コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 琥珀ノ末裔 *忘れられた日*
- 日時: 2014/04/09 15:52
- 名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)
- 参照: 14*5*13*10*11*4*10*10*10*2 外伝3
水晶玉の中で きらきらと燃える 琥珀石
そばで紅焔の炎をあげる、蝋燭
夕闇で光る 揺れる瞳
かつて向けられた周りの冷たい双眸
「……昨日、母を殺した」
その言葉に、そいつは 凍りついたようになった。
窓の外で 星が光る
「あたしの記憶は、もう混沌してない…!!あたしにもう、おまえは要らない…」
そいつは目を見開いた。
「おまえ——もしや、陰陽師なのか?!」
———————————
作者挨拶 >>93
企画*今週ビックアップ説明* >>111
登場人物・小説用語
第一章>>152
*ボツ文*
>>142
————————————————————
プロローグ 未来風 >>2
φ第一章φ 甦る末裔
第一話【遥か先の予】 第二話【夢のまた記】
*陰陽道は白い >>3 *空っぽな心に >>31
*琥珀ノチカラ >>4 *世界が消えた >>32
*眠る力を握り >>13 *記憶の花咲く >>34
*明るい陽少女 >>14 *明日のあさに >>35-36
*憧れと苦しみ >>15
*予言の始まり >>16
*遥か先を求め >>17
*陽だまりの想 >>19
*誰も知らない >>24
*静けさと大嵐 >>26
*暗闇の独り縛 >>27
*黒に代わる陰 >>28-29
*渦を巻く予言 >>30
第三話【望み無き日】 第四話【君が居れば】
*忘れられた記 >>37 *謎の影人と星 >>55
*消えなき事実 >>38 *夜を斬る結界 >>56
*羽ばたく光り >>41 *五つの空の下 >>57
*朱き力と使命 >>42 *聖なる異世界 >>58
*嬉しくて苦く >>43 *空飛ぶてがみ >>60-61
*諦めたくない >>44 *一つとなる絆 >>62
*静まる雪崩れ >>46 *一瞥された黒 >>63-64
*思ひを捨てて >>47 *動き出す歯車 >>67
*刻まれた迷宮 >>48
*変わり始めの >>49
*滅ぼされた火 >>50
*残された言葉 >>51
*闇を運ぶ手紙 >>52
第五話【罠に躓く人】 第六話【闇術の刻印】
*偽りの狭間で >>70 *さらなる悲劇 >>85
*助けての意味 >>71 *死を求めし霊 >>86
*時と刻と閃き >>73 *古き日は哀く >>89
*揺れるおもい >>74 *姿を闇に化し >>90
*独りに慣れて >>75
*大理石の螺旋 >>76
*闇をはこぶ扉 >>77
*毒を射す事件 >>78
*混沌する記憶 >>80
*曲がらぬ呪文 >>81
*苦痛のイズミ >>83
第七話【現れた幻影】 第八話【聖なる闇夜】
*記憶は忌しく >>91 *心を悼める者 >>114
*忘れられた涙 >>92 *躍り出る仲間 >>116
*今を惑わす者 >>96 *孤独の闇迷宮 >>117
*白と黒を翻し >>102 *怖くて寂くて >>118
*真実と誠と影 >>104 *時刻よ止まれ >>119
*君がくれた想 >>105 *温もりが消て >>120
*無力過ぎた力 >>107 *白い鳥の報せ >>121
*星をかぞえて >>108 *何処が良いの >>122
*明日は黒闇に >>109 *修行と落胆に >>123
*何かが揺れて >>110 *独りじゃない >>124
第九話【君と居たい】 第十話【煌めく明日】
*雪模様の変化 >>126 *嘘と偽りの壁 >>145
*恋は思案の外 >>127 *弾けたヒカリ >>147
*解かれた封印 >>133
*花が咲いたら >>134
*叶わぬノゾミ >>136
*舞い降りた姫 >>137
*金色の思いれ >>139
*記憶の底の夢 >>140
*夕闇に沈む涙 >>141
*未来への願い >>143
〜外伝〜 *運命の螺旋*
琥珀ノ夢囚物語 >>100
瑪瑙ノ夢囚物語 >>113
姫織ノ夢囚物語 >>138
φ第二章φ 弾けた末裔
第一話【…みてい…】第二話【…みてい…】
現在の一話ごとの話の数は URLに乗っています。
この一覧はたびたび更新されます。
この一覧に乗っていなくても 更新されていたりします。
————————
(*・ω・)ノ●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●〇●
今週のビックアップ(説明>>111)
第9話 >>141の一部から引用
【双眸】byアサギ 瑠璃ノ樹ギルド 陰陽師
みんな そんなふうに 思っていたの?
