二次創作小説(新・総合)

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逃走中#CR05 はじまりの炎と紋章物語【完結】
日時: 2020/09/25 22:01
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: b92MFW9H)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7a/index.cgi?mode=view&no=1440

どうもです、灯焔です。
遂にキリのいい数字を迎えた逃走中#CR05。前回エクラが捕まったり道化師側で大きな動きがありそうだったりと波乱の展開を迎えたコネクトワールド。世界の行方はどうなる…?
今回の舞台は、2回目の舞台『渋谷』があった時代から約5000年後の世界『エデン』が舞台と言われている『セブンスドラゴン』『セブンスドラゴンⅢ』より『学都プレロマ』。数々の木々に生い茂られた廃墟と化した学術都市を舞台に、逃走者達とハンターによる5回目の逃走劇が今、幕を開ける―――!


遂に本格的に動き出したメフィスト率いる道化師達。本部を襲うだけでは飽き足らなかったのか、他の支部で暴動を起こし始めました。そして、本部の面子もメフィストを叩こうと本格的に動き始めます。
そんな中、道化師一味にも何か動きが。前々回から様子がおかしかった『あの人物』の記憶が…?さて、運命はどう転がるのでしょうか。

<ルール>
逃走エリア:『学徒プレロマ』
かつて隆盛を誇った古代文明の研究者である学士たちが集っていた学術都市。
技術力の高さは『エデン』の中でも群を抜いていたが、現在は魔物の巣窟になっており、廃墟と化している。かつてこの地で、13班の意志を継いだ者が『真竜』を退治した伝承が伝えられている。ゲームではドラゴンによって木々が生い茂っていたが、今回は木々が生い茂っている様子は無く、廃墟であること以外は広い逃走エリアだと思っていいだろう。
エリア紹介 >>1




逃走時間:90分

賞金:54万(1秒100円)

ハンター:初期4体(OPゲームで1体起動。ゲーム開始後に3体追加で起動)

自首方法:後程通知にて発表


<参加者>

【逃走中#CR01 成績優秀者】 (3人) 詳細>>2
エーデルガルト=フォン=フレスベルグ
芽兎めう
ミミ

【逃走中#CR02 成績優秀者】 (3人) 詳細>>3
七海千秋
キュベリア
タイマー

【逃走中#CR03 成績優秀者】 (3人) 詳細>>4
アルル・ナジャ
クレア・スチーブンソン
ジャック

【逃走中#CR04 成績優秀者】 (3人) 詳細>>5
天海蘭太郎
クリス
むらびと

【作者枠】 (4人) 詳細>>6
YUMA
ゆめひめ
おろさん
葉月

【作者推薦枠】 (4人) 詳細>>7
サタヌ
左右田和一
霜月凛
イヤミ


計20名


○逃走中#CR06 シード枠争奪アンケート実施中
※締め切りました

○逃走中#CR06 次回参加者募集中!
※締め切りました
次回参加者 >>105
作者枠発表 >>120

※『お手伝い』として参加してくださる方向けの案内※
 版権キャラ応募用紙 >>121 ※9/24(木) 20:00まで



◎AfterBreakTime

 ①『更に集う仲間たち』 >>8
 ②『赤色が抜けた景色』 >>33
 ③『折りに折られぬ心意気』 >>39
 ④『光と開く世界』 >>49
 ⑤『スーパースターは彗星の如く』 >>68
 ⑥『音無町の真実』 >>95-96
 ⑦『打ち上げ』 >>125-126 >>129-131



以上、逃走中#CR 運営本部がお送り致します。

Re: 逃走中#CR05 はじまりの炎と紋章物語 ( No.24 )
日時: 2020/08/08 18:12
名前: ゆめひめ (ID: eVWzcu6j)

ゆめひめです!

Σマジすかーーーーーー!!Σ(°□°;)
OPゲームでまさかの不運コンビが大逆転クリアでまさかのYUMAさん脱落!?初っ端から大波乱じゃないですか・・・!?
こりゃ本戦でも気を抜かないとヤバいことなりそうですね・・・;

にしてもクリス、お前って奴は・・・!あたしとクレアにカードキーを譲ってくれるなんて、どこまでイケメンなんだよ・・・本戦では絶対一緒に逃げ切ろうな・・・!!(`;ω;´)


さて、次回からいよいよ本戦スタート・・・!まずは早期確保ならない様に頑張ります!!

