コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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琥珀ノ末裔 *忘れられた日*
日時: 2014/04/09 15:52
名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)
参照: 14*5*13*10*11*4*10*10*10*2 外伝3

水晶玉の中で きらきらと燃える 琥珀石
そばで紅焔の炎をあげる、蝋燭

夕闇で光る 揺れる瞳

かつて向けられた周りの冷たい双眸

「……昨日、母を殺した」
その言葉に、そいつは 凍りついたようになった。

窓の外で 星が光る


「あたしの記憶は、もう混沌してない…!!あたしにもう、おまえは要らない…」
そいつは目を見開いた。

「おまえ——もしや、陰陽師なのか?!」
———————————
作者挨拶 >>93

企画*今週ビックアップ説明* >>111

登場人物・小説用語 

第一章>>152

*ボツ文*
>>142
————————————————————
プロローグ  未来風 >>2

φ第一章φ 甦る末裔

第一話【遥か先の予】 第二話【夢のまた記】

*陰陽道は白い >>3  *空っぽな心に >>31
*琥珀ノチカラ >>4  *世界が消えた >>32
*眠る力を握り >>13  *記憶の花咲く >>34
*明るい陽少女 >>14  *明日のあさに >>35-36
*憧れと苦しみ >>15 
*予言の始まり >>16
*遥か先を求め >>17
*陽だまりの想 >>19
*誰も知らない >>24
*静けさと大嵐 >>26
*暗闇の独り縛 >>27
*黒に代わる陰 >>28-29
*渦を巻く予言 >>30


第三話【望み無き日】 第四話【君が居れば】
*忘れられた記 >>37  *謎の影人と星 >>55 
*消えなき事実 >>38  *夜を斬る結界 >>56
*羽ばたく光り >>41  *五つの空の下 >>57
*朱き力と使命 >>42  *聖なる異世界 >>58
*嬉しくて苦く >>43  *空飛ぶてがみ >>60-61
*諦めたくない >>44  *一つとなる絆 >>62
*静まる雪崩れ >>46  *一瞥された黒 >>63-64
*思ひを捨てて >>47  *動き出す歯車 >>67
*刻まれた迷宮 >>48
*変わり始めの >>49
*滅ぼされた火 >>50
*残された言葉 >>51
*闇を運ぶ手紙 >>52


第五話【罠に躓く人】 第六話【闇術の刻印】 
*偽りの狭間で >>70  *さらなる悲劇 >>85
*助けての意味 >>71  *死を求めし霊 >>86
*時と刻と閃き >>73  *古き日は哀く >>89
*揺れるおもい >>74  *姿を闇に化し >>90
*独りに慣れて >>75 
*大理石の螺旋 >>76
*闇をはこぶ扉 >>77
*毒を射す事件 >>78
*混沌する記憶 >>80
*曲がらぬ呪文 >>81
*苦痛のイズミ >>83

第七話【現れた幻影】 第八話【聖なる闇夜】
*記憶は忌しく >>91  *心を悼める者 >>114
*忘れられた涙 >>92  *躍り出る仲間 >>116
*今を惑わす者 >>96  *孤独の闇迷宮 >>117
*白と黒を翻し >>102 *怖くて寂くて >>118
*真実と誠と影 >>104 *時刻よ止まれ >>119
*君がくれた想 >>105 *温もりが消て >>120
*無力過ぎた力 >>107 *白い鳥の報せ >>121
*星をかぞえて >>108 *何処が良いの >>122
*明日は黒闇に >>109 *修行と落胆に >>123
*何かが揺れて >>110 *独りじゃない >>124

第九話【君と居たい】 第十話【煌めく明日】 
*雪模様の変化 >>126 *嘘と偽りの壁 >>145
*恋は思案の外 >>127 *弾けたヒカリ >>147
*解かれた封印 >>133
*花が咲いたら >>134
*叶わぬノゾミ >>136
*舞い降りた姫 >>137
*金色の思いれ >>139
*記憶の底の夢 >>140
*夕闇に沈む涙 >>141
*未来への願い >>143

〜外伝〜 *運命の螺旋*

琥珀ノ夢囚物語 >>100
瑪瑙ノ夢囚物語 >>113
姫織ノ夢囚物語 >>138

φ第二章φ 弾けた末裔

第一話【…みてい…】第二話【…みてい…】

現在の一話ごとの話の数は URLに乗っています。
この一覧はたびたび更新されます。
この一覧に乗っていなくても 更新されていたりします。
————————
(*・ω・)ノ●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●〇●

今週のビックアップ(説明>>111)

第9話 >>141の一部から引用

【双眸】byアサギ 瑠璃ノ樹ギルド 陰陽師

みんな そんなふうに 思っていたの?
あたしのこと、邪魔だって。

あたしに言うと 困ることが起きるの?
あたしは知らなくていいことなのかな。


あたし 嫌われていた

笑顔を向けられていたけど あれは偽りのもので

本当は 嫌われていた?


