりとした内容でちゃんとクリアできたのかなって不安に思ってたよぉ」
七海「これも逃走者のみんなが一丸となって頑張ったお陰…だと、思うよ?あと35分…。後半戦突入って感じだね」
こちらは牢獄ルーム。ミッション③クリアの通知を受け、安堵の表情を浮かべる確保者達でした。そういえば、先程ミミが確保されたことによって『過去の逃走成功者』が全員脱落したんですよね。
ミミ「あっ、そうじゃん!残ってるの初参加の人か確保経験者じゃん!」
サタヌ「それほど厳しい回だったのか。ならば端から本気を出しておくべきだったか」
むらびと「(やれやれ)」
おろさん「逃走成功者が全員確保されちゃったなんて…。どれだけ難しい逃走中なんだよ今回…」
クレア「誰が逃走成功するか予測がつかなくなってきましたよね…」
YUMA「序盤確保濃厚だった左右田とイヤミがまさかの後半まで生き残ってるしな。…それでも早めの確保をネタ的に願ってしまうのはカオス好きの性なんだろうが」
ジャック「やめておけ。ネタ的に美味しかろうがあいつら嫌がるだろ。…おいお前、どうしたんだよ?」
葉月「―――ん?なんか遠目に人影が見えるんだよねー」
そうそう。左右田とイヤミがまさか残り10人以下に入ってることにも驚きです。彼ら、視聴者予想でも初っ端確保予想が滅茶苦茶多かったんですよ。あ、本人には内緒ですよ?
そんな中、葉月が確保者の方向とは別を向いて目を凝らして何かを見ているようで…。ジャックが突っ込んでみると、彼女は『人影が見える』と答えました。
ジャック「人影?誰のだよ?」
葉月「見覚えはあるんだけど遠目過ぎてよく分からなくて…。エリアを監視してるっぽいから道化…敵側なのは間違いなさそうだけど。
うーん……。白い髪…白い角…赤い目…数年前に流行った例のセーターみたいな服…腰には刀…。これくらいしかハッキリ見えないなぁ」
七海「抽象的すぎるね…。でも、道化師が絡んでいるならもう少し派手で洋風な格好をしているんじゃない?刀を持っているってことは…お侍さんかな?」
葉月「見たことがあるというか、うちの世界にもいるかもしれないというか…」
エーデル「思い出せないのなら仕方がないのではないかしら。…少なくともこちらに被害を出しそうな感じではなかったのでしょう?」
葉月「うん。エリアの方に向かって歩いていたから私達を狙う感じじゃなかったかなぁ」
葉月が見えた特徴を呟くと、七海さんが少し反応したものの全員心当たりのある人物がありません。
こちらに危害を加えてくる可能性がないのなら考える必要性は薄いのではないか、とエーデルガルトがアドバイス。それもそうかと思ったのか、彼女は凝視をやめました。
YUMA「葉月さんの世界にいるジャンルの人物がこっちの世界にもいるかもしれないってことか?マリオとかスマブラとかメジャーなジャンルはかぶってそうにも見えるが」
ミミ「ジャンルッテナニ?オイシイノ?」
クレア「メタ発言はめっ!ですよ!」
サタヌ「…しかし、その見た者はエリアに向かって歩いていったのだろう?刀を持って。―――もし敵側ならば、逃走者や本部に被害が及ぶことはないのか?」
おろさん「4回とも全部そんなこと言われたような気がするけど全部回避してるはずだから大丈夫だいじょ…うぶだよね?」
七海「それはその時になってみないと分からないからなぁ。とにかく、その白い角を生やした白い髪の人が何か仕出かさないことを祈るだけだね」
むらびと「(うんうん)」
白い髪の人(?)を気にしてても仕方ないと話題を変えることにした逃走者達。…しかし、葉月はどこかその姿に引っ掛かりを覚えていました。そして……とある『考え』に至ったのです。
葉月「(あれ?私が言った特徴に合う人物…私知ってる…。まさか、まさか?