あたしのこと、邪魔だって。
あたしに言うと 困ることが起きるの?
あたしは知らなくていいことなのかな。
あたし 嫌われていた
笑顔を向けられていたけど あれは偽りのもので
本当は 嫌われていた?
自分が信頼していた分 悲しすぎた
(*・ω・)ノ●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●〇●
□おしらせ□
*2013.12/9 執筆開始
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- Re: 琥珀ノ末裔 *忘れられた日* ( No.48 )
- 日時: 2013/12/28 11:11
- 名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: qdhAso1A)
「78番 紫咲ノ幻影ギルド 79番 邑崎海ギルドの方は待機をお願いします。」
アナウンスを背に、ハルカは
さらりと、式神に引っ付いている半紙を取りだし、ささっと半紙に★を書く。
その中に点を描いて丸で括る。
その下に縦に「御神剣」と書く。
その右横に縦に漢数字で12345と、左横に678910と書く。
東西南北に各一礼して水を軽く3本の指(親・人・中)に付けて撒く。
部屋の中心にさっき書いた半紙を置く。
ショップの式神を乗せてその上に、漆之宝石椀という、漆の宝石で出来た食器を乗せる。
ハルカのお母さん譲りのものだという。相当自信があるのだ。
「宿りし者の力と念を、わが元においてこのの元へと移す。天霊霊地霊霊十二神将急急如律令。我が力に従いて、その力、ここに聞こし召し給え 急急如律令」
そういうと、ハルカは、一礼した。
と、ぱあっと紫の光が飛び出す。
式神は役目を果たし、立派にハルカに効果を果たした。
(ハルカ様・・できないとおっしゃっていたのに。すごいです!)
と、丁度出てきたミコトからの心言も届いた。
「…うむ。次、来い。」
と、一人の兵士が、獣を連れてやってきた。
(ん?カイの時は、こんな検査なかったぞ)
「こやつは魔獣だ。結構力があるぞ。急急如律令の呪文で倒してみよ」
ハルカは 一応 獣を倒す力を身に着けてはいたが、魔獣は別物。
と、カチャリ
音がして、魔獣が入っていた牢屋の鍵が開けられ
バ———ンッ!!