自分が信頼していた分 悲しすぎた

(*・ω・)ノ●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●〇●


□おしらせ□

*2013.12/9 執筆開始

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Re: 琥珀ノ末裔 *紫水晶* ( No.33 )
日時: 2013/12/15 12:04
名前: ミヤ ◆yIknKu/.Mk (ID: CN./FYLZ)
参照: http://kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

>>22あ、そうなの?じゃ、いいや ごめんね(>_<)

Re: 琥珀ノ末裔 *紫水晶* ( No.34 )
日時: 2014/01/22 19:35
名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: qdhAso1A)

「ハルカ、アサギは来ないのか?」
カイがいった。

「今日は、向こうで修行したいんだって」
ハルカはそう言うと、下駄でつんのめって倒れそうになり、傾いた。
それに目をやったカイは言った。

「それで、おまえは どこから来たんだ?」
カイが言う。

「…覚えていない」
全く知らない。

「親は?」
カイが訊く

「…知らない」
そう答えるしかなかった。

るり色の正装に包まれて 少し新鮮な気分だった。

「これから 川に行くのよ。きれいな川で、輝那川てるながわというの」
話を変えようとばかりに、ハルカが言った。

「あそこで…修行、をするの?」
私が言う。

修行とは?何だろうか。

さあ、分からない 分からないけれど………。
修行の言葉の意味は分かるけど…

「……あなたは、川辺で見ていると良いわ。最初は、見学 見ているだけでも きっと勉強になる。何にせよ もとから力のあった者だし。この九字なんかはいずれ覚えてもらうから」
というと ハルカは身寄りない私を突き飛ばした。
向こうは突き飛ばしたとは思ってないけど。

少し、痛かった

でも、一緒に居たかった だから耐える。
ハルカとカイに見離されたら 今度こそ独りぼっちになる。

「…」
カイとハルカの間で 修行が始められる。九字を言ったって、なにやったって上の空だ。
いずれ覚えればいいんだから。

そう思った

「それじゃあ 行くわよ。どう?分かった」

「ためしに 九字でも言ってみろよ。」
言えるはずがないのだ。

聞いたこともない九字を言えるはずがないのだ。

「無理」
というと、

「そういう時は 無理ですと言え」
ときつく言われる。

いくら私に当たってもいい。
べつに意地悪になったっていい。

でも、お願い——…見捨てないで。

私を、嫌いにならないで。

沢山友達が欲しいとか そんな欲望は要らない。
誰とでも広く浅く付き合ってアドレス帳いっぱいにしたい。
なんて贅沢なこと言わない。

それでもいいから、だから、それでいいから。
意地悪でもいいから、あなたたちが消える代わりに ひとりの友達を残しておいてくれるだけなら それでいいから。

「……はい」

「九字を言ってみろ。」
急に、私の口が動いた。

「臨兵闘者皆陣列在前」
一瞬だけ意識が吹っ飛んだんじゃないのか。

「…おまえ、案外見込みあるな。じゃあ、紫咲ノ幻影ギルドにつきものの言葉を言えるか」
と、試すかのような目で、私をじろりと見た。

「青龍、白虎、朱雀、玄武、空陳、南寿、北斗、三体、玉女」
何だろう

青龍ってなあに?
白虎ってなんだろう

…なんだろう。
ひとつひとつの意味も分かりはしないのに ただただつぶやく。

「…ミコト」
ハルカが驚いたように振り返った。

「もとから覚えていた?…それとも、…覚えられたの?」

「…いえ。勝手に口が」
でも、その通りだった

「口が動きました。」
とカイに注意されて

「…すみません。」
と、ぺこぺこ謝るのが事実。

「…あんた、今のあたしからしたら、前とあんたは人間が違う。でも、元から 霊力も強い。記憶を取り戻すために頑張るのは勿論、ギルドのためにも尽くして。これなら、このギルドの戦力になりそう」
その言葉は…本物だろうか。

「記憶が戻るまで———…。いや、記憶が戻っても ここに居てもいい。もとからミコトの居場所は此処だろう?そう報告すべきだ。ミコトの力は伸ばせば伸ばせるだけの力がある」
カイが、そう言いながら手をひらひらさせた。