それでは~ノシ

Re: 逃走中#CR05 はじまりの炎と紋章物語 ( No.25 )
日時: 2020/08/08 22:03
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: dSN9v.nR)

どうもです。灯焔です。
本日からゲーム本編開始します。いつもに増して難易度の高い逃走中。どうにか逃走成功者が出てくれればいいのですが。健闘を祈ります。



>>YUMA 様

どうもです。コメントありがとうございます。
残念ながら脱落となってしまいました…。OPゲームの性質上必ず1人リタイアしてしまうんですよね。こうなったらリクエスト枠のサタヌが逃走成功してくれることを祈りましょう。

今回は物語も大きく動く節目の逃走中。どうなることやらです。お楽しみに。



>>おろさん 様

どうもです。コメントありがとうございます。
2大会連続で作者陣初っ端確保です。流石に次回は無いと信じたいです。
マリメ2でもいましたもんね!カートでもテニスでも酷い目にあったので印象強いです。かわいいのはパーティの時だけです。

今回は物語も大きく動く節目の逃走中。おそ松もエクラもどうなってしまうんでしょうね。お楽しみに!



>>ゆめひめ 様

どうもです。コメントありがとうございます。
マジです。大方の皆様の予想を外し、まさかのYUMA様が最初の脱落者となってしまいました。いつも以上に何が起こるか分からない逃走中。気を抜かないで頑張ってください。
うちのクリスは元々そういう奴ですからね。自分を知ってくれている人には積極的に協力するタイプです。本編でも頼りになると思いますよ!

早期確保にならないよう頑張ってください!応援しています。

Re: 逃走中#CR05 はじまりの炎と紋章物語 ( No.26 )
日時: 2020/08/08 22:10
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: dSN9v.nR)

【89:37】





~東地区 図書施設付近~





凛「…ここは。書庫に近いのかしら。廃墟と化してはいるけれど、ほんのり木の香りが残っているわ」



そう言いながらエリアを歩いているのは凛。今回おろさんのリクエストで共に参戦することとなった逃走者の1人です。
古本屋の娘の血が騒ぐのか、やはり気になるのは図書施設があったエリア。OPゲームを突破してからも真っ先にこちらにたむろっていましたね。



凛「そう。思った通り、ここのエリアには書物が置いてあったのね。やけに気分が落ち着くと思ったら…。ここならはんこ屋も来ないだろうし、落ち着いて逃走劇の破滅を見守ることが出来そうだわ」



…どこもかしこも廃墟です。古本屋の娘ですらやっと見つけられたような雰囲気の場所、果たしてあのじゃじゃ馬娘が気にして通らないなんてことはあるのでしょうか。
あったら困るようです。凛はしかめっ面。



凛「彼女に捕まっては一緒に行動することを強いられるわ…。どうにかして回避しないと…」



そんなことを考える彼女の近くに人影が。その正体は―――





































めう『りんりんせんせー、発見めうーーー!!!今日という今日は一緒に逃走中をずばばーんってするなりよーーー!!!かーーくごーー!!!』

凛「噂をすればはんこ屋…!これならハンターに見つかった方がマシだったわ…。ここは逃げるしかないわね!」

めう『こらーーーー!!!めうはハンターじゃないなりよりんりんせんせーーー!!!さっさとお縄につくめうーーー!!!』



…全速力で走ってきたのはめう。凛と一緒に逃げたいって最初から豪語してましたからね彼女。めうがこちらに追ってくることを素早く感知し彼女から逃げるようにその場を立ち去りました。
―――凛にとっては、ハンターよりもめうの方が厄介そうです。








【87:13】





~北西地区 北地区方面通路~





ミミ「いやー!ジャックがさっさとOPゲームクリアしたからどうしようかって焦ったよ。でも何とか合流できてよかった!」

ジャック「いや。お前の身体能力ならクリアなんて余裕だったろ。俺を捕まえるくらいなんだからな」

ミミ「そんな、大げさだよー!わたしジャックなんて捕まえられないもーん!」

ニャミ『そうだそうだ!ジャックは失礼だなー!』

ジャック「じゃあなんで俺は毎回フィッティングルームから逃げ出す必要があるんだ…?」

ミミ「お洋服が嫌いなの?」

ジャック「お前達が暗殺者ばりの動きで俺を捕まえようと動いてくるからだよ!!!自覚しろ!!!」



何を言い争っているんですか。北地区にほど近い通路では、タイマーと別れたミミがジャックと合流していました。OPゲームの方向性的にジャックには滅茶苦茶適正ありましたからね。
すっとぼけるミミニャミにジャックが感情的にツッコミを入れます。こんな感情的になる彼も『自我』を持ったからなんでしょうか。何だか子の成長を見ているようで感動します。