牢屋に体当たりをした魔獣は相当の強さだった。
(くっ…)
「急急如律令 『縛』」
縛めと混沌
この二つをミコトの技では使っていて、それをわざわざ家庭教師に教えてもらった。
縛めは、魔獣を絞り上げた。
「キキシャ——!!!」
鳴き声を上げる魔獣に、さらに呪符が攻撃を加えた。
「急急如律令 『影』」
さらなる攻撃をしかけようとするが、ハルカが一瞬気を緩めただけで。
「キシャ——ッ!!」
ハルカ目掛けて魔獣が攻撃をしてくる。
目と鼻の先に 魔獣が迫り、もうだめだ。と目をつむった時
ドンッ
「キシャ———ッ!!」
魔獣がハルカを押し倒し、尖った爪、尖った歯で ハルカをかみ砕こうとしていた。
(急急如律令 『燭』)
どこからか心言が聞こえてきた。———ミコトだ。
その瞬間 赤い煙を放って、魔獣が呻く。
「急急如律令 『突』」
魔獣は瞬くまに黒い靄となり霧散した。
「お見事。だが、仲間が手出しするとは———…。」
と、ミコトを睨みつけた。
(やっぱりミコトが助けてくれたんだ)
「まあいいだろう。おまえに居座った、仲間思いと慕われぶり、清き心を持つのはとても良いことだろう。ミクハに、あちらで表彰してもらいなさい。」
「あ、ありがとうございます。」
「ではミコト。」
と、クララギがミコトを呼んだ。
「はい。」
ぼうっとしていると、ミクハが呼んだ。
「行きましょう。」
「あ、はい」
…。
ハルカは背が小さいから、背伸びしてもミクハやカイに届かない。
べつに、カイは普通の身長なのだが・・・。
しかたない、六年生だ。まだ伸びる!と理解しようと頑張っているハルカである。
ハルカの誕生日は3月31日。
同じ六年生に入るのは4月1日までの人。
だから、ハルカは本当に最後なわけではない——のだけど。
「ハルカだな。」
と、いろいろな書類から、ひとつのものを取り出し、その人は行った。
「貴殿は、陰陽道認定冬至にて、優秀な成績を収められたため、陰陽道ランク、銀河5(マイナス)級に進級することを認める。 クララギ(蔵良義)」
「どうぞ」
「ありがとうございます。」
賞状、作るの早いね・・・って、すごくない?!
ハルカは新進気鋭の4段から一騎に進級 銀河5級までに、ふたりを追いかけたのだ。
ちょっと心が躍る。今にも叫びたい。
賞状と、証である札を渡してきた。
るり色で、銀色の星が5つある。そして、銀河と書かれている。
これは前にももらっていた。
前は 金色の星4つで 新進気鋭と書かれていた。
「で、これも。」
と渡されたのは、正装ににあう、るり色の素敵な髪飾りだ。
「それは、陰陽道ランク上級になったことを示すのだ。」
「ありがとうございます。」
と、ハルカは一礼し、ミクハに別れを告げて、講堂へ戻った。
もっと気がかりなのは、カイのランクとミコトのランク
あとで教えてもらわなくては。
胸を躍らせて 部屋へ戻った。
- Re: 琥珀ノ末裔 *忘れられた日* ( No.49 )
- 日時: 2013/12/28 11:10
- 名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: qdhAso1A)
土曜日ぐらいゆっくりしたっていいじゃんか〜…
昨日のせいで式神効果は出るしさー…いいことなしだしさー
なんておもいつつ・・・。
結局昨日、カイとはしゃべれなかった。夕飯の時も無口だったし…何だろう?
ミコトについては
「ランク格下げです。こんなの前代未聞ですって。しかも覚醒8級にですよ〜。」
でも心なしか嬉しそうだった。
何でだろう?それはわからない。
「あ、でも、前どんなランクかは覚えてないんですよ。」
と、ミコトが言った。
何でだろう。クララギのしわざ、、、であることは確かである。
——まして、しわざ ともいえないのだが
ウララノが言った通りだ。
ミコトの今の霊力は 銀河初段だと言った。
本当の霊力は高いというのに。
「そっか。」
「ハルカ様は?」
「あたし?…。ええっと、銀河4(−)級、かな。」
と言うと、同じく銀河4級でも −0、5なんだとか。どうでもいいから4級っていうコトにしている。
「すごいです!新進気鋭4段から…一騎に、ですね。」
とにっこり笑う。
そうですぉ〜。でもちょっと嘘ついて0,5マイナスなことを伝えてませんが。
えーー…。
人のランクは覚えているのに自分の前のランクを覚えていないって いったい…
あれもこれも絶対クララギの仕業だよ〜!!