「記憶?」
私が顔を顰める。

「…カイ。」
ハルカが睨みつけて…

「悪い。ミコト、なんでもねえ」

コイツらは 秘密を持っている


私には 絶対に言えない 秘密を持っている。

知りたい でも知りたくない

本当のことを知るのが怖いから。

——…私が黙っていると、

「あんた、行くよ。」
ハルカが乱暴に私の手を引いて、部屋まで連れて行ってくれる。

心の中はみんな優しいのに。

どうして表に出せないの?。

初対面の人に、恥ずかしいとかないのに。

「おまえ…いや、ハルカ。こいつはミコトだぞ」
ちょっと 薄目にカイが言った。

「…わかってるわよ。こいつって カイだって変じゃない」

「———…なんか、素直になれないんだよ」
カイが、髪をくしゃっとやった。

「もっとゆっくり歩いてください」

Re: 琥珀ノ末裔 *紫水晶* ( No.35 )
日時: 2013/12/19 16:17
名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: qdhAso1A)

「私は 立派な妹よ。」
その少女は言い張った。

「…自己紹介から始める。」
カイが頭をかいた。

「私は

Re: 琥珀ノ末裔 *紫水晶* ( No.36 )
日時: 2014/01/22 19:52
名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: qdhAso1A)

その少女が口を開こうとした瞬間に、目覚めた。

周りは、人が居る

「!!」
顔色の悪い男の子が、ぱっと明るい表情になった。

「ミコト!よかった。」
…?
もう一人の男の子が 喜んで、私の周りを駆け巡る。
布団だったし、下が薄いから、少し背中が痛い。

「ミコト…。心配させるんじゃないわよ」
と、その女の子は言った。でも、顔はうれしそうだった。

「…ミ、コ、ト?」
声が出た。

「……。ミコト様?あたしですよ。アサギです」
その少女は、笑顔で私を見た。

「…?」

「…!」
男の子が、気付いたように目を瞠る

——…沈黙が流れる。

「・・もしかして」
二人が目を合わせ、私をじっと見つめた。

「…ミコトは、記憶を失っているのか?」
そいつが、後ろを見て言った。

「え…?!でも、二連続でこんなこと…ありえないです! ということは、昨日、ハルカ様とカイ様が一緒に、修行に行かれたことも忘れたんでしょうか!」
その女の子が叫んだ。

「そ、そんな!」
ほかの女の子も叫ぶ。

「落ち着け。アサギ ハルカ」
誰かがたしなめた。この少女は…アサギ、というのか?

「ミコト、分かる?」
大人の女性が、私に向かっていった。

どうやら、私は「ミコト」という存在だったらしい。

「……?」
黙っているつもりはなかったのだけど、返し方がよくわからない。

「記憶を失ってるみたいね。」
また その人は切り出した。

「…でもね、うちでは記憶の治療は出来ないの。一応、ちゃんとした 医術師の方には連絡してみるけれど、それで治るとは限らない。そんなことするより早いことがあるわ」

「今すぐやります!」
男の子も、悲鳴あげる勢いでしゃべった。

「こうなると、地道にやっていかないと記憶は戻らない…。ハルカ、カイ、アサギ。そしてカイト。」
その人は みんなを見やって 言った。

「ミコトの記憶を回復させるには、あなたたちが一番関連するはずよ。私はリセナよ。ほら、こんな感じで。」
と、その人は目を伏せた。

「…あたしは、アサギっていうんですよ。 あ、さ、ぎ!」
と、そのアサギ という少女は、私に向かって言葉を投げかけた。

「…っ」
あさぎ と声に出してみたかったのだけど、声が出ない。

「俺はカイ。こっちはハルカ」
と、カイとハルカがにっこり笑う。

「ボクはカイトです。」
カイトが頭をかく。

「気分はどうですか?」
カイトが続けて言う。

「っ……」
しゃべれないから頷くしかなかった。

「……気分は良さそうね。部屋まで戻ってもいいわよ。」
リセナが言うと、アサギとハルカが私を起き上がらせる。

立とうと、足に力を入れるのだけど、全く起き上がれない。

「……」
と、それに気づいた カイが私を負ぶって、その部屋から出た。

「…おろ・・して」
わたしが喘ぐと、たぶん…カイが、私を降ろした。

階段を登り、登り・・・・。カイトは居なくなってしまったが、ハルカとアサギは来ていた。
そのまま、翡翠の間 と書かれた看板の大きな部屋に入っていき、カイが私を座布団の上に座らせる。