ジャック「気持ち悪い事言うんじゃねえ天の声。神にも上司にも同じこと言われたぞ」

ミミ「保護者ムーブはありがたいけどさー。ちょっとお節介なところもあるよねあの2人。今回の逃走中は『わたし達はやれるんだ!』ってところ見せなくっちゃね!」

ジャック「お前はそれでいいと思うが、俺には別の目的もあるからな。逃走中のゲームの中ではお前の守護関係なしにライバルとして接する。お前もそのつもりでいてくれ」

ニャミ『なになに~?まさか惚れた女を盾にして逃げようっての~?ジャックってば子供ー!』

ジャック「オイコラ聞こえてんだよ!!それにミミを盾にするつもりなんか端からねえよ!!!その…一応…友達、だしな」

ミミ「友達だなんて~。当然じゃ~ん。ってニャミちゃん!惚れた女ってなによーーー!!」

ニャミ『あたしは事実を言っただけでーす!それじゃ頑張ってね2人共!あたしここから応援してるから!』



ニャミの通信にも一々ツッコミを入れて、お疲れ様です。一息ついたところで、ミミがちらりと向こうの暗闇を見てジャックに問いました。
まるで吸い込まれてしまいそうな暗闇。向こうは見えませんが、エリアの一部を覆っているみたいですね。



ミミ「ねぇジャック。あの暗闇なんだろう?エリアを一部覆ってるみたいに見えるんだけど…」

ジャック「あぁ、触るなよ。あの暗闇から上司と同じ魔力を感じる。十中八九魔族、もしくは道化師が絡んでやがる。普通の一般人が手を触れたらただじゃ済まねえぞ」

ミミ「あ、そっか。ってことは…あの中にエクラさんが捕まっている可能性が高いんだよね」

ジャック「そうだな…。あの薄気味悪い運営本部の連中が何の企みもせず『ここで逃走中をします』なんて言い出すわけがない。逃走中の中に大きな計画を練り込んでいる可能性は充分ある」

ミミ「うわっ。ってことはわたし達にも被害が及ぶのかなー…。避けるのは全然構わないけど、戦闘とかは期待しないでね?戦えないし…」

ジャック「そこまではさせねえよ、多分。本部の連中も横目にちらちら見えてんだ。あっちはあっちで大胆に何かするんだろ。俺達がそこまで考える必要はないと思うぞ。…多分、障壁のことも時間が経てば連中が動くだろ。それまでは…単に立ち入りできないエリアと考えた方が良さそうだな」

ミミ「うん。一応暗闇に手を突っ込む好奇心旺盛な人がいるかもしれないから、ジャックの忠告皆にメールで送っておくね!」

ジャック「そうしてもらえると助かる。…こんなの俺でも分かるんだから通知で忠告くらいしてくれてもいいんじゃないかとは思うんだがな」



暗闇を見てジャックは眉間にしわを寄せました。気に入らない上司と同じ魔力の波長。彼はそれを作りだしているのが、十中八九『魔族』や『道化師』の類だと見抜いていました。
危険だから触れない方がいいと忠告をする彼。ミミは素直に受け入れ、不用意に触ろうとする逃走者にけん制する為にミミは早速スマホを取り出し、全体にメールを送信しました。
それにしても一部のエリアを覆う程の暗闇、だなんて…。気味が悪いですね。



ジャック「当たり前だ。あんな闇にまみれた魔力、二度と味わいたくない」

ミミ「ヴィルさんの魔力で動いていた時もそうだったの?」

ジャック「そう…だったんだが。『ある時』を境目にその気持ち悪い感覚が一気に減ってな。…多分、あの神が上司とお前らを引き合わせてからだったと思う。―――だから、ある意味俺はお前達に感謝もしているんだ」

ミミ「なによ改まって~。…でも、感情が無かったヴィルさんがちょっとずつわたし達に気持ちを見せてくれるようになったのは、すっごく嬉しかったな!MZDのやったこと、結果的に良い方向に向かったんだよね!」

ジャック「どうだかな!…だが、あの魔力。―――ん?」

ミミ「あれ?またしわ寄せて。どうしたの?」

ジャック「……『魔力の波長が変わった』…?」

ミミ「???」




さてさて、一部のエリアには侵入できないみたいですねぇ。ミミのメールは既に全員に送信されており、不用意に近づかない様にとのお達しは済んでいます。
早速次回!エクラの様子を見ましょう。そして、ミッション①スタート!

