ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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 マイナス  ちょっとした番外編
日時: 2010/06/28 15:53
名前: アキラ (ID: PA3b2Hh4)

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まだまだ未熟者ですが、頑張ります。

登場人物>>2


お客様リスト

     ユエ様  白兎様  神無月様  風水様
    くれは様  結羽様  月兎様

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Re:  マイナス  ( No.79 )
日時: 2010/06/19 16:34
名前: アキラ (ID: PA3b2Hh4)

いろはもそうだけど、夕衣も痛むんだと思います。
心が。
色々、普通とは違うんだなーと。
そう実感するようになりました(・.・)

ネバネバですね、一言。

「妹はやりません」


Re:  マイナス  ( No.80 )
日時: 2010/06/19 16:48
名前: 月兎 (ID: iEydDqYB)

はじめましてアキラ様。

密かに読ませてもらってました(コメントしていなくてごめんなさい)
マイナスを読んでアキラ様の小説に惚れました!

死にたがりやのキリヤさん。
妖センチメンタル
モノクロ
全て読ませてもらいました!!
その文才凄すぎます><よろしかったらお友達になっていただけませんか?

まだここに通い始めて少ししかたっていませんがいつも更新楽しみにしてます!
これからもがんばってください><

Re:  マイナス  ( No.81 )
日時: 2010/06/20 09:58
名前: アキラ (ID: PA3b2Hh4)

頑張りますよ、頑張ります。
なんか……ありがとうございます!!
たくさん読んでくれたようでッ
感激です(#^.^#)

Re:  マイナス  ( No.82 )
日時: 2010/06/20 11:57
名前: アキラ (ID: PA3b2Hh4)

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けっきょく、いろはは帰ってこなかった。
音音はテレビでサッカーを観戦しながら、時計をチラチラ気にしてる。

「警察に連絡はしねーのな」
「……大げさになるだろうから、嫌なんだ」

昔も、大げさにニュースに取り上げられた。
ニュースを見れば、ぼくらの事ばかり。
ああ、これもいろはの 「バカにする声」 に入ってるんだろうな。

「ちょっと、外出てく」
「自分はこのサッカー見てるからな」
「分かった」

アパートの団地。 いつものベンチに座る。
日は暮れかけて、赤い波紋みたいな空が広がってる。
………血、みたい。

「………あっ」

血だ。
血、やばい。 忘れろ。 思い出すな。
さっきも吐きそうになったじゃねぇか。

忘れろ。
忘れろ。
忘れろ。

「まだ、いろは見つからないのか?」

ラフな格好で、語部が現れた。
こいつ、相変わらず男前だな。

「どうにも、鬼としてのぼくの素質が備わっていないみたいで」
「バカ。 ちゃんと捜しなよ。 このまま見つからなかったらどうすんだよ」
「……お前は、見つからないでいいって顔してるけどな」

硬直する。
一瞬、語部だけの時間が、止まった。

「そんな事、言わないで。 先輩」

微かに、声が震えているのが分かった。
そういや、いつからだろうな。
ぼくが、人の声とか表情に敏感になったのは。

「先輩は、意地悪だね。 見ていて、怖くなる」
「……語部、これはぼくが少し疑問に思っただけなんだけどさぁ」

お前、人間らしくて羨ましいわ。

「いろはが何処に行ったのか、知ってるんじゃないか?」
「…………………知らね」

顔を背ける。 ふははは。
知っておるな、おぬし。 その顔はー。

Re:  マイナス  ( No.83 )
日時: 2010/06/20 15:29
名前: アキラ (ID: PA3b2Hh4)

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語部 琴葉は、いろはの小学時代の友達だった。
幼稚園も3年間同じで、仲が良かったみたい。

小学校でもよく、二人で居る所を見かけた。
「色影先輩」  そうぼくを呼んで、どこか嬉しそうに、 「先輩、あっしの兄ちゃんだったらよかったのに」 

そう言って。

恨めしげに、いろはを見ていた。
あの頃から、両親の阿呆な仕打ちは始まっていて。
そういう表情を見抜くのがクセになっていた。

「お前は、昔からいろはが嫌いなんだろ?」
「……違う。 いろはは普通に好きだった」

どこか開き直ったように、語部は口を開く。

「先輩は、特別だったから」
「…………」

なんだ、この恋愛シュミレーション。
心の中でぼやく。

「好き……だったんだと思う。 今は分からないけど、昔は。 いろはが、羨ましかったから」
「それはどうも」
「でも、10年前に事件があって……なんだろう、凄く怖い人になって、帰ってきて」

誉められてる気がしない。
なんだよ、それ。

「だけど、昔の面影もあって。 だから」 
「だから、いろはを攫ったか?」
「は? 違う、あっしは何もしてない」

その割には目が泳いでますが。
気のせいかな。 辺りもちょい暗いし。

「そう? その割にはいろはが居なくなってよかったと思ってるようだけど」
「思ってるわけない。 てか、いろは捜しなよ。 見つけなよ」
「誘拐犯がいろはの居る場所を教えてくれればいいんだけどね」

そしたら、こんなにモヤモヤしなくて済むのに。

「そんなだったら、苦労しないだろ」
「……誘拐犯が居るって、分かってんだ?」

負の抜けた顔。
ビンゴ☆ってわけか?

「え……」 「誘拐犯が居るって、分かってんだろ」

ぼくが誘拐犯って言った時、何も反応せず、至極それが当然といった感じだったからな。
確信犯だろうねぇ。

「お前がいろはをさらったか、もしくは……誰かがいろはをさらったか。 その犯人を語部は知っているのか……。 共犯か」
「待って」

語部が手のひらをぼくに向け、発言を遮った。
顔が強張ってる。

「意味、分からんね。 何があっしなわけ。 冗談よせよ、夕衣先輩」
「冗談であってほしいんだけ、」

痛い。

「………………」

背中に、痛いという感情が焼き付いた。
振り返る。

「夕衣……せんぱ、」
「あれ? ………れれー?」

想出が、笑っていた。
あれ??

「お前、何してんだ」
「色影狩り」

必死で腕を伸ばして、背中にある凹凸物を掴む。
あびゃびゃびゃとか叫びそうなほど痛かったけど、耐えて、引き抜いた。

出刃包丁。 
刃先の半分が血に染まっている。

「痛く、ねぇんスか?」
「十分いてーよ」

かなり、痛い。
想出が、ニマリと笑う。 

「色影さん、色影 いろはなら、もう居ない」
「…………?」
「壊れた」

いや、違うだろ。

「壊したんだろ?」

問うてみる。
いろはを殺すのは、簡単だ。 記憶を呼び覚ませばいい。

両親に嬲られた記憶を。
同級生に苛められた記憶を。
実兄に犯された記憶を。

自分が、自分で無くなって行く記憶を。

「お前がいろはを好きだというのも、ちょっとした歪曲の感情だろ?」

そうなんだろ?

クレイジー野郎が。


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