「俺たちは、なんという名前のギルドだ?」

「……」
私は黙っていた。

「此処は、なんという国だ?」

「………」

「俺たちは、何師」

「……」
喘ぐことも叫ぶことも何もできない。ただ、ボーっと話の意味を理解しようとし、頷くだけ。

ハルカはお茶を入れ、アサギはのんびりと出されたお茶菓子を食べていた。

ただ カイだけは、しつこく私に言ってくる。

「何歳だ?」

「俺の名前は?」
理解していることも多いのに、しゃべれない。

「この紙に書くだけでも良いですよ」
私の容態に気付いたのか、アサギが、言った。

「…」
私は、だまって書いた。

「カ…、イ」
カイが、その文字を読んだ。

「どうしてしゃべらない?」

「し・・・ゃ・・・・・・べれ・・・ない」
またカイがそれを読むと、あっとなったように言う。

「……おまえ……」

「カイ、ちょっとキツイと思うよ。まだミコトも回復しきってないんだろうし。はい、コレ。飲むといいよ」
と、ハルカにお茶を出される

その後も、カイはしつこく質問を繰り返す。

「昨日は何をした?」

「……わか…らない…やっぱり記憶を失っているんです!」
アサギが読み返すと、顔を手で覆った。

「くっ…」
ハルカがうなずきつつ、言う。

「…どこまで記憶があるんでしょうね。」
そのあと、カイが言う。

「知っていることをかけ」


草が生い茂った所に、やや強そうな魔物が現れた。

そこに、必死で立ち向かう誰かが居て、私が助けた。


「…なんでしょうかね?」
アサギひとりが首をかしげていると、ハルカが言った。

「これ、本当に本当の初日。初めて ミコトがギルドに入るってところの時のこと。いろいろあってミコトが記憶喪失にされたあとの…まあ色々あって、私はわかってる」
恥ずかしいことでもあるのか、ハルカは断固として言わなかった。

と、カッと アサギが目を見開いた。

「クララギ・・・・・・。ルキヤ、ステラ、ラニ、エレナ・・・ノドカ」

「…クララギ?」
カイが傾いた。
なぜに、記憶喪失のミコトから クララギ と言う言葉が出てきたのか。

「…わかりませんけど、途中の記憶は覚えているのかな?」
アサギが言った。

「そうらしいな。」
三人が、ため息をついて私を見た。

お茶が熱くて飲めない。

「………あの…、その…」
アサギが、私をちらりと見た後、迷ったようにカイとハルカに言った。

「私に、この紫咲ノ幻影ギルドの結成から、今までのハナシを、ミコト様にするのと同時に、訊かせて頂けませんか?」

「…一部、省きたいんだが。どうする?」
ハルカがちらりとカイを見た。

「分かった。いいぞ」
カイがうなずいて、ぽつりぽつりと話し始めた。

ミコトも素直ながら聞いていた。

Re: 琥珀ノ末裔 *忘れられた日* ( No.37 )
日時: 2013/12/20 20:57
名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: qdhAso1A)
参照: http://ねね

「…今日から新しく入る者を紹介する。」
講堂にて。
それは ハルカとカイが 小学五年生の頃。

クララギギルド長が、新人のお屋敷に君臨する方々(医務室の先生、ギルドの世話係・部屋係の人、学問を教える者 いろいろ)の発表をしたあと、つぎは新しいギルドの人を紹介するらしかった。

「左から、ユノ・アスカ・アオイ・ミコト・ユーキ」
ハルカの目は、ミコトにくぎ付けになった。

整った顔立ちだった。
ざっくり言えば 可愛い。美少女 と呼べき者だ。
真っ赤に燃えた朱色のつぶらな瞳は、引き込まれる。というべきか…。

今に口に出したりはしないが、そう認めた。

「それぞれのギルドを発表する。志海晴ギルド、ユノ。レビ咲黎ギルド、アスカ」

「泉ノ羽ギルド アオイ。紫咲ノ幻影ギルド、ミコト。星月珠樹、ユーキ」

「以上」
クララギが、舞台から降りた。

(……ちぇっ!)
ハルカはつまらなく思った。ハルカのギルド、瑠璃ノ樹ギルドには、ミコトどころか誰も入ってこなかったからだ。
と、後ろから、瑠璃ノ樹ギルド(明日まで)のシュリがハルカを小突き、シュウがシュリの陰から顔を出した。