ピンポンパンポーン
軽快なメロディーが天井からふってくる。
「カイさん、ハルカさんはクララギ様のお部屋へお願いします。もう一度繰り返します カイさん・・」
「ほら ハルカ様、行ってください。」
と言われ、瓶覗の部屋から追い出され、クララギの部屋へふらふらと移動した。
——
「失礼します」
とハルカが顔をのぞかせると カイはもう来ていた。
「では、話をさせてもらう。ミコトについてだ。」
「はあ」
ハルカがうなずいた。
「今回の診断で、カイが銀河3級、ハルカは4級、ミコトは格下げし覚醒8級」
カイが、ハルカを向いて目を瞠った。
(…カイ?)
カイのランクはほとんど上がらなかった?…
そんなわけない。
だって 今まで以上に勉強してたし、ハルカよりも優秀だって何度も思わせられたのに。
やはり後で訊こうと思いつつ クララギの話に耳を傾けた。
「ミコトが、今回扱った 幻術魔を退治する検査にて、一発で急急如律令『彗星』を唱え退治した件だ。」
「はあ」
またハルカが頷く。
「彗星 は、本当に強い霊力のものしか扱えないはずなのだ。なのにどうしてあやつが使えるのか。そう思い——…調べたんだがな」
クララギが目を光らせた。
「いずれ、あやつは勉強し、黒魔道の力を手に入れることが予測されたんだ」
「黒魔道?!」
カイが声を上げる。
なんですか 黒魔道って。
「黒魔道とは、魔術師や幻術師が扱う、スーパー最強な力のこと。でも、現実に悪いことを引き起こすことが多く、強い魔物を償還する可能性も高いので、封じられてきた 闇冥魔道書の分類のひとつである」
と、いつ現れたのか ウララノが言う。
「え!そんな力持ったら、」
ハルカが言いかけた時、クララギが遮った。
「そうだ。さすがはハルカ。…飲み込みが早い。……。このままだと、ミコトにこの国ごとひっくりかえされる」
「!」
「それを防ぎたい。一刻もだ。なのでおまえたちに新たな人を追加する。」
「え?!」
ハルカが声を上げた。
「元帥選びの時には去るから1ヵ月くらい世話になる方だ。サギリ(紗霧)。来い」
(サギリ?)
ハルカは、小さな占い師の部屋みたいな所の、クララギの居る机の奥から歩いてくる人の姿を察知した。
「…どうも」
(かっこいい!!)
思わず叫びそうになって口も鼻も抑えた。
「ごほっ…ごほっ…」
咽ているとき、サギリが言った。
「俺はサギリ!陰陽師の小学五年!紫咲ノ幻影ギルドのみなさん。よろしくお願いします!」
ヤケに元気なヤツだ
「この通り、社交性ある、人のいい人なんでな、すぐになじめると思うよ」
とクララギが笑った。
「あたしはハルカ。陰陽師ランクは銀河4級。よろしくお願いします」
「おう、よろしく!ちなみに俺は 陰陽師ランク 銀河3級な。」
と、サギリが元気に返す。
(えー!またぁ?五年生のくせに。)
と気分を害されたみたいでいやになったが、でもサギリを見て、元気が湧いてくる
「俺はカイ。陰陽師ランクは銀河3級。一応 紫咲ノ幻影ギルドのリーダー。宜しくお願いします。」
カイが愛想なく言う。
「カイとサギリは同じ部屋だからな。」
と、くぎを刺すかのようにクララギが言った。
「ハルカ…。」
「なに?」
カイが声をかけてきた。
でも、いつもは さん か さま づけ だからちょっとびっくりした。
「…。後で、話したいんだけど。」
「分かった。」
———
- Re: 琥珀ノ末裔 *忘れられた日* ( No.50 )
- 日時: 2013/12/28 11:25
- 名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: qdhAso1A)