運営本部の進捗 ① ( No.27 )
日時: 2020/08/09 22:00
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: dSN9v.nR)

―――これは、遠い遠い『どこか』の記憶。
誰にも告げられなかった、負け犬の、儚き記憶。

------------------------



『ロキ!トール!何故こんなことをするんだ!君達にアスク王国を襲う意味が僕には分からない!!』
『兄上!下がってください!これ以上前に出てはお怪我をしてしまいます!!』



 アスク王国。聞いたこともある人間もいるだろう。『異界の扉』を開く力を持った国家。王族には代々『開ける力』と呼ばれる血が流れており、アスク王家の者はその開ける力を用い、様々な異界から英雄に助けを求め、日々エンブラとの戦いの日々を過ごしていた。
 …しかし。突如その日常は崩れ去った。『神』と呼ばれる存在…。名を『ロキ』『トール』と言う。彼女達が呼び出した、また別の異界の英雄達…。そして、『虚像』と呼ばれる英雄を形作った偽りの人形をアスク王国へと侵攻させたのだ。
 英雄達は抗った。しかし、無駄だった。神の軍勢は衰えを知らず、そしてアスク王国が所有する軍…英雄達を加えても圧倒的な数の戦力差だった。異界の英雄達はその身を神との戦いに捧げ、そして1人、また1人と散って行った。戦うことの出来ない私は、ただそれを見守っていることしかできなかった。
 思わず手を握ると、ぎゅう、と手袋の擦れる音が耳に入ってきた。悔しいのだろう。次々と消えていく英雄達を見守るだけしか出来ないなんて。自分が呼び寄せられる英雄にも限りがある。それでも、自分とアルフォンスが倒れてしまったらこの戦いは負ける。皆、そう心に誓っていた。
 
 
 それが、それが。『召喚士』としての私の役目だから。



『大丈夫ですか、エクラさん。…悔しいですよね。私も悔しいです!でも大丈夫ですよ!残っている英雄さん達は歴史に名を残す人達ばかりなんですよ?エクラさんもよーく知っていますよね?』
『でも、分はかなり悪いわよ。敵軍の『圧倒的な』数。そして、彼女達が動かしている、わたし達によく似た人間…『虚像』だったかしら。彼らには心がないわ。だから、私達が倒しても、いくらでも向かってくる。策を今から練り直すにしても時間がないわ!』
『君達は僕達の王国に何がしたいんだ?!『開く力』だけでは何もできない!それも分かっているだろう!!』



 アルフォンスが目の前に立っている女に向かって叫ぶ。そう言われてわざとらしく困った顔をしたその女は、感情を込めた言葉でこう私達に言い返してきた。



『人聞きの悪いことを言わないで頂戴。何も私達は自分の意志でこんなことをやっているんじゃないの。これも…『あのお方』。神様が決めたことなのよ?』
『神様って私達人間を守るためにいるんじゃないんですか?!こんなのあんまりじゃないですか!!異界の英雄さん達まで犠牲にして!!』
『『この世界は守るに値しない』。そうあのお方が判断しただけだ。抗うだけ無駄だ。……素直にその身を滅ぼした方がお前達も楽なのではないか?』



 ふ、と隣にいる白い服の女性が笑ったかと思うと、その手に持っている斧を天に掲げた。その、瞬間。自分を元気付けていた仲間、そして作戦を練っていた赤髪の仲間が一瞬にして倒れた。思わず駆け寄り身体を揺らしてみるが、反応はない。奪われたのだ。神に。大切な仲間を。『親友』だと言ってくれた友を。何が起こったのか分からなかったのか、混乱した表情のまま瞳を閉ざしていた。その眼からは涙が流れていた。



『シャロン!!アンナ隊長!!……ぐぁぁあぁあぁっ!!!』
『アルフォンス!!』
『大丈夫…僕だけでも…生き残ってみせる……ッ!!!必ずッ……エクラは守り通す……!!』