「ハル、誰も入ってこなくてがっかりしたでしょ?」
シュリがにたあっと笑う

そして シュリと似た顔がまた後ろから言う。

「でも、ハルカたちのチーム、ひとり入ってくるぜ。」
シュウがそういうが、自分のギルドの名前は発表されなかったはずだ。

「瑠璃ノ樹ギルドについては、紫咲ノ幻影ギルドと名前を変えることが発表されている」
という、世話長担当ミスギが言うのが聞こえてくる。

「ナイスタイミング」
と、シュリが言う。

「…ん?というコトは、ミコトが入ってくる。ということか?」
ハルカが言うと、シュウが口をはさんだ。

「そうじゃねえの。ミコトってヤツ、やけに可愛いよなあ〜♪。オレらも、明後日で卒業だなんて虚しいよなあ。一緒に居られるのは1日もないんぜ」
シュウが寂しそうに言う。
シュウは、もう中学一年生になるから、瑠璃ノ樹こと紫咲ノ幻影ギルドから卒業し、双子の妹であるシュリと共に、ギルドを結成するのだとか。

「でも、オレとシュリのギルドにもひとり、新しいヤツが来たぜ。」
その言葉に、シュリがうなずいた。

「星月珠樹ギルド、ユーキくんが入ってくれるみたいね。」

「え、先輩、星月珠樹ギルドって名前だったんですか。」
と、前から顔をだしたのは、カイ。
カイは、ハルカと同級生だけど 精神年齢はちょっと高め。

「そうだぜ。カイも入るか?」
とのシュウの言葉に

「いや、言葉に甘えたいところですが、俺はハルカとこのギルドで頑張りたいです」
と、真面目にカイが返す。

「頑張りな!」
と、先輩らしいシュリのアドバイスが

「うるさいぞ」
世話係のリンが、じろりと睨む

「すみませんっ!」
ハルカは、前を向き クララギのハナシに耳を傾ける。

「これで話を終わりとする」
ずこっ!

「紫咲ノ幻影ギルドは、シュウ、シュリ除くメンバーでこちらに来てほしい。」
と、最後クララギが占める。

「オレらは要らないってことか。」
と、シュウが、言う。

「また、明日。お別れ会でね〜♪」
シュリが、にっこり笑顔で講堂から出ていく。

クララギの元へ、カイとハルカが走る。

そこには、ミコトの姿もある。

「こちらが、小学一飛び五年の、ミコトだ。」

「よろしくお願いします。」
と、ミコトは頭を下げた。

さっき見たとおりの、朱色の綺麗でつぶらな瞳、整った顔立ちの美少女!そのままの上、性格もよさそうだ。

「ミコトは————のところを、アレを使うんだ。もちろん、それだから−だけでもそれがバレないようになり、合わせて、ある一部分の記憶も失う」
クララギが真剣そうに言った。

「今日、明日は、たとえしっかりした少女だとしても、明後日からは討ち替わったようになる。気を付けること。ミコトの正体がバレないようにする係に任命する…」

「ハルカとカイの世話係、部屋長のリンだ。去年と同じく引き続きだな。こっちへ来い。」
クララギがリンを呼んだ。

「そして、カイ、ハルカ。ミコトの状態を水曜日の夜中伝えること。」
ハルカは戸惑った。が、カイに気圧されて やっぱり頷く

「ミコトの「一部分」の記憶が戻ること、その記憶がないことに気付くことは無いように」
そのあと、横から聞いていたミコトが口を開いた。

「陰陽道厳守霊力」

ハルカより、ミコトは知識がありそうだった。

「なんですか、それ」
ハルカが思わず聞くと、、

「霊力が強い者は…いや、ミコトのように特に強い者は、自分のパワーを上回る能力を使える。」

「その能力を使った後は、寝込んだり、風邪ひいたり ノイローゼみたいなのにかかりやすくなったりします。精神的に辛くなります。ですが、その力は莫大なものとなります。誰でも使えるわけではありません」
と、ミコトが 丁重に説明した。

ちょっとハルカは面白くなかった。

さっき小学一飛びの五年生と言ったから、小学四年の年齢だけど小学五年だというコトなのだ。

「仲良くしてやれ。」
でも、さっきのミコトにばれてはいけないってヤツ、ミコトに聞こえてたんじゃねえの?

「いいえ、大丈夫ですよ。聞こうと思わなければ聞こえません。いずれ私は記憶を失いますし。」
と、ミコトが涼しい顔で言った。

「ま、まあ、この子は非常に人見知りなものでね。」
と、クララギが戸惑う。


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