「俺、大失敗したんだ。」
お屋敷の裏庭だった。
誰も、誰もいないから カイが此処に来たのだ。
「だい・・・しっぱい?」
ハルカが問いだした。
「そう。」
カイが弱みを見せることはあまりないので ちょっと心配げになるハルカである。
「…検査だよ。俺には式神のあと、人形の試験、渾天儀の実技、太上神仙鎮宅霊符の唱えをしたんだ。」
「え!そんなに。ですか?」
ハルカが言う
「そう。結局、部屋についたのはハルカより後。しかもクララギさまじゃなくて、他の誰かに点数をつけられたんだ。隣の部屋で。でもクララギ様の片身で、ずるはしなさそうだ。」
と、言った。
クララギ様の陰なら、たぶんちゃんと同じように採点してくれるだろう
「で、人形の試験…。重大な失敗を犯したんだ。人形は自分の穢れを押し付けるもの。なんだけど、でもそうじゃなくて、俺は逆に自分に穢れを押し付けたんだ。」
「え!」
人形…いつしかハルカも聞いたことないわけではない言葉。
紙や木材・草葉・藁などで人の形に作られ、それにより患部等を撫でることによって自分の穢れをこれに移しつけて祓うのに使われるもので、流し雛の風習はこれを元としている。
「それだけじゃない、一方で人形に相手の名前等を記し、その人形を傷つけるなどして、相手に事故死や病死などの重大な災いをひき起こす呪いとして用いたりするんだ…おかしいと思わないか これは陰陽師の技ではなく黒魔道を扱う魔術師の実技」
「…そうだね。」
よくわからないけれど ハルカは一応頷いた。
「…それで、俺は穢れを押し付けられて、しばらく動けなかったところを、クララギ様に助けてもらったんだ。でもこれじゃあランクは下がる一方だろう? しかも、結構今も息苦しいんだ。」
「大丈夫?!」
ハルカは、やっと事態に気付いて、カイの背なかをバンバン叩いた。
「あ、痛いって。」
「…やっと、しゃべり方よくなったね。」
いまは二人だから 陰陽道の決まりに左右されることはない——でも。
どうして 冬至の日にこんなに哀しいことが起きたのだろう。
上下関係をどうして厳しくするのだろう。どうしてこんな風に思い知らされなくてはならないの?
どうして…。
この気持ちは 前にハルカが思ったものとおなじ。
ハルカひとりが取り残されていきそうで頑張ろうとしてきた。
でも今回だって結局ミコトに助けられてきたんだ。…。
「まず、あのサギリってヤツ、今日賞状を渡してくれた人だと思うんだ。」
「・・・あ、確かに!なんか見覚え合った気がするなあ…。」
ハルカも頷く。
- Re: 琥珀ノ末裔 *望み叶わぬ日* ( No.51 )
- 日時: 2013/12/28 13:00
- 名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: qdhAso1A)
「太上神仙鎮宅霊符、鎮宅七十二道霊符。これはものすごく長い呪文だろう?でも…、俺は一応覚えてたんだ。今でも普通に言える。」
と、カイが言った。
太上神仙鎮宅霊符、鎮宅七十二道霊符 これは、自分用に扱う獣を償還するのに使うのだ。
「あたしも言えるよ。途中まで…というか鎮宅七十二道霊符の部分は知りません」
このお屋敷では ほかと変わっていて、太上神仙鎮宅霊符、鎮宅七十二道霊符は通常ではどちらも同じ意味で、ただ違う呼び名なだけなのだけど、その二つを1、2と分けていた。
1,2どちらも言える人こそがその力を扱える。良く働き、よく扱いやすい獣が召喚できる。
「で俺、急すぎて度忘れした上、ヤバいこと言ったんだ。」
「はあ」
だんだんカイの本性があらわれていく気がし…。
「ハルカ様!聞いてください!」