 目の前で剣を構えていた青年―――アルフォンスの身にも電撃が襲い掛かっていた。そのダメージは計り知れないだろう。現にシャロンとアンナが一瞬で息絶えたのだから。それでも、彼は倒れるわけにはいかなかったのだ。ここで倒れたら―――今まで戦ってくれた英雄達に申し訳が立たない。最後の砦は自分なのだ。エクラだけは守り通す。そう彼は口にしていた。



『エクラ……。君だけは……逃げてでも生きるんだ……っ。君が、倒れたら…何もかも、終わってしまう……!!』
『それはアルフォンスの方よ!貴方が倒れたらアスク王国はどうなるの?!』
『この状態だと……エンブラも……既にやられているんだと思う……。もう、『閉ざす力』を使える者は……誰も、いないよ……。開けても閉めることが出来なかったら、意味が……ないだろ……?
 でも、君は、違う。君は……異界から飛ばされてきたんだから……逃げれば……何とかなる。君のいた世界にも帰れるかも……しれないよ?だから、君だけは絶対に死なせない……!!』



 そう、独り言のように呟くアルフォンス。既に服もボロボロで、いつ息絶えてもおかしくない程に肩を揺らして息をしていた。最早気力だけで立っているようなものだ。
 ―――決意を固めたかのように、彼は剣を持ち直す。そして……。





『うおおおおおおおおおっ!!!!!』





 目の前の、神に、斬りかかった。


 だけど、その抗いも全くの無意味で。自分を守ってくれようとした青年は、稲妻に散った。悲鳴が鳴り響く。聞きたくなかった。だから必死に耳を塞いだ。目を背けた。
 友の死を目の当たりにしたくなかったから。友の苦しむ声を聴きたくなかったから。私は全てから逃げた。目の前の全部から。ぜんぶから。ぜんぶから…。



------------------------






















エクラ「――――――!!」



 …はっとして目を覚ますエクラ。攫われたことまでは覚えていましたが、その後の記憶がありません。そして、随分と苦しい記憶を夢として見ていたことに気付き。彼女はその整った顔の眉を下げたのでした。



エクラ「どうして、今更あの記憶を…。彼らはもういない。アスク王国はもう滅びて『別の世界』に生まれ変わったのに…」



 眉をひそめながらそんなことをぽつり、と呟きます。1人取り残されているのか、帰ってくる声はありません。
 しかし、そんなことを考えていても仕方がありません。ここから早く逃げなければ、と動こうとします。ですが…その場から動くことが出来ませんでした。自分の身に何が起こっているのか確認しようとしても、身体をひねることが出来ません。手も動かすことが出来ないと自覚し、『自分は何かに縛り付けられているのだ』と思い至りました。

 諦めて抵抗を止めたと同時にこちらに近付いてくる足音が。その方向を向いてみると、そこには紫の髪をした派手な衣装の道化師―――『べリア』が立っていました。



べリア「お目覚めのようネ」

エクラ「…えぇ。最悪の目覚めだけれど」

べリア「それにしてもアンタも災難ヨネ。メフィストさまの『実験』の生贄に選ばれてしまうナンテ」

エクラ「『実験』?どういうことなの?」

べリア「サァ?アタシはあのお方が『神を邪神にする実験をする』と言っていたのしか聞いていないカラ。ここに来たのもあのお方の命じゃない。気まぐれヨ。だから何もするつもりはないワ」

エクラ「そ、そう…。神を邪神にする、だなんて。なんて悍ましい」

べリア「そうカシラ?アタシにとっては『人間を神にしたり』、『人間を魔族にしたり』するのも同じコトだと思ってるケド?」



 どうやらべリアはメフィストに命じられて監視をしに来たわけではないようです。自分を襲う気がないと分かり、肩の荷を下ろすエクラ。そんな彼女を横目で退屈そうに見たべリアは、ふとこんなことを彼女に口走るのでした。



べリア「なーんか、さっきアタシが言ったコトバがやけに引っかかってたみたいダケドー。もしかしてアンタも『人間から神になった』クチのニンゲンなワケ?あのサングラスのオコサマはそうみたいだケド」

エクラ「…そう、ね。私も、彼と同じ。神にされる前は人間だった。神に仲間を滅ぼされたの。…得体のしれない場所から飛ばされてきた私を、受け入れてくれた。そんな大切な仲間達を…神は、いとも簡単に滅ぼしたの」