『刀剣乱舞』のあいつ―――?!)」
【35:00】 ミッション③終了時 逃走者詳細
確保者 12名
YUMA クレア エーデルガルト
サタヌ 葉月 むらびと アルル おろさん
芽兎めう 七海千秋 ジャック ミミ
既存逃走者 残り8名
キュベリア タイマー
天海蘭太郎 クリス
ゆめひめ
左右田和一 霜月凛 イヤミ
さてさて、葉月の思惑は的中するんでしょうかね。その人物の行方も気になりますが…とにかく、です。ミッション③クリア!強制失格を見事回避です。
残り35分…。油断は出来ません。逃走者達、頑張ってくださいね!
To be continued……
- ABT⑤『スーパースターは彗星の如く』 ( No.68 )
- 日時: 2020/09/01 22:00
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: xrNhe4A.)
カノンのお陰で障壁を割ることが出来、また一歩進むことが出来た運営本部。
ノルンはそんな彼の姿を見て、『とある出来事』を話す決意をします。
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~メインサーバ~
サクヤ「…ふぅ。何とか障壁を解除できた、という感じですね。まさか魔力の高さが仇になってしまうとは。カロンさんが現場に向かってくださって良かったですよ」
アシッド「解除出来る者がいなければ話が進まないからな。最悪私が時を止めてその間に障壁を破壊することも出来たが…。逃走者にまで被害が及んでしまえば意味がないからな」
メインサーバでプレロマの様子を見ていたサクヤ達。北地区の障壁が解除され、エリアの全貌が明らかにされました。奥まったところにエクラと、それを監視するかのように立っているべリアがいます。
これも、本部に集まってくれた面子がいなければ成し遂げられなかったこと。仲間のありがたみを改めて感じていた彼女の元に、とてとてとノルンがやってきました。
ノルン「あの…すいません。聞いてもらいたいお話があるんですけど…」
サクヤ「はい、いかがなされましたか?ここでは話せない内容でしょうか」
ノルン「沢山の人がいる場所ではあまり言いたくないんですけど…。サクヤさんとアシッドさんなら口も固そうだし、大丈夫かなぁって」
アシッド「私の口が固い、ね。内容にもよるが善処はしよう」
サクヤ「善処しなくても喋らない方がいいこともあります。…分かりました。幸い全員本部の見回りに出ていますので、今ならここでお話を受けますよ。どうしたのですか?」
ノルン「ありがとうございます!実は…」
ノルンはちらちらとメインサーバのテーブルの方向を向いて、他に誰かがいないかを確認しているようです。それほど今から話す事柄はなるだけ他言無用にしてほしい様子。
アシッドが試すような言動をしますがサクヤが一蹴。それに安心したノルンは、小さな声でサクヤに『クッパ城で起きた出来事』を話し始めました。
ノルン「あの…ミッション③でカロンくんが障壁を破壊したのは覚えていますよね?」
サクヤ「はい。実際見守っておりましたからね。それがどうかしたのですか?」
ノルン「実は…ボク、クッパ城にいた時に『同じ能力を持っていた』ノコノコと同期だったんです」
アシッド「同期?しかも、カロンではなくノコノコ?」
ノルン「はい。まだボク達の世界がここに混ぜられる前の話です。ボクの同期でクッパ軍団に入ったノコノコがいたんです。…彼もカロンくんと同じように『四大元素』の力を引き出して使うことが出来る不思議な能力を持っていました」
アシッド「話し方的に後天的についたものではなさそうだが…。その同期のノコノコは今何をしているんだ?一緒に混ぜられたのならばクッパ城で仕事をしているのか?」