ミコトが寄り添ってきて、目を瞠った。
裏庭だとどうしてわかったのか。
「おまえ!どうしてここに居るんだ!」
カイがあわてて飛びあがった
「……サギリ!黙りなさい!黒闇死無紋呪文を使いますよ。」
ミコトの強気な様子に、ハルカは驚くばかりだった。
「どうしたのミコト…」
「とにかくこれを見てくださいませんか?」
ミコトからもらった紙。
そこに描かれていた内容は。
——偽物が出ている——
俺の…俺の偽物が。
最近になって出てるんです。
俺の偽物・・。
そのせいで、陰陽道認定の日に大失敗したんです…。
偽物…。
気をつけてください!。
強い霊力を持ち、強い「魔術師」…
この感じ…絶対に魔術師です。
おまえたちに呪文を教えます。今ここに俺は居ません。
この呪文は 助けてほしい時だけに、本当に危ない時だけに使って。
ミコトでも対処できないほどの事態が起きた時——…ですよ。
「急急如律令 『死冥』」
「黒と闇のごとく 望み叶わぬ時ゆえ 下るべき時 一種の危険あり、陰陽道を救う未来をごとく。 黒闇は白き閃光へ混沌する。 死冥」
もうひとつの呪文を教えます。こっちは、偽物か本物か見分けるものです。
「急急如律令『証』」
「もしも 黒き闇となり、もしも 白き光となればどちらにせよ裏を持ち表なき聖夜へ施すわけにはならぬ。その時に全てを捨て思わざる」
俺は———今……。
——
「…なに、でもコレ。カイの字」
あ!
そういうことか 今、だまりなさい…ってミコトが言った。
つまりは・・この目の前に居るヤツはカイじゃない!
「そうですハルカ様! この人 サギリです!こいつは陰陽師じゃなくて、協力な魔術師に違いありません!!」
と、ミコトが勢いづけて言った。
「そんなわけないだろう?騙されるなハルカ!」
その口調…絶対ない!
「……見苦しいですよ。サギリさん。」
「でも、なんでサギリだってわかったの?」
ミコトに言うと、その尻馬に乗って、サギリらしき人物が、ハルカに行った。
「そうだ!俺がなぜサギリだと分かる。俺はカイだ!」
「そんなわけありません!ハルカ様、私を信じてください!」
ミコトの必死な瞳に…
「・・あんた、自分がカイだって証明してごらんなさいよ」
ハルカが勝ったとばかりにずかずか前に出た。
- Re: 琥珀ノ末裔 *望み叶わぬ日* 〜祝参照100〜 ( No.52 )
- 日時: 2014/01/31 21:59
- 名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: qdhAso1A)
だんまりしたニセのカイに、ハルカが嘲笑う様に言った。
「…どういうこと?」
この手紙、それは書きかけで、しかも走り書きだ。分からないが急いでいたに違いない。
…いつ、いつだ。
いつカイは偽物が出ていることを知ったのだろう?
ハルカもずっといたし、あまり異変には気付けなかった。
…。うん。と
「でも、本当でしょうか」
ハルカが、少し唸り始めた時、ミコトが言った。
「ハルカ様、サギリ様は分身を出す特別な技もお使いになります。たとえばカイ様をとらえた後、カイ様の分身を作り、生活させれば、カイ様サギリ様おふたりとも同じ場所に居ることができる。立派なアリバイになります」
「なるほど」
と、ミコトに囁いた。
手紙のある部分をさして。
「そうですね 分かりました。」
と言うと、ハルカが言った。
「あたしたちが、あなたがカイであると証明したいんだけど、いいでしょう?」
「…」
「あれ、?だってあなたカイなんでしょう?いいじゃない。」
サギリと言えば、カイのフリして拗ねてる。
逃げないだけましってことで!