べリア「フーン。アンタも大変ナノネ。同情はしないケド。…あ、そう言えばメフィストさまあの後もう1つ言ってたワネ。『この実験が成功すれば神々の世界を襲撃する1つの糧になる』ッテ」

エクラ「『神々の世界を襲撃する1つの糧』?彼は何を考えているの?…もしかして、その為に『JOKER』や『永久』を狙っていたのですか?」



 ふと、べリアは思い出したようにメフィストの言葉を続けます。『この実験が成功すれば、神々の世界を襲撃する1つの糧になる』と。彼、そんなことも考えていたんですね。まぁ最終目標が『神と人間を滅ぼす』ことですから、言っていることにはなんの矛盾もなさそうですが。エクラには彼女の言葉がどこか引っかかっていました。
 襲って来ないならば話も出来るはず、そう信じ、エクラはべリアに問いをぶつけます。すると、彼女は少し考えた後にこう返してきました。



べリア「詳しいコトはアタシも…っていうか、ベリトもタナトスも知らないハズヨ?でも…メフィストさまが力を欲しがっている。具体的にいえば…『JOKER』になりたがっているのだけはわかるワ。
    …最近、アタシはそれが怖いノ。JOKERの使用する『永久』の力が、どれだけ恐ろしい力なのかを身を以て知っても、それを欲しがる彼が、ネ」

エクラ「…………」




 ―――エクラとべリア。境遇は違っても、似た者同士なのかもしれませんね。


------------------------

進捗が一旦切り替わると共に、エリアに『通報部隊』が出現した!



サクヤ「まずは道化師の動きを捉える為『道化師型の通報部隊』を設置しましょう。ある程度分かれば大丈夫なので、消滅は逃走者の皆様におまかせということで」

アクラル「今回のミッション、難しめだからなー。頑張れよお前ら!!」

ノルン「これが『ミッション』かぁ…!生で見るのは初めてだよ、楽しみだなぁ!…そういうことじゃないんだよね。ごめんなさい…」

Re: 逃走中#CR05 はじまりの炎と紋章物語 ( No.28 )
日時: 2020/08/09 22:04
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: dSN9v.nR)

【85:00】








ピリリ ピリリ








アルル「わっとっと!えーっと…。あ、ミッションだ!」

エーデル「『これより、エリア内に『道化師の格好をした通報部隊』を3体設置する。通報部隊は逃走者を見つけ次第逃走者の方向に向かい音を鳴らし、ハンターを呼び寄せる。』 これが普通の通報部隊ならば見分けがついたのだけれど。このエリアには確か道化師が集まっているのよね?間違って通報部隊に近付いてしまえば終わりだわ」

天海「『それを回避するためには、残り時間75分までにエリア内に6箇所設置されている『通報部隊撃退用のレバー』を全て下ろさなくてはならない。』 成程。どこかにあるレバーを下ろせば、通報部隊は消滅するんですね」

左右田「『レバーが2箇所下ろされるごとに通報部隊を1体消滅させることが出来る。』 6箇所で3体じゃなくて、2箇所で1体ずつなのはまだ幸いだよな。でもなー。ソニアさんいないからなー」

おろさん「通報部隊って後々に響いてくるよね?絶対に全部退散させないと…!」

タイマー「危険は今のうちに摘んでおく、ってね!勿論行きますとも!だけど、道化師と通報部隊の見分けがつきにくいのは厄介だね。気を付けて動かないと…」





 やって参りましたよ#CR05最初のミッション!
 なんと。エリアの中に『道化師姿の通報部隊』が3体紛れ込んでいるというのです。見つかってしまったが最後、音を鳴らしてハンターに場所を知らせます。ハンターがそれに気付いてしまえば後の祭り。逃走成功は水の泡となってしまいます。
 それを回避する為には、エリア内のどこかに6箇所設置された『通報部隊撃退用のレバー』を75分までに下ろし、通報部隊を全員消滅させなければなりません。
 ただし!3体一気に消滅するのではなく、『2体レバーが下がるごとに1体通報部隊が消滅』です。そこは運営本部の温情という奴なのですかね。
 残り時間的にも通報部隊を放置してしまうと後々厄介なことになるのは分かっています。ここは意地でも通報部隊を消滅させたいところですが…。