アシッドが自分の推論を繰り広げ、素直に疑問に思ったことを投げつけてみます。すると…彼は目を潜め、悲しそうな声でこう呟きました。
ノルン「彼は…『放火事件で死んだ』んです」
サクヤ「死んだ…?!」
アクラル『おい。物騒な話してんじゃねーぞ。ボソボソ話してて気持ち悪いからつい声かけちまったじゃねーか』
アシッド「君はもう少し『空気を読むこと』を学んだ方がいいぞ、アクラル。それにしても…放火事件で死んだ、とな」
アクラル『うるせー!気になったもんは気になったんだから仕方がねーじゃねーか!…お前、クッパ城で何があったんだよ?』
ノルン「…………」
サクヤ「言いたくなければそのまま口を噤んでいても構いません。しかし…話すことで気持ちが楽になるのであれば…我々に話してみる選択肢もあると私は思います」
アクラルの言葉で更に悲しい表情を深めてしまったノルン。サクヤはそんな彼の頭を優しく撫でて、自分の考えを伝えました。幸いバレてしまったのはアクラルだけのようなので、ノルンは意を決して『クッパ城での放火事件』について話すことにしました。
ノルン「ボクは、元々クッパ城では落ちこぼれの部類で…。皆さんもお分かりの通り、戦闘が苦手で敵に甲羅を当てることもままなりません。それに怖がりですし…。仲間からも煙たがられることが多くて。でも、同期のノコノコだけはボクを信じて『一緒に頑張ろう』って言ってくれたんです。
そのお陰もあって、クッパ様とクッパJr様の使用する機械の『専属エンジニア』になることが出来たんです。機械を直したり、モノづくりしたりはボク昔から得意だったので…」
アクラル『へー。お前そんな特技があったのか!手先が器用なんだな!』
ノルン「クッパ様はボクの腕を見込んで『息子にプレゼントするおもちゃのメンテナンスをしてほしい』と依頼をしてくださいました。ただ、そのおもちゃが大きくて重いので、移動が出来ない代物みたいで…。クッパ軍団はそのほとんどの隊員が素直にクッパ様を慕っていたんですが…。軍隊である以上、彼に反発心を抱くものも少なからずいたそうです。
…自分のせいで部下に怪我をしてもらっては困る。クッパ様はそうお考えだったんでしょう。ボクの護衛に同期のノコノコをつけてもらって、ボクにおもちゃのメンテナンスを依頼してきました」
アシッド「組織にいる以上、上の者の信念に従えない者もいるのは分かる。我が会社もそうだったからね」
サクヤ「もしかしたら本部でもそんな思いを抱いている輩がいるやもしれませんね…」
アシッド「―――まぁ、双方相手が神だと知っているから手出しはしてこないと思うが。ノルン、話を続けてくれないか」
ノルン「はい。ボク達がおもちゃのある部屋に入ってメンテナンスを始めて少し経った頃、ボク達以外に部屋に入ってくる人がいました。誰かは…今でもはっきりと覚えていません。でも、黒い布で顔を隠していたから…クッパ様に邪な考えを抱いていたのはボクでも分かります。
同期が扉を開けた瞬間―――部屋に、松明が1本投げ込まれました」
アクラル『油断も隙もありゃしねえってか。本当ならクッパの野郎を始末したかったんだろうなぁ…』
ノルン「幸い部屋は防火壁でした。クッパ城全体が燃えないと分かったのは安心できたのですが…最初に燃えたものが扉の近くに落ちてしまったせいで、ボク達2匹は部屋に取り残されてしまったんです。どうにかして部屋を出なければどっちも助からない、と脱出する方法を模索していたんですが…。ボクにはその手立てが思い付きませんでした。
その途中。同期が唯一燃えていない小さな箱を見つけました。中は空っぽで、ノコノコ1匹なら中に入って助かるかもしれない大きさでした。そして…同期は言ったんです。『お前が箱に入れ』って。