「分かった。」
『急急如律令『証』』
別に 嫌だと言ってもやる気だけどね。
『もしも 黒き闇となり、もしも 白き光となればどちらにせよ裏を持ち表なき聖夜へ施すわけにはならぬ。その時に全てを捨て思わざる』
と、拗ねている目の前のカイの姿が、霧散した。
「…?!」
ハルカが驚いていると
「大丈夫です。分身だったんですよ。」
とミコトが言った。
「…そ、そっか。」
「でも このことはクララギ様にお話ししましょう。サギリ様は…本当に銀河3級なのでしょうか?・・もしかしたらサギリ様ではないかもしれませんし、クララギ様でもお気づきになれない事態…これは結構大変なことになりそうです」
と、ミコトを追って、お屋敷へ入った。
——
「ふむ、そんなことが…。ちょっとサギリを呼び出そう。」
経緯を二人で話し、クララギが手紙まで読み終わった後、クララギが慌ただしくそう言った。
「…あの、しばらくお時間かかりますか?私、クリスマス会を前の学校の友達と開いたんです。」
ミコトが席を立つ。
「そうか…。なら帰っても良いぞ。」
「失礼しました!」
と、占い師みたいな部屋の机からマイクを取り出し、ハルカに向けた。
「え!」
素っ頓狂な声を上げてしまう。
「言ってくれ・・・・。ウララノとサギリはこの部屋に来いと。」
「分かりました。」
ハルカは返事をし、マイクを向けた。
「ハルカ、鳴らしますよ。」
と、ピンポンパンポーンと音がして
「え、あ…。銀毬ノ聖ギルドのウララノ様、紫咲ノ幻影ギルドのサギリ様は、クララギ様の部屋にお願いします。 もう一度、繰り返します。銀毬ノ聖ギルドのウララノ様、紫咲ノ幻影ギルドのサギリ様はクララギ様の部屋にお願いします」
パンポンピンポーン
「ハルカ様、ナイスです!」
と笑顔を向けるミコトに。
可愛いなあと思ってしまうハルカである。
(サギリめっ…)
出会って早々、結構いいやつだと思ってたのに。
「あ!……。すみません、予定があるんですが 中座してもよろしいでしょうか?」
ハルカは「ある」用事を思い出し 席を立つ。
「…そうだな。いいだろう。ハルカも帰ってよいぞ。」
とクララギが言うので
「それでは失礼します。」
と、戸を閉めた。
「ふわ〜ぁ。べんきょーべんきょー!」
とちょっと手を組んでうえにせいのびしたとき、明るい声が聞こえてきた
「ハルカ、おまえ勉強熱心だな…!!すげえっ!俺なんてひとっぽちも勉強してないぜ、やることは 頼まれてしまった大量の仕事と、朝の修業だけ!あ、今日から、夜の修業は入るけどな!」
サギリだ。
「そう。」
ちょっと気まずい遥である。
「で、俺よばれたんだけど、何だろうな?」
「さあね。」
ちょっといやらしく態度を向けた。
「んじゃあ、」
と部屋に入るサギリと入れ違いにウララノがやってきた。
「あ、ウララノ様」
「あら、ハルカさん。何か問題が起きたのですか?」
と問いだされるので
「・・は、はい。その…。まとめて綺麗にカイ偽物発祥事件・・というところでしょうか。では失礼します!」
ハルカにも用事があるのだ 足止めされては元も子もない。
——
「あ、ハルカさん、サボるのかと思いましたよ。」
瓶覗の間で待っていたのは、教師のモリア
「すみません。遅れました。」
そのあと、遅れた経緯を短く話した。
「…そうですか。一刻も早く身を投げ出したいところですがどうにもなりませぬ。まずはハルカさまも ミコトさんに追いつけるよう頑張りましょう」
「そうですね。」
と頷いて、モリアから勉強を教えてもらう。
「あっ!昨日は陰陽道認定があったんでしょう?!どうだった!」
と笑顔で訊くモリアに対して
「えっと 銀河4級になりましたよ!」
と言った瞬間
「スゴイじゃない!やったわね!」
とハイタッチ。
「カイさんとミコトさんは?」
と言うモリアに
「えーっと、カイさまは…偽もんだからわかりませんが、銀河3級、ミコトは覚醒8級に格下げ」
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