ミッション① 『通報部隊を消滅させよ!』
残り時間85分を経過すると、エリア内に道化師の格好をした通報部隊が3体追加される。通報部隊は逃走者を見つけ次第逃走者の方向に向かい音を鳴らし、ハンターを呼び寄せる。それを回避するためには、残り時間75分までにエリア内に6箇所設置されている『通報部隊撃退用のレバー』を全て下ろさなくてはならない。レバーが2箇所下ろされるごとに通報部隊を1体消滅させることが出来る。





クリス「勿論参加する。みんなの脅威になるものなら猶更だ!」

ゆめひめ「大いなる光の作者としてこれは見逃せないね!参加するよ!」

エーデル「後々の脅威は今取り除いておくべきよ。勿論参加するわ」



 ミッションへ参加する逃走者…。





凛「はんこ屋に付きまとわれるのだけは嫌よ…。動いたら何をされるか分からないわ。参加は辞退するわ…。それに、通報部隊で何人滅ぶかの方が興味があるの」

サタヌ「くだらん。通報部隊とやらを消滅させなくとも変わらんだろう」

イヤミ「ミーザンスか?そんな~。自分から見つかりに行くような恥ずかしい真似はしないザンスよ!隠れて他の奴らがミッションをクリアしてくれるのを待つザンス!」



 ミッションへ参加しない逃走者…。





キュベリア「すぴー……。すぴー……。むにゃむにゃ」



 もう爆睡してら。









【84:58】





~中央広場 枯れた噴水前~





クレア「通報部隊が3体も!音を鳴らされると辛いです!列車の脅威も早めに取り除かないとお客様に迷惑がかかりますからね!参加しますよ!」



 ルーントレインを熱弁する絶対鉄道少女、クレア。正義感の強い彼女はもちろん参加を決意。まぁ、後々体力のない参加者や足が遅い参加者を助けることにも繋がりますからね。



クレア「はい!…ですが、見たところこのエリアにはレバーらしきものはないようです。他のエリアに移動した方がいいですよね」



 そう言いながらきょろきょろと辺りを見回す彼女。確かに中央広場にはそれらしき装置はありません。『6つある』のですから、なにか共通事項がありそうですが。



クレア「そうですよねー…。あの運営本部の皆さんがバラバラに設置するなんて考えられませんし。移動してから考えてもいいですよね!」



 そう言いながら歩き出した彼女。そんな健気な少女に、『魔の手』は襲い掛かる―――。





































通報部隊A『…………!!』

クレア「あ、あれ?道化師さんが近づいてくる……って、まさか通報部隊ですか?!」



 通報部隊の1人がクレアを視界に捉え、首に下がっている笛で居場所を知らせます!



通報部隊A『!!!』(ピーっ!!ピーっ!!)

クレア「列車の中で大きな音を出すのは他のお客様にご迷惑なのでおやめくださーい!!」



 ルーントレインに例えている場合ですか?!通報部隊の笛の音は意外にも大きく、エリア全体に響き渡ります。あぁ、これは長引けばハンターに見つかりま……











































ハンターGH「…………!!」





ダッダッダッダッダ!!!!!





ROCK ON【CLAIRE STEVENSON】





ピーーーーーーーーーーーー





クレア「うわぁーーーー!!!きましたぁーーーー!!!」



 音にハンターが反応しクレアを補足!彼女もハンターに気付き逃げ出しますが一瞬反応が遅れ、ハンターに追跡を許してしまいます!
 何とか次のエリアで撒こうと一生懸命走りましたが、ハンターに追い付かれてしまい……。









ポンッ







【84:03】
クレア・スチーブンソン 確保 残り18名





クレア「通報部隊さんにしてやられました…」



通報部隊の脅威をこれでもかと味わったクレア。呆気ない確保となってしまいました…。








ピリリ ピリリ








ジャック「通知か。『クレア・スチーブンソン 通報部隊の通報により確保 残り18名』 もう動き出してるのかよ?!」

めう「白猫勢唯一の希望がッ…!こんなに速く散るだなんて。あーめう。あーだめう」

むらびと「(クレアのことは残念そうにしながらもレバーがありそうな場所まで走る)」




 今回の参加者は皆、過去の大会で成果を出した実力者ばかり。しかし、ハンターは待ってはくれません。彼らの魔の手は確実に逃走者を追い詰めるのです。
 通報部隊を早く何とかしないとどんどん通報されてしまうかもしれません!早めの消滅、これ大事です!


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