そんなの嫌でした。入る選択をするってことは…同期を見殺しにするも同然の選択ですから。どうにかして2人で出ようと頑張って説得したんですけど…。その間にも炎は部屋全体を包んでいって。ボク達2人は助からないところまで来ていました」
サクヤ「…………」
ノルン「ボクが炎の中で覚えているのはそこまでです。目を覚ましたら…部屋は真っ黒けで、沢山焦げた物が落ちていて。入れと言われた箱からクッパ様に助け出されている状態でした。……ボクは、悟りました。同期に助けられたんだって」
アシッド「…………」
ノルン「クッパ様にあの後何があったのかを聞いてもはぐらかして答えてくれませんでした。余程ボクに教えたくないみたいで…。
その数日後。クッパ軍団に新しく配属されるって紹介されたのが…あの、現場にいるカロンくんだったんです」
サクヤ「(成程…。まだもやっとしていますが、話は繋がりそうだ)」
ノルンがぽつり、ぽつりと話し始めたのは自らが経験した悲しい記憶。彼はそれを通じて、自分を信じてくれた同期を亡くしていました。出来事から、彼は助からなかったのだろうと察していました。
思い出したくもない辛い記憶。途中からノルンの目からは大粒の涙が流れていました。辛かったろうに。よく話してくれました、とサクヤは彼を抱き留めながら優しくなで続けていました。
アクラル『オメーにも辛いことがあったんだな…』
ノルン「すみません…皆さんに辛い思いをしてほしくて話したんじゃないんです…」
サクヤ「分かっています。…申し訳ありませんが、もう1つだけ。お答えしてはいただけませんか?」
ノルン「なんでしょうか?」
そのもやもやとした推論をハッキリとさせる為、サクヤは意を決してノルンに質問を投げました。
サクヤ「―――同期のお友達のお名前は、何というのですか?」
ノルン「……『カノン』。とっても勇敢で、頼りになるノコノコでした」
サクヤ「(カロンの種族については何も分かりませんが…。彼の言う『同期』とカノンさんは…『同一人物』で間違いなさそうですね)
ありがとうございます。もう大丈夫ですよ」
―――ノルンの同期のノコノコの名前が『カノン』。その名前にサクヤは聞き覚えがありました。OPゲーム前にカロンが名乗った本名。同じ名前。偶然にしても出来過ぎている…。やはり、カノンはノルンに後ろめたい感情があるのだと彼女は結論付けました。
そのまま彼から手を離したと同時に、どたどたとメインサーバに入ってくる人影が見えました。
西谷「話し込んでる途中ですまねえ!サクヤさん、あんたにお客っす!」
サクヤ「緊急でしょうか?入れてください」
やってきたのは西谷。緊急の用事らしく、すぐに客人を部屋に通す様頼みました。入れるように促すと、西谷に押されるようにその『客人』はメインサーバへと足を踏み入れました。
ルイージ「1回目以来だね!お邪魔します!ルイージです」
ヨッシー「ヨッシー!ヨッシー!(こんにちは!ボクヨッシー!)」
アシッド「確か…ルイージにヨッシーだったか。君の兄上はどうしたんだい?」
ルイージ「兄さんはごくそつくん達と『カオス世界一周ツアー』とか言って出掛けてるよ…。っと、そんな雑談をしに来たんじゃないんだ。兄さんから本部のみんなに渡してほしいものがある、って」
やってきたのはルイージとヨッシー。ルイージは1回目以来、ヨッシーはここに来るのは初めてですね。
また愉快で迷惑なことをやらかしている双子の兄はほっといて、その兄から頼まれたものを届けにやって来たようです。
サクヤ「渡してほしいものがある、ですか?」
ルイージ「うん。これなんだけど…。実はボクも中身は分からなくて」
ノルン「白い箱?封もマリオがやったの?」
ヨッシー「ヨッシーヨッシー!(美味しそうな匂いじゃないから食べ物じゃないよ!)」
アシッド「彼のことだから爆発物を仕込んでいる可能性はなかろうな?」
ルイージ「あ、あり得る…けど。ボクにこの箱を渡してきた時の兄さん、珍しく真面目な顔してたんだよね。だから爆弾とかイタズラの類じゃないと思うよ」
サクヤ「開けて貰えますか?」
ルイージが取り出したのは中くらいの大きさの白い箱。用意は全てマリオが行ったようで、ルイージもヨッシーも中身を知りません。好奇心旺盛な配管工のことです、ビリビリグッズなどを仕掛けていても何もおかしくはありません…が、この箱を渡してきた表情などからそれは無いとルイージが断言。
彼に箱を開けることを指示します。それでも恐怖が勝ったのか恐る恐る箱を開けるルイージ。その中には……。
サクヤ「手袋?マリオさんのしているものと同じでしょうか」
ルイージ「メッセージカードも入ってるみたい。読むね。
『なんだか大変なことになっているみたいだね!ボクの手袋が役に立つだろうから貸してあげる!予備が3つしかなかったけど勘弁してね! マリオ』
……マリオ兄さんの手袋?」
ヨッシー「ヨッシー?(意図が読めないよ~!)」
アシッド「……ふむ。あの配管工も粋なことをしてくれるじゃないか」
サクヤ「はい。今後の動向を確定的なものに出来そうです」
西谷「え?どういうことだよ?」
中に入っていたのは白いマリオの手袋。手袋に何の意味があるのだろうと首を傾げる一同でしたが、サクヤとアシッドは『成程』とマリオの行動に称賛の意を表していました。
サクヤ「兄貴。お願いしてもよろしいでしょうか」
アクラル『頼まれた。どした?ミッション関連?』
サクヤ「最後のミッションに役立ちそうなアイテムをマリオさんが貸し出してくれました。他のアイテムも含めて兄貴に転送しますので、エリアに配置してほしいのです」
アシッド「…流石は『スーパースター』と呼ばれる男。魔を退けるこの手袋なら、道化の尻尾もつかめるかもしれん」
アクラル『はーん。成程な。わーった。一応他の面子にも伝えた方がいいか?』
サクヤ「出来ればお願いいたします。結局は逃走者に拾っていただくものですので」
ノルン「マリオの手袋ってそんな効果があったんだね…?」
ルイージ「ボクも初耳だなぁ…」
ヨッシー「ヨッシー」
サクヤは素早く3つの手袋と逃走中に役立つ『他のアイテム』を個別の袋に入れ、アクラルに転送。彼は彼女の意図をしっかりと読み取り、エリアに配置することを約束してくれました。
いやはや、天の声もびっくりですよ。伊達に冒険してないですねあの配管工。
サクヤ「…さて。思わぬ助け舟もありましたが…。ラストスパートまでもう少しというところです。ニアの動向も気になりますが、とりあえずは待機でお願いします」
ルイージ「ボクも今日は打ち上げまで参加する予定だから、手伝えることがあったら言ってね!流石に今からあのエリアに行くのは無理だとおもうから、出来る範囲で、だけど」
ヨッシー「ヨッシー!ヨッシー!(打ち上げの料理楽しみだな~!)」
ノルン「全部独占しちゃダメだからね?」
サクヤ「―――そうだ。ルイージさん、少しお話が…」
一旦話を切り上げ解散することにした一同。ルイージとヨッシーも今回は最後まで手伝ってくれるみたいですね!これは心強い。
…そんな中、サクヤがルイージに先程の話を耳打ち。ルイージはうんうんと話をかみ砕いて理解した後…サクヤにそっと返しました。
ルイージ「サクヤさん。ボクも詳しいわけじゃないから間違ってるかもしれないけど…。
『カロン』って種族は…『この世に未練を残したノコノコ』って説もあるんだって。大丈夫、こう見えてボク口は固い方だからね!安心して」
サクヤ「この世に未練を残したノコノコ、ですか…」
何やらややこしい方向に舵を切りそうですがねぇ、ノルンとカノンの件について。お互いがすれ違っている現状です。
早いところ真実に向き合える日が来るといいですね。
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